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審決分類 審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 発明同一  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1093093
異議申立番号 異議2002-72165  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-05-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-09-04 
確定日 2003-12-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3262549号「パチンコ機」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3262549号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1・手続の経緯
特許第3262549号の発明についての特許出願は、平成3年12月27日に出願された特許出願(特願平3-358126号)の一部が、平成11年12月20日に、特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願として分割されたものであって、平成13年12月21日にその特許権の設定登録がなされ、その後、関由美より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年9月24日に訂正請求がなされたものである。
2・訂正の適否についての判断
(2-1)訂正の内容
ア・訂正事項a
特許請求の範囲を、
「【請求項1】遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、
上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアになっていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、これらの設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とし、
さらに、上記制御手段は、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをセットし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをクリアすることを特徴とするパチンコ機。」と訂正する。
イ・訂正事項b
発明の詳細な説明の段落【0002】において、
「可変表示を開始するための条件を創出する始動手段」及び「第2状態を維持するための条件を創出する継続手段」とあるのを、
それぞれ「可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段」及び「第2状態を維持するための条件を成立させる継続手段」と訂正する。
ウ・訂正事項c
発明の詳細な説明の段落【0004】を、
「【課題を解決するための手段】
本発明は、上記鑑みて提案されたもので、遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアになっていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、これらの設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とし、さらに、上記制御手段は、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをセットし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをクリアするものである。」と訂正する。
エ・訂正事項d
発明の詳細な説明の段落【0007】において、
「第2状態を維持するための条件を創出する継続手段」とあるのを、
「第2状態を維持するための条件を成立させる継続手段」と訂正する。
オ・訂正事項e
発明の詳細な説明の段落【0021】において、
「簡単に説明すと」とあるのを、
「簡単に説明すると」と訂正する。
カ・訂正事項f
発明の詳細な説明の段落【0093】を、
「【発明の効果】
以上要するに本発明は、遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアになっていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、これらの設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とし、さらに、上記制御手段は、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをセットし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをクリアするもので、単位時間当たりに見た大当たりとなる確率が向上することになる。従って、大当りを集中して発生させ、短時間で多大な利益を獲得する可能性が生じるといった、興趣に富んだパチンコ機を提供することができる。」と訂正する。
(2-2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項c及びfは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項b、d及びeは、誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
(2-3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3・特許異議の申立てについての判断
(3-1)本件発明
上記2・のとおり、訂正は認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、訂正された特許明細書に記載されたとおりのものである(上記(2-1)のア・参照)。
(3-2)取消理由で通知された理由について
(3-2-1)特許法第29条第2項の規定に違反するという理由について
(3-2-1-1)引用刊行物
刊行物1:特開平3-251278号公報(平成3年11月8日発行)
刊行物2:特開平2-277482号公報
刊行物3:マイクロコンピュータ用語辞典、第295,第296頁、昭和57年12月25日、日刊工業新聞社発行
刊行物4:特開平3-237989号公報(平成3年10月23日発行)
刊行物5:特開昭63-164979号公報
刊行物6:特開平3-37087号公報(平成3年2月18日発行)
刊行物7:特開平3-286789号公報(平成3年12月17日発行)
刊行物8:特開平2-104379号公報
刊行物9:実願昭61-101845号(実開昭63-8076号)のマイクロフィルム
(3-2-1-2)刊行物に記載された発明及び刊行物の記載
刊行物1には、
特に、第3頁右下欄第17行〜第4頁左上欄第7行、第4頁右上欄第15〜19行及び第5頁左上欄第3〜8行の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の表示を可変表示可能な可変表示装置4と、前記可変表示装置4の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての始動入賞検出器61,81と、前記可変表示装置4の可変表示を停止したときの表示の組み合わせに基づく特定条件の成立により外れと大当りとに変換可能な変動入賞装置5とを配設し、制御手段が上記始動入賞検出器61,81における入球の検出により上記可変表示装置4と変動入賞装置5とを制御するパチンコ機において、
上記制御手段は、上記始動入賞検出器61,81における入球の検出に基づき、可変表示装置4の表示の可変表示を開始するとともに可変表示装置4にリーチ状態が生じたときに変動時間短縮ボタン110を押圧操作可能とし、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは可変表示装置4がリーチ状態となって変動時間短縮ボタン110の押圧操作が可能となりその押圧操作があったならば可変表示装置4の表示の可変表示を停止し、この停止した可変表示装置4の表示の組み合わせが特定の態様以外であるならば変動入賞装置5を外れとし、上記停止した可変表示装置4の表示の組み合わせが特定の態様であるならば変動入賞装置5を大当りとするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
刊行物2には、
特に、第5頁左下欄第9行、第3頁右下欄第1〜4行及び第14頁左上欄第12〜15行の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な可変表示装置13と、前記可変表示装置13の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての始動入賞玉検出器49a〜49cと、前記可変表示装置13の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により特定遊技状態に変換可能な可変入賞球装置30とを配設し、制御回路が上記始動入賞玉検出器49a〜49cにおける入球の検出により上記可変表示装置13と可変入賞球装置30とを制御するパチンコ機において、
上記制御回路は、上記始動入賞玉検出器49a〜49cにおける入球の検出に基づき、可変表示装置13の図柄の可変表示時間をランダムに選定し、この選定とともに可変表示装置13の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記選定されたランダムな変動時間が経過したならば可変表示装置13の図柄の可変表示を停止し、この停止した可変表示装置13の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば可変入賞球装置30を特定遊技状態とするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
刊行物3には、
「フラグの種々の役割及び種々の機能」が記載されているものと認められる。
刊行物4には、
特に、第2頁右上欄第12〜18行、第4頁左下欄17行〜右下欄第7行、第3頁左下欄第20行〜右下欄第7行、第6頁第2図(a)及び第7頁第7図の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な図柄表示装置2と、前記図柄表示装置2の変動表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての入球検出センサ33と、前記図柄表示装置2の変動表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により所定秒数だけ開動作に変換可能な大当り役物3とを配設し、電子回路16が上記入球検出センサ33における入球の検出により上記図柄表示装置2と大当り役物3とを制御するパチンコ機において、
上記電子回路16は、上記入球検出センサ33における入球の検出に基づき、図柄表示装置2の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは図柄変動停止スイッチ19が押されたならば図柄表示装置2の図柄の変動表示を停止し、この停止した図柄表示装置2の表示図柄の組み合せ態様が所定の大当り表示であるならば大当り役物3を所定秒数だけ開動作とするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
刊行物5には、
特に、第1頁左下欄第5〜12行、第3頁左上欄第13,14行、第2頁左下欄第19行〜右下欄第1行及び第9頁第1図の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な可変表示部材22と、前記可変表示部材22の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての始動検出器31と、前記可変表示部材22の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第2状態と遊技者に有利な第1状態とに変換可能な可変入賞球装置41とを配設し、制御手段が上記始動検出器31における入球の検出により上記可変表示部材22と可変入賞球装置41とを制御するパチンコ機において、
上記制御手段は、上記始動検出器31における入球の検出に基づき、可変表示部材22の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは停止ボタン9が押されたならば可変表示部材22の図柄の可変表示を停止し、この停止した可変表示部材22の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば可変入賞球装置41を遊技者に不利な第2状態とし、上記停止した可変表示部材22の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば可変入賞球装置41を遊技者に有利な第1状態とするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
刊行物6には、
