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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03B
管理番号 1107945
異議申立番号 異議2003-72190  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-09-04 
確定日 2004-11-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第3382422号「ストロボ制御システム」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3382422号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3382422号の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」・・・「本件発明6」という。)は、平成7年8月21日に特許出願され、平成14年12月20日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人乗上毅により特許異議の申立てがなされたものである。

2.特許異議申立てについての判断
(1)特許異議申立人乗上毅は、本件発明1-6は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本件発明1-6の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、当該特許は取り消されるべきものである旨主張している。

(2)本件発明
本件発明1-6は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1-6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】 撮影時における本発光前に、波高値を所定時間ほぼ一定に保って発光するフラット発光による予備発光下での被写体からの反射光を測光する測光手段と、予備発光における閃光管からの発光をモニタし予備発光における発光量を求めるモニタ手段と、該測光手段にて検知された測光値に応じた測光データと露出データとの差又は比とモニタ手段にて求められた発光量に基づいて本発光の発光量データを求める演算手段と、本発光による閃光管からの発光をモニターして発光量が前記演算手段にて求められた発光量データに応じた値となった際に本発光を停止する本発光制御手段を有することを特徴とするストロボ制御システム。
【請求項2】 前記露出データはストロボ発光が行われない状態下での被写体輝度に応じた値のデータである請求項1記載のストロボ制御システム。
【請求項3】 前記露出データは撮影に際して設定される絞り値とシャッター秒時値応じた値のデータである請求項1記載のストロボ制御システム。
【請求項4】 前記演算手段は前記露出データと測光データとの比または差を前記モニタ手段にて求められた発光量を乗算することで本発光の発光量データを求める請求項1記載のストロボ制御システム。
【請求項5】 被写体に向け本発光を行い露光動作を行うストロボ制御システムにおいて、被写体に向けて、波高値を所定時間ほぼ一定に保って発光するフラット発光による予備発光を行う手段と、前記予備発光に際して被写体からの反射光を測光する第一の測光手段と、前記予備発光に際し前記第一の測光手段とは別の光学路より予備発光量を測光する第二の測光手段と、前記第一の測光手段による測光値に応じて、前記第二の測光手段で測光された予備発光量に対する相対的な本発光量を演算する演算手段を有し、本発光に際し、前記第二の測光手段で本発光量を測光することによって、前記演算手段による演算結果に基づいて、本発光量を制御することを特徴とするストロボ制御システム。
【請求項6】 撮影時における本発光前に行なわれる、波高値を所定時間ほぼ一定に保って発光するフラット発光による予備発光下での被写体からの反射光を測光する測光手段と、予備発光における閃光管からの発光をモニタし予備発光における発光量を求める発光量モニタ手段と、該測光手段にて検知された測光値に応じた測光データと露出データとの差又は比とモニタ手段にて求められた発光量に基づいて本発光の発光量データを求める演算手段と、本発光による閃光管からの発光を前記モニタ手段にてモニターして発光量が前記演算手段にて求められた発光量データに応じた値となった際に本発光を停止する本発光制御手段を有し、本発光の制御を行なうストロボ制御システムのための閃光装置において、前記モニタ手段及び本発光制御手段が設けられることを特徴とする閃光装置。

