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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E02F
管理番号 1097985
異議申立番号 異議2003-71291  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-09-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-19 
確定日 2004-04-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3344711号「攪拌・混合式土質改良機械」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3344711号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3344711号の請求項1〜6に係る発明についての出願は、平成12年3月9日に特許出願され、平成14年8月30日にその発明についての特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人西口和博より特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成15年9月22日に意見書とともに訂正請求がなされ、その後、再度の取消の理由が通知され、その指定期間内である平成16年2月13日に意見書とともに訂正請求がなされ、平成15年9月22日付け訂正請求は取り下げられたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成16年2月13日付け訂正請求で特許権者が求めている訂正の内容は以下の(1)〜(3)のとおりである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲を次のとおりに訂正する。
「 【請求項1】
土砂供給手段と、
土質改良材供給手段と、
前記土砂供給手段から供給される土砂と前記土質改良材供給手段から供給される土質改良材とからなる混合材料を搬送する混合材料搬送コンベアと、
この混合材料搬送コンベアから供給された混合材料を流入させる導入部と生成した改良土を排出する排出部とを有する混合容器、前記導入部から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成する攪拌・混合手段、及び前記攪拌・混合手段の駆動手段である攪拌・混合用油圧モータを備える処理機構部と、
この処理機構部での改良土の処理状態として前記攪拌・混合手段の回転数又は前記攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する検出手段と、
この検出手段により前記処理機構部での負荷の上昇を検出した際に前記混合材料の供給量を減少させるように前記混合材料搬送コンベアの送り速度を減速させる制御を行う制御手段と
を備えたことを特徴とする攪拌・混合式土質改良機械。
【請求項2】
前記土質改良材供給手段は、土質改良材の供給量調整手段を備え、前記混合材料搬送コンベアの送り速度の減速に応じてこの供給量調整手段による土質改良材の供給量を減少させるように調整することを特徴とする請求項1記載の攪拌・混合式土質改良機械。
【請求項3】
前記土質改良材供給手段はロータを有するフィーダを備え、このロータをモータで駆動するようにし、前記供給量調整手段はこのモータの回転数を変化させるものであることを特徴とする請求項2記載の攪拌・混合式土質改良機械。」

(2)訂正事項b
明細書の段落【0009】を次のとおりに訂正する。
「 【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、土砂供給手段と、土質改良材供給手段と、前記土砂供給手段から供給される土砂と前記土質改良材供給手段から供給される土質改良材とからなる混合材料を搬送する混合材料搬送コンベアと、この混合材料搬送コンベアから供給された混合材料を流入させる導入部と生成した改良土を排出する排出部とを有する混合容器、前記導入部から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成する攪拌・混合手段、及び前記攪拌・混合手段の駆動手段である攪拌・混合用油圧モータを備える処理機構部と、この処理機構部での改良土の処理状態として前記攪拌・混合手段の回転数又は前記攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する検出手段と、この検出手段により前記処理機構部での負荷の上昇を検出した際に前記混合材料の供給量を減少させるように前記混合材料搬送コンベアの送り速度を減速させる制御を行う制御手段とを備える構成としたことをその特徴とするものである。」

(3)訂正事項c
明細書の段落【0011】を次のとおりに訂正する。
「処理機構部の構成としては、混合容器と、この混合容器内に装着され、混合材料を所定の方向に移送しながら攪拌・混合を行う回転式ミキシング手段と、この回転式ミキシング手段を駆動する攪拌・混合用油圧モータとから構成することができる。この場合には、改良土の排出状態を検出する検出手段は回転式ミキシング手段の回転数、又は攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する構成とすることができる。一方、混合材料搬送コンベアは油圧モータで構成することができ、この場合には、制御手段は攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧が上昇した時に、この搬送用油圧モータへの供給流量を少なくするように調整する構成とするのが望ましい。」

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正請求に係る訂正事項aは、請求項3〜5を削除し、請求項6を新たな請求項3とするとともに、請求項1の「混合材料搬送コンベアから供給された混合材料を流入させる導入部、この導入部から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成する攪拌・混合手段、その生成した改良土を排出する排出部、及び前記攪拌・混合手段の駆動手段を備える処理機構部」を「混合材料搬送コンベアから供給された混合材料を流入させる導入部と生成した改良土を排出する排出部とを有する混合容器、前記導入部から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成する攪拌・混合手段、及び前記攪拌・混合手段の駆動手段である攪拌・混合用油圧モータを備える処理機構部」に、「処理機構部での改良土の処理状態を検出する検出手段」を「処理機構部での改良土の処理状態として前記攪拌・混合手段の回転数又は前記攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する検出手段」に、さらに、「検出手段による改良土の処理状態の変化に応じて前記混合材料搬送コンベアの送り速度を変化させる制御手段」を「検出手段により前記処理機構部での負荷の上昇を検出した際に前記混合材料の供給量を減少させるように前記混合材料搬送コンベアの送り速度を減速させる制御を行う制御手段」に限定し、請求項2の「前記混合材料搬送コンベアの送り速度に応じてこの供給量調整手段による土質改良材の供給量を調整する」を「前記混合材料搬送コンベアの送り速度の減速に応じてこの供給量調整手段による土質改良材の供給量を減少させるように調整する」に限定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、訂正事項b〜cは、特許請求の範囲の訂正事項aに対応させたもので、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.特許異議申立について
