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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
管理番号 1102815
異議申立番号 異議2002-70982  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-02-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-04-09 
確定日 2004-07-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3232279号「包装トレー保持枠」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3232279号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯の概要

本件特許3232279号の請求項1ないし5に係る発明についての出願は、平成10年8月17日に特許出願され、平成13年9月14日にその発明について特許権の設定登録(平成13年11月26日特許公報発行)がなされ、その後、その特許について、異議申立人三甲株式会社により、平成14年4月9日付けで特許異議の申立がなされ、取消理由の通知がなされ、その指定期間内である平成14年10月18日に意見書の提出とともに訂正請求がなされ、これに対して、訂正拒絶理由の通知がなされ、平成15年10月8日付け手続補正書と、平成15年10月10日付け意見書とが提出され、再度取消理由の通知がなされ、その指定期間内である平成16年1月29日に訂正請求がなされたものである。なお、平成14年10月18日の訂正請求は、取り下げられた。

II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
別紙「訂正の要旨」参照。

2.訂正の適否
2-1.訂正事項aについて
訂正事項aは、請求項1の記載に関して、「縦横に設けた桟」を、「複数の縦桟の両端部とその中間部に横桟を連結する」と縦桟と横桟の関係を限定し、縦桟の中間部と連結する横桟について、「その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成」したものに限定し、「中空錐体状支柱」の寸法について、「前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱」、及び「横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱」と限定し、「枠体を貫通している中空錐体状支柱」の位置について、「縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、連結部のほぼ中心部に立設し、縦桟の両端部における中空錐体状支柱は、横桟の外側寄りに立設する」と限定し、「同列方向においては前記枠体を挟んで交互に」立設されている「中空錐体状支柱」の長さについて、「反対向きにほぼ同じ長さで立設されて」いると限定し、さらに、旧請求項2に記載されている構成を繰り上げて、「縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部に形成した」構成を限定するものであって、これらの構成は、図1〜図5、及び明細書【0013】〜【0014】段落(中空錐体状支柱の位置、径寸法)、【0016】段落(中空錐体状支柱の長さ)等に記載されていたものと認められる。
次に、請求項2は、旧請求項2の構成を請求項1に繰り込んだことに伴い、旧請求項3を繰り上げたものである。
請求項3は、旧請求項4を繰り上げるとともに、「平面における中心線を挟んで等距離にある」を「縦桟の中間部と横桟との連結部における」と訂正し、「一方の上向き」を「上向き」と訂正し、「他方の下向き」を「下向き」と訂正して、突起と孔を設ける中空錐体状支柱の位置と範囲を限定したものであり、この構成は、【0015】段落、及び図1,図2の記載に基づくものである。

したがって、この訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮、及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2-2.訂正事項b〜fについて
また、その他の訂正事項b〜fは、明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、該訂正は、特許法第120条の4第2項の規定、及び第120条の4第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、該訂正を認める。

II.特許異議申立てについての判断
1.本件発明1ないし4
訂正明細書の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明4」という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟の両端部とその中間部に横桟を連結することによつて複数の窓を有する枠体を形成し、前記縦桟の中間部と連結する横桟は、その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成してなり、前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱を立設し、横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱を立設してなり、前記中空錐体状支柱は前記枠体を貫通しており、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、連結部のほぼ中心部に立設し、縦桟の両端部における中空錐体状支柱は、横桟の外側寄りに立設すると共に、少なくとも枠体の外側面が開口しており、さらに、前記中空錐体状支柱は、同列方向においては前記枠体を挟んで交互に反対向きにほぼ同じ長さで立設されており、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱同士は同一方向を向いており、縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部に形成したことを特徴とする包装トレー保持枠。
【請求項2】前記中空錐体状支柱は、円錐台状または角錐台状の中空錐体状支柱であることを特徴とする請求項1に記載の包装トレー保持枠。
【請求項3】縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、上向きの中空錐体状支柱の先端に突起を設け、下向きの中空錐体状支柱の先端に孔を設けて、二つの包装トレー保持枠のうち一方を水平に180度回転させて積み重ねたとき、前記突起が前記孔に嵌合するように形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の包装トレー保持枠。
【請求項4】縦横に設けた桟によって形成される複数の窓は10個であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装トレー保持枠。」

