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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  D04H
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D04H
管理番号 1104397
異議申立番号 異議2000-73565  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-05-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-09-18 
確定日 2004-07-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3023173号「濾過型繊維顔面マスクの形成方法」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3023173号の請求項1〜8に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3023173号の請求項1〜10に係る発明についての出願は、米国に国際出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理 1990年12月20日、米国)されたものに基づいて、平成3年11月15日に国内出願されたものであり、平成12年1月14日にその設定登録がなされ、その後、その請求項1〜10に係る発明の特許について、異議申立人木村紀夫より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年10月9日に特許異議意見書が提出され、その後、取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年9月13日に特許異議意見書と訂正請求書(後日取下げ)が提出され、訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成15年7月25日に意見書と訂正請求書を補正する手続補正書が提出され、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年5月18日に特許異議意見書と訂正請求書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正請求の内容
特許権者が求める訂正の具体的内容は、以下のとおりのものである。

訂正事項1:
特許請求の範囲の請求項1における、「上記二成分繊維成分の少なくとも1成分」の「二成分繊維成分」を「二成分繊維」に訂正する。

訂正事項2:
特許請求の範囲の請求項1における、「上記二成分の全成分」の「二成分」を「二成分繊維」に訂正する。

訂正事項3:
特許請求の範囲の請求項4及び7を削除する。

訂正事項4:
特許請求の範囲の請求項5、6、8、9及び10をそれぞれ請求項4、5、6、7及び8と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項1において、「二成分繊維成分」では、二成分繊維の2種類の成分のみならず、二成分繊維を構成する他の成分、たとえば各種の添加成分をも含むかのようで明りょうでない記載を、「二成分繊維成分の少なくとも1成分」との記載により、「二成分繊維を構成する2種類の繊維成分のうちの少なくとも1成分」を意味すると解することができるから、訂正事項1は、この明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
訂正事項2において、「上記二成分の全成分」の「二成分」では、熱接着性繊維の繊維成分と二成分繊維の2種類の繊維成分の1成分との二成分を意味するかのようにもとれ、明りょうでなかったものを、(ロ)の成形工程の文章及び「上記二成分の全成分を含む熱接着性繊維」の記載から、「二成分の全成分」が二成分繊維の2種類の繊維成分を意味することが明らかであると解することができるから、訂正事項2は、この明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
訂正事項4は、訂正事項3の訂正に伴い、請求項番号を繰り上げるとともに引用請求項番号の整合性を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、訂正事項1〜4の訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例とされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
異議申立人木村紀夫は、甲第1号証(実願昭61-96098号(実開昭62-15593号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(特開昭63-9455号公報)、甲第3号証(実願昭61-88989号(実開昭62-200351号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(特公昭53-31977号公報)及び甲第5号証(特開昭60-215372号公報)を提出し、

[理由1]訂正前の本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、
[理由2]訂正前の本件請求項発明1〜10に係る発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、

訂正前の本件請求項1〜10に係る発明の特許を取り消すべき旨主張している。

(2)本件請求項に係る発明
上記2.で述べたように、上記訂正が認められるから、本件請求項1〜8に係る発明(以下、「本件発明1〜8」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「1.(イ)(i)不織繊維材料の重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%は二成分繊維である不織繊維材料、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む繊維材料の不織ウエブを、上記二成分繊維の少なくとも1成分を含む上記熱接着性繊維が軟化する温度まで加熱し、かつ次に
(ロ)上記熱接着性繊維と上記二成分繊維の少なくとも1成分がまだ柔らかい間に、上記加熱された繊維材料の不織ウエブを上記二成分繊維の全成分を含む熱接着性繊維の軟化温度未満の温度にある成形部材を具備する成形型で成形する、ことを特徴とする顔面マスクのための不織繊維付形層を形成する方法。
2.上記繊維材料の不織ウエブをプレスキニングする工程を更に含む、請求項1の方法。
3.上記繊維材料の不織ウエブはポリエチレンテレフタレートのコアおよび変形コポリオレフィンまたは非結晶コポリエステルのシースを有する二成分繊維を含む、請求項1の方法。
4.(イ)少なくとも1層の濾過材料、および(i)不織繊維材料の重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%の二成分繊維である不織繊維材料、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む少なくとも1層の不織繊維材料を、二重関係で加熱段階へ通過させて上記二成分繊維の少なくとも1成分を含む熱接着性繊維を軟化し、かつその後に
(ロ)上記二重層を上記二成分繊維の軟化した少なくとも1成分を含む熱接着性繊維の軟化温度未満にある成形部材で顔面マスクの形状に成形し、この成形を上記熱接着性繊維と上記二成分繊維が繊維結合できる間に行う、ことを特徴とする繊維顔面マスク形成方法。
5.上記不織繊維材料の少なくとも1層を置隔されたホットカレンダロール間でプレスキニングする、請求項4の方法。
6.上記濾過材料の少なくとも1層は荷電吹込みマイクロ繊維のウエブを含む、請求項4の方法。
7.上記繊維材料の不織ウエブは少なくとも50重量%の二成分繊維を含む、請求項1の方法。
8.(イ)着用者の顔面へ顔面マスクを固定するための手段、および
(ロ)上記固定手段へ取り付けられかつ(i)不織繊維層内の繊維重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、二成分繊維である不織層における少なくとも約10重量%の繊維、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む不織繊維層から成り、上記不織繊維層はカップ形状に成形され、かつ表面毛羽摩擦試験後に8.4以上の表面毛羽値を有する、ことを特徴とする夾雑物および/または粒子物を濾過するための繊維顔面マスク。」

(3)甲各号証に記載の事項
甲第1号証
ア.「熱融着性繊維を30〜100%(重量)含むウエブにウエブの長さ方向に経糸を縫い込んで得た縫製ウエブを、熱融着性繊維の軟化点ないし熱融着温度に加熱し、次いでプレス成形してなる深底繊維成形体」(実用新案登録請求の範囲、第1項)
イ.「熱融着性繊維は、熱融着複合繊維である実用新案登録請求の範囲第(1)項に記載の深底繊維成形体」(実用新案登録請求の範囲、第2項)
ウ.「本考案に用いる熱融着性繊維としては、・・・ポリオレフイン繊維等通常の熱可塑性合成樹脂の一様な成分からなる単一繊維を用いることができ、・・・ポリエチレン等の比較的低融点のものが好ましい。一層好ましくは熱融着性複合繊維であり・・・複合繊維のみでウエブを構成することも可能である。特に比較的融点の低いポリマーを低融点側の複合成分とする複合繊維、例えばポリエチレン、・・・を低融点側成分とし、ポリプロピレンを高融点側成分とする熱融着性複合繊維は熱融着加工が特に容易で好ましい。」(第3頁13行〜第4頁9行)
エ.「ウエブを構成するために混合する他の繊維としては、・・・熱処理時に変形、変質しない限り、合成、天然を問わず用いることかできる。」(第4頁13〜19行)
オ.「かくして得られた縫製ウエブは、プレスに先立って加熱する。加熱は、一般には、融点で数秒〜数分間おこなう。繊維成形物によっては、軟化点から融点までの温度範囲で加熱して、プレスで圧着する方が良い場合もある。熱源は、遠赤外線ヒーターまたは熱風が一般的であるが、加熱蒸気、熱板の輻射熱等でも良い。加熱機としてはテンタードライヤが好ましく用いられる。加熱された不織布は冷却しないうちにこれをプレス成形する。・・・プレス成形機は、その温度を常温もしくはそれ以下に冷却して用いると、成形固化された不織布がとり出し易く、次の如き準連続プロセスを一層容易にする。」(第6頁12行〜第7頁6行)
カ.「実施例1
ポリエチレンとポリプロピレンを夫々両複合成分とする熱融着性複合繊維(6D×64mm)100%の目付80g/m2のウエブを、アラクネ機でゲージ10本/25mm、ステツチ6mmの条件で縫製して、縫製ウエブをつくった。この縫製ウエブの表面温度を145℃となるように設定した遠赤外テンタードライヤーで10秒加熱した後、野球帽用の金型を備えた常温のプレス機で2秒、5kg/cm2でプレス成形して第1図に示すデイスポーザブルな野球帽子を作成した。工程中、繊維の脱落や全型への付着はなく、成形体には皺が見られなかった。この野球帽は通気性が良く、摩耗強度も大きく汗の水切れも良く、又軽いなどの利点をもっている。」(第8頁8行〜第9頁2行)
キ.「実施例3
ポリプロピレン繊維(2D×51mm)が40%(重量)とポリエステル繊維(6D×51mm)60%(重量)とから成る目付150g/m2のウエブを、アラクネ機を用いて、ゲージ125本/25mm、ステツチ3mmの条件で縫製ウエブとし、これを遠赤外ヒーターを熱源とするテンタードライヤーで縫製ウエブの表面温度が165℃となるように加熱して、マスクの全型を具備したプレス機で常温でプレス成形し第3図に示す作業用マスクを得た。工程中繊維の脱落や金型付着はなく、成形体には皺が見られなかった。このようにして出来た作業用マスクは、水切れ通気性が良く、又塵芥、油滴を良く捕集するものであった。」(第9頁16行〜第10頁10行)

