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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 A63F |
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管理番号 | 1113868 |
審判番号 | 無効2004-35089 |
総通号数 | 65 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-11-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-02-13 |
確定日 | 2004-10-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2780908号発明「換金カード」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2780908号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件特許第2780908号の請求項1及び2に係る発明は、平成5年5月17日に特願平5-113547号として出願され、平成10年5月15日にその設定登録がなされ、これに対して平成16年2月13日に株式会社シーエイティより本件無効審判の請求がなされ、平成16年3月4日付けで被請求人に対して答弁が指令され、被請求人からその指定期間内である平成16年5月7日付けで答弁書及び訂正請求書が提出され、平成16年6月14日付けで職権による無効理由を通知したところ、被請求人から指定期間内に何らの応答もなされず、平成16年7月14日付けで請求人より弁駁書が提出されたものである。 第2.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容(下線部訂正個所) 平成16年5月7日付けの訂正請求の内容は、以下のとおりである。 i.訂正事項a 明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載を、 「【請求項1】 基板と、該基板へ少なくとも一箇所に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、 前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なうものであり、 前記埋設された磁石は、+極を上側に向けて埋設された場合か、又は-極を上側に向けて埋設された場合の何れかであることを特徴とする換金カード。 【請求項2】 基板と、該基板へ二箇所以上に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、 前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なう換金カードであり、 前記埋設された磁石は、+極を上側に向けて埋設された場合か、又は-極を上側に向けて埋設された場合の何れかであり、 異なる磁束密度からなる前記磁性体を複数組み合わせたことを特徴とする換金カード。」と訂正する。 ii.訂正事項b 明細書の段落【0007】の記載を、 「【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するための本発明の手段は、基板と、該基板へ少なくとも一箇所に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なうものであり、前記埋設された磁石は、+極を上側に向けて埋設された場合か、又は-極を上側に向けて埋設された場合の何れかである換金カードの構成にある。」と訂正する。 iii.訂正事項c 明細書の段落【0008】の記載を、 「また、基板と、該基板へ二箇所以上に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なう換金カードであり、前記埋設された磁石は、+極を上側に向けて埋設された場合か、又は-極を上側に向けて埋設された場合の何れかであり、異なる磁束密度からなる前記磁性体を複数組み合わせた換金カードの構成にある。」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否 i.訂正事項aについて 訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、その訂正は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内において構成を付加及び限定するものであるから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 ii.訂正事項b、cについて 訂正事項b及びcは、本件特許明細書の特許請求の範囲の訂正に整合させて発明の詳細な説明を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 3.むすび よって、本件訂正は、平成6年改正法による改正前の特許法第134条第2項ただし書き、及び特許法第134条第5項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第2項の規定に適合する。 第3.本件発明 本件特許第2780908号の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1及び2」という。)