• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  B65G
審判 一部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B65G
審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  B65G
審判 一部申し立て 2項進歩性  B65G
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  B65G
審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件  B65G
審判 一部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B65G
審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  B65G
管理番号 1099656
異議申立番号 異議2002-72536  
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-15 
確定日 2004-04-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3275390号「可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム」の請求項1ないし3、5、6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3275390号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
(1)特許出願:平成4年10月6日
(2)特許権の設定登録:平成14年2月8日
(3)特許公報の発行:平成14年4月15日
(4)特許異議の申立て:平成14年10月15日
(5)取消の理由の通知(1回目):平成15年1月28日(発送日:同年2月7日)
(6)上申書の提出:平成15年7月31日
(7)特許異議申立人に対する審尋:平成15年8月29日(発送日:同年9月9日)
(8)回答書の提出:平成15年10月20日
(9)取消の理由の通知(2回目):平成15年12月19日(発送日:平成16年1月9日)
(10)意見書、訂正請求書の提出:平成16年3月8日

II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)訂正事項1
設定登録時の願書に添付した明細書又は図面(以下、「本件特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に、
「【請求項1】 第1の装置と第2の装置間を搬送する被搬送物を可搬式の密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、無人搬送装置で自動的に行なう自動搬送システムにおいて、
上記無人搬送装置が、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を台車内に備えていることを特徴とする可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と記載されるのを、
「【請求項1】 第1の装置と第2の装置間を搬送する被搬送物を可搬式の密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、無人搬送装置で自動的に行なう自動搬送システムにおいて、
上記無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を備えていることを特徴とする可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と訂正する。
(2)訂正事項2
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項3に、
「【請求項3】 無人搬送装置は、第1の装置とは、被搬送物を収納した密閉コンテナをコンテナ移載装置により授受し、第2の装置とは、被搬送物を被搬送物移載装置により授受することを特徴とする請求項1または2記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と記載されるのを、
「【請求項3】 無人搬送装置は、第1の装置とは、被搬送物を収納した密閉コンテナをコンテナ移載装置により授受し、第2の装置とは、被搬送物を上記自動出し入れ装置により授受することを特徴とする請求項1または2記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と訂正する。
(3)訂正事項3
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項4の記載を削除する。
(4)訂正事項4
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項5に、
「【請求項5】 無人搬送装置の台車および第2の装置は被搬送物授受用の扉付き窓を有していることを特徴とする請求項3記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と記載されるのを、項番を繰り上げ、
「【請求項4】 第2の装置は被搬送物授受用の扉付き窓を有していることを特徴とする請求項3記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と訂正する。
(5)訂正事項5