甲第2号証
ク.「熱接着性繊維を含む表面繊維層と裏面繊維層との間に極細繊維からなる・・・層を設けた成形マスク・・・」(特許請求の範囲)
ケ.「この・・・層(1)(2)には、・・・繊維形成性熱可塑性樹脂又はこれらの樹脂の混合物を加熱されたノズルのオリフィスを通して溶融状態で熱ガス流中に押し出して、溶融樹脂を繊維に細化して繊維流を形成し、繊維を繊維流の通路中の捕集装置上て捕集する、いわゆるメルトブロー法による極細繊維不織布などが使用される。」(第2頁左下欄3〜11行)
コ.「従って、この表面繊維層(3)(4)には成形性を持たせ、かつ各層間を結合するために熱接着性繊維が50〜100%含まれていた方がよい。この熱接着性繊維としては、同時に配合される繊維より少なくとも融点が20℃以上低い成分を含む、・・・樹脂からなる繊維、もしくは融点の異なる成分からなる複合繊維などが好適に用いられる。」(第3頁右上欄8〜16行)
サ.「本発明のマスクは、表面繊維層(3)・・・層(1)・・・層(2)、裏面繊維層(4)の順に積層され金型などにより熱成形される。・・・
本発明のマスクは上述のごとく作成された後・・・鼻の形状にマスクを沿わせるための鼻金(5)、マスク装着用の紐(6)などが取り付けられる」(第3頁左下欄12行〜右下欄18行)
シ.「(実施例1)
繊度3デニールのエチレン酢酸ビニル-ポリプロピレン系複合繊維50重量%と繊度3デニールのポリエステル繊維50重量%とからなる目付80g/m2、厚さ3.4mmの不織布(140℃における40%モジュラス)の表面繊維層と、繊度3デニールのポリエチレン-ポリプロピレン系複合繊維70重量%と繊度2デニールのポリプロピレン繊維30重量%とからなる目付170g/m2、厚さ18mmの不織布の裏面繊維層との間に、メルトブロー法により作成された平均直径5μmのエレクトレット化されたポリプロピレン繊維不織布(目付40g/m2)・・・と、平均直径2μmのエレクトレット化されたポリプロピレン繊維不織布(目付40g/m2)・・・とを配して積層する。次いで、この積層体を140℃に加熱した金型によりプレスし、そのまま冷却して成形を施した後、周縁部に超音波溶着により不連続な線状のシール部を設けて成形マスクを作成した。」(第4頁左下欄6行〜右下欄4行)

甲第3号証
ス.「繊維質層が2層以上積層されており、周緑部に部分的なシール部が設けられているマスク」(実用新案登録請求の範囲、第1項)
セ.「繊維質層の少なくともひとつが熱融着性繊維を含む層からなる・・・マスク」(実用新案登録請求の範囲、第3項)
ソ.「これらの繊維質層(1)は2層以上積層した後、所望のマスク形状に成形される。繊維質層(1)にはシール部(2)を成形するため、及び各繊維質層間を結合するために熱融着性繊維が含まれていることが望ましい。」(第5頁8〜12行)
タ.「上記のマスク形状への成形は、金型によるプレス成形などにより行われるが、とくに好ましい方法は、積層された繊維質層を加熱した後、金型によりコールドプレスする方法である。この方法によれば、加熱しながらプレスする方法に比べ、繊維がフィルム化しにくく、繊維質層中の空隙が潰れにくい」(第6頁2〜8行)
チ.「第2図は、本考案のマスクの繊維質層(1)の積層構造の一例を示しており、2層の熱融着性繊維を含む不織布(11)の間に、・・・メルトブロー法により形成された10μm以下の平均直径の微細繊維からなる不織布(12)が挟まれた形に積層されている」(第7頁第3〜8行)

甲第4号証
ツ.「熱収縮性および熱接着性を有し、かつ収縮開始温度と溶融終了温度の差が20℃以上である繊維(A繊維)と非収縮性、非接着性繊維(B繊維)もしくは(および)非収縮性で溶融点がA繊維よりも十分に高い繊維(C繊維)との混合であって、B繊維もしくは(および)C繊維の混合率が90%以下である混合繊維で構成されたウエブに、ニードルパンチングを行い、繊維相互を絡合せしめて後、A繊維の収縮開始温度より高く、溶融終了温度より低い温度条件の,湿熱をもって該ウエブをその面積収縮率が15〜70%となるように均一に収縮せしめ、次いでA繊維の溶融点以上の温度で熱処理を行って、ウエブ中のA繊維を溶融して繊維を結合して成る成型不織布の製造方法。」(特許請求の範囲)
テ.「本発明に使用するA繊維は、・・・熱接着性・・・を有する繊維であればよいが、・・・未延伸ポリエステル繊維、・・・コンジユゲートポリプロピレン繊維(アタクチツク/アイソタチツク サイドバイサイド型)等が最も適している。・・・
例えば、A繊維としてコンジユゲートポリプロピレン繊維(アタクチツク/アイソタチック サイドバイサイド型)を使用するときは、・・・」(第1頁右欄32行〜第2頁左欄14行)
ト.「本収縮工程では使用するA繊維およびその混用率にもよるが、繊維ウエブを均一に収縮せしめ、かつ15%〜70%の面積収縮率が必要であり、収縮後繊維ウエブ中のA繊維が若干接着していることが望ましい。」(第2頁左欄36〜40行)
ナ.「本発明の成型用不織布の成型の方法として、A繊維が高度に熱可塑化状態にある間に本発明の不織布成型用雄型にはめこみ冷却してもよく、また、成型用雄型と雌型によって加熱加圧成型し、冷却後型より取り出すこともできる。なお、不織布中のA繊維を十分収縮せしめているので、熱処理中および成型中繊維は収縮せず、したがって連続的に成型することも可能である。本発明による成型不織布は以上のような方法で製造されるので、複雑な型、深い型でも成型できると共に、成型保持性がよく、成型後の製品の感触も柔らかく、本発明の不織布製造工程と連続して行うことも可能である。したがって、本発明の不織布は造花、帽子、マスク、ブラジヤー、コルセツト等成型用繊維材料として広範囲の用途を持つ極めて有用な成型不織布である。」(第2頁右欄5〜20行)
ニ.「実施例1
ナイロン繊維 2d×51mm 70部
コンジユゲートポリプロピレン繊維 3d×51mm 30部
(アタクチツク/アイソタチツク サイドバイサイド型)
以上の混綿よりカードウエブクロスフオルダーを用いて約400gr/m2のウエブを作り、・・・次いで140℃の熱風中で乾燥し、さらに170℃の熱風中で3分間熱処理をして成型不織布を得た。この不織布を成型するのに前記熱処理に連続して直ちにマスク型の雄型より成る常温の鋳鉄製金型によって成型し、15秒後取り出す。この工程中不織布は殆ど収縮しなかった。このマスクはフェルトに似た風合感触を有した。」(第2頁右欄22〜43行)