は、訂正が認められるから、本件の訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項(前記第2.1.i.訂正事項a参照)により特定されるものである。 第4.当事者の求めた審判 1.請求人の主張 請求人は、審判請求書において、下記の甲第1号証乃至甲第6号証を提出して、特許第2780908号の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めることを請求の趣旨とし、本件発明1及び2の特許を無効とすべき理由として、次のように主張する。 理由1.(新規性あるいは進歩性違反) 本件発明1及び2は、甲第2号証に添付された資料に記載された発明と同一、若しくは公知の発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号あるいは第1号の規定により特許を受けることができないものであるから、あるいは甲第2号証に添付された資料に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1及び2の特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とされるべきである。 理由2.(冒認) 甲第2号証に記載したように、本件特許の発明者は、特許を受ける権利を正当に承継しない者であるから、本件発明1及び2の特許は、特許法第123条第1項第6号の規定により、無効とされるべきである。 甲第1号証:特許第2780908号公報 甲第2号証:「換金カード特許に関する状況説明書」 (株)シーエイティ代理人作成、特許権者代理人宛 添付資料(以下は、新規性・進歩性欠如、冒認に係る証拠の一部) 出願前公知、冒認:2.2f 景品交換管理機「CD-X」仕様書、 初版平成4年10月29日、(株)シーエイティ作成 出願前刊行物:2.1a 特開昭63-182194号公報、 2.1b 特開平2-290589号公報、 2.1c 特開平2-302969号公報 「換金カード読み取り装置」特願平5-113548号に係る出願書類 (甲第4号証に示す出願書類一式及び拒絶査定書に対応) 5a 特開昭6-333101号公報 5b 拒絶査定書(査定書中に甲第3号証を例示) 甲第3号証:特開平1-270189号公報(出願前刊行物) (甲第2、4号証の拒絶の査定書中に示す刊行物) 甲第4号証:特願平5-113548号に係る下記に示す出願経過書類 ・当該出願に係る出願照会出力 ・当該出願に係る出願書類一式(願書、明細書、図面、要約書) ・当該出願に係る拒絶理由通知書(平成9年5月7日) ・特開昭62-19991号公報(前記拒絶理由通知書に示す刊行物) ・実願昭61-135966号(実開昭63-43273号) のマイクロフィルム(前記拒絶理由通知書に示す刊行物) ・特開昭63-182194号公報(前記拒絶理由通知書に示す刊行物) ・特開昭51-14099号公報(前記拒絶理由通知書に示す刊行物) ・当該出願に係る明細書を対象とする手続補正書 ・当該出願に係る拒絶査定書(平成10年9月9日:甲第3号証を例示) 甲第5号証:景品交換管理機「CD-X」仕様書、 改訂2版平成5年5月29日、(株)シーエイティ作成 甲第6号証:「ボイルえび事件(平成2年(行ケ)第46号)」判決資料 2.被請求人の主張 被請求人は、答弁書において、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、無効審判の請求人が主張する、無効の理由1及び2について、以下のように反論している。 理由1について. 請求人が提出した甲第2号証に添付された資料は、いずれも、本件特許発明が出願前公知であることを客観的に裏付ける事実が示されておらず、証拠足り得ない。また、請求人が提出した甲第3号証及び甲第2号証に添付された資料2.1a、2.1b、2.1cのいずれにも訂正請求書に記載したような、訂正後の本件特許発明の構成についての記載がなく、また、これらを示唆する記載もないとともに、本件発明の特有な効果を期待できないから、請求人の主張は、根拠がないものである。 理由2について. 冒認出願であるとの請求人の主張を裏付ける客観的な事実は何ら証明されておらず、その主張は全く当を得ない。 3.当審無効理由通知 (1)当審無効理由.(進歩性違反) 本件発明1及び2は、刊行物である下記の第1乃至9引用例に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、本件発明1及び2の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効にすべきものである。 第1引用例:実願昭61-135966号(実開昭63-43273号) のマイクロフィルム(甲第4号証) 第2引用例:特開平4-25985号公報 第3引用例:特開平1-154982号公報 第4引用例:実公昭62-20031号公報 第5引用例:特開平1-270189(甲第3号証) 第6引用例:特開平2-290589(甲第2号証の添付資料2.1b) 第7引用例:実願平2-77071号(実開平4-35563号) のマイクロフイルム 第8引用例:実願平2-89243号(実開平4-88992号) のマイクロフイルム 第9引用例:実願平1-23635号(実開平2-114088号) のマイクロフイルム 第5.当審の判断 当審が平成16年6月14日付けで職権によりなした当審無効理由(進歩性違反)に基づいて、以下検討する。 1.引用刊行物に記載の発明 (1)第1引用例に記載の発明 i.