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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  B65D
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  B65D
管理番号 1102829
異議申立番号 異議2003-73062  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-18 
確定日 2004-06-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3418771号「易開封性包装袋及びその製造方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3418771号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 <1>手続の経緯
特許第3418771号の請求項1〜3に係る発明についての出願は平成6年7月19日に特許出願されたもので、平成15年4月18日にその発明について特許の設定登録がなされた後、その特許について特許異議申立人 高野祐治、凸版印刷株式会社より特許異議の申立てがなされ、 取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年5月10に訂正請求がなされたものである。

<2>訂正の適否
<訂正の内容>
訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1に記載された「表面基材層」を「2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる表面基材層」と訂正すると共に、「2軸延伸プラスチックフィルム層」を「2軸延伸ナイロンフィルム層」と訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項b:特許請求の範囲の請求項3に記載された「積層する易開封性包装袋」を「積層すると共に、袋としたときの表裏両面の対向する位置に切れ目を形成する易開封性包装袋」と訂正し、
「第2フィルムに切れ目を形成し、」を「第2フィルムの少なくとも2箇所に切れ目を形成し、」と訂正し、
「直後に、前記切れ目が形成された箇所に」を「直後に、少なくとも2箇所に形成された前記切れ目が形成された箇所に」と訂正するものであるから、
特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記請求項1、3の訂正に伴い、詳細な説明の段落【0005】【0007】【0008】を訂正しているが、当該訂正は、上記請求項1、3の訂正に伴う明りょうでない記載の釈明に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上、特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
<3>特許異議の申立てについての判断
<3-1>申立ての理由の概要
異議申立人 高野祐治は、本件訂正前の請求項1〜2に係る発明についての特許に対して、証拠として甲第1号証(実公平6-17537号公報) 、甲第2号証(「実用プラスチック用語辞典」大阪市立工業研究所プラスチック課編、株式会社プラスチックス・エージ発行(昭和45年6月20日発行)第68〜69頁)、甲第3号証(実願平3-45435号(実開平4-89760号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(特開平4-311466号公報)、甲第5号証(特開平4-80017号公報)を提出し、本件訂正前の請求項1〜2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件訂正前の請求項1〜2に係る発明についての特許を取り消すべき旨、主張している。
また、異議申立人 凸版印刷株式会社は、本件訂正前の請求項1〜3に係る発明についての特許に対して、証拠として甲第1号証(特開平4-311466号公報) 、甲第2号証(実願昭63-85181号(実開平2-8756号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願平3-92049号(実開平5-44309号)のCD-ROM)を提出し、本件訂正前の請求項1〜3に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件訂正前の請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すべき旨、主張している。
<3-2>本件発明