1.申立の理由の概要
特許異議申立人西口和博は、特許第3344711号の請求項1〜6(全請求項)に係る発明は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項に規定する発明に該当し、その特許は特許法第113条第1項第2号に該当するので取り消されるべきものである旨主張している。

・甲第1号証:特開2000-45263号公報
・甲第2号証:特開平2-229314号公報
・甲第3号証:実公昭63-2520号公報
・甲第4号証:特開平11-267545号公報
・甲第5号証:特開平8-299838号公報
・甲第6号証:特開平7-116541号公報

2.本件発明
上記「第2」に記載したように、平成16年2月13日付けの訂正が認められるから、本件特許第3344711号の請求項1〜3(全請求項)に係る発明は、上記訂正請求書により訂正された特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記第2.(1)訂正事項a参照。以下、請求項1〜3に係る発明を「本件発明1」〜「本件発明3」という。)

3.取消理由で引用された刊行物に記載された発明
(1)特開2000-45263号公報(甲第1号証、以下、「刊行物1」という。)の段落【0001】、【0017】、【0018】、【0020】、【0024】、【0025】、【0027】、【0028】、【0029】、【0030】、【0035】、【0036】、【図1】〜【図18】の記載によれば、刊行物1には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「土砂ホッパ20と、
土質改良材ホッパ30と、
前記土砂ホッパ20から供給される土砂と前記土質改良材ホッパ30から供給される土質改良材とからなる混合材料を搬送する搬送コンベア10と、
この搬送コンベア10から供給された混合材料を流入させる導入用筒体62と生成した改良土を排出する排出用筒体63とを有する処理槽60、前記導入用筒体62から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成するパドルミキサ64、及び前記パドルミキサ64の駆動手段である油圧モータ70を備える処理機構部4とを備えた攪拌・混合式土質改良機械。」

(2)実公昭63-2520号公報(甲第3号証、以下、「刊行物2」という。)の第2頁第3欄第10〜15行、第2頁第3欄第36〜42行、第2頁第4欄第14〜15行、第3頁第5欄第7〜13行、第3頁第6欄第7〜10行の記載によれば、以下の事項が記載されているものと認められる。
停止部に土砂等が供給されて詰まること、つまり、混合機への供給過剰状態を防止するために、混合機5での改良土の処理の停止を検出する圧力スイッチ24と、この圧力スイッチ24による改良土の処理の停止に応じて土砂定量供給機2及び土質改良剤定量供給機4を停止させる制御手段を有する土質改良装置。

4.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「土砂ホッパ20」、「土質改良材ホッパ30」、「搬送コンベア10」、「導入用筒体62」、「排出用筒体63」、「処理槽60」、「パドルミキサ64」、及び、「油圧モータ70」は、それぞれ本件発明1の「土砂供給手段」、「土質改良材供給手段」、「混合材料搬送コンベア」、「導入部」、「排出部」、「混合容器」、「攪拌・混合手段」、及び、「駆動手段」に相当するから、本件発明1と刊行物1記載の発明は、
「 土砂供給手段と、
土質改良材供給手段と、
前記土砂供給手段から供給される土砂と前記土質改良材供給手段から供給される土質改良材とからなる混合材料を搬送する混合材料搬送コンベアと、
この混合材料搬送コンベアから供給された混合材料を流入させる導入部と生成した改良土を排出する排出部とを有する混合容器、前記導入部から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成する攪拌・混合手段、及び前記攪拌・混合手段の駆動手段である攪拌・混合用油圧モータを備える処理機構部とを備えたことを特徴とする攪拌・混合式土質改良機械。」
の点で一致しており、以下の点で相違している。

相違点:本件発明1が、処理機構部での改良土の処理状態として前記攪拌・混合手段の回転数又は前記攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する検出手段と、この検出手段により前記処理機構部での負荷の上昇を検出した際に前記混合材料の供給量を減少させるように前記混合材料搬送コンベアの送り速度を減速させる制御を行う制御手段とを備えたのに対し、刊行物1記載の発明は、そのような検出手段及び制御手段を有していない点。
上記相違点について検討すると、刊行物2には、混合機への供給過剰状態を防止するために、混合機5での改良土の処理の停止を検出する圧力スイッチ24と、この圧力スイッチ24による改良土の処理の停止に応じて土砂定量供給機2及び土質改良剤定量供給機4を停止させる制御手段は記載されているものの、その検出手段は、改良土の処理の停止を検出(処理が行われているか否かの検出)する圧力スイッチ24であり、本件発明1のように攪拌・混合手段の回転数又は前記攪拌・混合用油圧モー夕へ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出(処理量の検出)するものではない。また、制御手段に関して、刊行物2記載のものは、砂定量供給機2及び土質改良剤定量供給機4を停止(供給の中断)させるものであって、本件発明1のように、混合材料の供給量を減少させるように前記混合材料搬送コンベアの送り速度を減速(供給量の減少)させるものではない。
そして、本件発明1の上記相違点1に係る構成により、処理を中断することなく、効率的に土質改良処理を継続することができるものであって、本件発明1の上記相違点1に係る構成は、刊行物2に記載も示唆もなく、また、甲第2、4〜6号証にも記載も示唆もない

したがって、本件発明1は、上記甲第1〜6号証記載の発明から、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1を限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、上記甲第1〜6号証記載の発明から、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、本件発明1〜3についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
攪拌・混合式土質改良機械
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂供給手段と、
土質改良材供給手段と、
前記土砂供給手段から供給される土砂と前記土質改良材供給手段から供給される土質改良材とからなる混合材料を搬送する混合材料搬送コンベアと、
この混合材料搬送コンベアから供給された混合材料を流入させる導入部と生成した改良土を排出する排出部とを有する混合容器、前記導入部から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成する攪拌・混合手段、及び前記攪拌・混合手段の駆動手段である攪拌・混合用油圧モータを備える処理機構部と、
この処理機構部での改良土の処理状態として前記攪拌・混合手段の回転数又は前記攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する検出手段と、
この検出手段により前記処理機構部での負荷の上昇を検出した際に前記混合材料の供給量を減少させるように前記混合材料搬送コンベアの送り速度を減速させる制御を行う制御手段と
を備えたことを特徴とする攪拌・混合式土質改良機械。
【請求項2】
前記土質改良材供給手段は、土質改良材の供給量調整手段を備え、前記混合材料搬送コンベアの送り速度の減速に応じてこの供給量調整手段による土質改良材の供給量を減少させるように調整することを特徴とする請求項1記載の攪拌・混合式土質改良機械。