2.取消理由通知で引用された刊行物に記載された発明

刊行物1:実願昭60-119361号(実開昭62-28735号)のマイクロフィルム(特許異議申立人提出の甲第1号証)
刊行物1には、次のa〜gの事項が記載されている。

a.(7ページ11〜15行)「パレット10は平面長方形をなし、表面が基準面Sとなるパレット本体11を基準とし、この基準面Sよりも下方に向けて突出して、被収容物としてのワークWが収容される被収容物用凹部12が複数形成されている。」
b.(8ページ3〜7行)「被収容物用凹部12の平面形状は、第1図に示すように、ワークWの形状に対応させて円形となっているが、ワークWの形状のいかんによっては、この形状を四辺形等の任意の形状とすることが可能である。」
c.(8ページ11〜19行)「上側荷重受け部13が、基準面Sよりも上方に向けて突出して複数形成されている。…(中略)…それぞれの上側荷重受け部13は、第2図に示すように、断面がテーパ形状となっており、図示実施例におけるパレット10では、符号13a〜13jで示す合計10個の上側荷重受け部13が第1図に示すように、形成されている。」
d.(10ページ5〜15行)「パレット本体11を複数積み重ねたときであって、しかも上下方向に相隣り合うパレット本体11を、第1図に示すパレット本体11の表面に垂直な垂直線0を中心として相互に180度位相をずらしたときには、相隣り合う他のパレットのそれぞれの上側荷重受け部13が接触するように複数の下側荷重受け部14が、パレット本体11に形成されている。これらの下側荷重受け部14は、符号14a〜14jで示されるように、上側荷重受け部13の数に対応して10個所形成されている。」
e.(10ページ18行〜11ページ3行)「それぞれの下側荷重受け部14a〜14jの平面形状は、上側荷重受け部13a〜13jの形状に対応して三角形ないし四角形となっている。更に、それぞれの下側荷重受け部14a〜14iは、それぞれを構成する側壁が断面テーパ状となっている。」
f.(11ページ4〜15行)「相隣り合うパレット10を相互に180度位相をずらせて複数段積み重ねた場合に、上側荷重受け部13aは下側荷重受け部14aに接触する。同様に、符号b〜jを付した上側荷重受け部13b〜13jは、対応する符号b〜jを付した下側荷重受け部14b〜14jに接触することとなる。つまり、上側荷重受け部13a〜13jと、下側荷重受け部14a〜14jとが、長手方向中心線Lに対してほぼ線対称の位置に形成されている。パレット本体11の下部には、下底面Bよりも下方に突出した脚部17が、連続して設けられている。」
g.(15ページ3〜13行)「5つのパレット10のそれぞれの位相を全て一致させる。すると、第3図に示すように、…(中略)…上側荷重受け部13が他のパレットの上側荷重受け部13に嵌合し、下側荷重受け部14が他のパレットの下側荷重受け部14に嵌合する。したがって、基台15の上の全てのパレット10の全体の高さは、第3図に示すように、前記寸法Hよりも小さい寸法Haとなる。」

上記記載事項によれば、刊行物1には、基準面Sの上下に、複数のテーパー状の上側荷受け部13と、複数のテーパー状の下側荷受け部14とを形成するとともに、複数の被収容物用凹部12を形成したパレット10が記載されている。
そして、このパレット10は、水平面内で180度回転させると、上側荷受け部13と下側荷受け部14とが係合して、パレットが積み重ねられるようになるものである。
また、上記記載事項aには、被収容物用凹部12の平面形状は、ワークWの形状に対応させて四辺形等の形状とすることが可能である旨の記載もある。

刊行物2:実願昭54-95040号(実開昭56-12038号)のマイクロフィルム
刊行物2には、水平面内で回転させて積み重ねるようにした包装用容器において、円錐台1と嵌合する、円錐形の凹窪部3を備えたエッグトレーが記載されており、さらに、円錐台1先端には係合突起4があり、トレーを水平面内で180度回転させると、係合突起がその上のトレーの凹窪部に係合することが記載されている。

刊行物3:登録実用新案第3040050号公報(平成9年8月5日発行)
刊行物3には、物品収容部分が、縦横に設けた桟によって複数の窓を形成したものからなっている、水平面内で回転させて積み重ねるようにした果物・野菜の包装容器が記載されている。

刊行物4:登録実用新案第3003363号公報(平成6年10月18日発行)
刊行物4には、側面を窪ませて把手部47を設けた、水平面内で回転させて積み重ねるようにした容器1が記載されている。

刊行物5:実願昭50-18512号(実開昭51-102423号)のマイクロフィルム
刊行物5には、水平面内で回転させて積み重ねるようにした包装用容器において、突出凹部3,4の突起18,19を、上縁5,6の孔20,21に嵌入させて、容器を積み重ねるようにしたものが記載されている。

