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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1107198
審判番号 不服2002-13022  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-11 
確定日 2004-11-11 
事件の表示 平成 9年特許願第204363号「分散印刷システム」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月26日出願公開、特開平11- 53128〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】 手続きの経緯
本願は、平成9年7月30日に特許出願されたものであって、平成14年3月4日付で拒絶の理由が通知され、平成14年5月10日付で手続補正書が提出され、平成14年6月10日付で拒絶査定され、その後平成14年7月11日付で審判請求がなされ、同じく平成14年7月11日付で手続補正書が提出されたものである。
【2】 補正却下の決定
平成14年7月11日付け手続補正について、以下のとおり決定する。
[結論]
平成14年7月11日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)手続補正の内容
平成14年7月11日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は少なくとも特許請求の範囲の請求項1について、これを以下のとおり補正するものである。
「【請求項1】 複数のプリンタを備え、該複数のプリンタに印刷すべきデータを分配させて印刷させるシステムであって、
印刷頁数と印刷時間とに基づいて決定される上記各プリンタの印刷性能情報を記憶する性能情報記憶手段と、
上記各プリンタの印刷性能情報を取得し、上記印刷すべきデータの総頁数のうち上記各プリンタに割り当てるべき分配頁数を、その総頁数と上記各プリンタの印刷性能情報の割合に基づいて算出する分配頁数算出手段と、
上記算出された分配頁数分の印刷データを各プリンタに分配して印刷を開始させる印刷開始制御手段と、
上記印刷データの分配と印刷開始後にあって、何れかのプリンタにおいて障害が発生した場合には、そのプリンタに対して分配された印刷データの内で未印刷分のデータを特定すると共に、その未印刷分のデータの未印刷頁数を取得する取得手段と、
上記取得された未印刷頁数に基づいて上記障害の発生していない他のプリンタに対して再度割り当てるべき再分配頁数を、その未印刷頁数と上記他のプリンタの印刷性能情報の割合に基づいて算出する再分配頁数算出手段と、
上記障害のあったプリンタにおける未印刷分のデータを上記他の各プリンタに割り当てられた再分配頁数に基づいて再度分配する再分配制御手段と、
を具備したことを特徴とする分散印刷システム。」

本件補正についてその内容をみると、この補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「印刷頁数と印刷時間とに基づいて決定される上記各プリンタの印刷性能情報を記憶する性能情報記憶手段」を付加し、「印刷能力」を「印刷性能情報」とし、「分配頁数の算出に性能情報記憶手段からの印刷性能情報を取得して行う」と限定し、「印刷データ」を「算出された分配頁数分の印刷データ」と限定し、「未印刷頁数」を「取得された未印刷頁数」と限定し、さらに、「再分配頁数を算出し、」を「再分配頁数を、その未印刷頁数と上記他のプリンタの印刷性能情報の割合に基づいて算出する再分配頁数算出手段と、」と限定したものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか否か)について、以下に検討する。
(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-34660号公報(以下、「引例1」という。なお、この引例は、出願当初明細書の請求項1を引用する請求項である請求項4に対して引用されたが、本件補正発明は、この請求項4で特定していた事項に相当する事項を構成として含んでいる。)には以下のことが記載されている。
