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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G06F 審判 全部申し立て 1項2号公然実施 G06F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06F 審判 全部申し立て 特29条の2 G06F |
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管理番号 | 1091491 |
異議申立番号 | 異議2002-73047 |
総通号数 | 51 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2002-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-12-12 |
確定日 | 2003-11-25 |
異議申立件数 | 4 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3317350号「トレーディングシステムおよびトレーディング処理方法」の請求項1ないし32に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3317350号の請求項1、2に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許出願 平成12年8月29日 特許権設定登録 平成14年6月14日 特許異議の申立て(特許異議申立人磯部康彦) 平成14年12月12日 特許異議の申立て(特許異議申立人久門保子) 平成15年2月21日 特許異議の申立て(特許異議申立人的場成夫) 平成15年2月21日 特許異議の申立て(特許異議申立人大木茂) 平成15年2月26日 取消理由通知 平成15年5月16日 意見書 平成15年7月14日 訂正請求書 平成15年7月14日 訂正拒絶理由通知 平成15年9月2日 手続補正書(訂正請求書) 平成15年10月14日 第2 訂正の適否 1 手続補正書(訂正請求書)について 平成15年10月14日付け手続補正は,平成15年7月14日付け訂正請求書によって訂正された訂正明細書の請求項1〜6,8〜13を削除するものである。 この補正によって,特許時の請求項1〜10,12〜27,29〜32が削除され,残った請求項11,28の番号が繰り上がり,請求項1,2となるところ,この請求項1,2は,訂正請求によって訂正された訂正明細書の請求項7,14のとおりである。 してみると,この補正は,訂正請求書の要旨を変更するものではないというべきである。 2 訂正の内容 上記のとおり,平成15年10月14日付け手続補正は,採用できるから,訂正請求による訂正は,特許時の請求項1〜10,12〜27,29〜32を削除し,残った請求項11,28の番号を繰り上げて訂正後の請求項1,2とし,その記載を次のとおりとするものである。 「【請求項1】 取引所において取り扱われ,かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を,通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて, 顧客より発注指示を受けた個々の注文に対応して設けられたレコードによって,注文の注文内容と注文状況とを管理するとともに,顧客より発注指示を受けた条件付複合注文については,それぞれのレコードが関連付けられている注文管理データベースと, 顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり,前記注文管理データベースにアクセスして,注文に関する処理を行うサーバーとを有し, 前記サーバーは, ある取引対象に関する新規注文と,当該取引対象と同一の取引対象に関する仕切注文とを有する条件付複合注文の発注指示を顧客側より受信した場合,新規注文が成立したならば仕切注文を発注する条件を設定した上で,新規注文に関するレコードと仕切注文に関するレコードとを関連付けて,前記注文管理データベースに追加し, 取引所に対する仕切注文の発注を保留して,新規注文に対して,条件付複合注文の受付時点において,当該注文を特定する注文番号を付与し,当該注文番号を新規注文のレコードに記述した上で,新規注文の発注処理を行い, 取引所に対して発注した新規注文が成立した場合,前記注文管理データベースにアクセスして,新規注文の成立処理を行うとともに,前記注文管理データベースにおいて新規注文と関連付けられている仕切注文に対して,新規注文の注文成立という処理結果に起因して,当該注文を特定する注文番号を付与し,当該注文番号を仕切注文のレコードに記述した上で,仕切注文の発注処理を自動的に行うことを特徴とするトレーディングシステム。 【請求項2】 取引所において取り扱われ,かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を,通信ネットワークを介して受け付けるトレーディング処理方法において, ある取引対象に関する新規注文と,当該取引対象と同一の取引対象に関する仕切注文とを有する条件付複合注文の発注指示を,コンピュータが,顧客側より通信ネットワークを介して受信する第1のステップと, 個々の注文に対応して設けられたレコードであって,注文内容と注文状況とが記述されたレコードの集合である注文管理データベースに,コンピュータが,新規注文が成立したならば仕切注文を発注するという条件を設定した上で,新規注文に関するレコードと仕切注文に関するレコードとを関連付けて,前記注文管理データベースに追加する第2のステップと, コンピュータが,取引所に対する仕切注文の発注を保留して,新規注文に対して,条件付複合注文の受付時点において,当該注文を特定する注文番号を付与し,当該注文番号を新規注文のレコードに記述した上で,新規注文の発注処理を行う第3のステップと, 取引所に対して発注した新規注文の成立した場合,コンピュータが,新規注文の成立処理を行うとともに,前記注文管理データベースにおいて新規注文と関連付けられている仕切注文に対して,新規注文の注文成立という処理結果に起因して,当該注文を特定する注文番号を付与し,当該注文番号を仕切注文のレコードに記述した上で,仕切注文の発注処理を自動的に行う第4のステップと を有することを特徴とするトレーディング処理方法。」 3 訂正の目的の適否,新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とし,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 4 むすび 以上のとおりであるから,上記訂正は,特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので,当該訂正を認める。 第3 特許異議申立てについての判断 1 特許異議申立ての概要 1-1 特許異議申立人磯部康彦の申立て 特許異議申立人磯部康彦は,下記の甲第1〜4号証を提出し,請求項1〜32に係る発明の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。 (1) 甲第1号証:米国サンマイクロシステム社のホームページの2000年1月31日のニュース(URL http://industry.java.sun.com/javanews/stories/story2/0,1072,22421,00.html) (2) 甲第2号証:米国ウォールストリートシステムズ社のホームページの2000年5月18日のニュース(URL http://www.wallstreetsystems.com/news/limit-orders.htm) (3) 甲第3号証:米国サンマイクロシステム社製の「Deal Station 2000」の画面の一部の写し (4) 甲第4号証の1:日経マネーDIGITALのホームページ,外国為替教室:第16回「いろいろな注文方法(1)」(2002.4.18)(URL http://nk-money.topica.ne.jp/kawase/kawase16.html) (5) 甲第4号証の2:日経マネーDIGITALのホームページ,外国為替教室:第17回「いろいろな注文方法(2)」(2002.5.9)(URL http://nk-money.topica.ne.jp/kawase/kawase17.html) 1-2 特許異議申立人久門保子の申立て 特許異議申立人久門保子は,下記の甲第1〜6号証を提出し,請求項1,3〜5,11,16,18〜21及び28に係る発明の特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり,また,請求項2及び17に係る発明の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。 (1) 甲第1号証:Internet-based futures and options broker introduces new order-entry features,JUNE 1999 TRADE NEWS News Releases&Products,[online],1999年6月,Technical Analysis,Inc.[平成15年2月5日検索],インターネット〈URL:http://www.traders.com/Documentation/FEEDbk_docs/Archive/0699/TradeNews/TradeNews.html> (2) 甲第2号証:"Books",[online],Technical Analysis,Inc.[平成15年2月5日検索],インターネット〈URL:http://store.traders.com/books.html〉 (3) 甲第3号証:"Technical Analysis, Inc.Info",[online],Technical Analysis,Inc.[平成15年2月5日検索],インターネット〈URL:http://store.traders.com/info.html〉 (4) 甲第4号証:「National Commodity Futures Examination SERIES3」Securities Training Corporation,August 21,1996.Lesson6 Page3 (5) 甲第5号証:”トレイダーズ証券,外国為替のオンライン取引サービス開始”[online],平成12年5月29日,株式会社インプレス[平成15年2月10日検索],インターネット〈http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2000/0529/traders.htm〉 (6) 甲第6号証:”株式会社 インプレス”[online],[retrieved on 21 January 2003],帝国データバンク企業情報/G-Search,[平成15年2月10日検索],インターネット〈https://db.g-search.or.jp/wdbs4/cgi-bin/RXCC/trs_gsh_gnav.cgi?TRS_ RTYPE=6098&kanrifile=hanshinfr00011579&PARAGV=1〉 1-3 特許異議申立人的場成夫の申立て 特許異議申立人的場成夫は,下記の甲第1〜12号証を提出し,請求項1〜4,11,16〜20及び28に係る発明の特許は,特許法第29条第1項第2号及び第3号の規定に違反してなされたものであり,また,請求項5及び21に係る発明の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり,また,請求項1〜3,16〜18に係る発明の特許は,特許法第29条第1項第3号の規定及び特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり,更に,請求項3〜5,11,18〜21及び28に記載された特許発明は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから取り消すべき旨主張している。 (1) 甲第1号証:”トレイダーズ証券,外国為替のオンライン取引サービス開始”[online],平成12年5月29日,株式会社インプレス[平成15年2月10日検索],インターネット〈http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2000/0529/traders.htm〉 (2) 甲第2号証:”株式会社 インプレス”[online],[retrieved on 21 January 2003],帝国データバンク企業情報/G-Search,[平成15年2月9日検索],インターネット〈https://db.g-search.or.jp/wdbs4/cgi-bin/RXCC/trs_gsh_gnav.cgi?TRS_RTYPE=6098&kanrifile=hanshinfr00011579&PARAGV=1〉 (3) 甲第3号証:”本と雑誌”[online],株式会社インプレス[平成15年2月8日検索],インターネット〈http://home.impress.co.jp/〉 (4) 甲第4号証:池澤秋樹著「これで儲ける!