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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
管理番号 1114566
異議申立番号 異議2003-71599  
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-06-20 
確定日 2005-01-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3360450号「ポリプロピレン組成物およびその延伸フィルム」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3360450号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許第3360450号の請求項1〜2に係る発明は、平成6年12月16日に特許出願され、平成14年10月18日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、瀬川忠世より、請求項1〜2に係る発明の特許に対し、特許異議の申立がなされ、取消理由が通知され、その指定期間内に平成16年1月19日付けで特許異議意見書とともに訂正請求書が提出されたものである。
II.訂正請求について
1.訂正の内容
(1)訂正事項a
請求項1に記載の「及び0.8ml/g以下の細孔容積を有する微粉シリカ」を
「及び0.3ml/g以下の細孔容積を有する微粉シリカ」と訂正する。
(2)訂正事項b
明細書段落【0004】に記載の「及び0.8ml/g以下の細孔容積を有する微粉シリカ」を
「及び0.3ml/g以下の細孔容積を有する微粉シリカ」と訂正する。
(3)訂正事項c
明細書段落【0006】に記載の「また、細孔容積は0.8ml/g以下であり、好ましくは0.5ml/g以下であり、特に好ましくは、0.3ml/g以下である。」を
「また、細孔容積は0.3ml/g以下である。」と訂正する。
2.訂正の適否について
訂正事項aは、微粉シリカについて、段落【0006】に記載された数値に基づいて、細孔容積の数値を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正事項b〜cは、特許請求の範囲の訂正に伴ない、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そしていずれの訂正事項も明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.請求項1〜2に係る発明
訂正後の請求項1〜2に係る各発明は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜2に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】下記(a)および(b)成分を含有することを特徴とするポリプロピレン組成物。
(a)ポリプロピレン100重量部
(b)コールターカウンター法で測定した重量平均粒子径が1.0〜2.0μmであり、かつ200〜400m2/gのBET比表面積及び0.3ml/g以下の細孔容積を有する微粉シリカをシリコーンオイルで表面処理した微粉シリカ0.05〜1重量部
【請求項2】請求項1に記載のポリプロピレン組成物を延伸加工してなることを特徴とする延伸フィルム。」
IV.特許異議申立人の主張について
1.特許異議申立の概要
特許異議申立人 瀬川忠世は、甲第1号証(特開平5-178607号公報)、甲第2号証(特開昭4-288353号公報)、参考資料1(特開昭58-208124号公報)、参考資料2(GRACE社の商品カタログ)を提出して、訂正前の請求項1〜2に係る発明は、前記甲第1号証あるいは甲第2号証に記載された発明であるから、訂正前の請求項1〜2に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、また、訂正前の請求項1〜2に係る発明は、前記甲第1号証〜甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべき旨主張している。
2.特許異議申立人の主張についての判断
(1)甲各号証および参考資料に記載された事項
◆甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】 ゲル法に従って、または沈澱法により製造した多孔性シリカを基剤とする、100ないし650m2/gのBET表面積と0.8ないし2cm3/gの微孔体積とを有する、任意に存在する通常の添加剤以外に40ないし85重量%のシリカと60ないし15重量%のパラフィン油、シリコーン油もしくは植物油、および/またはエチレングリコールとよりなる、前提として、パラフィン油、シリコーン油および/または植物油が改質剤として存在しないならばエチレングリコールの含有量が25重量%を超える、自由流動性粉末の形状の改質無定形シリカ。