特に、第4頁左上欄第6行〜左下欄第3行及び第7頁第1図の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の数字を可変表示可能な第2可変表示器17と、前記第2可変表示器17の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての始動スイッチ20と、前記第2可変表示器17の可変表示を停止したときの表示数字の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により球を受け入れない第1状態と球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な変動入賞装置19とを配設し、制御装置60が上記始動スイッチ20における入球の検出により上記第2可変表示器17と変動入賞装置19とを制御するパチンコ機において、
上記制御装置60は、上記始動スイッチ20おける入球の検出に基づき、第2可変表示器17の数字の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは第1ストップスイッチ4が操作されたならば第2可変表示器17の数字の可変表示を停止し、この停止した第2可変表示器17の表示数字の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置19を球を受け入れない第1状態とし、上記停止した第2可変表示器17の表示数字の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置19を球を受け入れ易い第2状態とするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
刊行物7には、
特に、第3頁左下欄第15〜19行、第3頁右下欄第15〜19行、第1頁右下欄第19行〜第2頁左上欄第2行及び第19頁第1図の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な可変表示装置20と、前記可変表示装置20の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての始動入賞検出器6a,8aと、前記可変表示装置20の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に有利な状態に変換可能な変動入賞装置70とを配設し、役物制御装置が上記始動入賞検出器6a,8aにおける入球の検出により上記可変表示装置20と変動入賞装置70とを制御するパチンコ機において、
上記役物制御装置は、上記始動入賞検出器6a,8aにおける入球の検出に基づき、可変表示装置20の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたはストップスイッチが操作されたならば可変表示装置20の図柄の可変表示を停止し、この停止した可変表示装置20の表示図柄の組み合せ態様が特定の停止態様であるならば変動入賞装置70を遊技者に有利な状態とするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
刊行物8には、
特に、第4頁右上欄第9〜12行、第5頁右上欄第14〜16行、第5頁右下欄第11〜14行、第1頁左下欄第4〜7行及び第6頁左下欄第1〜17行の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な別遊技用可変表示装置7と、前記別遊技用可変表示装置7の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての特定入賞球センサ67と、前記別遊技用可変表示装置7の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置20とを配設し、電気回路部が上記特定入賞球センサ67における入球の検出により上記別遊技用可変表示装置7と変動入賞装置20とを制御するパチンコ機において、
上記電気回路部は、上記特定入賞球センサ67における入球の検出に基づき、別遊技用可変表示装置7の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過したならば別遊技用可変表示装置7の図柄の可変表示を停止し、この停止した別遊技用可変表示装置7の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置20を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した別遊技用可変表示装置7の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置20を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
刊行物9には、
特に、明細書第7頁第5〜18行及び明細書第10頁第2〜4行の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な可変表示装置20と、前記可変表示装置20の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての入賞玉検出スイッチ45〜47と、前記可変表示装置20の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により所定時間または所定個数の入賞玉があるまで開放に変換可能な可変入賞玉装置19とを配設し、制御回路基板80が上記入賞玉検出スイッチ45〜47における入球の検出により上記可変表示装置20と可変入賞玉装置19とを制御するパチンコ機において、
上記制御回路基板80は、上記入賞玉検出スイッチ45〜47における入球の検出に基づき、可変表示装置20の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは停止ボタン13が押されたならば可変表示装置20の図柄の可変表示を停止し、この停止した可変表示装置20の表示図柄の組み合せ態様が予め定める表示状態であるならば可変入賞玉装置19を所定時間または所定個数の入賞玉があるまで開放とするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
(3-2-1-3)対比・判断
本件請求項1に係る発明(前者)と刊行物1に記載された発明(後者)とを対比すると、
後者の
「表示」、「可変表示装置4」、「始動入賞検出器61,81」、「表示の組み合わせ」、「外れ」、「大当り」、「特定の態様以外」及び「特定の態様」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「図柄」、「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」、「表示図柄の組み合せ態様」、「遊技者に不利な第1状態」、「遊技者に有利な第2状態」、「外れ」及び「当り」
に相当するものと認められるから、
両者は、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、
上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」である、
点において一致し、
制御手段が、
前者は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアになっていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、さらに、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをセットし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをクリアする、
のに対し、
後者は、特別図柄表示装置にリーチ状態が生じたときに変動時間短縮ボタン110を押圧操作可能とし、所定時間が経過しまたは可変表示装置4がリーチ状態となって変動時間短縮ボタン110の押圧操作が可能となりその押圧操作があったならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止する、すなわち、人為的な操作があったならば変動時間を短縮する、
点において相違するものと認められる。
そこで、相違点における前者の制御手段の構成が、刊行物2、4〜9に記載された各発明および刊行物3の記載事項に備わっているか否かについて検討する。
先ず、刊行物2に記載された発明がその構成中に「始動入賞玉検出器49a〜49cにおける入球の検出に基づき、可変表示装置13の図柄の可変表示時間をランダムに選定」する点、すなわち、可変表示時間を人為的にではなく選定する点、を備えていることに着目してこれを検討するに、
刊行物2に記載された発明の
「可変表示装置13」、「始動入賞玉検出器49a〜49c」、「特定遊技状態」、「可変入賞球装置30」、「制御回路」、「可変表示時間」及び「選定」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」、「遊技者に有利な第2状態」、「変動入賞装置」、「制御手段」、「変動時間」及び「設定」
に相当するものと認められるから、
刊行物2に記載された発明には、
「制御手段は、検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の変動時間をランダムに設定し、この設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定されたランダムな変動時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」という構成が備わっているものと認められる。
そこでさらに検討するに、
ランダムな変動時間には、所定時間または所定時間よりも短い時間が含まれるものと認められるものの、まさにランダムなものであって、前者のように、変動時間短縮フラグがクリアになっていれば所定時間に設定され、また、変動時間短縮フラグがセットされていれば所定時間よりも短い時間に設定されるというようなものではなく、しかも、刊行物2に記載された発明には、そもそも変動時間短縮フラグなるものがないから、変動時間短縮フラグが特定の表示図柄の組み合せ態様であるならばセットされ、特定の表示図柄の組み合せ態様でなければクリアされるという上記相違点における前者の構成も備わっていないこと勿論である。そして、刊行物3の記載事項にもあるように、フラグの役割及び機能が種々あり、かつ、制御手段において、フラグを用いることがきわめて普通の技術的事項であるとしても、前者のようなフラグの具体的な用い方が公知でない以上、この点に創意工夫が認められてしかるべきであるから、刊行物2に記載された発明に上記相違点における前者の制御手段の構成が備わっているとも、また、刊行物2に記載された発明に基いて上記相違点における前者の制御手段の構成が容易に発明をすることができたものとも、いえない。
次に、刊行物3の記載事項をみるに、刊行物3には、上記したように、フラグの役割及び機能が種々記載されるのみで、上記相違点の前者の構成は記載されていない。
さらに刊行物4〜9に記載された各発明についてみるに、
刊行物4に記載された発明には、
刊行物4に記載された発明の
「図柄表示装置2」、「変動表示」、「入球検出センサ33」、「所定秒数だけ開動作」、「大当り役物3」、「電子回路16」及び「所定の大当り表示」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「特別図柄表示装置」、「可変表示」、「検出スイッチ」、「遊技者に有利な第2状態」、「変動入賞装置」、「制御手段」及び「当り」
に相当するものと認められるから、
「制御手段は、検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは図柄変動停止スイッチ19が押されたならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」という構成が備わっているものと認められ、
刊行物5に記載された発明には、
刊行物5に記載された発明の
「可変表示部材22」、「始動検出器31」、「第2状態」、「第1状態」及び「可変入賞球装置41」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」、「第1状態」、「第2状態」及び「変動入賞装置」
に相当するものと認められるから、
「制御手段は、検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは停止ボタン9が押されたならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」という構成が備わっているものと認められ、
刊行物6に記載された発明には、
刊行物6に記載された発明の
「数字」、「第2可変表示器17」、「始動スイッチ20」、「球を受け入れない」、「球を受け入れ易い」及び「制御装置60」
それぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「図柄」、「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」、「遊技者に不利な」、「遊技者に有利な」及び「制御手段」
に相当するものと認められるから、
「制御手段は、検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは第1ストップスイッチ4が操作されたならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」という構成が備わっているものと認められ、
刊行物7に記載された発明には、
刊行物7に記載された発明の
「可変表示装置20」、「始動入賞検出器6a,8a」、「遊技者に有利な状態」、「役物制御装置」及び「特定の停止態様」
それぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」、「遊技者に有利な第2状態」、「制御手段」及び「当り」
に相当するものと認められるから、