インターネット株式投資術」,日経ホーム出版社,1999年4月15日,97頁 (5) 甲第5号証:”ユーザ事例:トレイダーズ証券 外国為替のオンライン・トレード・サービスをクラスタ・システムで構築”,2000年8月8日,NIKKEI Linux 8月号第22頁 (6) 甲第6号証:「National Commodity Futures Examination SERIES3」Securities Training Corporation,August 21,1996.Lesson6 Page8 (7) 甲第7号証:”MG Financial Group Introduces Deal Station 2000 Offering First-Ever Forex Trader-To-Trader Dealing;System Provides Faster and Improved Order Execution;Constant Liquidity”,[online],Business Wire,January 31,2000.[retrieved on 21 January 2003],Retrived from:Lexis Nexis,USA.Lexis Nexis[http://www.nexis.com/research/home?_key=1044546690&_session=dbf160d4-39ea-11d7-9909-8a0c593eaa77.1.3221999490.196571.%20.0.0&_state=&wchp=dGLbVtb-ISItB&_md5=926354f6c81f57c41ff0ccb1fdda8dd4] (8) 甲第8号証:”いろいろな注文方法 4.イフダンオーダー”,[online],2002年4月18日,日経ホーム出版社[平成15年2月10日検索],インターネット〈http://nk-money.topica.ne.jp/kawase/kawase16.html〉 (9) 甲第9号証:山川悟著「やさしく学ぶ外貨投資外国為替ホームトレード入門」,株式会社主婦の友社,2002年9月1日,178頁 (10) 甲第10号証:特開2001-290943号公報 (11) 甲第11号証:河本一郎,大武泰南,神崎克郎編「証券取引ハンドブック」ダイヤモンド社,1990年1月11日発行,207頁 左段15行〜17行 (12) 甲第12号証:「証券外務員必携2」,日本証券業協会,(昭和40年11月20日初版発行),20頁 1-4 特許異議申立人大木茂の申立て 特許異議申立人大木茂は,下記の甲第1〜4号証を提出し,請求項1〜32に係る発明の特許は,特許法第29条第1項又は第2項の規定及び特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨主張している。 (1) 甲第1号証:米国特許第5787402号明細書 (2) 甲第2号証:INTERNET Watch「トレイダーズ証券,外国為替のオンライン取引サービスを開始」(2000/5/29)ページのプリント (3) 甲第3号証:特許第3002532号公報 (4) 甲第4号証:特表2002-543481号公報(出願日:平成12年2月16日) 2 本件発明 本件特許第3317350号の請求項1,2に係る発明は,訂正明細書及び図面の記載からみて,それぞれ,特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記第2の2訂正の内容参照。以下,請求項1,2に係る発明を,それぞれ,「本件発明1」,「本件発明2」という。) 3 引用例 上記取消理由通知に引用した引用例1,2は,下記のとおりである。 〔引用例1〕トレイダーズ証券,外国為替のオンライン取引サービスを開始 [online] 株式会社インプレス,平成12年5月29日,[平成15年2月10日検索],インターネット〈http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2000/0529/traders.htm〉 〔引用例2〕Internet-based futures and options broker introduces new order-entry features, JUNE 1999 TRADE NEWS News ReleasesProducts [online] Technical Analysis, Inc, 1999-6. [retrieved on 2003-02-05], Retrieved from internet:〈URL : http://www.traders.com/Documentation/FEEDbk_docs/Archive/0699/TradeNews/TradeNews.html〉 4 引用例発明 4-1 引用例1の開示事項 引用例1には,下記の事項が開示されている。 (1)「トレイダーズ証券が29日,外国為替のオンライン取引サービス「ネットフォレックス」を開始した。同証券では,電話による外国為替証拠金取引「マージンフォレックス」を展開しているが,今回このマージンフォレックスをインターネットでも24時間行なえるようにした。」 (2)「注文はさまざまな種類に対応。現在の価格で売買したい時の注文「マーケット・オーダー」のほか,指値注文では,狙った価格に下がったところで買いたい,もしくは上がったところで売りたいときに利用する「リミットオーダー」,これ以上相場が反対方向へ振れたときには損失を確定したい時に使用する「ストップロスオーダー」,現在評価益がでているものの最低レベルの利益だけは確保しておきたい時に使用する「プロフィットセーブオーダー」,優先順位付けをした2つの注文を同時に出し,第1順位の注文が成立したら自動的に第2順位の注文が有効になる「イフ・ダン・オーダー」,同順位の2つの注文を出し,片方の注文が成立したらもう片方の注文が無効になる「オー・シー・オー・オーダー」がある。」 (3)「取引画面は,無駄なものを一切省いたかなりシンプルなつくりだが,すべての取引,操作が1画面で可能となっており,注文や照会などに対する反応は極めて早く自動的に更新される。 また,同社のシステムは,オーダー処理にかかる負荷を分散させることにより,理論的には1日10,000件,売買高にして1,000億円の注文の同時処理ができるとしている。」 (4)「今後,外国為替だけでなく,独自開発した個人向けの通貨オプション(あらかじめ決めた金額で売るまたは買う権利)取引「オプションチケット」や「株価指数先物・オプション」などの取引も開始する予定。」 (5) 図示されたオンライン取引サービスの取引画面には,現在有効な注文の注文内容として,「期限」が記載されている。 4-2 引用例2の開示事項 引用例2には,下記の事項が開示されている。 (1)「新しい機能によると先物の取引を行う人は,主注文と2つまでの条件付き注文とをインターネットを介して同時に入力することができる。条件付き注文は,主注文が処理されるまでエクスプレストレードのシステムに待機させられる。主注文が成立すると,条件付き注文が呼び起こされてグローベックスシステム,取引所のフロアにいる仲介人が使っている電子デバイス,両替フロアの取引デスク,又はエクスプレストレードの取引センターに与えられる。条件付き注文は,具体的な指値,又は主注文の約定価格から特定の幅だけ上げ又は下げた値で入力することができる。」 (2)「この新しいツールにより,先物の取引を行う人は,第1の注文を入力して市場で新たなポジションを作ると同時に,利益を目的としたリミットオーダー,及びプロテクティブオーダーを入力することができ,エクスプレストレードのシステムは,これらの注文を指示された順序で処理する。これにより取引を行う人は,利益を得,又はロスを防ぐための追加注文を入れることを,主注文が満たされるまで待たなければならないということから解放される。」 4-3 引用例発明 (1) 上記引用例1に開示された事項を検討するに,引用例1の「オンライン取引サービス」を実現する手段は,顧客からの注文をインターネットを介して受け付ける「トレーディングシステム」であるということができる。 引用例1が対象とする「外国為替」は,取引所において取り扱われる金融商品とはいえないが,価格変動する取引対象であることに変わりはない。 引用例1の「イフ・ダン・オーダー」は,優先順位付けをした2つの注文を同時に出し,第1順位の注文が成立したら自動的に第2順位の注文が有効になる注文であるところ,第1順位の注文が有効である間は,第2順位の注文は有効でなく,第1順位の注文と第2順位の注文は,有効となる期間が異なるのであるから,この「イフ・ダン・オーダー」は,取引対象に関する第1順位の注文と,当該取引対象と同一の取引対象に関し,かつ,第1順位の注文とは注文の種類が異なる第2順位の注文とを有し,第1順位の注文及び第2順位の注文は,同一の取引対象に関する売買プロセスにおいて異なる売買ステージに属する注文である条件付複合注文であるということができる。 引用例1の「システム」は,顧客からの「イフ・ダン・オーダー」の注文を受け付け,処理するのであるから,個々の注文の注文内容と注文状況を管理し,第1順位の注文が成立した場合,第1順位の注文の成立処理を行うとともに,第1順位の注文と関連付けられている第2順位の注文に関する処理を,第1順位の注文と第2順位の注文との間における取り扱いに関する条件に従って自動的に行うものであることは明らかである。そして,「イフ・ダン・オーダー」では,第1順位の注文を有効な注文とする際には,第2順位の注文は,有効でない状態に留め置かれるのであるから,引用例1の「システム」は,第2順位の注文を保留して第1順位の注文の取引のための処理を行うものであることも明らかである。 (2) そうすると,引用例1には, 「価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を,インターネットを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて, 顧客より発注指示を受けた個々の注文に対応して,注文の注文内容と注文状況とを管理するとともに,顧客より発注指示を受けた条件付複合注文については,当該複合注文間の取り扱いに関する条件付で,管理するとともに, 顧客側との間でインターネットを介して情報伝達が可能であり,注文に関する処理を行うシステムを有し, 前記システムは, ある取引対象に関する第1順位の注文と,当該取引対象と同一の取引対象に関し,かつ,第1順位の注文とは注文の種類が異なる第2順位の注文とを有し,第1順位の注文及び第2順位の注文は,同一の取引対象に関する売買プロセスにおいて異なる売買ステージに属する注文である条件付複合注文の発注指示を顧客側より受信した場合,第1順位の注文と第2順位の注文との間における取り扱いに関する条件を設定した上で,第1順位の注文と第2順位の注文とを関連付けて,システムに追加し, 第2順位の注文を保留して第1順位の注文の処理を行い, 第1順位の注文が成立した場合,第1順位の注文の成立処理を行うとともに,第1順位の注文と関連付けられている第2順位の注文に関する処理を,第1順位の注文と第2順位の注文との間における取り扱いに関する条件に従って自動的に行うことを特徴とするトレーディングシステム。」 の発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認められる。 5 本件発明1について 5-1 対比 (1) 本件発明1と引用例発明を対比すると,引用例発明の「インターネット」は,本件発明1の「通信ネットワーク」に相当する。 そして,引用例発明の「システム」は,その具体的内容が明らかでないが(この点は,相違点として抽出する。),顧客からの注文を管理する手段,顧客との間で情報伝達が可能で,注文に関する処理を行う手段という上位概念で対比すると,本件発明の「注文管理データベース」と「サーバー」に相当する機能手段を有するものである。 また,本件発明1において,「新規注文」が先に発注処理され,「仕切注文」は,「新規注文」が成立した場合に発注処理されるから,引用例発明の「第1順位の注文」,「第2順位の注文」と本件発明1の「新規注文」,「仕切注文」は,それぞれ,「第1の注文」,「第2の注文」として共通す概念で表現することができる。 (2) そうすると,本件発明1と引用例発明とは, 「価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を,通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて, 顧客より発注指示を受けた個々の注文に対応して,注文の注文内容と注文状況とを管理するとともに,顧客より発注指示を受けた条件付複合注文については,それぞれが関連付けられている第1の手段と, 顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり,注文に関する処理を行う第2の手段とを有し, 前記第2の手段は, ある取引対象に関する第1の注文と,当該取引対象と同一の取引対象に関する第2の注文とを有する条件付複合注文の発注指示を顧客側より受信した場合,第1の注文が成立したならば第2の注文を発注する条件を設定した上で,第1の注文と第2の注文とを関連付けて,前記第1の手段に追加し, 第2の注文の発注を保留して,第1の注文の発注処理を行い, 発注した第1の注文が成立した場合,第1の注文の成立処理を行うとともに,第2の注文の発注処理を自動的に行うことを特徴とするトレーディングシステム。」 