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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23D |
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管理番号 | 1087846 |
審判番号 | 不服2002-5106 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-08-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-03-26 |
確定日 | 2003-12-05 |
事件の表示 | 平成9年特許願第21912号「スリッター装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年8月4日出願公開、特開平10-202415]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年1月22日の出願であって、その請求項1〜4に係る発明は、出願時の明細書並びに図面からみて、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、下記のとおりである。 「【請求項1】 屋根鋼鈑等の長尺物をその移送方向に向けて切断するスリッター装置であって、このスリッター装置が、前記移送方向に略直交する向きに備えられた上下対をなすスリッターロールを有するスリッターロールユニットと、このスリッターロールユニットを前記移送方向に略直交する向きに移動可能に載置する第一のレール手段とを有する装置本体と、前記装置本体に近接、離隔可能に、当該装置本体の側方に配されるスリッターロールユニットの載置台とを有しており、この載置台の上部に、この載置台を装置本体に近接移動させることに伴って装置本体の第一のレール手段と接続される第二のレール手段が設けてあることを特徴とするスリッター装置。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭58-90416号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (1) 「所定巾の刃およびスペーサを組込むための上下1対のシャフトを有するスリッタと、刃およびスペーサを受取り、および送出しするための、旋回可能な受取送出機構とを備え、 前記スリッタは、帯鋼せん断位置と前記受取送出機構との間を移動自在であり、 前記受取送出機構は、前記各シャフトに組込まれた刃およびスペーサを受取り可能な、および組替用の所定巾の刃およびスペーサを収納可能な上下1対のアームを、旋回中心に対称の位置にそれぞれ配置したことを特徴とする帯鋼用スリッタのカッタ組替装置。」(特許請求の範囲) (2) 「この発明は、帯鋼用スリッタのカッタ組替装置に関するものである。」(第1頁右下欄第2〜3行) (3) 「1はスリッタAのパスラインと直交する方向に敷かれたレール、2はレール1上を走行する、車輪2aを備えた、スリッタAの基台であり、基台2はレール1にそって走行する。」(第2頁右上欄第5〜9行) (4) 「基台2上には、水平回動可能に駆動端支持スタンド3が、そして、取外し可能に自由端支持スタンド4が取付けられている。駆動端支持スタンド3には、上下1対のシャフト5a,5bの駆動端が取付けられ、自由端支持スタンド4には、上下1対のシャフト5a,5bの自由端が取外し可能に取付けられている。上下1対のシャフト5a,5bの各々には、所定数の刃6および所定数且つ所定巾のスペーサ7が所定の状態で嵌込まれている。自由端支持スタンド4は、基台2にボルト止めされており、ボルトを取外すことによって基台2の所定設置箇所から取外される。」(第2頁右上欄第13行〜左下欄第4行) (5) 「第3図に示すように、パスラインと直交する方向のレール1の端部には、これと直交する方向、即ち、パスラインと平行な方向に敷かれたレール16が連設されている。レール16上には、これにそって移動可能な台車17が載置されている。台車17上には、レール1と同一高さ、且つ同一方向になるように、スリッタAの引込用のレール(図示せず)が設けられており、この引込用のレール(図示せず)の端と、レール1の端とが合致するように、レール16および台車17は形成されている。レール16の両端に隣接して受取送出機構Bがそれぞれ設けられている。従って、パスラインから外れてレール1上を移動したスリッタAは、台車17上に移載され、次いで台車17のレール16上移動に伴なってその端まで運ばれ、そこにおいて受取送出機構Bとの間で、刃およびスペーサの組替が行なわれる。」(第3頁左上欄第2〜19行) (6) 「なお、レール16上に、さらに別の台車およびこの台車上に載置した別のスリッタを用意しておけば、あらかじめこのスリッタに新しい刃およびスペーサを組込んでおくことができ、従って、パスライン上から外して台車17上に載置したスリッタAをレール16の一方の端まで運んで、そこで刃およびスペーサの組替作業をしている間に、レール16の他方の端において新しい刃およびスペーサを組込んでおいた、上述した別の台車上の別のスリッタを、レール1上に移してパスライン上に載置固定することができ、一段と短時間でカッタ組替が行なえる。」(第4頁右上欄第8〜19行) 上記(1)〜(6)の記載事項より引用例には次の発明が記載されていると認められる。 「帯鋼用の長尺物をその移送方向に向けて切断するスリッター装置であって、このスリッター装置が、前記移送方向に略直交する向きに備えられた上下対をなす刃及びスペーサを備えたシャフトを有するスリッタと、このスリッタを前記移送方向に略直交する向きに移動可能に載置するレール1とを有する装置本体と、長尺物の移送方向と平行に移動可能に、当該装置本体の側方に配されるスリッタの台車とを有しており、この台車の上部に、装置本体のレール1と接続される引込用のレールが設けてあるスリッター装置。」 3.対比・判断 本願発明(前者)と引用例に記載された発明(後者)を対比すると、後者の「帯鋼」、「刃及びスペーサを備えたシャフト」、「スリッタ」、「レール1」、「台車」、及び「引込用のレール」が、前者の「屋根鋼鈑」、「スリッターロール」、「スリッターロールユニット」、「第一のレール手段」、「載置台」、及び「第二のレール手段」にそれぞれ相当している。そして、両者は、次の構成で一致している。 「屋根鋼鈑等の長尺物をその移送方向に向けて切断するスリッター装置であって、このスリッター装置が、前記移送方向に略直交する向きに備えられた上下対をなすスリッターロールを有するスリッターロールユニットと、このスリッターロールユニットを前記移送方向に略直交する向きに移動可能に載置する第一のレール手段とを有する装置本体と、当該装置本体の側方に配されるスリッターロールユニットの載置台とを有しており、この載置台の上部に、装置本体の第一のレール手段と接続される第二のレール手段が設けてあるスリッター装置。」 しかし、両者は、前者のスリッターロールユニットの載置台は、装置本体に対して近接、離隔可能に移動でき、載置台を装置本体に近接移動させることに伴って、第一のレール手段と第二のレール手段とが接続されるのに対して、後者はこの構成が不明である点で相違している。 そこで、上記相違点を検討するに、スリッターロールユニットの部品の交換作業、例えば切断刃の交換作業等を、スリッターロールユニットを受け取った直後の載置台上で行うか、それとも、載置台を長尺物の移送方向に平行に移動させた後に行うかは、当業者が適宜選択し得る事項と認められる。そして、前者を選択する際には、装置本体と載置台間に、この作業のための空間を必要とするとともに、載置台を装置本体に近接、離隔可能に移動させ、載置台を装置本体に近接移動させることよって、第一のレール手段と第二のレール手段とを接続させる必要があることは、当業者にとって明らかである。してみると、引用例に記載された発明の相違点に係る構成を本願発明の如く構成することは、当業者であれば容易になし得るものと認める。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本願の請求項2〜4に係る発明について検討するまでもなく、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-09-19 |
結審通知日 | 2003-09-30 |
審決日 | 2003-10-14 |
出願番号 | 特願平9-21912 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B23D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 八木 誠、田村 耕作、高田 元樹 |
特許庁審判長 |
西川 恵雄 |
特許庁審判官 |
三原 彰英 林 茂樹 |
発明の名称 | スリッター装置 |
代理人 | 中村 信彦 |
代理人 | 桑原 稔 |