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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1093139
異議申立番号 異議2001-72010  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-02-01 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-23 
確定日 2003-12-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3126812号「スロットマシン」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3126812号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3126812号の請求項1に係る発明についての出願は、平成4年7月10日に出願され、平成12年11月2日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人荒川浩二により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年12月10日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
a.特許請求の範囲の請求項1の、
「扉体(6)に形成した開口部(26)に対して一体的に装脱可能な装着ユニット(25)に構成するとともに、」(特許公報1欄11行〜13行)を、
「扉体(6)に形成した開口部(26)に対して扉体(6)の前面側から一体的に装脱可能な装着ユニット(25)に構成するとともに、」と訂正する。
b.明細書の段落【0004】の、
「扉体に形成した開口部に対して一体的に装脱可能な装着ユニットに構成するとともに、」(特許公報3欄21行〜22行)を、
「扉体に形成した開口部に対して扉体の前面側から一体的に装脱可能な装着ユニットに構成するとともに、」と訂正する。

イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、明細書段落【0008】の「前記装着ユニット25は、その矩形枠体24部分を扉体6の前面側から、当該扉体6に形成した矩形枠体24の正面視外郭寸法よりも若干大きい矩形開口部26に挿入して、」(特許公報4欄48行〜5欄1行)の記載に基づいて、扉体(6)に形成した開口部(26)に対する装着ユニット(25)の装脱方向を、扉体(6)の前面側から一体的に装脱可能と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項bは、上記訂正事項aにともなって、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正は願書に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲を越えるものとは認められないから、新規事項の追加に該当せず、また特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものではない。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
ア.申立の理由の概要
申立人は、請求項1に係る発明は、甲第1ないし7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、また、本願の平成12年8月28日付けの手続き補正書による補正は、発明の要旨を変更するものであり、本願の出願日は、平成12年8月28日となるから、請求項1に係る発明は、本願の公開公報である特開平4ー183523号公報に記載の発明であり、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから取り消されるべき旨主張している。

イ.本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は、上記訂正に係る訂正請求書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】枠体(5)に対して揺動開閉自在な扉体(6)に、複数の図柄移動装置(11)を各別に駆動させる図柄回動ユニット(12)、図柄回動ユニット(12)の制御部(13)、図柄回動ユニット(12)を操作して遊技を行なうための操作部(17)、遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを表示窓(15)から表示する図柄表示パネル(16)、メダル受け皿(19)を設けてあるスロットマシンにおいて、