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項6に、
「【請求項6】 無人搬送装置および第2の装置は被搬送物授受用の窓を防塵する防塵装置を有していることを特徴とする請求項3記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と記載されるのを、項番を繰り上げ、
「【請求項5】 無人搬送装置および第2の装置は被搬送物授受用の窓を防塵する防塵装置を有していることを特徴とする請求項3記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と訂正する。
(6)訂正事項6
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項7に、
「【請求項7】 防塵装置は窓の上方から下方へダウンフローする清浄流体であることを特徴とする請求項5記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と記載されるのを、項番を繰り上げ
「【請求項6】 防塵装置は窓の上方から下方へダウンフローする清浄流体であることを特徴とする請求項5記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と訂正する。
(7)訂正事項7
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項8に、
「【請求項8】 無人搬送装置の窓と第2の装置の窓とが蛇腹型のフードを通して連通することを特徴とする請求項7記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と記載されるのを、項番を繰り上げ、
「【請求項7】 無人搬送装置の窓と第2の装置の窓とが蛇腹型のフードを通して連通することを特徴とする請求項6記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と訂正する。
(8)訂正事項8
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項9に、
「【請求項9】 フード内は不活性ガスパージ可能であることを特徴とする請求項8記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と記載されるのを、項番を繰り上げ、
「【請求項8】 フード内は不活性ガスパージ可能であることを特徴とする請求項7記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
と訂正する。
(9)訂正事項9
本件特許明細書の段落【0011】に、
「・・・自動搬送システムにおいて、上記無人搬送装置が、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を台車内に備える構成とした。」
と記載されるのを、
「自動搬送システムにおいて、 上記無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を備える構成とした。」
と訂正する。
(10)訂正事項10
本件特許明細書の段落【0013】に、
「・・・第2の装置とは、被搬送物を被搬送物移載装置により授受する。また、請求項4においては、被搬送物移載装置はコンテナインターフェース装置との間で被搬送物を授受する。」と記載されるのを、
「・・・第2の装置とは、被搬送物を上記自動出し入れ装置により授受する。」
と訂正する。
(11)訂正事項11
本件特許明細書の段落【0014】に、
「また、請求項5においては、・・・」
と記載されるのを、
「また、請求項4においては、・・・」
と訂正する。
(12)訂正事項12
本件特許明細書の段落【0015】に、
「また、請求項6においては、・・・」
と記載されるのを、
「また、請求項5においては、・・・」
と訂正する。
(13)訂正事項13
本件特許明細書の段落【0016】に、
「また、請求項7においては、・・・」
と記載されるのを、
「また、請求項6においては、・・・」
と訂正する。
(14)訂正事項14
本件特許明細書の段落【0017】に、
「また、請求項8においては、・・・」
と記載されるのを、
「また、請求項7においては、・・・」
と訂正する。
(15)訂正事項15
本件特許明細書の段落【0018】に、
「また、請求項9においては、・・・」
と記載されるのを、
「また、請求項8においては、・・・」
と訂正する。
(16)訂正事項16
本件特許明細書の段落【0019】に、
「・・・無人搬送車(無人搬送装置)が、複数の・・・」
と記載されるのを、
「・・・無人搬送車(無人搬送装置)における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、複数の・・・」
と訂正する。
(17)訂正事項17
本件特許明細書の段落【0038】の記載を削除する。これに伴って、以下の段落番号を1ずつ繰り上げる。
(18)訂正事項18
本件特許明細書の図面の【図5】を削除する。これに伴って、以下の図面番号を1ずつ繰り上げ、発明の詳細な説明及び図面の簡単な説明の記載中の図面番号を変更する。
(下線は、対比の便のため当審で付したものである。下記2.についても同様。)

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に、「無人搬送装置が、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を台車内に備えている」と記載されていたのを、「無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を備えている」と減縮するものである上、この事項は、本件特許明細書の図4,6,7に記載されていたものである。
したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、意味が不明確であった訂正前の請求項3に記載の「被搬送物移載装置」を、「上記自動出し入れ装置」としたものであり、この事項は、本件特許明細書の段落【0030】、【0040】、図4,6,7などに記載されていたものである。
したがって、訂正事項2は、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、意味が不明確な「被搬送物移載装置」の記載を含む訂正前の請求項4を削除するものである。
したがって、訂正事項3は、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、訂正前の請求項5の項番を繰り上げ、さらに、請求項1が訂正されたことに伴い、それと記載を整合させるものである。
したがって、訂正事項4は、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、訂正前の請求項6の項番を繰り上げるものである。
したがって、訂正事項5は、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、訂正前の請求項7の項番を繰り上げるものである。
ところで、訂正前の請求項7で引用していた「請求項5」は、訂正事項4に伴い「請求項4」となるべきところ、依然として「請求項5」のままであるから、実質的には引用請求項を変更する訂正をしたといえる。
この点について検討する。
本件特許明細書の記載をみると、請求項7は、「防塵装置」について規定するものであるところ、請求項7で引用する請求項5には(請求項5で直接的又は間接的に引用する請求項1〜3も含めて)、「防塵装置」なる記載は存在しないこと、「防塵装置」なる記載は、請求項7以前の請求項では請求項6にのみ記載されていること、発明の詳細な説明の「また、請求項6においては、無人搬送装置および第2の装置は被搬送物授受用の窓を防塵する防塵装置を有している。・・ また、請求項7においては、防塵装置は窓の上方から下方へダウンフローする清浄流体である。」(段落【0015】〜【0016】)の記載から、請求項6における、「無人搬送装置および第2の装置は被搬送物授受用の窓を防塵する防塵装置」について、請求項7において、「防塵装置は窓の上方から下方へダウンフローする清浄流体である」と規定していることが読みとれること等からみて、訂正前の請求項7に「・・・請求項5に記載の・・・」とあったのは、「・・・請求項6に記載の・・・」の誤記であったと認めることができる。
そうすると、訂正事項6は、訂正前の請求項7の記載「【請求項7】・・・請求項5に記載の・・・」が、「【請求項7】・・・請求項6に記載の・・・」の誤記であったものと認められるものを、訂正事項4,5に伴って項番を繰り上げ「【請求項6】・・・請求項5に記載の・・・」と訂正したものと解することができるから、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。そして、訂正後の請求項6に係る事項は、上記のとおり本件特許明細書に記載されていたものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(7)訂正事項7,8について
訂正事項7,8は、訂正前の請求項4が削除されたことに伴い、訂正前の請求項8,9の項番及びそれらで引用している請求項の項番を繰り上げるものである。なお、訂正後の請求項7,8は、誤記の訂正を含む訂正後の請求項6を直接的又は間接的に引用している。
したがって、訂正事項7,8は、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(8)訂正事項9〜16について
上記訂正事項9〜16は、上記訂正事項1〜8と整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(9)訂正事項17,18について
上記訂正事項17,18は、当審で通知した第2回目の取消理由で指摘した記載不備を解消するためのもので、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである上、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.独立特許要件について
上記訂正事項6は、特許異議申立てのされていなかった請求項7〜9について、誤記の訂正を目的とする明細書の訂正を含むから、当該請求項(訂正後の請求項6〜8)に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
(1)訂正後の請求項6〜8に係る発明
訂正後の請求項6〜8に係る発明は、次のとおりである。
「【請求項6】 防塵装置は窓の上方から下方へダウンフローする清浄流体であることを特徴とする請求項5記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項7】 無人搬送装置の窓と第2の装置の窓とが蛇腹型のフードを通して連通することを特徴とする請求項6記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項8】 フード内は不活性ガスパージ可能であることを特徴とする請求項7記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。」
(2)検討
訂正後の請求項6〜8に係る発明は、間接的に請求項1を引用している。