(イ)ネットワークに接続された複数の情報処理装置と、前記情報処理装置に接続された印刷装置を備え、ネットワークを通じて複数の印刷装置を各情報処理装置が共有すると共に、各印刷装置毎に印刷情報をスプールできるシステムの情報処理装置において、
各印刷装置毎の印刷速度を含む印刷能力情報を登録した印刷能力データベースと、自動分散指定の印刷依頼に対し、印刷依頼を実行できる複数の印刷装置を前記印刷能力データベースより検索し、検索した各印刷装置の印刷速度に応じて印刷依頼の分散割合を計算することで全ての印刷終了時間が最短となる最適分散方法を求め、前記印刷依頼を複数に分割する最適分散決定手段と、
前記最適分散決定手段で決定した情報を基に、それぞれの印刷装置への印刷依頼を通知する印刷依頼通知手段を備えていることを特徴とした情報処理装置。(2頁左上欄、特許請求の範囲の請求項1)
(ロ)例1は、印刷待機中の複数の印刷装置に対して印刷依頼を行うことで印刷分散処理を行う例である。この場合、情報処理装置1Aから情報処理装置1B、1Cに対して印刷依頼を行うことで、印刷装置2B、2Cにより印刷処理を分散して行う。
例えば、印刷装置2Bの印刷速度VBが、VB=10枚/分、印刷装置2Cの印刷速度VCが、VC=2枚/分とする。この場合、両方の印刷装置2B、2Cが印刷待機状態であるとする。
このような状態で、10枚の印刷依頼を印刷装置2Bのみで行った場合、印刷処理時間は1分である。また、10枚の印刷依頼を印刷装置2Bに5枚、印刷装置2Cに5枚行った場合、印刷装置2Bの印刷処理時間は0.5分、印刷装置2Cの印刷処理時間は2.5分であり、全印刷時間は2.5分となる。(段落0009、0010,0011)
(ハ)また、前記情報処理装置を次のように構成した。
(2) :ネットワークに接続された複数の情報処理装置と、前記情報処理装置に接続された印刷装置を備え、ネットワークを通じて複数の印刷装置を各情報処理装置が共有すると共に、各印刷装置毎に印刷情報をスプールできるシステムの情報処理装置において、各印刷装置毎の印刷速度を含む印刷能力情報を登録した印刷能力データベースと、自動分散指定の印刷依頼に対し、印刷依頼を実行できる複数の印刷装置を前記印刷能力データベースより検索し、検索した各印刷装置の印刷速度に応じて印刷依頼の分散割合を計算することで全ての印刷終了時間が最短となる最適分散方法を求め、前記印刷依頼を複数に分割する最適分散決定手段と、前記最適分散決定手段で決定した情報を基に、それぞれの印刷装置への印刷依頼を通知する印刷依頼通知手段を備えている。(段落0024)
(ニ)(7) :印刷能力データベース格納部21は、例えば、図4のA図に示したようなレコードを持つ印刷能力データベースを格納したものであり、分散処理計算部16等がアクセスするものである。
この例では、印刷能力データベースの各レコードには、使用可能な印刷装置名、及びその印刷装置で使用可能な用紙種と、印刷速度等の情報(各印刷装置毎の情報)を保持している。
例えば、印刷装置の印刷能力情報として、用紙種(B5、A4等)毎の情報1、情報2・・・情報nがあり、情報1には用紙種1(例えば、B5)と速度1(用紙種1の印刷速度=枚/分)が設定され、情報2には用紙種2(例えば、A4)と速度2(用紙種2の印刷速度=枚/分)が設定され、以下同様にして情報nには用紙種nと速度n(用紙種nの印刷速度=枚/分)が設定されている。(段落0058、0059,0060,図4)
(ホ)§4:最適分散例の説明・・・図5参照
図5は実施例1の最適分散例説明図である。この例は、図2に示したシステムにおいて、情報処理装置1Aからの印刷依頼により印刷装置2B、2C、2Dに分散して印刷処理を行った例である。
この場合、印刷装置2Bの印刷速度は10枚/分、印刷装置2Cの印刷速度は5枚/分、印刷装置2Dの印刷速度は2枚/分とする。このような印刷装置の能力があった場合、20枚の印刷依頼に対し、前記分散処理計算部16による分散で、印刷装置2Bには12枚を割り当て、印刷装置2Cには6枚を割り当て、印刷装置2Dには2枚を割り当てる。
