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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B |
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管理番号 | 1110495 |
審判番号 | 不服2002-9974 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-06-02 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-06-05 |
確定日 | 2005-02-01 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第331074号「積層波長板、円偏光板及び液晶表示装置」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 6月 2日出願公開、特開平11-149015]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年11月14日の出願であって、平成14年4月25日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2.平成14年6月5日付の手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成14年6月5日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、「単色光に対して1/2波長の位相差を与える複数の延伸フィルムをそれらの光軸を交差させて積層してなり、かつ前記延伸フィルムの複屈折率差Δn1、Δn2の波長依存性が400nm(Δn1)と550nm(Δn2)の波長光に基づいてΔn1/Δn2<1.05であると共に、前記の延伸フィルムが環状オレフィン系高分子からなることを特徴とする積層波長板。」と補正された。 上記補正は、延伸フィルムの材質を「環状オレフィン系高分子、酢酸セルロース系高分子又はポリメチルメタクリレート系高分子」から「環状オレフィン系高分子」に限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-100114号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、「本発明の積層波長板は、単色光に対して1/2波長の位相差を与える複数の延伸フィルムをそれらの光軸を交差させて積層したものである。図1にその例を示した。1,3が1/2波長の位相差を与える延伸フィルム、2は透明な接着層である。」(第2欄第9〜13行)との記載が認められ、この記載によれば、引用例1には、「単色光に対して1/2波長の位相差を与える複数の延伸フィルム1、3をそれらの光軸を交差させて積層した積層波長板。」との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「延伸フィルム1、3」は、本願発明の「延伸フィルム」に相当するから、両者は、「単色光に対して1/2波長の位相差を与える複数の延伸フィルムをそれらの光軸を交差させて積層した積層波長板。」の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]本願補正発明は、延伸フィルムの複屈折率差Δn1、Δn2の波長依存性が400nm(Δn1)と550nm(Δn2)の波長光に基づいてΔn1/Δn2<1.05であるのに対し、引用例1発明には、かかる限定が無い点。 [相違点2]本願補正発明は、延伸フィルムが環状オレフィン系高分子からなるのに対し、引用例1発明には、かかる限定が無い点。 (4)判断 [相違点1]について 延伸フィルムの複屈折率差Δn1、Δn2の波長依存性が400nm(Δn1)と550nm(Δn2)の波長光に基づいてΔn1/Δn2<1.05である点は、従来周知(例えば、特開平5-27118号公報及び特開平5-27119号公報の図2には、PVAが波長400nmのときと、波長550nmのときの光における複屈折光の屈折率差に対する屈折率差の割合(Δn/Δn550)が1.05以下であることが開示されており、特開平4-121703号公報の第2図には、波長400nmのときリタデーションΔndが200nmで、波長550nmのときリタデーションΔndが350nmの特性をもつ位相差板1が開示され、200を350で割れば約0.57となり、上記割合が1.05以下であることが開示されており、特開平4-116603号公報の第2図には、波長400nmのときリタデーションΔndが200nmで、波長550nmのときリタデーションΔndが350nmの特性をもつ位相差板1が開示され、200を350で割れば約0.57となり、上記割合が1.05以下であることが開示されている。)の技術手段に過ぎない。 [相違点2]について 延伸フィルムが環状オレフィン系高分子からなる点は、従来周知(例えば、特開平8-75921号公報、特開平4-245202号公報等を参照。)の技術手段に過ぎない。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成14年6月5日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年6月20日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「単色光に対して1/2波長の位相差を与える複数の延伸フィルムをそれらの光軸を交差させて積層してなり、かつ前記延伸フィルムの複屈折率差Δn1、Δn2の波長依存性が400nm(Δn1)と550nm(Δn2)の波長光に基づいてΔn1/Δn2<1.05であると共に、前記の延伸フィルムが環状オレフィン系高分子、酢酸セルロース系高分子又はポリメチルメタクリレート系高分子からなることを特徴とする積層波長板。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明に、延伸フィルムが「酢酸セルロース系高分子又はポリメチルメタクリレート系高分子」からなる場合を加えたものである。 そうすると、本願発明の3つの延伸フィルムの材質を、そのうちの1つに限定した本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることが出来たものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-02-17 |
結審通知日 | 2003-02-25 |
審決日 | 2003-03-11 |
出願番号 | 特願平9-331074 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森内 正明 |
特許庁審判長 |
高橋 美実 |
特許庁審判官 |
國島 明弘 末政 清滋 |
発明の名称 | 積層波長板、円偏光板及び液晶表示装置 |
代理人 | 藤本 勉 |