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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03B |
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管理番号 | 1087920 |
審判番号 | 不服2001-18269 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-10-15 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-11 |
確定日 | 2003-12-04 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第 60684号「写真フィルムカメラ」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年10月15日出願公開、特開平 5-265089]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年3月17日の出願であって、本願の請求項1に係る発明は、平成11年3月11日付、平成12年11月27日付、平成13年3月26日付、平成13年11月12日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(なお、平成15年5月26日付手続補正は、補正却下された。) 「【請求項1】 スプロケット駆動用透孔を無くした写真フィルムの一方の縁部近傍に設けられた透孔を検出するため写真フィルムカメラの暗箱内に設けられた検出手段と、 前記写真フィルムを自動セッティングするガイドローラとフィルムスプロールとを有し、 前記検出手段により検出された信号で写真フィルムの移動量を制御し、前記暗箱の露光用開口部のフィルム送り方向の幅に対応させて前記写真フィルムを送るフィルム制御機構と、 前記露光用開口部への露光制御に応じて写真焼き付け装置により焼き付けすべき露光されたコマを示す信号と、前記露光制御に応じて露光時のデータ情報とを前記写真フィルムへ記録するため前記露光用開口部に近接して設けられた信号記録装置とを有し、 前記信号記録装置により記録する写真フィルムカメラに設けられた入力装置によって選択的に入力された撮影者の情報を、前記透孔が設けられた写真フィルム縁部近傍位置と対向し、前記写真フィルム縁部近傍位置と同様の幅を有する無孔な他側写真フィルム縁部近傍位置に記録するため前記写真フィルム制御機構のフィルムガイド上に、前記信号記録装置を設けたことを特徴とする写真フィルムカメラ。」 2.引用刊行物 当審が平成15年3月19日付拒絶理由に引用した刊行物1(特開平2-64622号公報)には、次の事項が記載されている。 「第1図に示すように、フィルム(1)の幅は、現行のフィルム幅に等しい35mmとし、パーフォレーションは設けない。」(第3頁左上欄第13〜15行) 「駒(3)のフィルム幅方向における長さは30mmなので、駒(3)とフィルム(1)の両縁部との間には、それぞれ2.5mmの非撮影エリアを得ることができ、これにより、・・・データの・・・書き込みなどを実現できる。 さらに、カメラにフィルム給送用のスプロケットを設ける必要がないので、カメラを小型化及び軽量化できる。 第2図はフィルム(1)の送り量の検出用としてフィルム(1)に小孔(4)を設けた場合である。すなわち、フィルム(1)の一方の縁部から1.25mmの線上、すなわち、その縁部と駒(3)との中央の線上に、例えば、5.25mmのピッチで径が1mmの小孔(4)を設ける。 したがって、フィルム給送時、小孔(4)の数をカウントし、これが所定の数になったとき、フィルムの給送を停止すれば、フィルム(1)には正しいピッチで駒(3)が形成される。」(第3頁左下欄第14行〜同頁右下欄第11行) 「撮影時、パトローネ(5)が収納部(14)にセットされ、フィルム(1)は、そのパトローネ(5)から開口(19)を介して巻き上げ軸(16)に達する。そして、このとき、フィルム(1)は、フィルムガイド(18A)〜(18C)及び押さえローラ(10A)〜(10C)により巻き上げ軸(16)に圧接されるので、フィルム(1)は巻き上げ軸(16)が回転するとき、その巻き上げ軸(16)に巻き取られていくことになり、すなわち、フィルム(1)はパーフォレーションがなくても給送されることになる。 そして、このフィルム給送時、フィルム(1)の給送に対応してローラ(10A)〜(10C)及び磁石(31)が回転し、この磁石(31)の回転がセンサ(32)により検出され、この検出出力が第8図に示すようにカウンタ(33)によりカウントされ、そのカウント出力がシステムコントローラ(34)に供給される。 このシスコン(34)は、このカメラ全体の動作、例えば絞り値やシャッタ速度を設定するためのものであるが、フィルム(1)の所定の送り量ごとにガイド(18A)のローラ(10A)が1回転するので、カウンタ(33)のカウント出力によりフィルム(1)の送り量が検出され、これが駒(3)の大きさに対応したカウント値になるように、ドライブアンプ(35)を通じて巻き上げ軸(16)のドライブモータ(36)の回転量が制御される。 したがって、フィルム(1)は駒(3)のピッチで給送される。」