第1引用例〔実願昭61-135966号(実開昭63-43273号)のマイクロフィルム〕には、以下の事項が記載されている。 「(1)遊戯結果として得られた金銭的交換価値を有するカードであって情報書込部を有するカードに対する挿入口と、該挿入口に入れたカードを取込むため挿入口に接続したカード搬送装置と、挿入口への挿入を検出しカード搬送装置を始動させる挿入検出器と、カード搬送装置からカードが排出されたことを検出しカード搬送装置を停止させる排出検出器と、カード搬送装置より送られたカードを貯留する貯留装置と、カード搬送装置がカードを搬送している間にカードの情報書込部の金額情報を読取る情報読取手段と、該情報読取手段で読取られたカードの金額情報を表示する金額表示器と、情報読取手段による金額情報の読取り後に操作が有効となる精算スイッチと、精算スイッチからの信号を受けてカードの金額情報に対応する額の貨幣を排出する貨幣発行装置とを有することを特徴とするカード換金装置。」(第1頁第5行〜第2頁第1行)、 「本考案は、遊戯結果として得られた金銭的交換価値を有するものの形態としてカードを取扱うことを前提とする。これは、カードの大きさが、一方に於てはチップ同様に携帯に便利な小型であり、他方に於てはチップよりは形態が比較的大きく、このため紛失防止に有効であり換金作業の誤りも少なくなるという利点があることはもとより、そのカード自体を一旦持ち帰ってもカードの金銭的交換価値が消失しないような価値部材を内部に包含させておくことが可能となるからである。」(第4頁第8〜18行)、 「第1図にカード換金装置1の概観を示す。このカード換金装置1で取扱われるカード70には100円、1000円、5000円の3種があり、その構造の具体例を第5図及び第6図に、その変形例を第7図と第8図に示す。このカードの特徴は、内部に価値部材73を含んでいることにある。この価値部材73は、必ずしも社会一般がそれ自体で経済的価値を有すると認める物品である必要はなく、私的な金券などであってもよい。第5図及び第6図に示すカード70は、強化プラスチックにて成型された表蓋体71と裏蓋体72との間に、価値部材73として所謂テレホンカード或いはストレスカードの様なシート状のもの(紙幣的価値部材)を入れ、モールドしたものである。表蓋体71と裏蓋体72の表面周縁とには、位置決め用の凹部74が設けてあり、内面には内部カードを動かないようする係止部75が設けてある。係止部75により、価値部材73を傷つけないで済むとともに、カード自体の耐久性も高められる。尚、ストレスカードは、例えば、株式会社喜多からストレスコントロールカードの名で市販されており、カードの色が手にした者のストレスレベルを表示するように変化するカードである。更にカード70は、次に述べるようなデータの読み取り、カードの選別、不正及び防犯機能等を持っている。詳述すれば、表蓋体71の表面には、カード70の挿入方向をわかり易くし、挿入方向の錯誤を防止するための示唆表示76と、情報書込部77とが設けてある。示唆表示76は矢印を印刷したものであるが、第7図に示すように、カード70の角の1つを斜めに切欠いてカット部70Aを形成し、カードの挿入方向を分り易くすることもできる。情報書込部77は情報書込媒体、ここでは磁気面からなり、(1)店名、(2)日付け、(3)更新データ、(4)価値についての情報を有する。カードが店から客に発行する時には、これらの情報(店名、日付け、更新データ、価値)が書込まれた状態で渡される。「更新データ」は、123456等のランダムな乱数であり、カード70が発行される際に予めカード1枚毎に別の数字が付され、カードが回収されて再び発行される際には別の数字に書換えられる。「価値」は、当該カードについて予め定められた価値の大きさ、即ち100円、1000円、5000円である。カードの価値の種類を視覚的に判別可能にするため、同一価値のカード70については、その蓋体31、32の色を同一に着色するか、内部カードにその旨の表示をする。もし、カードの情報書込部77に書込まれている情報が「価値」の情報のみであれば、そのカードの「価値」の情報を当該カードよりも価値の高い情報に書き換えることが可能であるが、このように、カード70に当該カードの「価値」の情報を書込むだけでなく、更に「店名」「日付」「更新データ」の3つの情報を書込み、「価値」の情報と1対1の関係を持たせることにより、同一数字のカードが2以上店外に流通しないこととなる。従って、カードの「価値」の情報をそれより価値の高いものにすり換える不正を未然に防止できる。第8図に示すカード70は、価値部材73として金、銀等の薄板(硬貨的価値部材)を、スポンジ等のクッション性のある保持部材78に納めてモールドし、表蓋体71に設けた窓部39から見えるように構成したものである。窓部79は、示唆表示76と共にカード70の表側であることを示唆する。」(第7頁第8行〜第10頁第16行)、 「更に、遊戯結果として得られた金銭的交換価値を有するカードは、そのカード自体を一旦持ち帰ってもカードの金銭的交換価値が消失しないような価値部材を内部に包含させておくことができる。このようなカードはパチンコ店の景品として適する。」(第31頁左上欄第6〜11行)。 ii.第1引用例における前記摘示の記載及び図面第5乃至8図によれば、該刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。 「表蓋体71と、裏蓋体72と、前記表蓋体71の表面に設けられ外部の情報読取手段に対応する磁気面からなる情報書込部77と、前記表蓋体71と裏蓋体72との間にモールドされた価値部材73とを備えさせた換金カードにあって、 前記情報読取手段による前記換金カードの金種の判別は、前記磁気面からなる情報書込部77における、同一の磁束密度をもって磁気面に対して水平となる着磁方向の異なりに応じて行なう換金カード。」 