甲第5号証
ヌ.「相互に面を突き合わせる接触において組み立てられる際、熱および成形圧力を受ける少なくとも2つの繊維質層を備え、1つ以上の該層が、a)合計で250グラム/m2以下の連量を有し、b)合計で完成した濾過製品を介する圧力降下の約20%以下に寄与し、c)繊維におけるバインダ材料の合着により繊維の交差点で一体に結合される繊維をその少なくとも1つに有する成形層であり、他の前記層が該成形層の除去するよりも大きい比率で該濾過製品を通過するガス状流れから微粒子を除去する繊維質濾過層であり、該濾過層の上流の任意の成形層が約85グラム/m2以下の連量を有し、該濾過層が少なくとも繊維のもつれによつて前記成形層に取り付けられ、該層間の全界面にわたり該成形層に接触するように順応されることを特徴とする成形された繊維質濾過製品。」(特許請求の範囲、第1項)
ネ.「前記濾過層が約10ミクロン以下の平均直径を有する溶解吹飛ばし繊維を備える・・・濾過製品」(特許請求の範囲、第2項)
ノ.「前記溶解吹飛ばし繊維が持続性電荷を有する・・・濾過製品」(特許請求の範囲、第3項)
ハ.「本発明の例示的な顔マスクないしレスピレータ10は、第1図と第2図に示され、マスク本体11と、人の顔の上にマスクを保持するためにマスク本体にU字形金属釘(ステープル)で止められるか、またはその他の方法で取り付けられる弾力的な頭バンド12と、・・・を備えている。」(第3頁左上欄3〜11行)
ヒ.「少なくとも1つの成形層は、バインダ材料を装着する繊維を有し、該繊維は、例えば隣接の繊維のバインダ材料が合着するように層を加熱することにより、バインダ材料によって繊維の交差点で相互に接着される。この型式の1つの有用な繊維は、イソフタラートおよびテレフタラートのエステル単量体から形成される重合体の鞘で包囲される結晶質ポリエチレンテレフタラート(PET)の芯を有する2成分繊維である。」(第3頁右上欄12〜20行)
フ.「例1
50グラム/m2〔30ポンド/連(268m2、320平方ヤード)〕の重量の濾過層は、7ミクロンの平均直径を有し、荷重された溶解吹飛ばしポリプロピレン微小繊維のウエブとして製作された。このウエブは2つの成形層の間に置かれ、該各成形層は、繊条当たり4デニールで、長さが約50mmの2成分短繊維を有し、乾燥して空気を含みふわふわした繊維質ウエブであった。該繊維(日本国大阪市のユニチカ社から「メルテイフアイバ(Melty Fiber)型式4080」として入手可能)は、約245℃の溶解温度を有するポリエチレンテレフタラートの芯と、エチレンテレフタラートおよびエチレンイソフタラートの共重合体を有する鞘とを備えている。・・・次に、顔マスクは約120℃の温度に加熱された剛性コツプ形シリコン雄型上に・・・置くことによって該組立体から成形され、該温度は成形層の2成分繊維における重合体鞘の熱軟化範囲であった。該組立体は雄型と補完形状の輪郭を有し、同一温度に加熱される「テフロン」被覆アルミニウム雌型によって均等な押圧を急速に受けた。」(第4頁左下欄2行〜右下欄8行)

(4)対比・判断
[理由1]について
本件発明1(前者)と甲第1号証に記載された発明(後者)との対比・検討
甲第1号証には、熱融着性繊維を30〜100%(重量)含むウエブを、熱融着性繊維の軟化点ないし熱融着温度に加熱し、次いでプレス成形してなる繊維成形体(上記ア)が、熱融着性繊維は、熱融着複合繊維であり(上記イ)、熱融着複合繊維は、低融点側成分と高融点側成分との熱融着性複合繊維が好ましいこと(上記ウ)、ウエブを構成するために混合する他の繊維としては、熱処理時に変形、変質しない限り、合成、天然を問わず用いることができること(上記エ)、ウエブは、プレスに先立って軟化点から融点までの温度範囲で加熱して、加熱された不織布は冷却しないうちにこれをプレス成形し、プレス成形機は、その温度を常温もしくはそれ以下に冷却して用いること(上記オ)、また、製造される繊維成形体がマスクとして用いられること(上記キ)が記載されていると認められる。
そして、後者における、「熱融着性繊維」、「複合繊維」及びウエブを構成するために混合する「他の繊維」は、前者における、「熱接着性繊維」、「二成分繊維」及び「ステープル繊維」にそれぞれ相当すると認められ、また、後者の「プレス成形機は、その温度を常温もしくはそれ以下に冷却して用いる」ことは、機能的にみて、前者の「熱接着性繊維の軟化温度未満の温度にある成形部材を具備する成形型で成形する」ことに等しいものと認められるから、両者は、
「(イ)(i)不織繊維材料の重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む繊維材料の不織ウエブを、上記熱接着性繊維が軟化する温度まで加熱し、かつ次に
(ロ)上記熱接着性繊維がまだ柔らかい間に、上記加熱された繊維材料の不織ウエブを熱接着性繊維の軟化温度未満の温度にある成形部材を具備する成形型で成形する、ことを特徴とする顔面マスクのための不織繊維付形層を形成する方法。」である点において一致するものの、前者においては、不織繊維材料が少なくとも約40重量%の熱接着性繊維と少なくとも約10重量%は二成分繊維であるのに対し、後者においては、この熱接着性繊維と二成分繊維とを併用することについて記載されていない点において両者は相違する。
そこで、この相違点について検討すると、後者においては、不織繊維材料を構成するウエブの熱接着性繊維として、比較的低融点の単一繊維又は熱接着性の二成分繊維を使用することは記載されているが、熱接着性繊維として、比較的低融点の単一繊維と熱接着性の二成分繊維とを併用すること、あるいは、ウエブを熱接着性繊維と二成分繊維とを併用して構成することについては全く記載も示唆もなく、また、該事項が自明なものとも認められない。
したがって、この相違点は実質的な相違点であり、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。