【請求項2】 シリカの比率が40ないし65重量%であり、パラフィン油、シリコーン油もしくは植物油および/またはエチレングリコールの比率が60ないし35重量%であることを特徴とする請求項1記載のシリカ。」(特許請求の範囲)
「【0002】ゲル法により製造した、シリカゲルを磨砕することにより制御された粒子サイズに設定された無定形の合成シリカは、長い間ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン共重合体)用の効果的な抗ブロッキング剤として使用されてきた。この種のシリカは、たとえばサイロブロック(SYLOBLOCR)の商品名で公知である。良好な有効性および健康に関する許容性にも拘わらず、これらのシリカは取り扱いおよび混入の際に欠点を示す。たとえば、取り扱い中に不快な埃が生じ、これがさらに損失につながる。混入の際の欠点はフィルムの品質に負の影響を与える可能性がある。
【0003】湿式化学的に(たとえば酸とケイ酸アルカリ溶液とから)製造した沈澱シリカも抗ブロッキング剤として使用されている。この型のシリカも同様に、上記の取り扱い上の、および混入の際の欠点を示す。」(明細書段落【0002】〜【0003】)
「【0006】本発明の目的は、従来抗ブロッキング剤として使用されてきた無定形シリカ(磨砕シリカゲルまたは沈澱シリカ)の上記の欠点を回避すること、すなわち、高度に濃縮されたマスターバッチ(シリカプラスプラスチック材料)を熔融粘性の増加なしに製造することができ、フィルムの不均一性が使用するポリオレフィン/シリカマスターバッチの改良された流動挙動を通じて減少し、マスターバッチ(ポリオレフィンプラスシリカ)の MFI(熔融流動指数)がシリカ含有量の増加に伴って減少しない、取り扱いの際の埃の生成が消滅する、または少なくとも大幅に減少するように、ポリオレフィンへの混入可能性を改良するような方法でシリカを改質することである。」(明細書段落【0006】)
「【0011】驚くべきことには、先行技術の上記の欠点が、本発明記載のシリカの改質により、この改質がシリカの使用を限定することなく、その抗ブロッキング効率を減少させることなく、また、フィルム特性、たとえば曇り度、引っ張り強度、およびたとえば滑り挙動の望ましくない変化なしに、かなり、または完全にも消滅することが見いだされたのである。
【0012】したがって、本発明記載の生成物はポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン)中に、およびポリオレフィン共重合体(たとえばEVA)から製造したフィルム中に抗ブロッキング剤として使用することができる。混入は通常の機械、たとえば内部混練機またはスクリュー混練機を用いて行い、ペレットおよび粉末にすることができる。本発明記載の生成物は高濃度で(たとえば40重量%の重合体プラス60%の本発明記載の生成物)、内部混合器を用いて重合体とともに加工して、マスターバッチとすることができる。十分な抗ブロッキング効果を得るためには、ポリオレフィンフィルム中の本発明記載の生成物の最終濃度は500ないし8000ppm、好ましくは1000ないし4000ppmであるべきである。本発明記載の生成物の適用可能性は、純粋なシリカと比較した場合に簡単化され、改良されている。したがって、埃を生じない本発明記載の生成物はたとえば開放計量供給装置(秤量ベルト)を経由して、いかなる損失もなしに重合体に添加することができる。」(明細書段落【0011】〜【0012】)
「【0015】本発明記載の改質により、ポリオレフィンへの混入を大幅に容易にし、マスターバッチを形成させるためのポリオレフィンおよびその共重合体との加工を改良する、埃を生じない最終生成物が得られる。改良はさらに、シリカを高度に充填したマスターバッチの熔融流動指数が一般には、ポリオレフィンの熔融流動指数の少なくとも半分の大きさであって、多くの場合に減少せず、実際に若干上昇することにも示される。したがって、まず重合体中におけるシリカの高濃度(10ないし45重量%、以下を参照)が可能である。その他の改良は、本発明記載のシリカをフィルム中の抗ブロッキング剤として使用する際にシリカ粒子の分布がより均一にさえなり、フィルム中の微少片、ゲル等の数が減少することである。本発明に従って改質したシリカは、100ないし約600g/lの嵩密度を示す、自由流動性の乾燥粉末である。これは、1ないし20μmの平均粒子サイズを有する抗ブロッキング剤として好適である。」(明細書段落【0015】)
「【0025】本発明に従って改質したシリカは、対応する先行技術のシリカと比較して、以下の改良点を示す:
1. 適用中に実質的に完全に埃を生じないので、埃保護手段はほとんど不必要であり、シリカの損失はなく、一般的な取り扱い、たとえば計量供給、混合、充填等は大幅に簡単化され、これはまた、改質を通じて生成物の嵩密度が大幅に、多くの場合に実質的に 3 倍に増加したためでもある;
2. ポリオレフィンへの混入の間に熔融粘性が増加しない、すなわち、流通速度の低下を伴わない全体として改良された加工性、マスターバッチ(濃縮液)の製造中の 40 重量%の、ある環境下では 45 重量%のポリオレフィン中シリカの達成、および、このようにして改良された適合性;