「制御手段は、検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたはストップスイッチが操作されたならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」という構成が備わっているものと認められ、
刊行物8に記載された発明には、
刊行物8に記載された発明の
「別遊技用可変表示装置7」、「特定入賞球センサ67」及び「電気回路部」
それぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」及び「制御手段」
に相当するものと認められるから、
「制御手段は、検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」という構成が備わっているものと認められ、
刊行物9に記載された発明には、
刊行物9に記載された発明の
「可変表示装置20」、「入賞玉検出スイッチ45〜47」、「所定時間または所定個数の入賞玉があるまで開放」、「可変入賞玉装置19」、「制御回路基板80」及び「予め定める表示状態」
それぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」、「遊技者に有利な第2状態」、「変動入賞装置」、「制御手段」及び「当り」
に相当するものと認められるから、
「制御手段は、検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から所定時間が経過しまたは停止ボタン13が押されたならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とするパチンコ機」という構成が備わっているものと認められるものの、
刊行物4〜7、9に記載された各発明は、要するに、遊技者がスイッチないしボタンを操作ないし押すことにより、人為的に、図柄の変動時間を短縮するものであり、刊行物8に記載された発明はそのような構成すら明らかでないものであるから、刊行物4〜9に記載された各発明には、制御手段が図柄の変動時間を人為的にではなく短縮する構成、すなわち、上記相違点における前者の制御手段の構成が備わっていない。
したがって、前者は、刊行物1,2,4〜9に記載された各発明及び刊行物3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。また、特許異議の申し立ての他の証拠を加えて検討しても、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3-2-2)特許法第29条の2の規定に違反するという理由について
(3-2-2-1)他の特許出願
特願平3-181953号(特開平5-3947号)
(3-2-2-2)他の特許出願に記載された発明
他の特許出願には、
特に、特開平5-3947号公報の第6頁第9欄第2〜7行、同公報同頁同欄第13〜15行、同公報第8頁第14欄第25〜27行、同公報同頁同欄第35〜38行及び同公報同頁同欄第46行〜第9頁第15欄第8行の記載からみて、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な可変表示部21と、前記可変表示部21の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての特定入賞検出SW1、SW2と、前記可変表示部21の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技球を入賞させ易い状態に変換可能な変動入賞装置50とを配設し、制御手段が上記特定入賞検出SW1、SW2における入球の検出により上記可変表示部21と変動入賞装置50とを制御するパチンコ機において、
上記制御手段は、上記特定入賞検出SW1、SW2における入球の検出に基づき、最初の特別遊技が終了してから再び大当りが発生するまでの、遊技者に有利な確率のもとでゲームを行う特別予備遊技状態中でなければ可変表示部21の図柄の作動時間を5秒以上に設定し、また、特別予備遊技状態中であれば可変表示部21の図柄の作動時間を1秒以上に設定し、これらの設定とともに可変表示部21の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された5秒以上または1秒以上が経過したならば可変表示部21の図柄の可変表示を停止し、この停止した可変表示部21の表示図柄の組み合せ態様が大当りであるならば変動入賞装置50を遊技球を入賞させ易い状態とし、
さらに、上記制御手段は、特別予備遊技状態中であれば可変表示部21の作動時間が1秒以上になるようにし、特別予備遊技状態中でなければ可変表示部21の作動時間が5秒以上になるようにするパチンコ機」を構成とする発明が記載されているものと認められる。
(3-2-2-3)対比・判断
本件請求項1に係る発明(前者)と他の特許出願に記載された発明(後者)とを対比すると、
後者の
「可変表示部21」、「特定入賞検出SW1、SW2」、「遊技球を入賞させ易い状態」、「作動時間」、「5秒以上」、「1秒以上」及び「大当り」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「特別図柄表示装置」、「検出スイッチ」、「遊技者に有利な第2状態」、「変動時間」、「所定時間」、「所定時間よりも短い時間」及び「当り」
に相当するものと認められるから、
両者は、
「遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に有利な第2状態に変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、
上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、これらの設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とパチンコ機」である、
点において一致し、
前者においては、変動時間を所定時間に設定するのが、変動時間短縮フラグがクリアになっているときであり、変動時間を所定時間よりも短い時間に設定するのが、変動時間短縮フラグがセットされているときであり、さらに、当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされ、当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアされる、
のに対し、
後者においては、変動時間を所定時間に設定するのが、最初の特別遊技が終了してから再び大当りが発生するまでの、遊技者に有利な確率のもとでゲームを行う特別予備遊技状態中でないときであり、変動時間を所定時間よりも短い時間に設定するのが、特別予備遊技状態中であるときであり、さらに、特別予備遊技状態中であれば特別図柄表示装置の変動時間が所定時間よりも短い時間になるようにされ、特別予備遊技状態中でなければ特別図柄表示装置の変動時間が所定時間になるようにされる、
点において相違するものと認められる。
そこで検討するに、
両者は、変動時間を、所定時間に設定したり、所定時間よりも短い時間に設定したりする点で、共通するところも認められるが、そのようにするための具体的手段が異なっており、そして、上記(3-2-1-3)の所に記したように、フラグの役割及び機能が種々あり、かつ、制御手段において、フラグを用いることがきわめて普通の技術的事項であるとしても、前者のようなフラグの具体的な用い方が公知でない以上、この点に創意工夫が認められてしかるべきであるから、両者が同一であるとは到底いえない。
(3-2-3)特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていないという理由について
上記訂正請求により、「創出」は「成立させる」に訂正されたから、特許法第36条第4項及び第5項に規定される要件は満たされたものと認められる。
(3-3)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
又、平成15年10月22日付けの異議申立人から提出された上申書をみても、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、
上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアになっていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、これらの設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とし、
さらに、上記制御手段は、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをセットし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをクリアすることを特徴とするパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特別図柄表示装置が表示する図柄の組み合せ態様に基づいて変動入賞装置が遊技者に不利な第1状態から遊技者に有利な第2状態に変換するパチンコ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技者が発射した打球が流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、該特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段と、上記特別図柄表示装置の図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置と、該変動入賞装置の第2状態を維持するための条件を成立させる継続手段とを少なくとも配設し、上記各装置を制御する制御手段を有するパチンコ機は、従来から種々提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種のパチンコ機は、デザイン上の差異は有るものの基本的には皆似たような構成であって遊技者に飽きられているのが現状であり、遊技者にとって興趣が上がるパチンコ機として大当りが連続するものが望まれている。例えば、特別図柄表示装置における特定状態が成立する確率、すなわち「大当り」が発生する確率を決定するための手段を複数用意し、これらを所定の契機で切換選択することにより、大当りの発生する確率を変化させるようにしたものがある。しかしこのようなパチンコ機は、確率を決定するための手段を複数備える構造上、プログラムの容量を増加させると共に複雑化を招来することになるため、開発する上で好ましいものとはいえない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記鑑みて提案されたもので、遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアになっていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、これらの設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とし、さらに、上記制御手段は、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをセットし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをクリアするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面の実施例について説明すると、図1は遊技盤1を含むパチンコ機2の正面図であって、遊技盤1に形成した遊技部のほぼ中央に、特別図柄表示装置3を構成する中央役物4と、普通電動役物5及び普通図柄表示装置6を一体に構成した表示器付電動チューリップ7と、大入賞口である変動入賞装置8を設けた大入賞口ユニット9をそれぞれ配設し、最下位置にはアウト口10が開設してあり、中央役物4の側方には普通図柄表示装置6の可変表示を開始するための表示開始手段として、打球の通過或は入球を検出する普通始動スイッチを有する始動口ゲート11が配設してある。なお、遊技部の適宜位置に各種の表示灯L…、風車12等を配設し、パチンコ機2の上縁部には外部表示灯13が設けてある。
【0006】
中央役物4は、取付基板4aの上方部分に鎧部4bを前面側に突出状に設けると共に天入賞口4cを設け、上記鎧部4bの下方には、特別図柄表示装置3が設けてある。この特別図柄表示装置3は、例えば、発光ダイオードや液晶等からなる図柄表示器具を横三連に配置してある。
【0007】
また、大入賞口ユニット9は、ベース板9aに横長な開口部9bを開設すると共に、この開口部9bを開閉可能に覆うゲート板9cを軸着し、駆動源として大入賞口ソレノイド(図示せず)を設けて構成した変動入賞装置8を有し、この変動入賞装置8の下方には、前飾り部9dを設けて大入賞口入賞個数表示灯14を設けてある。上記開口部9bの中央には特定領域を形成し、この特定領域に流入する球を検出する継続スイッチ15を設ける。この継続スイッチ15は、後述する遊技者に有利な第2状態を維持するための条件を成立させる継続手段を構成する。なお、図示していないがこの大入賞口ユニット9には、開口部9bに流入する球を全て検出可能なように開口部9bの下流側に10カウントスイッチが設けてある。
【0008】
上記変動入賞装置8は、通常の状態においてはゲート板9cが起立状態にあり、遊技部を流下する打球が開口部9bへ流入できない遊技者に不利な第1状態にあるが、後述する特定条件が成立すると、大入賞口ソレノイドの駆動によりゲート板9cが前方に傾動して、開口部9bを開放すると共に遊技部を流下する球を開口部9bへ入賞球として取り込む、遊技者に有利な第2状態に変換する。なお、以後、このような変動入賞装置8を単に大入賞口と称する。
【0009】