[理由2]について
(本件発明1について)
本件発明1(前者)と甲第1号証に記載された発明(後者)との対比・検討
両者の一致点・相違点は、上記[理由1]についてで述べたとおりである。
そこで、この相違点について検討する。
この点について、甲第2号証には、マスクの付形層に相当する表面繊維層及び裏面繊維層として、エチレン酢酸ビニル-ポリプロピレン系複合繊維50重量%とポリエステル繊維50重量%とからなる不織布の表面繊維層及びポリエチレン-ポリプロピレン系複合繊維70重量%とポリプロピレン繊維30重量%とからなる不織布の裏面繊維層を用いて成形マスクを作成すること(上記シ)が記載されている。
しかしながら、甲第2号証において、表面繊維層(3)(4)には成形性を持たせるために熱接着性繊維が50〜100%含まれていた方がよく、この熱接着性繊維としては、同時に配合される繊維より少なくとも融点が20℃以上低い成分を含む、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ポリエステル系の繊維もしくは複合繊維が好適に用いられる(上記コ)との記載、次いで、この積層体を140℃に加熱した金型によりプレスし、そのまま冷却して成形を施した(上記シ)との記載からみて、表面繊維層及び裏面繊維層を構成するエチレン酢酸ビニル-ポリプロピレン系複合繊維が、熱接着性繊維として配合されていると認められるが、この熱接着性繊維と同時に、少なくとも約10重量%の二成分繊維が配合されておらず、熱接着性繊維と二成分繊維とを併用することを示唆しているものとはいえない。
さらに、甲第2号証における不織布の成形方法は熱成形(上記サ、シ)であり、甲第1号証のような、金型を常温もしくはそれ以下に冷却する、所謂冷間成形は認識されておらず、成形方法が明確に異なるため、甲第2号証の成形技術をそのまま甲第1号証の成形技術に適用することも、当業者が想到容易であるとはいえない。
また、甲第3号証には、熱融着性繊維を含む繊維質層を加熱した後、コールドプレスによりマスクを成形すること(上記ス〜チ)、甲第4号証には、マスク等の不織布を成形するときの繊維材料を構成する混合繊維として熱接着性のA繊維を用い、この熱接着性のA繊維として、未延伸ポリエステル繊維、コンジユゲートポリプロピレン繊維(アタクチツク/アイソタチツク サイドバイサイド型)等を用いること(上記ツ〜ニ)、甲第5号証には、マスクの成形層を構成する繊維をバインダ材料の2成分繊維で熱接着すること(上記ヌ〜フ)が記載されているが、何ら相違点について示唆するものはない。
したがって、上記相違点は、甲第2〜5号証の記載に基づいて当業者が想到容易であると認めることはできない。
そして、本件発明1は、この点により本件特許明細書に記載するような作用効果を生じるものである。
よって、本件発明1は、甲第1号証〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとは認められない。

(本件発明2、3及び7について)
本件発明2、3及び7は、本件発明1を引用し、本件発明1をさらに技術的に限定したものである。
したがって、本件発明2、3及び7は、前記本件発明1について述べたと同様の理由により、前記甲第1〜5号証記載の発明から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

(本件発明4(訂正前の請求項5に係る発明)について)
本件発明4は、「(イ)少なくとも1層の濾過材料、および(i)不織繊維材料の重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%の二成分繊維である不織繊維材料、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む少なくとも1層の不織繊維材料を、二重関係で加熱段階へ通過させて上記二成分繊維の少なくとも1成分を含む熱接着性繊維を軟化し、かつその後に
(ロ)上記二重層を上記二成分繊維の軟化した少なくとも1成分を含む熱接着性繊維の軟化温度未満にある成形部材で顔面マスクの形状に成形し」を要件として含むものである。
そして、本件発明4(前者)と甲第1号証に記載された発明(後者)とを対比すると、両者は、前記本件発明1において述べたと同一の相違点を相違点として含むものである。
したがって、本件発明4は、前記本件発明1について述べたと同様の理由により、前記甲第1〜5号証記載の発明から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

(本件発明5、6について)
本件発明5、6は、本件発明4を引用し、本件発明4をさらに技術的に限定したものである。
したがって、本件発明5、6は、前記本件発明4について述べたと同様の理由により、前記甲第1〜5号証記載の発明から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。