である点で一致し,下記の点で相違する。 〔相違点1〕本件発明1の「取引対象」は,取引所において取り扱われるのに対し,引用例1の取引対象は,「外国為替」であり,取引所において取り扱われるものではない点。 〔相違点2〕本件発明1の第1の手段は,「注文管理データベース」であり,個々の注文に対応して注文内容を記述するレコードが設けられ,条件付複合注文については,それぞれのレコードが関連付けられているのに対し,引用例発明の第1の手段である「システム」は,その具体的内容が明らかでない点。 〔相違点3〕本件発明1の第2の手段は,第1の手段にアクセスする「サーバー」であるのに対し,引用例発明の第2の手段は,第1の手段と同じ「システム」であり,第2の手段と第1の手段の関係が明らかでない点。 〔相違点4〕本件発明1の第1の注文,第2の注文は,それぞれ,「新規注文」,「仕切注文」であるのに対し,引用例発明の第1の注文,第2の注文は,そうでない点。 〔相違点5〕本件発明1において,顧客からの注文は,「取引所に対して発注される」のに対し,引用例発明では,そうでない点。 〔相違点6〕本件発明1の第2の手段は,条件付き複合注文を受信した場合,第1の注文に対して,条件付複合注文の受付時点において,当該注文を特定する注文番号を付与し,当該注文番号を第1の注文のレコードに記述し,第1の注文が成立した場合,前記第1の手段において第1の注文と関連付けられている第2の注文に対して,第1の注文の注文成立という処理結果に起因して,当該注文を特定する注文番号を付与し,当該注文番号を第2の注文のレコードに記述する処理を行うのに対し,引用例発明の第2の手段である「システム」は,そうでない点。 5-2 相違点についての判断 (1) 相違点1,5について 引用例2には,取引所において取り扱われる商品のインターネットをベースとする取引において,引用例1の「イフ・ダン・オーダー」と同じ複合注文を受け付けることが開示されている。 しかも,引用例1には,オンライン取引サービスが外国為替だけでなく,株式指数先物などの取引にも展開される旨開示されているから,引用例発明の取引対象を「取引所において取り扱われるもの」とすることは,当業者が容易に想到し得ることである。 そして,引用例発明の取引対象を「取引所において取り扱われるもの」とすれば,顧客からの注文は,「取引所に対して発注される」こととなることは明らかである。 (2) 相違点2について 引用例発明のトレーディングシステムを構成する「システム」がコンピュータシステムで構築されていることは自明の事項であり,入力される個々の注文データに対応してレコードを設けることは,コンピュータシステムにおいてごく普通に行われている処理手法であり,これらのレコードをデータベースとして管理・機能させることも周知の事項である。 してみると,引用例発明において,入力される個々の注文に対応して,注文内容を記述するレコードを設け,これらのレコードを管理するデータベースを「システム」に配置することは,当業者が容易に想到し得ることである。 そして,引用例発明においても,第1の注文と第2の注文には,取扱に関する条件が付されているので,第1の注文のレコードと第2の注文のレコードとを関連付けることは,当業者が当然に行うことである。 (3) 相違点3について 引用例発明の「システム」は,顧客がインターネットを介して入力する注文を受け付けるものであるから,「サーバー」として機能していることは,当業者が容易に理解することである。 そして,引用例発明の「システム」は,受け付けた注文を処理する際,「システム」に入力され,保持された注文データに基づいて処理を行うことは当然のことであるから,注文データがレコードとしてデータベースに保持されるのであれば,「システム」の「サーバー」として機能する部分がデータベースにアクセスして注文に関する処理を行うようにすることは,当業者が直ちに想到することである。 (4) 相違点4について 引用例2には,引用例1の「イフ・ダン・オーダー」と同じ複合注文により,先物の取引を行う人は,第1の注文を入力して市場で新たなポジションを作ると同時に,利益を目的としたリミットオーダー,及びプロテクティブオーダーを入力することができることが開示されている。 ここにおいて,第1の注文が新規注文であり,利益を目的としたリミットオーダー,及びプロテクティブオーダーが仕切注文であることは,当業者が容易に理解することができる。 してみると,引用例発明において,第1の注文及び第2の注文を,新規注文及び仕切注文とすることは,当業者が容易に想到し得ることである。 (5) 相違点6について 引用例1,2のいずれにも,相違点6に係る構成を示唆する開示はなく,異議申立人磯部康彦,同久門保子,同的場成夫,同大木茂が提出した各甲号証のいずれにも,相違点6に係る構成を示唆する開示は見出せない。なお,異議申立人的場成夫が提出した甲第10号証(特開2001-290943号公報)の【図2】には,「オーダーID」の記載が,異議申立人大木茂が提出した甲第1号証(米国特許第5787402号明細書)のFig.23には,「Order ID」の記載が認められるが,いずれも,相違点6に係る構成を示唆するものではない。また,この相違点6に係る構成が周知技術であるとも認められない。 そして,本件発明1は,上記相違点6に係る構成を具備することにより,平成15年7月14日付け意見書に記載されたとおりの作用効果を奏するものである。 5-3 むすび してみると,本件発明1は,引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。 6 本件発明2について 本件発明2は,本件発明1の「トレーディングシステム」の技術的事項を,方法の発明として記載した「トレーディング処理方法」と認められ,上記5で述べた理由と同じ理由で,引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。 7 特許異議申立て理由について 7-1 特許異議申立人磯部康彦の申立て理由について 本件発明1は,上記5で検討したとおり,相違点6に係る構成を具備することにより,進歩性が認められるから,本件発明1の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 本件発明2についても同様である。 7-2 特許異議申立人久門保子の申立て理由について 本件発明1は,上記5で検討したとおり,相違点6に係る構成を具備するものであるから,本件発明1の特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものではない。 また,本件発明1は,上記5で検討したとおり,相違点6に係る構成を具備することにより,進歩性が認められるから,本件発明1の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 本件発明2についても同様である。 7-3 特許異議申立人的場成夫の申立て理由について 本件発明1は,上記5で検討したとおり,相違点6に係る構成を具備するものであるから,本件発明1の特許は,特許法第29条第1項第2号及び第3号の規定に違反してなされたものではない。 また,本件発明1は,上記5で検討したとおり,相違点6に係る構成を具備することにより,進歩性が認められるから,本件発明1の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 更に,本件発明1の「仕切注文」は,本件特許公報にその定義が記載されており,発明が不明確となるものではないから,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。 本件発明2についても同様である。 7-4 特許異議申立人大木茂の申立て理由について 本件発明1は,上記5で検討したとおり,相違点6に係る構成を具備するものであるから,本件発明1の特許は,特許法第29条第1項の規定及び特許法第29条の2の規定に違反してなされたものではない。 また,本件発明1は,上記5で検討したとおり,相違点6に係る構成を具備することにより,進歩性が認められるから,本件発明1の特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 本件発明2についても同様である。 8 むすび 以上のとおりであるから,請求項1及び2に係る発明の特許は,特許異議申立ての理由及び証拠によっては取り消すことはできない。 また,他に請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 トレーディングシステムおよびトレーディング処理方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて、 顧客より発注指示を受けた個々の注文に対応して設けられたレコードによって、注文の注文内容と注文状況とを管理するとともに、顧客より発注指示を受けた条件付複合注文については、それぞれのレコードが関連付けられている注文管理データベースと、 顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり、前記注文管理データベースにアクセスして、注文に関する処理を行うサーバーとを有し、 前記サーバーは、 ある取引対象に関する新規注文と、当該取引対象と同一の取引対象に関する仕切注文とを有する条件付複合注文の発注指示を顧客側より受信した場合、新規注文が成立したならば仕切注文を発注する条件を設定した上で、新規注文に関するレコードと仕切注文に関するレコードとを関連付けて、前記注文管理データベースに追加し、 取引所に対する仕切注文の発注を保留して、新規注文に対して、条件付複合注文の受付時点において、当該注文を特定する注文番号を付与し、当該注文番号を新規注文のレコードに記述した上で、新規注文の発注処理を行い、 取引所に対して発注した新規注文が成立した場合、前記注文管理データベースにアクセスして、新規注文の成立処理を行うとともに、前記注文管理データベースにおいて新規注文と関連付けられている仕切注文に対して、新規注文の注文成立という処理結果に起因して、当該注文を特定する注文番号を付与し、当該注文番号を仕切注文のレコードに記述した上で、仕切注文の発注処理を自動的に行うことを特徴とするトレーディングシステム。 【請求項2】 取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディング処理方法において、 ある取引対象に関する新規注文と、当該取引対象と同一の取引対象に関する仕切注文とを有する条件付複合注文の発注指示を、コンピュータが、顧客側より通信ネットワークを介して受信する第1のステップと、 個々の注文に対応して設けられたレコードであって、注文内容と注文状況とが記述されたレコードの集合である注文管理データベースに、コンピュータが、新規注文が成立したならば仕切注文を発注するという条件を設定した上で、新規注文に関するレコードと仕切注文に関するレコードとを関連付けて、前記注文管理データベースに追加する第2のステップと、 コンピュータが、取引所に対する仕切注文の発注を保留して、新規注文に対して、条件付複合注文の受付時点において、当該注文を特定する注文番号を付与し、当該注文番号を新規注文のレコードに記述した上で、新規注文の発注処理を行う第3のステップと、 取引所に対して発注した新規注文の成立した場合、コンピュータが、新規注文の成立処理を行うとともに、前記注文管理データベースにおいて新規注文と関連付けられている仕切注文に対して、新規注文の注文成立という処理結果に起因して、当該注文を特定する注文番号を付与し、当該注文番号を仕切注文のレコードに記述した上で、仕切注文の発注処理を自動的に行う第4のステップと を有することを特徴とするトレーディング処理方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、価格変動する取引対象を取り扱うトレーディングシステムおよびトレーディング処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 インターネット等に代表される通信ネットワークの急速な普及に伴い、顧客(投資家)がインターネットやiモード等を利用して、商品先物取引や証券取引等における各種手続を行うホームトレードが実現されている。 【0003】 現在、本願出願人は、インターネットホームトレードシステムを顧客に対して提供している(http://www.fuji-ft.co.jpを参照)。このシステムは、商品先物取引(「板寄せ取引」が幅広く採用されている)に関するものであり、顧客は売買注文の指示をWebサイト上で行うことができる。