3.対比・判断
3-1.本件発明1について
本件発明1と刊行物1に記載されたものとを対比する。
刊行物1に記載された「パレット10」には、「基準面S」に、収容物を納めるための複数の「被収容物用凹部12」が整列して形成され(記載a、第1図)、「基準面S」の残余の部分は、格子状となり、この格子の交点にあたるところに「上側荷重受け部13」と「下側荷重受け部14」とが交互に、「基準面S」を挟んで反対向きに立設されている(記載c、d、第1図)。記載bによれば、「被収容物用凹部12の平面形状は、・・・四辺形等の任意の形状とすることが可能である」が、四辺形とした場合、「基準面S」の残余の部分は、交差する縦横の桟を有する格子状となる。また、上下の「荷重受け部」は、それぞれ、基準面Sを貫通する穴を有し、中空で、断面がテーパ状になっている(記載c,e、第2,3図)。
さらに、刊行物1記載の「荷重受け部」についてみると、「上側荷重受け部13」と「下側荷重受け部14」とは、同列方向(第1図における横方向中心線Mと平行な方向、または長手方向中心線Lと平行な方向)に、交互に立設されており、長手方向中心線Lと平行な方向(「縦桟」方向に相当)の両端部における「荷重受け部」同士は、同一方向を向いている(第1図)。
そこで、刊行物1記載の「パレット10」、「被収容物用凹部12」、「基準面S」の残余の部分、「荷重受け部」は、それぞれ、本件発明1の「包装トレー保持枠」、「窓」、「枠体」、「中空錐体状支柱」に相当する。
また、刊行物1記載の「ワークW」は、保持される物品であるので、本件発明1の「包装トレー」に対応する。
そこで、両者は、次の一致点において一致し、次の相違点イ)〜ヘ)で相違する。

(一致点)
「適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟の両端部とその中間部に横桟を連結することによつて複数の窓を有する枠体を形成し、前記横桟の縦桟との連結部には、中空錐体状支柱を立設してなり、前記中空錐体状支柱は前記枠体を貫通しており、さらに、前記中空錐体状支柱は、同列方向においては前記枠体を挟んで交互に反対向きに立設されており、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱同士は同一方向を向いていることを特徴とする物品保持枠。」

(相違点)
イ)本件発明1の「縦桟の中間部と連結する横桟は、その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成し」たものであるが、刊行物1記載のものの、横桟に相当する部分は、基準面Sの一部であるので、そのような断面形状ではない点。

ロ)本件発明1は、「横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱を立設し、横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱を立設してな」るものであるが、刊行物1記載のものは、荷重受け部の形状が中空角錐体状であるため、被収容物用凹部12の形状を四辺形とした場合、基準面Sの、縦桟、横桟に相当する部分の幅寸法と、荷重受け部(中空錐体状支柱に相当)の径の関係が不明である点。

ハ)本件発明1の「縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、連結部のほぼ中心部に立設し、縦桟の両端部における中空錐体状支柱は、横桟の外側寄りに立設すると共に、少なくとも枠体の外側面が開口して」いるのに対し、刊行物1記載の荷重受け部(中空錐体状支柱に相当)は、縦桟の両端部に相当する基準面Sの部分において、外側寄りに立設されているか否か明かではなく、また、連続した脚部17に沿って側壁面が立ち上がっているため、必ずしも荷重受け部の枠体の外側面が開口しているものでもない点(上側荷重受け部13の外側面は側壁面により閉じている)。

ニ)本件発明1の「前記中空錐体状支柱は、同列方向においては前記枠体を挟んで交互に反対向きにほぼ同じ長さで立設されて」いるものであるが、刊行物1記載の荷重受け部(中空錐体状支柱に相当)は、第2,3図によると、基準面Sからの長さが異なる点。

ホ)本件発明1の「縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部に形成し」ているが、刊行物1記載のものには、かかる構成はない点。

ヘ)本件発明1は、包装トレーを保持するものであるのに対し、刊行物1記載のものは、ワークWを保持するものである点。

(相違点についての判断)
相違点イ)について
刊行物1記載のものは、被収容物用凹部12の形状として四辺形を採用し、被収容物用凹部12を整列して配置した場合、基準面Sの残部が結果として格子状をなすにすぎないものであり、格子を構成する縦桟、横桟に相当する部分の断面形状についてなんら教示するものではなく、また、横桟の断面形状をH状にすることの契機にも欠けるものである。
さらに、「縦桟の中間部と連結する横桟は、その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成し」た構成は、刊行物2〜5のいずれにも記載されていないので、相違点イ)に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとは言えない。

相違点ハ)について
刊行物1記載のものにおいて、上側荷重受け部13の外側面を開口させることは、その動機付けに欠けるとともに、仮に、パレット本体11下部に連続して設けられた脚部17と、そこから立ち上がる側壁部とを削除することにより、上側荷重受け部13の外側面を開口させようとすると、そのことは、同時に、パレット本体周辺の下側荷重受け部14をも削除してしまうことになるから、相違点ハに係る本件発明1の構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得たものとは言えない。

したがって、本件発明1と刊行物1に記載された発明との他の相違点についての検討、判断を示すまでもなく、本件発明1は、前記の各刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3-2.本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1をさらに限定するものであるから、同様に、各刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、その他の異議申立理由及び証拠は、本件発明1〜4を取り消すべき理由として採用することができない。