図2ないし図4は、普通電動役物5及び普通図柄表示装置6を構成する表示器付の電動チューリップ7を示す。この表示器付電動チューリップ7の概略は、遊技盤1に取り付けるための取付ベース20、諸部品を取り付けるためのハウジング21、開閉自在な羽根部材22を軸着した前飾り23、羽根部材22の駆動源である普通電動ソレノイド24、普通図柄表示具を構成する例えば7セグメント発光ダイオードからなる所謂デジタル表示器6aなどからなる。
【0010】
取付ベース20は、プラスチックで一体成型した部材であって、後述するハウジング21の前端部に係合可能であり、遊技盤1の表面に密接可能な平板部20aと、該平板部20aから後方へ延出する枠状部20bとからなる。上記平板部20aには、ハウジング21の前端部が嵌合する開口20cが設けてあり、枠状部20bは開口20cの側縁から後述する駆動機構を保護するように対向状に延設してある。なお、この開口20cの下方部分の縁部には後述するハウジング21のフランジ部21aが係止するストッパ20dが設けてある。また、上記枠状部20bには配線を通すための切欠溝20eが設けてある。
【0011】
ハウジング21は、プラスチックで一体成型した部材であって、後方が開放するソレノイド取付部21b、前端側が開放すると共に後向きに下り傾斜した球受底21cを有する球通路部21dと、検出スイッチ25を止着可能な溝状受片21eを有する検出器取付部21fとが、三層構造に形成してある。なお、21gは検出スイッチ25の前端が当接するストッパである。そして、組立時には上記球受底21cの下縁に検出スイッチ25の検出口25aが臨む。また、組立時には、このハウジング21の後端面にコネクタ基板26を取り付け、このコネクタ基板26に設けた球受け兼検出器押え27で球通路部21dの後方部分を塞ぐと共に、検出器取付部21fに挿入した検出スイッチ25を止着する。なお、上記コネクタ基板26は、諸部材から延びるリード線を中継して接続するコネクタ28…を配置したものであり、後面側からビスによりハウジング21に固定する。また、上記球受け兼検出器押え27は、コネクタ基板26に対して位置決めピン27aにより位置決めされている。
【0012】
前飾り23は、透光性を有するプラスチックで一体成型した部材であって、前面板23aの裏面側に羽根部材22の支軸29をインサート成型すると共に、側縁及び下縁から後向きの囲繞片23bを延設して表示器収納部23cが形成してある。また、この囲繞片23bの下縁には、先端に係止爪23dを形成した弾性変形可能な係止腕23eが延設してある。更に、前面板23aの裏面側には組立時に上記したハウジング21の球通路部21dへ球を誘導する球ガイド23fが一体成型してある。
【0013】
上記表示器収納部23cに取り付ける図柄表示器6aは、例えば所謂デジタル表示器であって、この実施例では二桁の図柄を表示可能なように表示基板に2個並設し、この表示基板6bを囲繞片23bに設けた取付ボス23gのビス孔に締着するビスで固定してある。
【0014】
また、上記した支軸29には羽根部材22を回動自在に軸着する。この羽根部材22には軸孔22aを開設すると共に、後向きに作動ピン22bが植設してある。そこで、この羽根部材22を前飾り23に回動自在に軸着するには、羽根部材22の軸孔22aに支軸29を挿通すると共に、羽根部材22から突出する支軸29の先端を、ハウジング21の前端部に設けた支持孔に挿通する。そして、前飾り23の係止腕23eをハウジング21の検出器取付部21fの下縁に設けた係止桟21hに係止させ、ハウジング21のフランジ部21aに後方から通したビスを前飾り23の囲繞片23bの取付孔23hにねじ込む。この状態では、羽根部材22の作動ピン22bがハウジング21のフランジ部21aの側縁に切欠状に開設したストッパ部30内に位置する。なお、羽根部材22の閉止位置が作動ピン22bとストッパ部30の上縁との当接により規制され、開放位置が羽根部材22の下縁と囲繞片23bの上縁のストッパ片23iとの当接により規制されて、羽根部材22の回動範囲が規制されている。
【0015】
ハウジング21のソレノイド取付部21bには、羽根部材22の駆動源として普通電動ソレノイド24を装着し、普通電動ソレノイド24と羽根部材22とを駆動機構により連絡する。普通電動ソレノイド24は、戻りスプリング24aの付勢によりプランジャ24bが後向きに突出するように、ソレノイド取付部21bにハウジング21の後方から挿入し、ハウジング21の側面から止着するビスで固定する。
【0016】
プランジャ24bの先端には、駆動機構の一部を構成するように可動板31を取り付け、ハウジング21の側面に軸着したクランクレバー32に連絡する。上記可動板31は側端部に縦方向の案内溝31aを有し、この案内溝31aに後述するクランクレバー32の連絡ピン32aを遊嵌する。なお、プランジャ24bの先端はD軸に形成され、可動板31の取付孔31bもこの先端形状に対応するようにD形に形成してある。
【0017】
クランクレバー32は、ほぼ直角に曲折して短杆部32bと長杆部32cとを有するほぼL字状の部材であって、ハウジング21の球通路部21dの後端部分を水平方向に貫通するように設けた支持軸33に、曲折部で揺動自在に軸着してある。そして、短杆部32bの先端には上記した連絡ピン32aが形成してあり、長杆部32cの先端にはほぼコ字状に開口して前端が開放する挿入溝32dが形成してある。なお、この挿入溝32dはクランクレバー32の厚さより若干幅広に形成した上下の顎部からなり、下顎部32eは上顎部32fよりも若干長い。また、クランクレバー32の内側には、ガイド凸部32gを設け、ハウジング21の側面との接触抵抗が少なくなるようになっている。
【0018】
次に、上記のような各部材からなる表示器付電動チューリップ7の組立方法を簡単に説明する。例えば、先ずハウジング21に普通電動ソレノイド24を取り付け、駆動機構を構成する可動板31をプランジャ24bの先端に固定すると共にクランクレバー32を軸着する。また、図柄表示器6aを取り付けた前飾り23に羽根部材22を軸着すると共に、羽根部材22の作動ピン22bをクランクレバー32の挿入溝32dに遊嵌した状態で、ハウジング21と前飾り23とをビスで固定する。なお、このとき、前飾り23に設けた係止腕23eの係止爪23dがハウジング21の下縁に設けた係止桟21hに係止する。
【0019】
また、特別図柄表示装置3の始動手段を構成する検出スイッチ25(特別始動スイッチ)を検出器取付部21fに挿入し、コネクタ基板26をハウジング21の後端面に取り付けて、検出スイッチ25を押え込む。そして、取付ベース20の開口20cに各部材を組み付けたハウジング21を通して、開口20cの上縁をハウジング21の前端部上縁に設けた係合段部21iに係合させると共に、開口20cの下縁に、前飾り23に設けた係止腕23eの係止爪23dをフランジ部21aの係止桟21hと重合状に係止させて、取付ベース20をハウジング21に対して止着する。なお、図示していないが、図柄表示器6aや検出スイッチ25の端子25bにハンダ付したリード線は、ハウジング21に設けた配線溝21jや開口部分に適宜通してあり、先端にはコネクタが設けてある。
【0020】
そして、前飾り23の前面に図柄表示器6aが表示する図柄が、遊技者から見えるように、窓部を残して装飾シール等を貼設して、羽根部材22の支軸29等の目隠しをするとよい。なお、組立順序は上記した説明に拘るものではなく、適宜に変更可能である。
【0021】
次に、上記のような構成の表示器付電動チューリップ7の動作を簡単に説明すると、駆動源である普通電動ソレノイド24が消磁した通常の状態では、プランジャ24bが戻りスプリング24aの付勢により後方へ突出しているので、屈曲部を軸着したクランクレバー32が上向きに回動した状態となり、先端の挿入溝32dに遊嵌した作動ピン22bにより連絡する羽根部材22が内向きに回動した状態となり、羽根部材22は閉止される。一方、普通電動ソレノイド24を励磁すると、プランジャ24bが吸引されるので、クランクレバー32が下向きに回動し、羽根部材22を外向きに回動させて打球を受け入れ易い状態に変換する。この状態のときに羽根部材22が受け止める打球は、球ガイド23fに案内されてハウジング21内の球通路部21dに流入し、球受底21cを転動して検出スイッチ25の検出口25aに落下し、検出スイッチ25に作用した後、排出される。なお、図示の実施例においては、普通電動ソレノイド24が消磁した状態では、打球が流入できないような構造となっているが、例えば羽根部材22の形状を変えたり、クランクレバー32の回動範囲を変更したりすることにより、消磁状態でも可能性は低いものの打球の流入が可能なように構成することもできる。
【0022】
一方、図柄表示器6aにおいては、制御装置が発する表示信号に基づいて適宜に図柄を可視表示する。なお、この表示図柄と上記した普通電動ソレノイド24の駆動を関連付けることも容易である。
【0023】
上記のようにして構成した表示器付電動チューリップ7によれば、普通電動役物5としての電動チューリップと、普通図柄表示装置6としての図柄表示器6aを、遊技盤1に別個に設ける必要がない。しかも、始動手段としての検出スイッチ25も内蔵しているので、球誘導路を設けて検出スイッチ25を臨ませる必要もない。従って、遊技盤1のレイアウトを簡潔にすることができ、盤面に植設する障害釘によって自由な球の流下路を形成することが可能となり、興趣に富んだパチンコ機2を提供できる。更に、この表示器付電動チューリップ7自身も、組立が容易で且つコンパクトに構成することができる。従って、取り扱いが簡単で、遊技盤1に対する組付も容易になり、組付時の誤差をなくすことができる。
【0024】
次に、上記のようなパチンコ機2におけるゲームを説明すると、遊技者が発射した打球が、天入賞口4cや大入賞口等へ入賞すると、所定数、例えば15個の賞球を払い出し、普通電動役物5に入賞すると例えば7個の賞球を払い出すように設定してある。
【0025】
打球が始動口ゲート11を通過して普通始動スイッチがオンすると、普通図柄表示装置6が図柄の変動表示を開始する。この普通図柄表示装置6の図柄は左右とも10種類ある。そして、後述する変動時間短縮フラグがセットされていない場合は約30秒以上、セットされている場合は、約1.3秒以上が経過すると、普通図柄表示装置6は普通図柄左、普通図柄右の順に変動表示を停止する。この結果、停止した図柄の組み合せ態様が「77」のように、所謂「ゾロ目」となったときは、始動手段を構成する普通電動役物5が約5秒間遊技者に有利な第2状態に変換する。すなわち、普通電動役物5の普通電動ソレノイド24を5秒間励磁して、羽根部材22を開放するのである。従って、この状態のときに普通電動役物5である表示器付電動チューリップ7に流入する球は入賞球となる。なお、普通図柄表示装置6の図柄変動や組み合せ態様の詳細は後述する。
【0026】
そして、始動手段を構成している上記普通電動役物5へ入球して特別始動スイッチである表示器付電動チューリップ7の検出スイッチ25がオンすると、特別図柄表示装置3が図柄の変動表示を開始する。特別図柄表示装置3の図柄は左中右とも、「0〜9」の数字及びアルファベットの「ACHLPU」の16種類ある。そして、後述する変動時間短縮フラグがセットされていない場合は約8秒、セットされている場合は約1.3秒以上経過すると、特別図柄表示装置3は特別図柄左、特別図柄右、特別図柄中の順に変動表示を停止する。この結果、停止した図柄の組み合せ態様が所定の態様のときは、変動入賞装置8(大入賞口)が29.5秒間遊技者に有利な第2状態に変換する。すなわち、大入賞口ソレノイドを29.5秒間励磁してゲート板9cを回動させて開口部9bに球を取り込むのである。そして、取り込んだ球が特定領域を通過して継続スイッチ15がオンすると、初回の開放を含めて最大16回迄、開口部9bの開放を繰り返す。なお、大入賞口の開放は、10カウントスイッチが10個の球を検出すると29.5秒経過以前であっても開放を停止する。
【0027】
上記特別始動口である普通電動役物5への入球は最大4個まで記憶可能であって、この記憶は例えば中央役物4に設ける特別始動記憶表示灯により可視表示され、記憶がある場合には、図柄の変動表示が停止した後、又は大入賞口の開放動作が終了した後、再び変動表示を開始する。
【0028】
上記のようなゲームを制御する制御手段は、図5のブロック図に示すように、MPUを中心とする電気的制御装置であって、MPUは入出力インターフェースと共に図6のブロック図に示すような系統の処理を行う。
【0029】
次に、制御手段の処理を図7ないし図17のフローチャートを参照して詳述する。なお、図7ないし図17に示す処理はMPUに4m秒毎に入力される割込信号により起動される割込処理で、この割込処理は起動から終了までの時間が4m秒を越えないようにしてある。
【0030】
図7ないし図17において、ステップ(以下Sと略す)1において電源がオンされたか否かを判定し、この場合は電源が投入されたので、S2へ進み、RAMの内容がクリアされ、その後、S89において乱数発生処理を、割込信号が入力されるまで繰り返す。割込信号が入力されるとS1において今回は既に電源はオンされているのでS3へ進み、スイッチの状態がチェックされる。そして、各スイッチに短絡や断線が発生していることが検出されると、エラーフラグがセットされる。次のS4では前述のS3や後述のS69においてエラーフラグがセットされているか否かを判定し、エラーフラグがセットされている場合には、S5へ進み、エラー処理が実行された後、S21へ進む。一方、エラーフラグがセットされていない場合はS6へ進み、特別始動入賞及び普通始動入賞の検出と特別始動入賞の記憶処理が実行される。
【0031】