(本件発明8(訂正前の請求項10に係る発明)について)
本件発明8は、繊維顔面マスクにおいて、要件A「(i)不織繊維層内の繊維重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、二成分繊維である不織層における少なくとも約10重量%の繊維、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む不織繊維層」を特定し、さらに、要件B「不織繊維層はカップ形状に成形され、かつ表面毛羽摩擦試験後に8.4以上の表面毛羽値を有する」ことを特定したものである。
しかしながら、甲第1〜5号証には、要件Bに係る「不織繊維層が表面毛羽摩擦試験後に8.4以上の表面毛羽値を有する」ことについて記載も示唆もなく、甲第1〜5号証を総合的にみても、該事項を当業者が容易に想到することができたものともいえない。
したがって、本件発明8は、甲第1号証〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとは認められない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件発明1〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
濾過型繊維顔面マスクの形成方法
【発明の詳細な説明】
発明の分野
本発明は熱接着性繊維から成る不織ウエブから濾過型繊維顔面マスクを形成する方法に関する。本発明は又熱接着性繊維から成る不織ウエブから作られ、摩擦を受けた後において表面毛羽の程度を低く保つ濾過型繊維顔面マスクに関する。
発明の背景
濾過型繊維顔面マスクは呼吸に関連した分野で周知である。このような顔面マスクは人の呼吸通路をおおって着用され、(1)不純物又は夾雑物が着用者の呼吸路へ進入することを防ぎ、かつ(2)着用者から吐き出されたバクテリアおよび夾雑物に曝ろされることから他人を保護するという2つの目的の少くとも一方の目的に役立つ。最初の場合には、空気が着用者に有害な粒子を含むような環境下でマスクが着用される。第2の場合には、例えば患者を感染から保護するために手術室でマスクが着用される。
濾過型繊維顔面マスクは複数の熱接着性繊維から作られている。複数の熱接着性繊維は、加熱され、冷却された後に、隣接する繊維に接合される。このような繊維から形成された顔面マスク例は米国特許第4,807,619号及び米国特許第4,536,440号に示されている。これらの特許に開示された顔面マスクは熱接着性繊維の少くとも一層を有するカップ形状のマスクである。熱接着性繊維の層は「付形層」と名付けられ、マスクに形状を与えるため及び濾過層を支えるために用いられる。濾過層に関連して、付形層はマスクの内部に(着用者の顔面に近接する側に)配置されるか、あるいはマスクの外部、またはその内外の両側に配置されてよい。代表的には、濾過層は付形層の外側に配置される。
米国特許第4,807,619号及び米国特許第4,536,440号に開示された付形層は、熱接着性繊維の不織ウエブを加熱した型内で成形することによって作られていた。加熱された型は、加熱接着性繊維の接着成分の軟化点以上の温度で作動する。熱接着性繊維のウエブは加熱された型内に置かれ、加圧および加熱されて顔面マスク用の付形層を形成する。このタイプの成形作業は「熱成形プロセス」として知られている。
熱接着性繊維の不織ウエブを熱成形することによって作られた顔面マスクを着用した人達から様々な不平が出ている。着用者は、着用者の顔に触れ、くすぐったい感覚を引き起こして顔面に触れた部分をひっかきたくなるようにさせる毛羽をマスクが含んでいることを指摘する。もしマスクが、空気中の不純物を着用者が呼吸することから保護し、あるいは感染から保護するために着用されているならば、かゆい感覚を緩和するために顔面からマスクを外すことは各種の問題を生ずる。着用者はかゆい感覚をがまんして、彼等自身及び他人を潜在的に危険な物質にさらす危険に耐えなければならない。本発明は改良された表面毛羽特性を有する顔面マスク用の付形層を提供することを目的とする。
用語解説
本明細書において、
「二成分繊維」は異なる軟化温度を有する異なるポリマー組成物から成る2以上の成分で構成された繊維を意味し、上記成分は繊維の長手に沿った分離した異なる領域に配置されている。
「バインダー繊維」はモノフィラメント熱接着性繊維を意味する。
「プレスキニング」(Preskinning)は少なくとも繊維ウエブの1表面を該ウエブの1表面上の繊維が相互に結合する温度まで加熱することを意味し、この加熱は繊維ウエブを全体に加熱して成形する成形作業前に発生する。
「軟化温度」は繊維成分が相互間で接着して冷却時に結合状態を保持する程度に軟化する最低温度を意味する。
「ステープル繊維」は非熱接着性繊維を意味する。
「熱接着性繊維」はその軟化温度以上に加熱されかつ続いて冷却された後に隣接接触繊維へ結合する繊維を意味する。
発明の概要
本発明は熱接着性繊維を含む不織ウエブから顔面マスクのための付形層を形成する方法を含み、この方法において上記顔面マスクの付形層上の表面毛羽発生は最小限にされる。驚くべきことに、改良された表面毛羽特性は、若干が二成分繊維である熱接着性繊維を含む不織繊維ウエブを冷却成形した付形層で得られることが発見された。顔面マスクのための不織繊維付形層を形成する方法は、次の工程から成る。(イ)(i)不織繊維材料の重量を基準に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%の二成分繊維である不織繊維材料、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む繊維材料の不織ウエブを、二成分繊維成分の少なくとも1成分を含む熱接着性繊維が軟化する温度まで加熱し、次に(ロ)上記熱接着性繊維と上記二成分繊維の少なくとも1成分はまだ柔らかい間に、上記加熱された繊維材料の不織ウエブを熱接着性繊維および二成分の全成分の軟化温度未満の温度の成形部材を具備した成形型で成形する。表面毛羽発生を減少させる好ましい方法は不織繊維材料のウエブをプレスキンする付加工程を含む。
本発明は、また、繊維顔面マスクを形成する方法を含む。この方法は、(イ)少なくとも1層の濾過材料と、(i)不織繊維材料の重量を基準として少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%の二成分繊維である不織繊維材料、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む少なくとも1層の不織繊維材料を、二重にした状態で上記二成分繊維の少なくとも1成分を含む熱接着性繊維が軟化する加熱段階へ通過させ、かつその後に(ロ)上記二重層を上記二成分繊維の軟化した少なくとも1成分を含む熱接着性繊維の軟化温度未満にある成形部材で顔面マスクの形状に成形することから成る。この成形は熱接着性繊維と二成分繊維が繊維結合を可能にする間に行われる。
本発明は、また、顔面マスクの通常使用を通して表面毛羽の発生程度を低くする繊維顔面マスクを含む。本発明の繊維顔面マスクは(イ)着用者の顔面へ顔面マスクを固定するための手段、および(ロ)上記固定手段へ取り付けられかつ(i)不織繊維層内の繊維重量を基準にして少なくとも40重量%の熱接着性繊維、二成分繊維である不織繊維層において少なくとも約10重量%の繊維、および(ii)選択的にステープル繊維を含む不織繊維層から成り、上記不織繊維層はカップ形状に成形され、かつ後述の表面毛羽摩擦試験において摩擦試験後に7.5以上の表面毛羽値を有する。
改良された表面毛羽特性を有する顔面マスクを提供する重要な理由は2つある。第1の理由は上述の通りである。即ち、毛羽が着用者の顔面に刺激を与える。第2の理由(第1理由ほど重要でないが毛羽が顔面マスクから抜けて着用者の鼻孔へ吸い込まれて口へ入ることである。更に、抜けた毛羽は開いた傷、切断、切除をもつ患者に特に危険である。医者はかかる患者を治療し、患者を感染から保護するために顔面マスクを着用し、かつかかるマスクが高程度の表面毛羽を有する場合、繊維が該マスクから抜けて開口部へ落ちる危険は非常に大きい。従って、本発明の第1課題は熱接着性繊維の不織ウエブから形成された顔面マスクの付形層上の表面毛羽の発生を実質的に低下させることにある。
改良された表面毛羽特性を有する顔面マスクを提供することに加えて、本発明は熱接着性繊維の不織ウエブを熱成形する従来方を凌駕する優れた作用性を有する新規な顔面マスク成形法を提供する。濾過型繊維顔面マスクを形成する過既知熱成形法では、不織ウエブ内の繊維が熱成形型へ粘着する傾向がある。繊維粘着が発生すると、該成形されたシエルは成形型を開けた後に変形する。該シエルは冷却後にも永久的に変形している。熱成形法は、従って過度の量の繊維消耗を伴いやすい。粘着は製造パラメタの注意深い制御により熱成形中に回避できるが、製造窓(製造条件の変化)は比較的狭くかつ連続製造において制御することは極めて困難である。従って、本発明の他の課題は熱接着性繊維の不織ウエブから付形層を形成する方法を提供することにある。この方法は繊維の成形型への粘着を解消する。
本発明の上述および他の課題、特性、および新規特徴は以下に添付図面を参照して説明する。図面において、同様参照番号は同様部を示す。但し、以下の説明および図面は解説を目的とするものであって本発明の範囲を不当に制限するように解釈されるべきでない。
図面の簡単な説明
図1は顔面マスクの前面図である。
図2は付形層及び濾過層を有する顔面マスクの断面図である。
図3は本発明による顔面マスクを形成するための装置の部分断面図を含む側面図である。
図4は図3の4-4線に沿った断面図である。
図5は図3の5-5線に沿った断面図である。
図6は二成分繊維とバインダー繊維で構成される不織繊維ウエブを熱成形かつ冷却成形することにより得られたシエルの表面毛羽値を示す線グラフである。
本発明の好適態様の詳細な説明
本発明の好ましい態様の説明において、特定用語は明瞭化のために使用される。しかし、本発明はそのように選択された特定用語に制限されない。各用語は同様目的を達成するために同様に作用する同等の技術を含むものとして選択されている。
不織熱接着性繊維から形成された顔面マスクにおいて、表面毛羽発生率は顔面マスクの付形層を形成することにより最小限にされており、該マスクの通常使用を通して、非常に僅かの繊維が該付形層の表面から比較的短距離だけ上昇する。本発明の好ましい態様において、かかる付形層は少なくとも40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%の二成分繊維である不織ウエブ繊維、およびバインダー繊維である残余の熱接着性繊維を含む不織ウエブを冷却成形することにより形成される。
第1に、二成分繊維を含む不織ウエブを、二成分繊維の少なくとも1接着成分を含む熱接着性繊維の軟化温度以上であるが二成分繊維の非接着成分の溶融温度を越えない温度まで加熱する。加熱温度は熱接着性繊維の成分に依り変化させる。一般的に、コポリエステルまたはコポリオレフィン接着成分を含む二成分繊維を使用するときには加熱温度は約110℃(230°F)から約230℃(450°F)の範囲で変化させる。
上記不織ウエブの加熱後で熱接着性繊維および二成分繊維の軟化した成分の硬化前に、該不織ウエブを成形器へ設置する。該成形器は不織ウエブの接着成分の軟化温度未満の温度のカップ状成形部材を具備する。この成形型を加熱した繊維ウエブ上に閉鎖する。該ウエブは該成形型の形状になり、熱接着性繊維(二成分繊維の軟化した部を含む)は硬化する。他方、該成形型内で不織ウエブを該ウエブの接着成分のガラス転移温度未満の温度まで冷却するのが好ましい。成形後に、成形された不織ウエブまたは付形層を該型から除去する。得られた付形層は人の顔に適合する永久形状を有し、かつ表面毛羽を低程度に維持する。
表面毛羽発生を低下させる好ましい方法において、付形層は不織繊維ウエブをプレスキニングする工程を含む方法により形成される。成形前に不織ウエブの表面上で繊維を加熱することにより(従って繊維は相互に接着する)、通常摩擦により生じる毛羽は更に少なくなることが発見された。コポリエステルまたはコポリオレフィン接着成分を有する二成分繊維を使用して、好ましいプレスキニング温度は約110℃から230℃(230-450°F)、より好ましくは120°から170℃(250-340°F)である。プレスキニング温度は不織ウエブの接着成分の組成物、および繊維材料がプレスキニング段階を通過する速度等のフアクタにより変化させてよい。
図1は顔面マスク例を示す。参照番号10は概ね該顔面マスクを示す。マスク10はシエルまたはマスク体12、弾性バンド14、およびアルミニウム等の金属製の柔軟なデットソフト(dead soft)バンド16を有する。弾性バンド14は着用者の顔面上のマスク10を保持するためにマスク体12へ止めるまたは取り付けられる。柔軟デットソフトバンド16はマスク10を変形させて着用者の鼻上へ所望の取り付け状態で保持する。マスク体12はカップ形状であって着用者の顔から間隔を置いて立ち上がり、下鼻柱へ僅かな圧力をもって接触して頬を横切って顎へ至る。
図2はマスク体12の断面例を示す。マスク体12は、参照番号12,15、および17で示された複数層を有する。層13は外付形層であり、層15は濾過層、および層17は内付形層である。付形層13と17は濾過層15を支持してマスク体12を付形する。
用語「付形層」はこの明細書において使用されるが、付形層は、他の機能を有し、最外層の場合には濾過層の保護および気流の予備濾過等が第一機能であってよい。また、用語「層」は、1層が事実上、所望厚および重量を得るために組み立てられた数層の二次層を含んでよい。いくつかの態様において、唯一の概ね内部となる付形層のみが顔面マスクに含まれるが、付形は図2のごとく、例えば、濾過層の各側上に1層が使用されるのが耐久性がありかつ至便である。低程度の濾過が必要な場合には、顔面マスクはそれ自体付形層、即ち、濾過層を伴わない付形層で形成されてよい。付形層の不織ウエブ繊維構造は、代表的には濾過層ほど大きくないが、着用者の唾液および空気中の比較的大きな粒子等のより大きい粒子を付形層により濾過できる濾過能力を有する。
