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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G02F 審判 全部申し立て 2項進歩性 G02F |
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管理番号 | 1099661 |
異議申立番号 | 異議2003-70713 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-04-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-03-17 |
確定日 | 2004-05-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3325467号「着色微粒子、液晶表示素子用スペーサ、及び、液晶表示素子」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3325467号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 (1)特許第3325467号の請求項1〜3に係る発明についての出願は、平成14年7月5日に設定登録され、その後、大沢敏昭より特許異議の申立がなされた。 (2)平成15年5月23日付取消理由通知に対して、その指定期間内である同年8月1日に訂正請求がなされたところ、同年8月28日付訂正拒絶理由が通知され、これに対し同年10月31日に特許異議意見書が提出された。 (3)平成16年3月9日付で再度取消理由が通知され、その指定期間内である同年3月24日に訂正請求がなされるとともに平成15年8月1日付訂正請求の請求取下がなされた。 2.訂正の適否についての判断 (1)平成16年3月24日付訂正の内容 特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 (a)特許請求の範囲の請求項1における「平均粒径が1.0〜10μmであり、K10値で定義される20℃での機械強度が、200〜1000kg/mm2 である着色微粒子であって、前記着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値が1×1012Ω・cm以上であり、前記着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子において、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA /SB)が、1.5以下であることを特徴とする着色微粒子。ここで、上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をした液晶の比抵抗値を測定する。また、上記光抜け面積SA は、90ボルトの直流電圧を液晶セルに30秒間印加後に測定する。」を、 「平均粒径が1.0〜10μmであり、K10値で定義される20℃での機械強度が、200〜1000kg/mm2 である着色微粒子であって、前記着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値が1×1012Ω・cm以上であり、前記着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子において、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA/SB )が、1.5以下であるように、 重合時に重合性単量体中に顔料を分散し、重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし、 炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、 他の重合性単量体と重合させて形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面で被覆させることにより得られる ことを特徴とする着色微粒子。 ここで、上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をした液晶の比抵抗値を測定する。また、上記光抜け面積SAは、90ボルトの直流電圧を液晶セルに30秒間印加後に測定する。」と訂正する。 (b)明細書の段落番号【0013】の【課題を解決するための手段】における 「本発明は、平均粒径が1.0〜10μmであり、K10値で定義される20℃での機械強度が、200〜1000kg/mm2である着色微粒子であって、上記着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値が1×1012Ω・cm以上であり、上記着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子において、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA /SB)が、1.5以下であることを特徴とする着色微粒子である。ここで、上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をした液晶の比抵抗値を測定する。また、上記光抜け面積SAは、90ボルトの直流電圧を液晶セルに30秒間印加後に測定する。以下に本発明を詳述する。」