上記S6について詳述すると、図11に示すように、まず、S6-1において特別始動スイッチがオンされたか否かを判定し、オンされた場合は、S6-2へ進んで、始動記憶に「1」を加算した後、S6-3で始動入賞フラグをセットする。オンされていない場合は、S6-4へ進む。次のS6-4では、普通始動スイッチがオンされたか否かを判定し、オンされていない場合はS6-13へ進む。一方、オンされている場合には、S6-5へ進み、「普通図柄回転モード」、「普通図柄停止モード」、「普通役モード」の何れかがセットされているか否かを判定し、何れかがセットされている場合には、S6-13へ進む。これにより、普通図柄が回転を開始してから(普通図柄回転モード)、普通図柄が停止して役判定が終了するまで(普通図柄停止モード)、但し、当りとなった場合、普通電動役物5の開放が終了するまで(普通役モード)、普通始動スイッチの検出は無効化され、普通図柄は回転を開始しないようになっている。
【0032】
一方、上記した何れのモードもセットされていない場合は、S6-6へ進み、変動時間短縮フラグがセットされているか否かを判定し、変動時間短縮フラグがセットされていない場合は、S6-7において普通図柄自動停止タイマに30秒がセットされる。一方、変動時間短縮フラグがセットされている場合は、S6-8に進んで普通図柄自動停止タイマに1.3秒がセットされる。そして、次のS6-9で普通図柄回転モードをセットし、S6-10では普通図柄停止フラグをクリアする。その後、S6-11へ進み、S89で作成されセットされている普通図柄当り決定用乱数の乱数値を格納する。そして、S6-12において、格納した普通図柄当り決定用乱数値に対応した普通図柄左右の停止位置をセットする。
【0033】
次のS6-13で始動記憶が「0」か否かを判定し、「0」の場合は元の処理へ戻る。一方、始動記憶が「0」でない場合は、S6-14へ進み、始動記憶が「6」以上か否かを判定する。「6」以上ではない場合は、S6-20へ進み、始動モードをセットして元の処理へ戻る。一方、始動記憶が「6」の場合は、S6-15へ進み、S6-3において始動入賞フラグが既にセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS6-18へ進む。一方、セットされていない場合はS6-16へ進み、特別図柄遊技に関するモードの何れかがセットされているか否かを判定し、何れもセットされていない場合はS6-17へ進んで始動記憶をクリアした後、元の処理へ戻る。一方、何れかのモードがセットされている場合には、S6-18へ進み、始動記憶に「5」をセットし、その後、S6-19において始動入賞フラグをクリアし、次のS6-20で始動モードをセットして元の処理へ戻る。
【0034】
S7では、特別図柄回転モードがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合はS15へ進む。一方、セットされている場合には、S8へ進み、特別図柄停止タイマ(後述のS43のモードでセットされる)を減算処理し、次のS9においてその特別図柄減算タイマが「0」になった(タイムアップした)か否かを判定し、「0」になっていなければS15へ進む。一方、「0」になっている場合には、S10へ進んで特別図柄停止モードをセットし、次のS11で特別図柄回転モードをクリアし、S12において特別図柄左停止タイマに0.5秒をセットし、S13ではS89で作成されセットされている特別図柄左乱数を格納し、次のS14においてその格納した特別図柄左乱数に対応した特別図柄左の停止する位置(図柄)をセットし、S15へ進む。
【0035】
S15においては、普通図柄回転モードがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合はS21へ進む。一方、普通図柄回転モードがセットされている場合には、S16へ進み、普通役モード又は普通図柄停止モードの何れかがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21へ進む。一方、セットされていない場合は、S17へ進み、前述のS6-7、S6-8においてセットされている普通図柄自動停止タイマの減算処理を行う。
【0036】
そして、次のS18では、上記普通図柄自動停止タイマが「0」になった(タイムアップした)か否かを判定し、「0」になっていない場合はS21に進む。一方、「0」になっている場合はS19へ進み、普通図柄停止モードをセットし、次のS20で普通図柄左停止タイマに0.5秒をセットする。
【0037】
S21では、組み合せ図柄のカウントアップ処理、図柄停止処理、停止図柄判定処理が実行される。詳述すると、まず、S21-1において、特別図柄左オフセットアドレスをロードし、次のS21-2で特別図柄左更新チェック数に「11」をロードし、S21-3で特別図柄左停止フラグをロードし、S21-Aへ進む。
【0038】
S21-Aの処理を詳述すると、まず、S21-A-1において、S21-2でロードされた特別図柄左更新チェック数「11」をセットし、次のS21-A-2において、図柄停止フラグ(特別図柄左停止フラグ)がセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21-A-7へ進む。一方、図柄停止フラグ(特別図柄左停止フラグ)がセットされていない場合は、S21-A-3へ進み、図柄オフセットカウンタに「1」を加算処理し、次のS21-A-4で、その図柄オフセットカウンタの値が図柄更新チェック数(この場合は「11」より小さいか否かを判定し、小さい場合にはS21-A-7へ進む。一方、小さくない場合(「11」以上)には、S21-A-5へ進んで、図柄オフセットカウンタをクリア(「0」)して、次のS21-A-6で、現在表示している図柄のデータに「1」を加算処理してからS21-A-7へ進み、S21-A-7において図柄のデータを更新セットする。
【0039】
次のS21-A-8では普通役モードがセットされているか否かを判定し、普通役モードがセットされている場合はS21-A-20へ進む。一方、普通役モードがセットされていない場合は、S21-A-9へ進み、普通図柄停止モードがセットされているか否かを判定し、普通図柄停止モードがセットされている場合はS21-A-10へ進み、セットされていない場合はS21-A-20へ進む。S21-A-10では、普通図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、普通図柄オフセットアドレスがロードされていない場合はS21-A-20へ進み、ロードされている場合はS21-A-11へ進む。この場合には、普通図柄オフセットアドレスはロードされていないので、S21-A-20へ進み、S21-A-11以下は後述するものとする。
【0040】
S21-A-20では、大役モード、役終了モードの何れかがセットされているか否かを判定し、何れかセットされている場合には、S21-4へ進む。一方、大役モード、役終了モードの何れもセットされていない場合には、S21-A-21へ進み、特別図柄停止モードがセットされているか否かを判定する。特別図柄停止モードがセットされていない場合はS21-4へ進み、セットされている場合はS21-A-22において特別図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定する。そして、特別図柄オフセットアドレスがロードされていない場合には、S21-4へ進むが、この場合は、特別図柄左オフセットアドレスがロードされているので、S21-A-23へ進む。S21-A-23では、特別図柄左中右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-24へ進み、セットされていない場合はS21-Bへ進む。
【0041】
S21-Bにおける処理を詳述すると、まず、S21-B-1において、図柄停止フラグがセットされているか否かを判定し、この場合は特別図柄左停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21-4へ進み、セットされていない場合にはS21-B-2へ進む。S21-B-2では特別図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合はロードされているので、S21-B-5へ進む。次のS21-B-5は、特別図柄停止タイマ又は普通図柄停止タイマのいずれかを減算処理するステップであるが、この場合は特別図柄左停止タイマ(S12でセットされている)を減算処理する。そして、次のS21-B-6で、その減算した特別図柄左停止タイマが「0」になったか否か(タイムアップしたか否か)を判定し、「0」になっていない場合はS21-4へ進み、「0」になっていればS21-B-7へ進む。
【0042】
S21-B-7では、S14でセットされた特別図柄左の停止位置(図柄)と現在表示している図柄とが一致しているか否かを判定し、一致していなければS21-4へ進むが、一致していればS21-B-8へ進む。S21-B-8では特別図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合はロードされているので、S21-B-9へ進み、S21-B-9ではS89において作成セットされている特別図柄右乱数を格納し、次のS21-B-10で、格納した特別図柄右乱数に対応した特別図柄右の停止位置(図柄)をセットし、S21-B-11へ進んで特別図柄右停止タイマに0.5秒をセットした後、S21-B-12において特別図柄左停止フラグをセットし、S21-4へ進む。
【0043】
S21-4では、特別図柄中オフセットアドレスをロードし、次のS21-5において特別図柄中更新チェック数に「7」をロードする。そして、S21-6では、特別図柄左と特別図柄右が停止したときに、左と右が同一図柄で停止したかどうか、すなわち特別図柄左右一致フラグセットの有無を判定し、同一図柄でない場合には、S21-8へ進む。一方、同一図柄の場合には、S21-7において、特別図柄中更新チェック数にロードしてある「7」を「80」に変更し、ロードする。これにより特別図柄左と特別図柄右とが一致して停止する場合(所謂リーチ目)は特別図柄中の更新速度がゆっくりになり、大当りの期待感を向上させている。そして、次のS21-8で特別図柄中停止フラグをロードし、S21-Aへ進む。
【0044】
S21-Aの処理を詳述すると、まず、S21-A-1において、S21-5又はS21-7でロードされた特別図柄中更新チェック数(「7」又は「80」)をセットし、次のS21-A-2では、図柄停止フラグの有無、この場合は特別図柄左右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21-A-7へ進む。一方、セットされていない場合は、S21-A-3において、図柄オフセットカウンタに「1」を加算処理し、次のS21-A-4で、S21-A-1でセットした図柄更新チェック数とS21-A-3において加算処理した図柄オフセットカウンタの値との比較を行い、図柄オフセットカウンタよりも図柄更新チェック数の方が大きい場合は、S21-A-7へ進み、図柄オフセットカウンタの方が大きい場合にはS21-A-5へ進んで、図柄オフセットカウンタをクリアして、次のS21-A-6で図柄のデータに「1」を加算処理する。そして、S21-A-7において、図柄のデータを更新セットし、S21-A-8へ進む。
【0045】
S21-A-8では、普通役モードがセットされているか否かを判定し、普通役モードがセットされている場合はS21-A-20へ進むが、セットされていない場合はS21-A-9へ進み、普通図柄停止モードがセットされているか否かを判定し、普通図柄停止モードがセットされていない場合はS21-A-20へ進み、セットされている場合はS21-A-10へ進む。S21-A-10では、普通図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合は特別図柄中オフセットアドレスがロードされているので、普通図柄オフセットアドレスはロードされていないのでS21-A-20へ進む。一方、普通図柄オフセットアドレスがロードされている場合はS21-A-11へ進む。
【0046】
S21-A-20では、大役モード、役終了モードの何れかがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-9へ進む。一方、セットされていない場合には、S21-A-21へ進み、特別図柄停止モードがセットされているか否かを判定する。特別図柄停止モードがセットされていない場合はS21-9へ進み、セットされている場合はS21-A-22へ進む。S21-A-22では、特別図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合は、特別図柄中オフセットアドレスがロードされているので、S21-A-23へ進むが、特別図柄オフセットアドレスがロードされていない場合はS21-9へ進む。S21-A-23では、特別図柄左中右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていれば、S21-A-24へ進み、特別図柄中オフセットアドレスか否かを判定し、この場合は特別図柄オフセットアドレスがロードされているので、S21-A-25へ進むが、ロードされていない場合は、S21-9へ進む。
【0047】
次に、S21-A-25では、特別図柄役チェック待ちタイマ(後述のS21-B-14でセットされる)を減算処理し、次のS21-A-26で、その特別図柄役チェック待ちタイマが「0」になったか否か(タイムアップしたか否か)を判定し、「0」になっていない場合はS21-9へ進み、「0」になっている場合はS21-A-27へ進む。S21-A-27では、停止している特別図柄左、中、右の全てが一致しているか否かを判定し、一致していない場合はS21-A-36へ進み、一致している場合はS21-A-28へ進んで、停止している特別図柄左、中、右が「777」か否かを判定し、一致している場合はS21-A-29へ進み、変動時間短縮フラグをセットし、「777」でない場合はS-A-30へ進み、変動時間短縮フラグをクリアする。そして、次のS21-A-31において、セットされているタイマ、カウンタをクリアして、S21-A-32において大役継続回数に「1」をセットし、次のS21-A-33で大役フラグをセットし、S21-A-34では大役スタートウエイトタイマに2秒をセットし、S21-A-35へ進み、S21-A-35において大入賞口開口タイマに29.5秒をセットし、S21-9へ進む。
