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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1093971
審判番号 不服2002-4383  
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-14 
確定日 2004-03-15 
事件の表示 特願2001- 6219「点数計数麻雀卓及び点数計数麻雀卓用点数棒」拒絶査定に対する審判事件[平成13年 8月14日出願公開、特開2001-218975]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成4年6月22日に出願した特願平4-162747号の一部を平成13年1月15日に新たな特許出願としたものであって、平成14年1月31日付けで拒絶査定がなされ(同年2月12日発送)、これに対し、同年3月14日付けで拒絶査定に対する審判の請求がなされたものである。そして、その請求項1乃至13に係る発明は、平成13年12月10日付けの手続補正書により補正された明細書又は図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至13に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりのものである。

「【請求項1】 点数棒を収納する点数棒箱に取り付けられたセンサにより前記点数棒箱に収納された前記点数棒の重量を計測し、計測された前記重量により持ち点数を算出し表示する点数計数麻雀卓。」

2.引用文献等
2.1 引用刊行物1について
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用文献4として引用された特開昭55-108379号公報(以下、「引用刊行物1」という)には、図面とともに、

(1)「本発明は麻雀等の遊戯における持ち点の自動計算表示装置に関し、特に、点数計算表示のための点棒の読取り機構に特徴を有するものである。」(第1頁左下欄第13行〜第15行)、
(2)「以下、麻雀遊戯に使用する点棒を例に採つた本発明装置の実施例に付いて詳述する。
第1図は麻雀台に設置した本発明装置の実施例を示す平面図で、台1の対局者座位置四辺に夫々同様な装置構成部2を固定配置してある。」(第2頁左上欄第14行〜第18行)、
(3)「前記構成部2は第2図に拡大して示す如く、点棒の種類(例えば壱万点棒、五千点棒、壱千点棒及び五百点棒)の分類ごとに投げ入れる点棒受皿3a、3b、3c及び3dを並設し、更に、点数値表示窓4、 (中略) を順次整列配置してある。」(第2頁右上欄第2行〜第8行)、
(4)「各受皿3a乃至3dは両側壁9、9を夫々傾斜させて断面が逆三角形状に構成してあり、垂直の対向壁10、10には夫々小透孔11をを等間隔整列下に多数個開穿してある。」(第2頁右上欄第10行〜第14行。なお、前記「小透孔11をを」という記載は「小透孔11を」という記載の誤記であると認められる)、
(5)「先の小透孔11は積み重ねられる点棒13の各中心位置に夫々穿設されており、対向壁10の一方の裏面に光源を配置して該壁10に穿つた小透孔11を明り窓となしてあり、対向壁10の他方側の小透孔11の裏面には光導電体あるいはフォトトランジスタ等の光感応素子が夫々配置してある。」(第2頁左下欄第20行〜右下欄第6行)、
(6)「一方の小透孔11からの明りはその点棒13を光ガイドとして他方の小透孔11に導かれる結果、当該他方の小透孔11にはその裏面の光感応素子を充分に刺激する光量が達して、この状態の該素子の光感応信号によつて検出回路を点棒感知入来状態に作動させることができ、同時に計算回路にカウント信号を送り出すことができる。」(第2頁右下欄第15行〜第3頁左上欄第2行)、
(7)「各受皿3a乃至3dに人為的に分類して投入された点棒13はそれぞれの受皿3a乃至3dごとに棒数をカウントされて、受皿3a乃至3dの各受皿ごとに分類された点棒13の一本の重み(一本の表示点数)を棒数に乗じて点数算出を行い、且受皿3a乃至3dの総和を行つて総点数を算出す」(第3頁左上欄第15行〜第20行)、
(8)「不透過性材からなる点棒によつて光遮断による検出動作を行うように構成してもよい。」(第3頁右下欄第1行〜第3行)、
(9)「傾斜した側壁を持つ受皿はその開口部が広いから、点棒の投入れ及び摘み出しに便利である」(第3頁右下欄第4行〜第5行)

と記載されている。
したがって、以上の事項を総合すると、引用刊行物1には、

「点棒受皿の対向壁の小透孔の裏面に配置された光感応素子により、前記点棒受皿に積み重ねられた点棒を検出し、検出された棒数により持ち点を算出し表示する麻雀台。」

という発明(以下、「引用刊行物1記載の発明」という)が記載されている。

2.2 引用刊行物2について
また、同じく原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用された実公昭57-1982号公報(以下、「引用刊行物2」という)には、図面とともに、

