• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1112667
審判番号 不服2000-11619  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-08-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-07-27 
確定日 2005-03-03 
事件の表示 平成 9年特許願第 19408号「商品選択処理装置、処理方法およびそれを格納した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月21日出願公開、特開平10-222583〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成9年1月31日の出願であって、平成12年6月12日付で拒絶査定がなされたが、 同年7月27日に拒絶査定に対する審判請求がされた。そして、当審において平成16年7月28日付で拒絶理由が通知され、これに対し、同年10月4日付で手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明)は、平成16年10月4日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものと認められる。
「少なくとも商品とその価格とが記憶された商品データ記憶手段と、
前記商品データ記憶手段の商品と価格とを複数組表示して処理を行う商品とその商品に関する複数の独立した処理内容を選択させる処理選択手段と、
それぞれが独立した複数の実行プログラムモジュールからなり、前記処理選択手段により選択された処理を実行する実行手段とを備え、
前記処理選択手段は、前記実行手段の起動後も選択された商品の商品データの実行パラメータを保持するパラメータ保持手段を備え、
前記処理選択手段は、選択された商品の商品データを前記商品データ記憶手段から読み出すとともに、当該商品データを実行パラメータとして前記実行プログラムモジュールに通知する商品選択処理装置。」

3.引用例記載の発明
(1)当審における平成16年7月28日付けで通知した拒絶の理由に引用された特開平6-131378号公報(以下、引用例1)には、「プレゼンテーションシステム」に関して、次の事項が図面と共に記載されている。

(a)「この発明は、建築設計業や内外装工事業など、多種多様な商品をカタログで紹介し販売するところで使用されるプレゼンテーションシステムに関するものであり、商品提示からプレゼンテーションボードの作成と見積書の作成までを一貫して行えるようにしたシステムである。」(公報段落番号0001)
(b)「この発明では、ワークステーション1と、入力装置2と、記憶装置3と、ディスプレイ装置9と、プリンタ装置10を備えており、記憶装置3が、選択すべき商品の種類を表示したカルク表からなる商品種類選択ボード5と、商品の種類毎にまとめて商品の画像6aと価格6eを一覧表にしたカルク表からなる商品別一覧表6と、前記商品別一覧表6で選択された商品の画像6aを表示するためのフィールド7aを設けたカルク表からなるプレゼンテーションボード7と、前記商品別一覧表6で選択された商品の画像6aと単価6bと購入合計金額を表示するためのフィールド8aを設けたカルク表からなる見積書ボード8を記憶しており、ワークステーション1が商品別一覧表6の中で選択された商品を検索し、プレゼンテーションボード7の指定されたフィールド7aに選択された商品の画像6aを表示すると共に、見積書ボード8の指定されたフィールドに選択された商品の画像6aと単価6bを表示し、指定されたフィールド8aに選択された商品の購入合計金額を計算して表示するようにしたプレゼンテーションシステムとした。」(公報段落番号0007)
(c)「2はマウスやキーボード等の入力装置であるが、このシステムではウインドウ機能を使用するため、マウスを使用することが好ましい。3はハードディスクからなる記憶装置であり、選択すべき建物の場所を示した場所選択ボード4と、選択された場所のパース図と選択すべき商品の種類を示した商品種類選択ボード5と、商品の種類毎にまとめて商品の画像と価格を一覧表にした商品別一覧表6と、プレゼンテーションボード7と、見積書ボード8を記憶している。これらの表は別々のカルク表で構成されている。」(公報段落番号0014)
(d)「商品別一覧表6は、選択すべき商品を一覧表にしたものであり、図4及び図4の一部を拡大した図面である図5に示すように、商品のカタログの写真または絵をイメージスキャナ(図示せず)で入力した画像6aと、単価6b、管理番号6c、品種分類6dを表示したカルク表からなるものである。(略)プレゼンテーションボード7は、図6に示すように、カルク表に部屋選択ボード4の平面図の画像4aを貼り付け、画像4aから引き出し線をだし、その先に選択された商品の画像6aを表示できるように、該当するフィールド7aに計算式が入れられている。(略)見積書ボード8は、図7及び図7の一部を拡大した図面である図8に示すように、選択された商品を検索して表示するようにしたカルク表からなるものであり、画像6a、単価6b、数量6eを商品別一覧表6から検索して表示できるようになっている。見積書ボード8の下部のフィールド8aには、購入合計金額が計算されるように計算式が入れられている。」(公報段落番号0017〜0019)
(e)「次に図9及び図10のフローチャートを用いて、このシステムの動作について説明する。(略)(D)ラベル5bの一つを選択して入力すると、商品別一覧表6がディスプレイ装置9上に表示される。例えば家具のラベル5bを選択し入力すると、図4に示すような家具の一覧表6が表示される。(略)(I)購入する商品が決まると、数量を記入するフィールド6eに入力装置2を使用して数量を入力する。(J)B〜Iを繰り返し、全ての商品の選択が終了すると、プレゼンテーションボードの作成か、見積書の作成か、いずれかのタスクを選択する。(K)プレゼンテーションボードの作成を選択すると、プレゼンテーションボード7がディスプレイ装置9上に表示される。(L)そして、選択された商品の画像6aがプレゼンテーションボード7の該当するフィールド7aに入れられた計算式により検索されて表示される。(M)見積書の作成を選択すると、見積書ボード8が表示される。(N)そして、選択された商品の画像6a、単価6b、数量6e等が検索され、上段左側から順に表示される。(O)さらに、合計金額欄のフィールド8aに入れられた計算式により合計金額が計算されて表示される。」(公報段落番号0021)