を、 「本発明は、平均粒径が1.0〜10μmであり、K10値で定義される20℃での機械強度が、200〜1000kg/mm2である着色微粒子であって、前記着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値が1×1012Ω・cm以上であり、前記着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子において、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA /SB)が、1.5以下であるように、 重合時に重合性単量体中に顔料を分散し、重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし、 炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、 他の重合性単量体と重合させて形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面で被覆させることにより得られる ことを特徴とする着色微粒子。 ここで、上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をした液晶の比抵抗値を測定する。また、上記光抜け面積SAは、90ボルトの直流電圧を液晶セルに30秒間印加後に測定する。以下に本発明を詳述する。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項(a)において、「重合時に重合性単量体中に顔料を分散し、重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし、炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、他の重合性単量体と重合させて形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面で被覆させることにより得られる」とする訂正は、「着色微粒子」を特定の製造方法により得られるものに限定しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項(b)については、訂正事項(a)の訂正に伴い訂正された請求項1との整合をとるために必要となった訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。 さらに、これらの訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1)本件発明 上記2.で訂正を認めたから、本件の請求項1〜3に係る発明(以下、「本件発明1〜3」という。)は、全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりの次のものである。 「【請求項1】平均粒径が1.0〜10μmであり、K10値で定義される20℃での機械強度が、200〜1000kg/mm2である着色微粒子であって、前記着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値が1×1012Ω・cm以上であり、前記着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子において、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA /SB )が、1.5以下であるように、 重合時に重合性単量体中に顔料を分散し、重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし、 炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、 他の重合性単量体と重合させて形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面で被覆させることにより得られる ことを特徴とする着色微粒子。 ここで、上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をした液晶の比抵抗値を測定する。また、上記光抜け面積SAは、90ボルトの直流電圧を液晶セルに30秒間印加後に測定する。 【請求項2】請求項1記載の着色微粒子からなることを特徴とする液晶表示素子用スペーサ。 【請求項3】請求項2記載の液晶表示素子用スペーサを用いたことを特徴とする液晶表示素子。」 (2)取消理由通知で引用された刊行物に記載された発明 刊行物1:特開平7-2913号公報 刊行物2:特開平7-333621号公報 刊行物1には、その段落【0015】〜【0038】及び【0058】に、一般に0.1〜300μm程度の平均粒径を有し、重合体微粒子の内部に顔料が均一に分散され、機械的強度(K10)がK10=480±20(kgf/mm2)で、耐溶剤性にすぐれ、有機溶剤により顔料が抽出されない、液晶表示素子のスペーサに用いられる着色重合体微粒子であって、重合時には、分散安定剤としてポリビニルアルコールを使用するものが記載されている。 刊行物2には、その段落【0005】〜【0014】、及び【0029】〜【0034】に、多感能アクリレートと、その他の単量体のほかに、炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体を含み、分散安定剤として、ポリビニルアルコール又はエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合高分子を用いて重合された、液晶表示素子のスペーサに用いられる重合体微粒子であって、液晶スペーサ周囲及びスペーサ間で液晶の配向異常の起こらないものが記載されている。 (3)特許法第29条第2項についての対比・判断 上記刊行物1,2にはいずれも、本件発明1の「重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし」なる事項が記載されていない。 