そして、顧客からの注文を受けた受託者(商品取引員)は、これに基づいて商品取引所(市場)に対して注文を発注する。 【0004】 ここで、上記の「板寄せ取引」とは、図28に示すように、一日のうち決められた回数(例えば4〜6回)だけ集中してセリが行われる日本独自の取引形態である。一日を午前(前場)と午後(後場)とに分類し、所定の時間毎に立会(順次「1節」、「2節」、「3節」と呼ぶ)を行う。そして、各「場節」で集団で一斉に立ち会い、全体の売数量と買数量とが一致するまでセリ値を上下させる。これらの数量がマッチした時点における価格(約定価格)ですべての取引が成立するため、板寄せ取引は「単一約定値段」方式の取引仕法である。この板寄せ取引は、国内の商品先物取引でのみ用いられ、東京工業品取引所以外の取引所銘柄や東京工業品取引所のゴム等で幅広く採用されている。 【0005】 また、現在、日本オンライン証券株式会社により、「カブナビ」と呼ばれる証券取引発注システム(http://www.kabu.comを参照)も実現されている。このシステムは、証券取引(「ザラバ取引」)における「指値(さしね)注文」や「成行(なりゆき)注文」に様々な条件設定を付け加えることにより、一つの注文に関する内容を、状況に応じて適宜変化させることを可能にした注文システムである。また、証券取引の場合、証券取引所は「逆指値注文」という注文形態を受け付けない。しかしながら、顧客が注文を委託する際に条件設定を行うことで、「逆指値注文」的な注文も受託者側システムの取り扱い上は可能となる。なお、上記URLのホームページ情報によれば、日本オンライン証券株式会社は、この証券取引発注システムに関する特許出願を行っているとのことである。 【0006】 ここで、上記の「ザラバ取引」とは、図27に示すように、一日のうちの所定期間(例えば、AM9:00〜AM11:00、PM0:30〜PM3:30)の間に連続して売買が行われる取引形態である。個々の売り手と個々の買い手による個別相対の売り・買いを一定時間内で、価格優先・時間優先の原則で競い合わせ、売りと買いが合致したものについてその都度取引を成立させる。一定時間内で複数の価格が連続して形成されるため、ザラバ取引は「複数約定値段」方式の取引仕法である。ザラバ取引は、証券取引の他に、欧米諸国での商品先物・証券取引でも用いられ、国内の商品先物取引では、東京工業品取引所の貴金属・エネルギー銘柄で採用されている。なお先物取引に関する参考書籍としては、「入門先物市場」(発行所:東洋経済新報社、著者:宇佐美洋、発行日:2000年3月9日)がある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来のトレーディングシステムでは、同一の取引対象に関しては単一注文だけを入力(受託者サイドから見ると単一注文のみを受付)できる仕組みになっているため、注文の入力(受託者に対する注文発注の指示)に関して以下のような制限があった。 ・「新規注文」成立後でないと、それに関する「仕切注文」の入力ができない。 ・同一の取引対象に関する「仕切注文」は1種類しか入力できない。 【0008】 そのため、顧客は、同一の取引対象に関する複数の注文(注文セット)を、これらの取り扱いに関して条件を設定した上で指示することはできなかった。そのため、買付けから転売まで、或いは、売付けから買い戻しまでの売買プロセスにおいて、顧客は、自己が希望する注文の指示をその都度別個に行わなければならなかった。その結果、市場におけるその取引対象の価格や先に発注した注文の状況を常時モニタリングする必要が生じるため、顧客にとって大きな負担が生じていた。ここで、「取引対象」とは、商取引の対象となり得るものをいい、商品先物取引における「建玉(たてぎょく)」の他に、保有証券、ポジション等も含む概念である。また、「建玉」とは、商品取引所において取引が成立した売買契約のうち未決済のものをいい、特に、売契約のものを「売建玉」、買契約のものを「買建玉」という。 【0009】 本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、同一の取引対象に関する複数の注文の受け付けを、それらの取り扱いに関して条件を設定した上で可能とすることにより、顧客の負担を減らして顧客の利便性の向上を図ることである。 【0010】 【課題を解決するための手段】 かかる課題を解決するために、第1の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて、取引対象の売買に関する注文を管理する注文管理データベースと、顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり、注文管理データベースに基づいて、それぞれの注文の状況を管理するサーバーとを有する。ここで、サーバーは、顧客より受け付けた、同一の取引対象に関する第1の注文と、当該第1の注文とは注文の種類が異なる第2の注文とを関連付けた上で、注文管理データベースに、第1の注文に関するレコードと第2の注文に関するレコードとを追加する。また、サーバーは、発注された第1の注文が成立した場合、注文管理データベースを更新して第1の注文の成立処理を行うとともに、第2の注文の処理を自動的に行う。 【0011】 第1の発明において、第1の注文および第2の注文は、注文の取り扱いに関する条件が顧客によって予め設定されており、サーバーは、第2の注文に関する自動処理をこの条件に従って行うことが好ましい。 【0012】 また、第1の注文および第2の注文は、同一の取引対象に関する売買プロセスにおいて異なる売買ステージに属する注文であってもよく、第1の注文は新規注文であり、第2の注文は仕切注文であってもよい。この場合、サーバーは、新規注文と仕切注文とを顧客より受け付けた場合、新規注文を有効とした上で、新規注文の発注処理を行う。また、サーバーは、新規注文が成立した場合、新規注文の成立処理を行うとともに、仕切注文を有効とした上で、仕切注文の発注処理を行う。 【0013】 また、サーバーは、顧客が仕切注文として指値注文を指定している場合、新規注文の約定価格に対して、顧客が予め設定した価格を加算または減算することにより、指値注文の執行価格条件を算出することが好ましい。同様に、サーバーは、顧客が仕切注文として逆指値注文を指定している場合、新規注文の約定価格に対して、顧客が予め設定した価格を加算または減算することにより、逆指値注文の執行価格条件を算出することが好ましい。 【0014】 一方、第1の注文および第2の注文は、同一の取引対象に関する売買プロセスにおいて同一の売買ステージに属する注文であってもよく、第1の注文は指値注文であり、第2の注文は逆指値注文であってもよい。この場合、サーバーは、指値注文と逆指値注文との発注処理を同時に行う。それとともに、サーバーは、指値注文または逆指値注文のうちの一方が成立した場合、当該一方の注文の成立処理を行うとともに、他方の注文の取消処理を行う。 【0015】 また、サーバーは、顧客が仕切注文に関する有効期限のオプション設定を行った場合、当該有効期限の範囲内において、指値注文または逆指値注文が成立するまで、指値注文と逆指値注文との発注状態を継続することが好ましい。 【0016】 また、サーバーは、顧客が成行注文のオプション設定を行った場合、所定の期間までに指値注文および逆指値注文のいずれも成立しないならば、指値注文と逆指値注文とを取り消して、この取引対象に関する成行注文の発注処理を行うことが好ましい。 【0017】 第2の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて、取引対象の売買に関する注文を管理する注文管理データベースと、顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり、注文管理データベースに基づいて、それぞれの注文の状況を管理するサーバーとを有する。このサーバーは、顧客より一括して受け付けた、同一の取引対象に関する新規注文と仕切注文とを関連付けた上で、注文管理データベースに、新規注文に関するレコードと仕切注文に関するレコードとを追加する。また、サーバーは、発注された新規注文が成立した場合、注文管理データベースを更新して新規注文の成立処理を行うとともに、仕切注文の発注処理を自動的に行う。 【0018】 第3の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて、取引対象の売買に関する注文を管理する注文管理データベースと、顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり、注文管理データベースに基づいて、それぞれの注文の状況を管理するサーバーとを有する。このサーバーは、顧客より仕切注文として一括して受け付けた、同一の取引対象に関する指値注文と逆指値注文とを関連付けた上で、注文管理データベースに、指値注文に関するレコードと逆指値注文に関するレコードとを追加する。また、同時に発注された指値注文または逆指値注文のうちの一方の注文が成立した場合、注文管理データベースを更新して一方の注文の成立処理を行うとともに、他方の注文の取消処理を自動的に行う。 【0019】 第4の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて、取引対象の売買に関する注文を管理する注文管理データベースと、顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり、注文管理データベースに基づいて、それぞれの注文の状況を管理するサーバーとを有する。このサーバーは、顧客より仕切注文として一括して受け付けた、同一の取引対象に関する指値注文と逆指値注文とを関連付けた上で、注文管理データベースに、指値注文に関するレコードと逆指値注文に関するレコードとを追加する。また、サーバーは、同時に発注された指値注文または逆指値注文の一方が成立した場合、注文管理データベースを更新して一方の注文の成立処理を行うとともに、他方の注文の取消処理を自動的に行う。さらに、サーバーは、顧客により予め設定された期間内に、指値注文および逆指値注文のいずれも成立しなかった場合、注文管理データベースを更新して指値注文および逆指値注文の取消処理を行うとともに、顧客により予め設定されたその取引対象に関する成行注文の発注処理を自動的に行う。 【0020】 第5の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディングシステムにおいて、取引対象の売買に関する注文を管理する注文管理データベースと、顧客側との間で通信ネットワークを介して情報伝達が可能であり、注文管理データベースに基づいて、それぞれの注文の状況を管理するサーバーとを有する。このサーバーは、顧客より一括して受け付けた、同一の取引対象に関する、新規注文、仕切注文としての指値注文および仕切注文としての逆指値注文を関連付けた上で、注文管理データベースに、新規注文に関するレコードと、指値注文に関するレコードと、逆指値注文に関するレコードとを追加する。また、サーバーは、発注された新規注文が成立した場合、注文管理データベースを更新して新規注文の成立処理を行うとともに、指値注文と逆指値注文との発注処理を自動的に行う。 【0021】 なお、上述した第1から第5の発明を、板寄せ取引により取り引きされる取引対象に関するシステムに適用してもよい。 【0022】 一方、第6の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディング処理方法において、顧客側から通信ネットワークを介して伝達され、かつ、ある取引対象に関する第1の注文を受け付けるステップと、顧客側から通信ネットワークを介して伝達され、第1の注文と同一の取引対象に関し、かつ、第1の注文とは注文の種類が異なる第2の注文を、第1の注文と関連付けて受け付けるステップと、取引所に対して第1の注文を発注するステップと、発注された第1の注文に関する処理結果に基づいて、第2の注文に関する処理を自動的に行うステップとを有するトレーディング処理方法を提供する。 【0023】 ここで、上記第2の注文の処理を行うステップは、顧客によって予め設定された注文の取り扱いに関する条件に従って、第2の注文の処理を自動的に行うことが好ましい。 【0024】 また、第1の注文および第2の注文は、同一の取引対象に関する売買プロセスにおいて異なる売買ステージに属する注文であってもよく、第1の注文は新規注文であり、第2の注文は仕切注文であってもよい。ここで、新規注文が成立したならば、仕切注文が自動的に発注されることが好ましい。また、顧客が仕切注文として指値注文を指定している場合、新規注文の約定価格に対して、顧客が予め設定した価格を加算または減算することにより、指値注文の執行価格条件が算出されることが好ましい。さらに、顧客が仕切注文として逆指値注文を指定している場合、新規注文の約定価格に対して顧客が予め設定した価格を加算または減算することにより、逆指値注文の執行価格条件が算出されることが望ましい。 【0025】 一方、第1の注文および第2の注文は、同一の取引対象に関する売買プロセスにおいて同一の売買ステージに属する注文であってもよく、第1の注文は指値注文であり、第2の注文は逆指値注文であってもよい。