ここで、(e)の記載および図9から明らかなように、「商品の選択」はプレゼンテーションボードの作成や見積書の作成毎に行っているのではなく、「商品の選択」は一度であり、その選択を基にその後プレゼンテーションボードの作成や見積書の作成を行っている。すなわち、商品選択の結果は保持された下で、プレゼンテーションボードの作成や見積書の作成の作業に移行しているものである。なお、ここで、商品のデータはその後の「選択された商品の検索」により求められているものであり、商品データが保持されているものではない。
また、明記はされていないが、プレゼンテーションボードの作成および見積書作成はそれぞれを実行するプログラムモジュールがあることは自明であり、また、図9に見られるように、両者の処理はそれぞれ独立して実行可能に構成されている。更に、(b)の記載から、ワークステーション(1)が選択された商品のデータを各プログラムモジュールに送っていることを自明である。
なお、ここで用いられている「(商品の)単価」は「(商品)の価格」と同じ意味である。

したがって、引用例1には、「少なくとも商品とその価格とが記憶された記憶手段と、
前記記憶手段の商品と価格とを複数組表示して処理を行う商品とその商品に関する複数の独立した処理内容を選択させるワークステーションと、
それぞれが独立した複数の実行プログラムモジュールからなり、前記ワークステーションにより選択された処理を実行するワークステーションとを備え、
前記ワークステーションは、前記ワークステーションの起動後も商品選択の結果を保持する保持手段を備え、
前記ワークステーションは、選択された商品の商品データを前記記憶手段から読み出すとともに、当該商品データを実行パラメータとして前記実行プログラムモジュールに通知するプレゼンテーションシステム」(以下、引用例1記載の発明)が記載されている。

(2)同じく当審における平成16年7月28日付けで通知した拒絶の理由に引用された特開平7-230516号公報(以下、引用例2)には、「受発注システムにおける売上データ再利用システム」に関して、次の事項が図面と共に記載されている。