(10)「点数に対応した重量を有する点数標示チツプ群と、これらのチツプ群を各家ごとに収容するチツプ収容体と、このチツプ収容体に収容されたチツプ群の総重量の各家ごとに計量して点数信号を送出するカウンタと、このカウンタから送出された点数信号を各家ごとに表示する点数表示器と、 (中略) を具備したことを特徴とするマージヤン持点数確認装置」(第1頁左欄第18行〜第28行)、
(11)「これらのチツプ群8は第2図から明らかな如く、標示点数に応じて特定の重量を呈する如く、その厚みを異ならせたものとなつている。」(第2頁左欄第5行〜第7行)、
(12)「これらのチツプ8a,8b,8c,8dは各家ごとに配設されるチツプ収容体9に収容されるものとなつている。上記チツプ収容体9は箱形をなすケース10の上面に、チツプ保持棒11a,11b,11c,11dを植設し、これらのチツプ保持棒11a〜11dに前記各点標示用のチツプ8a〜8dの中心孔を嵌合させて積み重ね得るようにしたものである。上記各チツプが積み重ねられる保持棒11a〜11dの植設基端部位には、チツプ載置ベース12a,12b,12c,12dが設けてある。これらのベース12a〜12dはそれぞれ計量器13a〜13dのはかり皿となつており、各ベース12a〜12d上に積み重ねられたチツプ8a〜8dの総重量が計量器13a〜13dにより計量されるものとなつている。計量器13a〜13dで計量された各計量値は、たとえば電子計量装置における如くパルス化されカウンタ14にて計数され且つ上記計数値が点数信号となつて接続コード6を介し、前記点数確認台Aへ転送されるものとなつている。」(第2頁左欄第13行〜第31行)、
(13)「たとえば前記実施例では各点数標示チツプの重量差を、厚みの差によつて生じさせるようにしたが、材質あるいは直径等を異ならせることによつて生じさせるようにしてもよい。」(第2頁右欄第42行〜第3頁左欄第1行)、
(14)「各家ごとの点数標示チツプの重量に応じた点数信号が各家ごとのカウンターから送出され、これが点数表示器に自動表示されるので、たとえゲーム途中であつても各家の持点数を正確に知ることができる」(第3頁左欄第7行〜第11行)

と記載されている。
したがって、以上の事項を総合すると、引用刊行物2には、

「マージヤンにおいて、計量器により点数標示チップ群の重量を計量し、計量された前記重量に応じた持点数を表示すること」

が記載されている。

2.3 周知例について
また、点数棒箱にセンサが取り付け可能であることが周知であることの例として、実願昭50-10628号(実開昭51-94774号)のマイクロフィルム(以下、「周知例1」という)、実願平1-1641号(実開平2-94592号)のマイクロフィルム(以下、「周知例2」という)には、各々以下の技術事項が図面とともに記載されている。

[周知例1]
(15)「載置される点棒の重量を検出する圧電素子等の重量検出体が設けられた点棒箱と、該点棒箱の重量検出体からの信号を受けて点数等の表示を行なう表示回路をとで成る麻雀等の遊戯における点数等の表示装置。」(第1頁第5行〜第9行)
(16)「(1)は麻雀台(A)等に取り付けられる点棒箱で、つまみ(1a)によつて引出可能になつており、内底には同一特性の2個の圧電素子(2)・(3)が装着され、その圧電素子(2)・(3)の上面には点棒箱(1)に接触しないように点棒載置板(4)が取り付けられている。」(第2頁第2行〜第7行)

[周知例2]
(17)「内側に導板7.を設けた点棒収納箱6に点棒を入れると、接触子5.と導板7.とが接し、導板7.から収納した点棒の抵抗値の総和Rが検出される。
この抵抗値Rが、表示器により整数値に換算され持ち点数として表示されるようになっている。」(第2頁第7行〜第13行)

3.対比・判断
3.1 対比
本願発明と引用刊行物1記載の発明を対比する。

(イ)引用刊行物1記載の発明における「点棒」、「持ち点」は、本願発明における「点数棒」、「持ち点数」に各々相当すると認められる。
(ロ)引用刊行物1記載の発明における「点棒受皿」と本願発明における「点数棒箱」は、いずれも「点数棒を収納する容器」であると認められる。
(ハ)引用刊行物1記載の発明における「光感応素子」は、光に感応して光感応信号を出力する点からみて「センサ」の一種であると認められる。そうすると、引用刊行物1記載の発明と本願発明は、いずれも「センサ」を用いて「持ち点数を算出」するものであると認められる。
(ニ)引用刊行物1記載の発明における「麻雀台」と本願発明における「点数計数麻雀卓」は、いずれもその天板上で麻雀を行うための用具であって、かつ、持ち点を算出し表示する機能を有する用具であると認められる(以下、そのような用具を「点数計数機能付麻雀用具」という)。