3. マスターバッチの製造中における混入ののちにポリオレフィンの熔融流動指数が低下しない、すなわち、マスターバッチの製造に特に高い熔融流動指数を有する重合体を選択することが完全に必要でなく、マスターバッチがフィルム原材料中でより均一に分布していて、流動不均一性、斑点、ゲルおよび凝集物がより少なくなって、フィルムの品質を改良する;
4. 公知の熔融流動指数を有するあらかじめ与えられた重合体で、ある種の改質されたシリカを用いることにより、製造すべきマスターバッチの所望の熔融流動指数を、バッチ工程の前においても決定する、または選択することができ、このことは多くの場合に工程の改良を意味する;
5. 若干改良された抗ブロッキング効果。」(明細書段落【0025】)
◆甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】 走査型電子顕微鏡法による平均一次粒子径(D1)が100乃至270nmで、見掛比重(JISK6220法)が0.24乃至0.55g/cm3で、BET法比表面積が200乃至500m2/gであり、BET法比表面積から算出されるシリカ素粒子径(D0)が5乃至15nmで、且つ〔平均一次粒子径(D1)〕÷〔シリカ素粒子径(D0)〕の比で定義されるアグロメレート化度(DA)が10乃至50の範囲にあることを特徴とする非晶質シリカ系充填剤。
【請求項2】 コールターカウンター法による平均二次粒子径が1乃至5μmであることを特徴とする請求項1記載の非晶質シリカ系充填剤。
【請求項3】 吸油量(JISK5101法)が50乃至120ml/100gであることを特徴とする請求項1記載の非晶質シリカ系充填剤。
【請求項4】 請求項1記載の非晶質シリカから成ることを特徴とする樹脂フイルム用アンチブロッキング剤。
【請求項5】 請求項4記載のアンチブロッキング剤を熱可塑性樹脂100重量部当たり0.01乃至5重量部を添加して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂フイルム。」(特許請求の範囲)
「【産業上の利用分野】本発明は、非晶質シリカ系充填剤に関するもので、より詳細にはハンドリング性、加工性に優れ、樹脂フイルムに添加した場合に分散性、透明性、アンチブロッキング性に優れ、特にフイルム同士の擦り合わせ時におてもフイルム面にキズを付けない耐擦傷性に優れた樹脂フイルムを可能にする非晶質シリカ系充填剤に関する。」(明細書段落【0001】)
「【0022】また前述した一次粒子構造をとることに関連して比較的大きなBET法比表面積を有しながら50乃至120ml/100gという低い吸油量を有することが付加的な特徴である。一般的に樹脂中への充填剤や顔料の配合のいやすさは、その比表面積が小さいほど表面の濡れが良く、また見掛比重が大きいほど充填するものの体積が小さくなるので配合のしやすさが向上することが知られている。本発明の非晶質シリカ充填剤は見掛比重が大きく吸油量が低いため樹脂への配合及び樹脂中への均質分散が可能である。」(明細書段落【0022】)
「【0024】本発明の非晶質シリカを樹脂用のアンチブロッキング剤として使用するに際して、予めその他の配合剤である滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核剤、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防虫剤、防菌剤、香料、着色剤、薬効成分等の有機成分を担持又は樹脂成型時に配合してもよい。更にまたこの非晶質シリカは、他の無機系の充填剤と組合わせて使用することもできる。また、この填剤は前述の有機成分を含め各種金属石鹸、ワックス類、樹脂、界面活性剤、滑剤、各種のカップリング剤又は無機酸化物等で予め表面処理しておくこともできる。」(明細書段落【0024】)
「【0025】このような担持又は配合及び表面処理に使用する有機成分及び無機成分は非晶質シリカ当たり0.1乃至30重量%、特に1乃至10重量%の範囲とするのがよい。」(明細書段落【0025】)
「【0030】(用途)本発明の非晶質シリカは前述した特性を利用して、種々の熱可塑性樹脂、例えば、結晶性プロピレン共重合体としてプロピレンのホモポリマ、又はエチレン-プロピレン共重合体、低-、中-、高-密度の或いは線状低密度のポリエチレン、イオン架橋オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、6-ナイロン、6、6-ナイロン、6、8-ナイロン等のポリアミド樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン類等に配合して形成される例えば各種延伸フイルム等の樹脂成形品に、透明性、スリップ性、アンチブロッキング性を与えるために使用することができる。この目的に対して、本発明の非晶質シリカは熱可塑性樹脂100重量部当たり0.01乃至10 重量部、特に1乃至5重量部の量で配合することが出来る。」(明細書段落【0030】)
◆参考資料1には、以下の事項が記載されている。
