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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E06B
管理番号 1095524
審判番号 不服2003-1009  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-04-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-16 
確定日 2004-04-16 
事件の表示 平成11年特許願第286915号「巻取式スクリーン装置」拒絶査定に対する審判事件[平成13年 4月17日出願公開、特開2001-107667]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の請求項1に係る発明
本願は、平成11年10月7日に出願されたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願の請求項1に係る発明」という。)は、平成13年1月17日付け及び平成14年10月16日付けの手続補正により補正された明細書及び平成13年1月17日付けの手続補正により補正された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「スクリーンを巻き付けた巻取軸を回転自在に支持し、該スクリーンの対向縁部の少なくとも一方をガイドレールでガイドさせて、巻取軸の正逆回転によりスクリーンの繰り出し及び巻き取りを可能とした巻取式スクリーン装置において、
上記巻取軸をスクリーンの開閉操作用の可動框に回転自在に支持させ、スクリーンの先端をスクリーン枠に固定し、
上記ガイドレール及びそれによってガイドされるスクリーンの縁部に、相互の磁気吸着により該スクリーンのガイドレールからの離脱を抑止する磁気吸着部材を付設した、
ことを特徴とする巻取式スクリーン装置。」

2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された特開平8-303158号公報(以下、「引用文献1」という。)には、
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ネット巻き取り手段を内蔵したネット収納箱を左右に動かすことにより開閉するロール式横引き網戸に関するものである。」、
「【0006】また、第2発明は、上記上框部材、下框部材の、上記ネットに向かう面に、マジックテープを構成する2種類シート材の内の多数のループ材を植設したシート材と対をなすシート材を貼着するとともに、上記ネット収納箱に上記面に貼着したシート材に上記ネットを転動しつつ押圧する押圧ローラを設けて形成した。
【0007】
【作用】……第2発明のように構成することにより、第1発明における作用に加えて、ネットと上框部材,下框部材との間の隙間がなくなる。
【0008】
【実施例】次に、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。図1〜3は、第1,第2発明の第1実施例に係るロール式横引き網戸を示し、枠体1とネット2とネット収納箱3とからこの網戸は構成されている。枠体1は、上框部材11,下框部材12およびこれらの部材の両端部に固定した縦框部材13とから構成されている。上框部材11,下框部材12は、長手方向に垂直な断面において、横方向に、かつ内方に突出した二つのガイド部14を備えた上レール,下レールのそれぞれを形成している。また、上框部材11,下框部材12のネット2に向かう面には、マジックテープを構成する2種類シート材の内の多数のループ材を植設したシート材と対をなすシート材15が貼着してある。
【0009】ネット2の縦方向の一方の端部、即ち本実施例では図1において右側の端部が押さえ部材21により縦框部材13に固定されている。ネット収納箱3は、ネット2をばね力により巻き取る巻き取り手段31を内蔵し、上,下端面にそれぞれ4個の回転可能な溝付きのガイドローラ32を備えている。……」と記載されており、
図2及び4には、「ネット2を巻き付けた巻取軸をネット収納箱3に回転自在に支持させ、巻き取り手段31を設け、ネット2の繰り出し及び巻き取りを可能にしていること。」が記載されている。
以上の記載によれば、引用文献1には、
「ネット2を巻き付けた巻取軸を回転自在に支持し、該ネット2の対向縁部を上框部材11及び下框部材12でガイドさせて、巻取軸の正逆回転によりネット2の繰り出し及び巻き取りを可能としたロール式横引き網戸において、
上記巻取軸をネット2の開閉操作用のネット収納箱3に回転自在に支持させ、ネット2の一方の端部を縦框部材13に固定し、上記上框部材11及び下框部材12のネット2に向かう面に、マジックテープを構成する2種類シート材の内の多数のループ材を植設したシート材と対をなすシート材15を貼着したロール式横引き網戸。」という発明が記載されていると認められる。

同じく、実願昭58-42768号(実開昭59-148893号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、
「(1)壁面の開口部を開閉可能としたスクリーンを有するロールブラインド装置において、上記開口部周辺の開口部枠乃至は開口部枠を固定する壁周面部と、上記開口部を閉成する如く展開した上記スクリーンのそれと対応する位置には、相互に磁気的結合をなしうる磁気的結合部材が配設され、開口部に対するスクリーンの展開閉成作用時にスクリーンは上記磁気的結合部材の結合によつてスクリーン内、外部間を無間隙状態で分断せしめ得る如く構成したことを特徴とする無間隙式ロールブラインド装置。」(明細書1頁実用新案登録請求の範囲第1項)、
「1はロールブラインド装置、2はそのスクリーンで、布或はプラスチツクシート等で形成されており、その引出し展開状態の第1図における裏面側には、後述する壁5の開口部に対する周面部分に配設された帯状磁石4に対応した位置に、磁性体粉を混入した帯状プラスチツクシート、或は磁性体の薄層板等からなる一方の磁気的結合部材としての帯状磁性体2aが、一体に接合或は埋め込まれる等して取付けられており、」(同5頁3〜12行)と記載されている。