すなわち、 刊行物1,2には、いずれも「分散安定剤としてポリビニルアルコールを用いる」ことは記載されているが、本件発明1の如く「重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし」との事項は記載されていない。 また、本件発明2,3は、いずれも本件発明1を引用し、さらに限定を付した発明であるから、本件発明1と同様に上記事項が、引用例1,2に記載のものにより充足しえないことは明らかである。 したがって、本件発明1〜3は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許を受けたものとはいえない。 (4)特許法36条6項2号についての判断 上記2.で訂正が認められたことにより、本件発明1〜3は、「着色微粒子」を特定の製造方法により得られるものに限定した「重合時に重合性単量体中に顔料を分散し、重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし、炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、他の重合性単量体と重合させて形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面で被覆させることにより得られることを特徴とする着色微粒子。」との事項を具備することとなった。 その結果、本件発明1〜3に記載された試験又は測定方法の如何に拘わらず、「着色微粒子」は明確であるといえるから、本件発明1〜3は、特許法36条第6項第2号に規定する要件を満たさないものであるとはいえない。 また、その他の異議申立理由及び証拠は、本件特許の請求項1〜3に係る発明を取り消すべき理由として採用することができない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜3に係る特許を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 着色微粒子、液晶表示素子用スペーサ、及び、液晶表示素子 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 平均粒径が1.0〜10μmであり、K10値で定義される20℃での機械強度が、200〜1000kg/mm2である着色微粒子であって、前記着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値が1×1012Ω・cm以上であり、前記着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子において、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA/SB)が、1.5以下であるように、 重合時に重合性単量体中に顔料を分散し、重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし、 炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、 他の重合性単量体と重合させて形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面で被覆させることにより得られる ことを特徴とする着色微粒子。 ここで、上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をした液晶の比抵抗値を測定する。また、上記光抜け面積SAは、90ボルトの直流電圧を液晶セルに30秒間印加後に測定する。 【請求項2】 請求項1記載の着色微粒子からなることを特徴とする液晶表示素子用スペーサ。 【請求項3】 請求項2記載の液晶表示素子用スペーサを用いたことを特徴とする液晶表示素子。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、液晶表示素子用スペーサとして用いたときに、表示品質の良好な着色微粒子、及び、液晶表示素子用スペーサ、並びに、液晶表示素子に関する。 【0002】 【従来の技術】 液晶表示素子は、パソコン、携帯型電子機器等に広く使用されていおり、高画質化及び大面積化に伴い、画像の品質を更に向上させることが望まれている。 液晶表示素子は、通常、二枚の電極付透明基板を電極が対向するように配置し、両基板の間に液晶を封入して製造される。この両基板の間隔を一定に保持するために、一般にスペーサが用いられるが、透明のスペーサを用いると表示コントラストが低下するので、画像の表示コントラストの低下を防止するために、着色スペーサが用いられるようになってきている。 【0003】 液晶表示素子において、液晶とスペーサとの界面で液晶分子の配向が変則的になり、表示品質を低下させるおそれがあることは以前より周知であった。特に近年需要の伸びているスーパーツィステッドネマチック液晶(STN液晶)においては、このような異常配向現象が起こりやすい。 【0004】 このような異常配向が起こると、液晶表示素子を点灯作動させたときに、スペーサの周囲に光抜けと呼ばれる白い領域が出現する。この光抜けが多くのスペーサの周囲に生じると、液晶表示素子のコントラストが低下し、表示品質を著しく低下させることになる。一方、スペーサ周囲に円周状に黒い影が認められることがある。これは一般にドメインと称されるが、該ドメインが発生しても上記コントラストには影響を与えないので、スペーサ周囲の光抜け面積は0とされる。 【0005】 光抜けの現象は、液晶とスペーサとの界面において液晶の配向が界面以外の領域の液晶の配向と異なるために生じるものである。このようなスペーサ界面の液晶の異常配向を生じさせる原因は、スペーサ表面が液晶に対して何らかの規制力を有しているためであり、この液晶に対する規制力を減少させるか、解消しない限り光抜けは解決せず、コントラストを著しく損なう。 