上記検討したとおり訂正請求は認められるから、本件請求項1〜3に係る発明は、その訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる表面基材層と、アルミニウム箔層と2軸延伸ナイロンフィルム層からなる中間層と、熱接着性樹脂層とがそれぞれ接着剤層を介して積層された積層体からなる袋の開封位置において、前記2軸延伸ナイロンフィルム層のみに袋の両端縁間を結ぶ連続した直線状の切れ目が形成され、前記切れ目の両端における前記袋の熱接着部の少なくとも一方にノッチが設けられていることを特徴とする易開封性包装袋。
【請求項2】 前記連続した直線状の切れ目が複数本からなることを特徴とする請求項1記載の易開封性包装袋。
【請求項3】 第1給紙部から繰り出される第1フィルムと、第2給紙部から繰り出される第2フィルムを、ドライラミネーション又は押出ラミネーション法により積層すると共に、袋としたときの表裏両面の対向する位置に切れ目を形成する易開封性包装袋の製造方法において、前記第1フィルムに前記第2フィルムを積層する直前の位置にて、前記第2フィルムの少なくとも2箇所に切れ目を形成し、前記第2フィルムに前記切れ目を形成した直後に、少なくとも2箇所に形成された前記切れ目が形成された箇所に球状体を押圧して、前記切れ目の部分において前記第2フィルム同士が重なり合うのを防止することを特徴とする易開封性包装袋の製造方法。」

<3-3>対比・判断
当審において通知された取消理由は、訂正前の請求項1〜3に係る発明は、下記の引用文献から容易に発明することができたというものである。
引用例1:特開平4-311466号公報(異議申立人 凸版印刷株式会社提出の甲第1号証)
引用例2:実願昭63-85181号(実開平2-8756)のマイクロフィルム(同 甲第2号証)
引用例3:実願平3-92049号(実開平5-44309)のCD-ROM(同 甲第3号証)
しかしながら、本件の請求項1に係る発明における「2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる表面基材層」、「アルミニウム箔層と2軸延伸ナイロンフィルム層からなる中間層」、「前記2軸延伸ナイロンフィルム層のみに袋の両端縁間を結ぶ連続した直線状の切れ目が形成され」た点、及び、請求項3に係る発明における「切れ目が形成された箇所に球状体を押圧して、前記切れ目の部分において前記第2フィルム同士が重なり合うのを防止する」点については、引用例1〜3には記載も示唆もない。
そして、請求項2は請求項1を引用するので、上記取消理由は解消された。
そうすると、請求項1〜3に係る発明は、上記引用例1〜3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいうことができない。

<4>むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、その他の異議申立理由によっても、請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すことができない。
さらに他に、請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
易開封性包装袋及びその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる表面基材層と、アルミニウム箔層と2軸延伸ナイロンフィルム層からなる中間層と、熱接着性樹脂層とがそれぞれ接着剤層を介して積層された積層体からなる袋の開封位置において、前記2軸延伸ナイロンフィルム層のみに袋の両端縁間を結ぶ連続した直線状の切れ目が形成され、前記切れ目の両端における前記袋の熱接着部の少なくとも一方にノッチが設けられていることを特徴とする易開封性包装袋。
【請求項2】 前記連続した直線状の切れ目が複数本からなることを特徴とする請求項1記載の易開封性包装袋。
【請求項3】 第1給紙部から繰り出される第1フィルムと、第2給紙部から繰り出される第2フィルムを、ドライラミネーション又は押出ラミネーション法により積層すると共に、袋としたときの表裏両面の対向する位置に切れ目を形成する易開封性包装袋の製造方法において、前記第1フィルムに前記第2フィルムを積層する直前の位置にて、前記第2フィルムの少なくとも2箇所に切れ目を形成し、前記第2フィルムに前記切れ目を形成した直後に、少なくとも2箇所に形成された前記切れ目が形成された箇所に球状体を押圧して、前記切れ目の部分において前記第2フィルム同士が重なり合うのを防止することを特徴とする易開封性包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はプラスチック多層構成からなる開封し易い包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、切れ目を設けることにより開封を容易にした袋としては、例えば実公昭60-13789号に記載されているような、ビニリデンコート延伸ポリプロピレンフィルム等の延伸フィルムからなる外層と、ポリエチレン等のシール用フィルムからなる内層を、接着剤層を介して積層した構成からなる袋の外層の延伸フィルム層に切れ目を設けた構成の袋が知られている。