「即ち、その表面処理剤の主たるものとしては、・・・ハロゲン化シラン類、・・・含窒素シラン化合物あるいは線状オルガノポリシロキサンからなる各種シリコーン油等が用いられている。」(2頁左下欄2〜8行)
「本発明の疎水性沈澱珪酸の撥水性は非常に高く、DBA吸着量の値が5mg-mol/kg以下であることから容易に想像できるように、シリコーン油とシリカ粒子表面のシラノール基とが反応あるいは強力に焼き付けられ、シリコーン油の有機基がシリカ粒子の外殻を完全に覆い、DBA分子の吸着し得るシラノール基部分がシリカ表面上にないこと。」(4頁左上欄2〜9行)
「本発明におけるシリコーン油とは、25℃で50〜500cs、・・・のジメチルシリコーン油、・・・メチルハイドロジエンシリコーン油・・・特にジメチルシリコーン油が好ましい。」(4頁右下欄19行〜5頁左上欄4行)
◆参考資料2には、SYLOIDの商品名でGRACE社より市販されている種々のグレードの非晶質シリカについて、細孔容積と吸油量が示されている。
(2)対比・判断
(i)訂正後の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明1」という。)について
訂正発明1は、透明性、滑り性及び耐ブロッキング性に優れたポリプロピレン組成物とするために、ポリプロピレン組成物において、配合すべき微粉シリカとして「コールターカウンター法で測定した重量平均粒子径が1.0〜2.0μmであり、かつ200〜400m2/gのBET比表面積及び0.3ml/g以下の細孔容積を有する微粉シリカをシリコーンオイルで表面処理した微粉シリカ0.05〜1重量部」を用いることを必須の構成要件とするものである。
一方、甲第1号証に記載された発明においては、従来からのシリカに代えて、改質されたシリカを抗ブロッキング剤として使用できることが示され、その際、フィルムの曇り度、引っ張り強度、滑り挙動の望ましくない変化なしに行うことができることも示されている。
しかしながら、甲第1号証に記載された発明は、ポリプロピレン組成物に配合されるシリカとして「多孔性シリカを基剤とする、100ないし650m2/gのBET表面積と0.8〜2cm3/gの微孔体積とを有する、任意に存在する通常の添加剤以外に40ないし85重量%のシリカと60ないし15重量%のパラフィン油、シリコーン油もしくは植物油、および/またはエチレングリコールとよりなる、前提として、パラフィン油、シリコーン油および/または植物油が改質剤として存在しないならばエチレングリコールの含有量が25重量%を超える、自由流動性粉末の形状の改質無定形シリカ」を採用するものである。
そうすると、甲第1号証に記載された改質無定型シリカは、微孔体積として0.8〜2cm3/gを有するものを採用するものであるから、訂正発明1が採用する「0.3ml/g以下の細孔容積を有する微粉シリカ」とはその構成が異なるものである。
そうすると、甲第1号証には、訂正発明1が採用する微粉シリカについての「0.3ml/g以下の細孔容積」とする点については記載がされているということにはならないから、訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明であるということはできない。
また、甲第2号証には、ハンドリング性、加工性に優れ、樹脂フイルムに添加した場合に分散性、透明性、アンチブロッキング性に優れ、特にフイルム同士の擦り合わせ時におてもフイルム面にキズを付けない耐擦傷性に優れた樹脂フイルムを可能にする非晶質シリカ系充填剤について記載され、非晶質シリカ系充填剤は、コールターカウンター法による平均二次粒子径が1〜5μmでBET法比表面積が200〜500m2/gであり、非晶質シリカ当たり0.1〜30重量%の、有機成分を含め各種金属石鹸、ワックス類、樹脂、界面活性剤、滑剤、各種のカップリング剤又は無機酸化物等で予め表面処理しておくこともできること、さらに、非晶質シリカ系充填剤は吸油量が50〜120ml/100gであることも記載され、この表面処理された非晶質シリカを熱可塑性樹脂100重量部当たり0.01〜10重量部配合することも記載されている。
しかしながら、甲第2号証に記載された表面処理剤としては、シリコーンオイルは記載されておらず、また、参考資料1の記載を参酌しても、疎水性沈澱珪酸に係る技術において、表面処理剤の主たるものはハロゲン化シラン類、含窒素シラン化合物あるいは各種シリコーン油等が用いられている、ということが記載されているにとどまり、甲第2号証に記載の表面処理剤がシリコーンオイルであるということを示すものではないから、「非晶質シリカを樹脂用のアンチブロッキング剤として使用するに際して、予めその他の配合剤である滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核剤、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防虫剤、防菌剤、香料、着色剤、薬効成分等の有機成分を担持又は樹脂成型時に配合してもよい。更にまたこの非晶質シリカは、他の無機系の充填剤と組合わせて使用することもできる。また、この填剤は前述の有機成分を含め各種金属石鹸、ワックス類、樹脂、界面活性剤、滑剤、各種のカップリング剤又は無機酸化物等で予め表面処理しておくこともできる」との記載が、直ちに表面処理剤としてシリコーンオイルを用いることを示しているということにもならない。
