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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G |
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管理番号 | 1105039 |
審判番号 | 不服2002-7530 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-06-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-04-30 |
確定日 | 2004-10-12 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第101710号「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 6月 7日出願公開、特開平 8-146854〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本件出願 本件出願は、平成7年4月3日(優先権主張:平成6年9月20日、日本)の出願であって、その請求項1〜11に係る発明は、平成14年2月5日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。特に、請求項1に係る発明(以下「本件発明1」というは、以下のとおりのものである。 潜像担持体に潜像を形成し、該潜像に現像装置によりトナーを付着させてトナー像を形成し、該トナー像を転写装置により転写材に転写し、転写後の潜像担持体上の残留トナーをクリーニング装置により除去する画像形成装置において、 トナーとして、球形トナーを用い、 前記クリーニング装置を、前記潜像担持体表面との間にギャップをもつように配設されたクリーニング部材と、該クリーニング部材と該潜像担持体との間に、転写後に該潜像担持体上に残留したトナーを、クリーニング部材に向けて飛翔させる電界を形成する電界形成手段とを用いて構成し、 上記電界として交番電界を用いたことを特徴とする画像形成装置。 2.引用文献 査定の理由で引用された特開昭62-67577号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下に列挙のとおりに記載されている。 (1a)公報1ページ右下欄12〜17行目 「本発明は静電記録方式を用いた印刷装置や複写装置等の記録媒体上に形成した潜像を、トナーを使用して現像し紙に転写する機構に係り、特に該記録媒体上に残留するトナーを非接触で清掃し、記録媒体の寿命を延ばすことが出来る記録媒体の清掃方法に関する。」 (1b)公報2ページ左下欄6〜14行目 「 第1図は本発明の一実施例を説明する図である。 10は金属ローラで、記憶媒体1から僅かに離れて対向する。11はこの金属ローラ10に交流電圧を供給する交流電源で、12はトナーの帯電極性と逆極性の直流バイアス電圧を供給する直流電源である。 13は金属ローラ10に付着したトナー14をそぎ落とすブレードで、14は記録媒体1に残留するトナーである。」 (1c)公報2ページ右下欄8〜15行目 「 第1図において、金属ローラ10は、例えば0.4mmの間隔を保持して記録媒体1と対向する。交流電源11は、例えば周波数1KHzで、ピークからピーク迄の電圧Vppが3KVの交流電圧を発生する。 直流電源12は、トナー14が正電圧で帯電しているとすると、例えば-400Vの負の直流バイアス電圧を発生する。」 これらの記載からみて、引用文献1には以下のとおりの事項が記載されているものと認める。 記憶媒体に潜像を形成し、該潜像に現像装置によりトナーを付着させてトナー像を形成し、該トナー像を転写装置により転写材に転写し、転写後の記憶媒体上の残留トナーをクリーニング装置により除去する画像形成装置において、 前記クリーニング装置を、前記記憶媒体表面との間に0.4mmの間隔をもつように配設された金属ローラと、該金属ローラと該潜像担持体との間に、転写後に該潜像担持体上に残留したトナーを、クリーニング部材に向けて飛翔させる電界を形成する直流電源及び交流電源と、金属ローラに付着したトナーをそぎ落とすブレードとを用いて構成し、 上記電界として-400Vの負の直流バイアス電圧にピークからピーク迄の電圧Vppが3KVで周波数が1kHzの交流電圧を加えた電圧を0.4mmの間隔を介して印加したことによる交番電界を用いたことを特徴とする画像形成装置。 3.対比・判断 本件発明1と引用文献1に記載された発明とを対比する。 潜像を担持する部材であって、トナーを除去する対象である点で、引用発明1における記録媒体は本件発明1における潜像担持体に相当する。 潜像担持体との間にギャップを持つように配設され、潜像担持体との間に電界を形成する部材である点で、引用発明1における金属ローラは本件発明1におけるクリーニング部材に相当する。 潜像担持体とクリーニング部材との間に交番電界を形成する部材である点で、引用発明1における直流電源及び交流電源の総体は本件発明1における電界形成手段に相当する。 したがって、両者は 「潜像担持体に潜像を形成し、該潜像に現像装置によりトナーを付着させてトナー像を形成し、該トナー像を転写装置により転写材に転写し、転写後の潜像担持体上の残留トナーをクリーニング装置により除去する画像形成装置において、 前記クリーニング装置を、前記潜像担持体表面との間にギャップをもつように配設されたクリーニング部材と、該クリーニング部材と該潜像担持体との間に、転写後に該潜像担持体上に残留したトナーを、クリーニング部材に向けて飛翔させる電界を形成する電界形成手段とを用いて構成し、 上記電界として交番電界を用いたことを特徴とする画像形成装置。」 である点で一致し、本件発明1におけるトナーとして球形トナーを用いることが引用発明1に開示されていない点で相違している。 上記相違点について検討する。 電子写真方式において、画質向上のために球形トナーを用いること及びクリーニングブレード等トナーと接触してクリーニングを行うクリーニング方法を用いた場合には、球形トナーとクリーニングブレード等が接触しても球形トナーがクリーニングブレード等をすり抜けてしまうために良好なクリーニングを行うことが困難であることは、たとえば特開平5-333757号公報(査定の理由に引用)や特開平5-241376号公報に記載されているように当業者に広く知られていた技術事項に過ぎない。 上記クリーニングブレード等によるクリーニングが困難である理由からみて、引用文献1に記載の様な電界をかけてトナーを飛翔させるクリーニング方法であればクリーニングにあたりトナーとの接触を必要としないためすり抜けは起こらず良好なクリーニングを行うものであると考えることは、当業者が当然に検討すべき事項に過ぎない。 また、その作用効果も予測可能性のあるものであって、格別顕著なものでもない。 したがって、引用文献1に記載の画像形成装置において、そのトナーとして周知の球形トナーを用いることにより、本件発明1は依然として当業者が容易に想到しうるものであるから、本件発明1は特許法29条2項の規定により拒絶すべきものである。 4.むすび 本件出願の請求項1に係る発明は、特許法29条2項により拒絶すべきものである。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-08-10 |
結審通知日 | 2004-08-20 |
審決日 | 2004-08-31 |
出願番号 | 特願平7-101710 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 矢沢 清純 |
特許庁審判長 |
石川 昇治 |
特許庁審判官 |
井出 和水 山下 喜代治 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 黒田 壽 |