このようにすると、印刷装置2B、2C、2Dで分散して印刷処理を行った場合、最適分散ができた。すなわち、図5に示したように、3台の印刷装置の印刷終了時間が略同じになり、最適な分散処理ができた。
この場合、例えば、最も印刷速度の速い印刷装置2Bに20枚の印刷を依頼すると、2分の印刷時間が必要であるが、前記の分散処理を行うことにより、印刷時間を短縮することができる。(段落0083、0084,0085,0086,図5)
(ヘ)§3:最適分散例の説明・・・図8参照
図8は実施例3の最適分散例説明図である。この例は、図2に示したシステムにおいて、情報処理装置1Aからの印刷依頼により印刷装置2B、2C、2Dに分散して印刷処理を行った例である。
この場合、印刷装置2Bの印刷速度は10枚/分、印刷装置2Cの印刷速度は5枚/分、印刷装置2Dの印刷速度は2枚/分とする。また、印刷装置2Bの保留枚数が4枚であったとする。
このような印刷装置の能力があった場合、新規依頼枚数=10枚の印刷依頼があり、印刷装置2Bに4枚の保留枚数があったとすると、前記分散処理計算部16による分散で、印刷装置2Bには保留枚数を含めて9枚(保留枚数4枚+新規依頼枚数5枚)を割り当て、印刷装置2Cには4枚を割り当て、印刷装置2Dには1枚を割り当てる。
このようにすると、印刷装置2B、2C、2Dで分散して印刷処理を行った場合、最適分散が可能になった。すなわち、図8に示したように、3台の印刷装置の内、最も印刷時間の長い印刷装置2Bの印刷時間を1分未満に抑えることができ、最適な分散処理が可能になった。(段落0137、0138,0139,0140,図8)
(ト)前記分散処理計算依頼の通知を受け付けた分散処理計算部16は、印刷依頼を実行できる印刷装置を印刷能力データベース格納部21の印刷能力データベースより検索すると共に、分散可能な印刷装置の保留枚数を状態管理部19から獲得する。そして、前記保留枚数と印刷依頼部14から通知された新規依頼枚数とを合わせて最適分散方法を計算して求め、その結果の情報を印刷依頼受け付け部15へ応答する。(段落0151、図9)
(チ)すなわち、分散処理計算部16は、印刷能力データベース格納部21の印刷能
力データベースを検索し、印刷能力(印刷速度)の比率から全ての印刷終了時間が最短となる最適分散方法を計算で求めるが、この場合、状態管理部19が保持している分散可能な印刷装置の保留枚数(=印刷中の残留枚数)を獲得し、この保留枚数と印刷依頼部14から通知された新規依頼枚数とを合わせて最適分散方法を計算して求める。
そして、その計算で求めた結果の情報(どの印刷装置に何枚依頼するか等の情報)を印刷依頼部14へ応答する。印刷依頼部14は、前記分散処理計算部16からの応答を受け付けると、その情報を基にそれぞれの印刷装置への印刷依頼としてスプーラ部11へ通知する。この場合、スプーラ部11に対し、印刷情報(B5、A4等の印刷用紙種、各装置毎の依頼枚数を含む情報)、印刷先装置指定情報、印刷依頼データ(各印刷装置毎のデータ)等を通知する。(段落0152、0153)
(リ)(2) :実測方法2は、次の通りである。ディフォルトでは、カタログスペックを使用するが、実際に印刷を行う度に所要時間を計算し、印刷能力データベースの値を更新する。
更新に際しては、それまでの値との平均をとることで、実作業での能力に近づける。なお、実際の印刷では、各ページのデータ量がページ毎に異なるため、データ量の違いを加味する必要がある。そのために、基準データ量当たりの速度(例えば、1Kバイト当たりの速度)を計算し、全てのページが、その基準データ量の印刷であると仮定した場合の印刷能力値としてデータベースに反映する。(段落0171、0172)
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-221233号公報(以下、「引例2」という。)には以下のことが記載されている。