4.むすび
以上のとおりであるので、異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜4についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論の通り決定する。
 
別掲 別 紙 「訂正の要旨」

訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1ないし5を、次の通り訂正する。
「【請求項1】適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟の両端部とその中間部に横桟を連結することによつて複数の窓を有する枠体を形成し、前記縦桟の中間部と連結する横桟は、その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成してなり、前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱を立設し、横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱を立設してなり、前記中空錐体状支柱は前記枠体を貫通しており、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、連結部のほぼ中心部に立設し、縦桟の両端部における中空錐体状支柱は、横桟の外側寄りに立設すると共に、少なくとも枠体の外側面が開口しており、さらに、前記中空錐体状支柱は、同列方向においては前記枠体を挟んで交互に反対向きにほぼ同じ長さで立設されており、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱同士は同一方向を向いており、縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部に形成したことを特徴とする包装トレー保持枠。

【請求項2】前記中空錐体状支柱は、円錐台状または角錐台状の中空錐体状支柱であることを特徴とする請求項1に記載の包装トレー保持枠。

【請求項3】縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、上向きの中空錐体状支柱の先端に突起を設け、下向きの中空錐体状支柱の先端に孔を設けて、二つの包装トレー保持枠のうち一方を水平に180度回転させて積み重ねたとき、前記突起が前記孔に嵌合するように形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の包装トレー保持枠。

【請求項4】縦横に設けた桟によって形成される複数の窓は10個である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装トレー保持枠。」

訂正事項b
明細書の段落番号0010を、次のように訂正する。
「【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために次のような構成とした。即ち、この発明の包装トレー保持枠は、適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟の両端部とその中間部に横桟を連結することによって複数の窓を有する枠体を形成し、前記縦桟の中間部と連結する横桟は、その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成する。前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱を立設し、横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱を立設する。前記中空錐体状支柱は前記枠体を貫通しており、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、連結部のほぼ中心部に立設し、縦桟の両端部における中空錐体状支柱は、横桟の外側寄りに立設すると共に、少なくとも枠体の外側面が開口している。さらに、前記中空錐体状支柱は、同列方向においては前記枠体を挟んで交互に反対向きにほぼ同じ長さで立設されており、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱同士は同一方向を向いており、縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部に形成したことを特徴とする。
前記中空錐体状支柱は、円錐台状または角錐台状の中空錐体状支柱とすることができる。また、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、上向きの中空錐体状支柱の先端に突起を設け、下向きの中空錐体状支柱の先端に孔を設けて、二つの包装トレー保持枠のうち一方を水平に180度回転させて積み重ねたとき、前記突起が前記孔に蕨合するように形成することが好ましい。このように形成することによって、二つの包装トレー保持枠の中空錐体状支柱の先端を連接したときに、両者のずれが防止される。また、縦横に設けた桟によって形成される複数の窓は10個とすることができる。」

訂正事項c
明細書の段落番号0011の第4行目から第7行目の「トレー保持枠10は、縦桟11と横桟13をそれぞれ所定間隔で直角に連結して形成した枠体15の上下面に円錐台状または角錐台状の中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fがそれぞれ同列方向において交互に反対向きとなるように立設されている。」を、次の通り訂正する。
「トレー保持枠10は、適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟11と、縦桟の両端部とその中間部に横桟13を連結することによって複数の窓を有する枠体15を形成し、前記枠体15の上下面に枠体15を貫通するように、中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fを前記縦桟11と横桟13との連結部に立設する。前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱17a、17f及び19a,19fを立設し、横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱17b〜17e及び19b〜19eを立設してなる。前記中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fは、円錐台状または角錐台状であって、それぞれ同列方向において交互に反対向きにほぼ同じ長さとなるように立設されている。縦桟の両端部における中空錐体状支柱17a〜17fは交互に反対向きとなるように横桟の外側寄りに立設する。前記中空錐体状支柱17a〜17fは、少なくとも枠体の外側面が開口している。また、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱17a〜17f同士は、同一方向を向くように立設してなる。また、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱19a〜19fは、交互に反対向きとなるように連結部のほぼ中心部に立設してなる。」

訂正事項d
明細書の段落番号0012の第1行目の「6本の縦桟11と3本の横桟13によって」を、「適宜の間隔で並列させてなる6本の縦桟11と、前記縦桟11の両端部及びその中間部に3本の横桟13を連結することによって」と訂正する。
また、同じく段落番号0012の第5行目の「納付部3」を、「「収納部3」と訂正する。
さらに、同じく段落番号0012の第8行目の「横桟13の中空錐体状支柱の間には、凹部21がもうけられている」を、「縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部21に形成してなる。」と訂正する。

訂正事項e
明細書の段落番号0013の第3行目の「外方に立設」を、「横桟13の外側に立設」と訂正する。
また、同じく段落番号0013の第6行目の「枠体側端面は」を、「枠体の外側面は」と訂正する。