【請求項3】
前記土質改良材供給手段はロータを有するフィーダを備え、このロータをモータで駆動するようにし、前記供給量調整手段はこのモータの回転数を変化させるものであることを特徴とする請求項2記載の攪拌・混合式土質改良機械。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟弱な地盤を改良して地盤強化を行うため等に用いられ、土砂の品質を所定の目的に適うように改良する攪拌・混合式土質改良機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ガス管等の埋設、上下水道工事やその他の道路工事、基礎工事等においは、掘削による発生土をそのまま埋め戻すのが望ましい。しかしながら、発生土は様々な性質なり状態なりのものがあり、埋め戻しに適さないものは土質改良を行う。例えば、地盤改良工事の現場での発生土が、極めて細かく、しかも粘性の高い粘土質の土や、風化が進行し過ぎて固化が困難な土等というように、土質そのものが軟弱である場合、この発生土をそのまま埋め戻すと地盤沈下等が発生するおそれがある。
【0003】
土砂を固化する土質改良処理は、土砂と土質改良材とを混合させることにより行われるが、この土砂と土質改良材の混合方式の代表的なものとして、攪拌手段を用いたミキシング方式と、回転打撃子を備えた解砕方式とが従来から知られている。ミキシング方式は、タンク内に攪拌手段を設けて、このタンク内に土砂と土質改良材とを投入して、攪拌手段で均一に攪拌・混合するものである。例えば特開平10-317426号公報等に示されているミキシング方式の土質改良機械が知られている。この従来技術による土質改良機械は、混合容器の内部に、パドルミキサやスクリューミキサ等、回転式ミキシング手段を設ける構成としている。そして、この回転ミキシング手段は、混合容器内で混合材料である土砂と土質改良材とを移送しながら攪拌・混合する機能を発揮するものである。従って、混合容器の一方側から混合材料を流入させ、回転式ミキシング手段を作動させることにより混合材料を攪拌・混合して改良土を生成し、この混合容器の他側から排出できるようになる。従って、連続的に土質改良処理を行うことができ、処理効率が著しく高くなると共に、生成された改良土の品質等が極めて良好になる等の利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術における土質改良機械は、土砂の掘削手段を備えており、この掘削手段で土砂を処理機構部を構成する混合容器に直接土砂を供給するようにしている。ただし、処理機構部に土砂を直接供給する手段を備えていない場合には、別途油圧ショベル,ベルトコンベア等の機械から土砂を供給する。従って、このタイプの土質改良機械には土砂供給手段及び土質改良材供給手段を備え、これらから個別的に供給される土砂及び土質改良材を材料搬送コンベアを用いて処理機構部を構成する混合容器内に導くようにする。
【0005】
ここで、土質改良機械による土質改良処理を効率的に行うには、処理機構部を構成する混合容器にはできるだけ多量の混合材料を供給しなければならない。従って、材料搬送コンベアでは処理機構部の処理能力に見合った量の土砂及び土質改良材を供給するようになし、もって処理機構部における処理能力を最大限に発揮させるようにするのが一般的である。回転式ミキシング手段を用いていることから、混合容器内での移送量は回転式ミキシング手段の回転数に依存する。そこで、回転式ミキシング手段を土砂と土質改良材とを均一に混合させることを条件として、最大の回転速度で回転させるようになし、この回転数状態での混合材料の移送量に見合った量の混合量を混合容器に供給するように設定しておけば、最も効率的に土質改良処理が行える。
【0006】
ところで、土質改良処理の対象となる土砂の性質や状態は多様なものである。例えば、風化が進んだ砂質土にあっては、粘性が低く、または粘性が殆どないことから、回転式ミキシング手段は設定された最高回転数に維持して、土質改良材との混合及び攪拌を円滑かつ効率的に行うことができる。しかしながら、粘土質の土砂が混合容器内に流入させると、土砂が回転式ミキシング手段に纏わり付く等により排出方向への移送が円滑に行えなくなり、ミキシング手段への付着土砂量が多くなると、その回転数が低下することがある。また、小石や大きな粒径の礫等を含んだ土砂が混合容器内に流入すると、回転式ミキシング手段と混合容器の内面等との間にかみ込んで、その回転負荷が大きくなり、回転数が低下する可能性もある。
【0007】
以上のように、供給される土砂の性質や状態等によっては、混合容器内で作動している回転式ミキシング手段の回転数が変動することになり、生成された改良土の排出量が変動する。従って、混合材料搬送コンベアによる混合材料の供給量を回転式ミキシング手段の最高回転状態で混合容器内から排出される改良土に見合うように設定に維持すると、回転式ミキシング手段の作動状態が変化すると、混合容器への混合材料が供給過剰状態になってしまい、甚だしい場合には混合材料が混合容器の導入部から溢出することになる。従って、このような状態になる前に、混合材料搬送コンベアを停止する必要がある。この土質改良機械が有人運転されており、しかもオペレータが常に混合容器の内部を確認できる状態であれば、混合容器から混合材料が溢出する前に混合材料搬送コンベアを停止させることができるが、土質改良機械が無人運転されていたり、またオペレータが操作するにしても、混合容器の確認ができない場合には、このような事態に対処することはできない。また、混合材料搬送コンベアを停止させ、回転式ミキシング手段の作動を継続すれば、混合容器内の残量が減少するものの、新たに混合材料が供給されないのであるから、土質改良処理の効率性という観点からは、必ずしも望ましいものではない。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、どのような条件乃至状態の土砂が処理機構部に供給されても、円滑かつ確実に、しかも効率的に土質改良処理を行うことができ、かつ処理機構部の導入部に対する混合材料の供給過剰状態という事態が発生しないようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、土砂供給手段と、土質改良材供給手段と、前記土砂供給手段から供給される土砂と前記土質改良材供給手段から供給される土質改良材とからなる混合材料を搬送する混合材料搬送コンベアと、この混合材料搬送コンベアから供給された混合材料を流入させる導入部と生成した改良土を排出する排出部とを有する混合容器、前記導入部から流入した混合材料を攪拌・混合しながら移送し改良土を生成する攪拌・混合手段、及び前記攪拌・混合手段の駆動手段である攪拌・混合用油圧モータを備える処理機構部と、この処理機構部での改良土の処理状態として前記攪拌・混合手段の回転数又は前記攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する検出手段と、この検出手段により前記処理機構部での負荷の上昇を検出した際に前記混合材料の供給量を減少させるように前記混合材料搬送コンベアの送り速度を減速させる制御を行う制御手段とを備える構成としたことをその特徴とするものである。
【0010】
ここで、土砂供給手段の構成としては、例えば油圧ショベル等のように間欠的に土砂が投入され、またベルトコンベア等から連続的に土砂が供給される土砂ホッパから構成される。一方、土質改良材供給手段は所定量の土質改良材を貯留する容器を備え、この容器から混合材料搬送コンベアに土質改良材を供給することになる。従って、混合材料搬送コンベアの送り速度が変化した時にも、同じ量の土質改良材を供給したのでは、その混合比が変化することになる。これを防止するには、土質改良材供給手段には土質改良材の供給量調整手段を備えるようになし、混合材料搬送コンベアの送り速度に応じてこの供給量調整手段による土質改良材の供給量を調整するように構成すれば良い。土質改良材供給手段はロータを有するフィーダを備える構成とした場合には、このロータをモータで駆動するようになし、供給量調整手段はこのモータの回転数を変化させるものとする。
