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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E05D |
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管理番号 | 1096345 |
異議申立番号 | 異議2003-72546 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-08-02 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-10-17 |
確定日 | 2004-05-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3398813号「蝶番」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3398813号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件発明 本件特許第3398813号(平成11年1月26日出願、平成15年2月21日設定登録)の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 開閉可能な扉と本体間に取り付けられ、縦長の第一部材と第二部材とからなる脱着形の蝶番において、 該第一部材の取付板部における上部と下部の縁部に、各々軸受孔を持つ軸受部材が軸心位置を1本の軸線上に一致させてかしめ加工により固定され、該第二部材の取付板部における上部と下部の縁部に、各々巻付部にピンを挿入・固定した軸保持部材が軸心位置を1本の軸線上に一致させてかしめ加工により固定され、該両ピンが該第一部材の各軸受孔に挿入して組み付けられ、該第一部材及び第二部材の取付板部は、該本体及び扉の内側縦縁部全体に渡って取り付けられる長さに形成され、該第一部材又は第二部材の取付板部の縁部に、扉と本体との間の隙間を塞ぐための隙間閉塞部が取付板部の長手方向全体に延設されていることを特徴とする蝶番。」 2.特許異議の申立ての理由 特許異議申立人荒川浩二は、下記の甲第1号証〜甲第5号証を提出して、本件発明は、甲第1号証〜甲第5号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである旨主張する。 甲第1号証:特開平10-201922号公報 甲第2号証:特開平6-81534号公報 甲第3号証:実願昭61-42803号(実開昭62-153604号)のマイクロフィルム 甲第4号証:実願昭61-71044号(実開昭62-183884号)のマイクロフィルム 甲第5号証:実願昭61-71045号(実開昭62-183885号)のマイクロフィルム 3.特許異議の申立てについての判断 3-1.甲号各証の記載事項 甲第1号証には、3欄13〜50行、4欄9〜15行及び図1〜8の記載からみて、「開閉可能な前面枠21と本体枠20間に取り付けられ、縦長の固定部材11と可動部材1とからなる脱着形の蝶番において、該固定部材11の取付板部12における上部と下部の縁部に、各々軸受孔を持つ軸受部13,14が軸心位置を1本の軸線上に一致させて設けられ、該可動部材1の取付板部2における上部と下部の縁部に、各々巻付部3,4にピン5,6を挿入・固定したものが軸心位置を1本の軸線上に一致させて設けられ、該両ピン5,6が該固定部材11の各軸受孔に挿入して組み付けられた蝶番。」の発明が記載されているものと認められる。 甲第2号証には、開閉側の側板1と固定側側板4間に取り付けられ、雌ブロック3と雄ブロック5、円錐体6とからなる蝶番において、円錐孔2を持つ雌ブロック3が軸線を一直線にした状態で開閉側の側板1に固定され、円錐体6を一体化した雄ブロック5が円錐体6と円錐孔2との嵌合によって軸直角方向に相対位置決めされた状態で固定側側板4に固定され、該円錐体6が雌ブロック3の円錐孔2に挿入して組み付けられた蝶番が記載されている。 甲第3号証には、重ね合わせた磁性薄板をカシメ嵌合して固着することが記載されている。 甲第4号証には、開閉可能なガラス板と木枠K間に取り付けられ、縦長のガラス扉枠2と外枠1とからなる支承部において、ガラス扉枠2及び外枠1は、木枠K及びガラス板の保持板部2bの外側縦縁部全体に渡って取り付けられる長さに形成され、該ガラス板の保持板部2bの裏部に、ガラス板を木枠Kに係止するための係止片3が取り付けられてなる支承部が記載されている。 甲第5号証には、開閉可能なガラス板と木枠K間に取り付けられ、縦長のガラス扉枠2と外枠1とからなる支承部において、ガラス扉枠2及び外枠1は、木枠K及びガラス板の保持板部2bの外側縦縁部全体に渡って取り付けられる長さに形成され、該ガラス板の保持板部2bの裏部に、ガラス板と木枠Kとの間の隙間を塞ぐための遮蔽片3が取り付けられてなる支承部が記載されている。 3-2.対比・判断 本件発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載の発明の「前面枠21」は本件発明の「扉」に相当し、以下同様に、「本体枠20」は「本体」に、「固定部材11」は「第一部材」に、「可動部材1」は「第二部材」に、それぞれ相当し、本件発明の「軸受部材」は「軸受部」といえ、甲第1号証記載の発明の「巻付部3,4にピン5,6を挿入・固定したもの」及び本件発明の「巻付部にピンを挿入・固定した軸保持部材」は、ともに軸保持部といえるから、両者は、「開閉可能な扉と本体間に取り付けられ、縦長の第一部材と第二部材とからなる脱着形の蝶番において、該第一部材の取付板部における上部と下部の縁部に、各々軸受孔を持つ軸受部が軸心位置を1本の軸線上に一致させて構成され、該第二部材の取付板部における上部と下部の縁部に、各々巻付部にピンを挿入・固定した軸保持部が軸心位置を1本の軸線上に一致させて構成され、該両ピンが該第一部材の各軸受孔に挿入して組み付けられた蝶番。」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1:本件発明は、軸受部を構成する軸受部材がかしめ加工により第一部材に固定され、軸保持部を構成する軸保持部材がかしめ加工により第二部材に固定されたのに対し、甲第1号証記載の発明は、軸受部13,14が固定部材11に一体に設けられ、軸保持部が可動部材1に一体に設けられた点。 相違点2:本件発明は、第一部材及び第二部材の取付板部は、本体及び扉の内側縦縁部全体に渡って取り付けられる長さに形成され、該第一部材又は第二部材の取付板部の縁部に、扉と本体との間の隙間を塞ぐための隙間閉塞部が取付板部の長手方向全体に延設されているのに対し、甲第1号証記載の発明は、そのような構成を備えていない点。 そこでまず上記相違点2について検討すると、甲第5号証には、ガラス扉枠2(本件発明の「第一部材」に相当する。以下、同様。)及び外枠1(第二部材)は、木枠K(本体)及びガラス板(扉)の保持板部2bの外側縦縁部全体に渡って取り付けられる長さに形成され、該ガラス板(扉)の保持板部2bの裏部に、ガラス板(扉)と木枠K(本体)との間の隙間を塞ぐための遮蔽片3(隙間閉塞部)を取り付けることが記載されている。しかしながら、該ガラス扉枠及び外枠は、木枠及びガラス板の内側に取り付けられるものではないし、該遮蔽片は、ガラス板の外側に取り付けられたガラス扉枠とは逆側の、ガラス板の内側に取り付けられており、ガラス扉枠とは別体のもので、ガラス扉枠に延設されたものでもない。 また、甲第2,3,4号証にも、本件発明の相違点2に係る構成は記載されていない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明は甲第1号証〜甲第5号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2004-04-08 |
出願番号 | 特願平11-17611 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(E05D)
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最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
藤原 伸二 新井 夕起子 |
登録日 | 2003-02-21 |
登録番号 | 特許第3398813号(P3398813) |
権利者 | 中東産業株式会社 |
発明の名称 | 蝶番 |
代理人 | 飯田 昭夫 |
代理人 | 飯田 堅太郎 |