なお、カードに磁気面からなる情報書込部を設けたときの磁気記録方式として、引用発明が、情報書込部77を形成する磁気面に対して、同一の磁束密度をもって水平となる着磁方向の異なりに応じて情報を書き込む周知慣用方式のものであることは、明らかである。 (2)第2引用例に記載の発明 第2引用例〔特開平4-25985号公報〕には、以下の事項が記載されている。 「請求項3に記載の発明においては、第5図に示すように、永久磁石4およびストローブ磁石7の大きさ、少なくとも永久磁石群展開平面における投影像の大きさは同一であり、また、ストローブ磁石7も含む永久磁石群と、ストローブ検磁器9も含む検磁器群の展開パターンも同一であるが、ストローブ磁石7の磁束密度は永久磁石のそれよりも小さく設定されている。なお、ストローブ磁石7の磁束密度を永久磁石4のそれより小さくするには、第5図に示すように同じ強さの磁石の厚さを減少させてもよいし、また、磁石の寸法を同じくして着磁量を減少させてもよい。請求項4に記載の発明においては、ストローブ磁石7の大きさおよび強さは永久磁石4と変らないが、ストローブ検磁器9に対するストローブ磁石7の相対位置が、第6図に示すように、磁石カード1の幅方向、換言すれば、磁石カード1の挿入方向及び磁石カード1の厚さ方向に対しそれぞれ直角をなす方向(第6図において上下方向)にずれるように設定されている。なお、第3図乃至第5図において符号10は非磁性材質の薄いカバー板を示す。また、図示の実施例では、ホルダ3の磁石4(7)を埋設すべく設定された個所に全て磁石を埋設し、検磁器によりその着磁の方向、すなわち検磁器に対向している磁極がN極かS極か、を検知することによって1か0かのビット内容を読み出すものとした」(第4頁左下欄第15行〜右下欄第20行)。 (3)第3引用例に記載の発明 第3引用例〔特開平1-154982号公報〕には、以下の事項が記載されている。 「第9図(a)〜(c)に示すように、オーナー用カード8は、例えば、表面がオーバーシート8a・8aで覆われた硬質塩化ビニル層8b・8b…内にバリウムフェライト磁石層8cを埋め込んで形成されている。バリウムフェライト磁石層8cにおけるピンホール板3の嵌合穴3a・3a…に対応する複数箇所、例えば20箇所は、各嵌合穴3a・3a…内の磁性ピン2・2…を磁気的な反発力により浮上させて嵌合穴3a・3a…から離脱させることができる磁極配置でスポット状に着磁され、これにより、バリウムフェライト磁石層8c内に例えば20個の着磁部8d・8d…が形成されている。すなわち、オーナー用カード8はピンホール板3の下方に挿入されるので、下端部がN極となっている磁性ピン2に対応する着磁部8dはその上端部がN極となるように着磁され、下端部がS極となっている磁性ピン2に対応する着磁部8dはその上端部がS極となるように着磁されている。」(第4頁左下欄第13行〜右下欄第11行)。 (4)第4引用例に記載の発明 第4引用例〔実公昭62-20031号公報〕には、以下の事項が記載されている。 「電気的な指令信号により作動する電子錠や自動制御機械における照合装置では、従来より磁気カード等に記録した磁気的な情報信号を読取るようにしたものが広く用いられている。一般に、磁気的な情報信号を取り扱う照合装置では、消磁による情報信号の消失に対する対策や、情報信号のコード変更に対する対応する必要があるため、複雑な構成のものが多い。 そこで、本考案は情報のコード変更が容易に行なえ、且つ構成が簡単で、しかも、信号磁界の強さに影響されることなく確実に作動する照合装置を提供するものである。」(第1頁第1欄第22行〜第2欄第7行)、 「第4図において、被照合体20は、厚み方向に着磁を施こした複数個の永久磁石21A,21B,…,21Nを本体22にマトリクス状に配列形成した装着穴21A,22B,…,22Nに配設して成り、上記永久磁石21A,21B…,21Nによる信合磁界HSA,HSB,…,HSNの向きとして情報信号がコーデイングされている。」(第2頁第4欄第10〜16行)、 「ここで、上記被照合体20は、この実施例のように、永久磁石21A,21B,…,21Nによる信号磁界HSA,HSB,…,HSNの向きの組合せして情報信号のコーデイングを行なう場合には、本体22に埋設する永久磁石を着脱自在にすることによつて、簡単にコードの変更を行なうことができる。また、上記永久磁石として、機械的に耐摩性に優れたFe-Cr-Co磁石等の圧延合金磁石を用いれば、品物の自動搬送や仕合け等の用途に用いる場合に、繰返し使用に十分に耐えられるようになり、信頼性の高い照合装置を実現することができる。また、上記被照合体20は、第5図に示すように、ゴム磁石21による信号磁界HSの向きとして情報信号のコーデイングを行ない、該ゴム磁石21の外表面をプラスチツクや非磁性金属にて形成した被覆層22a,22bで被うようにした、磁気カードとして用いるようにしても良い。」(第2頁第4欄第38行〜第3頁第5欄第11行)。 (5)第5引用例に記載の発明 第5引用例〔特開平1-270189号公報〕には、以下の事項が記載されている。 「2 リボン状の磁気シートに数段階からなる磁束密度に設定された磁気帯を横縞状に連続して編成してなるコード表示磁気シート。」(第1頁左下欄第9〜11行)、 「第2図(b)はN極、S極で形成される磁気帯(5)の幅に代えて磁束密度を数段階に分けて設定し、NS磁極の数を一定にしてコード単位とするもので、認識手段としては、ホール素子あるいはホール素子列をコード表示磁気シート(4)の表面に直交するよう走査あるいは近接する方式などが用いられる。」