また、甲第2号証には、非晶質シリカについて、平均一次粒子径、BET比表面積、吸油量については記載されているものの、細孔容積については何等も記載されていない。
そうすると、甲第2号証には、シリコーンオイルで非晶質シリカを表面処理することについては記載がされているということにはならないし、非晶質シリカの細孔容積を0.3ml/g以下とすることも記載されているということにはならないから、訂正発明1は、甲第2号証に記載された発明であるということはできない。
また、甲第1号証には、自由流動性粉末形状の改質無定型シリカを採用することにより、ポリプロピレン樹脂に配合する場合、段落【0025】に記載のとおり、(1)適用中に実質的に完全に埃を生じないので、埃保護手段はほとんど不必要であり、シリカの損失はなく、(2)ポリオレフィンへの混入の間に熔融粘性が増加しない、(3)マスターバッチの製造中における混入ののちにポリオレフィンの熔融流動指数が低下しない、すなわち、マスターバッチの製造に特に高い熔融流動指数を有する重合体を選択することが完全に必要でなく、マスターバッチがフィルム原材料中でより均一に分布していて、流動不均一性、斑点、ゲルおよび凝集物がより少なくなって、フィルムの品質を改良する、(4)公知の熔融流動指数を有するあらかじめ与えられた重合体で、ある種の改質されたシリカを用いることにより、製造すべきマスターバッチの所望の熔融流動指数を、バッチ工程の前においても決定することができる、(5)若干改良された抗ブロッキング効果が得られる、
といった効果を奏することが記載されている。
しかしながら、前記のとおり、甲第1号証に記載されている多孔性シリカの微孔体積の値と訂正発明1の微粉シリカの細孔容積の値とは異なるものであるし、しかも、甲第1号証に記載の多孔性シリカについて、細孔容積がもたらす効果については一切記載がされていないのである。
さらに、甲第2号証に記載されている非晶質シリカ系充填剤については、甲第2号証に記載の吸油量について、「非晶質シリカ充填剤は見掛比重が大きく吸油量が低いため樹脂への配合及び樹脂中への均質分散が可能である」と記載されているにとどまり、他に吸油量についての作用効果が記載されていないのであるから、参考資料2を参照することにより、吸油量から細孔容積が導き出せるとしても、細孔容積を0.3ml/g以下とするとともに、重量平均粒子径、BET比表面積を特定の値とし、さらにシリコーンオイルで表面処理した微粉シリカを採用することにより得られる訂正発明1の効果が記載又は示唆されているということにはならない。
してみると、訂正発明1が採用した請求項1に記載の構成は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に導き出せるものとはいえない。
そして、訂正発明1は、請求項1に記載の構成を採用することにより、明細書段落【0020】〜【0021】に記載のとおりの格別の効果を奏するものといえる。
したがって、訂正発明1は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるということはできないし、参考資料1〜2を参酌しても、甲第1号証〜甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ii)訂正後の請求項2に係る発明(以下、「訂正発明2」という。)について
訂正発明2は、訂正発明1のポリプロピレン組成物を用いて、さらに、延伸加工して延伸フィルムとするものであるが、訂正発明1が、前記のとおり甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるということはできないし、甲第1号証〜甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということができない以上、訂正発明1を引用する訂正発明2も、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるということはできないし、甲第1号証〜甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
V.当審が通知した取消理由について
(1)当審が通知した取消理由の概要
当審は、刊行物1(甲第1号証:特開平5-178607号公報)、刊行物2(甲第2号証:特開昭4-288353号公報)、刊行物3(参考資料1:特開昭58-208124号公報)、刊行物4(参考資料2:GRACE社の商品カタログ)を提示して、訂正前の請求項1〜2に係る発明は、刊行物1あるいは刊行物2に記載された発明であるから、訂正前の請求項1〜2に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、また、訂正前の請求項1〜2に係る発明は、刊行物1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべき旨通知している。
(2)当審が通知した取消理由についての判断