【0011】
処理機構部の構成としては、混合容器と、この混合容器内に装着され、混合材料を所定の方向に移送しながら攪拌・混合を行う回転式ミキシング手段と、この回転式ミキシング手段を駆動する攪拌・混合用油圧モータとから構成することができる。この場合には、改良土の排出状態を検出する検出手段は回転式ミキシング手段の回転数、又は攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧を検出する構成とすることができる。一方、混合材料搬送コンベアは油圧モータで構成することができ、この場合には、制御手段は攪拌・混合用油圧モータへ供給する可変容量ポンプの吐出圧が上昇した時に、この搬送用油圧モータへの供給流量を少なくするように調整する構成とするのが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1及び図2に土質改良機械の全体構成を示す。図中において、1は下部走行体であって、この下部走行体1は左右の履帯1aを有するクローラ式手段を備えている。なお、ホイール式等他の走行手段としても良く、また走行手段を備えない定置式の土質改良機械として構成することもできる。
【0013】
下部走行体1の上には車台を構成する本体フレーム2が設置され、この本体フレーム2には、混合材料供給部3,混合処理機構部4,改良土排出部5等が装備されている。処理の流れから見て、混合材料供給部3の配設位置が前方であり、上流側となる。つまり、本体フレーム2の前方から、混合材料供給部3,混合処理機構部4,改良土排出部5が配置され、かつ混合材料供給部3における混合材料の搬送方向は斜め上方であり、混合処理機構部4には上方から混合材料が供給される。また、混合処理機構部4で生成した改良土は下方に排出されるため、改良土排出部5はこの混合処理機構部4の下部位置にまで延在されている。改良土排出部5に排出された改良土は斜め上方に搬送される。さらに、混合処理機構部4の上部位置にはエンジン,油圧ポンプ,方向切換弁ユニット等の機械を内蔵した機械室6が設けられている。
【0014】
混合材料供給部3からは、土砂と土質改良材とからなる混合材料が混合比を制御した状態で処理機構部4に供給される。この混合材料供給部3は材料搬送コンベア10を有し、この材料搬送コンベア10の搬送方向の上流側に土質改良材供給手段としての土砂ホッパ20が設置され、土質改良材供給手段としての土質改良材ホッパ30は土砂ホッパ20より下流側に設置されている。
【0015】
図3に土質改良機構の構成を分解して示す。材料搬送コンベア10は、本体フレーム2の前端側から所定角度立ち上がるように傾斜して設けられている。材料搬送コンベア10は搬送ベルト11を有し、この搬送ベルト11はフレーム12に支持された駆動輪13と従動輪14との間に巻回して設けられ、従動輪14側には周知の張り調整機構を備えている。また、搬送ベルト11における搬送面を支持するために、この搬送面の下側には所定のピッチ間隔をもってガイドローラ15が設けられている。さらに、搬送ベルト11の搬送面における左右の両側部において、土砂ホッパ20の装着部より上流側の位置には規制板16,16が設けられており、この規制板16は搬送ベルト11による搬送高さを決定するものであり、これによって土砂の搬送量が制御される。
【0016】
土砂ホッパ20は、図4及び図5に示したように構成される。この土砂ホッパ20は概略枠状の部材からなり、その上下は開口している。この土砂ホッパ20は、その上端部が本体フレーム2に立設した支持部材17に固定して設けられており、その下端部は材料搬送コンベア10の傾斜角に応じた角度傾斜している。土砂ホッパ20を構成する四周の壁面のうち、材料搬送コンベア10の上流側に位置する壁面20aは、搬送ベルト11の表面に対して極僅かな隙間をもって対面しており、また両側部の壁面20b,20cは材料搬送コンベア10の規制板16に当接している。これによって、材料搬送コンベア10における端部位置は下流側を除いて、土砂ホッパ20の壁面20a,20b及び20cによりほぼ閉鎖状態になっている。
【0017】
土砂ホッパ20における材料搬送コンベア10の送り方向の下流側に位置する壁面20dの下端部は規制板16の高さとほぼ同じ高さ位置に配置されており、土砂ホッパ20における土砂の供給口21として機能する。また、土砂ホッパ20における壁面20dの外面側(または内面側)には外周面に押圧爪22aを多数設けた加圧ローラ22が設けられており、この加圧ローラ22は、その自重の作用またはばね等の付勢手段により供給口21を通過した土砂に所定の加圧力が加えられる。従って、土砂ホッパ20からは、材料搬送コンベア10における搬送ベルト11の搬送速度と、供給口21の開口面積と、加圧ローラ22による押圧力により定まる一定量の土砂が供給されることになる。
【0018】
土砂ホッパ20の上部には篩いユニット23が設置されており、この篩いユニット23により岩石,コンクリート,金属塊等の固形異物を排除すると共に、土砂の嵩密度を低下させて、土砂の内部に十分な空気が含まれるようにした上で、搬送ベルト11上に落下させ、もって材料搬送コンベア10により軽い負荷で円滑に土砂を搬送できるようにしている。図6及び図7に示したように、篩いユニット23は枠体24を有し、この枠体24には格子部材25を所定のピッチ間隔で縦横に配置する構成としている。従って、格子部材25の縦横のピッチ間隔によりメッシュが構成され、このメッシュサイズの粒径のものが選別されて土砂ホッパ20内に導かれ、固形異物等は格子部材25の上に残るようになる。
【0019】
ここで、篩いユニット23は固定篩いとして構成しても良いが、振動篩いとするのが望ましい。振動篩いとして構成するには、様々の態様があるが、図示した構成では、篩いユニット23を概略上下方向に振動させるようにしている。このために、枠体24の4つの角隅部にはばね受け部材26が固定して設けられており、支持部材17とばね受け部材26との間にはばね27が介装されて、枠体24は支持部材17に弾性的に支持されている。そして、格子部材25には加振手段28が接続されており、この加振手段28によって、支持枠体24に装着した格子部材25が上下動駆動されることになる。加振手段28は、モータ(電動モータまたは油圧モータ)28aにより回転駆動される加振部材28bを有し、加振部材28bは回転ドラムからなり、この回転ドラムの重心位置は回転中心位置から偏心している。加振部材28bは枠体24を貫通するように配置した回転軸28cの両端部に連結されており、モータ28aにより一方の加振部材28bを回転駆動すると、両方の加振部材28bが回転することになり、この時に加振部材28bの重心位置が移動することから、格子部材25がほぼ上下方向に振動することになる。
【0020】
次に、材料搬送コンベア10による土砂の搬送方向の下流側に配置される土質改良材ホッパ30は、図8乃至図13に示したように、本体フレーム2上に立設した4本(または3本)の支柱31上に連結して設けた枠状の台板32に支持されている。従って、材料搬送コンベア10は、支柱31,31間を通って延在されている。土質改良材ホッパ30からは材料搬送コンベア10上を搬送される土砂に土質改良材が添加される。ここで、土質改良材は土砂を改質するために混合されるものであり、それぞれの土質改良及び改質の目的に応じたものが使用される。例えば、地盤改良や埋め戻し土として用いる場合には、石灰やセメント、またこれらに固化を促進するための様々な添加材等を混合したものが用いられる。さらに、グランドの土質改質や、酸性土の改質等を行う場合には、それぞれ適切な土質改良材を供給する。
【0021】
