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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1112476
審判番号 不服2000-7650  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-06-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-05-23 
確定日 2005-02-24 
事件の表示 平成 7年特許願第338093号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 6月10日出願公開、特開平 9-149967〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年11月30日の出願であって、平成12年4月20日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月20日付で手続補正がなされたものである。

2.平成12年6月20日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成12年6月20日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技盤(5) に配置され変動図柄を表示する画像表示手段(29)と、変動図柄の図柄情報を記憶するゲーム画像情報記憶手段(44)と、ゲームの進行に伴ってゲーム画像情報記憶手段(44)の変動図柄の画像情報を読み出して画像表示手段(29)に所定の変動図柄を表示させる表示制御手段(46)とを備えた弾球遊技機において、広告画像の画像情報を記憶する広告画像情報記憶手段(45)を備え、ROMにゲーム画像情報記憶手段(44)と広告画像情報記憶手段(45)とを備え、広告画像情報記憶手段(45)の画像情報を読み出して所定時間(T) 毎に画像表示手段(29)に広告画像を表示させると共に、変動図柄が変動中のときに、その変動動作が終了するまで待機して広告画像を表示させる広告画像表示制御手段(48)を備えたことを特徴とする弾球遊技機。」
と補正された。
上記補正は、平成11年11月25日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項3に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技盤(5) に配置された画像表示手段(29)」を「遊技盤(5) に配置され変動図柄を表示する画像表示手段(29)」と限定し、同じく「ゲームに関連するゲーム画像の画像情報」を「変動図柄の図柄情報」と限定し、同じく「画像情報を読み出して」を「変動図柄の画像情報を読み出して」と限定し、同じく「所定のゲーム画像を表示させる表示制御手段(46)」を「所定の変動図柄を表示させる表示制御手段(46)」と限定し、同じく「広告画像を所定時間T毎に表示させると共に、変動図柄の表示中のときに、その変動図柄の変動終了後に広告画像を表示させる広告画像表示制御手段(48)」を「所定時間(T) 毎に画像表示手段(29)に広告画像を表示させると共に、変動図柄が変動中のときに、その変動動作が終了するまで待機して広告画像を表示させる広告画像表示制御手段(48)」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-17875号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「遊技盤に配設され且つその表示結果に基づいて所定の遊技価値を付与することが可能な表示装置を備えたパチンコ機において、・・・遊技制御手段と、・・・外部記憶手段と、を含み、前記遊技制御手段には、所定の条件の成立に基づいて遊技制御手段に含まれる表示記憶内容から前記外部記憶手段の表示記憶内容に切り換える表示切換手段を含む・・・パチンコ機。」(特許請求の範囲)、
「遊技盤に設けられる表示装置を遊技だけでなく、他の情報をも表示する表示装置として利用することが可能なパチンコ機に関する」(第1頁右欄下段第1〜3行)、
「所定の条件が成立する前は・・・遊技を行う・・・。しかし、所定の条件が成立したときに、・・・外部記憶手段に記憶されている表示記憶内容に切り換えられて表示装置に表示される・・・。例えば、・・・操作ハンドルを操作して打球を発射しているときには、遊技制御手段に含まれる表示記憶内容に基づく表示が行われ、操作ハンドルを操作していないという条件が成立したときには、外部記憶手段の表示記憶内容に基づく表示が行われる。また、・・・外部記憶手段を交換することにより、所定の条件の成立時に表示装置に表示される内容を簡単に変更することができる。」(第2頁左欄上段第20行〜同頁右欄上段第15行)、
「始動入賞口16、19a、19bに打球が入賞することによって、・・・図柄表示マトリックス13の表示を変化させ、一定時間経過後、・・・停止するようになっている。そして、図柄表示マトリックス13に表示されている表示態様が所定の組み合せであるときには、大当り状態と判定されて・・・一定時間(例えば、30秒)・・・開放状態を維持する。」(第2頁右欄下段第7〜18行)、
「組合せ表示装置12に含まれる図柄表示マトリックス13は、・・・任意の図柄をスクロール表示可能であり、・・・図柄として「0」〜「9」までの数字と「A」〜「E」までのアルファベットのいずれかが横方向に3列表示されるようになっている。そして、打球が前記始動入賞口16、19a、19bに入賞することにより、・・・一定時間の経過によって異なるタイミングでそれぞれの列のスクロールを停止させ、3つの図柄の組合せを表示することになる。この3つの図柄の組合せがすべて同一の図柄となったときに大当り状態となる。」(第3頁左欄上段第19行〜同頁右欄上段第14行)、
「第2図に基づいて遊技制御回路を説明すると、制御回路は、制御中枢としてのCPU42を有し、CPU42には、ROM43、・・・が接続されている。ROM43には、全体の遊技動作を制御するプログラムが格納され、・・・各種の処理を実行する。また、CPU42には、前記した各種の検出器、すなわち始動入賞検出スイッチ20、・・・ハンドルスイッチ7aからの入力信号が・・・入力される。また、CPU42からは、・・・図柄表示マトリックス13に表示駆動信号が出力され」(第4頁左欄上段第19行〜同頁右欄上段第13行)、
「CPU42には、外部記憶手段としての外部ROM52が接続されている。この外部ROM52には、遊技に関係しないデータ、例えば、・・・宣伝広告の文字データ等が格納されている。しかして、CPU42は、所定の条件、本実施例では、前記ハンドルスイッチ7aからの信号がないという条件が成立しているとき、すなわち、遊技が開始されていないときに、外部ROM52に格納された表示データを図柄表示マトリックス13に表示処理する。ところで、外部ROM52は、・・・着脱可能に接続されるようになっているので、・・・交換することにより、・・・表示データを変化させることができる。例えば、日毎に異なる宣伝広告を流したり・・・できる。」(第4頁左欄下段第3行〜同頁右欄下段第4行)、
「図柄表示マトリックス13の表示処理は、第3図に示すようなサブルーチン処理によって実行される。・・・まず、ハンドルスイッチ7aがONしているか否かが監視され(ステップS1)、ONしているとき、すなわち遊技が行われているときには、CPU42は、・・・ROM43に格納されたプログラムデータに基づいて図柄表示マトリックス13の表示処理を実行する(ステップS2)。・・・ONしていないとき、・・・CPU42は、外部ROM52に格納された表示データを図柄表示マトリックス13に表示するようになっている(ステップS3)。そして、上記したサブルーチンを割込み信号(例えば、2msec等)がある毎に実行する。」(第4頁右欄下段第5行〜第5頁左欄上段第1行)、
「本実施例によれば、通常の遊技において使用される表示装置としての図柄表示マトリックス13を使用して所定の条件が成立しているとき、・・・操作ハンドル7を操作していないときには、外部記憶手段としての外部ROM52の表示データに基づく表示が行われるため、特別の表示装置を設けることなく各種の表示を行うことができて経済的であり、また、・・・外部ROM52を交換することにより、・・・表示される内容を簡単に変更することができる。・・・更に、所定の条件の成立もハンドルスイッチ7aのONしたときだけでなく、例えば、始動入賞信号や大当り信号があることを所定の条件の成立としてもよいし、その条件の設定は、任意に設計すればよい。」(第5頁左欄上段第2行〜同頁右欄上段第3行)
との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例1には、

