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審決分類 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1105423
審判番号 不服2002-1049  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-02-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-01-21 
確定日 2004-10-22 
事件の表示 平成 5年特許願第204702号「半導体装置の製造方法、シリコン基板の製造方法、半導体装置の製造工程の管理方法及びシリコン基板」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 2月14日出願公開、特開平 7- 45603〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成5年7月27日の出願であって、平成11年2月17日付け、平成13年4月3日付け、平成13年6月13日付けで、それぞれ拒絶の理由が通知され、各々の指定期間内である、平成11年4月30日、平成13年5月18日、平成13年8月2日に、それぞれ意見書及び手続補正書が提出されたが、平成13年8月2日付けの手続補正は同年9月12日付けの補正の却下の決定により却下されるとともに、平成13年6月13日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって同年12月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年1月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月15日付けで手続補正がなされたものである。そして、平成14年2月15日付けの手続補正は、当審による平成16年6月4日付けの補正の却下の決定により却下された。

2.本願の発明

平成13年8月2日付けの手続補正、及び、平成14年2月15日付けの手続補正はともに却下されたので、本願請求項1〜9に係る発明は、平成13年5月18日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜9に記載されたとおりのものであるところ、本願請求項3〜6に係る発明は、次のとおりである。
「【請求項3】 クリーンルーム内で半導体装置を製造する方法において、
半導体基板上に半導体酸化膜を熱酸化膜として形成する際に、室温よりも高温となった状態にて得られる酸化膜付き半導体基板の半導体酸化膜に、水分が拡散ないし浸透することを低減するために、前記熱酸化膜の形成工程を、相対湿度が50%未満に保持されたクリーンルーム内にて実施し、
さらに、固定電荷を低減するために酸化・アニール時とウェーハ取り出し時に雰囲気ガスの隙間線速を制限して行なうことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】 前記クリーンルーム内の相対湿度を40%未満に保持する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】 クリーンルーム内でシリコン酸化膜が形成されたシリコン基板を製造する方法において、
シリコン基板上にシリコン酸化膜を熱酸化膜として形成する際に、室温よりも高温となった状態にて得られる酸化膜付きシリコン基板の酸化膜に、水分が拡散ないし浸透することを低減するために、前記熱酸化膜の形成工程を、相対湿度が50%未満に保持されたクリーンルーム内にて実施し、
さらに、固定電荷を低減するために酸化・アニール時とウェーハ取り出し時に雰囲気ガスの隙間線速を制限して行なうことを特徴とするシリコン基板の製造方法。
【請求項6】 前記クリーンルーム内の相対湿度を40%未満に保持する請求項5記載のシリコン基板の製造方法。」

3.原査定の理由

一方、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。

「隙間線速」とは何か当業者が容易に実施できる程度に発明の詳細な説明には記載されていない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項3〜6に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。」

4.当審の判断

本願請求項3〜6に係る発明における「隙間線速」に関する説明は、発明の詳細な説明の段落【0024】にのみ認められるところ、そこには、「ここで、固定電荷密度を低減させるために、特願平4-355269号に記載した方法を用い、酸化・アニール中の雰囲気ガスの隙間線速を80cm/minとし、ウエーハ引き出し時の該隙間線速を400cm/minとした。」と記載されている。
しかしながら、当該段落及び明細書全体を仔細にみても、上記「特願平4-355269号に記載した方法」及び「隙間線速」の具体的内容を把握するに足りる記載を見出すことはできないから、上記段落の記載が意味するところ、すなわち、「隙間線速」とは何かは不明であるといわざるを得ない。
さらに、「隙間線速」なる用語は当該技術分野において慣用的に使用されている用語ではないことから、「隙間線速」がどのように定義付けられたものであるのかを自明のものとして把握することもできない。
してみると、本願請求項3〜6に係る発明における「隙間線速」の内容は発明の詳細な説明を参酌しても理解し得ないことになるから、本願の発明の詳細な説明には、当業者が容易に本願請求項3〜6に係る発明の実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果が記載されているということはできない。

5.むすび

以上のとおり、本願は、その明細書の記載が不備であって、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-08-23 
結審通知日 2004-08-24 
審決日 2004-09-10 
出願番号 特願平5-204702
審決分類 P 1 8・ 531- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和瀬田 芳正藤原 敬士加藤 浩一池渕 立  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 川真田 秀男
日比野 隆治
発明の名称 半導体装置の製造方法、シリコン基板の製造方法、半導体装置の製造工程の管理方法及びシリコン基板  
代理人 菅原 正倫  

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