【0048】
一方、特別図柄左、中、右が一致していない場合は、S21-A-36へ進んで、役終了タイマに0.5秒をセットし、次のS21-A-37で特別図柄左右一致フラグをクリアし、S21-A-38で役終了モードをセットして、S21-9へ進む。
【0049】
一方、上記S21-A-23において特別図柄左中右停止フラグがセットされていない場合は、S21-Bへ進み、このS21-Bでは以下の処理が実行される。
【0050】
まず、S21-B-1において、図柄停止フラグ、この場合は特別図柄左中右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21-9へ進み、セットされていない場合にはS21-B-2へ進む。S21-B-2では特別図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合には特別図柄中オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-3へ進む。次のS21-B-3では普通図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定するが、同様に特別図柄中オフセットアドレスがロードされているためS21-B-4へ進む。S21-B-4では前図柄停止フラグがセットされているか否か、この場合は特別図柄左右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合はS21-9へ進み、セットされている場合にはS21-B-5へ進み、後述のS21-B-20又はS21-B-21でセットされた特別図柄中停止タイマの減算処理を行う。次に、S21-B-6で、その特別図柄中停止タイマが「0」になったか否かを判定し、「0」になっていなければS21-9へ進み、「0」になっていればS21-B-7へ進む。
【0051】
S21-B-7では、後述のS21-B-18でセットされた特別図柄中の停止位置(図柄)に現在表示している図柄が一致したか否かを判定し、一致していない場合はS21-9へ進み、一致している場合はS21-B-8へ進む。S21-B-8では特別図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定するが、この場合は特別図柄中オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-13へ進み、S21-B-13では特別図柄中オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合はロードされているので、S21-B-14へ進む。S21-B-14では特別図柄役チェック待ちタイマに0.5秒をセットし、次のS21-B-15で特別図柄左中右停止フラグをセットしてS21-9へ進む。
【0052】
S21-9では特別図柄右オフセットアドレスをロードして、次のS21-10において、特別図柄右更新チェック数に「13」をロードし、S21-11では特別図柄右停止フラグをロードして、S21-Aへ進み、以下の処理が実行される。
【0053】
まず、S21-A-1において、S21-10でロードされた「13」を図柄更新チェック数にセットし、次のS21-A-2に進み、この場合は特別図柄左右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-7へ進み、セットされていない場合はS21-A-3へ進み、図柄オフセットカウンタに「1」を加算処理する。次にS21-A-4へ進み、加算処理された図柄オフセットカウンタの値と、S21-A-1でセットされた図柄更新チェック数とを比較し、図柄オフセットカウンタの値の方が小さい場合には、S21-A-7へ進み、図柄オフセットカウンタの値の方が大きい場合にはS21-A-5へ進んで、図柄オフセットカウンタをクリアして、次のS21-A-6で図柄のデータに「1」を加算処理して、S21-A-7で図柄データを更新セットする。
【0054】
次に、S21-A-8へ進んで、普通役モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-20へ進み、セットされていない場合はS21-A-9へ進み、普通図柄停止モードがセットされているか否かを判定し、普通図柄停止モードがセットされていない場合はS21-A-20へ進み、セットされている場合はS21-A-10へ進む。S21-A-10では、普通図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合は特別図柄右オフセットアドレスがロードされているので、普通図柄オフセットアドレスはロードされていないのでS21-A-20へ進む。
【0055】
S21-A-20では、大役モード、役終了モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-12へ進み、セットされていない場合はS21-A-21へ進む。ここでは特別図柄停止モードがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合はS21-12へ進み、セットされている場合はS21-A-22へ進む。S21-A-22では、特別図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定するが、この場合は特別図柄右オフセットアドレスがロードされているので、S21-A-23へ進む。特別図柄オフセットアドレスがロードされていない場合はS21-12へ進む。S21-A-23において、特別図柄左中右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-24へ進む。この場合には特別図柄右オフセットアドレスがロードされているので、S21-A-24では特別図柄中オフセットアドレスではないと判定するため、S21-12へ進む。一方、S21-A-23で、特別図柄左中右停止フラグがセットされていないと判定されると、S21-Bへ進む。
【0056】
S21-Bでは、まず、S21-B-1において、図柄停止フラグ、この場合は特別図柄左右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21-12へ進み、セットされていない場合にはS21-B-2へ進み、特別図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合は特別図柄右オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-3へ進み、普通図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定するが、上述のように、普通図柄左オフセットアドレスはロードされていないので、S21-B-4へ進む。S21-B-4では、前図柄停止フラグ、この場合は特別図柄左停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合はS21-12へ進み、セットされている場合はS21-B-5へ進む。S21-B-5では前述したS21-B-11でセットされた特別図柄右停止タイマを減算処理し、次のS21-B-6では減算処理された特別図柄右停止タイマが「0」になったか否かを判定し、「0」になっていない場合はS21-12へ進み、「0」になっている場合はS21-B-7へ進む。
【0057】
S21-B-7では、S21-B-10でセットされた特別図柄右の停止位置(図柄)と現在表示している図柄とが一致しているか否かを判定し、一致していない場合はS21-12へ進み、一致している場合はS21-B-8へ進んでロードされているオフセットアドレスの種別を判定する。すなわち、この場合は特別図柄右オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-8からS21-B-13へ進み、更にS21-B-16へと進む。そして、S21-B-16からS21-B-17へ進み、S21-B-17ではS89において作成セットされている特別図柄中乱数を格納して、次のS21-B-18でその格納した特別図柄中乱数に対応した特別図柄中の停止位置(図柄)をセットする。そして、S21-B-19で停止した特別図柄左と特別図柄右とが同一図柄か否かを判定し、同一図柄でない場合はS21-B-20へ進み、特別図柄中停止タイマに0.5秒をセットする。一方、特別図柄左と特別図柄右とが同一図柄の場合は、S21-B-21へ進み、特別図柄中停止タイマに5.3秒をセットした後、S21-B-22において特別図柄左右一致フラグをセットし、S21-B-23で特別図柄左右停止フラグをセットして、S21-12へ進む。
【0058】
S21-12では、普通図柄左オフセットアドレスをロードし、次のS21-13で普通図柄左更新チェック数に「11」をロードし、S21-14において普通図柄左停止フラグをロードして、S21-Aへ進む。
【0059】
S21-Aではまず、S21-A-1において、前述のS21-13でロードした普通図柄左更新チェック数「11」を図柄更新チェック数にセットし、次のS21-A-2で図柄停止フラグ、この場合は普通図柄左停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-7へ進む。一方、普通図柄左停止フラグがセットされていない場合はS21-A-3へ進み、図柄オフセットカウンタに「1」を加算処理する。次にS21-A-4へ進み、加算処理された図柄オフセットカウンタの値と、S21-A-1でセットされた普通図柄左更新チェック数とを比較し、図柄オフセットカウンタの値の方が小さい場合にはS21-A-7へ進み、図柄オフセットカウンタの値の方が大きい場合にはS21-A-5へ進んで、図柄オフセットカウンタをクリアして、次のS21-A-6で図柄のデータに「1」を加算処理して、S21-A-7へ進み、S21-A-7で図柄データを更新セットする。
【0060】
次に、S21-A-8へ進んで、普通役モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-20へ進み、セットされていない場合はS21-A-9へ進み、普通図柄停止モードがセットされているか否かを判定する。普通図柄停止モードがセットされていない場合はS21-A-20へ進み、セットされている場合はS21-A-10へ進む。S21-A-10では、普通図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、ロードされていない場合はS21-A-20へ進むが、この場合は普通図柄左オフセットアドレスがロードされているので、S21-A-11へ進む。
【0061】
S21-A-11では普通図柄左右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-12へ進み、普通図柄右オフセットアドレスがロードされているか否かを判定するが、この場合はロードされていないので、S21-A-20へ進む。一方、普通図柄左右停止フラグがセットされていないと上記S21-A-11で判定されるとS21-Bへ進む。
【0062】
S21-Bでは、まず、S21-B-1において、図柄停止フラグ、この場合は普通図柄左停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21-A-20へ進み、セットされていない場合にはS21-B-2へ進み、特別図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定する。この場合は普通図柄左オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-3へ進み、S21-B-3では普通図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合はロードされているので、S21-B-5へ進む。S21-B-5では前述のS20でセットされた普通図柄左停止タイマを減算処理し、次のS21-B-6でその減算処理された普通図柄左停止タイマが「0」になったか否かを判定する。「0」になっていない場合はS21-A-20へ進み、「0」になっている場合はS21-B-7へ進む。
【0063】
S21-B-7では、S6-12でセットした普通図柄左の停止位置(図柄)と現在表示している図柄とが一致しているか否かを判定し、一致していない場合はS21-A-20へ進み、一致している場合はS21-B-8へ進む。この場合は普通図柄左オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-8からからS21-B-13へ進み、S21-B-13からS21-B-16へ、更にS21-B-16からS21-B-24へ進み、S21-B-24からS21-B-27へ進んで、普通図柄右停止タイマに0.5秒をセットし、次のS21-B-28で普通図柄停止フラグをセットした後、S21-A-20へ進む。
【0064】
S21-A-20では、大役モード、役終了モードの何れかがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-15へ進み、セットされていない場合はS21-A-21へ進んで、特別図柄停止モードがセットされているか否かを判定する。セットされていない場合はS21-15へ進み、セットされている場合はS21-A-22へ進む。S21-A-22では、特別図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定するが、ここでは普通図柄左オフセットアドレスがロードされているので、S21-15へ進む。
【0065】
