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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1100375
審判番号 不服2002-5913  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-04-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-05 
確定日 2004-07-12 
事件の表示 平成 9年特許願第202583号「カードおよびカードシステム」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 4月10日出願公開、特開平10- 91742]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.出願の経緯
本願は、平成9年7月14日(優先権主張平成8年7月23日)に出願されたものであって、平成14年3月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年4月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成14年4月26日付けで手続補正がなされたものである。
2.平成14年4月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
(補正の内容)
請求人は、平成14年4月26日付けで手続補正書(以下、本件手続補正書という。)を提出し、特許請求の範囲を次のとおりに補正している。
「【請求項1】ハード部材またはフレキシブル部材によって薄板状に形成されるベース基板と、このベース基板の所定部分に書き換え不可能な形式または書き換え可能な形式で書き込まれるカードデータとを有するカードにおいて、
カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、相互に無関係な、少なくとも、9割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/10未満に含まれる、相互に無関係な各固有値のいずれかがカードデータとして書き込まれ、システム側にセットされたとき、前記カードデータによって、システム側に記憶された情報を引き出させる、
ことを特徴とするカード。
【請求項2】ハード部材またはフレキシブル部材によって薄板状に形成されるベース基板と、このベース基板の所定部分に書き換え不可能な形式または書き換え可能な形式で書き込まれるカードデータとを有するカードにおいて、
カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、乱数処理で選択された、相互に無関係な、少なくとも9割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/10未満に含まれる、相互に無関係な各固有値のいずれかがカードデータとして書き込まれ、システム側にセットされたとき、前記カードデータによって、システム側に記憶された情報を引き出させる、
ことを特徴とするカード。
【請求項3】ハード部材またはフレキシブル部材によって薄板状に形成されるベース基板と、このベース基板の所定部分に書き換え不可能な形式または書き換え可能な形式で書き込まれるカードデータとを有するカードにおいて、
カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、任意の選択方法または乱数処理で選択された、相互に無関係な、少なくとも9割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/10未満に含まれる、相互に無関係な各固有値のいずれかがカードデータの一部または全部として書き込まれ、システム側にセットされたとき、
前記カードデータによって、システム側に記憶された情報を引き出させる、
ことを特徴とするカード。
【請求項4】ハード部材またはフレキシブル部材によって薄板状に形成されるベース基板と、このベース基板の所定部分に書き換え不可能な形式または書き換え可能な形式で書き込まれるカードデータとを有するカードにおいて、
カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、任意の選択方法または乱数処理で選択された、相互に無関係な、少なくとも9.9999999割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/100000000未満に含まれる、相互に無関係な各固有値のいずれかがカードデータの一部または全部として書き込まれ、
システム側にセットされたとき、前記カードデータによって、システム側に記憶された情報を引き出させる、
ことを特徴とするカード。
【請求項5】ハード部材またはフレキシブル部材によって薄板状に形成されるベース基板と、このベース基板の所定部分に書き換え不可能な形式または書き換え可能な形式で書き込まれるカードデータとを有するカードにおいて、
カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、任意の選択方法または乱数処理で選択された、相互に無関係な、少なくとも9割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/10未満に含まれる、相互に無関係な各固有値のいずれかとカードに与えられた金額データとが前記カードデータの一部または全部として書き込まれ、システム側にセットされたとき、前記カードデータによって、システム側に記憶された情報を引き出させる、
ことを特徴とするカード。
【請求項6】カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、任意の選択方法または乱数処理で選択された、相互に無関係な、少なくとも9割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/10未満に含まれる、相互に無関係な各固有値のいずれかがカードデータとして書き込まれるカードと、
発行された各カードの固有値と金額データとを記憶し、前記カードによる商品の購入要求があったとき、前記カードの前記カードデータを読み出すとともに、このカードデータの固有値を使用して、登録されている各カード毎の金額データを検索し、この検索結果に基づき、前記カードが使用可能なカードかどうかを判定するシステムと、
を備えたことを特徴とするカードシステム。
【請求項7】請求項6に記載のカードシステムにおいて、
前記カードのカードデータは、検索キーとなる前記固有値と、前記カードに与えられた金額データとを含み、
前記システムは、発行された各カードの金額データを含む情報を記億し、前記カードによる商品の購入要求があったとき、このカードのカードデータを読み出すとともに、このカードデータの固有値を使用して、登録されている各カード毎の金額データを検索し、前記固有値に対応する金額データと、前記カードデータに含まれる金額データとを比較して、前記カードの最終的な使用可否、使用可能な金額を判定する、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項8】請求項6、7のいずれかに記載のカードシステムにおいて、
前記システムは、各店毎に設置される店側装置を有し、この店側装置によって、自店で販売した各カードの情報を記憶し、前記カードによる商品の購入要求があったとき、このカードのカードデータを読み出すとともに、このカードデータの固有値を使用して、登録されている各カード毎の情報を検索し、前記カードが自店で販売したカードかどうか、使用可能な金額が残っているかどうかを判定する、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項9】請求項6、7のいずれかに記載のカードシステムにおいて、
前記システムは、各店毎に設置される複数の店側装置と、中央に配置され、通信線、通信網または記憶媒体を介して、前記各店側装置と情報の授受を行なうセンタ側装置とを有し、
カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、乱数処理で選択された、相互に無関係な、少なくとも9割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/10未満に含まれる、相互に無関係な各固有値のいずれかを選択して、各カード毎に異なった固有値を含むカードデータを発生する機能、このカードデータをベース基板の所定部分に書き込んでカードを発行する機能、発行済みカードの検索キーとなるカードデータと前記カードの金額データとを対にして記億する機能、各店でカードによる商品の購入要求があったとき、このカードに書き込まれているカードデータを読み出し、前記カードの使用可否を管理する機能のうち、少なくともいずれの機能を持ち、これらの各機能を前記各店側装置と前記センタ側装置とに振り分ける、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項10】請求項9に記載のカードシステムにおいて、
前記センタ側装置によって各店毎のカードを発行させて、これを各店側装置から販売させるとともに、販売時に読み取った前記カードのカードデータ、または前記センタ側装置から前記各店側装置に伝送または搬送させた前記カードのカードデータを前記各店側装置に登録させ、
カードによる商品の購入要求があったとき、前記各店側装置によって前記カードに書き込まれているカードデータを読み出させるとともに、このカードデータに含まれている固有値を使用させて、登録されている各カード毎の情報を検索させ、この検索結果に基づき、前記カードの使用可否を管理させる、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項11】請求項9に記載のカードシステムにおいて、
前記センタ側装置によって各店毎のカードを発行させて、これを各店側装置から販売させるとともに、販売時に読み取った前記カードのカードデータ、または前記センタ側装置から前記各店側装置に伝送または搬送させた前記カードのカードデータを前記各店側装置に登録させた後、カードの販売が行われた時点で、前記カードのカードデータを使用可能状態にさせ、