そして、請求項1に係る発明は、下記III.5.5-2.(1)で示すとおり、刊行物1〜4(下記III.1.参照)に記載された発明でなく、また、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、訂正後の請求項6〜8に係る発明も、同様の理由により、刊行物1〜4に記載された発明でなく、また、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
また、訂正後の請求項6〜8自体の記載に不備は存在せず、訂正後の請求項6〜8に係る発明において直接的に又は間接的に引用している請求項1〜3,5の記載にも、下記III.3.及び4.で示したとおり、不備は存在しないから、特許法第36条第5項及び第6項の規定を満たしている。
そして、他に、訂正後の請求項6〜8に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見当たらない。
したがって、訂正後の請求項6〜8に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

4.訂正の適否についてのむすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議の申立てについての判断
1.特許異議申立ての理由及び当審の通知した取消理由
(1)特許異議申立ての理由及び当審の通知した第1回目の取消理由の概要
〈特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項違反〉
本件の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1,2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
本件の、請求項1,2,3,5,6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1,2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
甲第1号証:特開昭63-28047号公報(以下、「刊行物1」という。)
甲第2号証:特開昭60-184678号公報(以下、「刊行物2」という。)
〈特許法第36条第5項及び第6項違反〉
本件の請求項1の記載は、「無人搬送装置の台車」と「密閉コンテナ」との関係(別体か一体か)が不明なため、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではなく、また、発明の詳細な説明に記載されていない事項を含むものである。したがって、本件明細書の記載は、特許法第36条第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない。(なお、特許異議申立人は、特許法第36条第5項並びに第6項第1号並びに第2号違反と主張するが、これは、本件特許出願の時期と主張の趣旨からみて特許法第36条第5項第1号及び第2号並びに第6項違反の誤記と認める。)
(2)特許異議申立人が提出した平成15年10月20日付け上申書の概要
本件の請求項1に係る発明の前提技術である、「被搬送物を可搬式の密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、無人搬送装置で自動的に行なう」技術は、下記参考資料にみられるように、本件出願前に周知である。
参考資料:特開平2-85056号公報
(3)当審の通知した第2回目の取消理由の概要
〈特許法第29条第2項違反〉
本件の、請求項1,2,3,6に係る発明の特許は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
《刊行物》
特開昭62-88657号公報(以下、「刊行物3」という。)
特開平2-850568号公報(上記参考資料に同じ。以下、「刊行物4」という。)
〈特許法第36条第4項並びに第5項及び第6項違反〉
本件の請求項1の記載は、「台車内に」の意味が不明確である。
本件の請求項3の記載は、「被搬送物移載装置」が何を指すのか(「自動出し入れ装置」を指すのか、「移載装置79」を指すのか)不明確であるとともに、もし、「移載装置79」を指すのであれば、発明の詳細な説明に記載の作用、効果との関連が不明確である。したがって、本件明細書の記載は、特許法第36条第4項並びに第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない。
2.本件発明
上記II.で示したように上記I.(10)の訂正請求書による訂正が認められるから、特許異議申立てのあった請求項1,2,3,5,6に対応する請求項は、それぞれ訂正後の請求項1,2,3,4,5となった。そして、訂正後の請求項1〜5に係る発明(以下、「本件発明1〜5」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載されたとおりのものである。

3.(特許異議申立て理由、第1回目の取消理由中の)特許法第36条第5項及び第6項違反について
訂正後の請求項1には、「・・・被搬送物を可搬式の密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、無人搬送装置で自動的に行なう・・・」と記載されている。
この記載より、「密閉コンテナ」と「無人搬送装置」は別体であることは明確である。したがって、本件明細書の記載は特許法第36条第5項及び第6項の規定を満たしていないとすることはできない。

4.(第2回目の取消理由中の)特許法第36条第4項並びに第5項及び第6項違反について
