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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K |
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管理番号 | 1107202 |
審判番号 | 不服2002-19210 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-09-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-10-03 |
確定日 | 2004-11-11 |
事件の表示 | 平成9年特許願第241788号「プリント配線板、多層プリント配線板およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年9月11日出願公開、特開平10-242622〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年8月21日(優先権主張、平成8年12月27日)の出願であって、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成13年2月19日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 絶縁層表面に設けた粗化面上に導体パッドが形成され、該導体パッド上に半田体が形成されたプリント配線板であって、 前記導体パッドは、前記粗化面に追従して形成された無電解めっき膜と、その無電解めっき膜上に形成された電解めっき膜とからなることを特徴とするプリント配線板。」(以下、「本願発明」という。) 2.引用例とその記載事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の上記優先権主張日前に日本国内において頒布された特開平7-94849号公報(以下、「引用例」という。)には、「IC,LSIチップ等のベアチップを直接搭載するためのプリント配線基板」(第2頁第1欄第17〜18行)に関して、図1〜7とともに、次の事項が記載されている。 ア)「【0009】図示しない多層基板の最外層を構成する絶縁基材としてのAlN基板……1上に、スパッタリングにより金属薄層としてのCu薄層2を形成する(図1)。 …… 【0011】続いて、パターンメッキを施して導体パターンを形成するとともに、パッド形成用開口部3にパッド5を形成する。…… 【0012】次に、Cu薄層2に通電して電解半田メッキを施し、パッド5上に高さ120μmで直径60μmのバンプ8を形成する(図4)。…… 【0013】次に、……パッド5上にバンプ8が形成された半導体搭載用基板Kを得る(図6)。なお、バンプ8上に塗布されたソルダーレジストは現像処理のときに除去される。」(第2頁第2欄第49行〜第3頁第3欄第34行) イ)「【0019】(4)絶縁基板にAlN基板1を使用する代わりに、熱硬化性樹脂あるいは耐熱性熱可塑性樹脂等の樹脂基板を使用してもよい。 (5)スパッタリングによりAlN基板1上にCu薄層2を形成する代わりに、無電解メッキにより形成してもよい。この場合、Cu薄層2は基板上に接着剤層を形成し、その接着剤層を粗化した後無電解メッキにより形成される。」(第3頁第4欄第28〜35行) 上記記載事項ア、イ及び図1〜7の記載を総合すると、刊行物1には、 「接着剤層表面に設けた粗化面上にパッド5が形成され、該パッド5上にバンプ8が形成されたプリント配線基板であって、 前記パッド5は、無電解メッキ薄層2と、その無電解メッキ薄層2上に形成されたパターンメッキとからなるプリント配線基板」 の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 3.発明の対比 本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「接着剤層」、「パッド5」、「バンプ8」、「プリント配線基板」、「無電解メッキ薄層2」は、それぞれ、本願発明の「絶縁層」、「導体パッド」、「半田体」、「プリント配線板」、「無電解めっき膜」に相当する。 また、引用例記載の発明の「パターンメッキ」は、技術常識からみて、本願発明の「電解めっき膜」に相当するものといえる。 よって、本願発明と引用例記載の発明とは、 「絶縁層表面に設けた粗化面上に導体パッドが形成され、該導体パッド上に半田体が形成されたプリント配線板であって、 前記導体パッドは、無電解めっき膜と、その無電解めっき膜上に形成された電解めっき膜とからなるプリント配線板」 である点で一致し、次の点で相違している。 《相違点》 無電解めっき膜の構成事項に関して、本願発明では、「前記粗化面に追従して形成された」無電解めっき膜と限定されているのに対して、引用例記載の発明では、無電解めっき膜(無電解メッキ薄層2)について、そのような言及がない点。 4.当審の判断 そこで、上記相違点について以下で検討する。 (1)無電解めっき膜が粗化面に追従して形成されるか否かは、主として、粗化面の深さと無電解めっき膜の厚さとの関係によるものと認められるところ、本願明細書には、粗化面の深さに関して「前記粗化層は、1〜10μmが望ましく」(段落【0016】)と記載され、また、無電解めっき膜の厚さに関して「前記無電解めっき膜の厚さは、0.1〜5μmが望ましく」(段落【0010】)と記載されている。 (2)ところで、本願明細書で望ましいとされる上記粗化面の深さの数値範囲及び無電解めっき膜の厚さの数値範囲は、いずれも当業者が通常採用する範囲内のものと認められる。(例えば、特開平7-115273号公報の第3頁第3欄第18〜22行には、「接着剤層の表面粗度が1μm〜20μmの範囲内になることが望ましい」旨が記載され、また、特開平7-106767号公報の第6頁第10欄第16〜21行には、粗化層上に無電解銅めっきと電気銅めっきとを形成するものにおいて、「下地導電膜を無電解銅めっきで0.2μm形成する」旨が記載されている。) (3)そして、引用例記載の発明において、接着剤層(絶縁層)の粗化面の深さと無電解メッキ薄層2(無電解めっき膜)の厚さとを、上記当業者が通常採用する範囲内で適宜選択することによって、無電解メッキ薄層2(無電解めっき膜)が接着剤層(絶縁層)の粗化面に追従するように形成できるものと認められる。(例えば、深さ1μmの粗化面上に厚さ0.2μmの無電解メッキ薄層2(無電解めっき膜)を形成すれば、当該無電解メッキ薄層2(無電解めっき膜)が接着剤層(絶縁層)の粗化面に追従して形成されることは明らかである。) (4)よって、上記相違点の「前記粗化面に追従して形成された」という構成事項は、絶縁層(接着剤層)の粗化面の深さ及び無電解めっき膜(無電解メッキ薄層2)の厚さを、上記当業者が通常採用する範囲内で適宜選択することによって、当業者であれば容易に想到できた事項といえる。 また、本願発明が奏する作用効果も、引用例記載の発明から予測される程度以上のものでもない。 5.むすび したがって、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用例記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、請求項2ないし6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-08-31 |
結審通知日 | 2004-09-07 |
審決日 | 2004-09-21 |
出願番号 | 特願平9-241788 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中川 隆司 |
特許庁審判長 |
八日市谷 正朗 |
特許庁審判官 |
田々井 正吾 鈴木 久雄 |
発明の名称 | プリント配線板、多層プリント配線板およびその製造方法 |
代理人 | 小川 順三 |
代理人 | 中村 盛夫 |