(第4頁右下欄第6行〜第5頁左上欄第14行) 「カメラのボデー(11)には例えば開口(19)のフィルム下流側の位置において、フィルム(1)の両面から小孔(4)を挟むようにフォトインタラプタのLED(41)及びフォトトランジスタ(42)が設けられる。この場合、LED(41)の発光波長及びフォトトランジスタ(42)の感度ピークは、例えば940nmの赤外波長とされる。 したがって、フィルム(1)が給送されると、小孔(4)の通過にしたがってLED(41)からトランジスタ(42)に供給される赤外光がオンオフされるので、トランジスタ(42)からは小孔(4)の通過を示す検出パルスが得られる。したがって、この検出パルスを、第8図の検出回路のカウンタ(33)に供給することにより、上述と同様にしてフィルム(1)の送り量を制御できる。」(第5頁右上欄第13行〜同頁左下欄第7行) 前記記載事項と図面の記載からみて、刊行物1には、「パーフォレーションを無くしたフィルムの一方の縁部近傍に設けられた小孔を検出するためカメラの暗箱内に設けられた検出手段と、前記フィルムを自動セッティングする押さえローラと巻き上げ軸とを有し、前記検出手段により検出された信号でフィルムの移動量を制御し、前記暗箱の露光用開口部のフィルム送り方向の幅に対応させて前記フィルムを送るフィルム制御機構を設けたカメラ。」及び、「小孔が設けられたフィルム縁部近傍位置と対向し、前記フィルム縁部近傍位置と同様の幅を有する無孔な他側フィルム縁部近傍位置に書き込みできる」点、が記載されている。 同刊行物2(特開平3-95537号公報)には、次の事項が記載されている。 「カメラ及び写真プリンタ」(第1頁左欄、発明の名称) 「第1図に示すように、撮影情報入力部30は、スイッチ群31を備えている。スイッチ群31はカメラボディ(図示せず)の外部、例えば裏板側に配置されており、撮影前に、撮影情報を入力する場合に用いられる。スイッチ群31から直接入力する撮影情報としては、トリミングサイズ、トリミング位置、トリミング方式、撮影日、撮影コマNo.、撮影光情報、撮影者コード、カメラ種コード、プリント編集合成希望コード、撮影意図情報、プリント枚数、画像領域コード等がある。また、スイッチ群31でモードを指定し、AE機構やAF機構から得る撮影情報としては、露出情報、合焦情報等がある。これら各種の撮影情報から、撮影時に必要に応じて適数個が選択入力される。」(第3頁左下欄第10行〜同頁右下欄第3行) 「撮影情報入力部30は撮影情報をコード化して、バーコード信号発生回路32に入力する。バーコード信号発生回路32は、コード信号をバーコードのパターン信号に変換し、これをドライバ33に送る。ドライバ33はシャッタ機構12に連動してバーコード記録装置35を駆動し、撮影情報をフィルムの未露光部分にバーコードとして記録する。バーコード記録装置35は、バーコードを表示する液晶ディスプレイ36と、これの表示画像をシャッタ機構12の作動に同期して照明するランプ37と、ランプ37で照明されたディスプレイ画像を写真フィルム9に結像させるレンズ38とを備えている。」(第3頁右下欄第19行〜第4頁左上欄第11行) 「第4図に示すように写真フィルム80の中心位置に撮影コマ81記録してもよい。そして、撮影情報記録エリア82をコマ81の上下側・・・に設け、このエリア82に撮影情報バーコード83を記録する。」(第6頁右下欄第17行〜第7頁左上欄第1行) 前記記載事項と第1及び4図の記載からみて、刊行物2には、カメラが、シャッタ機構に連動してトリミングサイズ、トリミング位置、及びトリミング方式を示す信号と、シャッタ機構に連動して露出情報、及び合焦情報とを写真フィルムへ記録するため露光用開口部に近接して設けられたバーコード記録装置を有すること、及び、カメラに設けられた撮影情報入力部によって選択的に入力された撮影者コードを記録するバーコード記録装置を設けたこと、が記載されている。 同刊行物3(特開昭56-132321号公報)には、次の事項が記載されている。 「カメラ本体内部において、裏蓋のフィルム圧着板の対応位置に設けられているガイドレールに近接して発光ダイオード(以下LEDという)を配設し、このLEDを、シャッタの開閉動作と同期させて付勢し、前記LEDの発光作用によってシャッタ速度値、絞り値等の撮影データをフィルムの画角外に、しかもフィルム感光面に直接的に写し込めば」(第2頁左上欄第18行〜同頁右上欄第5行) 「カメラ本体内部に上下に夫々、二本のガイドレール28,30が突設されている。 そこで、本発明装置では、前記ガイドレール28,30の間隙部32に適数のLED素子24を配設し、これらのLED素子24を撮影データ写し込み回路に電気的に接続しておく。」(第2頁右下欄第9〜14行) 前記記載事項と第1及び2図の記載からみて、刊行物3には、ガイドレール上に発光ダイオード(LED)を設けたこと、が記載されている。 3.