土質改良材ホッパ30は、所定量の土質改良材を貯留する貯留容器33と、この貯留容器33の下部に連設され、所定量ずつ制御した状態で材料搬送コンベア10に土質改良材を供給するフィーダ34とから構成される。ここで、貯留容器33は内部に土質改良材を貯留する空間を有するものであるが、本実施の形態では高さ寸法を可変とすることにより容積が可変な構造となっている。ただし、一般的なタンクを用いても良い。高さを可変にするために、貯留容器33は、下部側が台板32上に設置され、上端が開口するベース部35と、天板部36と、これらベース部35と天板部36との間に設けた蛇腹部37とから構成される。ベース部35及び天板部36は鋼板等の硬質部材で形成され、蛇腹部37は上下方向に伸縮するものであり、可撓性シート37aの上下方向にリング状の支骨37bをもって止着したものから構成される。蛇腹部37を伸長させると、図8に示した作動状態となり、内部に大量の土質改良材を貯留できるようになる。また、図10には、蛇腹部37の格納状態が示されており、このように格納状態にすると、土質改良機械の高さ寸法が短縮される。
【0022】
貯留容器33におけるベース部35は、図11に示したように、底板35aと周胴部35bとから構成され、このベース部35にはホッパ内攪拌部材38が設けられている。ホッパ内攪拌部材38は、ベース部35の内部において底板35aの近傍に配置した攪拌翼38aと、この攪拌翼38aに連結され、底板35aを貫通させて下方に延在させた回転軸38bと、この回転軸38bを回転駆動するモータ38cとから構成される。ホッパ内攪拌部材38は、貯留容器33のベース部35に形成した連通孔39を介してフィーダ34に円滑に土質改良材を供給するためのものである。また、40はベース部35の周胴部35bには開閉可能な点検扉40、39aは土質改良材の取り出し口である。
【0023】
天板部36の中央部には概略円形の開口36aが形成されており、この開口36aの上部には両開き可能な開閉蓋41が形成されている。また、この開閉蓋41の外側の位置にはフック係止具42が少なくとも3箇所設けられている。そして、天板36の開閉蓋41を設けた部位の下方には、図12及び図13に示したように、カッタ支持部43aに支持させたカッタ43が設けられる。改良土はフレキシブルコンテナから貯留容器33に供給されるものであり、カッタ43はこのフレキシブルコンテナの下端部を切り裂くために設けられる。カッタ43で切り裂かれたフレキシブルコンテナから土質改良材が周囲に溢出したり飛散したりすることなく確実に貯留容器33内に流入させるために、カッタ支持部43aは天板部36から所定深さだけ入り込んだ位置に設けられている。
【0024】
土質改良材ホッパ30は、中間に伸縮可能な蛇腹部37が設けられている関係から、この蛇腹部37が伸長した図8の作動状態と、図10の格納状態とに選択的に固定する必要がある。そこで、天板部36には、概略120°間隔で3箇所にわたって取付板36bが側方に延在するように設けられており、これら各取付板36bには支持杆45が垂設されている。また、台板32にはこれら各支持杆45の垂設位置に対応する位置に、それぞれガイド筒46が立設されており、支持杆45は各々ガイド筒46内に摺動可能に挿入されている。これによって、ガイド筒46と支持杆45とはテレスコープ状に嵌合された状態になっており、支持杆45はガイド筒46を貫通して下方にまで突出可能となっている。支持杆45には上下に2箇所にピン挿通孔45a,45bが設けられ、またガイド筒46には所定の位置に1箇所だけピン挿通孔(図示せず)が穿設されている。ガイド筒46のピン挿通孔に対して支持杆45の下方のピン挿通孔45aを一致させてストッパピン47を挿通させると、蛇腹部37は伸長した作動状態で固定され、上方のピン挿通孔45bをガイド筒46のピン挿通孔と一致させてストッパピン47を挿通させると、蛇腹部37は格納状態で固定される。
【0025】
貯留容器33に連結したフィーダ34は土質改良材を調整された供給量で供給するためのものである。即ち、図14乃至図16に示したように、フィーダ34は貯留容器33における連通孔39の下面に固着したケーシング48を有し、このケーシング48には連通孔39に通じる流入口49aと下方に開口した供給口49bとを備えている。中間部の壁面は円弧状の定量供給部49cとなっており、この定量供給部49cの内部にはロータ50が回転軸51に嵌合させて設けられ、ロータ50は回転軸51により回転駆動される。ロータ50には定量供給部49cの内壁面に対してほぼ摺接する複数の隔壁50aが放射状に設けられており、ロータ50が所定角度回転する毎に相隣接する隔壁50a,50a間の空間に相当する分の土質改良材が分離される。従って、ロータ50の回転速度を制御することにより、土質改良材の供給量を制御することができる。
【0026】
フィーダ34を駆動するために、ケーシング48から回転軸51が導出されており、この回転軸51の端部にプーリ51aが連結して設けられ、このプーリ51aとモータ52の出力軸52aとの間には、伝達ベルト等からなる動力伝達部材53が介装されている。モータ52は例えば可変速電動モータで構成することができ、このモータ52の回転数を変化させて、ロータ50の回転による土質改良材の供給量を微細に調整することができる。従って、このモータ52は供給量調整手段を構成する。なお、モータ52は、流量調整弁等により回転速度を可変にする等の構成とした油圧モータを用いることもできる。
【0027】
土質改良材ホッパ30は高所に位置しているので、天板部36に設けた開閉蓋41を開き、フレキシブルコンテナを吊り下げた状態にして、この開閉蓋41から貯留容器33の内部に挿入して、カッタ43でその下端部を切り裂くようにすることにより土質改良材が供給される。このために、本体フレーム2にクレーン54が設けられている。このクレーン54は、図17に示したように、本体フレーム2上に旋回部54aを設け、この旋回部54aに支持部材54bを立設し、この支持部材54bにテレスコープ状に伸縮するアーム54cの基端部を枢支したもので、シリンダ54dで俯仰動作できるように構成している。アーム54cの先端にはフック55に連結したワイヤ56が連結され、このワイヤ56を巻き上げたり、引き下ろしたりすることによって、フック55が昇降する。また、このクレーン54は土質改良材ホッパ30の蛇腹部37を伸縮するためにも用いられ、天板部36に設けたフック係止具42が、クレーン54のフック55に係着できるようになっている。
【0028】
材料搬送コンベア10の端部は混合処理機構部4における土砂と土質改良材との攪拌・混合を行う機構としての混合容器60に接続されている。混合容器60は、本体フレーム2の長手方向、つまり概略水平方向に配置した長方形状の容器であり、その前後の位置には、それぞれ左右に張り出した取付部61が連設されており、これら取付部61はボルト等により本体フレーム2の上面に固定的に設置されている。図18乃至図21に混合処理機構部4を構成する混合容器60の内部構成を示す。
【0029】
まず、図18及び図19から明らかなように、混合容器60の前方側の上部には導入部を構成する導入口62が、また後方側の下部には排出部を構成する排出口63がそれぞれ連結して設けられ、これら以外の部位は密閉されている。図20及び図21に示したように、混合容器60内には2本のパドルミキサ64が平行に設けられている。パドルミキサ64は回転軸65を有し、この回転軸65にはパドル66が所定の角度(例えば90°毎)となるように、しかも螺旋状に多数植設されており、回転軸65を回転させることによって、パドル66が回転駆動されて混合容器60内が攪拌され、かつこの混合容器60内に導かれた土砂と土質改良材とが攪拌されて均一に混合されながら、排出口63側に向けて移送されることになる。従って、パドルミキサ64により回転式ミキシング手段が構成される。ここで、パドルミキサ64による移送量及び移送速度はパドル66の取付角度に応じて変化する。
【0030】