【0003】
一般的に包装袋の場合には、耐熱性、ガスバリヤー性、寸法安定性の優れた2軸延伸フィルムを表面基材層とし内面に熱接着性樹脂層を積層した積層体から構成されるのであるが、上記の袋のように、表面基材層の延伸フィルム層に切れ目を設けた構成では、袋自体の強度が低下する上に、延伸フィルム層に切れ目を設けることにより、袋の水蒸気、酸素ガス等のガスバリヤー性が低下するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、袋自体の強度が低下せず、且つ切れ目を設けることによって袋の水蒸気、酸素ガス等のガスバリヤー性が低下しない、低価格の開封し易い包装袋及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる表面基材層と、アルミニウム箔層と2軸延伸ナイロンフィルム層からなる中間層と、熱接着性樹脂層とがそれぞれ接着剤層を介して積層された積層体からなる袋の開封位置において、前記2軸延伸ナイロンフィルム層のみに袋の両端縁間を結ぶ連続した直線状の切れ目が形成され、前記切れ目の両端における前記袋の熱接着部の少なくとも一方にノッチが設けられていることを特徴とする易開封性包装袋である。
【0006】
前記連続した直線状の切れ目が複数本からなることを特徴とする請求項1記載の易開封性包装袋である。
【0007】
第1給紙部から繰り出される第1フィルムと、第2給紙部から繰り出される第2フィルムを、ドライラミネーション又は押出ラミネーション法により積層すると共に、袋としたときの表裏両面の対向する位置に切れ目を形成する易開封性包装袋の製造方法において、前記第1フィルムに前記第2フィルムを積層する直前の位置にて、前記第2フィルムの少なくとも2箇所に切れ目を形成し、前記第2フィルムに前記切れ目を形成した直後に、少なくとも2箇所に形成された前記切れ目が形成された箇所に球状体を押圧して、前記切れ目の部分において前記第2フィルム同士が重なり合うのを防止することを特徴とする易開封性包装袋の製造方法である。
【0008】
【作用】
表面基材層と、アルミニウム箔層と2軸延伸プラスチックフィルム層からなる中間層と、熱接着性樹脂層とがそれぞれ接着剤層を介して積層された積層体からなる袋の開封位置において、2軸延伸プラスチックフィルム層のみに袋の両端縁間を結ぶ連続した直線状の切れ目を、ラミネーション時に切り刃により形成して積層した積層体を使用して、積層体の切れ目が袋の開封位置に沿って表裏両面に重なり合うように製袋し、切れ目を備えた開封位置の両端の袋の熱接着部にノッチを形成することにより、ノッチ部から切れ目に沿って容易に引き裂き開封することのできる易開封性包装袋が得られる。
【0009】
【実施例】
以下、図面を引用して本発明を説明する。図1は本発明の第1実施例の構成を示す図で、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)におけるI-I断面図、図2は本発明の第2実施例の構成を示す図で、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)におけるI-I断面図、図3は積層体の内面層ないし中間層に切れ目を形成する方法を示す図、図4は本発明の易開封性包装袋の第3実施例における2本の切れ目を示す要部の平面図、図5は本発明の易開封性包装袋の第3実施例における2本の切れ目とノッチの相対位置がズレた状態を示す要部の平面図、図6は球状体の押圧部を備えた切り刃を使用して積層体の内面層ないし中間層に切れ目を形成する方法を示す図であって、1,1’は易開封性包装袋、2は熱接着部、3は切れ目、4,4’はノッチ、11,11’は積層体、12は表面基材層、13は熱接着性樹脂層、14,14a,14bは中間層、15は加熱ロール、16は加圧ロール、17は切り刃、18は第1フィルム、19は第2フィルム、20は球状体をそれぞれ表す。
【0010】
本発明の第1実施例の易開封性包装袋1は図1(イ)、(ロ)に示すように、表面基材層12と熱接着性樹脂層13の2層が接着剤層を介して積層され、熱接着性樹脂層13に連続した直線状の切れ目3が形成された積層体11から構成されたピロータイプ袋である。積層体11の熱接着性樹脂層13に形成された切れ目3が、袋の開封位置に沿って表裏両面が重なり合うようにされている。袋の両端の熱接着部2の端縁は波型の断裁刃でカットされているので、その箇所から袋を引き裂くと切れ目3に沿って容易に袋が開封できる。易開封性包装袋1の切れ目3の両端の熱接着部2にノッチを形成し、その箇所から引き裂くようにしてもよい。上記実施例においては袋の形状がピロータイプのものを示したが、袋の形状は任意であり積層体11の熱接着性樹脂層13に形成された切れ目3が袋の開封位置に沿って表裏両面が重なり合うように製袋したものであればよい。
【0011】