(ヌ)印刷データを転送するホストと、該ホストから送られた印刷データをページ単位に分割して送付する印刷制御装置と、少なくともページ単位の印刷が可能な、前記印刷制御装置に接続される複数台の印刷機構部とからなり、前記印刷制御部でページ単位に分割された印刷データは、前記複数台の印刷機構部に並列に送付され、各印刷機構部で印刷される並列印刷システムであって、前記複数台の印刷機構部には、各印刷機構部内の状態を監視する状態監視手段を有し、前記印刷制御装置は、前記状態監視手段により異常が検出された印刷機構部に対する前記ページ単位の印刷データの送付を中止し、該ページ単位の印刷データを当該異常印刷機構部を除いた前記複数台の印刷機構部に送付する再分配手段と、前記異常印刷機構部がオペレータの修復作業後、前記状態監視手段によって正常状態と判断されたとき、当該印刷機構部を含む前記複数台の印刷機構部に対し、前記ページ単位に分割された印刷データを送付する回復手段と、を持つことを特徴とする並列印刷システム。(2頁左上欄、特許請求の範囲の請求項1)
(ル)本発明は印刷装置の並列運転システムに関するものであり、特にカット紙プリンタの高速化、システムの運用効率向上に関するものである。(段落0001)
(オ)ジャム発生時には、既に印刷機構部42,43にて、9ページ・10ページ分、および11ページ・12ページ分の両面印刷処理が行われている。この結果得られた9ページ・10ページ分の印刷済み用紙、及び11ページ・12ページ分の印刷済み用紙は、通常時と同様に用紙スタッカ5042に一時的に格納される。
しかしながら、印刷機構部41の介入要求検出部413にて障害(用紙ジャム)が検出され、しかも排紙監視センサにて7ページ・8ページ分の印刷済み用紙の排出が確認されていないため、各装置の制御部を通じてこれらの報告を受けた主制御部203は、排紙統合装置50における各スタッカピックローラを停止するよう、排紙機構制御部501に指示する。これにより、印刷機構部で印刷された印刷済み用紙は順次、各用紙スタッカにて保持される。(段落0061、0062,図3)
(3)対比・判断
本件補正発明と引例1に記載された発明とを比較すると、引例1に記載された発明の「印刷装置」、「印刷能力情報」、「印刷能力データベース」、「枚数」、「最適分散決定手段」は本件補正発明の「プリンタ」、「印刷性能情報」、「性能情報記憶手段」、「頁数」、「分配頁数算出手段」に相当するから、両者は、
「複数のプリンタを備え、該複数のプリンタに印刷すべきデータを分配させて印刷させるシステムであって、
印刷頁数と印刷時間とに基づいて決定される上記各プリンタの印刷性能情報を記憶する性能情報記憶手段と、
上記各プリンタの印刷性能情報を取得し、上記印刷すべきデータの総頁数のうち上記各プリンタに割り当てるべき分配頁数を、その総頁数と上記各プリンタの印刷性能情報の割合に基づいて算出する分配頁数算出手段と、
上記算出された分配頁数分の印刷データを各プリンタに分配して印刷を開始させる印刷開始制御手段を具備した分散印刷システム。」である点で一致し、
(a)本件補正発明が、何れかのプリンタにおいて障害が発生した場合には、そのプリンタに対して分配された印刷データの内で未印刷分のデータを特定すると共に、その未印刷分のデータの未印刷頁数を取得する取得手段と、再度分配する再分配制御手段とを具備するのに対して、引例1に記載された発明においては、このようなものを具備していない点、
(b)本件補正発明が、未印刷頁数に基づいて障害の発生していない他のプリンタに対して再度割り当てるべき再分配頁数を、その未印刷頁数と他のプリンタの印刷性能情報の割合に基づいて算出する再分配頁数算出手段を具備し、障害のあったプリンタにおける未印刷分のデータを他の各プリンタに割り当てられた再分配頁数に基づいて再度分配するのに対して、引例1に記載された発明はこのようにしていない点、で相違する。
次に、この相違点について検討する。
(a)の相違点について、
引例2には、複数のプリンタのうち障害が発生した場合にそのプリンタへの印刷データの送付を中止し、他のプリンタへ再分配する手段を具備した並列印刷システムが記載されているから、未印刷分のデータを特定すると共に、その未印刷分のデータの未印刷頁数を取得する取得手段と、再度分配する再分配制御手段とを具備することに格別困難性を要しないものと認められる。
(b)の相違点について、