本実施の形態では、パドルミキサ64を2本設け、また回転軸65にはパドル66が90°の位相となる位置に設ける構成としたが、このパドルミキサ64の本数及びパドル66の配置間隔等は混合容器60の高さと幅との関係で定まる。混合容器60の高さ寸法を大きくすると、回転半径の大きな大型のパドルを取り付けることができるので、パドルミキサ64の本数は少なくて良いが、混合容器60の高さ寸法を低くし、しかも幅を広くした場合には、パドルの回転半径が短縮されるので、パドルミキサの本数を多くする。従って、所定の攪拌効率を持たせるために、本体フレーム2の幅寸法と、車両全体の高さ寸法との関係で、混合容器60のサイズとパドルミキサ64の本数とを設定すれば良い。ただし、混合容器60内での土砂と土質改良材との混合・攪拌及び移送を円滑かつ効率的に行うには、パドルミキサ64の本数は偶数本となし、かつ相隣接するパドルミキサ64,64は相互に反対方向に回転するように設定するのが望ましい。なお、パドルミキサ64は混合容器60内での土砂と土質改良材との混合・攪拌及び移送を行う回転式ミキシング手段を構成するものであり、この回転式ミキシング手段としては、これ以外にも、例えばスクリューミキサ等で構成しても良い。
【0031】
各パドルミキサ64の回転軸65の両端は、図20に示したように、軸受67,67により回転自在に支持されており、また回転軸65の先端部は、混合容器60の前端部に設けた駆動部68のハウジング内に延在されている。各回転軸65の先端には伝達ギア69が連結されており、両伝達ギア69,69は相互に噛合している。そして、一方の伝達ギアには攪拌・混合用の油圧モータ70の出力軸に連結されており、この油圧モータ70を回転駆動することによって、図21に矢印で示したように、それぞれパドル66を設けた両回転軸65,65を同時に、相互に反対方向に回転駆動される。ここで、混合容器60の底部は、パドル66の回転軌跡と概略一致する曲面形状となし、もって土砂や土質改良材が混合容器60の下端部の角隅部等に滞留するのを防止している。なお、図19において、71は混合容器60の側面に設けた開閉扉、72は混合容器60の上部に設けられ、蓋体を装着した点検孔である。
【0032】
以上の構成を有する混合容器60では、その導入口62から導入された土砂と土質改良材とがパドルミキサ64の作用で均一に攪拌・混合されると共に、排出口63に向けて移送される間に改良土が製造される。このようにして製造された改良土は排出口63から自重の作用で改良土排出部5に排出される。ここで、改良土排出部5は搬出コンベア80を有するものである。
【0033】
搬出コンベア80は処理機構部4で生成した改良土を搬送するものであるが、この搬出コンベア80には、図22及び図23に示したように、改良土の重量を測定するコンベアスケール81を備えている。而して、搬出コンベア80は搬送ベルト82を有し、搬送ベルト82はモータ82により駆動されるものであり、例えば定速送りする油圧モータ83(図1参照)で構成される。この搬送ベルトの搬送方向において、前後に配置した一対の固定ローラ84,84が取り付けられており、これら各固定ローラ84は搬送ベルト82の下面に転動可能に当接している。前後の固定ローラ84,84間の位置が改良土量測定区間となっており、この改良土量測定区間を構成する前後の固定ローラ84,84間の概略中間位置に、搬送ベルト82の裏面に当接するように、重量測定ローラ85が装着されている。この重量測定ローラ85はこの搬送ベルト82の撓み度合いを検出するためのものである。
【0034】
重量測定ローラ85は軸受部材86により揺動自在にコンベアフレーム等に支持されている揺動板87に連結して設けられている。揺動板87の他端に重量測定手段を構成するロードセル等からなる荷重センサ88が連結して設けられている。従って、搬送ベルト82上に所定量の改良土を堆積させた状態で搬送した時に、この搬送ベルト82に堆積した改良土が固定ローラ84,84間の改良土量測定区間にまで搬送されると、搬送ベルト82が沈むように撓む。この結果、重量測定ローラ85が図23の矢印方向Dに押動されて、この重量測定ローラ85を連結した揺動板87が同図に矢印U方向に揺動変位するから、荷重センサ88に対する荷重が増大することになり、この検出信号に基づいて搬送ベルト82により搬送される改良土の量を測定することができる。
【0035】
次に、土質改良機械を用いて土質改良処理を行っている状態の一例を図24に示す。同図に示したのは小規模なヤードに土質改良機械を配置して、予めこのヤードに堆積した土砂の土質改良を行うが、土質改良を行うには、土砂ホッパ20に土砂が投入する手段が必要となる。この土砂の投入手段としては、例えば油圧ショベルPSが好適に用いられる。
【0036】
而して、ヤード内で土質改良を行うには、所定の広がりをもって堆積されている土砂を端から順に油圧ショベルPSのバケットBですくい上げて、土質改良機械のの土砂ホッパ20に投入する。この土砂ホッパ20から材料搬送コンベア10により土砂が搬送される間に、土質改良材ホッパ30から土質改良材が供給されて、土砂の表面上に供給される。そして、材料搬送コンベア10の端部から導入口62を経て土砂と土質改良材との混合物が混合容器60内に送り込まれ、この混合容器60に設けたパドルミキサ64の作用により土砂と土質改良材とが攪拌・混合されながら排出口63の位置にまで移行する。そして、混合容器60内で土砂と土質改良材とが均一に混合されることにより団粒状態となった改良土が生成される。この改良土は排出口63から排出コンベア80を経て所定の位置に堆積される。
【0037】
堆積部から土砂が土質改良機械に取り込まれると、その部位にスペースが生じることになる。このスペースに順次生産した改良土を堆積させるようにすれば、ヤードにおけるスペースのうちの大半が実質的に土砂の堆積場所と改良土の堆積場所とを兼ねることができ、ヤードのスペースを有効に活用できる。土質改良機械が下部走行体1により自走可能としたのはこのためであり、作業が進み、土砂の堆積場所が後退するのに応じて下部走行体1を作動させて、土質改良機械を移動させるようにする。
【0038】
このようにして生成した改良土は改良土排出手段を構成する搬出コンベア80に搬送されて所定の位置に堆積するが、その間に改良土の生成量がコンベアスケール81で測定される。そして、搬出コンベア80の搬送端位置には改良土の選別装置90が設けられている。この選別装置90は可搬式のものとして構成されており、篩い91と移送コンベア92とを備えている。篩い91は、例えば13mm以下,20mm以下,25mm以下というように、所定の粒径以下のものを通過させるメッシュサイズのものであり、かつ振動篩いで構成するのが望ましい。そして、篩い91を通過し、粒径の揃った改良土を移送コンベア92で所定の堆積箇所に堆積する。また、篩い91を通過しなかった粒径の大きい改良土も固化処理がなされたという点では同じ品質のものであるので、この粒径の大きな改良土も、そのまま、または粒径を揃える処理を行った上で、埋め戻し等の混合材料として利用することになる。
【0039】
以上のようにして土質改良処理が行われるが、混合容器60内に設置したパドルミキサ64の回転数を、土砂と土質改良材とが均一に攪拌・混合できるようにすることを条件として、最も高い回転数(以下、定常最高回転数という)となるように設定する。これによって、混合容器60内での混合材料及びこの混合材料を均一に混合した改良土の移送速度が高められ、生成された改良土が排出口からの排出量が定まることになる。そして、この改良土の排出量に見合った量だけ連続的に混合材料を供給するように材料搬送コンベアの搬送速度を設定する。これによって、土質改良機械により改良土を最も効率的に生産することができる。
【0040】
しかしながら、供給される土砂の性質や状態等によっては、攪拌・混合及び移送条件が一定ではなくなる。例えば、粘土質の土砂が混合容器60に供給されると、パドル66や回転軸65に付着して、こびり付いた状態になることがある。そして、これらパドル66,回転軸65への土砂の付着量が増大すると、回転軸65の回転に対する抵抗が増大することになり、その結果攪拌・混合用の油圧モータ70の回転数が定常最高回転数状態より低下する。この状態で、なお混合容器60内への混合材料の供給を継続すると、供給過剰状態となり、さらに油圧モータ70の負荷が増大して、回転数が大きく低下することになる。また、供給土砂に小石や大きな礫等が混入していると、パドル66と混合容器60の内面との間や、相隣接するパドル66,66間にかみ込む可能性があり、そうなるとやはり油圧モータ70の負荷が増大してその回転数が低下する。たとえ、小石や礫等がかみ込んで、油圧モータ70の回転数がある程度低下したとしても、パドルミキサ64の回転が継続している限りは、やがて小石や礫等が破壊されることになる。ただし、ある程度粘性がある土砂が混合容器60内に大量に収容されていると、油圧モータ70の負荷が大きくなり、この状態で小石や礫等のかみ込みが発生すると、パドルミキサ64の作動が停止することにもなる。
