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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1092958 |
審判番号 | 不服2001-4224 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-07-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-03-21 |
確定日 | 2004-03-10 |
事件の表示 | 平成10年特許願第364085号「ディスクケースの収納ホルダー」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 7月 4日出願公開、特開2000-185788]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成10年12月22日の出願であって、平成13年2月15日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月17日付で手続補正がなされたものである。 2.平成13年4月17日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成13年4月17日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「ファイルに綴じ部で綴じ込み可能で、ホルダー部と蓋部とを備えるブック型のディスクケースの収納ホルダーであって、前記ホルダー部は、緩衝部材から形成されるとともにディスクケースを保持する収納部を備えており、前記綴じ部は、前記収納ホルダーの左端側に縦寸法及び厚み寸法が前記ホルダー部の縦寸法及び厚み寸法と略同一に形成されるとともに、前記ホルダー部との間に隙間を有して略平行に形成されたことを特徴とするディスクケースの収納ホルダー。」 と補正された。 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ファイルに綴じ込み可能」について「綴じ部で綴じ込み可能」との限定を付加し、更に、その「綴じ部」について「前記綴じ部は、前記収納ホルダーの左端側に縦寸法及び厚み寸法が前記ホルダー部の縦寸法及び厚み寸法と略同一に形成されるとともに、前記ホルダー部との間に隙間を有して略平行に形成された」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成8年2月13日に頒布された特開平8-40485号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、次の事項が記載されている。 1) 「・・・本発明は、フロッピーディスクをファイル状に整理、整頓することができるフロッピーディスク用ホルダに関する。」(段落【0001】) 2) 「基台3は、これをバインダ2に複数枚綴ることができる程度の厚み及びたて、よこの寸法を有した板状体であって、その上面に複数のフロッピーディスク収納用凹部4を有している。・・・」(段落【0012】) 3) 「基台3は、・・・いずれも紙材からなる底板6と中間肉厚板7と上板8とを貼り合わせて構成される。・・・」(段落【0013】) 4) 「上板8の一側縁にミシン目状の切取り線または折曲げ線からなる折曲げ部17を介して耳片18を連続して設け、この耳片18にバインダ2の固定金具20から突出する結合紐21の挿入孔22を設けるとよい。・・・」(段落【0018】) 5) 図3は、フロッピーディスク用ホルダを構成する基台3の分解斜視図であって、図3には、耳片18が、基台3の左端側に、縦寸法が、基台3のディスク収納用凹部が構成される部分の縦寸法と略同一に形成されるとともに、基台3のディスク収納用凹部が構成される部分と略平行に形成されるという点が記載されている。 これらの記載事項によると、引用刊行物には、「バインダに耳片で綴じ込み可能で、ディスク収納用凹部が構成される部分を備えるディスク用ホルダーであって、前記ディスク収納用凹部が構成される部分は、ディスクを保持するディスク収納用凹部を備えており、前記耳片は、前記ディスク用ホルダーの左端側に縦寸法が前記ディスク収納用凹部が構成される部分の縦寸法と略同一に形成されるとともに、前記ディスク収納用凹部が構成される部分と略平行に形成されたディスク用ホルダー。」が記載されていると認められる。 (3)対比 本願補正発明と引用刊行物記載の発明とを対比すると、両者共、ディスクを収納する部材を、その左端側に設けた部分で別部材に綴じ込むものである点で共通しており、引用刊行物記載の発明における「バインダ」、「耳片」、「ディスク収納用凹部が構成される部分」、および「ディスク収納用凹部」は、それぞれ、本願補正発明の「ファイル」、「綴じ部」、「ホルダー部」、および「収納部」に相当するから、両者は、「ファイルに綴じ部で綴じ込み可能で、ホルダー部を備えるディスクの収納ホルダーであって、前記ホルダー部は、ディスクを保持する収納部を備えており、前記綴じ部は、前記収納ホルダーの左端側に縦寸法が前記ホルダー部の縦寸法と略同一に形成されるとともに、前記ホルダー部と略平行に形成されたディスクの収納ホルダー。」である点で一致し、次のとおりの四点で相違する。 