(第3頁右上欄第12〜18行)。 (6)第6引用例に記載の発明 第6引用例〔特開平2-290589号公報〕には、以下の事項が記載されている。 「1)交流磁界中を通過する被検出物にとりつけられる磁気マーカーであって、角形磁気履歴特性または磁束跳躍特性を有し、互いに保磁力,磁束の大きさが異なる複数個の磁性薄帯または磁性細線をこれらの長手方向に並行に所定の間隔をもって配列したことを特徴とする磁気マーカー。」(第1頁左下欄第5〜10行)、 「本発明の磁気マーカーは角形ΦH特性を有する複数個の磁性材料の薄帯または細線もしくは表面部と中心部で応力分布の異なる2層からなる細線ををこれらの長手方向に並列に配置したものであり、これら並列配置する磁性材料は互いに保磁力の値が異なるものを用い、交流磁界の印加によって磁気マーカーの各列に生ずる最大磁束は断面積を変えることによってその値が異なるようにしてあるために、外部磁界が加わると、磁化反転の位相および磁束変化量が各列毎に異なり、それぞれ固有のパルス電圧列として得られ、これらの電圧列を計測器でパターン認識することによりマーカーの種別を判断することができる。」(第3頁右上欄第19行〜左下欄第11行)。 2.本件発明2について (1)本件発明2と引用発明との対比 i.本件発明2と引用発明とを対比すると、両者は、いずれも換金カードであって、引用発明における、「裏蓋体72」、「表蓋体71」、「情報読取手段」は、それぞれ、本件発明2における、「基板」、「蓋体」、「検出手段」に相当する。 また、換金カードの金種を判別するために備えられる、引用発明における「磁気面からなる情報書込部77」と、本件発明2における「埋設された磁石である磁性体」は、いずれも「磁性体」により構成されるから、両者は、「換金カードの金種を判別は、磁性体の異なりに応じて行なう換金カード」として共通する。 ii.そうすると、本件発明2と引用発明の両者は、以下の点で一致並びに相違するものと認められる。 一致点. 「基板と、蓋体と、外部の検出手段に対応する磁性体とを備えさせた換金カードにあって、前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、前記磁性体の異なりに応じて行なう換金カード。」 相違点. 換金カードの金種を判別するための磁性体として、本件発明2は、磁石である磁性体を基板へ二箇所以上に埋設して、その表面を被覆する蓋体とを設けるとともに、前記磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて、前記磁石は、+極を上側に向けて埋設された場合か、又は-極を上側に向けて埋設された場合の何れかであり、異なる磁束密度からなる前記磁性体を複数組み合わせた構成としたのに対して、引用発明は、磁気面からなる磁性体を蓋体の表面に設けるとともに、前記磁気面からなる磁性体における、磁気面に対して同一の磁束密度をもって水平となる着磁方向の異なりに応じて行なう構成である点。 (2)相違点の検討 i.引用発明に示される如き換金カードは、パチンコ機の景品用媒体として当業者に周知の形態(例えば、第7引用例〔実願平2-77071号(実開平4-35563号)のマイクロフイルム〕、第8引用例〔実願平2-89243号(実開平4-88992号)のマイクロフイルム〕、第9引用例〔実願平1-23635号(実開平2-114088号)のマイクロフイルム〕参照。以下、周知技術Aという。)のものである。 ii.ところで、情報を記録するために磁性体を利用したカードの技術分野において、磁石である磁性体を基板へ二箇所以上に埋設して、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを設けるとともに、前記磁石は、+極又は-極を上側に向けて埋設された場合の何れかであり、これを複数組み合わせることで情報を記録するようにしたカードは、周知技術(例えば、第2引用例〔特開平4-25985号公報〕、第3引用例〔特開平1-154982号公報〕、第4引用例〔実公昭62-20031号公報〕参照。以下、周知技術Bという。)である。 そして、前記周知技術として例示した第4引用例に記載されるように、引用発明の如き、磁気面からなる磁性体に情報を記録する方式の従来の磁気カードにおける、電磁的及び機械的な耐用性に係る問題点が、磁石からなる磁性体を利用することで解決することは、技術常識である。 iii.また、異なる磁束密度からなる磁気薄帯又は磁気シートの形状の磁性体を複数組み合わせ、検出手段による該磁性体の検知結果が異なることを利用して磁性体あるいは該磁性体を備える物品を識別する技術は、周知(例えば、第5引用例〔特開平1-270189号公報〕、第6引用例〔特開平2-290589号公報〕参照。以下、周知技術Cという。)であるところ、異なる磁束密度からなる磁性体として、前記磁気薄帯又は磁気シートの形態に限定されることなく、磁石の形態を含めた一般的な磁性体においてその物理的特性を示すことは、当業者が技術常識に基づいて当然理解するものといえる。 iv.