【0041】
以上のように、油圧モータ70の負荷変動に起因してパドルミキサ64の作動条件が悪くなっているにも拘らず、材料搬送コンベア10によりパドルミキサ64が定常最高回転数状態で排出される改良土の量に見合った量の混合材料の供給を継続すると、混合容器60内における混合材料の量が増大する。一般に、混合容器内での混合材料の量は、パドルミキサ64の直径の概略80%程度とするのが、攪拌効率から理想的であり、このレベルを越すと、土砂と土質改良材とが均一に混合されなくなり、改良土の品質が低下する。しかも、さらに混合容器60への混合材料の供給量が増大すると、やがては混合容器60の導入口62から混合材料が溢出してしまうおそれもある。
【0042】
以上のことから、油圧モータ70の負荷が増大して、その回転数が低下した時には、それに対応して材料搬送コンベア10による混合材料の供給量を減少させることにより、混合容器60内の混合材料の供給量が過剰にならないように設定するようにしている。
【0043】
而して、図25に示したように、攪拌・混合用油圧モータ70はポンプ100で駆動されるようになっており、この攪拌・混合用油圧モータ70はコントロールバルブ101により駆動制御がなされるようになっている。また、102は混合材料供給部3側の材料搬送コンベア10の駆動用として搬送用油圧モータを示し、この搬送用油圧モータ102はポンプ103からの圧油により駆動されるものであり、その間にはコントロールバルブ104が設けられて、このコントロールバルブ104により油圧モータ102の作動が制御される。さらに、ポンプ100は可変容量ポンプであり、その吐出側の圧力を検出し、この吐出圧に基づいて吐出流量が変化するようになっている。105はこの吐出流量制御器、つまりポンプレギュレータである。
【0044】
図26(a)にポンプ100における吐出圧Pと吐出流量Qとの関係を示す。この図から明らかなように、吐出流量制御器105では、ポンプ100の吐出圧が上昇すると、吐出流量が減少するように制御されるようになっている。吐出圧がPa以下であれば、吐出流量が最大のQaとなる。これが定常最高回転数状態である。つまり、流量Qaが攪拌・混合用油圧モータ70に供給されている限りは、油圧モータ70の回転数は設定された定常最高回転数となる。油圧モータ70の負荷が上昇すると、ポンプ100の吐出圧が上昇してPaを越えると、吐出流量が減少することになり、例えば吐出圧がPiになると、吐出流量がQiに低下する。さらに、吐出圧がPbになると、流量がQbになり、油圧モータ70の回転が実質的に停止する。従って、ポンプ100からの吐出圧がPaからPbの範囲Pa-Pbでは、吐出流量が範囲Qa-Qbで変化するので、油圧モータ70の回転数が変化する。
【0045】
そこで、図26(b)に示したように、ポンプ100の吐出圧が範囲Pa-Pbで変化すると、搬送用油圧モータ102への供給流量を変化させるように設定する。ここで、ポンプ103は固定容量ポンプで構成されており、供給流量の変化はコントロールバルブ104の作動で行うようにしている。ポンプ100からの吐出圧がPa以下であれば、ポンプ103から搬送用油圧モータ102への供給流量をQAとする。また、吐出圧がPaからPbまでの範囲では、それに応じて搬送用油圧モータ102への供給流量をQA〜0の範囲で減少させる。例えば、ポンプ100の吐出圧がPiの時には、ポンプ103の吐出流量をQIとする。さらに、ポンプ100の吐出圧がPbになると、ポンプ103からの吐出流量は実質的に0とする。その結果、攪拌・混合用油圧モータ70の回転数が変化した時には、その変化に追従して搬送用油圧モータ102の回転数が変化して、それに応じて材料搬送コンベア10の搬送速度が変化することになる。
【0046】
図27にフローチャートで示したように、攪拌・混合用油圧モータ70に圧油を供給するポンプ100の吐出圧、つまり油圧モータ70における駆動圧がPa以下であると、吐出流量がQaの状態が維持されて、油圧モータ70の回転数が一定に保たれる。この時には、ポンプ103による搬送用油圧モータ102への供給流量がQAとなり、この油圧モータ102の回転数も定常最高回転数に保持される。従って、材料搬送コンベア10は最高速度Smax状態で作動する。つまり、適正負荷を越えない限り、パドルミキサ64は定常最高回転数状態で駆動されて、所定量の改良土を生成して排出し、材料搬送コンベア10からはこの改良土の排出量に見合った量の混合材料が供給される。
【0047】
パドルミキサ64に対する負荷が増大して、ポンプ100の吐出圧がPaから増大して、PaからPbの範囲になると、攪拌・混合用油圧モータ102の回転数が低下する。その結果、パドルミキサ64による改良土の排出量が減少する。このポンプ100の吐出圧の上昇に伴って、搬送用油圧モータ102への供給流量をΔQとなるように変化させる。その結果、材料搬送コンベア10の速度がΔSの範囲で変化し、混合容器60から排出される改良土に見合った量の混合材料が混合容器60に供給される。従って、混合容器60の現状で最も効率的な土質改良処理が行われ、かつそれ以上パドルミキサ64の負荷が増大することがなくなる。つまり、処理条件の悪い高粘性土の土質改良処理を行う際にも、最大限の処理能力を発揮する。また、小石や礫等のかみ込みで一時的にパドルミキサ64の負荷が上昇した時にも、その間だけは処理条件が低下するが、かみ込みが解消するまでは、過剰の混合材料が混合容器60に供給されて、パドルミキサ64の負荷がさらに上昇するのを防止し、かつかみ込みが解消されると、直ちに最も効率的に土質改良処理が行える状態に復帰する。
【0048】
パドルミキサ64の負荷がさらに上昇して、ポンプ100の吐出圧がPbを越えると、吐出流量がQbとなるが、通常は、ポンプ100の吐出側にはリリーフ弁が設けられており、吐出圧Pbになるとリリーフ弁が開いて、この流量Qb分の圧油はタンクに還流することになる。その結果、油圧モータ70が停止して、パドルミキサ64の回転が停止する。この時には、これに追従して、搬送用油圧モータ102への供給流量が0になり、材料搬送コンベア10が停止して、混合容器60には混合材料が供給されなくなる。なお、この状態になると、適宜の警報を発して、処理機構部4が作動停止状態になったことをオペレータ等に報知するのが望ましい。
【0049】
以上のように、ポンプ100の吐出圧の変化に伴って、搬送用油圧モータ102への供給流量を変化させるために、図25に符号106で示した導圧路によって、ポンプ100の吐出側の圧力を搬送用油圧モータ102のコントロールバルブ104に導いて、この圧力によりコントロールバルブ104の切換制御を行い、高圧側の流路面積を変化させる。従って、吐出流量制御器105は攪拌・混合手段としてのパドルミキサ64の作動状態を検出する検出手段であり、導圧路106はこの検出手段に基づいて材料搬送コンベア10による混合材料の供給量を変化させる制御手段として機能する。
【0050】
なお、図25の油圧回路では、ポンプ100の吐出圧をコントロールバルブ104に直接導いているが、図28に示したように、ポンプ100の吐出圧を比例制御弁107に導いて、この比例制御弁107によりコントロールバルブ104のパイロット圧を供給するパイロットポンプ108の供給圧を制御するように構成することもできる。このように構成することによって、攪拌・混合用の油圧モータ70を含む油圧回路と、搬送用油圧モータ102を含む油圧回路とをそれぞれ独立に構成し、比例制御弁107により搬送用油圧モータ102の駆動速度を調整することができる。
【0051】