引例1の段落0024には各プリンタの印刷能力情報に基づいて各プリンタへ分散させることが記載されており、また、同じく段落0151にはプリンタの現在の保留枚数を獲得し、保留枚数と新規依頼印刷枚数とを合わせて最適分散方法を計算して求めることが記載されているから、障害の際の再分配に、その未印刷頁数と他のプリンタの印刷性能情報の割合に基づいて算出する再分配頁数算出手段を具備し、障害のあったプリンタにおける未印刷分のデータを他の各プリンタに割り当てられた再分配頁数に基づいて再度分配することに格別困難性を要しないものと認められる。
(4)むすび
以上のとおり、本件補正発明は、引例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


【3】 本願発明について
(1)本願発明
平成14年7月11日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は平成14年5月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 複数のプリンタを備え、該複数のプリンタに印刷すべきデータを分配させて印刷させるシステムであって、
上記印刷すべきデータの総頁数のうち上記各プリンタに割り当てるべき分配頁数を、その総頁数と上記各プリンタの各々における印刷能力の割合に基づいて各プリンタ毎に算出し、上記印刷すべきデータを各プリンタ毎に算出された分配頁数分の印刷データを各プリンタ毎に分配して印刷を開始させる印刷開始制御手段と、
上記データの分配と印刷開始後にあって、何れかのプリンタにおいて障害が発生した場合には、そのプリンタに対して分配された印刷データの内で未印刷分のデータを特定すると共に、その未印刷分のデータの未印刷頁数を取得する取得手段と、
上記未印刷頁数に基づいて上記障害の発生していない他のプリンタに各々に対して再度割り当てるべき再分配頁数を算出し、上記障害のあったプリンタにおける未印刷分のデータを上記各プリンタに割り当てられた再分配頁数分づつ再度分配する再分配制御手段と、
を具備したことを特徴とする分散印刷システム。」
(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-34660号公報(以下、「引例1」という。)及び、同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-221233号公報(以下、「引例2」という。)には、前記【2】 の(2)に記載したとおりの技術的事項が開示されている。
(3)対比・判断
本願発明は、前記【2】 の(1)で検討した本件補正発明における「印刷頁数と印刷時間とに基づいて決定される上記各プリンタの印刷性能情報を記憶する性能情報記憶手段」、「分配頁数の算出に性能情報記憶手段からの印刷性能情報を取得して行う」を削除し、「印刷性能情報」を「印刷能力」とし、「算出された分配頁数分の印刷データ」を「印刷データ」とし、「取得された未印刷頁数」を「未印刷頁数」とし、「再分配頁数を、その未印刷頁数と上記他のプリンタの印刷性能情報の割合に基づいて算出する再分配頁数算出手段と、」を「再分配頁数を算出し、」とするものである。
そうすると、本願発明は本件補正発明の限定をはずしたものにすぎなく、前記したように、本件補正発明が前記【2】 の(3)に記載した理由によって、引例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる以上、本願発明についてもこれと同様に前記引例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(4)むすび
以上のとおりであって、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、前記引例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-08-31 
結審通知日 2004-09-07 
審決日 2004-09-21 
出願番号 特願平9-204363
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 正和  
特許庁審判長 下野 和行
特許庁審判官 植松 伸二
矢島 伸一
発明の名称 分散印刷システム  

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