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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て不成立) A01K
管理番号 1113058
判定請求番号 判定2004-60082  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1997-09-16 
種別 判定 
判定請求日 2004-10-22 
確定日 2005-03-08 
事件の表示 上記当事者間の特許第2941212号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件は、特許第2941212号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する。 
理由 1.請求の趣旨
本件判定請求の趣旨は、イ号物件は、本件特許第2941212号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

2.本件特許発明
本件特許第2941212号の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、分説すると以下(AないしD)の構成要件を備えるものである。

A:耐熱性プラスチックで形成された貯水壜の口部に有底筒状の金属製キャップを螺嵌すると共に、
B:前記口部の先端面と前記キャップの底壁部内面との間に、耐熱性シールパッキンを介装し、
C:前記キャップの底壁部中央に、金属製給水管の基端部を貫通固着してなる
D:実験動物飼育用の給水具。

3.イ号物件
請求人が特定したイ号物件は、判定請求書に記載された以下(aないしd)の構成を備えた「実験動物飼育用の給水具」であると認められる。

a:耐熱性プラスチックで形成された貯水壜の口部に有底筒状の金属製キャップを螺嵌すると共に、
b:前記口部の先端面と前記キャップの底壁部内面との間に、耐熱性シールパッキンを介装し、
c:前記キャップの底壁部中央に、金属製給水管を貫通固着してなる
d:実験動物飼育用の給水具。

4.本件特許発明とイ号物件との対比・判断
本件特許発明とイ号物件との対比・判断をするにあたり、イ号物件について検討すると、甲第1号証のイ号物件を撮影した写真画像及びイ号説明書では、イ号物件の貯水壜が耐熱性プラスチックで形成された点及び貯水壜の口部の先端面と金属製キャップの底壁部内面との間に耐熱性シールパッキンを介装している点は明かではない。しかしながら、請求人が、イ号物件の実施者であり、イ号物件の構成a、b、dはそれぞれ本件特許発明の構成要件A、B、Dを充足することを認めており、イ号物件の構成cが本件特許発明の構成要件Cを充足するか否かについての判断を求めていると解されるから、本件判定においては、イ号物件として、請求人が特定したものを採用する。

4-1.構成要件A、B、Dについて
イ号物件の構成a、b、dがそれぞれ本件特許発明の構成要件A、B、Dを充足することについて、請求人及び被請求人の間に争いはない。

4-2.構成要件Cについて
(1)請求人の主張
ア.「金属製給水管の基端部」について
『「基端部」とは、具体的に金属製給水管のどこを指すのがか、特許請求の範囲の記載のみでは不明確である。
そこで、本件特許明細書及び図面を参酌すると、本件特許発明の構成要件C「金属製給水管の基端部」については「所要高さH突出している部分」に関する記載があり(【0016】,【0017】,【0018】,【0019】,【0024】,【図2】,【図6】)、「所要高さH突出している」からこそ「貫通」状態にあると解釈することができる。一方で、本件特許発明の構成要件C「金属製給水管の基端部」については、基端部外周面を「固着」状態にする記載もある(【0016】)。
ここで、それぞれの各記載について「字句は統一して使用しなければならない」(特許法施行規則第24条の4様式第29条の2備考14イ)のであるから、「貫通固着」状態を満足する「金属製給水管の基端部」とは、少なくとも「所要高さH突出している部分を含むもの」であると解釈することができる。』
イ.イ号物件について
『イ号は、甲第1号証に示すように、「所要高さH突出している部分」は存在しない。
すなわち、「金属製給水管の基端部を貫通固着してなる」ものではなく、単純に「金属製給水管を貫通固着してなる」ものであるから、本件特許発明の構成要件Cを欠くものである。
また、本件特許発明でいう「基端部」とは、「所要高さH突出させた」(【0016】)、「キャップ4の底壁部4a内面から突出している」(【0018】)、「耐熱性シールパッキン5は、・・・基端部に対しその外周面に圧接する」(【0019】)ような機能を有するものであるが、イ号は、このような「基端部」は存在しないものである。』
ウ.公知技術の除外について
『イ号は「金属製給水管を貫通固着してなる」ものであり、これは公知技術であることから(甲第4号証)、公知技術を除外して技術的範囲を定める解釈の下においても、本件特許発明の技術的範囲に属しない。』