上記の訂正によって、訂正前の請求項1に記載されていた「台車内の」、同じく請求項3に記載されていた「被搬送物移載装置」は訂正され、意味は明確になった。したがって、本件明細書の記載は特許法第36条第5項及び第6項の規定を満たしていないとすることはできない。

5.特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項違反について
5-1.刊行物3(特開昭62-88657号公報)に記載の発明
刊行物3には、特に、第1頁左下欄第10〜12行、同頁右下欄第14〜15行、第3,4図の記載からみて、次の発明が記載されているものと認められる。
「半導体を製造する際の各工程間及び各製造設備間を搬送する被搬送物の製品2を密閉箱5に入れて搬送し、当該搬送を、自動搬送車で自動的に行なう自動搬送システム」(以下、「刊行物3記載の発明」という。)

5-2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と刊行物3記載の発明とを対比すると、後者の「被搬送物の製品2」は、その技術的意義からみて、前者の「被搬送物」に相当し、同様にして、後者の「密閉箱5」は前者の「密閉コンテナ」に、後者の「自動搬送車」は前者の「無人搬送装置」に、それぞれ相当する。
また、本件発明1の「第1の装置」及び「第2の装置」は、本件明細書の記載を参酌しても、特定の装置を意味するものとは解されず、単に、搬送区間の一方側にあるものを「第1の装置」、他方側にあるものを「第2の装置」と称しているに過ぎないものと認められるから、後者の「半導体を製造する際の各工程間及び各製造設備間」は、前者の「第1の装置と第2の装置間」に相当するものといえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりになる。
〈一致点〉
「第1の装置と第2の装置間を搬送する被搬送物を密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、無人搬送装置で自動的に行なう自動搬送システム」
〈相違点1〉
密閉コンテナが、本件発明1では、可搬式であるのに対し、刊行物3記載の発明では、可搬式であるかどうか不明である点。
〈相違点2〉
本件発明1は、「無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、密閉コンテナからの被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を備えている」のに対し、刊行物3記載の発明は、そのような構成を有していない点。
そこで、上記〈相違点2〉について検討するに、上記〈相違点2〉に係る本件発明1の構成である、「無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、密閉コンテナからの被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を備えている」ことは、刊行物1,2,4のいずれにも記載も示唆もされていない。そして、本件発明1は、上記の構成を採ることによって、「無人搬送装置における空間内において、密閉コンテナから被搬送物の出し入れが可能となり、被搬送物が無人搬送装置外のエアに曝される確率が大幅に減少する。」(平成16年3月8日付け意見書の(4-2)を参照。)という顕著な作用効果を奏するものと認められる。
したがって、上記〈相違点1〉については検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物1〜4に記載された発明でなく、また、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)本件発明2〜5について
本件発明2〜5は、本件発明1を引用するものであるから、本件発明1についての検討で示したのと同様の理由により、刊行物1〜4に記載された発明でなく、また、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜5についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものとは認めることができない。
また、他に、本件発明1〜5についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めるべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1〜5についての特許を取り消すことはできない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の装置と第2の装置間を搬送する被搬送物を可搬式の密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、無人搬送装置で自動的に行なう自動搬送システムにおいて、
上記無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を備えていることを特徴とする可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項2】 自動出し入れ装置が、上記被搬送物を鉛直に搬送する機構と、上記被搬送物を水平に搬送する機構とを含んでいることを特徴とする請求項1記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項3】 無人搬送装置は、第1の装置とは、被搬送物を収納した密閉コンテナをコンテナ移載装置により授受し、第2の装置とは、被搬送物を上記自動出し入れ装置により授受することを特徴とする請求項1または2記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項4】 