【0006】 従来の着色スペーサは、着色されていることにより、かえって光抜けが強調され、透明なスペーサよりもコントラストの低下をもたらすことが判明した。 着色スペーサの製造方法としては、例えば、特開平1-144429号公報には、微粒子の表面を酸で処理した後染料で染色する方法が開示されている。また、特開平3-33165号公報には、この染色微粒子を更にシランカップリング剤で処理する方法が開示されている。特開平7-11005号公報には、微粒子をオスミウム、ルテニウム等で処理する方法が開示されている。 【0007】 しかしながら、このような従来の着色方法においては、微量ながらその着色成分が液晶中に溶出し、液晶の比抵抗値を低下させ、液晶セルの信頼性を損なうことがわかってきた。 また、従来の染料、金属等による表面処理は、上述のスペーサ周囲の異常配向を助長することになり、表示品質、特に、コントラストを低下させることがわかってきた。 【0008】 スペーサ周囲の異常配向の原因については、その詳細なメカニズムは不明であるが、多くの場合、液晶に対して何らかの規制力を有する官能基がスペーサに存在することにより引き起こされるものと考えられる。 このような官能基としては、水酸基、アミノ基等の活性水素;ニトロ基、シアノ基等の電子吸引基;ベンゼン、ナフタレン等の芳香環を有するもの等が考えられる。 染料の多くは、これらの官能基を有することから、異常配向を助長すると考えられる。また、スペーサの表面をオスミウムやルテニウムで処理すると、これらの官能基を生成し、異常配向を助長すると考えられる。 【0009】 その他の着色微粒子の製造方法としては、顔料が分散された重合性単量体を適当な分散安定剤の存在下に水中で分散し、ホモジナイザー等で高速攪拌することにより適度な粒径を形成した後重合する懸濁重合法等がある。このとき粒子同士の再合着を防ぐため、分散安定剤を添加する必要がある。 【0010】 特開平5-310807号公報には、分散安定剤としてポリビニルアルコールを用いることにより、微粒子を安定に形成し、微粒子同士の合着を防止して必要な粒径の微粒子を得ることができることが開示されている。 しかし、このポリビニルアルコールは、重合時に重合性単量体とグラフト反応し、微粒子の表面にポリビニルアルコール層が形成され、熱水洗浄等の方法等の強力な洗浄方法をもってしても該ポリビニルアルコールを除去することは不可能であるので、その表面に活性水素が残存することとなる。 【0011】 一方、染色法は、表面に形成されたポリビニルアルコールを酸等で変性し、染料等で染色するものであるが、染料そのものが異常配向を引き起こすので、ポリビニルアルコールの活性水素が変性されていても、異常配向を防止することはできなかった。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上記に鑑み、液晶表示素子用スペーサとして用いると、液晶に対する汚染性がなく、かつ、表示品質の良好な着色微粒子、及び、液晶表示素子用スペーサ、並びに、液晶表示素子を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】 本発明は、平均粒径が1.0〜10μmであり、K10値で定義される20℃での機械強度が、200〜1000kg/mm2である着色微粒子であって、前記着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値が1×1012Ω・cm以上であり、前記着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子において、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA/SB)が、1.5以下であるように、 重合時に重合性単量体中に顔料を分散し、重合後分散安定剤として用いたポリビニルアルコールの水酸基を変性することにより活性水素をなくし、 炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、 他の重合性単量体と重合させて形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面で被覆させることにより得られる ことを特徴とする着色微粒子。 ここで、上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をした液晶の比抵抗値を測定する。また、上記光抜け面積SAは、90ボルトの直流電圧を液晶セルに30秒間印加後に測定する。以下に本発明を詳述する。 【0014】 本発明の着色微粒子は、平均粒径が1.0〜10μmである。1.0μm未満であると、液晶表示素子用スペーサとして用いたときに、液晶セルのギャップ精度が低下し、10μmを超えると、液晶セルのギャップを出せないので、上記範囲に限定される。 【0015】 本発明の着色微粒子は、K10値で定義される20℃での機械強度が200〜1000Kg/mm2である。200Kg/mm2未満であると、強度が不足して液晶セルを作成するときにスペーサが破壊され、1000Kg/mm2を超えると、液晶セル内に発泡が生じるので、上記範囲に限定される。 【0016】 上記K10値は、下記式(1)で定義される値であり、球体の硬さを普遍的かつ定量的に表すものである。 K10=(3/√2)・F・S-3/2・R-1/2 (1) 式中、Fは、着色微粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)を表し、Sは、圧縮変位(mm)を表し、Rは、粒子の半径(mm)を表す。 【0017】 本発明の着色微粒子は、上記K10値が上述の範囲となるように、多官能アクリレート、その他の単量体等を用いて重合される。 