付形層は繊維交点で繊維相互を接着させる接着成分を有する繊維を含む。接着成分は、加熱および冷却されるときに隣接接触繊維を融合させるものである。かかる熱接着性繊維は、代表的にはモノフィラメントで二成分形態をとる。二成分繊維はこの発明の付形層を形成するために使用される繊維であるのが好ましい。
付形層を形成するために有用な適宜二成分繊維は、例えば、日本、大阪のユニチカ社によるメルティ(MELTY)繊維(ロスアンジエルス、Chori America社で市販)等の同一の広がりを有する横並び形態、同一広がりを有する同心シースコーシ形態、および日本、大阪のチッソ社によりCHISSO ES(ニューヨーク、ニューヨークの丸紅社により市販)の同一広がりを有する楕円シースコア形態を含む。本発明の付形層を形成するために特に有用な二成分繊維は非結晶コポリエステルポリマーブレンドのシース(sheath)により包囲された結晶ポリエチレンテレフタレート(PET)のコアを含む概ね同心シースコア形態を有する。この二成分繊維はユニチカ社により製造されてメルティタイプ4080繊維として販売されている。他の特に適宜の二成分繊維は結晶PETのコアを有する同心シースコア繊維およびNC、シャーロット、Hoechst Celaneseによりセルボンド(CELBOND)、タイプ255の商品名で市販の(US特許第4,684,576号に記載のブレンド等)変形コポリマーブレンドのシースである。
付形層の繊維は通常1から200デニールの範囲にあり、好ましくは平均1デニールを越え50デニール未満である。好ましい態様において、付形層は合成ステープル繊維の混合物、好ましくはクリンプされたバインダ繊維、および二成分繊維を含む。低程度の表面毛羽を維持する付形層は(1)ステープル繊維および(2)バインダ繊維の繊維混合物と二成分繊維を60:40から0:100の範囲の重量%比で形成されてよい。好ましくは、付形層は少なくとも約20重量%の二成分繊維、0から80重量%のバインダ繊維、および0から60重量%(より良くは50重量%未満)のステープル繊維で実質的に構成される。より好ましい付形層は少なくとも約50重量%二成分繊維、更に好ましくは少なくとも75重量%二成分繊維を有する。より多量の二成分繊維を含むウエブは毛羽のより少ない付形層を製造する。二成分繊維はバインダ繊維およびステープル繊維よりも普通高価であるので、コスト面から不織ウエブ中の二成分繊維は100%未満で使用されてよい。
バインダ繊維は代表的には加熱および冷却時に軟化して他の繊維へ結合するポリマー材から形成される。バインダ繊維は、典型的には接着後にその繊維構造を保持する。バインダ繊維例として、TN、キングスポートのEastman Chemicalにより形成されこコーデル(KODEL)タイプ444繊維、およびNC、シャーロットのHoechstCelaneseにより形成されたタイプ259がある。不織ウエブの加熱に、バインダ繊維は軟化して隣接接触繊維へ接着する。不織ウエブが成形工程で冷却されるときに、繊維交点で接着が拡がる。アクリルラテックス等の接着成分が付形層を形成するために使用される繊維ウエブへ添加されてよい(例えば、バインダ繊維または二成分繊維の接着成分への添加物として)。また、紛状熱活性接着樹脂の形態の接着成分が繊維のウエブへ一直線に配列されてよく、その上で該ウエブを加熱すると、ウエブ中の繊維が添加樹脂により交点で一緒に結合する。本発明の付形層は、材料および製造コストを増大させかつ最終顔面マスクの可燃性を増大させるのでかかる添加接着成分を含まないのが好ましい。
顔面マスク付形層を形成するのに適したステープル繊維は非熱接着性繊維、代表的には、PET、ナイロン、およびレーヨンから形成された繊維等の合成単一成分繊維である。PET繊維はより好ましいステープル繊維(例えば、NC、シャーロットのHoechst Celaneseから市販のトレビア(TREVIRA)タイプ121)である。
付形層として使用される不織ウエブ繊維はRANDO WEBBER(NY、マセドンのRando社)空気送り機またはカード機で形成するのが便利である。二成分繊維および他の繊維はかかる機械に適した従来のヒテープル長で使用されるのが典型的である。空気送り機またはカード機で形成された不織ウエブは緩い非接着のランダム配向の繊維を含む。
濾過層用の繊維の選択は濾過される粒子の種類に依存する。特に有用な濾過繊維は48Industrial Engineering Chemistry1342他(1956年)にWente,Van A.により“Superfine ThemoplasticFibers”で説明されたような溶融吹込み繊維のウエブである。溶融吹込み繊維ウエブは連続荷電形態で使用されるときに特に良好な濾過層を提供する(Kubik他によるUS特許第4,215,682号参照)。好ましくは、これらの溶融吹込み繊維は約10マイクロメータ未満の平均直径を有するマイクロ繊維である。他の特に有用な濾過繊維はVanTurnhoutによるUS特許RE第31,285号に記載の荷電解繊繊維である。ロジンウール繊維ウエブおよびガラス繊維ウエブが、特にマイクロ繊維の形態の溶液吹込みまたは静電吹付け繊維等と同様に有用である。
本発明の好ましい顔面マスクは吹込みマイクロ繊維、好ましくは荷電吹込みマイクロ繊維を含む濾過層を有する。この濾過層は二成分繊維とステープル繊維を含む2つの付形層間に設置される。外付形層は約70重量%の二成分繊維と約30重量%のステープル繊維を含有する。内付形層は約60重量%の二成分繊維と40重量%のステープル繊維を含む。外付形層は内付形層よりも大きいマスク支持度を有し、二成分繊維の量をより多く含むために表面毛羽含有率を低くする。
図3は本発明の方法による顔面マスクのシエル15を形成する装置を示す。シエル15は重合関係で第1不織繊維ウエブ11、濾過層31、および第2不織繊維ウエブ41をプレスキニング段階18を通って加熱段階20、および冷却成形段階22へ通過させることにより形成される。
プレスキニング段階18で、ウエブ11および41は各々面23および27上の繊維の接着成分が軟化されるまで加熱される。ウエブ11の下面23およびウエブ41の上面27は加熱カレンダロール19と接触して該繊維の接着成分を軟化させる。カレンダロール19を通過後に、該繊維の軟化成分は硬化し、かつ面23および27上の繊維は相互に接着する。ウエブ11と41、および濾過層31は、次いで可動オーブンベルト21上へ載置されて加熱段階20へ送られる。
加熱段階20で、孔33からの赤外線(IR)ヒータ26および熱風インピンジメント24がウエブ11と41の熱接着性繊維を加熱して該繊維の接着成分をウエブ全体にわたって軟化させる。オーブンベルト21はIR熱26と熱風インピンジメント24の表面23への衝突を可能にするメッシュ構造を有する。
加熱後に、ウエブ11と41の繊維の接着成分が軟化している間に、ウエブ11と41、および濾過層31は冷却成形段階22へ送られる。ウエブ11と41、および濾過層31はベルト28上に運ばれかつ未加熱成形部材29と30との間に載置され、次いで顔面マスク15の形状に成形される。フエリスホイール型装置32が連続成形工程のために採用されてよい。フエリスホイール装置32は第1および第2回転装置35および36をそれぞれ含む。雄成形部材29は回転装置35のバー40上に設置され、かつ雌成形部材30は回転装置36のバー40上に設置される。成形部材29と30を時計方向へ回転し、かつ各々をスプロケット43上のチエーン42により駆動する。成形点で、部材29と30は一緒になってウエブ11と41をカップ形シエル15に成形する。
プレスキニングは図3の方法により不織ウエブをカレンダロール19へ送ることにより達成されるが、プレスキニングは、また、例えば、IRヒータ加熱バー等の加熱手段を使用して達成されることもできる。ただし、プレスキニングの温度がより簡単に制御できかつロールの圧力が該ウエブへ向かって内方へ漂遊繊維を押圧するのでカレンダロールが好ましい。カレンダロールを使用するときには、ロールが置隔されているのが好ましい。ロール間の間隔はカレンダリングに関するウエブ処理の問題を回避できる広さであるのが好ましいが、ウエブの表面上に繊維を接着させることのできる狭さである。この間隔は不織ウエブの厚みよりも小さいものであるのが好ましい。一般的に、上記ロールは約1から16mm間隔である。上記カレンダロールの温度は繊維を軟化させることのできる高さであるが、繊維を溶融するほど高くはない。上記不織ウエブは、最終付形層の気流の圧力降下がプレスキニングされない付形層の圧力降下よりも実質的に大きくなる程度までプレスキニングされてはならない。
本発明の方法において、熱接着性繊維の不織ウエブは上記加熱段階中に収縮される。この不織ウエブは加熱されるときに内方へ収縮する傾向がある。ウエブ収縮は、特定ウエブから大量のシエルを形成するために回避されるべきである。従って、ウエブ収縮を防止する手段が本発明において採用されるのが好ましい。かかる手段として、例えば、ピン、ホック、ベルト等があり、これにより上記加熱段階を移動するウエブの縁部を固定する。上記ウエブの収縮は空気インピンジメントにより上記オーブンまたはコンベアベルトへピン止めすることにより制御できる。ある程度まで、プレスキニングは上記加熱段階中のウエブ収縮を阻止する。
ウエブ収縮防止手段例は図3および4に示されている。ウエブ11および41の縁部25を固定するために縁ベルト34が採用されている。ウエブ11および41がオーブンベルト21上の加熱段階20を通過するときにベルト34とシュー39から加わる圧力によりオーブンベルト21へピン止めされる。この圧力は上記ウエブ上に成形型が閉鎖されるまで連続付与される。
縁ベルト34の代わりに、ピンまたはホックをベルト21上に使用して上記加熱工程中の不織繊維ウエブの収縮を防止できる。更に、またはその代わりに、上記加熱段階で空気インピンジメントを行なって上記オーブンベルトに対して不織ウエブを固定する。制限手段として、空気インピンジメントは不織ウエブの1方側で行うのが好ましい。空気インピンジメントをウエブの両側にする場合には、ウエブが浮遊しがちである。すなわち、不織ウエブがオーブンベルトへ収縮を防ぐように固定されない。空気インピンジメントの好ましい方法はIRヒータ間でウエブの1側上へ空気インピンジメントノズルを設置することである。
付形層がそれ自体により成形される場合には、いかなるウエブ制限手段も採用されない。しかし、付形層が濾過層に関連して成形される場合には、縁ベクト、ホック、またはピンが不織ウエブを制限するために使用されるのが好ましい。
本発明の課題、特徴、および利点は次の実施例により更に説明される。ただし、次の実施例は、本発明の範囲を不当に限定するものでなく、単に本発明の目的、特定成分、および量、更にはその他の条件および説明に役立つものと理解されるべきである。
実施例
次の実施例において、カップ形状の付形層は冷却および加熱成形法および他の繊維ブレンド法により形成された。付形層は摩擦後の表面毛羽について試験され、その結果は表1に示されている。図6において、冷却および加熱成形された繊維シエルについての表面毛羽値の比較例が示されている。図6のプロットデータは二成分繊維およびバインダ繊維で構成されるシエルに関する。線37は加熱成形されたシエルの表面毛羽値を示し、線38は冷却成形シエルの表面毛羽値を示す。
実施例1-20
これらの実施例において、不織繊維ウエブは冷却成形された。この成形不織ウエブはコポリマーブレンドのシースにより包囲されたPETコアを有する二成分繊維を含む。この例のいくつかにおいて、繊維ウエブはプレスキニングされた。他の例では、プレスキニング工程を含まない。実施例1-20は表面毛羽発生はプレスキニングおよび二成分繊維含有量の増加により減少している。実施例は、また、表面毛羽発生がプレスキニング温度を上昇させることにより更に減少したことを立証する。全実施例において、成形繊維は成形型へ粘着しなかった。
実施例1(プレスキニングされていない)
RANDO WEBBER空気送り機で形成した100%二成分メルティタイプ4080繊維で構成した不織繊維ウエブを付形層に成形した。このウエブを熱風と赤外線熱を同時に送ることにより略190℃の温度まで加熱した。熱風を該ウエブ上へインピンジし、かつIR熱を該ウエブの上下へ送った。加熱後に、加熱ウエブをカップ状の未加熱雄雌成形型間に載置することにより成形した。4つのシエルをランダムに選択して表面毛羽試験を行った。これらのシエルは9.5の計算平均毛羽値を示した。
表面毛羽摩擦試験
毛羽値は次のようにして決定した。
各成形シエルをカップ状マンドレル上に載置して硬直した平坦ブラシを顔面マスクの表面上で1側の基部から反対側の基部へ引いて摩擦した。総力、略1.3ニュートンを各シエル上へブラシで加えた。このブラシはMN、セントポール、3Mの医療外科製品部から市販されている(非溶剤型)ブラシSCRUBTEAM1876である。SCRUBTEAMブラシは1cm2当たり約240ブリストルの密度で埋込された樹脂層から1cm延びる約0.18mmの直径のポリプロピレンブリストルを有する。各成形シエルの頂点の中心で50mmの長さの弧を2人の個別試験官が試験して緩い繊維の本数と緩い繊維の高さ(mm)を試験した。繊維の本数および高さ、および次の表面毛羽値スケールから、各個別試験官が表面毛羽値を各シエルについて出した。この2値を各試験シエルについて平均化し、かつ4つのシエルの各々についてその値を更に平均化した。最終表面毛羽値を出して表1の最後欄へ載せた。

