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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L |
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管理番号 | 1109269 |
審判番号 | 不服2003-8698 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-06-18 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-05-15 |
確定日 | 2005-01-04 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第331596号「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月18日出願公開、特開平11-163253〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年12月2日の出願であって、平成14年2月14日付けで通知された拒絶理由に対して、同年4月30日付け手続補正書を提出したが、平成15年4月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月12日付けで手続補正がなされたものであり、さらに、当審において、平成16年7月6日付けで通知された拒絶理由に対して、同年9月9日付けで意見書が提出されたものである。 2.本願の発明 本願請求項1に係る発明は、平成15年6月12日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。) 「【請求項1】 複数の半導体チップがそれらの上下厚み方向に重ねられており、かつこれら複数の半導体チップは、モールド樹脂によって覆われており、上記複数の半導体チップのうち、最上層の半導体チップは、その表面に複数の電極が形成されたものである、半導体装置であって、上記最上層の半導体チップの表面のうち、上記複数の電極よりも内側領域から上記複数の電極の形成領域を越えて上記半導体チップの外周縁に達する領域にわたって耐熱性樹脂からなるフィルムまたはシートが接着しており、かつこのフィルムまたはシートは、上記モールド樹脂にも接着していることを特徴とする、半導体装置。」 3.当審の拒絶理由 当審において平成16年7月6日付けで通知した拒絶の理由の概要は、「図2あるいは明細書の段落0027の記載によると、耐熱性フィルム2Dは、第3の半導体チップ2Cの主面に形成された複数の電極23を覆うように接着されており、ワイヤWのボンディングの際は、当該電極23は露出しておらず、耐熱性フィルム2Dが介在することになるから、技術常識から判断すると、当該耐熱性フィルムによりワイヤWと電極23との良好な導電接続が得られないと考えるのが妥当であるところ、本願明細書の発明の詳細な説明の欄には、上記良好な導電接続を可能とするためのワイヤボンディングの具体的手法に関して何ら説明されていないから、当業者が実施可能な程度に記載されているとはいえない」から、本件出願は、明細書及び図面の記載が特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない、というものである。 4.当審の判断 審判請求人は、平成16年年9月9日付けの意見書において、以下のように主張している。 「(i) 本願の図2は、耐熱性フィルム2Dを第3の半導体チップ2Cに接着する工程を示しております。この際、第3の半導体チップ2Cの電極23にボンディング作業を容易とする手段として、耐熱性フィルム2Dには、電極23に対応する箇所に複数の開口部が設けられております。このような開口部は、あらかじめパンチングを用いて設けることができます。ボンディングの作業性を向上させる手段として、開口部を設ける手法については、たとえば、同図に示す基板1の開口部12が設けられていることと同様です。 (ii) ここで、本願は、「内部領域から外部領域に樹脂フィルムが設けられた構成」という、これまでの従来技術に開示も示唆もされていない技術的思想を提供するものです。 たとえ耐熱性フィルム2Dの上記開口部について明示的に記載されていないとしても、基板1の開口部12から参酌して自明な事項であり、これが当業者の実施を妨げるものではありません。また、開口部を有さない耐熱性フィルム2Dを貼付した後に、エッチングなどの周知技術により耐熱性フィルム2Dの適所を除去して設けることも可能です。したがって、特許法第36条第4項に規定する実施可能要件を満たしているものと思料します。」 しかしながら、耐熱性フィルム2Dにあらかじめ開口部を設けることに関しては、明細書及び図面に何ら記載乃至示唆されておらず、かつ技術常識からみて自明な事項であるとする根拠も見当たらないから、上記審判請求人の主張を採用することはできない。 したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記意見書を参酌しても依然として、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということはできない。 5.むすび 以上のとおり、本願は、当審で通知した上記拒絶の理由によって拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-10-19 |
結審通知日 | 2004-10-26 |
審決日 | 2004-11-09 |
出願番号 | 特願平9-331596 |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 和瀬田 芳正、加藤 浩一 |
特許庁審判長 |
影山 秀一 |
特許庁審判官 |
瀬良 聡機 川真田 秀男 |
発明の名称 | 半導体装置 |
代理人 | 田中 達也 |
代理人 | 吉田 稔 |
代理人 | 福元 義和 |