上記多官能アクリレートとしては特に限定されず、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。 【0018】 上記その他の単量体としては特に限定されず、例えば、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、スチレン、ジビニルベンゼン、、トリビニルベンゼン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。 【0019】 本発明の着色微粒子の液晶に対する汚染性試験において、液晶の比抵抗値は1×1012Ω・cm以上である。1×1012Ω・cm未満であると、着色剤が液晶中に溶解していることになり、液晶の信頼性が劣るので、上記範囲に限定される。 【0020】 上記汚染性試験は、着色微粒子0.25gを秤量し、これに液晶4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をして試料を作成し、この試料の比抵抗値を極超絶縁計(東亜電波工業社製、SM-8210)にて測定することによって行う。 【0021】 【0022】 本発明の着色微粒子の製造方法としては、例えば、重合性単量体に顔料を分散して重合させる方法等が挙げられる。上記重合方法としては、例えば、懸濁重合法等が挙げられる。 【0023】 上記懸濁重合法は、通常、重合性単量体を溶解しない水性媒体中に、重合性単量体を含有する成分を分散させて、微粒子状に懸濁させ、重合開始剤を用いて重合する。 【0024】 本発明においては、異常配向を防止するために、炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を、他の重合性単量体と共重合させて着色微粒子を形成するか、又は、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面で重合させて、表面に被覆させることができる。 【0025】 上記炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。 【0026】 上記パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体としては特に限定されず、例えば、2,2,2-トリフロロメチルアクリレート、2,2,3,3-ペンタフロロエチルアクリレート、、2,2,3,3,4,4-ヘキサフロロプロピルアクリレート、β-パーフロロオクチルエチルアクリレート、2-(N-エチルパーフロロオクタスルホアミド)エチルアクリレート、2,2,2-トリフロロメチルメタクリレート、2,2,3,3-ペンタフロロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4-ヘキサフロロプロピルメタクリレート、β-パーフロロオクチルエチルメタクリレート、2-(N-エチルパーフロロオクタスルホアミド)エチルメタクリレート等が挙げられる。 【0027】 本発明の着色微粒子に、上記炭素数が6以上のアルキル基を有する重合性不飽和単量体、又は、上記パーフロロアルキル基をその骨格に有するフッ素系重合性単量体を導入する場合、これらは単独で用いられてもよいし、2種類以上併用して用いられてもよい。 【0028】 上記水性媒体としては、例えば、水等が挙げられる。上記水性媒体中には、通常、微粒子を安定に存在させるために、分散安定剤が添加される。上記分散安定剤としては、通常、懸濁重合で使用されるものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。 【0029】 本発明においては、上記分散安定剤に加えて、界面活性剤を併用することにより、微粒子を安定に重合することができる。上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。上記分散安定剤と上記界面活性剤とを併せた濃度は、全反応系に対して0.01〜10重量部が好ましい。少なすぎると分散安定性の効果が低下することがあり、多すぎると水性媒体に溶解しないことがある。 【0030】 上記重合開始剤としては、通常の懸濁重合で使用されるものを用いることができ、例えば、有機過酸化物、アゾニトリル系化合物等が挙げられる。上記過酸化物としては、例えば、過酸化アセチル、過酸化オクタノイル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。上記アゾニトリル系化合物としては、例えば、2,2′-アゾビスイソブチロニトリル、2,2′-アゾビス-2,4′-ジメチルバレロニトリル、2,2′-アゾビスメチルブチロニトリル等が挙げられる。 【0031】 上記重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して0.01〜20重量部用いられることが好ましい。少なすぎると重合率が低下することがあり、多すぎても一定以上の効果はない。上記重合温度は、使用する重合開始剤の種類にもよるが、40〜100℃が好ましい。40℃未満であると、重合速度が小さく、100℃を超えると、重合反応を制御しにくくなる。上記重合時間は、30分〜10時間が好ましい。30分未満であると、重合率が低くなることがあり、10時間を超える時間は不要である。 【0032】 本発明の着色微粒子を上記懸濁重合法により製造する場合には、例えば、上記重合性単量体、上記重合開始剤、顔料、上記分散安定剤等からなる混合物を高速攪拌機等を用いて分散させ、顔料及び上記重合開始剤を上記重合性単量体に分散させた分散液を得た後、上記分散安定剤を溶解した水性媒体200〜3000重量部中に上記分散液100重量部を更に分散させ、これを攪拌羽根等で攪拌する等により製造することができる。