相違点1:本願補正発明の「収納ホルダー」が、ディスクケースを収納するホルダーであるのに対し、引用刊行物記載の発明は、ディスクを収納するホルダーである点 相違点2:本願補正発明の「収納ホルダー」が、蓋部を備えたブック型の収納ホルダーであるのに対し、引用刊行物記載の発明は、蓋部を備えていない収納ホルダーである点 相違点3:本願補正発明では、ホルダー部は、緩衝部材から形成されるのに対し、引用刊行物記載の発明では、ホルダー部が緩衝部材から形成されるかどうかについて言及されていない点 相違点4:本願補正発明の綴じ部は、その厚み寸法が、ホルダー部の厚み寸法と略同一に形成されるとともに、ホルダー部との間に隙間を有して形成されているのに対し、引用刊行物記載の発明では、綴じ部の厚みが、ホルダー部の厚みと異なっており、綴じ部とホルダー部との間に隙間を有していない点 (4)判断 上記相違点1について検討すると、ホルダーにディスクをケースごと収納することは、例えば、実願昭62-154059号(実開平1-59676号)のマイクロフィルムに見られるように従来周知の技術的事項であり、引用刊行物に記載の発明において、ディスクケースを収納するように構成することに格別の困難性があるとは認められない。 次に、上記相違点2について検討すると、ホルダーに蓋部を設け、ブック型とすることは、例えば、特開平8-310581号公報や登録実用新案第3006974号公報に見られるように従来周知の技術的事項であり、引用刊行物に記載の発明も、ディスクを保管するものであることから、必要に応じて従来周知の技術を適用し、ホルダーに蓋部を設け、本願補正発明のように構成することに格別の発明があるとは認められない。 次に、上記相違点3について検討すると、ホルダー部を緩衝部材から形成することは、例えば、上記、特開平8-310581号公報にも見られるように従来周知の技術的事項であり、引用刊行物に記載の発明における基台のディスク収納用凹部が構成される部分、すなわちホルダー部を緩衝部材から形成するかどうかは、当業者が必要に応じて、適宜選択し得る事項であり、ホルダー部を緩衝部材から形成することに格別の困難性があるとは認められない。 更に、上記相違点4について検討すると、ディスク等を収納したホルダーをファイルに綴じ込む場合、必要な強度を得るために綴じ部に厚みを持たせ、また捲りやすくするために綴じ部とホルダー部との間を薄肉部とし、隙間を形成することは、例えば、実願昭54-40011号(実開昭55-141376号)のマイクロフィルムや実願昭50-29041号(実開昭51-111309号)のマイクロフィルムに見られるように、従来周知の技術的事項であり、引用刊行物に記載の発明における耳片18、すなわち綴じ部の厚み寸法をホルダー部の厚み寸法と略同一に形成し、ホルダー部との間に隙間を形成することに格別の発明があるとは認められない。 してみれば、本願補正発明は、引用刊行物に記載の発明に周知の技術手段を単に付加したにすぎないものであって、当業者であれば、容易に想到し得たものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成13年4月17日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成11年12月16日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「ファイルに綴じ込み可能で、ホルダー部と蓋部とからなるブック型のディスクケースの収納ホルダーであって、前記ホルダー部を、緩衝部材から形成するとともにディスクケースを保持する収納部を形成したことを特徴とするディスクケースの収納ホルダー。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、およびその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「ファイルに綴じ込み可能」についての限定事項である「綴じ部で綴じ込み可能」との構成を省き、更に、その「綴じ部」についての限定事項である「前記綴じ部は、前記収納ホルダーの左端側に縦寸法及び厚み寸法が前記ホルダー部の縦寸法及び厚み寸法と略同一に形成されるとともに、前記ホルダー部との間に隙間を有して略平行に形成された」との構成を省いたものである。 そうすると本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」の記載したとおり、引用刊行物記載の発明及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用刊行物記載の発明及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載の発明及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-12-17 |
結審通知日 | 2004-01-07 |
審決日 | 2004-01-22 |
出願番号 | 特願平10-364085 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65D)
P 1 8・ 575- Z (B65D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 溝渕 良一、生越 由美、石田 宏之 |
特許庁審判長 |
鈴木 公子 |
特許庁審判官 |
山崎 豊 奥 直也 |
発明の名称 | ディスクケースの収納ホルダー |
代理人 | 廣江 武典 |