各店でカードによる商品の購入要求があったとき、前記各店側装置によって前記カードに書き込まれているカードデータを読み出させるとともに、このカードデータに含まれている前記固有値を使用させて、登録されている各カード毎の情報を検索させ、この検索結果に基づいて、前記カードの使用可否を管理させる、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項12】請求項9に記載のカードシステムにおいて、
前記センタ側装置によって各店毎のカードデータを発生させ、これを各店側装置に伝送または搬送させて、各店側装置から前記カードデータが書き込まれたカードを発行、販売させるとともに、カードの販売が行われた時点で、前記カードの情報を使用可能なカードの情報として、前記各店側装置に登録させ、
カードによる商品の購入要求があったとき、前記各店側装置によって前記カードに書き込まれているカードデータを読み出させるとともに、このカードデータに含まれている固有値を使用させて、登録されている各カード毎の情報を検索させ、この検索結果に基づき、前記カードの使用可否を管理させる、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項13】請求項6、7、8、9、10、11、12のいずれかに記載のカードシステムにおいて、
前記システムまたは前記店側装置は、店全体の管理を行なう店側コンピュータ装置と、店内に設置される複数の端末装置とを有し、
前記カードによる商品の購入要求を受けた前記端末装置によって、前記カードのカードデータを読み出させるとともに、前記店側コンピュータ装置から前記端末装置に、前記カードデータに対応する金額データを伝送させて、前記端末装置に前記カードの使用可否を管理させる、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項14】請求項6、7、8、9、10、11、12、13のいずれかに記載のカードシステムにおいて、
前記システム側、または前記店側装置は、カードを構成するベース基板の所定部分に、変数値を書込み、1回の処理が終了する毎、または任意回数の処理が終了する毎に、前記変数値を変更するとともに、変更後の変数値を記憶し、次回、前記カードの変数値を読み出したとき、この変数値と、記憶している変数値と比較し、この比較結果に基づいて、前記カードの使用可否を管理する、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項15】請求項6、7、8、9、10、11、12、13、14のいずれかに記載のカードシステムにおいて、
前記カードデータの固有値を発生する機能は、複数の未使用数値の中から任意に、かつランダムに1つの未使用数値を選択し、この使用数値を固有値とする、
ことを特徴とするカードシステム。」
(検討)
そこで、補正後の各請求項と(平成11年12月9日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲に記載された各請求項(以下、補正前の請求項という。)を対比すると、補正前の請求項1乃至6に係る発明は、それぞれ【数1】〜【数6】を構成要件とし、また、請求項7乃至15は、それ以前の請求項を引用しているから、請求項7乃至15に係る発明も、【数1】〜【数6】のいずれかを構成要件としているが、補正後の請求項1乃至15には、そのいずれの構成要件も記載されていない。
してみれば、補正後の請求項1乃至15は、補正前の各請求項を特許法第17条の2第4項第2号の規定に従って減縮(以下、限定的減縮という。)したものでないことは明らかである。
また、請求項1乃至15の補正は、特許法第17条の2第4項第3号乃至第4号に該当するものでもない。
さらに、補正後の請求項1乃至3、5乃至6、及び、請求項6を引用する請求項7乃至15に「カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、・・・少なくとも、9割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/10未満に含まれる、・・・」と記載され、補正後の請求項4に「カードデータの桁数で決まる全固有値のうち、・・・少なくとも9.9999999割以上の各固有値が使用禁止にされ、残った1/100000000未満に含まれる、・・・」と記載されているが、本件の願書に最初に添付した明細書又は図面の記載をみると、【0072】に「プリペイドカード販売枚数の数億〜数千億倍程度の枚数」と記載されているに留まり(例えば、補正後の請求項1が使用禁止を9割とすると、これは、プリペイドカード販売枚数の数億〜数千億倍程度の枚数ということにはならない。)、また、補正前の請求項4に「桁違いに大きな値」とあるのは、【0072】の記述と軌を一にするものにすぎないから、結局のところ、補正後の各請求項における上記記載内容は、特許法第17条の2第3項が規定するところの、本件の願書に最初に添付した明細書又は図面の記載事項の範囲内のものではない。
(結論)
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下する。
3.本件発明が特許を受けることができるか否かについて
(本件発明)
本件発明は、「カードおよびカードシステム」に関するものである。
(原査定の理由)