上記攪拌羽根の形状及び大きさ、攪拌速度等を変えることにより必要な粒径の懸濁粒状物を得ることができる。上記懸濁粒状物の平均粒径は、0.5〜100μmが好ましい。 【0033】 このようにして得られた重合性単量体が分散した水溶性媒体を加熱することにより着色微粒子を得ることができる。このようにして得られる着色微粒子は、平均粒径は0.5〜100μm程度となるので、分級することにより、0.1〜10μmの着色微粒子とすることができる。 【0034】 本発明においては、着色微粒子の表面にポリビニルアルコール等の活性水素を有する分散安定剤が被覆されていると、異常配向防止効果がなくなるので、ポリビニルアルコールの水酸基を他のものに変性することによりその活性水素をなくすことができる。上記ポリビニルアルコールの水酸基を他のものに変性する方法としては、例えば、アルデヒドによるアセタール化反応を利用する方法;モノイソシアネート、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等によりポリビニルアルコールの水酸基を変性する方法等が挙げられる。 【0035】 上記懸濁重合法において、従来、上記分散安定剤としてポリビニルアルコール以外のものを用いた場合には、顔料の色抜け等が生じていたが、本発明においては、上記分散安定剤として、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合高分子を用いることができる。 【0036】 上記エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合高分子は、その重合モル比率においてエチレングリコールが少なくとも90モル%以上であって、かつ、数平均分子量が1万〜100万であるものが好ましい。エチレングリコールが90モル%未満であると、着色微粒子の表面に残存しやすくなり、数平均分子量が1万未満であると、分散させたときに合着が起こり、100万を超えると、水溶性が低くなる。 【0037】 上記エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合高分子は、着色微粒子重合時グラフト反応することがないので、熱水洗浄時に除去することができるし、例え洗浄不足で微粒子の表面に残存していたとしても活性水素をほとんど有していないので異常配向を防止することができる。 【0038】 本発明の着色微粒子に含有される顔料としては特に限定されず、例えば、キナクリンレッド、パラレッド、塩素化パラレッド、リトールルビン、ピグメントスカーレッド、マダーレーク、アリザリンマルーン、ヘリオボルド、チオインジゴ、トルイジンマルーン、カルバドールジオキサジンバイオレッド、レッドレークC、ピラゾロンレッド、ナフトールレッド、アントラキノンレッド、イソインドリノレッド、アントラキノンイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロートルイジン、ベンジジンオレンジ、ジスアゾレッド、ジアニシジンオレンジ、ピランスロンオレンジ、GRペリノオレンジ、イソインドリノンイエロー、フラバンスロンイエロー、アンスラピリミジンイエロー、ニッケルアゾイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、部分臭素化塩素化フタロシアニングリーン、ピグメントグリーンB、インダスロンブルー、アニリンブラック等の有機顔料;カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、クロームバーミリオン、鉛シアナミド、アンチモンホワイト、アンチモンレッド、チタンホワイト、チタンイエロー、レモンイエロー、マルスイエロー、オーカー、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、ベルリンブルー、コバルトブルー、セルリアンブルー、クロームグリーン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。 【0039】 上記顔料は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記顔料の粒径は、平均粒径で0.01〜1μmが好ましい。0.01μm未満であると、重合時に分散安定剤に顔料が取り込まれて着色が均一になりにくいことがあり、1μmを超えると、スペーサが球状にならず、ギャップ精度が低下することがある。 【0040】 本発明の着色微粒子における上記顔料の含有量は、1〜25重量%が好ましい。1重量%未満であると、着色が薄くなり画質を向上させにくくなり、25重量%を超えると、着色微粒子の機械強度が低下することがある。 【0041】 上記重合法において、上記重合性単量体に上記顔料を分散させる方法としては、例えば、サンドミル、高速攪拌機、その他の機械的剪断力がかかる方法等を用いることができる。 【0042】 本発明の着色微粒子をスペーサとして用いた液晶表示素子は、上述のように、重合性単量体、顔料、分散安定剤等の組成及び表面処理により異常配向防止がなされているので、電圧印加後の光抜け面積SAと初期状態の着色微粒子の面積SBとの比(SA/SB)が、1.5以下である。1.5を超えると、液晶表示素子の表示品質が低下し、特に、コントラストが低下するので、上記範囲に限定される。上記電圧印加は、90ボルトの直流電圧を30秒間印加する条件で行われる。 【0043】 本発明の着色微粒子は、長鎖のアルキル基を有する重合性単量体、又は、フッ素系重合性単量体を導入すること、特に、これらの重合性単量体を着色微粒子の表面へ被覆させることにより、液晶との親和力がほとんどなくなるので、異常配向を誘起することがない。 【0044】 本発明の着色微粒子は、液晶に対する汚染性がない。