対比 刊行物1記載の発明における「パーフォレーション」、「フィルム」、「小孔」、「カメラ」、「押さえローラ」、「巻き上げ軸」、及び「書き込み」は、本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)における「スプロケット駆動用透孔」、「写真フィルム」、「透孔」、「写真フィルムカメラ」、「ガイドローラ」、「フィルムスプロール」、及び「記録」に、それぞれ相当するものであるので、本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、本願発明と刊行物1記載の発明は「スプロケット駆動用透孔を無くした写真フィルムの一方の縁部近傍に設けられた透孔を検出するため写真フィルムカメラの暗箱内に設けられた検出手段と、前記写真フィルムを自動セッティングするガイドローラとフィルムスプロールとを有し、前記検出手段により検出された信号で写真フィルムの移動量を制御し、前記暗箱の露光用開口部のフィルム送り方向の幅に対応させて前記写真フィルムを送るフィルム制御機構を設けた写真フィルムカメラ。」及び、「透孔が設けられた写真フィルム縁部近傍位置と対向し、前記写真フィルム縁部近傍位置と同様の幅を有する無孔な他側写真フィルム縁部近傍位置に記録する」点、で両者の構成は一致し、次の点で両者の構成は相違する。 相違点(A): 本願発明の写真フィルムカメラは、露光用開口部への露光制御に応じて写真焼き付け装置により焼き付けすべき露光されたコマを示す信号と、露光制御に応じて露光時のデータ情報とを写真フィルムへ記録するため露光用開口部に近接して設けられた信号記録装置を有するのに対して、刊行物1記載の写真フィルムカメラは、そのことについての記載が無い点。 相違点(B): 透孔が設けられた写真フィルム縁部近傍位置と対向し、前記写真フィルム縁部近傍位置と同様の幅を有する無孔な他側写真フィルム縁部近傍位置に記録するためのものが、本願発明は、写真フィルムカメラに設けられた入力装置によって選択的に入力された撮影者の情報を記録する信号記録装置であるのに対して、刊行物1記載の発明は、そのことについての記載が無い点。 相違点(C): 本願発明の写真フィルムカメラは、フィルムガイド上に信号記録装置を設けたのに対して、刊行物1記載の写真フィルムカメラは、そのことについての記載が無い点。 4.判断 相違点(A)について 刊行物2記載の発明における「カメラ」、「シャッタ機構に連動して」、「トリミングサイズ、トリミング位置、及びトリミング方式を示す信号」、「露出情報、及び合焦情報」、及び「バーコード記録装置」は、本願発明における「写真フィルムカメラ」、「露光用開口部への露光制御に応じて、あるいは、露光制御に応じて」、「写真焼き付け装置により焼き付けすべき露光されたコマを示す信号」、「露光時のデータ情報」、及び「信号記録装置」に、それぞれ相当するものであるので、刊行物2には、露光用開口部への露光制御に応じて写真焼き付け装置により焼き付けすべき露光されたコマを示す信号と、露光制御に応じて露光時のデータ情報とを写真フィルムへ記録するため露光用開口部に近接して設けられた信号記録装置を有することが記載されている。 そして、刊行物1記載の写真フィルムカメラに、刊行物2記載の前記構成を採用して、相違点(A)における本願発明のような構成にしたことに格別の困難性は認められない。 相違点(B)について 刊行物2記載の発明における「カメラ」、「撮影情報入力部」、「撮影者コード」、及び「バーコード記録装置」は、本願発明における「写真フィルムカメラ」、「入力装置」、「撮影者の情報」、及び「信号記録装置」に、それぞれ相当するものであるので、刊行物2には、写真フィルムカメラに設けられた入力装置によって選択的に入力された撮影者の情報を記録する信号記録装置が記載されている。 そして、刊行物1記載の透孔が設けられた写真フィルム縁部近傍位置と対向し、前記写真フィルム縁部近傍位置と同様の幅を有する無孔な他側写真フィルム縁部近傍位置に記録するために、刊行物2記載の前記構成を採用して、相違点(B)における本願発明のような構成にしたことに格別の困難性は認められない。 相違点(C)について 刊行物3記載の発明における「ガイドレール」、及び「発光ダイオード(LED)」は、本願発明における「フィルムガイド」、及び「信号記録装置」に、それぞれ相当するものであるので、フィルムガイド上に信号記録装置を設けたことは、刊行物3に記載されている。 刊行物1記載の写真フィルムカメラに、刊行物3記載の前記構成を採用して、相違点(C)における本願発明のような構成にしたことは、格別なものとは認められない。 そして、前記相違点(A)〜(C)における本願発明の構成による効果は、刊行物1〜3の記載から予測される範囲のものである。 5.むすび したがって、本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、本願出願前に国内で頒布された刊行物1〜3記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-10-03 |
結審通知日 | 2003-10-07 |
審決日 | 2003-10-20 |
出願番号 | 特願平4-60684 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G03B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柏崎 康司、越河 勉 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
柏崎 正男 青木 和夫 |
発明の名称 | 写真フィルムカメラ |
代理人 | 松隈 秀盛 |
代理人 | 磯山 弘信 |
代理人 | 角田 芳末 |
代理人 | 角田 芳末 |
代理人 | 磯山 弘信 |
代理人 | 松隈 秀盛 |