同じく、特開平6-108763号公報(以下、「引用文献3」という。)には、
「【特許請求の範囲】 【請求項3】 防虫スクリーン両側端部に、磁石に引き付けられる金属を、コーティングし又は張り付け或は粉末状として樹脂と混合し塗布するかもしくは防虫スクリーン両側端部に磁石に引き付けられる金属を用い、防虫スクリーン留め枠に磁石を用いる事を特徴とする巻き取り式防虫スクリーン。」、
「【0010】実施例 3
(構成)防虫スクリーン両側端部に、フェライトを混入した樹脂を塗布し、防虫スクリーン留め枠内部には板状の磁石を設けた。また留め枠内部の板状磁石はレバー操作により位置の変更を行う事が出来る。
(機能)防虫スクリーンの開閉時は、レバーを操作して留め枠内部の板状磁石をスクリーンから遠ざける事により、抵抗なく開閉する事が出来る。また防虫スクリーンとしての使用状態ではレバー操作により防虫スクリーン留め枠内の板状磁石を防虫スクリーン側に接近させる事により、防虫スクリーンに塗布した樹脂に混入されているフェライトが防虫スクリーン留め枠内の板状磁石により引き付けられて、防虫スクリーンを留め枠に固定される。」と記載されている。

3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明と引用文献1記載の発明とを比較すると、引用文献1記載の発明の「ネット2」、「上框部材11及び下框部材12」、「ネット収納箱3」、「一方の端部」、「縦框部材13」は、本願の請求項1に係る発明の「スクリーン」、「ガイドレール」、「可動框」、「先端」、「スクリーン枠」に相当し、本願の請求項1に係る発明の「巻取式スクリーン装置」は、ロール式の防虫網戸を含むもので、スクリーンは横方向に巻取られるものであり、引用文献1記載の発明の「ロール式横引き網戸」と実質上差異がないといえるから、両者は、「スクリーンを巻き付けた巻取軸を回転自在に支持し、該スクリーンの対向縁部の少なくとも一方をガイドレールでガイドさせて、巻取軸の正逆回転によりスクリーンの繰り出し及び巻き取りを可能とした巻取式スクリーン装置において、上記巻取軸をスクリーンの開閉操作用の可動框に回転自在に支持させ、スクリーンの先端をスクリーン枠に固定し、スクリーンのガイドレールからの離脱を抑止する手段を設けた巻取式スクリーン装置。」である点で一致しているが、次の点で相違している。
(相違点)
スクリーンのガイドレールからの離脱を抑止する手段として、本願の請求項1に係る発明は、ガイドレール及びそれによってガイドされるスクリーンの縁部に、相互の磁気吸着により該スクリーンのガイドレールからの離脱を抑止する磁気吸着部材を付設したのに対して、引用文献1記載の発明は、上框部材11及び下框部材12のネット2に向かう面に、マジックテープを構成する2種類シート材の内の多数のループ材を植設したシート材と対をなすシート材15を貼着した点。

そこで、上記相違点について検討すると、本願の出願前、離脱を抑止する手段として、磁気吸着部材による手段も、面ファスナーによる手段も、普通に行なわれていることであり、又、巻取式スクリーン装置において、開口部枠又は留め枠と展開したスクリーンのそれと対応する位置に、相互に磁気的結合をなし得る磁気的結合部材を配設し、スクリーンの展開閉成時には、その磁気結合作用により、スクリーンを開口部枠又は留め枠に固着することは、引用文献2、3に記載されているように周知の技術事項にすぎないから、上記相違点において、引用文献1記載の発明に代えて本願の請求項1に係る発明のようにすることは、当業者であれば、必要に応じて容易に設計変更できることにすぎない。

4.むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、上記引用文献1記載の発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-02 
結審通知日 2004-02-10 
審決日 2004-02-24 
出願番号 特願平11-286915
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉岡 麻由子  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 佐藤 昭喜
藤原 伸二
発明の名称 巻取式スクリーン装置  
代理人 林 直生樹  
代理人 林 宏  
代理人 後藤 正彦  

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