本発明の着色微粒子は、液晶表示素子用スペーサとして用いられると、光抜けがほとんどないので、得られる液晶表示素子の表示品質が良好となり、特に、コントラストが良好となる。 【0045】 本発明2は、本発明の着色微粒子からなる液晶表示素子用スペーサである。本発明3は、本発明2の液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子である。本発明3の液晶表示素子としては、例えば、図1に表されるもの等が挙げられ、例えば、以下のようにして作製される。 【0046】 まず一対の透明ガラス基板1の対向する面に、それぞれ絶縁膜(例えば、SiO2)を形成し、それぞれの上記基板の絶縁膜上に透明電極2(例えば、ITO)をフォトリソグラフィーによりパターニングして形成する。上記それぞれの基板の透明電極2上に配向膜3(例えば、ポリイミド膜)を形成する。次に上記基板上の配向膜3に液晶表示素子用スペーサーAを散布する。 【0047】 その後、上記基板に対向する基板の周囲に、シール剤5を用いて周辺部に接着層を形成し、スペーサーを散布した方の基板と貼り合わせ、更に液晶8をこれら基板間に注入することにより、液晶セルを形成する。液晶セルに配線を設けることにより液晶表示素子9を得る。 【0048】 上記液晶表示素子用スペーサーAの散布密度としては、10〜1000個/mm2が好ましい。10個/mm2未満であると、液晶セルのギャップが出なくなることがあり、1000個/mm2を超えると、スペーサーのためにコントラストが低下することがある。 【0049】 本発明3の液晶表示素子は、本発明2の液晶表示素子用スペーサを用いているので、液晶表示素子用スペーサそのものが着色体であることから、液晶セルの点灯時でも見えにくく、また、光抜けもほとんどないので、高画質であり、更に、スペーサが含有する顔料には液晶に対する汚染性がまったくないので、高い信頼性を得ることができる。 【0050】 【実施例】 以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。 【0051】 (1)液晶セルの作製 一対の透明ガラス板(150mm×150mm)の一面に、CVD法によりSiO2膜を蒸着し、更に、SiO2膜上に透明電極基板ITOをスパッタリングにより全面にITOを形成した。更にリソグラフィーによりパターニングを行った。 上記一対の透明ガラス板のITO膜上にスピンコート法によりポリイミド中間体(LP-64、東レ社製)を形成し、280℃にて90分焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。この後、ポリイミド配向膜と液晶分子とが接触したときに互いに240度の角度となる方向にラビングを行った。 【0052】 この透明基板の一方に実施例1〜3、比較例1〜2の液晶表示用スペーサを散布し、他方に周辺シール剤(主剤SE4500、硬化剤T、HAVEN CHEMICAL社製)をスクリーン印刷法にて印刷し、周辺にシール剤を形成し両者を貼り合わせた後、160℃にて90分硬化させて空セルを作製した。このときのギャップは6.1μmであった。 このようにして得られた空セルに、所定量のカイラル剤を配合した液晶(メルク社製、S-811)を注入することにより液晶セルを作製し、更に、95℃にて30分間熱処理した。 【0053】 (2)異常配向の測定 このようにして得られた液晶セルを顕微鏡で200倍に拡大した画面を写真にとり、光抜けの状態を観察した。観察時の電圧は5.2ボルトであった。光抜けの測定は、初期状態の写真画面のスペーサ面積SBと、同一画面での90ボルトの直流電圧をセルに30秒間印加した後のスペーサ周囲の光抜けしている面積SAとを測定し、その比(SA/SB)を求めた。 【0054】 (3)液晶汚染性の測定 スペーサ0.25gを秤量し、これに液晶(メルク社製、S-811)4.75gを加え振とう機にて10分間振とうした後、80℃で6時間加熱処理をして試料を作製した。このようにして得られた試料の比抵抗値を極超絶縁計(東亜電波工業社製、SM-8210)にて測定した。 【0055】 (4)機械強度の測定 温度が20℃±1℃に調整された部屋に置かれた粉体圧縮試験機(PCT-200、島津製作所社製)を用いて、加重20gfにて速度0.27gf/SECで粉体の圧縮強度を測定し、これをK10値とした。 【0056】 実施例1 ジビニルベンゼン45重量部及びテトラメチロールメタンテトラアクリレート45重量部を混合し、更に、顔料としてアントラキノンレッド2重量部、フタロシアニンブルー2重量部、フタロシアニングリーン2重量部及びカーボンブラック4重量部を、重合開始剤として2,2′-アゾビスイソブチロニトリル4重量部を加え、サンドミルにて30分間分散した。 【0057】 このようにして調製した着色液を1Lの丸底セパラブルフラスコにて攪拌下2%ポリビニルアルコール水溶液400gに適下した。更に攪拌を行い全体の粒径が6μmとなったところで、窒素を還流しながら昇温し、85℃にて5時間反応を行い、着色微粒子を得た。 得られた着色微粒子を分級し、平均粒径6μm、粒径の変動係数3%の着色微粒子を10g得た。 【0058】 上述のようにして得られた得た着色微粒子10gを2%塩酸水70gに浸漬し、攪拌下にラウリルアルデヒド3gをイソプロピルアルコール10gに溶解した液を滴下した。その後50℃に昇温し3時間反応させ濾過した後、70gの純水とイソプロピルアルコール30gの液に処理したスペーサを浸漬し濾過をした。同じ作業を9回繰り返した後70gのトルエンに浸漬し濾過をした。この作業を4回繰り返して乾燥後、着色微粒子を得た。 上記方法で液晶セルを作製し、異常配向、液晶汚染性及び機械強度の測定を行った。その結果を表1に示した。 