S21-15では、普通図柄右オフセットアドレスをロードし、S21-16で普通図柄右更新チェック数「13」をロードし、次のS21-17で普通図柄右停止フラグをロードし、S21-Aへ進む。
【0066】
S21-Aでは以下の処理が実行される。まず、S21-A-1において、普通図柄更新チェック数に「13」をセットし、次のS21-A-2でこの場合は普通図柄右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-7へ進み、セットされていない場合はS21-A-3において図柄オフセットカウンタに「1」を加算処理する。次のS21-A-4では、加算処理した図柄オフセットカウンタの値が、S21-A-1でセットされた図柄更新チェック数よりも小さいか判定される。小さい場合には、S21-A-7へ進み、小さくない場合にはS21-A-5で図柄オフセットカウンタをクリアして、次のS21-A-6で図柄のデータに「1」を加算処理し、S21-A-7で図柄データを更新セットする。
【0067】
次に、S21-A-8へ進んで、普通役モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-20へ進み、セットされていない場合はS21-A-9へ進み、普通図柄停止モードがセットされているか否かを判定する。普通図柄停止モードがセットされていない場合はS21-A-20へ進み、セットされている場合はS21-A-10へ進む。S21-A-10では、普通図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合は普通図柄右オフセットアドレスがロードされているので、S21-A-11へ進み、普通図柄左右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS21-A-12へ進み、普通図柄右オフセットアドレスがロードされているか否かを判定する。この場合はロードされているので、S21-A-13へ進み、後述のS21-B-25でセットされる普通図柄役チェック待ちタイマを減算処理し、次のS21-A-14で、その減算処理した普通図柄役チェック待ちタイマが「0」になったか否かを判定し、「0」になっていない場合はS21-A-20へ進む。
【0068】
一方、「0」になっている場合は、S21-A-15へ進んで普通図柄回転モードをクリアし、次のS21-A-16で普通図柄停止モードをクリアしてS21-A-17へ進む。S21-A-17では停止した普通図柄が当り(「ゾロ目」)か否かを判定し、当りでない場合はS21-A-20へ進み、当りの場合はS21-A-18へ進む。S21-A-18では普通役モードをセットし、次のS21-A-19で普通役出力タイマに5秒をセットして、S21-A-20へ進む。一方、上記S21-A-11において、普通図柄左右停止フラグがセットされていないと判定されるとS21-Bへ進む。
【0069】
S21-Bでは、まず、S21-B-1において、普通図柄左右停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS21-A-20へ進み、セットされていない場合にはS21-B-2へ進み、特別図柄左オフセットアドレスがロードされているか否かを判定し、この場合は普通図柄右オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-3へ進み、更にS21-B-3からS21-B-4へ進む。S21-B-4では、前図柄停止フラグがセットされているか否か、この場合は普通図柄左停止フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合はS21-A-20へ進み、セットされている場合はS21-B-5へ進む。S21-B-5では前述したS21-B-27でセットされた普通図柄右停止タイマを減算処理し、次のS21-B-6でその減算処理された普通図柄右停止タイマが「0」になったか否かを判定する。「0」になっていない場合はS21-A-20へ進み、「0」になっている場合はS21-B-7へ進む。
【0070】
S21-B-7では、S6-12でセットした普通図柄右の停止位置(図柄)と現在表示している図柄とが一致しているか否かを判定し、一致していない場合はS21-A-20へ進み、一致している場合はS21-B-8へ進むことによりロードされている図柄オフセットアドレスの種類を判定する。すなわち、この場合は普通図柄右オフセットアドレスがロードされているので、S21-B-8からS21-B-13へ進み、S21-B-13からS21-B-16へ、更にS21-B-16からS21-B-24へ進み、S21-B-24からS21-B-25へ進む。そして、S21-B-25では普通図柄役チェック待ちタイマに0.1秒をセットし、次のS21-B-26で普通図柄左右停止フラグをセットして、S21-A-20へ進む。S21-A-20では、大役モード、役終了モードの何れかがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS22へ進み、セットされていない場合はS21-A-21へ進み、特別図柄停止モードがセットされているか否かを判定する。セットされていない場合はS22へ進み、セットされている場合はS21-A-22へ進み、特別図柄オフセットアドレスがロードされているか否かを判定するが、この場合は、普通図柄右左オフセットアドレスがロードされているので、S22へ進む。
【0071】
S22では、エラーフラグの有無を判定し、エラーフラグがセットされていればS85へ進み、セットされていなければS23へ進む。S23では、普通役モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはS24へ進んで普通役出力タイマ(S21-A-19でセットされる)を減算処理し、次のS25において、その減算処理した普通役出力タイマが「0」になったか否かを判定し、「0」になっていなければS26へ進んで、普通電動ソレノイド24をオンしてS31へ進む。一方、普通役出力タイマが「0」になっている場合はS27へ進んで普通電動ソレノイド24をオフし、次のS28で普通役モードをクリアしてS31へ進む。上記S23において、普通役モードがセットされていなければS29へ進み、普通役モードをクリアし、次のS30で普通図柄停止フラグをセットして、S31へ進む。
【0072】
S31では、大役モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS46へ進み、セットされていない場合はS32で大役フラグがセットされているか否かを判定する。大役フラグがセットされているときはS46へ進み、セットされていないときはS33へ進んで大役フラグをクリアし、次のS34では大役モードをクリアする。そして、次のS35へ進んで、役終了モード、特別図柄停止モード、特別図柄回転モードのうち何れかがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS71へ進む。セットされていない場合は、S36において特別図柄左右一致フラグをクリアし、次のS37で始動モードがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合にはS38へ進んで始動モード、特別図柄回転モード、特別図柄停止モード、大役モード、大役継続モード、大役継続最大モード、役終了モードの全てのモードをクリアする。そして、S39において特別図柄停止フラグをセットして、S71へ進む。一方、上記S37において始動モードがセットされている場合は、S40へ進んで変動時間短縮フラグがセットされているか否かを判定する。そして、変動時間短縮フラグがセットされていない場合はS41へ進み、特別図柄停止タイマに8秒をセットし、変動時間短縮フラグがセットされている場合には、S42へ進んで特別図柄停止タイマに1.3秒をセットする。次のS43では特別図柄回転モードをセットし、S44で大役フラグをクリアし、S45で特別図柄停止フラグをクリアした後、S71へ進む。
【0073】
上記S31において大役モードがセットされていると判定されるか、S32において大役フラグがセットされていると判定された場合は、S46において大役モードをセットし、次のS47では特別図柄停止モードをクリアして、S48へ進む。S48では継続回数に「1」がセットされているか否かを判定し、セットされていなければS53へ進み、「1」がセットされていればS49へ進んで、前述したS21-A-34でセットされた大役スタートウエイトタイマが「0」になったか否かを判定する。「0」になっている場合はS53へ進み、「0」になっていない場合はS50で大役スタートウエイトタイマを減算処理し、S51で再びその減算処理した大役スタートウエイトタイマが「0」になったか否かを判定する。ここでも、「0」になっていない場合はS71へ進み、「0」になっている場合はS52へ進む。
【0074】S52では、大入賞口ソレノイドがオンされ、S53では10カウントスイッチがオンされたか否かを判定し、オンされていなければS55へ進み、オンされていればS54において10カウントの値を「1」加算処理した後、S55へ進む。S55では、大役継続モードか大役継続最大モードがセットされているか否かを判定し、どちらか一方がセットされている場合はS58へ進み、どちらもセットされていない場合にはS56へ進む。S56では継続スイッチ15がオンされたか否かを判定し、オンされていない場合はS58へ進み、オンされている場合はS57において大役継続モードをセットしてからS58へ進む。S58では、継続スイッチ15をオンした球が10カウントスイッチを通過したか否かを判定し、通過していなければS69へ進み、通過していればS59へ進む。
【0075】
S59では10カウントの値が「10」以上になったか否かを判定し、「10」より小さければS61へ進み、「10」以上の場合はS60において、前述のS21-A-35又は後述のS80においてセットされた大入賞口開口タイマをクリアして、S61へ進む。S61では役終了モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS71へ進み、セットされていない場合はS62へ進む。S62では大入賞口開口タイマが「0」になったか否かを判定し、「0」になっている場合はS65へ進み、「0」になっていない場合はS63へ進む。S63では大入賞口開口タイマを減算処理し、次のS64ではその減算処理した大入賞口開口タイマが「0」になったか否かを判定する。「0」になっていない場合はS70へ進んで、大入賞口ソレノイドをオンして、S71へ進む。一方、「0」になっている場合はS65へ進み、大入賞口ソレノイドをオフして、次のS66において役終了モードをセットし、S67で役終了タイマに2秒をセットする。その後、S68において10カウントの値が「0」か否かを判定し、「0」の場合はS69へ進んでエラーフラグをセットする。「0」でない場合にはS71へ進む。
【0076】
S71では、役終了モードがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合はS85へ進み、役終了モードがセットされている場合にはS72へ進み、前述のS67でセットした役終了タイマを減算処理し、次のS73でその減算処理した役終了タイマが「0」になったか否かを判定する。「0」になっていない場合はS85へ進み、「0」になっている場合はS74へ進む。S74においては大役継続モードがセットされているか否かを判定し、セットされている場合はS75へ進んで、大役継続モードをクリアして、次のS76で役終了モードをクリアしてS77に進み、S77で継続回数を「1」加算処理する。そして、次のS78において、その加算処理した継続回数が16回以上になったか否かを判定し、16回以上の場合にはS79において大役継続最大モードをセットしてS80へ進む。S80では大入賞口開口タイマに29.5秒をセットし、次のS81において大入賞口開口ソレノイドをオンしてS85へ進む。一方、上記S74において、大役継続モードがセットされていないと判定されると、S82へ進んで、始動モード、図柄回転モード、図柄停止モード、大役モード、大役継続モード、大役継続最大モード、役終了モードの全てのモードをクリアし、次のS83で始動記憶の有無を判定する。始動記憶のある場合は、S84において始動記憶を「1」減算処理して、S85へ進む。
【0077】
S85では、それぞれのモードに応じた各種表示灯(ランプ,LED等)の表示処理を行い、次のS86ではエラーフラグがセットされているか否かを判定する。エラーフラグがセットされている場合は、S87でエラー検出時用の表示灯によるエラー表示処理を行い、S88へ進む。S88ではそれぞれのモード(エラーを含む)に応じた各種の効果音の処理を行う。
【0078】
S89では、普通図柄当り決定用乱数の作成セット及び特別図柄左中右各乱数の作成セットの処理を行う。まず、S89-1において、普通図柄当り決定用乱数のアドレスをロードし、次のS89-2で普通図柄当り決定用乱数の更新チェック数「100」をロードして、S89-Aへ進む。
【0079】
S89-Aでは以下の処理を実行する。S89-A-1において、前回の処理でセットされている普通図柄当り決定用乱数の値に「1」加算処理し、次のS89-A-2で、その加算処理された乱数値がS89-2においてロードされた更新チェック数「100」以上になったか否かを判定する。「100」以上になった場合は、S89-A-3に進んで乱数値をクリア(「0」)し、次のS89-A-4において「0」を普通図柄当り決定用乱数としてセットし、S89-3へ進む。一方、「100」以上になっていない場合は、S89-A-1において加算処理された乱数値を普通図柄当り決定用乱数としてセットし、S89-3へ進む。
【0080】