[1]各刊行物に記載された事項
当審が通知した取消理由で提示した刊行物1〜4は、特許異議申立人が提示した証拠である甲第1、2号証及び参考資料1、2にそれぞれ相当するものであるから、刊行物1〜4に記載された事項は、前記IV.2.(1)に記載のとおりである。
[2]対比・判断
(i)訂正発明1について
当審が通知した取消理由で提示した刊行物1、2は、特許異議申立人が提示した証拠である甲第1号証、甲第2号証にそれぞれ相当するものであり、刊行物3、4は、特許異議申立人が提示した証拠である参考資料1、2にそれぞれ相当するものであるから、前記IV.2.(2)で記載したとおり、訂正発明1は、刊行物1(甲第1号証)又は刊行物2(甲第2号証)に記載された発明であるということはできないし、刊行物3(参考資料1)、刊行物4(参考資料4)を参酌しても、訂正発明1は、刊行物1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(ii)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1のポリプロピレン組成物を用いて、さらに、延伸加工して延伸フィルムとするものであるが、訂正発明1が、前記のとおり刊行物1(甲第1号証)又は刊行物2(甲第2号証)に記載された発明であるということはできないし、刊行物3(参考資料1)、刊行物4(参考資料4)を参酌しても、訂正発明1が、刊行物1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない以上、訂正発明1を引用する訂正発明2も、刊行物1、2に記載された発明であるということはできないし、刊行物1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
VI.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由、証拠及び取消理由通知の理由によっては、訂正発明1〜2の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正発明1〜2の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ポリプロピレン組成物およびその延伸フィルム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)および(b)成分を含有することを特徴とするポリプロピレン組成物。
(a)ポリプロピレン100重量部
(b)コールターカウンター法で測定した重量平均粒子径が1.0〜2.0μmであり、かつ200〜400m2/gのBET比表面積及び0.3ml/以下の細孔容積を有する微粉シリカをシリコーンオイルで表面処理した微粉シリカ0.05〜1重量部
【請求項2】
請求項1に記載のポリプロピレン組成物を延伸加工してなることを特徴とする延伸フィルム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明性、滑り性及び耐ブロッキング性に優れたポリプロピレン組成物およびその延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン延伸フィルムは、その優れた透明性、機械的特性のゆえに食品包装、繊維包装、その他、広範囲な用途に使用されている。しかし、このように優れた物性を有するポリプロピレン延伸フィルムにも欠点が皆無というわけではなく、その問題点として滑り性及び耐ブロッキング性の欠如がある。このような滑り性、耐ブロッキング性を改良すべく従来から種々の方法が検討されており、ゼオライトや珪酸マグネシウム等を添加して耐ブロッキング性を改良する方法(例えば、特公昭52-16134号公報、特公昭48-14423号公報)、微粉シリカを添加して、滑り性、耐ブロッキング性を改良する方法(例えば、特公昭63-58170号公報、特開平4-288353号公報)、ポリプロピレンと実質的に相溶性のない熱可塑性合成樹脂を添加して、滑り性、耐ブロッキング性を改良する方法(例えば、特公昭50-36262号公報)等がある。しかし一般にゼオライト、珪酸マグネシウム、微粉シリカ等の無機充填剤の添加では滑り性、耐ブロッキング性が十分に改良されるまで添加量を増すと、無機充填剤が核となって生成するボイドによりフィルムの透明性が損なわれるため、フィルムの商品価値を低下させ必ずしも満足させるものではない。また、熱可塑性合成樹脂の添加では溶融混練時の熱安定性に問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、良好な透明性、滑り性及び耐ブロッキング性を全て併せ持つポリプロピレン組成物およびその延伸フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる実情にかんがみ透明性を大きく損なうことなく滑り性、耐ブロッキング性を改良すべく種々検討した結果、特定された微粉シリカを表面処理剤で表面処理して用いることにより上記目的にかなったポリプロピレン組成物が得られることを見出し本発明に到達した。すなわち本発明は(a)ポリプロピレン100重量部に対して、(b)コールターカウンター法で測定した重量平均粒子径が1.0〜2.0μmであり、かつ200〜400m2/gのBET比表面積及び0.3ml/以下の細孔容積を有する微粉シリカをシリコーンオイルで表面処理した微粉シリカを0.05〜1重量部含有してなるポリプロピレン組成物にかかるものである。さらに本発明は、かかる組成物から得られる透明性が良好で、かつ滑り性、耐ブロッキング性の優れた延伸フィルムに関するものである。