前記図柄回動ユニット(12)と制御部(13)及び図柄表示パネル(16)とを、扉体(6)に形成した開口部(26)に対して扉体(6)の前面側から一体的に装脱可能な装着ユニット(25)に構成するとともに、前記図柄表示パネル(16)の周縁部(27)で開口部(26)の前面側周縁を全周に亘って覆うように構成してあるスロットマシン。」

ウ.引用刊行物記載の発明
当審が取消しの理由に引用した刊行物1(特開平1ー104284号公報、甲第1号証)には、
「遊戯機内に複数の回転ドラムから成るスロットマシン形式のゲーム装置を備え、遊戯機正面を覆う表構成部材には、ゲームに賭ける球数のパチンコ機を機内に取込むためのスイッチとしての一群の押ボタンから成る取込操作手段と、ゲーム装置を始動させるスタート操作手段と、ゲーム装置の個々の回転ドラムを停止させるためのドラム毎に対応して設けられたスイッチとしての一群の押ボタンとから成るストップ操作手段と、ゲーム装置を可視させるために開設された遊戯表示開口部とを備え、ゲーム結果の重みに応じて所定数のパチンコ球を支払うことを特徴とする遊技球の操作手段」(特許請求の範囲)、
「第1図及び第2図に於て、1は中空箱状の収納枠であり、4枚の板材を縦長の矩形に囲った構成である。3は収納枠1内の棚板2上に着脱容易な形式で設置したゲーム装置であり、3個の回転ドラム4から成る。5は収納体1の開口端面の下部に固定した前面補強板、6は該前面補強板5の前面に固定した下台である。下台6には、供給皿18の下方に球箱50を収納配置するための収納空間が凹部62により形成されている。7は主構成枠であり、収納枠1の開口端面のうち前面補強板5よりも上方の領域を覆うように配置され且つ収納枠1に対し開閉可能に装着されている。8は、主構成枠7の前面に固定した第1表構成部材としての上部カバー、9は同じく主構成枠7の前面に固定した第2表構成部材としての正面カバーであり、それぞれ主構成枠7側に未形成空間8A、9Aが残るように膨出して形成されている。・・・第2表構成部材たる正面カバー9は、遊戯者から見て正面となる位置に、遊戯及び結果態様を表示するゲーム表示部12を有する。ゲーム表示部12の下方には、遊戯に関するスタート、ストップ、取込み操作等をなすための各種操作手段からなる操作機能部15を有する。その下方には下側の蛍光灯照明装置17により照明し第2のゲーム表示部として機能させ得る下部表示部15を有し、更にその下方には、機械内部にパチンコ球を整列状態で供給するための供給皿18を収納凹所19ないに有する。第3図及び第4図に於て、表構成部材(8、9)全体の中程に位置するゲーム表示部12は、正面カバー9に長方形に開放したゲーム表示開口部12Aに、ゲーム表示パネル69を収納し、その背後に装着した補助構成部材13の上枠に設けた蛍光灯照明装置(上側の蛍光灯照明装置)14等により、前方及び下方照明される。正面カバー9の正面のうち、ゲーム表示部12に対応する部分は、斜めにカットされており、ゲーム表示開口部12Aは、正面カバー9の正面より奥まった所に位置している。従って、正面カバー自体は、ゲーム表示パネル69の周囲を取囲む、上下左右の鎧部9B及び下辺斜めに鎧部9Cを有する。このゲーム表示パネル69は、第4図に示すように、可視部材としてのクリアープレイト69Aとゲーム表示プレイト69Bを重ね合せて構成したものであり、その表示を遊戯者が容易に視認し得るようにするため、第2図に示すように、ゲーム表示パネル69は主構成枠7の面に対して傾けてある。・・・各ドラム4の外周面には、周方向に多数の符号(所定に図形、記号、数字等)が連続的に付してあり、静止した状態下では、これらの符号のうち各回転ドラム4毎に上段、中段、下段の3個、従って計9個が同時に正面の可視窓70から表示される。」(2頁左下欄11行〜3頁左下欄2行)、と記載されている。
上記記載からみれば、甲第1号証には、「収納枠1に対して揺動開閉自在な、上部カバー8および正面カバー9を固定した主構成枠7と、周方向に連続的に符号を付した複数の回転ドラム4を各別に駆動させるゲーム装置3、ゲーム装置3を操作して遊技を行なうための操作機能部15、遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを可視窓70から表示するゲーム表示パネル69、パチンコ球の供給皿18を設けてあるスロットマシン。」が記載されているものと認められ、上記ゲーム装置3は、「3は収納枠1内の棚板2上に着脱容易な形式で設置したゲーム装置であり、3個の回転ドラム4から成る。」(2頁左下欄13〜15行)の記載からみると、ユニット化されているものと認められる。