(a)「受注側においては、発注側を識別するための顧客識別コードと、発注側に見積又は納品する(又はした)商品を特定するための商品コード、その商品の販売単価、その商品の数量などの各商品データとを入力する入力手段と、これらの各商品データを前記顧客識別コードと関連付けて記録する記憶装置と、この記憶装置に記憶された各商品データを前記顧客識別コードをキーとして検索する検索手段と、この検索された商品データをデジタルデータとして出力する出力手段とを備え、発注側においては、前記出力手段から出力された商品データを読み取る読取手段と、この読み取られた商品データに基づいてエンドユーザーへの見積明細、納品明細又は請求明細などを作成する明細作成手段とを備える。」(要約)
(b)「本発明は、自動車部品などの受発注システムに係り、特に受注側が入力した売上データを発注側で再利用することができる、受発注システムにおける売上データ再利用システムに関する。」(公報段落番号0001)

したがって、引用例2には、「受発注システムにおいて、商品データの再度の入力を不要とするために、一度入力された商品データの再利用を行うこと」が記載されている。

4.対比
そこで、本願発明と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1記載の発明の「イ.記憶装置」、「ロ.(記憶手段の商品と価格とを複数組表示して処理を行う商品とその商品に関する複数の独立した処理内容を選択させる)ワークステーション」、「ハ.(選択された処理を実行する)ワークステーション」、および、「ニ.プレゼンテーションシステム」は、本願発明の「イ.商品データ記憶装置」、「ロ.処理選択手段」、「ハ.実行手段」、および、「ニ.商品選択処理装置」にそれぞれ相当する。
また、引用例1記載の発明の「保持手段」と本願発明の「パラメータ保持手段」は、「保持手段」という概念で一致し、更に、両者は、「(ワークステーション/処理選択手段は、ワークステーション/実行手段の起動後も選択された商品の選択結果を保持する手段を備える」という概念でも一致する。

したがって、本願発明と引用例1記載の発明とは、
「少なくとも商品とその価格とが記憶された商品データ記憶手段と、
前記商品データ記憶手段の商品と価格とを複数組表示して処理を行う商品とその商品に関する複数の独立した処理内容を選択させる処理選択手段と、
それぞれが独立した複数の実行プログラムモジュールからなり、前記処理選択手段により選択された処理を実行する実行手段とを備え、
前記処理選択手段は、前記実行手段の起動後も選択された商品の選択結果を保持する保持手段を備え、
前記処理選択手段は、選択された商品の商品データを前記商品データ記憶手段から読み出すとともに、当該商品データを実行パラメータとして前記実行プログラムモジュールに通知する商品選択処理装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、保持される「選択された商品の選択結果」は「選択された商品の商品データ」であるが、引用例1記載の発明では、保持手段に保持されるのは「商品選択の結果」であって、選択された商品の商品データではない点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。

(相違点1)について
受発注システムにおいて、商品データの再度の入力を不要とするために、一度入力された商品データの再利用を行うことは引用例2に記載されている。
そして、引用例1記載の発明においても、プレゼンテーションボード作成から見積書作成に移る際には、一部同じ商品データ(画像データ)を使用しているのであるから、引用例2に記載のような考え(一度入力された商品データの再利用)を採用し、商品を選択後、「商品選択の結果」ではなく「選択された商品の商品データ」を保持し、保持された商品データをその後の処理に活用するように構成することは、当業者が容易に考え得ることと認められる。
なお、引用例1記載の発明においても、操作者の行うデータ入力(商品の選択)は一度だけであり、商品データの再度の入力が不要という観点からは実質的に本願発明と同じ効果を有しているものである。

また、本願請求項1に係る発明の効果についてみても、上記引用例1、2に記載された発明から当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものではない。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-12-24 
結審通知日 2005-01-05 
審決日 2005-01-20 
出願番号 特願平9-19408
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 智康  
特許庁審判長 山下 弘綱
特許庁審判官 須原 宏光
久保田 健
発明の名称 商品選択処理装置、処理方法およびそれを格納した記録媒体  
代理人 永田 豊  
代理人 川口 嘉之  
代理人 松倉 秀実  
代理人 遠山 勉  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