(2)被請求人の主張
ア.「金属製給水管の基端部」について
『本件特許発明の構成要件〔C〕の「前記キャップの底壁部中央に、金属製給水管の基端部を貫通固着してなる」とは、これは明細書の全記載から明らかなように、
1)キャップの底壁部の中央に金属製給水管の基端部を固着する際にキャップの底壁部側から金属製給水管の内部に水が流通するよう貫通状態に固着されるの意味であって、このように水が流通するよう貫通状態に固着される構成さえ充足すれば、金属製給水管の基端部がキャップの底壁部の厚みの範囲内に位置しても、キャップの底壁部の外面側に位置しても、あるいは底壁部内面側に位置しても、本件発明の構成要件〔C〕を充足することは明白である。
2)仮に一歩譲って、「金属製給水管の基端部を貫通固着」とは、金属製給水管の基端部を前記キャップの底壁部を貫通させて固着するの意味であるとしても、金属製給水管の基端部(基礎となる端部)をキャップの底壁部の厚みの範囲内に位置させて底壁部の厚みの範囲と同一、あるいは底壁部からキャップ内面側に少し、又は多く突出した状態に位置させても、これらの構成が全て含まれることは明らかである。
3)また、本件特許発明である請求項1では、「金属製給水管の基端部を貫通固着してなる」とあるだけであり、判定請求人の主張するように「金属製給水管の基端部」とは、少なくとも「所要高さH突出している部分を含むもの」という限定条件は、何ら付されていないのである。
確かに請求項3にあっては、「前記給水管の基端部を、前記キャップの底壁部中央にその底壁部内面から所要高さ突出するように貫通固着」するというように下線部分の構成要件を付加しているが、本件特許発明たる請求項1では、このような構成要件は何ら付加されていない。』
『本件特許発明の基端部とは、たかだか金属製給水管の基礎となる端部を底壁部に貫通固着するという意味合いを有するだけで、それ以上に何らの限定条件を付加していないのであるから、イ号物件が「底壁部に、金属製給水管を貫通固着する」という構成要件からなっている以上、金属製給水管のキャップ底壁部を貫通固着する部分が本件特許発明の基端部、即ち基礎となる端部に相当することは明らかである。
したがって、イ号物件は、本件特許発明と同じように、キャップ底壁部に、金属製給水管の基端部に相当する部分が貫通固着されてなる構成要件を備えることに疑問の余地はない。』
イ.公知技術の除外について
『甲第4号証は、何ら公知刊行物と認めることができないのみならず、本件特許発明の構成要件の一部すら記載ないし示唆はされておらず、公知例除外説の適用される余地は全くない。』