ここで、指値注文または逆指値注文のうちの一方の注文が成立した場合、他方の注文の取り消しを自動的に行うことが好ましい。また、顧客が仕切注文に関する有効期限のオプション設定を行った場合、当該有効期限の範囲内において、指値注文または逆指値注文が成立するまで、指値注文と逆指値注文との注文状態を継続することが好ましい。さらに、顧客が成行注文のオプション設定を行った場合、所定の期間までに指値注文および逆指値注文のいずれも成立しないならば、指値注文と逆指値注文とを取り消して、その取引対象に関する成行注文を発注することが望ましい。 【0026】 第7の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディング処理方法において、顧客側から通信ネットワークを介して伝達された同一の取引対象に関する新規注文と仕切注文とを、関連付けた上で一括して受け付けるステップと、取引所に対して新規注文を発注するステップと、発注された新規注文が成立した場合、仕切注文の発注を自動的に行うステップとを有するトレーディング処理方法を提供する。 【0027】 第8の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディング処理方法において、顧客側から通信ネットワークを介して伝達された同一の取引対象に関する仕切注文としての指値注文と逆指値注文とを、関連付けた上で一括して受け付けるステップと、取引所に対して指値注文と逆指値注文とを同時に発注するステップと、発注された指値注文および逆指値注文の一方の注文が成立した場合、他方の注文の取り消しを自動的に行うステップとを有するトレーディング処理方法を提供する。 【0028】 第9の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディング処理方法において、仕切注文として顧客側から通信ネットワークを介して伝達された同一の取引対象に関する指値注文と逆指値注文とを、関連付けた上で一括して受け付けるステップと、取引所に対して指値注文と逆指値注文とを同時に発注するステップと、発注された指値注文および逆指値注文の一方の注文が成立した場合、他方の注文の取消を自動的に行うステップと、顧客により予め設定された期間内に、指値注文および逆指値注文のいずれも成立しなかった場合、指値注文および逆指値注文を取り消して、顧客により予め設定されたその取引対象に関する成行注文を自動的に発注するステップとを有するトレーディング処理方法を提供する。 【0029】 第10の発明は、取引所において取り扱われ、かつ価格変動する取引対象の売買に関する顧客からの注文を、通信ネットワークを介して受け付けるトレーディング処理方法において、顧客側から通信ネットワークを介して伝達され、かつ、同一の取引対象に関する、新規注文、仕切注文である指値注文、および仕切注文である逆指値注文とを、関連付けた上で一括して受け付けるステップと、取引所に対して新規注文を発注するステップと、発注された新規注文が成立した場合、指値注文および逆指値注文を同時かつ自動的に発注するステップとを有するトレーディング処理方法を提供する。 【0030】 上記第6から第10の発明は、板寄せ取引により取引される取引対象に適用することができる。 【0031】 【発明の実施の形態】 1.システム構成 図1は、本実施形態に係るトレーディングシステムの全体構成図である。このシステムは、通称「Venus」と呼ばれ、主に商品先物を取り扱うホームトレードである。ゴムやトウモロコシといった各種の商品先物は、法律(商品取引所法)に基づき設立された商品取引所1において売買される。この商品取引所1は商品先物の市場(マーケット)に相当し、現在、日本国内には東京工業品取引所を含めて7つ存在する。商品取引所1は、会員組織による非営利法人として構成されているため、取引の参加はその会員に限定されている。したがって、一般の顧客2が先物取引に参加する場合、受託業務資格を有する会員である商品取引員3に取引を委託する必要がある。なお、このような委託関係に鑑み、本明細書では、顧客2を適宜「委託者」と呼ぶとともに、商品取引員3を適宜「受託者」と呼ぶ。 【0032】 受託者3側のシステムは、サーバー31と記憶装置32とを主体に構成されており、商品取引所1側のシステムや顧客2側のシステム等を含む外部システムとの間で情報伝達可能なネットワーク環境が整備されている。記憶装置32には、後述するホームトレードを運営するのに必要な各種データベースが格納されているが、本発明との関係で重要なデータベースとしては、注文管理データベース33が挙げられる。受託者側システムは、委託者2から受けた商品取引に関する膨大な数の注文を注文管理データベース33によって一元的に管理している。注文管理データベース33については後述するが、基本的に、このデータベース33を構成する各レコード(以下、「注文レコード」という)は、個々の注文と一対一に対応している。顧客2からの注文指示、商品取引所1に対する注文の発注、注文の成立・不成立、或いは、注文の取消等が生じた場合、サーバー31はデータベース33に適宜アクセスし、注文レコードの追加・更新処理を行う。 【0033】 一方、顧客2は、自己の端末装置を操作して、通信ネットワークを介して、受託者3のホームトレードサイト(典型的にはWebサイト)にアクセスすることにより、受託者3に対して各種注文を入力(指示)する。また、顧客2は、通信ネットワークを介して、商品価格や注文の成否等に関する各種情報を入手することも可能である。ここで、通信ネットワークは、無線ネットワークおよび有線ネットワークの双方を含む意味で用いているが、現状ではインターネットやiモード等が最もポピュラーな通信媒体であろう。また、顧客2側の端末装置としては、そのような通信ネットワークに接続可能な装置であればどのようなものであってもよいが、典型的には、インターネットに接続可能なパーソナルコンピュータ21、iモード等を利用可能な携帯端末22が挙げられる。この他にも、通信ネットワークに接続可能な家庭用ゲーム機23等を用いてもよい。 【0034】 受託者3と商品取引所1との間は、安全性・信頼性の高い専用回線で結ばれており、商品取引所1に対する注文の発注や商品取引所1からの通知等は、この専用回線を介して行われる。 【0035】 2.商品先物取引の流れ(概要) 商品先物取引の一般的な流れについて説明する。まず、委託者2は受託者3に対して、委託証拠金を預託して、売りまたは買いの新規注文を指示する(ステップ(A))。具体的には、委託者2は、受託者3のホームトレードサイトにアクセスし、自己のパーソナルコンピュータ21の画像装置上に所定画面を表示させる。つぎに、委託者2本人の認証手続を行い、予め指定された手続に従って新規注文に関する必要事項を記入する。そして、記入事項の確認手続を経た上で、それらを注文情報として受託者側システムに送信する。 【0036】 この注文情報を受託者側システムが受信すると、サーバー31は、注文管理データベース33にこの新規注文に関する注文レコードを新規に追加する。そして、委託者2からの指示に従い、適宜の時期に売りまたは買いの新規注文を商品取引所1に対して発注する(ステップ(B))。この発注手続により、新規注文が市場(商品取引所1)において執行される。そして、新規注文が成立した場合には(ステップ(C))、新規注文に係る注文レコードの更新処理が行われるとともに、売買報告書によって委託者2に取引の成立が報告される(ステップ(D))。なお、売買報告書は、電子メールによっても送信され、成立内容が画面上更新される。 【0037】 その後、商品価格の変動に応じて、委託者2が「差金決済」により取引を終了させる場合、委託者2は受託者3に対して転売または買戻しの「仕切注文」を指示する(ステップ(E))。新規注文の場合と同様に、この指示も受託者3のホームトレードサイトにアクセスすることにより行われ、仕切注文に関する注文レコードが注文管理データベース33に新規に追加される。ここで、「差金決済」とは、当初の売買契約の価格と、その後の転売買戻しによる価格との差金の受け払いだけで決済を行い、現物およびその代金の授受を伴わない決済方法をいう。また、「仕切注文」とは、買建玉を転売し、または売建玉を買い戻すといった取引を終了させる注文をいう。 【0038】 そして、委託者2からの指示に従い、適宜の時期に売りまたは買いの仕切注文が発注される(ステップ(F))。仕切注文が成立した場合には(ステップ(G))、仕切注文に係る注文レコードの更新処理が行われるとともに、委託者2に対して売買報告書と売買計算書とが送付され、取引の成立が報告される(ステップ(H))。なお、ここでは売買報告書のみが電子メールによっても配信され、成立内容が画面上更新される。そして、転売買い戻しによる差金決済を行うことにより、一連の取引(売買プロセス)が終了する。安く買付けたものを高く売れば、或いは、高く売付けたものを安く買えば、その差額相当の利益が生じる。 【0039】 商品先物取引を一言でいうと、基本的には、将来の一定時期にものを受け渡しすることを約束して、その価格を現時点で決める取引である。その上で、約束の期日がくる前にいつでも反対の売買(買付けたものの転売または売付けたものの買戻し)をすることで、売りや買いの契約を相殺し、現物の授受を伴わず差額(正確には「差金」)だけの精算で取引を終了することができる取引である。このような差金決済方法を採っているため、手元に商品がなくても売契約ができ、また、買契約をした場合であっても差金決済をすれば商品を受け取らなくてもよい。すなわち、売付けまたは買付けのどちらからでも取引を開始することができる点が商品先物取引の大きな特徴である。この点が、買付けたものを転売するという取引形態に限定される、証券取引等における現物取引と大きく異なる。 【0040】 3.注文管理データベースの基本構造 図2は、注文管理データベース33の基本構造の説明図である。注文管理データベース33の概念を明確化するために、ここでは単一のデータベースで構成した例を示しているが、関連性を有する複数データベースの集合として注文管理データベース33を構成してもよい。注文管理データベース33は、個々の注文に対応する注文レコードの集合であり、注文毎に、注文内容、注文状況および他の注文とのリンク情報等が互いに関連付け記述されている。注文内容としては、「注文番号」、「銘柄コード」、「限月」、「執行条件」、「指値価格」、「売買区分」、「注文枚数」、「新規・仕切区分」、「仕切対象」、「有効年月日」、「有効注文期間」が挙げられる。なお、「注文番号」は、個々の注文毎に異なる番号が付与されており、この「注文番号」より注文が特定される。また、注文状況は、「成立状況コード」と「取消フラグ」とによって特定される。基本的には、「成立状況コード」および「取消フラグ」が共に「0」の場合、その注文が有効であることを示しており、注文が有効(発注または発注状態の継続を意味する)であることを示す。そして、その注文が成立した場合、注文成立であることを意味する「1」が「成立状況コード」にセットされる(処理結果=注文成立)。また、その注文を取り消す場合、「取消フラグ」に「1」がセットされる(処理結果=注文取消)。なお、「RNO(リレーション番号)」は、他の注文レコードとのリンク関係を示す情報である(詳細については後述する)。 【0041】 4.注文の種類 本トレーディングシステムの特徴の説明に先立ち、その導入事項として、商品先物で用いられる注文の種類について説明する。注文には、上述した「新規注文」と「仕切注文」という分類の仕方の他に、「成行注文」、「指値注文」および「逆指値注文」という別の分類の仕方もある。新規注文または仕切注文のどちらを行うにしても、必ず「成行注文」、「指値注文」または「逆指値注文」といった執行条件を指定しなければならない。ここで、「成行注文」とは、売買価格を指定しない注文をいい、「いくらの価格でもいいから買いたい、若しくは売りたい」といった状況、すなわち、値段に構わずとにかく売買の成立を優先させたい場合に利用される。ザラバ取引の場合、成行注文は指値注文よりも優先的に約定される(価格優先)。また、同じ成行注文であれば、先に出した注文が優先的に約定される(時間優先)。また、「指値注文」とは、指定価格、若しくはそれより有利な価格でのみ成立する注文をいい、「いくら以下なら買いたい、いくら以上なら売りたい」という条件が付された注文である。例えば、「東京金の2000年4月限を1,100円の指値で買い」という注文が成立する場合、必ず1,100円以下の約定価格で成立し、その取引価格が1,100円を上回っている間は成立しない。この注文を決済時に用いる場合は、主に利益確定の水準を設定する形になる。さらに、「逆指値注文」とは、指定価格、若しくはそれより不利な価格でのみ成立する注文をいい、「いくら以上なら買いたい、いくら以下なら売りたい」という条件が付された注文である。例えば、東京小豆を12,000円で買った顧客が、11,500円を割り込む価格がついたら小豆を損切りしようと考えた場合、11,490円の逆指値で売り注文を出しておけば、11,490円以下になった時点で注文が執行される。この注文を決済時に用いる場合は、主に損失確定の水準を設定する形になる。 【0042】 5.