そうすると、引用発明に示される、換金カードの金種を判別するための磁性体として、磁気面からなる磁性体を蓋体の表面に配置することに代えて、前記周知技術Bに示される、磁石である磁性体を基板へ二箇所以上に埋設して、その表面を被覆する蓋体とを設けるとともに、前記磁石は、+極又は-極を上側に向けて埋設された場合の何れかであり、これを複数組み合わせた構成を採用するとともに、磁性体の磁気面に対して同一の磁束密度をもって水平となる着磁方向の異なりに応じて行なうことに代えて、前記周知技術Cに示される、異なる磁束密度からなる磁気薄帯又は磁気シートの形状の磁性体を複数組み合わせて識別を行う技術から当業者が当然理解するというべき、異なる磁束密度の磁性体として磁石を利用する技術を採用して、前記相違点に係る本件発明2のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。 v.本件発明2の作用効果について 本件発明2の作用効果は、引用発明及び前記各周知技術に基づいて当業者が容易に予測できるものである。 (3)まとめ よって、本件発明2は、第1引用例に記載された発明(引用発明)及び前記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.本件発明1について (1)本件発明1と引用発明との対比検討 i.本件発明1について、まず、本件発明2と対比すると、磁石である磁性体について、本件発明2が「異なる磁束密度からなる磁性体を複数組み合わせて基板へ二箇所以上に埋設した」構成としたのに対して、本件発明1が「磁束密度の異なりに応じた磁性体を基板へ少なくとも一箇所に埋設した」構成としたことで、両発明は異なっており、その余の構成は共通している。 ii.すなわち、本件発明1の構成は、本件発明2の構成よりも、磁束密度の異なる磁性体を使用する構成を単純簡易化したものである。 iii.そうすると、本件発明2が前記2.に示したとおり、引用発明及び前記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることを踏まえると、本件発明1は、引用発明及び前記各周知技術に基づいて本件発明2に到る過程、あるいは前記本件発明2について、前記単純簡易化を伴う設計変更を適宜採用することにより、当業者が容易に想到できるものであって、その作用効果も容易に予測できるというべきものである。 (2)まとめ よって、本件発明1は、第1引用例に記載された発明(引用発明)及び前記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 4.むすび 以上のとおり、本件発明1及び2は、第1引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、その余の無効理由について判断するまでもなく、本件発明1及び2の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 換金カード (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板と、該基板へ少なくとも一箇所に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、 前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なうものであり、 前記埋設された磁石は、+極を上側にむけて埋設された場合か、又は-極を上側にむけて埋設された場合の何れかである ことを特徴とする換金カード。 【請求項2】 基板と、該基板へ二箇所以上に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、 前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なう換金カードであり、 前記埋設された磁石は、+極を上側にむけて埋設された場合か、又は-極を上側にむけて埋設された場合の何れかであり、 異なる磁束密度からなる前記磁性体を複数組み合わせたことを特徴とする換金カード。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、真贋の判別と、金種の読み取りとが同時に行える換金カードに関する。 【0002】 【従来の技術】パチンコ業界において、パチンコの景品として発給されるものの中に特殊景品がある。 【0003】この特殊景品は、貸し玉に相応するものと、これに見合う現金とを屋外交換所において換金するもので、従来は一般的に、プラスチックケース内に納められて一定の金額からなる時計のバンドや筆記具等が専ら換金用の景品として用いられていた。 【0004】このものは、形状的に大きいので持ち運びにかさばって取り扱いに不便であると共に、輸送中に落とすと容易に破損して使用不能となるばかりか、外観の体裁が悪い。 【0005】特に、換金の際に、その量が多くなると集計に手間取り、円滑な換金業務が行なえない。等の様々な問題点を有するものであった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した問題点を解決するためになされたもので、基板へ少なくとも一箇所に磁性体を埋設し、該磁性体の表面を蓋体により被覆することにより、真贋の判別と、金種の読み取りとが同時に行える換金カードを提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記した目的を達成するための本発明の手段は、基板と、該基板へ少なくとも一箇所に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、 前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なうものであり、前記埋設された磁石は、+極を上側にむけて埋設された場合か、又は-極を上側にむけて埋設された場合の何れかである換金カードの構成にある。 