刊行物2(特公昭62ー25391号公報、甲第2号証)には、
「電子制御回路と遊技盤に設けられた電動入賞装置等の電気部品とを電気配線して基盤と遊技盤とを一体化することにより、電動入賞装置と電子制御回路との配線作業の簡略化を図ると共に、遊技盤の交換時の誤配線の虞れを解消して遊技内容の変更にともなう新しい遊技盤の交換が遊技場において容易にできるパチンコ機を提供することを目的とするものである。」(3欄22行〜29行)、
「図において、1はパチンコ機の機枠、2は機枠1の前面一側に開閉自在に装着された前面枠で、その前面枠2の裏面には遊技盤3が窓孔4に臨むように着脱自在に設置される。5は前面枠2の裏側の一側部に上下の取着金具6、6を介して開閉可能に装着された機構板で、該機構板5を遊技盤3の裏側に閉止し締付金具7で、止着することにより遊技盤3を前面枠2に固定させる。遊技盤3は第3図に示すようにガイドレール8で囲まれた表面に障害釘や玉通路に入賞玉を検出するスイッチ9を臨ませた入賞チヤツカー10等が設けられ、略中央部にはソレノイド等の電気的駆動機構11を具備した電動入賞装置12を設けている。また、遊技盤3の裏側には第4図に示すように一定間隔を保持させて入賞チヤツカー10や電動入賞装置12に入賞した玉を集合する入賞玉集合カバー13を取付け、遊技盤3の裏面主要部たる中央部分全てを覆っている。その入賞玉集合カバー13の外側表面に電子制御回路を組込んだ基盤14を損傷しないようにボックス15の内部に収めて固着している。そして、基盤14からボックス15の外に引き出された数本の導線16は遊技盤3の裏面に敬付けたターミナル17を介して入賞チヤツカー10のスイッチ9や電動入賞装置12の電気的駆動機構11に接続してあり、また基盤14からボックス15の下方に引き出された別の導線18の先端には電源に接続するカップラー19 を備えさせている。このカップラー19を電源に接続すると電子制御回路が閉成され電動入賞装置12は該回路に基いて定められた動作を行うことができるものであり、このようにして遊技盤3を一体化して完成している。」(3欄39行〜4欄26行)、
「従って、遊技盤3を前面枠2の裏側に設置し、機構版5を遊技盤3の裏面に閉止して締付金具7によってクランプした後、カップラー19を電源コードに接続することによって簡単に遊技盤3の交換を完了することができるものである。」(5欄1行〜6行)
「遊技盤3の交換を迅速かつ容易にできる方法を与えることになる。更に、… しかも遊技盤3の交換時に面倒かつ高度な配線作業を一切必要としないから、従来のように受注先に専門の技術者を派遣しないでもすむということになる等の多大な効果を有するものである。」(6欄12行〜18行)、と記載されている。

刊行物3(特開昭62ー183779号公報、甲第5号証)には、
「このため、遊技場で、或る一定期間の経過により、パチンコ遊技機3を新規なゲーム内容のものに交換する際には、遊技盤6を取り替えるとともに、該遊技盤6に設けられた電動ヤクモノを制御するための制御基板、言い換えれば制御基板が収納された基盤ボックス1を取り替える必要がある。」(2頁左上欄7行〜12行)、
「さらに、パチンコ遊技機だけでなく、他の遊技機、たとえばスロットマシン等においても、回転ドラムの周面に描かれた模様の組合せが揃う確率を変更したり、回転ドラムの回転時間を調整したりする場合、多くは主たる制御回路の内容はそのままで、部分的に制御回路を取換えればよことが多い。この発明は、そのような場合に最適な制御基板を提供するものであり、上記従来技術および発明が解決しようとする問題点の説明におけるパチンコ機だけに限られるものではない。」(2頁右上欄17行〜左下欄6行)、と記載されている。

エ.対比・判断
本件発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1に記載の発明の「収納枠1」、「上部カバーおよび正面カバーを固定した主構成枠7」、「複数の回転ドラム4」、「ゲーム装置3」、「操作機能部15」、「可視窓70」および「ゲーム表示パネル69」は、その機能からみて、本件発明の「枠体(5)」、「扉体(6)」、「複数の図柄移動装置(11)」、「図柄回動ユニット」、「操作部(17)」、「表示窓(15)」および「図柄表示パネル(16)」に相当し、刊行物1に記載の「パチンコ球の供給皿18」は、「パチンコ球受け皿」でもあって、本件発明の「メダル受け皿(19)」の「メダル」も刊行物1に記載の「パチンコ球」も遊技媒体である点で共通しているから、これらは、「遊技球受け皿」である。
したがって、両者は、
「枠体に対して揺動開閉自在な扉体、複数の図柄移動装置を各別に駆動させる図柄回動ユニット、図柄回動ユニットを操作して遊技を行なうための操作部、遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを表示窓から表示する図柄表示パネル、遊技媒体受け皿を設けてあるスロットマシン」
