ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61G |
---|---|
管理番号 | 1095947 |
審判番号 | 不服2001-13173 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-02-15 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-07-26 |
確定日 | 2004-04-30 |
事件の表示 | 平成4年特許願第214586号「病人用ベッド」拒絶査定不服審判事件〔平成6年2月15日出願公開、特開平6-39002号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年7月20日の特許出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年7月26日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。 「ベッドフレームの内側の空間に浴槽が出し入れ可能に設置される病人用ベッドにおいて、ベッドフレームの足側に設けられたドラムと、一側が前記ベッドフレームの頭部側に固定されると共に他側が前記ドラムに緊張および弛緩可能に取付けられたネットと、を具備したことを特徴とする病人用ベッド。」 2.引用刊行物の記載 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特公昭57-30504号公報(以下、「引用刊行物」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 (イ)「本発明はこのような欠陥のない患者用入浴装置を目的として完成されたもので、以下、図示の実施例について詳細に説明する。 1はパイプ材を折曲げて矩形状に形成した上部枠2に車台枠3が固着されたフレームであって、該フレーム1には上半身支持部5と下半身支持部6とを枢動自在に連結してなるベッド本体4が上昇時には上半身支持部5と下半身支持部6とが水平に保持されるが下降時には略水平の下半身支持部6に対し上半身支持部5が所定の角度をもって起立されるように取付けられるものである ・・・ また、上半身支持部5と下半身支持部6は前記枠部5a,6aに網状のマット12を張設したもので、 ・・・ また、下半身支持部6の基端部には伸縮自在なパンタグラフ13の下端部が固着されて該パンタグラフ13の上端部に枢支される2個の雌ねじ14,14は互に逆ねじが切られたねじ棒15に螺合され、該ねじ棒15は上部枠2に取付けた軸受16,16に軸支されるとともに該ねじ棒15の端部にはハンドル17が取付けられ、また、前記の軸受16,16間には渦巻ばね入りの巻回ローラ18が設けられて該巻回ローラ18にはマット19が巻回され、該マット19はパンタグラフ13を覆ってベッド本体4側に引出され、該マット19の先端部は下半身支持部6の基端部に連結されている。」(公報第2欄第5行〜第3欄第4行) (ロ)「このように構成されたものは、ベッド本体4上に患者を仰臥させたうえフレーム1の矩形状の上部枠2に固着した自在車輪24付の車台枠3の該自在車輪24をもって浴室イ内に搬入して浴槽28上に跨がらせ」(公報第3欄第20〜24行) (ハ)「ベッド本体4は中間より折曲げられて浴槽28内に入り込むから、ベッド本体4上の患者は無理のない姿勢で入浴できることとなる。しかして、入浴が終わったのちは、ハンドル17を前記と逆方向に回転させてベッド本体4を第1図に示す正常の状態に復帰させて浴室外の所定の箇所へ運搬すればよく」(公報第4欄第9〜15行) (ニ)第2図には、フレーム1の足側に巻回ローラ18を設けることが示されている。 これらの記載及び図示内容を総合すると、引用刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「フレーム1の矩形状の上部枠2に固着した自在車輪24付の車台枠3の該自在車輪24をもって浴室イ内に搬入して浴槽28上に跨がらせ、入浴が終わったのちは、浴室外の所定の箇所へ運搬する患者用入浴装置であって、下半身支持部6の基端部に連結されたマット19が巻回された渦巻ばね入りの巻回ローラ18をフレーム1の足側に設け、フレーム1には枠部5a,6aに網状のマット12を張設した上半身支持部5と下半身支持部6とを枢動自在に連結してなるベッド本体4が上昇時には上半身支持部5と下半身支持部6とが水平に保持されるが下降時には略水平の下半身支持部6に対し上半身支持部5が所定の角度をもって起立されるように取付けられる患者用入浴装置。」 3.対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「フレーム1の矩形状の上部枠2に固着した自在車輪24付の車台枠3の該自在車輪24をもって浴室イ内に搬入して浴槽28上に跨がらせ、入浴が終わったのちは、浴室外の所定の箇所へ運搬する」は、その作用・機能からみて本願発明の「ベッドフレームの内側の空間に浴槽が出し入れ可能に設置される」に相当し、以下同様に「患者用入浴装置」は「病人用ベッド」に、「巻回ローラ18」は「ドラム」に、「巻回された」は「取付けられた」に、それぞれ相当するものと認められる。 そして、引用発明における「枠部5a,6aに網状のマット12を張設した上半身支持部5と下半身支持部6とを枢動自在に連結してなるベッド本体4」及び「下半身支持部6の基端部に連結されたマット19」と本願発明の「ネット」とは「網状の折曲可能部材」という概念で共通するといえるものであるし、また、引用発明における「上昇時には上半身支持部5と下半身支持部6とが水平に保持されるが下降時には略水平の下半身支持部6に対し上半身支持部5が所定の角度をもって起立される」と本願発明の「緊張および弛緩可能」とは「二位置に移動可能」という概念で共通するといえることから、両者はいずれも 「ベッドフレームの内側の空間に浴槽が出し入れ可能に設置される病人用ベッドにおいて、ベッドフレームの足側に設けられたドラムと、ドラムに二位置に移動可能に取付けられた網状の折曲可能部材とを具備する病人用ベッド」である点で一致し、次の点で相違していると認められる。 [相違点] ドラムに二位置に移動可能に取付けられた網状の折曲可能部材に関して、 本願発明が、「一側がベッドフレームの頭部側に固定されると共に他側が」ドラムに「緊張および弛緩可能に」取付けられた「ネット」であるのに対し、 引用発明が、ベッドフレームの足側に設けらたドラムに「上昇時には上半身支持部5と下半身支持部6とが水平に保持されるが下降時には略水平の下半身支持部6に対し上半身支持部5が所定の角度をもって起立される」ように取付けられた「『枠部5a,6aに網状のマット12を張設した上半身支持部5と下半身支持部6とを枢動自在に連結してなるベッド本体4』及び『下半身支持部6の基端部に連結されたマット19』」である点。 そこで、上記相違点について検討する。 一側がフレームの頭部側に固定されると共に他側が緊張および弛緩可能に取付られたネットは、当該技術分野において周知の技術(例として、実公昭52-26235号公報参照。)であったといえるから、引用発明に上記周知技術を採用して上記相違点に係る本願発明の構成に想到することは当業者であれば容易になし得ることといえる。 そして、本願発明により奏される効果は、引用発明及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。 したがって、本願発明は引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-03-03 |
結審通知日 | 2004-03-03 |
審決日 | 2004-03-16 |
出願番号 | 特願平4-214586 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61G)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 生越 由美、稲村 正義、石川 太郎、土田 嘉一 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
藤原 直欣 和泉 等 |
発明の名称 | 病人用ベッド |
代理人 | 萼 経夫 |