本トレーディングシステムの特徴 本トレーディングシステムでは、同一の取引対象に関して、委託者2からの複数の注文の入力(指示)を、”一括して(換言すれば、同時に)”受け付け可能な設計になっている。これにより、従来のトレーディングシステムと比べて、委託者2の利便性の著しい向上を図ることができる。この点を、以下の4つの注文受付システムを例に詳述する。 ・成立前提連続注文 ・ダブル仕切注文 ・成行設定付ダブル仕切注文 ・成立前提連続ダブル仕切注文 【0043】 5-1.成立前提連続注文 新規注文の入力(指示)時に、委託者2が「新規注文」およびそれに関する「仕切注文」を予め一括して入力することができる注文受付システムである。受託者3は、同時に受け付けたこれらの注文のうち、まず新規注文のみ商品取引所1に対して発注する。そして、新規注文が市場において成立した場合、成立通知を受けた受託者3はその注文に関する成立処理を行うと同時に、同一の取引対象(建玉)の仕切注文を、「執行価格条件」(すなわち、価格的な注文の執行条件に相当)を算出した上で、自動的に発注する。 【0044】 ここで、次のようなモデルケースを考える。 (モデルケース1) 新規の売買注文を発注してその新規注文が成立した場合、予想通りの値動きになったならば、すぐに利益確定の決済が行えるように、決済のための「指値注文」を発注したい。 【0045】 図3は、モデルケース1を従来のホームトレードで実現する場合における発注形態の説明図である。従来のホームトレードでは、新規注文が成立しない限り、仕切注文の受け付けを認めないという制限があった。これは、商品取引所1の仕組みとして、別個の注文を互いに関連付けた取り扱いを行っていないこと、換言すれば、注文は互いに独立して取り扱われることに起因する。また、従来のホームトレードが、「委託者2から指示された注文を商品取引所1に単に取り次ぐ」という程度の発想に過ぎなかったことも理由として挙げられよう。そのため、従来は、委託者2の利便性の向上を図るために、商品取引所1が対応していない注文形式を、受託者3側での自動処理により対応するという発想自体が生まれてこなかったという背景がある。 【0046】 委託者2は、まず、受託者3に対して新規注文の発注を指示し、発注された新規注文の成立を確認した後に、仕切注文の発注を指示するという3回のアクションが必要である。また、注文がいつ成立するかわからないため、委託者2は、市場価格の動きと発注した新規注文の状況とを常にチェックしなければならない。このことは、委託者2にとって大きな負担となる。 【0047】 なお、新規注文の成立後、予測に反した値動きとなったならば、すぐに損失確定の決済が行えるように、決済のための「逆指値注文」を発注したいというケースについても、モデルケース1と同様に複数回のアクションが生じるため、委託者2にとって大きな負担となる。 【0048】 これに対して、「成立前提連続注文」を利用すれば、委託者2の負担を生じさせることなく、モデルケース1のような発注形態を容易に実現することができる。図4は、「成立前提連続注文」を利用した発注形態の説明図である。まず、委託者2は、ホームトレードサイト上で新規注文を入力する際、新規注文と、その新規注文が成立した場合に有効としたい仕切注文(指値注文)とを一括して入力する。これを受けて新規注文が発注され、基本的に、新規注文が成立するまで発注状態が継続される。仕切注文は、先に発注された新規注文が成立するまで発注されない。発注した新規注文が成立すると、それと同一の取引対象に係る保留されていた仕切注文(指値注文)が有効となって「自動的に」発注される。ここで、「自動的に」とは、既に入力された仕切注文の発注指示に従い、新規注文の成立(という事実)を主因として仕切注文が発注されることである。条件設定されている場合を除いて、仕切注文が成立するまではその発注状態が継続される。そして、市場価格が条件に合致した時点で仕切注文が成立する。 【0049】 図4からわかるように、「成立前提連続注文」では、新規注文の入力時に、同一の取引対象に関する新規注文の入力と仕切注文の入力とを一括して行えるため、わずか1回のアクションでモデルケース1のような発注形態を実現することができる。また、新規注文が成立すれば仕切注文が自動的に有効となり、その発注状態が継続される。したがって、従来のホームトレードのように、委託者2が市場の値動きと新規注文の発注状況とを随時チェックする必要がない。そのため、委託者2の利便性を著しく向上させることができる。 【0050】 つぎに、「成立前提連続注文」におけるシステムの処理手順について説明する。図5は、委託者2側のパーソナルコンピュータ21の表示装置に表示される「成立前提連続注文」時における表示画面の説明図である。委託者2は、自己のパーソナルコンピュータ21を操作して受託者3のホームトレードサイトにアクセスし、新規注文用の入力画面41を表示装置上に表示させる。委託者2は、この入力画面41において新規注文の内容に関する必要情報を順次入力し、すべての必要情報の入力が完了した後に、「続けて仕切注文入力へ」ボタン41aを押す。このアクションによって、新規注文の取引対象と同一物に関する仕切注文の入力画面42が表示される。委託者2は、この入力画面42において、仕切注文の内容に関する必要情報を順次入力する。ここで、新規注文入力時には、新規注文の成立価格(約定価格)は未定である。したがって、単純な指値注文しか発注できないとすると、利益を狙うための指値注文のはずが、市場価格の変動により損失を確定するための注文になってしまうおそれがある。そのため、新規注文の成立により発注される仕切注文(例えば売りの指値注文)の執行条件としては、「新規注文成立価格より何円プラスした価格以上」といった設定となる。委託者2は、すべての必要情報を入力した後に、「実行/送信」ボタン42aを押す。そして、このアクションによって表示された受付内容確認画面43で、新規注文の内容とそれに関する仕切注文の内容とを確認した後に、再度「送信/実行」ボタン43aを押す。これにより、同一の取引対象に関する新規注文と仕切注文とが同時に受託者側システムへ送信される。 【0051】 図6は、「成立前提連続注文」により発生する注文レコードの説明図である。委託者2側からの注文情報を受託者側システムが受信した場合、サーバー31は、受け付けた注文に関する注文レコードを注文管理データベース33に新規に追加する。「成立前提連続注文」では、新規注文と仕切注文とがセットになっており、かつ、同一物を取引対象としているため、これらの注文は互いに関連性を有する。したがって、新規注文レコードおよび仕切注文レコードは、それぞれ別個に生成されるが、これらは「RNO(リレーション番号)」によって関連付けられている。同図に示したように、「RNO=001」が付与された各注文レコードは互いにリンクしていることを示している。この「RNO」を設けた理由は、ある注文のステータスの変化(例えば、有効→成立)に応じて、他の注文のステータスも変化(例えば、有効→取消)し得るので、それに対応するためである。 【0052】 「成立前提連続注文」の受付時点において、新規注文は、必要情報のすべてが記述された完全な注文レコード(親A)として生成される(「注文番号=001」)。これに対して、この時点において、仕切注文は準備レコード(子A)として生成される。上述したように、仕切注文の執行条件は、「新規注文成立価格を基準として±何円」といった設定になっているので、新規注文の約定価格が確定しない限り仕切注文の指値価格を設定できない。また、新規注文が成立しない限り仕切注文は発注されないので、現時点で注文レコードを生成する必要もない。以上のような理由で、仕切注文に関する注文内容に関しては、「執行条件」(例えば、指値)と「指値価格」(例えば、+α円)以外をブランクとした準備レコード(子A)として生成される。子Aは「RNO=001」が付与されて、同一番号の「RNO」が付与されている親Aとの関連付けがなされている。 【0053】 図7および図8はそれぞれ、「成立前提連続注文」における注文レコードの状態推移図、各注文の経時的な推移図である。なお、図8において、「○」は注文レコードが有効であることを示しており、この注文レコードに係る注文が発注状態にあることを示している(後述する図14、図20、図26についても同様)。 【0054】 まず、親A(新規注文レコード)の生成直後の状態では、その「成立状況コード」および「取消フラグ」は共に0に設定されている(有効状態)。親Aが有効である限り、商品取引所1に対する新規注文の発注状態が継続される。 【0055】 例えば、図8に示した後場1節で新規注文が成立した場合、サーバー31は親Aの「成立状況コード」を「0」から「1」に変更する(処理結果=注文成立)。そして、注文成立という処理結果に起因して、「RNO=001」により親Aと関連付けられた子A(仕切注文の準備レコード)が親B(仕切注文の注文レコード)に変化する(図6参照)。これにより、親Bに「注文番号=002」が付与され、受託者側システム上において仕切注文は正式な注文として管理される。また、仕切注文に関してブランクだった注文内容は、基本的に、親Aデータに基づき特定される。なお、図6において「←」は親Aデータが引き継がれることを示している。親Bの「指値価格」は、新規注文の約定価格Z円に子Aの「指値価格=α円」を加算した価格となる(売りの仕切注文の場合)。なお、買い仕切注文の場合は、新規注文の約定価格Z円から子Aの「指値価格=α円」を減算した価格となる。親Bの「有効注文時間」は、親Bの生成時から親Aの「有効年月日」の最終時刻までとなる。この時点において、親Bの注文状況に関しては、「成立状況コード」および「取消フラグ」は共に「0」に設定される(有効状態)。 【0056】 また、親Bの「RNO」は子Aの「RNO=001」をそのまま引き継ぐので、親Aとの関連性が引き続き維持される。なお、親Bの「KEEPRNO(保持リレーション番号)」として、当初の「RNO=001」が保持される。これは、親Aと関連性を有することを意味し、親Bが当初から親ではなく、親Aの注文成立によって子から親へ変化したことの証である。以上の処理により、有効な注文は、親A(新規注文)から親B(仕切注文)に切り換わり、後場1節において仕切注文が自動的に発注される。そして、注文が成立した場合を除き、親Bの「有効注文時間」まで仕切注文の発注状態が継続される。 【0057】 以上の説明からわかるように、各注文レコードの状況(ステータス)を「成立状況コード」と「取消フラグ」によって管理するとともに、関連性を有する注文レコード同士を「RNO」によってリンクして取り扱う。したがって、一連の売買プロセス(買付けてから転売するまで、または、売付けてから買戻すまで)において異なる売買ステージ(買付け時と転売時、または、売付け時と買戻し時)に属する新規注文と仕切注文とを、受託者側システムにおいて一括して受け付けることができる。それとともに、前ステージの注文形態である新規注文の「処理結果」に応じて、後ステージの注文形態である仕切注文の発注処理を自動的に行うことが可能となる。ここで、「処理結果」とは、発注された注文の受託者側システムにおける最終的な処分をいい、注文の成立処理はもとより、商品取引所1に対して取消依頼を行う取消処理等も含まれる。 【0058】 5-2.ダブル仕切注文 同一の取引対象(建玉)に関して、委託者2が「指値注文」と「逆指値注文」とを予め一括して入力することができる注文受付システムである。受託者3は、商品取引所1に対して指値注文の発注と逆指値注文の発注とを同時に行い、一方の注文が成立した場合、他方の注文を自動的に取り消す。 【0059】 ここで、次のようなモデルケースを考える。 (モデルケース2) 同一の取引対象(建玉)に関して、今後の値動きを予想し、当初の予測通りの値動きをしそうであれば、利益確定の決済が行えるように、決済のための「指値注文」を発注したい。逆に、当初の予測に反した値動きをしそうであれば、損失確定の決済が行えるように、決済のための「逆指値注文」を発注したい。そして、決済されるまでこの発注を繰り返したい。 【0060】 図9は、モデルケース2を従来のホームトレードで実現する場合における発注形態の説明図である。従来のホームトレードは、商品取引所1が対応する注文形式のみを受け付けており、指値注文または逆指値注文のうちの一方の仕切注文が成立したら、他方の仕切注文の取消依頼を商品取引所1に対して行うといった追加アクションが必要となる注文形式を受け付けていなかった。すなわち、仕切注文の入力は一種類のみしか選択できなかった。そのため、委託者2は、まず、現在の取引対象(建玉)の今後の値動きを予測して、指値注文または逆指値注文のいずれかの仕切注文を入力するというアクションを行う。その後、予測に反した値動きになった場合、委託者2は現在の仕切注文の取り消しを指示し、今後の値動きを再度予測した上で、仕切注文を再発注するという追加アクションの繰り返しを決済がなされるまで毎日行う必要がある。市場状況の変化に応じて、先の仕切注文の取消指示と新たな仕切注文の発注指示とをその都度繰り返すことは、委託者2にとって大きな負担となる。 【0061】 これに対して、「ダブル仕切注文」を利用すれば、委託者2の負担を生じさせることなく、モデルケース2のような発注形態を容易に実現することができる。