「遊技盤9に配置されスクロール表示可能な任意の図柄を表示する図柄表示マトリックス13と、スクロール表示可能な任意の図柄のプログラムデータを記憶するROM43と、遊技の進行に伴ってROM43のスクロール表示可能な任意の図柄のプログラムデータを読み出して図柄表示マトリックス13に所定のスクロール表示可能な任意の図柄を表示させる制御中枢としてのCPU42とを備えたパチンコ機において、宣伝広告の表示データを記憶する外部記憶手段としての外部ROM52を備え、ROMにROM43と外部ROM52とを備え、外部ROM52の表示データを読み出して図柄表示マトリックス13に宣伝広告画像を表示させると共に、所定の条件で宣伝広告画像を表示させるCPU42を備えたパチンコ機。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「遊技盤9」、「スクロール表示可能な任意の図柄」、「図柄表示マトリックス13」、「プログラムデータ」、「ROM43」、「遊技」、「スクロール表示可能な任意の図柄のプログラムデータ」、「制御中枢としてのCPU42」、「パチンコ機」、「宣伝広告の表示データ」、「外部記憶手段としての外部ROM52」および「CPU42」は、本願補正発明の「遊技盤(5) 」、「変動図柄」、「画像表示手段(29)」、「図柄情報」、「ゲーム画像情報記憶手段(44)」、「ゲーム」、「変動図柄の画像情報」、「表示制御手段(46)」、「弾球遊技機」、「広告画像の画像情報」、「広告画像情報記憶手段(45)」および「広告画像表示制御手段(48)」に相当するから、両者は、
「遊技盤 に配置され変動図柄を表示する画像表示手段と、変動図柄の図柄情報を記憶するゲーム画像情報記憶手段と、ゲームの進行に伴ってゲーム画像情報記憶手段の変動図柄の画像情報を読み出して画像表示手段に所定の変動図柄を表示させる表示制御手段とを備えた弾球遊技機において、広告画像の画像情報を記憶する広告画像情報記憶手段を備え、ROMにゲーム画像情報記憶手段と広告画像情報記憶手段とを備え、広告画像情報記憶手段の画像情報を読み出して画像表示手段に広告画像を表示させると共に、ある条件で広告画像を表示させる広告画像表示制御手段を備えたことを特徴とする弾球遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
広告画像表示制御手段の広告画像の表示制御の設定条件について、本願補正発明では、「所定時間(T) 毎に画像表示手段に広告画像を表示させると共に、変動図柄が変動中のときに、その変動動作が終了するまで待機して広告画像を表示させるようにしているのに対し、引用例1発明には、そのように記載されていない点