【0005】
本発明における(a)成分であるポリプロピレンとは、公知のプロピレンを主体とする結晶性重合体であり、結晶性プロピレン単独重合体またはエチレン、ブテン-1等のα-オレフィンを少量含有する結晶性プロピレン重合体を示す。例えば、特公昭64-6211号公報に記載されている高活性三塩化チタン触媒を用い、プロピレンおよび少量のエチレンを重合系へ供給してなるポリプロピレン等を用いることができる。本発明におけるポリプロピレンのメルトインデックスは、0.5〜20g/10分が好ましく、1〜10g/10分が特に好ましい。ポリプロピレンのメルトインデックスが0.5g/10分未満では、溶融押出時の樹脂圧の上昇等加工性が悪化する。また、20g/10分以上ではフィルム製膜時の延伸性が悪化する。
【0006】
本発明における(b)成分である表面処理した微粉シリカは、次の微粉シリカから得られる。即ち、本発明で使用する微粉シリカは、コールターカウンター法で測定した重量平均粒子径が1.0〜2.0μmであり、好ましくは1.3〜1.7μmである。またBET比表面積は200〜400m2/gであり、好ましくは250〜350m2/gである。また、細孔容積は0.3ml/以下である。かかる微粉シリカの重量平均粒子径が2.0μmを越える場合は、微粉シリカを核としたボイドの発生による透明性の低下が大きい。また、1.0μm未満では滑り性、耐ブロッキング性の改良効果が得られにくい。また、BET比表面積が200m2/g未満では滑り性、耐ブロッキング性の改良効果が得られにくく、一方、400m2/gを越えれば透明性の低下が大きい。また、細孔容積が0.8ml/gを越えれば滑り性、耐ブロッキング性の改良効果が得られにくい。
【0007】
本発明における微粉シリカの表面処理剤は、シリコーンオイルである。中でも、メチルハイドロジェンポリシロキサンまたはジメチルポリシロキサンが好ましい。シリコーンオイルで表面処理したものは、ポリプロピレン中への分散性が改良され、透明性、滑り性および耐ブロッキング性の良好な延伸フィルムが得られる。
【0008】
本発明における微粉シリカの重量平均粒子径、BET比表面積及び細孔容積は下記の方法により測定したものである。
(1)重量平均粒子径:コールターカウンター(Coulter Counter)法によって求めた。
(2)BET比表面積:液体N2飽和温度下でのN2吸着によるBET法により求めた。
(3)細孔容積:液体N2飽和温度下でのN2吸着法により求めた。
また、微粉シリカの含有量はポリプロピレン100重量部に対して0.05〜1重量部、好ましくは0.1〜0.6重量部である。微粉シリカの含有量が0.05重量部未満では、フィルムの耐ブロッキング性の改良効果が得られにくい。また、微粉シリカの含有量が1重量部を越えると耐ブロッキング性の改良効果は得られるが、フィルムの透明性が悪化する。
【0009】
本発明のポリプロピレンに微粉シリカを添加する方法としては、これらが均一に分散する方法であればいずれもよく、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等で混合し、その混合物を押出機で溶融混練する方法が適当である。なおこのとき必要に応じて酸化防止剤、中和剤、滑剤、無滴剤等を適宜配合することができる。
【0010】
本発明における延伸フィルムは、テンター加工機等により少なくとも一方向に延伸された延伸フィルムである。テンター加工機を用いた場合、通常以下に述べる方法にて製膜、延伸加工された二軸延伸フィルムとなる。すなわち、ポリプロピレンを押出機にて溶融後、Tダイより押出し、冷却ロールにてシート状に冷却固化する。次いで、得られたシートを多数の加熱ロールにて縦方向に予熱、延伸し、続いて予熱部、延伸部、及び熱処理部からなる加熱炉にて横方向に延伸し、必要に応じてコロナ処理等を実施し、巻き取る。ポリプロピレンの溶融温度は、分子量によるが、通常230℃〜290℃の範囲で行なわれる。縦延伸温度は130〜150℃、縦延伸倍率は4〜6倍で通常行なわれ、横延伸温度は150〜165℃、横延伸倍率は8〜10倍で通常行なわれる。また、本発明における延伸フィルムの厚みは、10〜100μmが好ましく、15〜50μmが特に好ましい。
【0011】
【実施例】
つぎに実施例によって本発明を説明するがこれらは例示的なものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例におけるフィルム物性は下記の試験法により測定した。
(1)ヘイズ%(単位):ASTM D-1003に従って測定した。