図10は、「ダブル仕切注文」を利用した発注形態の説明図である。まず、委託者2は、同一の取引対象に関する2種類の仕切注文(指値注文および逆指値注文)と、これらの注文の有効期限(最長1ヶ月=月末まで)とを一括入力する。これを受けて、受託者3は、指値注文と逆指値注文とを同時に商品取引所1に対して発注する。これらの仕切注文は、有効期限の範囲内において注文が成立するまで継続される。その後、市場価格が条件に合致して、一方の仕切注文が成立した場合、他方の仕切注文は自動的に取り消される(商品取引所1に対して取消依頼を行う)。 【0062】 図10からわかるように、「ダブル仕切注文」では、注文の種類が異なる2つの仕切注文の入力と、この注文の有効期限の入力とを一括して行えるため、わずか1回のアクションでモデルケース2のような発注形態を実現することができる。そのため、従来のホームトレードにおける不都合を解消し、委託者2の利便性を著しく向上させることができる。 【0063】 つぎに、「ダブル仕切注文」におけるシステムの処理手順について説明する。図11は、委託者側のパーソナルコンピュータ21の表示装置に表示される「ダブル仕切注文」時における表示画面の説明図である。委託者2は、表示装置上に表示された入力画面44において、取引対象毎に仕切注文の内容に関する必要情報を順次入力する。「ダブル仕切注文」では、同一の取引対象(建玉)に関する指値注文と逆指値注文とが、商品取引所1に対して同時に発注される。したがって、委託者2は、指値・逆指値注文のそれぞれについて指値を設定する必要がある。委託者2は、有効期限等を含むすべての必要情報の入力が完了した後に、「実行/送信」ボタン44aを押す。そして、このアクションによって表示された受付内容確認画面45で、仕切注文の内容を確認した後に、再度「送信/実行」ボタン45aを押す。これにより、同一の取引対象に関する指値・逆指値注文が同時に受託者側システムへ送信される。 【0064】 図12は、「ダブル仕切注文」により発生する注文レコードの説明図である。「ダブル仕切注文」では、仕切注文として指値注文と逆指値注文とがセットになっており、かつ、取引対象が同一である。そのため、別個に生成された指値注文に関する注文レコードと逆指値注文に関する注文レコードとは、例えば「RNO=001」を付与することにより、互いに関連付けられている。上述した「成立前提連続注文」と異なり、「ダブル仕切注文」の場合は、注文の受付時点で2つの仕切注文の注文レコードが生成される(準備レコードは生成されない)。 【0065】 図13および図14はそれぞれ、「ダブル仕切注文」における注文レコードの状態推移図、各注文の経時的な推移図である。親A(指値注文レコード)と親B(逆指値注文レコード)とが生成された直後から、親Aおよび親Bは、「成立状況コード」、「取消フラグ」が共に「0」に設定される。したがって、特段の発注開始条件が設定されている場合を除き、親A,Bとも有効となり、それぞれの注文が同時に発注される。 【0066】 例えば、図14に示した後場1節で指値注文が成立した場合、サーバー31は親Aの「成立状況コード」を「0」から「1」に変更する(処理結果=注文成立)。それとともに、「RNO=001」により親Aと関連付けられた親Bの「取消フラグ」を「0」から「1」に切り換える。この取消処理に伴い、発注状態が継続していた逆指値注文が自動的に取り消される(商品取引所1に対して取消依頼を行う)。 【0067】 以上の説明からわかるように、「成立状況コード」、「取消フラグ」、「RNO」によって、各注文レコードの状況と注文レコード同士の関連性とを管理する。これにより、売買プロセスにおいて同一ステージ(転売時、買い戻し時)に属する指値注文と逆指値注文とを、受託者側システムにおいて一括して受け付けることができる。それとともに、指値注文または逆指値注文のうちの一方の処理結果に基づいて、他方の注文の取消処理を自動的に行うことが可能となる。 【0068】 5-3.成行設定付ダブル仕切注文 特定の時間以降に3種類目の「成行注文」を発注するというオプション設定を伴うダブル仕切注文である。受託者3は、特定の時間に到達した時点で、先に発注した指値注文と逆指値注文とを取り消し、その代わりに成行注文を自動的に発注する。 【0069】 ここで、次のようなモデルケースを考える。 (モデルケース3) 同一の取引対象(建玉)に関して、今後の値動きを予想し、当初の予測通りの値動きをしそうであれば、利益確定の決済が行えるように、決済のための「指値注文」を発注したい。逆に、当初の予測に反した値動きをしそうであれば、損失確定の決済が行えるように、決済のための「逆指値注文」を発注したい。そして、一定時刻までに「「指値注文」或いは「逆指値注文」の条件に達せず成立しない状況であれば、価格的な条件を付けない「成行注文」を発注することにより決済を優先させたい。 【0070】 図15は、モデルケース3を従来のホームトレードで実現する場合における発注形態の説明図である。上述したモデルケース2と同様、委託者2は、まず、現在の取引対象(建玉)の今後の値動きを予測して、指値注文または逆指値注文のいずれかの仕切注文を入力するというアクションを行う。その後、予測に反した値動きになった場合、委託者2は現在の仕切注文の取り消しを指示し、今後の値動きを再度予測した上で、仕切注文を再発注するという追加アクションを行う。そして、一定時間までに注文が成立しないようであれば、その時間になった時点で先の仕切注文(指値注文または逆指値注文)の取り消しを指示して、新たな仕切注文(成行注文)を指示するというアクションを行う必要がある。そのため、委託者2にとって大きな負担となる。 【0071】 これに対して、「成行設定付ダブル仕切注文」を利用すれば、委託者2の負担を生じさせることなく、モデルケース3のような発注形態を容易に実現することができる。図16は、「成行設定付ダブル仕切注文」を利用した発注形態の説明図である。まず、上述した「ダブル仕切注文」と同様に、委託者2は、同一の取引対象に関する2種類の仕切注文(指値注文および逆指値注文)等を一括入力する。それと同時に、どちらの仕切注文も成立しなかった場合に成行注文での仕切注文の発注を希望するならば、その時間(場・節)も指定する。これを受けて、指値注文と逆指値注文とが同時に商品取引所1に対して発注される。委託者2により指定された時間(場・節)までにいずれの注文も成立しなかった場合、双方の注文は自動的に取り消され、成行注文が発注される。指値注文および逆指値注文に代えて成行注文が発注されるため、市場において注文が成立する可能性が非常に高くなる。 【0072】 図16からわかるように、「成行設定付ダブル仕切注文」では、注文の種類が異なる2つの仕切注文の入力と、これらの注文を取り消して成行注文を有効にさせるタイマー設定とを一括して行えるため、わずか1回のアクションでモデルケース3のような発注形態を実現することができる。そのため、委託者2の利便性を著しく向上させることができる。 【0073】 つぎに、成行設定付ダブル仕切注文におけるシステムの処理手順について説明する。図17は、委託者側のパーソナルコンピュータ21の表示装置に表示される「成行設定付ダブル仕切注文」時における表示画面の説明図である。委託者2は、表示装置上に表示された入力画面46において、「ダブル仕切注文」の場合と同様に、取引対象毎に仕切注文の内容に関する必要情報を順次入力する。そして、「ダブル仕切注文」の場合と同様に、指値・逆指値毎の指値を設定する。そして、「成行注文設定を有効にする」のチェックボックス46bにチェックを入れる。このオプションは、指定された終了場節までに指値注文および逆指値注文のいずれもが成立しなかった場合、これらの注文を取り消し、その終了場節以降は成行注文を自動発注するものである。委託者2は、すべての必要情報の入力が完了した後に、「実行/送信」ボタン46aを押す。そして、このアクションによって表示された受付内容確認画面47で、仕切注文の内容を確認した後に、再度「送信/実行」ボタン47aを押す。これにより、同一の取引対象に関する指値・逆指値注文が成行設定のオプション付で同時に受託者側システムへ送信される。 【0074】 図18は、「成行設定付ダブル仕切注文」により発生する注文レコードの説明図である。「成行設定付ダブル仕切注文」は、指値注文と逆指値注文とに加えて成行注文を付加した、同一の取引対象に関する3種類の注文のセットである。したがって、別個に生成された指値注文、逆指値注文および成行注文に関する3つの注文レコードは、「RNO=001」の付与により互いに関連付けられている。 【0075】 図19および図20はそれぞれ、「成行設定付ダブル仕切注文」における注文レコードの状態推移図、各注文の経時的な推移図である。初期状態において、親A(指値注文レコード)、親B(逆指値注文レコード)および親C(成行注文レコード)のいずれも、「成立状況コード」、「取消フラグ」が共に「0」に設定されている。ただし、親Aおよび親Bの「有効注文時間」の終了時刻と親Cの「有効注文時間」の開始時刻とが同一に設定されている。したがって、最初は、親Aと親Bが有効となるが、「有効注文時間」の開始時刻に至っていない親Cは有効とはならない。その結果、指値注文および逆指値注文のみが同時に発注される。そして、例えば、親Aに係る指値注文が成立した場合、親Aの「成立状況コード」は「0」から「1」に変更されるとともに(処理結果=注文成立)、残りの親B,Cの「取消フラグ」は「0」から「1」に切り換わる(処理結果=注文取消)。これにより、指値注文の成立処理が行われるとともに、逆指値注文および成行注文の取消処理が自動的に行われる。 【0076】 一方、親Aおよび親Bの「有効注文時間」内にいずれの注文も成立しなかった場合、その「有効注文時間」の終了に伴い親A,Bの「取消フラグ」は「0」から「1」に切り換わる。それと同時に、親Cの「有効注文時間」の開始時刻に至ることで、成行注文が自動的に発注される。 【0077】 以上の説明からわかるように、「成立状況コード」、「取消フラグ」の他に、「有効注文時間」を適切に設定することで、各注文レコードの有効状態を設定・管理する。これにより、同一の取引対象に関して3種類の仕切注文(指値、逆指値、成行注文)がリンクした「成行注文設定付ダブル仕切注文」を受託者3側のシステム処理により実現することができる。 【0078】 5-4.成立前提連続ダブル仕切注文 新規注文の入力時に、委託者2が「新規注文」と、それに関する2種類の「仕切注文」(「指値注文」および「逆指値注文」)とを予め一括して入力することができる注文受付システムである。受託者3は、まず新規注文の発注を行い、新規注文が市場において成立した場合、その取引対象に関する2種類の仕切注文(「指値注文」および「逆指値注文」)を自動的に発注する。この注文受付システムは、上述した「成立前提連続注文」と「ダブル仕切注文」とを組み合わせたものに相当する。 【0079】 ここで、次のようなモデルケースを考える。 (モデルケース4) 新規の売買注文を発注してその新規注文が成立した場合、今後の値動きを予想し、当初の予測通りの値動きをしそうであれば、利益確定の決済が行えるように、決済のための「指値注文」を発注したい。逆に、当初の予測に反した値動きをしそうであれば、損失確定の決済が行えるように、決済のための「逆指値注文」を発注したい。 【0080】 図21は、モデルケース4を従来のホームトレードで実現する場合における発注形態の説明図である。この場合、委託者2は、新規注文の入力、新規注文の成立確認、今後の値動きの予測、そして仕切注文の入力という4つのアクションを行う必要がある。それとともに、市場での値動きが、仕切注文の入力時に行った予測に反した場合、仕切注文の取消の指示、今後の値動きの再予測、そして仕切注文の再入力という追加アクションが必要となる。そのため、委託者2は、市場の値動きを常にチェックしておかねばならず、大きな負担となる。 【0081】 これに対して、「成立前提連続ダブル仕切注文」を利用すれば、委託者2の負担を生じさせることなく、モデルケース4のような発注形態を容易に実現することができる。図22は、「成立前提連続ダブル仕切注文」を利用した発注形態の説明図である。まず、委託者2は、新規注文を入力する際、新規注文と、その新規注文が成立した場合に有効としたい2種類の仕切注文(指値注文および逆指値注文)とを一括して入力する。これを受けて、受託者3は、新規注文を発注する。2種類の仕切注文は、先に発注された新規注文が成立するまで発注されない。発注した新規注文が成立すると、それと同一の取引対象に係る保留されていた2種類の仕切注文(指値注文および逆指値注文)が有効となって自動的に発注される。その後、市場価格が条件に合致して、一方の仕切注文が成立した場合、他方の仕切注文は自動的に取り消される。図22からわかるように、「成立前提連続ダブル仕切注文」では、新規注文の入力時に、同一の取引対象に関する新規注文の入力と2種類の仕切注文の入力とを一括して行えるため、わずか1回のアクションでモデルケース4のような発注形態を実現することができる。また、新規注文が成立すれば、仕切注文が自動的に有効となるため、従来のホームトレードのように、市場の値動きと新規注文の成立状況とを随時チェックする必要がない。そのため、委託者2の利便性を著しく向上させることができる。 