原査定の拒絶理由の概要は、平成11年12月9日付けでした手続補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないというものであり、具体的には、平成12年1月14日付けの拒絶理由通知書において、次のように指摘している。
『平成11年12月9日付け手続補正書において、下記(a)乃至(m)の事項は、当初明細書又は図面に記載された事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項であるとは認められない。
(a)【請求項1】における「前記カードデータは、次式に示す桁数と、発行枚数との関係を満たし、【数1】・・・、かつ揺らぎ処理により、他のカードに書き込まれたカードデータと無関係な固有値にされ」、
(b)【請求項2】における「前記カードデータは、次式に示す桁数と、発行枚数との関係を満たし、【数2】・・・、かつ乱数処理により、他のカードに書き込まれたカードデータと無関係な固有値にされ」、
(c)【請求項3】における「前記カードデータは、カードに書き込まれた各データの所定部分または全体で、次式に示す桁数と、発行枚数との関係を満たし、【数2】・・・、かつ揺らぎ処理または乱数処理により、他のカードに書き込まれたカードデータと無関係な固有値にされ」、
(d)【請求項4】における「前記カードデータは、次式に示す桁数と、発行枚数との関係を満たし、【数4】・・・、かつ揺らぎ処理または乱数処理により、他のカードに書き込まれたカードデータと無関係な固有値にされ」、
(e)【請求項5】における「前記カードデータは、次式に示す桁数と、発行枚数との関係を満たし、【数5】・・・、かつ揺らぎ処理または乱数処理により、他のカードに書き込まれたカードデータと無関係な固有値と」、
(f)【請求項6】における「次式に示す桁数と、発行枚数との関係を満たし、【数6】・・・、かつ揺らぎ処理または乱数処理により、他のカードに書き込まれた固有値と無関係な固有値」、
(g)第【0015】乃至【0057】段落の、先行技術文献の説明及び問題点の記載(単に先行技術の文献名を明細書中に挿入する補正は、当初明細書又は図面に記載した事項から直接的かつ一義的に導き出せるか否かに拘らず、例外的に新規事項の追加とはされないが、先行技術文献の説明及び問題点を記載することは、当初明細書又は図面に記載した事項から直接的かつ一義的に導き出せるものを除き、実質的に本願発明が解決しようとする課題や効果まで変更し、新規事項の追加となる)、
(h)第【0058】段落乃至第【0072】段落のうち、当初明細書又は図面に記載した事項から直接的かつ一義的に導き出せない目的の記載、
例えば、【0061】段落の、システムを混乱させるだけの愉快犯に対し勝手にカード作成防止を目的とする点、
第【0065】段落の、他店のカードを無効にさせて、各店の責任を明確にさせる点、
第【0072】段落の、使用可能な数値の中から、使用数値を効率良く、かつランダムに選択させて、カードを作成させることができ、これによってカードデータの作成速度を飛躍的に向上させる点、等
また、実質的に同じ内容である第【0225】乃至第【0239】段落についても同様。
(i)上記(a)〜(f)と実質的に同内容である第【0073】乃至
(j)第【0089】乃至【0116】段落に記載された《発明の基本原理》の記載、
(k)第【0146】、【0174】段落の「予め確保してある未使用カードIDデータの中から」、「効率良く作成することができる」との記載、
(本願の当初明細書又は図面から、固有値の発生方法が、補正後の図面第26図の方法ではなく、図面第27図であることを直接的かつ一義的に示す記載は見当たらない。)、
(l)第【0150】、【0180】段落の記載(当初明細書の第3形態には第【0132】段落に横流し防止の記載があるが、第1,2形態にはその旨の記載はない)、
(m)図面第23乃至27、32乃至59図』
(当審の判断)
そこで、拒絶理由通知書において指摘されている上記(a)〜(m)の点についてみてみると、上記(a)〜(m)のいずれについても、本件の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。
(むすび)
したがって、平成11年12月9日付けの手続補正書による補正は、特許法第17条の2第3項に規定している要件を満たしていないから、本願は特許を受けることができないとした原審の判断は妥当である。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-05-19 
結審通知日 2004-05-20 
審決日 2004-06-02 
出願番号 特願平9-202583
審決分類 P 1 8・ 55- Z (G06K)
P 1 8・ 572- Z (G06K)
P 1 8・ 561- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多賀 実  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 山中 実
吉見 信明
発明の名称 カードおよびカードシステム  
代理人 飯塚 信市  

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