である点で一致するが下記の点で相違する。
(1)本件発明では、図柄回動ユニットの制御部を備えているのに対し、刊行物1に記載の発明では、図柄回動ユニットの制御部を備えているか否か不明な点。
(2)本件発明では、遊技媒体受け皿がメダル受け皿であるのに対し、刊行物1に記載の発明では、パチンコ球受け皿である点。
(3)本件発明では、図柄回動ユニットと制御部及び図柄表示パネルとを、扉体に形成した開口部に対して扉体の前面側から一体的に装脱可能な装着ユニットに構成するとともに、前記図柄表示パネルの周縁部で開口部の前面側周縁を全周に亘って覆うように構成してあるのに対し、刊行物1に記載の発明では、図柄回動ユニット及び図柄表示パネル等は上記のように構成していない点。

上記相違点について検討する。
(1)について、
スロットマシンにおいて、複数の図柄移動装置を各別に駆動させるために図柄回動ユニットに制御部を設けなければならないことは自明なこと(特開昭57ー20286号公報、特開昭64ー37984号公報等を参照されたい)であるから、実質的の相違とはいえない。
(2)について、
スロットマシンの遊技媒体としてメダルを用い、その受け皿を設けることは、特開昭57ー20286号公報、実願昭59ー65537号(実開昭60ー177882号)のマイクロフィルム、実願昭63ー116122号(実開平2ー37690号)のマイクロフィルム等に記載のように周知であるから、遊技媒体としてメダルを用い、その際にパチンコ球受け皿をメダル受け皿とすることは当業者が容易になし得るというべきである。
(3)について、
刊行物2には、遊技を司る核的構成部品である電動入賞装置、電子制御回路および遊技盤を一体化して装脱可能な装着ユニットに構成し、揺動開閉自在な枠体(前面枠)に装着することが記載されている。刊行物2は、パチンコ機に関するものであるが、スロットマシンもパチンコ機も遊技機として同様の技術分野(例えば、刊行物3にも「パチンコ遊技機だけでなく、他の遊技機、たとえばスロットマシン等においても、」と記載されている。)であって、本件発明の図柄回動ユニットと制御部及び図柄表示パネルも遊技を司る核的構成部品であるから、これらを一体的に装脱可能な装着ユニットに構成し、揺動開閉自在な枠体でもある扉体に装着することは当業者が容易に想到し得るというべきである。
また、開口部を有する部材に対し、その開口部に装着する部材を、その前面部材の周縁部で前記開口部の前面側周縁を全周に亘って覆うようにして開口部に取り付けることは、刊行物1に記載の取込操作手段88の操作機能部15の開口15Cへの取り付け(第3、5図の記載からみれば、取込操作手段88の表構成部材である操作カバー884の周縁部で操作機能部15の開口15Cの前面側周縁を全面に亘って覆っているものと認められる。)、さらに、実願平1ー81167号(実開平2ー8491号)のマイクロフィルムに記載の特定入賞装置6の遊技盤への取り付け(特定入賞装置6は、その基板13に特定入賞検出器12等を装着し、遊技盤の通孔2’内に特定入賞検出器12を挿入し、遊技盤2の表面と基板13の裏面を当接して(基板13の周縁部で開口部(通孔)の前面側周縁を全周に亘って覆うように)取り付けている。)、特開平2ー26579号公報に記載のスロットマシン型表示装置を備えた役物ユニット16の遊技盤への取り付け(第1図の役物ユニット16の配置、第2a、b図の役物ユニット16の構造および役物ユニット16が遊技盤に対して着脱可能の記載からみれば、技術常識上、役物ユニット16は、遊技盤の中央部開口に挿入し、役物ユニット16の機枠16aの周縁部で、遊技盤の中央部開口の前面側周縁を全周に亘って覆うように取り付けているものと認められる。)等に記載のように周知であり、このような周知の取付手段を採用するにあたり、特段の創意工夫が見あたらないことからすると、前面部材である図柄表示パネルの周縁部で開口部(26)の前面側周縁を全周に亘って覆うようにすることは当業者が適宜なし得る設計事項程度のことというべきである。
そして、本件発明の効果も、スロットマシン特有のものとは認められないから、刊行物1〜3に記載の発明及び周知の技術から容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとも認められない。

オ.むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、刊行物1〜3に記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることことができない。