【0082】 つぎに、「成立前提連続ダブル仕切注文」におけるシステムの処理手順について説明する。図23は、委託者側のパーソナルコンピュータ21の表示装置に表示される「成立前提連続ダブル仕切注文」時における表示画面の説明図である。委託者2は、表示装置上に表示された入力画面48において、新規注文の内容に関する必要情報を順次入力し、すべての必要情報の入力が完了した後に、「続けてダブル仕切注文入力へ」ボタン48aを押す。このアクションによって、新規注文の取引対象と同一物に関するダブル仕切注文の入力画面49が表示される。委託者2は、この入力画面49において、指値・逆指値注文のそれぞれについて指値を設定する。ここで、新規注文入力時には、新規注文の成立価格(約定価格)は未定である。したがって、この新規注文の成立により発注される指値・逆指値注文の各執行条件としては、「新規注文成立価格より何円プラス(またはマイナス)した価格以上(または以下)」といった設定となる。委託者2は、すべての必要情報を入力した後に、「実行/送信」ボタン49aを押す。そして、このアクションによって表示された受付内容確認画面50で、新規注文の内容とそれに関する仕切注文(指値・逆指値注文)の内容とを確認した後に、再度「送信/実行」ボタン50aを押す。これにより、同一の取引対象に関する新規注文と仕切注文とが同時に受託者側システムへ送信される。 【0083】 図24は、「成立前提連続ダブル仕切注文」により発生する注文レコードの説明図である。「成立前提連続ダブル仕切注文」では、新規注文、仕切注文としての指値注文および逆指値注文の3つがセットになっており、それぞれの対応レコードである親A、子Aおよび子Bは、「RNO=001」によって関連付けられている。「成立前提連続注文」と同様に、この注文の受付時点において、新規注文は、必要情報のすべてが記述された完全な注文レコード(親A)として注文管理データベース33に追加される。これに対して、2つの仕切注文は準備レコード(子A、子B)として生成される。 【0084】 図25および図26はそれぞれ、「成立前提連続ダブル仕切注文」における注文レコードの状態推移図、各注文の経時的な推移図である。まず、親A(新規注文レコード)の生成直後の状態では、その「成立状況コード」および「取消フラグ」は共に0に設定されているため親Aのみが有効となる。親Aが有効である限り、商品取引所1に対する新規注文の発注状態が継続される。 【0085】 例えば、図26に示した前場3節で新規注文が成立した場合、サーバー31は親Aの「成立状況コード」を「0」から「1」に変更する(処理結果=注文成立)。この成立処理に伴い、「RNO=001」で親Aと関連付けられた子A,Bがそれぞれ親B,Cに変化する(図24参照)。これにより、受託側システム上において指値注文および逆指値注文は正式な注文として管理される。また、子A,Bでブランクだった注文内容は、基本的に、親Aデータに基づき特定される。親Bの「指値価格」は、新規注文の約定価格Z円に対して子Aの「α円」を加算(売りの仕切注文の場合)または減算(買いの仕切注文の場合)した価格(親Bの執行価格条件に相当)となる。これとは逆に、親Cの「指値価格」は、新規注文の約定価格Z円に対して子Aの「β円」を減算または加算した価格(親Cの執行価格条件に相当)となる。さらに、親B,Cの「有効注文時間」は、親B,Cの生成時を開始時刻とし、親Aの「有効年月日」の最終時刻までとなる。 【0086】 この時点において、親B,Cの注文状況に関しては、「成立状況コード」および「取消フラグ」は共に「0」に設定される(有効状態)。したがって、親Aに係る新規注文の成立(処理結果=注文成立)に起因して、親B,Cが有効になるため、指値注文および逆指値注文が自動的に発注される。 【0087】 なお、親B,Cには新たに「RNO=002」が付与される。したがって、これ以降は、親Aとの関係と離れて親B,C間で関連付けられた取り扱いがなされる。ただし、親B,Cの「KEEPRNO」には、当初の「RNO=001」が保持されているため、親B,Cが当初から親ではなく、親Aの注文成立よって子から親へ変化したことが情報として記憶される。 【0088】 その後、例えば、後場3節で指値注文が成立した場合、サーバー31は、親Bの「成立状況コード」を「0」から「1」に変更するとともに(処理結果=注文成立)、この処理結果に基づいて、親Cの「取消フラグ」を「0」から「1」に切り換える。これにより、指値注文の成立処理が行われるとともに、逆指値注文の取消処理が自動的に行われる。 【0089】 以上の説明からわかるように、新規注文が成立した場合、仕切注文に関する注文レコードとして親B,Cが新たに生成され、親B,Cが有効となるので、指値注文および逆指値注文が同時に発注される。親B,Cには「RNO=002」が新たに付与されるため、それ以降の親B,C間の取扱・管理に関しては、親Aと無関係に行うことができる。これにより、同一の取引対象に関して3種類の注文(新規注文、仕切注文(指値注文)、仕切注文(逆指値注文))がリンクした「成立前提連続ダブル仕切注文」を受託者3側のシステム処理により実現することができる。 【0090】 6.本トレーディングシステムのまとめ 図29は、本実施形態に係るトレーディングシステムの基本概念の説明図である。なお、この説明図は板寄せ取引を例に説明しているが、後述するように、本トレーディングシステムはザラバ取引等への応用も可能である。受託者側システムである会社側サーバーは顧客から、同一の取引対象に関する異なる種類の複数の注文A,B,Cを”一括”(換言すれば、”同時”)に受け付けることが可能である。これらの注文A,B,Cは、”条件付複合注文”、すなわち、個々の注文の「取り扱い」に関して予め「条件」が設定された、同一の取引対象に関する注文セットである。この注文セットは、例えば、新規注文と仕切注文のように、ある取引対象に関する売買プロセス(買付け〜転売または売付け〜買い戻し)において異なる売買ステージ(例えば、買付け時と転売時等)に属する注文形態であってもよく(「成立前提連続注文」)、指値注文と逆指値注文のように、同一の売買ステージ(例えば、転売時等)に属する注文形態であってもよい(「ダブル仕切注文」、「成行設定付ダブル仕切注文」)。また、これらを組み合わせた注文形態であってもよい(「成立前提連続ダブル仕切注文」)。 【0091】 また、注文の「取り扱い」に関する「条件」については、例えば、「成立前提連続注文」の場合、新規注文の成立を「条件」として、仕切注文を発注するという「取り扱い」がなされる。また、「ダブル仕切注文」の場合、一方の仕切注文が成立することを「条件」として、他方の仕切注文を取り消すという取り扱いがなされる。「成行設定付ダブル仕切注文」の場合、所定の期間内に指値注文および逆指値注文のいずれも成立しないことを「条件」として、成行注文を発注するという「取り扱い」がなされる。さらに、「成立前提連続ダブル仕切注文」の場合、新規注文の成立を「条件」として、2種類の指値注文を発注するという「取り扱い」がなされる。 【0092】 このような条件付複合注文を受け付けた会社側サーバ(受託者側システム)は、この注文セットのうちの少なくとも一つの注文A(指値注文および逆指値注文の場合は2つの注文A,B)を商品取引所に対して発注する。そして、注文Aの処理結果(注文の成立処理、取消処理、訂正処理等)に基づいて、残りの注文B,Cの取扱処理を会社側サーバー内で行い、予め設定された条件に合致する場合には新たな発注(または取消依頼、訂正、変更等)を商品取引所に対して行う。 【0093】 このような自動処理を会社側サーバー(受託者側)で行うことにより、商品取引所における注文の取り扱い上の仕組みに拘わらず、商品取引所が対応していない注文形式(条件付複合注文)を実質的に実現することができる。その結果、顧客は、一連の売買プロセスにおいて生じる複数の注文を、適切な条件を設定した上で受託者に対して一括して指示しておくことができるため、顧客の利便性を著しく向上させることができるという効果がある。 【0094】 なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、(1)価格変動する「モノ(取引対象)」が取引される取引所と、(2)顧客(典型的には投資家)とが存在するような取引対象に対して広く適用することができる。したがって、板寄せ取引される商品先物以外にも、ザラバ取引される商品先物について適用するは当然に可能である。また、証券取引、債券取引、金融先物取引、その他の金融デリバティブ等に適用することもできる(これらは個々に取引所が存在する)。なお、為替取引についても、取引所のような組織が創設されれば応用可能である。 【0095】 なお、取引対象によっては、上述した「逆指値注文」を取引所が受け付けないものがある。しかしながら、例えば、商品先物のザラバ取引では、東京工業品取引所が、逆指値注文とほぼ同じ内容の「IRO注文」の受け付けを行っているため、逆指値注文に代えてIRO注文を利用することにより、上述した実施形態と同様のシステムを実現することができる。その意味で、本発明との関係において、「逆指値注文」という用語を、それと同様の内容のIRO注文等を含む広い概念で用いている。 【0096】 【発明の効果】 このように、本発明によれば、委託者側からの同一の取引対象に関する条件付複合注文を受託者側で一括して受け付け、受託者側での自動処理によって取引所に適合した形態で注文の発注を行う。そして、注文の状況に応じてその他の注文の処理を適宜行い、予め設定された条件に合致する場合に新たな注文の発注、すでに発注された注文の取消・訂正等を取引所に対して行う。これにより、顧客は適切な条件を設定した上で、受託者に対して複数の注文を一括して指示しておくことができるため、顧客の利便性の著しい向上を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本実施形態に係るトレーディングシステムの全体構成図 【図2】注文管理データベースの基本構造の説明図 【図3】成立前提連続注文に関する従来の発注形態の説明図 【図4】成立前提連続注文の発注説明図 【図5】成立前提連続注文時における表示画面の説明図 【図6】成立前提連続注文で発生する注文レコードの説明図 【図7】成立前提連続注文における注文レコードの状態推移図 【図8】成立前提連続注文における各注文の経時的な推移図 【図9】ダブル仕切注文に関する従来の発注形態の説明図 【図10】ダブル仕切注文の発注説明図 【図11】ダブル仕切注文時における表示画面の説明図 【図12】ダブル仕切注文で発生する注文レコードの説明図 【図13】ダブル仕切注文における注文レコードの状態推移図 【図14】ダブル仕切注文における各注文の経時的な推移図 【図15】成行設定付ダブル仕切注文に関する従来の発注形態の説明図 【図16】成行設定付ダブル仕切注文の発注説明図 【図17】成行設定付ダブル仕切注文時における表示画面の説明図 【図18】成行設定付ダブル仕切注文で発生する注文レコードの説明図 【図19】成行設定付ダブル仕切注文における注文レコードの状態推移図 【図20】成行設定付ダブル仕切注文における各注文の経時的な推移図 【図21】成立前提連続ダブル仕切注文に関する従来の発注形態の説明図 【図22】成立前提連続ダブル仕切注文の発注説明図 【図23】成立前提連続ダブル仕切注文時における表示画面の説明図 【図24】成立前提連続ダブル仕切注文で発生する注文レコードの説明図 【図25】成立前提連続ダブル仕切注文における注文レコードの状態推移図 【図26】成立前提連続注ダブル仕切文における各注文の経時的な推移図 【図27】ザラバ取引の説明図 【図28】板寄せ取引の説明図 【図29】本実施形態に係るトレーディングシステムの基本概念の説明図 【符号の説明】 1 商品取引所、 2 顧客(委託者)、 3 商品取引員(受託者)、 21 パーソナルコンピュータ、 22 携帯端末、 23 ゲーム機、 31 サーバー、 32 記憶装置、 33 注文管理データベース |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-11-04 |
出願番号 | 特願2000-259987(P2000-259987) |
審決分類 |
P
1
651・
16-
YA
(G06F)
P 1 651・ 112- YA (G06F) P 1 651・ 113- YA (G06F) P 1 651・ 537- YA (G06F) P 1 651・ 121- YA (G06F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | ▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判長 |
小林 信雄 |
特許庁審判官 |
久保田 健 岡 千代子 |
登録日 | 2002-06-14 |
登録番号 | 特許第3317350号(P3317350) |
権利者 | フジフューチャーズ株式会社 |
発明の名称 | トレーディングシステムおよびトレーディング処理方法 |
代理人 | 久米川 正光 |
代理人 | 涌井 謙一 |
代理人 | 鈴木 正次 |
代理人 | 久米川 正光 |