訂正事項f
明細書の段落番号0014の第1行目の「ついて説明すると、外側に位置する」を、「ついて説明すると、中空錐体状支柱19aと19fは、連結する縦桟の幅寸法より径寸法が大きいが、中空錐体状支柱19b〜19eは、連結する縦桟の幅寸法とほぼ等しい径寸法である。外側に位置する」と訂正する。
また、同じく段落番号0014の第5行目の「枠体側端面は開口30」を、「中空錐体状支柱19a〜19fの底面をなす枠体の外側面は開口30」と訂正する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
包装トレー保持枠
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟の両端部とその中間部に横桟を連結することによって複数の窓を有する枠体を形成し、前記縦桟の中間部と連結する横桟は、その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成してなり、前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱を立設し、横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱を立設してなり、前記中空錐体状支柱は前記枠体を貫通しており、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、連結部のほぼ中心部に立設し、縦桟の両端部における中空錐体状支柱は、横桟の外側寄りに立設すると共に、少なくとも枠体の外側面が開口しており、さらに、前記中空錐体状支柱は、同列方向においては前記枠体を挟んで交互に反対向きにほぼ同じ長さで立設されており、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱同士は同一方向を向いており、縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部に形成したことを特徴とする包装トレー保持枠。
【請求項2】 前記中空錐体状支柱は、円錐台状または角錐台状の中空錐体状支柱であることを特徴とする請求項1に記載の包装トレー保持枠。
【請求項3】 縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、上向きの中空錐体状支柱の先端に突起を設け、下向きの中空錐体状支柱の先端に孔を設けて、二つの包装トレー保持枠のうち一方を水平に180度回転させて積み重ねたとき、前記突起が前記孔に嵌合するように形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の包装トレー保持枠。
【請求項4】 縦横に設けた桟によって形成される複数の窓は10個であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装トレー保持枠。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、野菜、果実、卵等の食品や各種の精密部品等を収納した包装トレーを運搬、保管する際に前記トレーをそれぞれ各別に嵌合して支持する保持枠に係り、詳しくは不使用時には支柱を嵌合することによって積み重ね、使用時には支柱を連結してトレーを保持する空間を形成することができる包装トレー保持枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、イチゴ、びわ、さくらんぼ、ぶどう、プラム等の果実やミニトマト等の小型野菜あるいは各種の小型精密部品は、開口部周縁にフランジを有する合成樹脂製の包装トレーに収納され、さらに前記トレーをダンボール箱に入れられて保管、輸送される。スーパー等の小売店ではダンボール箱から前記トレーを取り出してそのまま店頭に陳列して販売する。また、小型精密部品を使用して製品を組み立てる工場では、ダンボール箱から前記トレーを取出してそのまま組み立てラインに供給する。例えば、イチゴについて生産者から小売店の店頭に陳列されるまでの流通経路について説明すると、生産者が採取したイチゴは、まず指定サイズごとに選別された後、図7に示すようなトレーに一個ずつ並べながら収納される。
【0003】
図7に示すトレー1は、一般に広く使用されている形状であって、上部開口部周縁にフランジ2を有し、収納部3はその周壁が底部に向かって窄まるようにテーパ面に形成されている。これらのトレー1に採取したイチゴを指定サイズごとに収納した後、産地名を表示したフィルムで上面を被覆し、組み立てられたダンボール箱に前記トレーを並列させて4個入れ、さらに4個のトレーをそれぞれ隔離するために十字状の仕切壁を挿入する。
【0004】
トレー同士を積み重ねることはできないから、ダンボール箱には4個のトレーが一段のみ入れられる。このようにしてダンボール箱に入れられたイチゴは、集荷場に持ち込まれて全数検査される。検査が終了すると、4個のトレーを入れたダンボール箱は5段に積み重ねてバンド掛けによって一体に結束される。
【0005】