S89-3では、前述のS89-A-4においてセットされた普通図柄当り決定用乱数の値が「0」になっているか否かを判定し、「0」になっていない場合はS89-1へ戻る。一方、「0」になっている場合はS89-4へ進み、特別図柄右乱数アドレスをロードし、次のS89-5において、特別図柄右乱数更新チェック数に「16」をロードし、S89-Aへ進む。このS89-Aではまず、S89-A-1において、前回の処理でセットされている特別図柄右乱数の値に「1」加算処理し、次のS89-A-2で、その加算処理された乱数値がS89-5においてロードされた更新チェック数「16」以上になったか否かを判定する。「16」以上の場合は、S89-A-3に進んでその乱数値をクリア(「0」)し、次のS89-A-4で「0」を特別図柄右乱数としてセットする。一方、S89-A-2において、「16」より小さいと判定されると、その乱数値を特別図柄右乱数としてS89-A-4においてセットし、S89-6へ進む。
【0081】
S89-6では、セットされている特別図柄右乱数の値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合はS89-1へ戻り、「0」の場合はS89-7へ進む。S89-7では、特別図柄中乱数アドレスをロードし、次のS89-8において、特別図柄中乱数更新チェック数に「16」をロードし、S89-Aへ進む。ここでは、まず、S89-A-1において、前回の処理でセットされている特別図柄中乱数の値に「1」加算処理し、次のS89-A-2で、その加算処理された乱数値がS89-8においてロードされた特別図柄中乱数更新チェック数「16」以上になったか否かを判定する。「16」以上になった場合は、S89-A-3に進んでその乱数値をクリア(「0」)し、次のS89-A-4で「0」を特別図柄中乱数としてセットする。一方、S89-A-2において、「16」より小さいと判定された場合には、S89-A-4においてその乱数値を特別図柄中乱数としてセットし、S89-9へ進む。
【0082】
S89-9では、セットされている特別図柄中乱数の値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合はS89-1へ戻り、「0」の場合はS89-10へ進む。S89-10では、特別図柄左乱数アドレスをロードし、次のS89-11において、特別図柄左乱数更新チェック数に「16」をロードし、S89-Aへ進む。S89-Aでは、まず、S89-A-1において、前回の処理でセットされている特別図柄左乱数の値に「1」加算処理し、次のS89-A-2で、その加算処理された乱数値がS89-11においてロードされた特別図柄左乱数更新チェック数「16」以上になったか否かを判定する。「16」以上になった場合は、S89-A-3においてその乱数値をクリア(「0」)し、次のS89-A-4で「0」を特別図柄左乱数としてセットする。一方、S89-A-2において、「16」より小さいと判定された場合には、S89-A-4においてその乱数値を特別図柄左乱数としてセットし、S89-1へ戻る。
【0083】
以後、前述したように、割込信号が入力されるまで、S89-1以下の処理繰り返し実行する。
【0084】
更に、上記制御手段の処理を踏まえて前記したゲームの主要部の詳細を説明する。
【0085】
普通図柄表示装置6は、前記したように10種類の図柄、すなわち、「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」を左右それぞれが表示可能であり、パチンコ機2の電源投入時から、普通図柄左は1図柄について割込時間(4m秒)の整数倍の例えば44m秒の周期で移動(回転)し、普通図柄右は1図柄について例えば52m秒の周期で移動(回転)している。そこで、打球が始動口ゲート11を通過して、普通始動スイッチがオンすると、所定時間後(例えば30秒又は1.3秒後)に普通図柄左が停止し、次いで普通図柄右が停止する。そして、普通図柄表示装置6が表示する図柄の組み合せ態様が当りの場合には普通電動役物5を開放する。
【0086】
普通図柄表示装置6の当りの決定は、「0〜99」の100個の値を有する当り決定用乱数により行い、電源投入から割込信号によってリセットされるまでの間、「1」づつ加算処理を繰り返し、普通始動スイッチがオンした時点の乱数値が「0」、「11」、「22」、「33」、「44」、「55」、「66」、「77」、「88」、「99」の場合を当りに設定し、他の数値の場合をはずれに設定してある。従って、普通図柄表示装置6が当りになる確率は1/10である。そして、普通図柄表示装置6に表示する図柄の組み合せ態様は、乱数値が「0」の場合「00」、「1」の場合「01」…………「99」の場合「99」というように、乱数値と図柄の組み合せ態様がそれぞれ対応して、決定した乱数に応じて当り外れの表示をする。
【0087】
一方、特別図柄表示装置3の特別図柄左、特別図柄中、特別図柄右は、「0〜9」及び「ACHLPU」の16種類の図柄をそれぞれ表示可能であって、夫々左図柄用乱数(0-15)、中図柄用乱数(0-15)、右図柄用乱数(0-15)に対応する図柄を表示する。これらの図柄用乱数は割込信号によってリセットされるまでの間、右、中、左の順に「1」づつ加算処理を繰り返す。そして、図柄が変動表示を開始してから8秒又は1.3秒経過後の乱数の値に対応する図柄を停止図柄とし、0.5秒に決定図柄に一致するまでの所要時間が経過した後、特別図柄左が停止する。次に、この特別図柄左の停止から0.5秒に決定図柄に一致するまでの所要時間が経過した後、特別図柄右が停止する。そして、更に特別図柄右が停止してから所定の時間経過後に、特別図柄中が停止する。この所定の時間は、特別図柄左が表示する図柄(以下、図柄左という)と特別図柄右が表示する図柄(以下、図柄右という)とが一致する場合と、不一致の場合とで異なる。
【0088】
すなわち、図柄左と図柄右とが不一致の場合は、上記と同様に0.5秒に決定図柄に一致するまでの所要時間が経過した後、特別図柄中が停止する。一方、左図柄左と図柄右とが一致する場合は、5.3秒に決定図柄に一致するまでの所要時間を加えた後、特別図柄中が停止する。なお、この場合は特別図柄中が1図柄の変換に要する時間を320m秒に変更してある。このようにして特別図柄中の停止を遅らせて遊技者の期待感を向上させる。
【0089】
そして、特別図柄中が停止して0.5秒経過後に、役の判定を行い、図柄左、図柄右、図柄中が一致する場合は大当り(大役)となる。大当りになると、大入賞口ソレノイドを励磁して、大入賞口を開放すると共に大入賞口開放表示灯44を点灯し、またスピーカから効果音を発生させる。なお、開放中は、特別図柄左及び特別図柄右に停止図柄を点灯表示し、特別図柄中には大入賞口の開放回数を表示している。
【0090】
上記のようなパチンコゲームによれば、遊技者が発射した打球が始動口ゲート11を通過すると、普通図柄表示装置6が可変表示を開始し、所定時間経過後に可視表示する図柄が当りの場合には、普通電動役物5の羽根部材22が開放する。この普通電動役物5は、特別図柄表示装置3の始動手段として機能し、普通電動役物5に設けた特別図柄スイッチに打球が作用すると、特別図柄表示装置3が可変表示を開始し、所定時間経過後に可視表示する図柄の組み合せ態様が所定の組み合せの場合には、大入賞口を開放し、更に図柄の組み合せが特定の図柄、例えば「777」のときには、普通図柄表示装置6及び特別図柄表示装置3が表示する図柄の変動時間を短縮するので、図柄の組み合せからみた大当りになる確率は変化していないのであるが、単位時間当りにみた大当りになる確率が向上する。従って、大当りが短時間に集中して発生することも可能であって、大当りが連続して発生する期待感を高め、興趣に富んだパチンコ遊技が可能となる。
【0091】
そして、普通図柄表示装置6の表示開始手段としての始動口ゲート11を、打球が通常通過する程度(例えば1分間に20個程度)に設定するなど、適宜に釘調整等により設定すれば、遊技者と遊技店の利益バランスを図ることも容易である。また、始動口ゲート11を通過した打球の球数を所定数(例えば4個)迄記憶可能としてもよいし、始動口ゲート11を通過口でなく入賞口としもよい。
【0092】
以上、本発明を図面の実施例に基づいて、所謂第1種パチンコ機について説明したが、本発明は、第2種パチンコ機や第3種パチンコ機に適用することも可能である。例えば、第2種の場合は、図柄表示装置により作動する普通電動役物を、第2種始動口に設定し、第2種役物における当り或は外れの判定を、別の図柄表示装置で行うようにすればよい。また、第3種の場合は、普通図柄表示装置により作動する普通電動役物を、権利口となる特定入賞口に設定し、該特定入賞口に入賞した打球により、他の図柄表示装置を作動させ、その表示装置が表示する図柄により、権利の発生及び消滅を行うようにすればよい。
【0093】
【発明の効果】
以上要するに本発明は、遊技者により発射された打球の流下する遊技部内に、複数の図柄を可変表示可能な特別図柄表示装置と、前記特別図柄表示装置の可変表示を開始するための条件を成立させる始動手段としての検出スイッチと、前記特別図柄表示装置の可変表示を停止したときの表示図柄の組み合せ態様に基づく特定条件の成立により遊技者に不利な第1状態と遊技者に有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを配設し、制御手段が上記検出スイッチにおける入球の検出により上記特別図柄表示装置と変動入賞装置とを制御するパチンコ機において、上記制御手段は、上記検出スイッチにおける入球の検出に基づき、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがクリアになっていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間に設定し、また、特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグがセットされていれば特別図柄表示装置の図柄の変動時間を所定時間よりも短い時間に設定し、これらの設定とともに特別図柄表示装置の図柄の可変表示を開始し、この可変表示の開始から上記設定された所定時間または所定時間よりも短い時間が経過したならば特別図柄表示装置の図柄の可変表示を停止し、この停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が外れであるならば変動入賞装置を遊技者に不利な第1状態とし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りであるならば変動入賞装置を遊技者に有利な第2状態とし、さらに、上記制御手段は、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様であるならば特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをセットし、上記停止した特別図柄表示装置の表示図柄の組み合せ態様が当りのうちで特定の表示図柄の組み合せ態様でなければ特別図柄表示装置に対する変動時間短縮フラグをクリアするので、単位時間当たりに見た大当たりとなる確率が向上することになる。従って、大当りを集中して発生させ、短時間で多大な利益を獲得する可能性が生じるといった、興趣に富んだパチンコ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ機の正面図である。
【図2】 表示器付電動チューリップを示し、(A)は一部欠截正面図、(B)は縦断面側面図である。
【図3】 表示器付電動チューリップの組立説明図である。
【図4】 表示器付電動チューリップの背面側から見た組立段階説明図である。
【図5】 制御手段のブロック図である。
【図6】 制御手段による処理系統のブロック図である。
【図7】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図8】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図9】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図10】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図11】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図12】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図13】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図14】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図15】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図16】 制御手段における処理のフローチャートである。
【図17】 制御手段における処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 遊技盤
2 パチンコ機
3 特別図柄表示装置
5 普通電動役物
6 普通図柄表示装置
8 変動入賞装置
11 始動口ゲート
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-11-19 
出願番号 特願平11-360091
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A63F)
P 1 651・ 161- YA (A63F)
P 1 651・ 532- YA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 瀬津 太朗
中村 和夫
登録日 2001-12-21 
登録番号 特許第3262549号(P3262549)
権利者 株式会社平和
発明の名称 パチンコ機  
代理人 宮園 純一  
代理人 宮園 純一  

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