第2の装置は被搬送物授受用の扉付き窓を有していることを特徴とする請求項3記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項5】 無人搬送装置および第2の装置は被搬送物授受用の窓を防塵する防塵装置を有していることを特徴とする請求項3記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項6】 防塵装置は窓の上方から下方へダウンフローする清浄流体であることを特徴とする請求項5記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項7】 無人搬送装置の窓と第2の装置の窓とが蛇腹型のフードを通して連通することを特徴とする請求項6記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【請求項8】 フード内は不活性ガスパージ可能であることを特徴とする請求項7記載の可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、装置から装置へ搬送する被搬送物を可搬式の密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、コンテナインターフェースを搭載した無人搬送車が自動的に行なう自動搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体の製造は、内部雰囲気を清浄化したクリーンルーム内において行なわれるが、クリーンルーム内での装置間もしくは工程間搬送を、半導体ウエハへの塵埃の付着を防ぐために当該半導体ウエハを収納したウエハカセットを図8に示すような可搬式の密閉コンテナ40に収納して行なうシステムがある。同図において、41はコンテナ本体、42Aはコンテナ本体41の開口42に設けたフランジ、43は把手、44は中空の底蓋、45はシール材であって、底蓋44は図9に示すように施錠/解錠機構を備えている。図9において、45はカムである。46は板状のロックアームであって、転動子46aを有し、長手方向進退可能かつ系統可能に片持ち支持されている。47は支点部材、48はバネである。49は後述するコンテナインターフェースを構成する昇降台50から伸びるカム軸であって、カム45とスプライン係合可能となっている。この昇降台50はカム軸49を所定角度だけ回動するカム軸駆動機構51を内蔵している。なお、コンテナ本体41の開口42の内周面には、ロックアーム46が係合する凹所42Bが形成されている。なお、図8の52はウエハWを収納したカセットである。
【0003】
図10はこの種の密閉コンテナを用いるクリーンルームの自動搬送システムの1例を示したものである。
【0004】
図10において、1はLIM式の工程間搬送ラインである。11〜14はCVD装置や製膜装置等のウエハ処理装置、20はストッカ、30は移載ロボット31を搭載した無人搬送車である。
【0005】
このシステムでは、無人搬送車30は、処理前のウエハを収納したカセットを収めた密閉コンテナ40を移載ロボット31でストッカ20から当該無人搬送車30の荷台へ移載してウエハ処理装置11〜14の1つへ搬送し、ウエハ処理装置に渡す。また、処理を終えたウエハを収納したカセットを収めた密閉コンテナ40を移載ロボット31でウエハ処理装置からから当該無人搬送車30の荷台へ移載してストッカ20へ搬送する。ウエハ処理装置11〜14は受け取った密閉コンテナ40からカセットを自動的に取り出して、内部のCVD炉等(図示しない)へ移し、また、処理を終えたウエハを収納したカセットを密閉コンテナ40に自動的に収容させる必要があるので、この自動取り出し/収容をするための装置(上記コンテナインターフェース)を備えている。
【0006】
ウエハ処理装置11〜14の符号Aで示す部分はこのコンテナインターフェースを内蔵した部分であって、この部分が形成する台部A上に、当該台部Aに形成した開口Bと同心に、密閉コンテナ40が移載される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のものでは、CVDや拡散炉のウエハ処理装置11〜14や図示しない洗浄装置等装置の全てに、コンテナインターフェースを持たせているので、その分、これら装置が大形になり、高価になる。
【0008】
また、多量枚数のウエハをバッチ処理するウエハ処理装置では、空の密閉コンテナの処理を考慮しなくてはならず、その分のスペースが必要になる。例えば、ウエハ100枚処理の拡散炉では、カセットは25枚入りが普通であるので、4箇の空密閉コンテナができる。
【0009】
クリーンルームは建設費や運転費が非常に高くつくので、ウエハ処理装置等が大形になると、大幅にコスト上昇を招く。
【0010】
本発明はこの問題を解消するためになされたもので、ウエハ処理装置等を小形・簡素で安価に製作できるようにし、システム全体の所要スペースを低減して、当該システムを安価で、コンバクトに構築することができる可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1では、第1の装置と第2の装置間を搬送する被搬送物を可搬式の密閉コンテナに入れて搬送し、当該搬送を、無人搬送装置で自動的に行なう自動搬送システムにおいて、上記無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、上記密閉コンテナからの上記被搬送物の自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を備える構成とした。
【0012】