一体に結束された前記5段積みのダンボール箱は、予冷庫で一時保管した後、保冷車で青果市場に輸送される。青果市場で一般の野菜や果実と同様にセリにかけられた後、スーパー等の小売店で販売される。青果市場ではセリのためにダンボール箱を結束しているバンドを切断しなければならないし、小売店で販売するためにダンボール箱を開封してイチゴを収納したトレーを取り出さなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の輸送方法には次のような問題がある。即ち、トレーをダンボール箱に入れるためには、まずダンボール箱を組み立てなければならないが、ダンボール箱を多数組み立てることは手間と時間がかかり、生産者にとっては大きな負担となっていた。また、ダンボール箱は、再使用することができない使い捨てであるから、膨大な量のゴミとなって廃棄されることになり、そのゴミとしての処分と天然資源の浪費による地球環境の破壊につながり大きな社会問題となっている。
【0007】
また、ダンボール箱は、蓋を閉じるとほぼ密閉された状態となるから内外との空気の流通が悪くなり、予冷庫での一時保管や保冷車による輸送中にも収納したイチゴを所定の温度に保冷できなかったり、均一に保冷できなかった。そこで、保冷車に積み込む際に段積みしたダンボール箱の列の間隔を明けて冷気の循環を良くするようにしているが、必ずしも十分とは言えず、また段積みの間隔を明けることはそれだけ輸送効率を悪くするという問題ある。
【0008】
また、ダンボール箱は単に積み重ねただけでは安定しないとともに、持ち運びに不便であるから、5個のダンボール箱をバンド掛けによって一体に結束している。このために、自動結束機を設備しなければならず、結束機への投入の手間ばかりでなく、ダンボール箱が使い捨てであることと相俟って、コストアップとなっていた。さらに、青果市場ではセリにかけるためにバンドを切断しなければならない手間とともに、大量のゴミが発生することになる。また、スーパー等の小売店ではダンボール箱は解体する際に小さなゴミや塵が発生するので、店内では解体できない。そこで、倉庫等の保管場所で解体作業をしなければならないという問題がある。
【0009】
この発明は、上記の現況に鑑みてなされたもので、合成樹脂製箱に充填して使用するものであって、取り扱いが簡単で、保管する際には嵌合して積み重ねることによって場所を取らず、使用する際には単に180度回転させるだけでトレーを嵌合、保持するための空間を確保することができるようにした包装トレー保持枠を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために次のような構成とした。即ち、この発明の包装トレー保持枠は、適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟の両端部とその中間部に横桟を連結することによって複数の窓を有する枠体を形成し、前記縦桟の中間部と連結する横桟は、その両側端縁に上下に突出するリブを設けて断面H状に形成する。前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱を立設し、横桟の両端部を除く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱を立設する。前記中空錐体状支柱は前記枠体を貫通しており、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、連結部のほぼ中心部に立設し、縦桟の両端部における中空錐体状支柱は、横桟の外側寄りに立設すると共に、少なくとも枠体の外側面が開口している。さらに、前記中空錐体状支柱は、同列方向においては前記枠体を挟んで交互に反対向きにほぼ同じ長さで立設されており、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱同士は同一方向を向いており、縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を立設した連結部との間を凹部に形成したことを特徴とする。
前記中空錐体状支柱は、円錐台状または角錐台状の中空錐体状支柱とすることができる。また、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱は、上向きの中空錐体状支柱の先端に突起を設け、下向きの中空錐体状支柱の先端に孔を設けて、二つの包装トレー保持枠のうち一方を水平に180度回転させて積み重ねたとき、前記突起が前記孔に嵌合するように形成することが好ましい。このように形成することによって、二つの包装トレー保持枠の中空錐体状支柱の先端を連接したときに、両者のずれが防止される。また、縦横に設けた桟によって形成される複数の窓は10個とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明にかかる包装トレー保持枠の斜視図、図2は包装トレー保持枠を合成樹脂製箱に充填した状態の平面図である。トレー保持枠10は、適宜の間隔で並列させてなる複数の縦桟11と、縦桟の中間部と両端部に横桟13を連結することによって複数の窓を有する枠体15を形成し、前記枠体15の上下面に枠体15を貫通するように、中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fを前記縦桟11と横桟13の連結部に立設する。前記横桟のそれぞれ両端部には、連結する縦桟の幅寸法よりも径の大きい中空錐体状支柱17a、17f及び19a,19fを立設し、横桟の両端部を余く縦桟との連結部には、縦桟の幅寸法とほぼ等しい径の中空錐体状支柱17b〜17e及び19b〜19eを立設してなる。前記中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fは、円錐台状または角錐台状であって、それぞれ同列方向において交互に反対向きとなるように立設されている。縦桟の両端部における中空錐体状支柱17a〜17fは、交互に反対向きとなるように横桟の外側寄りに配設する。前記中空錐体状支柱17a〜17fは、少なくとも枠体の外側面が開口している。また、縦桟の両端部において対向する中空錐体状支柱17a〜17f同士は、同一方向を向くように配設してなる。また、縦桟の中間部と横桟との連結部における中空錐体状支柱19a〜19fは、交互に反対向きとなるように連結部のほぼ中心部に配設してなる。