本発明の第2実施例の易開封性包装袋1’は図2(イ)、(ロ)に示されるように、表面基材層12と中間層14と熱接着性樹脂層13が順に積層された積層体11’からなる4方シール袋であり、中間層14は中間層14aと中間層14bの2層から構成され、中間層14bには切れ目3が形成されている。積層体11’の中間層14bに形成された切れ目3が袋の表裏同位置にくるように製袋される。易開封性包装袋1’の切れ目3の両端の熱接着部2にはそれぞれ半円形状のノッチ4が形成されており、ノッチ4の箇所から袋を引き裂くと切れ目3に沿って容易に袋が開封できる。ノッチの形状としてはV字状としてもよく任意であるが、上記のように半円形状かないしは底部が半円形状からなるU字状のものが適している。U字状のノッチの場合の方が切れ目3に引裂く力を加え易いので袋の開封性は良好であるが、ノッチが深くなるのでシール幅を広くとる必要があり、意匠性が問題になる場合もある。袋の構成、形状、用途によってノッチの形状を使い分ければよい。
【0012】
易開封性包装袋1,1’の開封位置において、積層体11,11’に設けられた切れ目3が袋の表裏両面で重なり合うように製袋されるのであるが、袋の表裏の切れ目3の位置が2mm程度であればずれても易引き裂き性は損なわれないものである。また、易開封性包装袋1’のように切れ目3の両端の熱接着部に3〜5mmの開口部巾を有するノッチ4を切れ目3がその開口部巾内にくるように設けておけば、ノッチの部分から開封を開始することができるので切れ目3の位置に沿って容易に引き裂くことができる。
【0013】
図4に示すように、易開封性包装袋1’を構成する積層体11’の中間層14bに、所定間隔で互いに平行に配列された2本の切れ目3を設けるようにしてもよい。この場合においても2本の切れ目3が袋の表裏両面で重なり合うように製袋されるのであるが、袋の表裏の切れ目3の位置が2mm程度であればずれても易引き裂き性は損なわれないものである。切れ目3の両端の熱接着部2に開口部幅が3〜5mmのノッチ4’を切れ目3がその開口部幅内にくるように設けることで、ノッチ4’の部分から切れ目3に沿って袋を容易に引き裂くことができる。上記ノッチ4’は長さが1〜2mmの直線部を有し底部が半円形状となっているU字状である。U字状のノッチ4’は直線部を有しているので半円形状のノッチ4に比べて切れ目3に引裂く力を加え易いので袋の開封性は良好である。しかしながら、U字状のノッチ4’は半円形状のノッチ4よりも深くなるのでノッチ4’を設ける熱接着部2の幅を広くとる必要があり、袋の意匠性の面で問題になる場合もある。したがって、袋の積層構成、形状、用途によって半円形状のノッチ4、U字状のノッチ4’等を使い分けることが必要である。
【0014】
図4に示すように2本の切れ目3を設ける場合には、切れ目3と切れ目3の間隔は1〜4mmが適当である。切れ目3と切れ目3の間隔を1mm以下にすると切り刃17により切れ目3を形成するのが技術的に困難になるし、4mm以上に大きくすると直線状に切り裂き難くなる。上記実施例においては2本の切れ目3を設けた場合について説明したが、3本以上の切れ目3を設けてもよいことは勿論である。切れ目3を複数本設けることにより開封位置で切裂き線が横に曲がってしまい直線状に切れないという問題がなくなる。また、図5(イ)、(ロ)に示すように、2本の切れ目3とノッチ4’の相対位置が上下にズレることがあっても、2本の切れ目3の中の1本がノッチ4’の内部に存在しておれば、その部分から容易に直線状に袋を引き裂くことができる。
【0015】
本発明の易開封性包装袋1、1’の表面基材層12としては、2軸延伸ポリプロピレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ナイロン等の2軸延伸プラスチックフィルムないしはそれらのフィルムに塩化ビニリデン樹脂等のガスバリヤー性樹脂をコーティングしたフィルムが使用できる。熱接着性樹脂層13としては、低・中・高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の熱接着性樹脂が使用できる。
【0016】
中間層14としては、2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のフィルムが使用できる。中間層14は上記のフィルムを1層で使用してもよいし、2層以上積層して使用してもよい。また、第2実施例のように上記のフィルムとアルミニウム箔との積層体を使用してもよい。中間層14として2層以上のフィルムを積層して使用する場合には、積層する層の内の強度のある層にのみ切れ目3を設けるか、ないしは2層共に切れ目を設けるようにしてもよい。
【0017】