請求項2は、自動出し入れ装置が、上記被搬送物を鉛直に搬送する機構と、上記被搬送物を水平に搬送する機構とを含んでいることを特徴としている。
【0013】
請求項3においては、無人搬送装置は、第1の装置とは、被搬送物を収納した密閉コンテナをコンテナ移載装置により授受し、第2の装置とは、被搬送物を上記自動出し入れ装置により授受する。
【0014】
また、請求項4においては、第2の装置は被搬送物授受用の扉付き窓を有している。
【0015】
また、請求項5においては、無人搬送装置および第2の装置は被搬送物授受用の窓を防塵する防塵装置を有している。
【0016】
また、請求項6においては、防塵装置は窓の上方から下方へダウンフローする清浄流体である。
【0017】
また、請求項7においては、無人搬送装置の窓と第2の装置の窓とが蛇腹型のフードを通して連通している。
【0018】
また、請求項8においては、フード内は不活性ガスパージ可能である。
【0019】
【作用】
本発明では、無人搬送車(無人搬送装置)における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に、複数のウエハなどを収納したカセットなどの被搬送物の密閉コンテナからの自動出し入れ(取り出し/収容)を可能にする自動出し入れ装置(コンテナインターフェース)を備えているので、クリーンルーム内の各種装置は自動出し入れ装置(コンテナインターフェース)を備える必要がない。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の1実施例を図面を参照して説明する。
【0021】
図1において、60は無人搬送車(無人搬送装置)であって、図4に記すように、カセット52を鉛直に搬送する機構および水平に搬送する機構を含む自動出し入れ装置を台車61内に内蔵している。台車61の一方の側壁61Lにはカセット搬入・搬出用窓62が形成されるとともに当該カセット搬入・搬出用窓62を開閉する自動扉63が設けられている。64は車輪である。台車61の上壁61Uには開口65が形成されており、この開口65の上面周部がコンテナ載置部66として構成されている。
【0022】
67は昇降台であって、開口65内に出入り可能な大きさを有し、開口65の下面周部にシール材68を介して係合するフランジ69を有している。この昇降台67は横方向に伸びる支持アーム70の一端側で支持され、支持アーム70の他端側70Aは垂直向きのねじ軸71に螺合するとともに垂直向きのガイド軸(図示しない)に摺動自在に嵌合している。このねじ軸71は図示しない駆動装置により正逆回転駆動される。この昇降台67は、前記昇降台50と同様にカム軸49と当該カム軸49を所定角度だけ回動するカム軸駆動機構51を内蔵している。
【0023】
台車61内の符号72で示す部材はカセット移載具である。この移載具72は支持アーム73の一端側で支持され、支持アーム73の他端側73Aはカセット搬入・搬出用窓62に向かって横向きに伸びるねじ軸74に螺合するとともに水平向きのガイド軸(図示しない)に摺動自在に嵌合している。
【0024】
ウエハ処理装置11〜14のケーシングの、無人搬送車60の搬送路Load側に向く側壁には、カセット搬入・搬出用窓75が形成されるとともに当該カセット搬入・搬出用窓75を開閉する自動扉76が設けられている。77はカセット用台である。
【0025】
また、ストッカ20は、そのコンテナ取出し口21の奥にコンテナハンドリング装置22を備えている。
【0026】
なお、図4の91および92は光通信装置であって、ウエハ処理装置11〜14と無人搬送車60はこの光通信装置91および92を通して会話しながら、後述するシーケンスを実行する。
【0027】
このシステムでは、処理前のウエハを収納したカセット52を収めた密閉コンテナ40はコンテナハンドリング装置22によりストッカ20から無人搬送車60のコンテナ載置部66へ移載される。この移載位置において、昇降台67から突出するカム軸49が密閉コンテナ40の底蓋44内のカム45に係合するとともにコンテナ押さえ具(図示しない)が密閉コンテナ40のフランジ42Aに上から係合して密閉コンテナ40を固定する。密閉コンテナ40を移載された無人搬送車60は図示しない中央管理室から指定されたウエハ処理装置(例えば11)の前まで移動して、カセット搬入・搬出用窓62がウエハ処理装置11のカセット搬入・搬出用窓75と対向する所定位置に停車する。
【0028】
(1)無人搬送車60が上記所定位置に停車すると、カム軸49が回動してロックアーム46と底蓋44の凹所42Aとの係合が外れ、解錠される。
【0029】
(2)解錠が終わると、昇降台67がカセット52と底蓋44を載せた状態で図Xの鎖線で示す位置まで下降する。
【0030】
(3)昇降台67の下降が終わると、自動扉63と76が開するとともに移載具72が図示しない退避位置からカセット52の上方へ移動し、カセット52を若干持ち上げたのち、カセット搬入・搬出用窓62側へ運び、カセット搬入・搬出用窓62からウエハ処理後装置側のカセット搬入・搬出用窓75を通してウエハ処理装置11内へ搬入し、カセット用台77上へ移載する。
【0031】
(4)この移載が終わると、移載具72が元の位置へ戻るとともに扉63と76が閉じる。移載具72が上記退避位置へ戻ると、昇降台67が上昇して、開口65を閉鎖する。
【0032】
(5)他方、ウエハ処理装置11側では、カセット用台77上のカセット52を図示しない搬送機構により図示しない例えばCVD炉へ搬送する。
【0033】
処理が終わったウエハを装置から取り出す場合は次のようになる。
【0034】
(6)ウエハの処理が終わると、処理済みのウエハを収納したカセットが上記図示しない搬送機構によりカセット用台77上へ搬送される。
【0035】