【0008】また、基板と、該基板へ二箇所以上に埋設して外部の検出手段に対応する磁性体と、この磁性体の表面を被覆する蓋体とを備えさせた換金カードにあって、前記検出手段による前記換金カードの金種を判別は、埋設された磁石である磁性体の磁束密度の異なりに応じて行なう換金カードであり、前記埋設された磁石は、+極を上側にむけて埋設された場合か、又は-極を上側にむけて埋設された場合の何れかであり、異なる磁束密度からなる前記磁性体を複数組み合わせた換金カードの構成にある。 【0009】 【作用】前記のように構成される本発明は以下に述べる件用を奏する。 【0010】この換金カードを外部の検出手段に対応させると、該カード内に埋設した磁性体に検出手段が反応し、その磁力を検出する。 【0011】この磁力が、あらかじめ設定した数値であれば該換金カードが真物であることが判定される。 【0012】また、基板へ埋設する磁性体の磁束密度を変換させれば、複数の換金カードにおいてその金種を判別することができる。 【0013】更に、異なる磁束密度の磁性体を、複数組み合わせることで、多数の金種の換金カードが得られ、検出手段による検出機能が向上する。 【0014】 【実施例】次に本発明に関する換金カードの実施の一例を図面に基づいて説明する。 【0015】図1〜図3においてAは、パチンコ業界において貸し玉に対する景品を換金するために用いられる換金カードで、基板1と、磁性体2と、蓋体3とにより基本的に構成される。 【0016】この換金カードAは、換金カードA自体以外の外部の検出手段、すなわち、後記する換金カード読み取り装置Bへ供給すると、該カードAの真贋判別と、該カードAの金額がいくらに表示されているかの金種の読み取りとが同時に行なわれるように構成されたもので、例えば、100円,200円,500円,1000円,2000円,3000円,5000円とのように複数種類(7種類)が用意される。 【0017】そして、前記した基板1は、非磁性体からなる合成樹脂、例えば、ABS樹脂等により、長方形等の方形状や多角形や円形等に形成してあって、赤や青,黄等の容易に視覚により識別できるような着色を施してあるもので、これら色ごとに金種あるいは使用地区を変えてあるものであるが、本実施例においては、横幅84mm,縦幅54mm,厚さを3mmに設定した方形状のものを使用した。 【0018】前記した磁性体2は、フェライト等の磁石を基板1へ埋入させて、前記した換金カード読み取り装置Bにおける磁気センサ9を反応させるもので、図1〜図3に示すように、基板1において対角線状に設けた二箇所の凹嵌部4へ埋設してある。 【0019】なお、この磁性体2の埋入個数は一個であっても構わないが、磁気センサ9に対応させる際に、換金カードA自体が180°が反転させて挿入した場合であっても、一律に感知し得る二箇所以上が好ましい。 【0020】そして、この磁性体2は、前記したように多数に亙る金種であっても簡便に判別し得るように、磁束密度の異なる複数の磁石を用いるもので、例えば、磁力の弱い600ガウスや700ガウス,800ガウス程度のものを、それ単体または異なる磁束密度のものとを組み合わせて使用するもので、この磁力密度の設定は適宜任意に行ない得る。 【0021】この磁性体2における磁束密度は、例えば、600ガウスの場合であれば、550〜650ガウス,700ガウスの場合であれば、650〜750ガウスと、その上限と下限とのばらつきが生じている場合があるため、異なる磁束密度の磁性体2,2を使用するときは、例えば、その磁束密度の幅が近接する600ガウスと700ガウスとを使用しないほうが好ましい。 【0022】また、同じ磁束密度の磁石2でも、その極性における+極を上側にむけて埋設した場合と、-極を上側にむけて埋設した場合とでは、磁気センサ9による検知結果が異なるため、この+,-極も組み合わせることにより設定する金種の幅が広がる。 【0023】したがって、例えば、+極の600ガウスが100円,-極の600ガウスが500円,+極の700ガウスが2000円、更に、+極の600ガウスと+極の800ガウスとの組み合わせが5000円とのように設定することができ、これらのデータは後記する制御手段へ入力される。 【0024】前記した蓋体3は、磁性体2の表面を被覆するもので、非磁性体のポリカーボネート等の合成樹脂等により、基板1よりわずかに小形で相似形に成形して、基板1の外周縁に刻設した嵌合部5へ嵌着したのち、超音波ウェルダ等により基体1と該蓋体3とを溶着することで、磁性体2を基体1内へ封入することができるものであって、その上面は基板1面と同一に揃えてある。 【0025】図4〜図5においてBは、前記した換金カード読み取り装置で、その構成は、框体6と、受入部7と、移送手段8と、磁気センサ9と、振分手段10と、排出シュート11と、排出口12と、戻しシュート13と、戻し口14と、制御手段15とよりなる。 【0026】そして、前記した受入部7は、箱形に形成した框体6の一側に設けて換金カードAを移送手段8へ供給するもので、ホッパー16を立設して、多数、例えば、20枚程度が一度に投入できるようにしてある。 【0027】前記した移送手段8は、框体6内において受入部7の下側に対応させ、一側から他側へ換金カードAを移送するもので、框体6に支承させた駆動および従動軸17,18へ無端状に平ベルト19を懸張したベルトコンベアを用いるもので、モータ等の駆動部材20により連続移送される。 【0028】なお、このときホッパー16に投入された換金カードAは、移送手段8における平ベルト19上へ多数積層された状態で載置されるもので、該移送手段8の駆動に伴って一枚ずつ他側へ送られるものであって、積み重ねられた換金カードAの下から2枚目以上のものは、受入部7の周縁部に付設した抑え片21により連れ移動しないように保持されている。 