【0059】 参考例1 ジビニルベンゼン25重量部、テトラメチロールメタンテトラアクリレート25重量部、スチレン25重量部、及び、2,2,3,3,4,4-ヘキサフロロプロピルアクリレート15重量部を混合し、更に、顔料としてアントラキノンレッド2重量部、フタロシアニンブルー2重量部、フタロシアニングリーン2重量部及びカーボンブラック4重量部を、重合開始剤として2,2′-アゾビスイソブチロニトリル4重量部を加え、サンドミルにて30分間分散した。 【0060】 このようにして調整した着色液を1Lの丸底セパラブルフラスコにて攪拌下2%エチレングリコール/プロピレングリコール共重合高分子(三洋化成工業社製、メルポールHA-2200)水溶液400gに滴下した。更に攪拌を行い全体の粒径が6μmとなったところで、窒素を還流しながら昇温し、85℃にて5時間反応し、着色微粒子を得た。 得られた着色微粒子を分級し平均粒径6.1μm、粒径の変動係数3%の着色微粒子を10g得た。 上記方法で液晶セルを作製し、異常配向、液晶汚染性及び機械強度の測定を行った。その結果を表1に示した。 【0061】 参考例2 ジビニルベンゼン25重量部、テトラメチロールメタンテトラアクリレート25重量部、スチレン25重量部及びラウリルメタクリレート15重量部を混合し、更に、顔料としてアントラキノンレッド2重量部、フタロシアニンブルー2重量部、フタロシアニングリーン2重量部及びカーボンブラック4重量部を、重合開始剤として2,2′-アゾビスイソブチロニトリル4重量部を加え、サンドミルにて30分間分散した。 【0062】 このようにして調製した着色液を1Lの丸底セパラブルフラスコにて攪拌下2%エチレングリコール/プロピレングリコール共重合高分子(三洋化成工業社製、メルポールHA-2200)水溶液400gに滴下した。更に攪拌を行い全体の粒径が6μmとなったところで、窒素を還流しながら昇温し、85℃にて5時間反応し、着色微粒子を得た。このようにして得られた着色微粒子を分級し平均粒径6.2μm、粒径の変動係数3%の着色微粒子を10g得た。上記方法で液晶セルを作製し、異常配向、液晶汚染性及び機械強度の測定を行った。その結果を表1に示した。 【0063】 比較例1 ジビニルベンゼン45重量部及びテトラメチロールメタンテトラアクリレート45重量部を混合し、更に、顔料としてアントラキノンレッド2重量部、フタロシアニンブルー2重量部、フタロシアニングリーン2重量部及びカーボンブラック4重量部を、重合開始剤として2,2′-アゾビスイソブチロニトリル4重量部を加え、サンドミルにて30分間分散した。 【0064】 このようにして調製した着色液を1Lの丸底セパラブルフラスコにて攪拌下2%ポリビニルアルコール水溶液400gに滴下した。更に攪拌を行い全体の粒径が6μmとなったところで、窒素を還流しながら昇温し、85℃にて5時間反応し、着色微粒子を得た。 得られた着色微粒子を分級し平均粒径6μm、粒径の変動係数3%の着色微粒子を10g得た。上記方法で液晶セルを作製し、異常配向、液晶汚染性及び機械強度の測定を行った。その結果を表1に示した。 【0065】 比較例2 ジビニルベンゼン25重量部、テトラメチロールメタンテトラアクリレート25重量部、スチレン25重量部、及び、2,2,3,3,4,4-ヘキサフロロプロピルアクリレート15重量部を混合し、更に、重合開始剤として2,2′-アゾビスイソブチロニトリル4重量部を加え、サンドミルにて30分間分散した。 【0066】 このようにして調製した混合液を1Lの丸底セパラブルフラスコにて攪拌下2%エチレングリコール/プロピレングリコール共重合高分子(三洋化成工業社製、メルポールHA-2200)水溶液400gに滴下した。更に攪拌を行い全体の粒径が6μmとなったところで、窒素を還流しながら昇温し、85℃にて5時間反応し、透明微粒子を得た。得られた透明微粒子を分級し平均粒径6.1μm、粒径の変動係数3%品を10g得た。 【0067】 このようにして得られた透明微粒子10gを95%濃硫酸30gに加え、60℃にて3時間熱処理した。硫酸を除去した後充分に水洗を行った。黒色塩基染料(カチロンブラック、保土ケ谷化学社製)6gを300mLの水に溶解し、酢酸にてpH4に調整した液に該酸処理微粒子5gを加え95℃にて10時間染色した。染色液を濾過後、熱水洗浄を繰り返し充分に表面の不純物を取り去り、着色微粒子を得た。 上記方法で液晶セルを作製し、異常配向、液晶汚染性及び機械強度の測定を行った。その結果を表1に示した。 【0068】 【表1】 【0069】 【発明の効果】 本発明の着色微粒子は、上述の通りであるので、液晶表示素子用スペーサとして用いると、液晶に対する汚染性がなく、かつ、表示品質の良好な液晶表示素子を得ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の液晶表示素子の一実施形態を摸式的に示す断面図である。 【符号の説明】 1 透明ガラス基板 2 透明電極 3 配向膜 4 偏光板 5 シール剤 6 液晶注入口 7 液晶注入口封止剤 8 液晶 9 液晶表示素子 A 液晶表示素子用スペーサ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-04-19 |
出願番号 | 特願平8-239233 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(G02F)
P 1 651・ 537- YA (G02F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 橿本 英吾 |
特許庁審判長 |
向後 晋一 |
特許庁審判官 |
吉田 禎治 平井 良憲 |
登録日 | 2002-07-05 |
登録番号 | 特許第3325467号(P3325467) |
権利者 | 積水化学工業株式会社 |
発明の名称 | 着色微粒子、液晶表示素子用スペーサ、及び、液晶表示素子 |
代理人 | 小原 英一 |
代理人 | 小原 英一 |