表面基材層12、中間層14、熱接着性樹脂層13を積層するには接着剤を使用して行う。ウレタン系接着剤を使用してドライラミネーションにより積層する方法、ないしはポリエチレン樹脂等の溶融押出ラミネーションにより積層する方法で行う。ドライラミネーションにより積層した方が引き裂き性がよいので好ましい。具体的な袋の積層構成としては、(1)2軸延伸ポリプロピレン(OPP)/ドライラミネーション(DL)/未延伸ポリプロピレン(CPP)、(2)2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/押出ラミネーション(EC)/CPP、(3)PET/DL/アルミニウム箔(AL)/DL/2軸延伸ナイロン(ON)/CPP、(4)PET/DL/AL/DL/ON/CPP、(5)PET/DL/AL/DL/ON/線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(6)PET/DL/AL/DL/PET/LLDPE、(7)PET/DL/ON/DL/CPP、(8)PET/DL/ON/DL/DL/LLDPE等であり、下線を付したフィルムに切れ目3を設ける。
【0018】
本発明の易開封性包装袋1,1’に使用する積層体11,11’を製造する際に中間層14ないし熱接着性樹脂層13に切れ目3を設けるのであるが、例えば図3に示すように、ドライラミネーションにより積層体11,11’を製造する場合には、表面基材層12を構成する第1給紙部から供給される第1フィルム18に接着剤を塗布しドライヤーを通して溶剤を完全に除去した後に、熱接着性樹脂層13ないしは中間層14を構成する第2給紙部から供給される第2フィルム19を、第1フィルム18の接着剤塗布面に重ね合わせて加熱ロール15と加圧ロール16にて圧着し積層する直前にて、第2給紙部から供給される第2フィルム19の所定位置に厚さ0.2〜0.3mmの超硬刃からなる切り刃17を当てて原反の流れ方向に連続した直線状の切れ目3を設ける方法で行われる。複数本の切れ目3を形成する場合には、必要な数の切り刃17を所定間隔で設置して切れ目3を形成する方法をとる。例えば2mm間隔で2本の切れ目3を形成する場合には、2mm間隔で2枚の切り刃17を設置して切れ目3を形成する。ドライラミネーションではなく押出ラミネーションにて積層体11,11’を製造する場合においても同様に、第1フィルム18と第2フィルム19を溶融樹脂を介して冷却ロールと加圧ロール間でニップして積層する直前にて第2フィルム19に上記と同様の方法で切り刃17を当て直線状の切れ目3を設ける方法で行われる。
【0019】
ドライラミネーションないし押出ラミネーションにより積層体11,11’を製造する際に、上記の方法により中間層14ないし熱接着性樹脂層13に切れ目3を設けるのであるが、第2フィルム19の所定位置に切り刃17を当てて原反の流れ方向に連続した直線状の切れ目3を設けた際に、切れ目3の部分で切断された第2フィルム19同士がわずかに重なり合うことがあり、その状態で積層体を巻き取ると切れ目3の箇所でロールが盛り上がり、切れ目3の部分で積層体にたるみが発生するという問題がでる。したがって、切れ目3の部分で切断された第2フィルム19同士が重なり合うのを防止するために、図6に示すような切り刃17の固定台に球状体20を取り付けて、切れ目3が形成された直後に切れ目3の部分を球状体20にて押圧することにより、第2フィルム19同士が重なり合うのを防止することができる。切れ目3の部分に球状体20を強く押圧しすぎると隙間があいてしまうので、球状体20の押圧の強さを第2フィルム19同士が重なり合わないように調節する。また、図6のように球状体20を切り刃17の固定台に取り付けるのではなく、球状体20を取りつける別の固定台を設けてもよいことは勿論である。
【0020】
本発明の易開封性包装袋1、1’においては、表面基材層12以外の1つの層に切れ目3を設けることにより袋を開封し易くしている。したがって、表面基材層12には切れ目3が形成されないので、積層体11,11’自体の強度を低下させることなく、また積層体11,11’のガスバリヤー性を低下させることなく、袋の引き裂き性を改良することができるので、特に防湿性、ガスバリヤー性の必要な包装袋に適する。例えば、OPP/DL/CPPの構成からなる袋は潰れ易いスナック食品等の包装に適し、PET/DL/AL/DL/ON/DL/CPPの構成の袋はレトルト食品用の袋、詰め替え液体洗剤用の袋として好適に使用できる。上記構成において下線を付したフィルムに切れ目3を入れる。
【0021】
実施例1
20ミクロン厚さの2軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にグラビア印刷にて絵柄を印刷し、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷面にウレタン系接着剤を塗布し、該接着剤塗布面に30ミクロン厚さの未延伸ポリプロピレンフィルムを重ね合わせて熱圧により積層する工程において、熱圧直前にて未延伸ポリプロピレンフィルムの所定箇所に厚さ0.2mmの超硬刃からなる切り刃を当てて流れ方向に連続した切れ目を設けて積層体を作製した。上記積層体を所定巾にカットしてピロータイプ包装機を用いて、袋の表裏両面で切れ目が重なり合うようにして自動充填包装機にて製品を包装して包装体を作製した。流れに直角方向のカットは波型の断裁刃を使用して行った。切れ目の両端の波型の熱接着部で引き裂くことにより包装体は容易に開封できた。
【0022】
実施例2