【0029】前記した磁気センサ9は、移送手段8の移送途中に設けて換金カードAに埋設した磁性体2に反応させることにより、この磁性体2の磁束密度を検出し、この発生する電圧、または、電流信号を増幅器(図示せず)を介して制御手段15へ送る。 【0030】前記した振分手段10は、移送手段8の移送終端部に対応させて、この移送手段8により送り出される良品換金カードAと不良品換金カードAとを操作手段22の操作により振り分けるもので、支軸23により揺動自在に支持させた回動板24を、モータ等の操作部材25の回転を連係部材26を介して伝達させる操作手段22により水平位置と傾斜位置とに対応するように操作する。 【0031】前記した排出シュート11は、下方へ自然落下させるように傾斜させ、振分手段10に連接して良品換金カードAを框体1の外部へ送り出すもので、振分手段10によるその回動板24が水平位置に対応したとき、その移送終端と接続させた排出口12より取り出す。 【0032】また、この排出口12に良品換金カードAを蓄溜させるストッカー27を取り付けて、取り出されたものが散乱しないようにする。 【0033】前記した戻しシュート13は、下方へ自然落下させるように傾斜させ、振分手段10に連接して不良品換金カードAを框体1の外部へ取り出すもので、振分手段10によるその回動板24が傾斜位置に対応したとき、その移送終端と接続させた戻し口14より取り出す。 【0034】前記した制御手段15は、磁気センサ9に連係して換金カードAの磁性体2における磁束密度に応じた磁気センサ9による検知信号を制御する。 【0035】この構成は、例えば、あらかじめ、メモリ部28へ、前記したような7種類の換金カードA,A…にそれぞれに埋設された磁性体2,2…の磁束密度と、それに対応する金額とを入力させておき、移送手段8により磁気センサ9を通過したとき、発する信号が中央処理部29を介してメモリ部28に送られると、前記したように設定したデータ通りであれば、その換金カードAは真物と判断し、かつ、演算部30へ送信されて計数される。 【0036】この真贋の判断と金額の計数は、磁気センサ9を換金カードAが通過するごと行なわれ、その結果は、框体6の前側部に設けた表示部31に適正カードAの枚数と合計金額が表示される。 【0037】なお、この表示部31は、カード持参者の視覚内に設けることによりその確認が瞬時に行なえる。 【0038】そして、換金カードAの投入時において、磁気センサ9の信号が、制御手段15において合致しなければ、移送手段8により送られた換金カードAは贋物と判別し、振分手段10の操作手段22を操作させてその回動板24を回動させ、戻しシュート13へこのカードAを落として戻し口14より排出する。 【0039】また、この制御手段15へ現金支払機Cを連係することにより、計数された金額が自動支払されるので、屋外交換所においてこれに従事する人が完全に不要となって省人化される。 【0040】なお、図1〜図3において32は、換金カードAにおける基板1に設けた凹部33に装着したメダルやコイン等の貴金属で、該換金カードAの設定金額に応じた等価のものを選定するもので、この設定金額は蓋体3の隅部に表示eを設ける。 【0041】更に、図1および図2において34は、換金カードAにおける蓋体3にシルク印刷等により施した模様で、この塗料内に蛍光体を適量混入してあって、波長300nm〜800nmの紫外線等を照射すると、この部分が白色等に発光するもので、これにより換金カードAの真贋判別も行なえるようにしてある。 【0042】 【発明の効果】前述のように構成される本発明は、カード状に形成してあるので運搬や収納等の取り扱いが良好で体裁が良い。 【0043】特に、真贋および金種の判別を行なう磁性体を、その磁束密度を変換させて設ける簡単な構造を採用することにより、外部の検出手段による検出が簡便かつ確実に行なえて、換金業務が大幅に軽減される。等の特有の効果を奏するものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に関する換金カードの一実施例を示す斜視図である。 【図2】図1における一部を破断して示す平面図である。 【図3】図1における縦断面図である。 【図4】図1における換金カードの読み取り装置を示す斜視図である。 【図5】図4における要部を示す縦断側面図である。 【図6】図4における装置を用いて換金カードの読み取りを行なう動作を概略的に示す回路図である。 【符号の説明】 A 換金カード B 検出手段 1 基板 2 磁性体 3 蓋体 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2004-08-16 |
結審通知日 | 2004-08-17 |
審決日 | 2004-08-30 |
出願番号 | 特願平5-113547 |
審決分類 |
P
1
113・
121-
ZA
(A63F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 土屋 保光 |
特許庁審判長 |
二宮 千久 |
特許庁審判官 |
渡部 葉子 塩崎 進 |
登録日 | 1998-05-15 |
登録番号 | 特許第2780908号(P2780908) |
発明の名称 | 換金カード |
代理人 | 加藤 静富 |
代理人 | 入江 一郎 |
代理人 | 入江 一郎 |
代理人 | 野末 寿一 |
代理人 | 加藤 静富 |
代理人 | 野末 寿一 |
代理人 | 東山 喬彦 |