(7)処理済みのウエハを収納したカセットがカセット用台77上へ搬送されると、上記(1)から(5)のシーケンスが逆に繰り返されて、当該カセットが密閉コンテナ40内へ収容される。
【0036】
図2は本発明の他の実施例を示したもので、ストッカ20は前記コンテナハンドリング装置22を持たず、無人搬送車60がコンテナハンドリング装置78を備えている点において、図1のものと相違する。
【0037】
図3は本発明の更に他の実施例を示したもので、無人搬送車60が複数個の密閉コンテナ40を搬送可能にしたもので、各密閉コンテナ40に対応するコンテナインターフェースを内蔵している。
【0038】
図5において、81はブロア、82は高性能フィルタ(HEPA、ULPA等)であって、ウエハ処理装置11〜14の搬送路Load側に向く側壁の上部に設けられており、無人搬送車60からウエハ処理装置へ、またその逆にカセット52を受け渡しする間、クリーンエアを窓62、75側へダウンフローする。
【0039】
この構成では、無人搬送車60のカセット搬入・搬出用窓62とウエハ処理装置11のカセット搬入・搬出用窓75との間がクリーン環境となり、カセット52はこのクリーン環境として無人搬送車60からウエハ処理装置へ、またその逆に受け渡しされることになるから、カセット授受時にウエハWに塵埃が付着するのを防止することができる。
【0040】
図6は上記クリーン環境を得る他の手段を示したものである。ベローズ(フード)83であって、一端側が窓62もしくは75側に取り付けられ、他端側が相手窓の周部に圧接する構成となっており、窓62と75とはベローズ83を通して連通する。なお、ベローズ(フード)83の伸縮は図示しないアクチュエータで行なう。
【0041】
図7は、ベローズ83内に給気口84と弁85Aを備える排気口85とを開口ささせるともに、ベローズ83の伸縮をアクチュエータ86で制御する構成としたものである。87はクリーンエア供給管である。
【0042】
ところで、近年、ウエハ等に表面に形成される自然酸化膜が問題になり、この自然酸化膜の成長を抑制するために、ウエハ処理装置11〜14内や密閉コンテナ40内を窒素やドライエア等のウエハにとって不活性なガスでガスパージする必要性が言われているが、ウエハ処理装置11〜14内や密閉コンテナ40内を上記不活性なガスで満たすシステムでは、図7の構成で、クリーンエア供給管87を不活性なガスの供給管とし、扉63と76およびベローズ83で囲まれる空間を不活性なガスでガスパージしたのち、扉63と76を開けるようにすればよい。もちろん、ガスパージは、必要に応じて台車内部においても行なわれる。
【0043】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、被搬送物であるカセットの密閉コンテナからの自動出し入れを可能にする自動出し入れ装置を無人搬送装置における被搬送物授受用の扉付き窓を有する壁によって囲まれた空間内に設けたことにより、処理装置には自動出し入れ装置を設けなくても済むので、処理装置の小形化を図ることができ、その分、システム内のスペースを有効に利用することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例を示すシステムの斜視図である。
【図2】
本発明の他の実施例を示すシステムの斜視図である。
【図3】
本発明の更に他の実施例を示すシステムの斜視図である。
【図4】
上記実施例における無人搬送車(無人搬送装置)を示す断面図である。
【図5】
上記実施例における無人搬送車とウエハ処理装置間のカセット授受空間の防塵機構を示す図である。
【図6】
上記実施例における防塵機構の他の例を示す図である。
【図7】
上記実施例における防塵機構の更に他の例を示す図である。
【図8】
可搬式密閉コンテナの1例を示す図である。
【図9】
可搬式密閉コンテナの施錠/解錠機構の1例を示す図である。
【図10】
従来の自動搬送システムの斜視図である。
【符号の説明】
1 密閉コンテナ
11〜14 ウエハ処理装置
20 ストッカ
22 ハンドリング装置
40 可搬式密閉コンテナ
44 密閉コンテナの底蓋
52 カセット
60 無人搬送車
61 無人搬送車の台車
62、75 窓
63、76 自動扉
67 昇降台
68 シール材
69 昇降台のフランジ
72 移載具
77 台
79 移載装置
81 ブロア
82 フィルタ
83 ベローズ(フード)
84 給気口
85 排気口
【図面】










 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-03-29 
出願番号 特願平4-267670
審決分類 P 1 652・ 851- YA (B65G)
P 1 652・ 121- YA (B65G)
P 1 652・ 534- YA (B65G)
P 1 652・ 113- YA (B65G)
P 1 652・ 853- YA (B65G)
P 1 652・ 852- YA (B65G)
P 1 652・ 856- YA (B65G)
P 1 652・ 531- YA (B65G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 柴沼 雅樹  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 鈴木 充
清田 栄章
登録日 2002-02-08 
登録番号 特許第3275390号(P3275390)
権利者 神鋼電機株式会社
発明の名称 可搬式密閉コンテナ流通式の自動搬送システム  
代理人 梶 良之  
代理人 梶 良之  
代理人 須原 誠  
代理人 須原 誠  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