そうすると、本願発明と引用刊行物1記載の発明は、

「点数棒を収納する容器に取り付けられたセンサを用いて持ち点数を算出し表示する点数計数機能付麻雀用具。」

である点で一致し、次の2つの点において相違しているものと認められる。

[相違点1]
前記「点数棒を収納する容器に取り付けられたセンサを用いて持ち点数を算出し表示する」ための具体的構成について、本願発明においては、前記「センサ」が重量を計測するものであって、点数棒箱に取り付けられた当該センサにより前記点数棒箱に収納された点数棒の重量を計測し、計測された前記重量により持ち点数を算出し表示するのに対し、引用刊行物1記載の発明においては、前記「センサ」が光に感応する光感応素子であって、点棒受皿に取り付けられた当該センサにより前記点棒受皿に収納された点数棒を検出し、検出された棒数により持ち点数を算出し表示する点。

[相違点2]
前記「点数計数機能付麻雀用具」が、本願発明においては「麻雀卓」すなわちテーブル状のものであって、脚を有するのに対し、引用刊行物1記載の発明においては「麻雀台」であって、テーブルにあるような脚を有してはいない点。

3.2 判断
前記相違点1及び相違点2について検討する。

(相違点1について)
引用刊行物2に記載された前記「計量器」は、重量を計量すなわち計測するセンサであると認められるから、引用刊行物2には、「麻雀において、センサにより点数標示チツプの重量を計測し、計測された前記重量に応じた持ち点数を表示すること」という発明が記載されている(以下、「引用刊行物2記載の発明」という)。
ところで、前記「点数標示チツプ」は麻雀に用いられる点数標示用具の一種であるが、麻雀における点数標示用具としては、「点数棒」が前記「点数標示チツプ」よりもより広く用いられているから、点数標示用具として「点数棒」を用いているものに対しても、前記引用刊行物2記載の発明を適用しようとすること、すなわち、当該「点数棒」の重量を計測し、計測された前記重量に応じた持ち点数を表示するようにすることは当業者が容易に着想し得ることであると認められる。
また、麻雀台又は麻雀卓において、「点数棒箱」は点数棒を収納する容器として周知の手段であり、かつ、当該点数棒箱にセンサが取り付け可能なことは、例えば前記周知例1(「点棒箱」にセンサである「重量検出体」を設けている)及び周知例2(「点棒収納箱」にセンサである「導板」を設けている)にも記載されているように周知の事項である。
したがって、「点数棒」を用いる引用刊行物1記載の発明において、点数棒を収納する容器に取り付けられたセンサを用いて持ち点数を算出し表示するための具体的構成として、引用刊行物2記載の発明のように重量を計測するセンサを用いることによって前記点数棒の重量を計測し、計測された前記重量に応じた持ち点数を表示するようにするとともに、前記周知の点数棒箱を前記センサが取り付けられる点数棒を収納する容器として用いるようにすることは、当業者にとって格別困難なことであるとは認められない。
そして、重量に応じた持ち点数を表示するためには、重量を持ち点数に変換する必要があるが、引用刊行物1記載の発明において棒数により持ち点数を算出したのと同様に、重量により持ち点数を算出するようにすることは、当業者が適宜設計し得る事項にすぎないことと認められる。
よって、本願発明の前記相違点1に係る構成は、当業者が容易に想到し得る程度のことと認められる。

(相違点2について)
麻雀は一般にテーブル状の麻雀卓で行うものであり、脚を有しない麻雀台も、実際に使用する際には脚を取り付けられるか、あるいは、テーブル状の物の上に載置されるかして、全体としてテーブル状の麻雀卓として用いられるのが普通である。したがって、引用刊行物1記載の発明の「麻雀台」において、脚を取り付けることによって本願発明のような「麻雀卓」とすることは、当業者が容易に想到し得る程度のことと認められる。

そして、本願発明の効果も、前記引用刊行物1及び2記載の発明及び前記周知技術から当業者が予測できる範囲のものと認められる。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物1及び2に記載された発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-12-25 
結審通知日 2004-01-06 
審決日 2004-01-20 
出願番号 特願2001-6219(P2001-6219)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 國分 直樹
塩崎 進
発明の名称 点数計数麻雀卓及び点数計数麻雀卓用点数棒  
代理人 南條 眞一郎  
代理人 南條 眞一郎  

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