(2)拡散透過光度(LSI) %(単位):東洋精機社製LSI試験機(±0.4°〜1.2°の散乱透過光を受光)により測定した。LSI値は肉眼で観察した透視性とかなりよく対応することから透視性の尺度として用いた。
(3)滑り性:ASTM D-1894に準拠して静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μk)を測定した。
(4)耐ブロッキング性kg/12cm2(単位):120mm×30mmのフィルムを用いて、フィルム同志を重ね合わせ、500g/40mm×30mmの荷重下で60℃、3時間状態調整を行った。その後、23℃、湿度50%雰囲気下に30分以上放置し、200mm/分の速度でせん断引張試験を行ない、試料の剥離に要する強度を測定した。
【0012】
実施例1
メルトインデックス2.3g/10分なるポリプロピレン(住友ノーブレン、HS200A)100重量部に対して、コールターカウンター法で測定した重量平均粒子径が1.5μmでかつBET比表面積が345m2/gでかつN2吸着法で測定した細孔容積が0.19ml/gの微粉シリカ95重量部に対してメチルハイドロジェンポリシロキサン5重量部を加えて均一に混合することにより表面処理した微粉シリカ0.3重量部、安定剤としてステアリン酸カルシウム0.1重量部、BHT(2,6-ジターシャリーブチルヒドロキシトルエン)0.2重量部及びIrganox1010(チバガイギー社製酸化防止剤)0.05重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、65mmφ押出機で造粒、ペレット化した。次いで得られたペレットを樹脂温度240℃で溶融押出を行ない、30℃の冷却ロールにて急冷することにより厚さ0.8mmのシート状に冷却固化し、つづいて予熱後、縦延伸機のロール周速差により延伸温度145℃で縦方向に5倍延伸し、引きつづきテンター式延伸機にて延伸温度157℃で横方向に8倍延伸し、165℃で熱処理を行ない、厚さ20μmの延伸フィルムとした後、片面コロナ処理を施した。フィルム物性の評価結果を表1に示した。
【0013】
実施例2
実施例1の微粉シリカの配合量を0.4重量部に変更した以外は、実施例1と同様に実施してフィルムを評価した。評価結果を表1に示した。
【0014】
比較例1
実施例1の微粉シリカをメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理を施さずに0.3重量部配合した以外は、実施例1と同様に実施してフィルムを評価した。評価結果を表1に示した。
【0015】
比較例2
実施例1の微粉シリカをメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理を施さずに0.4重量部配合した以外は、実施例1と同様に実施してフィルムを評価した。評価結果を表1に示した。
【0016】
比較例3
微粉シリカとして重量平均粒子径が1.9μmでかつ細孔容積が1.25ml/gでかつBET比表面積が291m2/gの微粉シリカを0.15重量部配合した以外は、実施例1と同様に実施してフィルムを評価した。評価結果を表1に示した。
【0017】
比較例4
微粉シリカとして重量平均粒子径が1.4μmでかつ細孔容積が0.08ml/gでかつBET比表面積が40m2/gの微粉シリカを0.3重量部配合した以外は、実施例1と同様に実施してフィルムを評価した。評価結果を表1に示した。
【0018】
比較例5
微粉シリカとして重量平均粒子径が1.9μmでかつ細孔容積が0.80ml/gでかつBET比表面積が477m2/gの微粉シリカを0.15重量部配合した以外は、実施例1と同様に実施してフィルムを評価した。評価結果を表1に示した。
【0019】
【表1】

【0020】
表1に示したように、本発明における特定された微粉シリカを表面処理剤で表面処理を施して用いた場合のみ透明性が良好で、かつ滑り性、耐ブロッキング性の良好な延伸フィルムが得られることがわかる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、ポリプロピレンに特定の表面処理シリカを配合してポリプロピレン組成物としたもので、この組成物は、透明性、滑り性及び耐ブロッキング性が優れた延伸フィルムを提供する。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-12-22 
出願番号 特願平6-313226
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C08L)
P 1 651・ 113- YA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 三谷 祥子  
特許庁審判長 宮坂 初男
特許庁審判官 舩岡 嘉彦
石井 あき子
登録日 2002-10-18 
登録番号 特許第3360450号(P3360450)
権利者 住友化学株式会社
発明の名称 ポリプロピレン組成物およびその延伸フィルム  
代理人 久保山 隆  
代理人 久保山 隆  

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