12ミクロン厚さの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面にグラビア印刷にて絵柄を印刷し、その絵柄面に9ミクロン厚さのアルミニウム箔を2液硬化型ウレタン接着剤を使用してドライラミネーションにより積層した後、上記アルミニウム箔面に15ミクロン厚さの2軸延伸ナイロンフィルムを2液硬化型ウレタン系接着剤を使用してドライラミネーションにより積層する際に、実施例1と同様にして2軸延伸ナイロンフィルムに厚さ0.2mmの超硬刃からなる切り刃を当てて切れ目を設けた。更に上記2軸延伸ナイロンフィルム面に60ミクロン厚さの未延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネーションにより積層して積層体を作製した。上記積層体を使用して製袋機にて、袋の表裏両面で積層体に設けた切れ目が重なり合うようにして熱接着し、切れ目の両端の熱接着部にU字状のノッチを設けて4方シール袋を作製した。切れ目の両端のU字状のノッチから引き裂くことにより包装袋は容易に開封できた。
【0023】
実施例3
12ミクロン厚さの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面にグラビア印刷にて絵柄を印刷し、その絵柄面に15ミクロンの2軸延伸ナイロンフィルムを2液硬化型ウレタン接着剤を使用してドライラミネーションにより積層する際に、2枚の厚さ0.2mmの超硬刃を2mm間隔で設置した切り刃を、2軸延伸ナイロンフィルムに当てて2本の切れ目を形成した直後に、球状体を2本の切れ目の部分に押圧して切れ目の部分にて2軸延伸ナイロンフィルムが重ならないようにして積層した。更に上記2軸延伸ナイロンフィルム面に60ミクロン厚さの線状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネーションにより積層して積層体を作製した。上記積層体を使用して製袋機にて、袋の表裏両面で積層体に設けた切れ目が重なり合うようにして熱接着し、切れ目の両端の熱接着部にU字状のノッチを設けて自立袋を作製した。切れ目の両端の熱接着部で引き裂くことにより包装袋は容易に開封できた。
【0024】
【発明の効果】
表面基材層と、アルミニウム箔層と2軸延伸プラスチックフィルム層からなる中間層と、熱接着性樹脂層とがそれぞれ接着剤層を介して積層されるとともに、中間層の2軸延伸プラスチックフィルム層のみの所定位置に切れ目が形成された積層体を使用して、積層体に設けられた切れ目が開封位置にて袋の表裏両面で重なるようにして製袋し、切れ目の両端における熱接着部にノッチを設けた包装袋とすることにより、切れ目による袋自体の強度の低下ないしは水蒸気及び酸素ガスに対するバリヤー性の低下がなく、ノッチ部から引き裂くことにより切れ目に沿って容易に開封することのできる包装袋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の易開封性包装袋の第1実施例を示す図で、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)におけるI-I断面図。
【図2】 本発明の易開封性包装袋の第2実施例を示す図で、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)におけるI-I断面図。
【図3】 積層体の内面層ないし中間層に切れ目を形成する方法を示す図。
【図4】 本発明の易開封性包装袋の第3実施例における2本の切れ目を示す要部の平面図。
【図5】 本発明の易開封性包装袋の第3実施例における2本の切れ目とノッチの相対位置がズレた状態を示す要部の平面図。
【図6】 球状体の押圧部を備えた切り刃を使用して積層体の内面層ないし中間層に切れ目を形成する方法を示す図。
【符号の説明】
1,1’ 易開封性包装袋
2 熱接着部
3 切れ目
4,4’ ノッチ
11,11’ 積層体
12 表面基材層
13 熱接着性樹脂層
14,14a,14b 中間層
15 加熱ロール
16 加圧ロール
17 切り刃
18 第1フィルム
19 第2フィルム
20 球状体
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-06-02 
出願番号 特願平6-187922
審決分類 P 1 651・ 851- YA (B65D)
P 1 651・ 853- YA (B65D)
P 1 651・ 121- YA (B65D)
最終処分 維持  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 奥 直也
西村 綾子
登録日 2003-04-18 
登録番号 特許第3418771号(P3418771)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 易開封性包装袋及びその製造方法  
代理人 金山 聡  
代理人 金山 聡  

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