4-3.当審の判断
本件特許発明とイ号物件とを対比すると、イ号物件の構成a、b、dはそれぞれ本件特許発明の構成要件A、B、Dを明らかに充足する。

しかし、イ号物件の構成cが本件特許発明の構成要件Cを充足するか否かについては、請求人と被請求人との間に争いがあるので、以下検討する。

ア.「金属製給水管の基端部」について
i.本件特許明細書には、金属製給水管の基端部をキャップの底壁部に貫通固着する具体的な技術手段が、「この給水管6をキャップ4に貫通固着するには、特に図6に示すように、こ給水管6の一端部、即ち基端部をキャップ4の支持筒部8に挿通すると共に、この給水管6の基端部をキャップ4の底壁部4a内面から所要高さH突出させた状態で、この支持筒部8の内周面と給水管6の基端部外周面との間の隙間に、キャップ4内側から銀蝋等の鑞付け材料11を十分行き渡るように流し込んで、給水管6の基端部と支持筒部8とを鑞付けすることにより、給水管6をキャップ4の底壁部4a中央に貫通固着する。これによって、給水管6はキャップ4に対し強固に固着されると共に、給水管6とキャップ4との間の水密性が確保される。」(段落【0016】)と記載されているが、特許請求の範囲の請求項1には、「キャップの底壁部中央に、金属製給水管の基端部を貫通固着してなる」とのみ記載され、金属製給水管の基端部をキャップの底壁部に貫通固着する具体的な技術手段は特定されていない。
また、上記本件特許明細書の記載中の「給水管6の一端部、即ち基端部」との記載及び図6を参酌すると、本件特許明細書において、「金属製給水管の基端部」とは、キャップの底壁部に貫通固着する側の給水管の一端部を指すものと解することができ、このように解することが、「基端部」の通常意味するところと異なるものではない。
ii.本件特許明細書には、本件特許発明の目的として、「マウス等による齧りを防止でき、滅菌にあたってはオートクレーブの使用が可能であり、またキャップ(ゴム栓に対応する)の装着及び取り外しが容易な給水具を提供すること」(段落【0004】)と記載され、本件特許発明の効果として、「請求項1に係る発明の給水具によれば、貯水壜の口部に対するキャップの装着及び取り外しを簡単に行うことができる。また、給水具の使用時にマウス等がキャップその他の部材を齧ることがなく、長期に亘って正常な使用が可能となる。更に、この給水具を滅菌する場合に、有効な滅菌手段としてのオートクレーブの使用が可能となる。」(段落【0025】)と記載されている。
iii.請求人は、『「貫通固着」状態を満足する「金属製給水管の基端部」とは、少なくとも「所要高さH突出している部分を含むもの」であると解釈することができる。』と主張しているので、この主張について検討する。
本件特許明細書には、特許請求の範囲の請求項3に、「給水管の基端部を、前記キャップの底壁部中央にその底壁部内面から所要高さ突出するように貫通固着し、この突出高さにほぼ相当する厚みを有する耐熱性シールパッキンを、このパッキンの中央開口部を前記給水管の基端突出部の外周面に圧接するように嵌合させた状態で前記キャップの底壁部上に配置する」と記載され、請求項3に係る発明の効果を、「耐熱性シールパッキンの中央開口部を、キャップの底壁部内面から突出している給水管基端部に対しその外周面に圧接するように嵌合させているため、底壁部の内面と給水管の外周面との間の水密性を確保することができる。」(段落【0027】)と記載している。
これらの記載を参酌すると、給水管の基端部を、キャップの底壁部にその底壁部内面から所要高さ突出するように貫通固着する技術的意義は、耐熱性シールパッキンの中央開口部を、キャップの底壁部内面から突出している給水管基端部に対しその外周面に圧接するように嵌合させて、底壁部の内面と給水管の外周面との間の水密性を確保することができるというものである。
しかるに、本件特許発明においては、耐熱性シールパッキンと給水管の基端部との係合手段が上記請求項3に係る発明のように特定されてはいないから、給水管の基端部がキャップの底壁部内面から所要高さ突出する部分を含むことを必須とするものではない。また、上記「ii.」に記載の本件特許発明の目的及び効果からみても、本件特許発明は、給水管の基端部がキャップの底壁部内面から所要高さ突出する部分を含むことを必須とするものではない。

イ.イ号物件について
甲第1号証のイ号物件を撮影した写真画像をみると、キャップの底壁部内面から給水管の基端部が所要高さ突出する点は認められないから、写真画像に示されるイ号物件は、キャップの底壁部中央に、キャップの底壁部内面から給水管の基端部が所要高さ突出しない状態で、金属製給水管を貫通固着してなるものであるといえる。しかし、上記「3.」に記載のイ号物件では、給水管のどの部分をキャップの底壁部中央に貫通固着するかは特定されていないが、上記「ア.」の「i.」で述べたように、「金属製給水管の基端部」とは、キャップの底壁部に貫通固着する側の給水管の一端部を指すものであるから、上記写真画像に示されるイ号物件では、キャップの底壁部中央に金属製給水管の基端部を貫通固着していることは明かである。

ウ.公知技術の除外について
請求人は、甲第4号証を示して、イ号物件は「金属製給水管を貫通固着してなる」ものであり、これは公知技術であると主張するが、甲第4号証には、給水瓶とノズルを備えたキャップの写真が掲載されると共にそれらの説明がなされているものの、キャップとノズルの結合手段は記載されておらず、上記写真をみるも、キャップとノズルが一体成形されているもの以外はキャップにノズルをどのように結合したのか不明である。しかも、甲第4号証には、給水瓶の口部の外周にシリコンリングを備える点が示されている(16頁上段左欄の記載及び中段右の写真参照。)だけで、給水瓶の口部の先端面とキャップの底壁部内面との間に、耐熱性シールパッキンを介装してなる点は示されていない。したがって、イ号物件は公知技術であるとはいえない。

エ.まとめ
よって、イ号物件の構成cは本件特許発明の構成要件Cを充足する。

5.むすび
以上のとおり、イ号物件の構成は本件特許発明の構成要件を全て充足しているから、イ号物件は本件特許発明の技術的範囲に属する。

よって、結論のとおり判定する。


なお、甲第4号証等により、本件特許発明が、公知技術であることあるいは公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであることを立証できれば、無効審判を請求して本件特許発明を無効とすることは可能である。
 
別掲
 
判定日 2005-02-24 
出願番号 特願平8-53538
審決分類 P 1 2・ 1- YB (A01K)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 渡部 葉子
白樫 泰子
登録日 1999-06-18 
登録番号 特許第2941212号(P2941212)
発明の名称 実験動物飼育用の給水具  
代理人 岩永 和久  
代理人 永田 健太郎  
代理人 藤川 忠司  
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