【0012】
さらに、詳述すると、適宜の間隔で並列させてなる6本の縦桟11と、前記縦桟11の両端部及びその中間部に3本の横桟13を連結することによって窓20が10個形成されている。前記縦桟11と横桟13との連結部に中空錐体状支柱17a〜17f、及び中空錐体状支柱19a〜19fが立設されている。前記窓20の大きさは、図7に示すような従来の包装トレー1の収納部3を嵌入しフランジ2または収納部3の壁面を前記桟11、13上に係止できるように形成されている。また、枠体15の外側寸法は、充填する合成樹脂製箱に挿入できる大きさであって、合成樹脂製箱の内面に当接し、ガタが生じない大きさであることが好ましい。縦桟の両端部と連結する横桟は、中空錐体状支柱を配置した連絡部の間を凹部21に形成してなる。前記凹部21を設けることによって、図2に示すように、合成樹脂製箱33の内面との間に隙間23が生じるから、指を入れてトレーを容易に取り出すことができる。
【0013】
また、外側の横桟13に立設されている中空錐体状支柱17a〜17fについて説明すると、中空錐体状支柱17a〜17fは包装トレー1のフランジ2を桟11、13上に係止するためにフランジ2と当接しないように横桟13の外側に立設することが好ましく、そのために桟(11、13)からはみ出した部分を切り落としており、外側面にはスリット25が形成されている。また、中空錐体状支柱17は枠体15を貫通して一体に形成されており、枠体の外側面は開口27している。さらに、中空錐体状支柱17a〜17fは前記枠体を挟んで交互に上下方向に反対向きに立設されており、図示した実施形態では、中空錐体状支柱17a、17c、17eが下向きに、中空錐体状支柱17b、17d、17fが上向きにそれぞれ立設されている。
【0014】
一方、中空錐体状支柱19a〜19fについて説明すると、中空錐体状支柱19aと19fは、連結する縦桟の幅寸法より径寸法が大きいが、中空錐体状支柱19b〜19eは、連結する縦桟の幅寸法とほぼ等しい径寸法である。外側に位置する中空錐体状支柱19aと中空錐体状支柱19fは、中空錐体状支柱17a〜17fと同様にできるだけ外方に立設することが好ましく、桟11、13からはみ出した部分を切り落とし、外側面にスリット29を形成している。また、中空錐体状支柱19a〜19fは、桟11、13を貫通しており、中空錐体状支柱19a〜19fの底面をなす枠体の側端面は開口30している。さらに、中空錐体状支柱19a〜19fは、中空錐体状支柱17とは順序を逆にして交互に上下方向に立設されており、図示した実施形態では、中空錐体状支柱19a、19c、19eが上向きに、中空錐体状支柱19b、19d、19fが下向きにそれぞれ立設されている。下向きの中空錐体状支柱によって枠体15の下方に空間が形成され、トレーを嵌入しフランジ2を桟11、13上に係止させて保持させることができる。
【0015】
さらに、中空錐体状支柱19c、19eの上面には突起31が突設されている。即ち、平面における中心線を挟んで等距離にある一方の上向きの中空錐体状支柱19c、19eの先端に突起31を設け、他方中空錐体状支柱19b、19dに孔35を設けてなる。前記突起31は、上段のトレー保持枠10を水平に180度回転させて下段のトレー保持枠10に載置したとき、下段の中空錐体状支柱19b、19dの端面開口に挿入されることになる。このようにして、下段のトレー保持枠10に対して、上段のトレー保持枠を水平に180度回転させて載置すると、中空錐体状支柱のうち、それぞれ1つ置きの下向きのものと上向きのものとが対向して連接されることになる。
【0016】
従って、トレー保持枠10の中空錐体状支柱のうち、上段の中空錐体状支柱17aと下段の中空錐体状支柱17f、上段の中空錐体状支柱17cと下段の中空錐体状支柱17d、上段の中空錐体状支柱17bと下段の中空錐体状支柱17e、さらに、上段の中空錐体状支柱19fと下段の中空錐体状支柱19a、上段の中空錐体状支柱19dと下段の中空錐体状支柱19c、上段の中空錐体状支柱19bと下段の中空錐体状支柱19eとが連接され、下段のトレー保持枠10と上段のトレー保持枠10との間には中空錐体状支柱の約2倍の高さの間隔が形成されることになる。前記空間の形成によって上段の枠体15の窓20にトレーを嵌入して保持させることができる。また、トレー保持枠10、10を同一方向で積み重ねると、上向きの支柱は上向き同士で嵌合され、下向きの支柱は下向き同士で嵌合されることになり、高さを低くして積み重ねることができる。
【0017】
次に、上記トレー保持枠10の使用方法について説明する。まず、図6に示すようなトレー保持枠10を充填可能であり、側面及び底面に多数の小孔を有する合成樹脂製箱33を準備する。合成樹脂製箱33は、不使用時には側壁を折り畳んで高さを低くすることができ、使用するときに組み立てて箱とすることができる組み立て自在箱であることが好ましい。これらの合成樹脂製箱33にトレー保持枠10を充填し、イチゴ等を入れた包装トレー1の収納部3を窓20に挿入するとともに、フランジ2を縦桟11及び横桟13に係止させる。包装トレー1は浮いた状態で保持されるのでクッションや緩衝作用を奏し、輸送中に振動や衝撃が直接伝えられることがなく、イチゴに大きなダメージを与えることがない。