さらに、図29に示したように、攪拌・混合用の油圧モータ70の回転数を検出する回転数検出器109が設けられている場合には、この回転数検出器109の回転数をコントローラ110に取り込んで、このコントローラ110からの信号に基づいて搬送用油圧モータ102への圧油の供給量を変化させることができる。この場合においては、搬送用油圧モータ102のコントロールバルブを油圧パイロット式のもので構成した場合には、コントローラ110からの電気信号を油圧信号に変換するようにすれば良い。また、図28に示したように、電磁パイロット式のコントロールバルブ104′とすれば、コントローラ110からの電気信号の基づいてコントロールバルブ104′を直接制御することができる。なお、図29においては、攪拌・混合用油圧モータ70に圧油を供給するポンプ100′は固定容量ポンプで構成し、またコントロールバルブ101′も電磁パイロット方式のものとし、コントローラ110からの信号に基づいてコントロールバルブ101′の切り換え制御を行うようにしたものが示されている。また、改良土の排出状況を、ポンプ100の吐出圧をセンサで検出し、この検出信号をコントローラ110に取込み、コントローラ110からコントロールバルブ104への制御信号を変化させることも可能である。
【0052】
以上のように、図25,図28乃至図29のいずれかに例示した構成により、攪拌・混合用油圧モータ70の負荷の変動で、その回転数が変化した時に、それに追従させて搬送用油圧モータ102による材料搬送コンベア10の搬送速度を変化するようになる。その結果、混合容器60内への混合材料の供給量が過剰になることはない。しかも、土質改良処理を行う土砂の性質や状態等に起因して、混合容器60における処理条件が悪化したとしても、混合材料の混合容器60への供給量が減少するにしても、土質改良処理そのものが停止することはなく、あくまでも処理を継続的に行うことができる。従って、処理条件にとって不利な土砂に対しても効率的な土質改良処理を行うことができ、かつ処理を継続する間に混合容器60の導入口62から混合材料が溢出する等といった不都合を生じることはない。
【0053】
ところで、材料搬送コンベア10の搬送速度を変化させた時には、それに追従してフィーダ34による土質改良材の供給量を調整しなければ、土砂と土質改良材との混合比が変化してしまう。従って、材料搬送コンベア10による土砂の搬送速度に応じて、フィーダ34から供給される土質改良材の供給量が自動的に調整されるようになっているのが望ましい。
【0054】
そこで、材料搬送コンベア10の速度が変化を検出して、その速度に応じてフィーダ34におけるロータ50を回転駆動するモータ52を制御することができる。つまり、図25に示したように、搬送用油圧モータ102の回転数を検出するために、回転検出器111を設け、この回転数検出器111からの検出信号を制御部112に取り込むようになし、この制御部112からの信号に基づいてフィーダ34を駆動するモータ52の制御を行うようにすることができる。
【0055】
また、材料搬送コンベア10を制御するのは、混合容器60からの改良土の排出量が減少した時であり、この改良土の排出量はコンベアスケール81により測定されるようになっている。そこで、コンベアスケール81による搬出コンベア80により搬出される改良土の重量の変化に対応して、モータ52の回転数を変化させるように構成することもできる。
【0056】
以上のように構成することによって、混合容器60からの改良土の排出量が変化したことに起因して、混合材料としての土砂を搬送する材料搬送コンベア10の速度が低下して、混合容器60への土砂の供給量が減少した時には、それに追従して土質改良材の供給量が減少することになる。従って、全体として混合材料が減少しても、土砂と土質改良材との混合比が変化することはない。
【0057】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、土質改良処理を行う土砂の性質や状態等によって、攪拌・混合手段の作動条件が変化しても、処理機構部への混合材料の供給過剰になるという事態が発生することがなく、円滑に、しかも効率的に土質改良処理を行うことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の一形態を示す自走式土質改良機械の平面図である。
【図2】
図1の正面図である。
【図3】
図2における土質改良処理を行う各機構を分解して示す構成説明図である。
【図4】
本発明の実施の一形態における土砂ホッパの断面図である。
【図5】
図4のA-A断面図である。
【図6】
本発明の実施の一形態における篩いユニットの平面図である。
【図7】
図6の正面図である。
【図8】
本発明の実施の一形態における土質改良材ホッパの正面図である。
【図9】
図8の平面図である。
【図10】
土質改良材ホッパの貯留タンクを格納状態にして示す図8と同様の正面図である。
【図11】
図8の土質改良材ホッパにおける貯留タンクを構成するベース部の断面図である。
【図12】
開閉蓋を取り除いて示す図9と同様の平面図である。
【図13】
図9のB-B断面図であって、ベース部を省略して示す図である。
【図14】
本発明の実施の一形態におけるフィーダの平面図である。
【図15】
図14のC-C断面図である。
【図16】
図15のD-D断面図である。
【図17】
本発明の実施の一形態における自走式土質改良機械に設置されるクレーンの構成を示す正面図である。
【図18】
本発明の実施の一形態における混合容器の平面図である。
【図19】
図18の正面図である。
【図20】
図18のE-E断面図である。
【図21】
図18のF-F断面図である。
【図22】
本発明の実施の一形態を示す改良土排出部に装着したコンベアスケールの構成説明図である。
【図23】
図22に示したコンベアスケールの作用説明図である。
【図24】
ヤードにおいて、本発明の実施の一形態による自走式土質改良機械により土質改良を行っている状態を示す作動説明図である。
【図25】
本発明の実施の一形態として用いられる攪拌・混合用油圧モータと搬送用油圧モータとの連動関係の一例を示す油圧回路図である。
【図26】
図25の攪拌・混合用油圧モータへの供給圧と搬送用油圧モータへの供給流量との関係を示す線図である。
【図27】
図25の油圧回路における作動手順を示すフローチャート図である。
【図28】
図25とは異なる態様の攪拌・混合用油圧モータと搬送用油圧モータとの連動関係を示す油圧回路図である。
【図29】
図25とはさらに別の態様の攪拌・混合用油圧モータと搬送用油圧モータとの連動関係を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
2 本体フレーム 3 混合材料供給部
4 処理機構部 5 改良土排出部
10 材料搬送コンベア 11 搬送ベルト
20 土砂ホッパ 33 貯留容器
34 フィーダ 50 ロータ
52 モータ 60 混合容器
62 導入口 63 排出口
64 パドルミキサ 65 回転軸
70 油圧モータ 80 搬出コンベア
81 コンベアスケール 83 油圧モータ
100,100′,103 ポンプ
101,101′,104,104′ コントロールバルブ
102 搬送用油圧モータ
105 吐出流量制御器 106 導圧路
107 比例制御弁 109,111 回転数検出器
110 コントローラ 112 制御部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-03-12 
出願番号 特願2000-65203(P2000-65203)
審決分類 P 1 651・ 121- YA (E02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 草野 顕子  
特許庁審判長 鈴木 憲子
特許庁審判官 長島 和子
藤原 伸二
登録日 2002-08-30 
登録番号 特許第3344711号(P3344711)
権利者 日立建機株式会社
発明の名称 攪拌・混合式土質改良機械  
代理人 春日 讓  
代理人 春日 讓  

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