上記スケールは次のごとく使用される。試験シエルが特定毛羽値として設定された範囲にある最高繊維高さおよび最高繊維本数を有する場合、上記シエルはその毛羽値となる。例えば、シエルの最高高さが1mm長で繊維本数が11本である場合にそのシエルは9.0の毛羽値となる。試験シエルの繊維高さ範囲および繊維本数が異なる毛羽値の場合、該シエルはそれらの毛羽値の平均を受ける。例えば、シエルの最高繊維長が3mmでその本数が11本の場合のシエルの毛羽値は8.5である。
実施例2(プレスキニング)
付形層を形成して、不織ウエブを9-10mmの間隔を置いたホットカレンダロール間で132℃(270°F)で加熱前にプレスキニングした点を除き、実施例1の手順で試験した。結果を表1に示した。
実施例3(プレスキニング)
付形層を形成して、不織ウエブを9-10mmの間隔を置いたホットカレンダロール間で154℃(310°F)でプレスキニングした点を除き、実施例2の手順で試験した。結果を表1に示した。
実施例4,7,10,13および16(プレスキニングされていない)
付形層を形成して、異なる繊維混合物を不織繊維ウエブに使用した点を除き、実施例1の手順で試験した。上記繊維混合物と表面毛羽結果を表1に示した。
実施例5,8,11,14および18(プレスキニング)
付形層を形成して、異なる繊維混合物を不織繊維ウエブに使用した点を除き、実施例2の手順で試験した。上記繊維混合物と表面毛羽結果を表1に示した。
実施例6,9,12,15および20(プレスキニング)
付形層を形成して、異なる繊維混合物を不織繊維ウエブに使用した点を除き、実施例3の手順で試験した。上記繊維混合物と表面毛羽結果を表1に示した。
実施例17および19(プレスキニング)
付形層を形成して、(1)不織繊維ウエブを62重量%メルティタイプ4080二成分繊維、22重量%タイプ444バインダ繊維、および16重量%PETステープル繊維で構成し、かつ(2)上記ウエブを9-10mmの間隔を置いたホットカレンダロール間で121℃(250°F)および143℃(290°F)のそれぞれでプレスキニングした点を除き、実施例1の手順で試験した。その表面毛羽結果を表1に示した。
実施例21-23(タイプ255二成分繊維)
この実施例では上記実施例の二成分繊維とは異なる二成分繊維を不織繊維ウエブに使用した。すなわち、セルボンドタイプ255二成分繊維を使用した。この繊維ウエブは62重量%セルボンドタイプ255二成分繊維、22重量%タイプ444バインダ繊維、および16重量%トレビアPETステープル繊維で構成した。実施例21ではプレスキニングをしなかった。実施例22および23では、不織繊維ウエブを9-10mmの間隔を置いたホットカレンダロール間で143℃(290°F)および166℃(330°F)のそれぞれでプレスキニングした。全試料を冷却成形した。その表面毛羽値はそれぞれ6.6,8.0および8.0であった。このデータを表1に示した。
実施例21-23は表面毛羽が変形コポリオレフインのシースと結晶PETのコアを有する二成分繊維を含む繊維ウエブを冷却成形することにより減少することを立証している。これらの実施例は、また、プレスキニングが更に表面毛羽を減少することを立証する。
実施例24-26(比較試料)
これらの実施例では、付形層をメルティタイプ4080二成分繊維を含む不織繊維ウエブを加熱成形することにより形成した。実施例26の不織ウエブは100重量%メルティタイプ4080二成分繊維を含み、実施例25の不織ウエブは85重量%メルティタイプ4080二成分繊維と15重量%コーデルタイプ444バインダ繊維を含み、実施例24の不織ウエブは70重量%メルティタイプ4080繊維と30重量%コーデルタイプ444バインダ繊維とを含んだ。これらのウエブの各々を約120℃(250°F)の温度で略6秒間加熱した。6個のシエルを各成形ウエブからランダムに選択し、各シエルの表面毛羽を試験し、6個のシエルの各グループの平均毛羽値を評価した。試験は実施例1と同様に行った。
上記ウエブの構成と毛羽値を表1に示した。これらの実施例1-23の結果の比較は本発明の方法が熱接着性繊維の付形層を形成するために加熱成形方法を越えた予期しない優れた結果を有することを立証している。その結果を図6に示した。