したがって、本件発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 枠体(5)に対して揺動開閉自在な扉体(6)に、複数の図柄移動装置(11)を各別に駆動させる図柄回動ユニット(12)、図柄回動ユニット(12)の制御部(13)、図柄回動ユニット(12)を操作して遊技を行なうための操作部(17)、遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを表示窓(15)から表示する図柄表示パネル(16)、メダル受け皿(19)を設けてあるスロットマシンにおいて、
前記図柄回動ユニット(12)と制御部(13)及び図柄表示パネル(16)とを、扉体(6)に形成した開口部(26)に対して扉体(6)の前面側から一体的に装脱可能な装着ユニット(25)に構成するとともに、前記図柄表示パネル(16)の周縁部(27)で開口部(26)の前面側周縁を全周に亘って覆うように構成してあるスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、枠体に対して揺動開閉自在な扉体に、複数の図柄移動装置を各別に駆動させる図柄回動ユニット、図柄回動ユニットの制御部、図柄回動ユニットを操作して遊技を行なうための操作部、遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを表示窓から表示する図柄表示パネル、メダル受け皿を設けてあるスロットマシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスロットマシンでは、扉体に、図柄回動ユニット、制御部、操作部、図柄表示パネル、装飾パネル、メダル受け皿を各別に組付けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、既存のスロットマシンを遊技内容の異なるものに取替える場合、遊技島に並設されたスロットマシンを取外し、遊技内容の異なる図柄回動ユニット、制御部、図柄表示パネル等の総ての部品を装備した新たなスロットマシンに取り替えていたため、その取替工事が大掛かりになるばかりでなく、統べてを装備したスロットマシン全体を取替えるため、一台当たりのコストも高くなり、工事費が高騰するとともに、工事期間も長くなる問題がある。
本発明は、操作部やメダル受け皿は遊技内容の変更の影響を受け難く、図柄回動ユニットと制御部及び図柄表示パネルが遊技を司る核的構成部品である点に着目して、この着目点に基づいた合理的な改造により、既存のスロットマシンを遊技内容の異なるものに取替える場合の工事を、外観意匠を損なうことなくコスト面及び期間面で有利に行なうことのできるスロットマシンを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為の本発明の特徴構成は、冒記した構成のスロットマシンにおいて、前記図柄回動ユニットと制御部及び図柄表示パネルとを、扉体に形成した開口部に対して扉体の前面側から一体的に装着可能な装着ユニットに構成するとともに、前記図柄表示パネルの周縁部で開口部の前面側周縁を全周に亘って覆うように構成した点にあり、かかる構成から次の作用効果を奏する。
【0005】
【作用】
メダル投入口と図柄回動ユニットの駆動を開始させる始動レバー及び停止ボタン等から構成される操作部やメダル受け皿は、遊技内容の影響を受け難いため、これらを扉体側に取付けて部品の共通化を図り、遊技を司る図柄回動ユニットと制御部及び図柄表示パネルとを一つの装着ユニットに構成して、扉体に形成した開口部に対して一体的に装脱可能に構成したことにより、既存のスロットマシンを遊技内容の異なるものと取り替える場合でも、前記装着ユニットを最低限取替えるだけで対応することができる。
しかも、扉体の開口部に対して装脱される装着ユニットの図柄表示パネルを利用して、開口部の前面側周縁を全周に亘って覆うことができるから、専用の化粧部材を用いることなく体裁良く仕上げることができる。
【0006】
【発明の効果】
従って、既存のスロットマシンを遊技内容の異なるものと取り替える場合でも、扉体の開口部に対して最低限、新旧の装着ユニットを入れ替えるだけで済むから、従来に比較して工事規模が小さくなるとともに、一台当たりの改造コストも安くなり、しかも、開口部の前面側周縁を全周に亘って覆う専用の化粧部材を不要化できることとの相乗作用により、遊技内容の異なるものへの取替え工事を、外観意匠を損なうことなくコスト面及び期間面で有利に行なうことができる。
【0007】
【実施例】