(3)刊行物記載の発明
特許異議申立人乗上毅が提出した甲第1号証である刊行物(特開昭55-135823号公報)(以下、「刊行物1」という。)には
「予備発光期間中に被写体からの反射光を測光するホトダイオードと、ホトダイオードが測光している被写界領域の輝度、フィルム感度値、及び測光中の絞り開口のアペックス値に基づいて適正露光を得るために必要な本発光時の積分光量を求め、それに応じてキセノン管を制御する閃光放電灯調光装置」
の発明が開示されているものの、本件発明1-4の構成要件である「予備発光における閃光管からの発光をモニタし予備発光における発光量を求めるモニタ手段」、本件発明5の構成要件である「予備発光に際し前記第一の測光手段とは別の光学路より予備発光量を測光する第二の測光手段」、本件発明6の構成要件である「予備発光における閃光管からの発光をモニタし予備発光における発光量を求める発光量モニタ手段」については記載も示唆もない。そしてその結果、当然、刊行物1には、本件発明1-4における「演算手段が、測光手段にて検知された測光値に応じた測光データと露出データとの差又は比とモニタ手段にて求められた発光量に基づいて本発光の発光量データを求める点」、本件発明5における「演算手段が、第一の測光手段による測光値に応じて、第二の測光手段で測光された予備発光量に対する相対的な本発光量を演算する点」、本件発明6における「演算手段が、測光手段にて検知された測光値に応じた測光データと露出データとの差又は比とモニタ手段にて求められた発光量に基づいて本発光の発光量データを求める点」について開示されていない。
そして、本件発明1-6は上記構成を採用することにより、予備発光に基づいて、適正な露光量を得ることが出来るという、明細書記載の効果を奏するものと認められる。

したがって、本件発明1-6は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

なお、異議申立人は、上記の点につき、異議申立書において、
ア.甲第1号証では、閃光管の発光を被写体からの反射光としてホトダイオード(10)で受光しており、これは被写体からの反射光によって閃光管の発光をモニタしているに他ならない。すなわち、甲第1号証には、本件特許発明の測光手段とモニタ手段を兼ねるホトダイオード(10)が記載されている。
イ.甲第1号証では、予備発光時の受光量(レジスタ(61)〜(65)に記憶された測光値)と予備発光前の受光量(レジスタ(51)〜(55)に記憶された測光値)との差分が予備発光量となるので、本発光量データの算出に予備発光時の測光データを間接的に利用していると言える。と主張している。
これらについて検討するに、まず、ア.については、甲第1号証では、ホトダイオード(10)で受光しているのは、被写体からの光であって、これには、閃光管の発光と外光との被写体での反射光が含まれており、ホトダイオード(10)が閃光管の発光をモニタしているとはいえない。また、仮に、ホトダイオード(10)が閃光管の発光をモニタしていると言えたとしても、ホトダイオード(10)とは、本件発明1における「予備発光下での被写体からの反射光を測光する測光手段」に相当するものであって、測光する以外に別の役割を果たしているものとも認められないから、ホトダイオード(10)は本件発明1の「予備発光における閃光管からの発光をモニタし予備発光における発光量を求めるモニタ手段」に相当するとはいえない。
次に、イ.については、まず、甲第1号証の「最大値検出回路(47)は、比較回路(71)〜(75)のうち、最大の差値を出力したものを検出し、それについての信号をゲート回路(48)へ与え、レジスタ(61)〜(65)のうち最大差を出力した比較回路に接続されているレジスタの信号をゲート(46)を通じてAD変換器(45)へ伝達する。」(6頁左下欄3〜9行)という記載からみても、「予備発光時の受光量(レジスタ(61)〜(65)に記憶された測光値)と予備発光前の受光量(レジスタ(51)〜(55)に記憶された測光値)との差分が予備発光量」とはなっておらず、したがって、本発光量データの算出に予備発光時の測光データを間接的に利用しているとはいえない。甲第1号証のものにおいては、本発光量データの算出には、レジスタ(61)〜(65)のうち最大差を出力した比較回路に接続されているレジスタの信号が用いられるが、これは本件発明1における「測光手段にて検知された測光値に応じた測光データ」に相当するものであり、このデータの他に、「モニタ手段にて求められた発光量に基づいて本発光の発光量データを求める」点は、甲第1号証には開示がない。
よって、異議申立人の上記主張ア.、イ.には理由がない。

3.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-11-09 
出願番号 特願平7-211795
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G03B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 越河 勉  
特許庁審判長 上野 信
特許庁審判官 峰 祐治
瀬川 勝久
登録日 2002-12-20 
登録番号 特許第3382422号(P3382422)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 ストロボ制御システム  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  

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