(4)判断
一般的に広告宣伝画像を画像表示手段に所定時間毎に表示させることは周知であり(例えば、下記(A)参照。)、また、一般的に広告宣伝画像の表示条件として、表示パターンの停止を待って、その停止後に広告宣伝画像を表示することは周知(例えば、下記(B)参照。)である。しかも、引用例1には、パチンコ機において、広告宣伝画像を表示させるための所定の条件の成立も、ハンドルスイッチ7aをONしたときだけでなく、例えば、始動入賞信号や大当り信号があることとしてもよいし、その条件の設定は、任意に設計すればよいと記載されている点からみて、広告宣伝画像を遊技中のどのような時点で出すかについて、スクロール表示が停止した時点を所定条件の成立とすることは、当業者が容易にできる設計事項である。してみると、本願補正発明のように所定時間(T) 毎に画像表示手段(29)に広告画像を表示させると共に、変動図柄が変動中のときに、その変動動作が終了するまで待機して広告画像を表示するようにした点に格別の創意工夫を要したとはいえない。

(A)広告宣伝画像を所定時間毎に表示させた周知例
(a)実願昭53-179467号(実開昭55-95180号)のマイクロフィルムには、「時刻表示装置において、所定時間例えば15秒毎に2秒間程度ずつ広告文を表示させることができる」(第1頁最下行〜第2頁第2行、や「データ切換回路9ではタイマ10によって一定の時間毎に・・・文字データに切換るように動作する。この切換る時間は15秒毎に2秒間ずつ文字データを・・・供給するように構成するものである。」(第3頁下から第3行〜第4頁第4行)と記載されている。
(b)特開平7-24118号公報には、「図柄表示器8は、・・・所定時間・・・が経過する毎に、案内図柄Xが・・・比較的短時間表出する。」(段落【0021】、「この案内図柄Xとしては、・・・パチンコ機の製造メーカや遊技場の名前を表示しても良い。」(段落【0023】、や「常に所定時間・・・の経過ごとに、案内図柄Xを表出させるようにした・・・。」段落(【0036】)と記載されている。

(B)広告宣伝画像を表示させる待機条件に関する周知例
(a)特開平7-148321号公報には、「図柄の変動表示が行われ、その変動が停止した時点で、・・・5秒間表示される。その後、・・・デモンストレーション用の画像が表示される。」(段落【0072】)や「デモンストレーション用の画面において、営業情報を表示する・・・。営業情報としては、・・・挨拶の文言と、新装開店情報等などが含まれる。」(段落【0081】)と記載されている。つまり、5秒待たなければ、広告画像等のデモンストレーション画像が表示されない。
(b)特開平3-192391号公報には、「即時スポット広告があった時、パターンの割込が可であれば即時スポット広告を表示に乗せ、終了後は再び元の一般的スケジュールに戻ろうとする。」(第2頁左欄下段第5〜8行)や、「割込不可の可否を確認するようにしたから、不自然な中断がなく、きりのよい所でスポット表示が行える」(第3頁左欄上段第5〜7行)と記載されている。つまり、パターンの割込が不可であれば、即時スポット広告は、可になるまで待たなければならない。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成12年6月20日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項3に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成11年11月25日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「広告画像を所定時間T毎に表示させると共に、変動図柄の表示中のときに、その変動図柄の変動終了後に広告画像を表示させる広告画像表示制御手段(48)を設けたことを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機。」
また、請求項3に引用される請求項1は、
「遊技盤(5) に配置された画像表示手段(29)と、ゲームに関連するゲーム画像の画像情報を記憶するゲーム画像情報記憶手段(44)と、ゲームの進行に伴ってゲーム画像情報記憶手段(44)の画像情報を読み出して画像表示手段(29)に所定のゲーム画像を表示させる表示制御手段(46)とを備えた弾球遊技機において、広告画像の画像情報を記憶する広告画像情報記憶手段(45)を備え、ROMに、ゲーム画像情報記憶手段(44)と広告画像情報記憶手段(45)とを備え、この広告画像情報記憶手段(45)の画像情報を読み出して画像表示手段(29)に広告画像を表示させるようにしたことを特徴とする弾球遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-11-29 
結審通知日 2004-11-30 
審決日 2005-01-11 
出願番号 特願平7-338093
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 國分 直樹
林 晴男
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 谷藤 孝司  

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