本発明の改変および変更は本発明の範囲および精神から当業者に明らかであろう。従って、本発明は上述の実施態様に不当に制限されるものでなく、請求の範囲およびその均等範囲の説明の制限により調整されるべきである。
(57)【特許請求の範囲】
1.(イ)(i)不織繊維材料の重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%は二成分繊維である不織繊維材料、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む繊維材料の不織ウエブを、上記二成分繊維の少なくとも1成分を含む上記熱接着性繊維が軟化する温度まで加熱し、かつ次に
(ロ)上記熱接着性繊維と上記二成分繊維の少なくとも1成分がまだ柔らかい間に、上記加熱された繊維材料の不織ウエブを上記二成分繊維の全成分を含む熱接着性繊維の軟化温度未満の温度にある成形部材を具備する成形型で成形する、ことを特徴とする顔面マスクのための不織繊維付形層を形成する方法。
2.上記繊維材料の不織ウエブをプレスキニングする工程を更に含む、請求項1の方法。
3.上記繊維材料の不織ウエブはポリエチレンテレフタレートのコアおよび変形コポリオレフィンまたは非結晶コポリエステルのシースを有する二成分繊維を含む、請求項1の方法。
4.(イ)少なくとも1層の濾過材料、および(i)不織繊維材料の重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、少なくとも約10重量%の二成分繊維である不織繊維材料、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む少なくとも1層の不織繊維材料を、二重関係で加熱段階へ通過させて上記二成分繊維の少なくとも1成分を含む熱接着性繊維を軟化し、かつその後に
(ロ)上記二重層を上記二成分繊維の軟化した少なくとも1成分を含む熱接着性繊維の軟化温度未満にある成形部材で顔面マスクの形状に成形し、この成形を上記熱接着性繊維と上記二成分繊維が繊維結合できる間に行う、ことを特徴とする繊維顔面マスク形成方法。
5.上記不織繊維材料の少なくとも1層を置隔されたホットカレンダロール間でプレスキニングする、請求項4の方法。
6.上記濾過材料の少なくとも1層は荷電吹込みマイクロ繊維のウエブを含む、請求項4の方法。
7.上記繊維材料の不織ウエブは少なくとも50重量%の二成分繊維を含む、請求項1の方法。
8.(イ)着用者の顔面へ顔面マスクを固定するための手段、および
(ロ)上記固定手段へ取り付けられかつ(i)不織繊維層内の繊維重量を基に少なくとも約40重量%の熱接着性繊維、二成分繊維である不織層における少なくとも約10重量%の繊維、および選択的に(ii)ステープル繊維を含む不織繊維層から成り、上記不織繊維層はカップ形状に成形され、かつ表面毛羽摩擦試験後に8.4以上の表面毛羽値を有する、ことを特徴とする夾雑物および/または粒子物を濾過するための繊維顔面マスク。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-06-29 
出願番号 特願平4-502296
審決分類 P 1 651・ 113- YA (D04H)
P 1 651・ 121- YA (D04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 真々田 忠博  
特許庁審判長 石井 淑久
特許庁審判官 鴨野 研一
石井 克彦
登録日 2000-01-14 
登録番号 特許第3023173号(P3023173)
権利者 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー
発明の名称 濾過型繊維顔面マスクの形成方法  
代理人 西山 雅也  
代理人 樋口 外治  
代理人 樋口 外治  
代理人 鶴田 準一  
代理人 戸田 利雄  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 石田 敬  
代理人 今枝 久美  
代理人 今枝 久美  
代理人 鶴田 準一  
代理人 宇井 正一  
代理人 戸田 利雄  
代理人 宇井 正一  
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