【0018】
このようにして、全部の窓20に包装トレー1を嵌合した後、さらに、上段のトレー保持枠10を水平方向に180度回転させて下段トレー保持枠10の上に載置する。トレー保持枠10には、中空錐体状支柱17(17a〜17f)及び中空錐体状支柱19(19a〜19f)が交互に反対方向に向いて立設されているために、上段のトレー保持枠10を水平に180度回転させると交互に対向して連接されることになる。このとき、中空錐体状支柱19c、19eの上面の突起31は、下段の中空錐体状支柱19b、19dの端面開口に挿入されるから、両者のずれを防止することができる。そして、図5に示すように、下段のトレー保持枠10と上段のトレー保持枠10との間には、中空錐体状支柱17(17a〜17f)及び中空錐体状支柱19(19a〜19f)の約2倍の高さ間隙が形成されることになり、上段のトレー保持枠10にもトレー1を嵌合させることができる。
【0019】
合成樹脂製箱33として組み立て自在箱を用いた場合には、ダンボール箱に比べて組み立てが極めて簡単であるとともに、実施形態の大きさのトレー保持枠10の場合には20個のトレーを収納することができるから、従来のダンボール箱5段積みに相当する。この発明の上記実施形態では、バンド掛けは不要であるから自動結束機を設備する必要もなく手間もかからない。また、合成樹脂製箱33として底面や側面に多数の透孔を有する箱を使用することによって、ダンボール箱のように密閉状態にならないから内部に冷気を十分流通させることができる。
【0020】
従って、予冷庫や保冷車内で所定温度で全体を均一に保冷することができ、品質を長持ちさせることができるとともに、段積みする際にも段積みの間隔を明ける必要がないから輸送効率を向上させることができる。また、合成樹脂製箱33の内面との間にはトレー保持枠10の側面に設けた凹部21によって隙間23が形成され、この隙間23に手を差し込んでトレーを容易に取り出すことができる。また、青果市場やスーパー等の小売店でもダンボール箱の場合のように結束したバンドの切断の手間が不要であるとともに、ゴミや塵が発生することがないので店内での取り出し作業も可能である。
【0021】
一方、不使用時には、図4に示すように、トレー保持体10を同一方向に積み重ねることによって、上段の中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fと下段の中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fとを嵌合させることができるから、高さを低くすることができるとともに、安定した状態で積み重ねることができる。また、リサイクルが可能であり従来のダンボール箱のように大量のゴミを発生させることがない。
【0022】
尚、上記実施形態において、位置決め用の突起31は適宜省略することが可能であり、また、窓の数をいくつにするかも任意に決定することができる。また、中空錐体状支柱17a〜17f及び中空錐体状支柱19a〜19fは枠体側端面においてのみ開口させればよい。
【0023】
【発明の効果】
この発明は上述するところから明らかなように、トレーを嵌合する窓を有する枠体に交互に向きを変えた中空錐体状支柱を立設し、中空錐体状支柱は枠体側端面においてのみ開口させた包装トレー保持枠としたから、中空錐体状支柱の嵌合が可能であり、嵌合して保管することによってスペースの節約を図ることができる。一方、使用するときには水平に180度回転させるだけで下段のトレー保持枠のみならず上段のトレー保持枠においても包装トレーを保持する空間を確保することができ、しかも包装トレーを浮いた状態で保持することができる。従って、振動や衝撃を吸収するとともに、冷気を均一に循環させることにより野菜や果実の品質を長持ちさせることができる。さらに、回収して再使用が可能であるからコストダウンとともに、省資源を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明にかかるトレー保持枠の一例を示す斜視図である。
【図2】
同じく箱に充填した状態の平面図である。
【図3】
中空錐体状支柱の一例を示す拡大斜視図である。
【図4】
積み重ねた状態の断面図である。
【図5】
使用状態の説明用断面図である。
【図6】
合成樹脂製箱の一例を示す斜視図である。
【図7】
公知の包装トレーの斜視図である。
【符号の説明】
10 トレー保持枠
11 縦桟
13 横桟
15 枠体
17a〜17f 中空錐体状支柱
19a〜19f 中空錐体状支柱
20 窓
21 凹部
23 隙間
25 スリット
27 開口
29 スリット
30 開口
31 突起
33 合成樹脂製箱
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-06-24 
出願番号 特願平10-246549
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 幸雄  
特許庁審判長 鈴木 美知子
特許庁審判官 山崎 豊
溝渕 良一
登録日 2001-09-14 
登録番号 特許第3232279号(P3232279)
権利者 東京青果株式会社 イフコ・ジャパン株式会社
発明の名称 包装トレー保持枠  
代理人 関根 光生  
代理人 関根 光生  
代理人 平井 保  
代理人 関根 光生  

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