図3は、遊技装置の一例としてのスロットマシン1とメダル貸機2とを並設するとともに、メダル貸機2に投入された紙幣を搬送する紙幣搬送装置4を背中合わせのスロットマシン1の背面間に配設して遊技島3を構成してある遊技設備を示し、前記スロットマシン1は、その遊技装置を、矩形の木製枠体5と前面扉体6とを備えたキャビネット7に組付けて構成され、扉体6が遊技島3前面側の通路に向けて縦軸芯回りで揺動開閉可能な状態で枠体5に枢支されているとともに、枠体5が遊技島3の棚板材8に固定されている。
前記遊技装置は、図1,図2に示すように、投入メダルを貯留するとともに賞メダルを払い出すホッパーユニット9,電源ユニット10,三つの図柄移動装置11を各別に駆動させる図柄回動ユニット12,図柄回動ユニット12の制御部である制御用基板ケース13等の通路側から隠れる状態で組付けられる内装部品と、入賞状態や遊技方法等を表示する入賞表示パネル14,遊技結果に基づいて決定された図柄の組み合わせを表示窓15から表示する図柄表示パネル16,図柄回動ユニット12を操作して遊技を行う為の操作部である操作ユニット17,装飾パネル18,メダル受け皿19等の通路側に露出させる状態で組付けられる外装部品から構成され、ホッパーユニット9と電源ユニット10等が枠体5側に組付けられ、入賞表示パネル14と図柄回動ユニット12,制御用基板ケース13,図柄表示パネル16,操作ユニット17,装飾パネル18,メダル受け皿19等が扉体6側に組付けられている。
前記操作ユニット17は、メダルが投入されるメダル投入口20と、図柄回動ユニット12の駆動を開始させる始動レバー21と、三つの図柄移動装置11の駆動を各別に停止させる三つの停止ボタン22とが設けられ、メダル投入口20からメダルを投入して始動レバー21を操作すると三つの図柄移動装置11が駆動を開始して図柄が回動移動され、三つの停止ボタン22を操作すると三つの図柄移動装置11の駆動が各別に停止して決定された図柄の組み合わせが図柄表示パネル16の表示窓15に表示され、その図柄の組み合わせが所定の組み合わせになっているとホッパーユニット9が駆動されてメダル払出し口23から賞メダルがメダル受け皿19に払い出される。
【0008】
前記図柄回動ユニット12は制御用基板ケース13と共に板金製の矩形枠体24内に固定され、矩形枠体24の正面視外郭寸法よりも一回り大きな正面視外郭寸法を有する図柄表示パネル16を図柄回動ユニット12の前面側を覆う状態で当該矩形枠体24の開口端に固着して、図柄回動ユニット12と制御用基板ケース13と図柄表示パネル16とを扉体6に対して一体的に装脱可能な装着ユニット25が構成されている。
前記装着ユニット25は、その矩形枠体24部分を扉体6の前面側から、当該扉体6に形成した矩形枠体24の正面視外郭寸法よりも若干大きい矩形開口部26に挿入して、図柄表示パネル16の周縁部27背面が扉体6前面に接当している状態で、扉体6背面に固着した板金製の棚状枠28に載置し、ロック機構(図外)で抜け出し不能に固定して扉体6に装着されるもので、内装部品である図柄回動ユニット12と制御用基板ケース13とが通路側から隠れる状態で装着されているとともに、外装部品である図柄表示パネル16が、その周縁部27で開口部26の前面側周縁を全周に亘って覆う状態で、扉体6外面側に装着され、操作ユニット17からの信号ケーブルとホッパーユニット9からの信号ケーブルとがコネクター29を介して制御用基板ケース13に接続されている。
尚、前記図柄移動装置11は、無端帯状の図柄ベルト30を上下一対のプーリー31に巻掛けて、前後方向厚さが薄い薄型に構成されている。
【0009】
〔その他の実施例〕
▲1▼ 実施例において、図柄回動ユニットを構成している図柄移動装置は、図柄が周方向に並設されている円筒状ドラムを駆動回動させるものであっても良い。
【0010】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
遊技島の要部断面図
【図2】
遊技島の要部斜視図
【図3】
遊技設備の概略平面図
【符号の説明】
5 枠体
6 扉体
11 図柄移動装置
12 図柄回動ユニット
13 制御部(制御用基板ケース)
15 表示窓
16 図柄表示パネル
17 操作部(操作ユニット)
19 メダル受け皿
25 装着ユニット
26 開口部
27 周縁部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-10-27 
出願番号 特願平4-183523
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
藤井 靖子
登録日 2000-11-02 
登録番号 特許第3126812号(P3126812)
権利者 協和電子工業株式会社
発明の名称 スロットマシン  
代理人 北村 修  
代理人 北村 修一郎  
代理人 北村 修  
代理人 北村 修一郎  

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