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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1115228
審判番号 不服2002-15671  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-15 
確定日 2005-04-06 
事件の表示 特願2000-384514「医療システム及び医療処理プログラムを記録した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月28日出願公開、特開2002-183297〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年12月18日の出願であって、平成14年7月8日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月17日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年9月17日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年9月17日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「点検サービス機関に設けられ、
複数の医療機関から月単位に健康保険組合や保険会社などの医療費支払者に送られた各被保険者に対して発行される紙の診療報酬明細書を、光学文字読み取り装置を用いて、電子化したレセプトデータを作成する手段と、
前記紙の診療報酬明細書を光学文字読み取り装置を用いて電子化したレセプトデータや、診療報酬明細書を電子化して前記医療費支払者に送られたレセプトデータなどの、複数の医療機関から月単位に各被保険者に対して発行された診療報酬明細書を電子化したレセプトデータを蓄えるレセプトデータベースと、
前記複数の医療機関で発行したレセプトデータを、蓄えている全ての月に渡り被保険者毎にまとめて受診日付、医療機関名、傷病名、診療内訳、診療点数を含む縦覧点検データを作成する縦覧点検データ作成手段と、
薬剤の禁忌組み合わせなど診療内容の点検情報を格納する点検情報データベースと、
前記縦覧点検データの前記診療内訳と前記受診日付にもとづき、前記縦覧点検データの全ての組み合わせから、複数の医療機関で処方された薬剤の使用期間から、複数月に渡る薬剤併用禁忌の組み合わせを、前記点検データベースより該当する前記点検情報を取り出して点検する薬剤点検手段を有する診療点検手段を備える医療システム。」
と補正された。
上記補正が特許法第17条の2第4項の規定に適合するかについて以下に検討する。

(2)本件補正の適否について
「複数の医療機関から月単位に健康保険組合や保険会社などの医療費支払者に送られた各被保険者に対して発行される紙の診療報酬明細書を、光学文字読み取り装置を用いて、電子化したレセプトデータを作成する手段」の記載を付加する補正は、補正前の請求項1に係る発明に「複数の医療機関から月単位に健康保険組合や保険会社などの医療費支払者に送られた各被保険者に対して発行される紙の診療報酬明細書を、光学文字読み取り装置を用いて、電子化したレセプトデータを作成する手段」の事項を新たに追加する補正であり、補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項を限定的に減縮するものではない。
よって、上記補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
また、上記補正は、特許法17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除、同第3号に掲げられた誤記の訂正、同第4号に掲げられた明瞭でない記載の釈明、のいずれをも目的とするものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年9月17日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成13年12月7日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「点検サービス機関に設けられ、
複数の医療機関毎に各被保険者に対してそれぞれ発行される診療報酬明細書を電子化したレセプトデータを蓄えるレセプトデータベースと、
前記複数の医療機関で発行したレセプトデータを被保険者毎にまとめて受診日付、医療機関名、傷病名、診療内訳、診療点数を含む縦覧点検データを作成する縦覧点検データ作成手段と、
薬剤の禁忌組み合わせなど診療内容の点検情報を格納する点検情報データベースと、
前記縦覧点検データの前記診療内訳と前記受診日付にもとづき、複数の医療機関で処方された薬剤の使用期間から薬剤併用禁忌の組み合わせを、前記点検データベースより該当する前記点検情報を取り出して点検する薬剤点検手段を有する診療点検手段を備える医療システム。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-11038号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、
(a)「次に、レセプト検査装置Sの概要動作について説明する。
【0035】外部から供給されるレセプトデータ5は、データ信号SinとしてCPU1に入力される。
【0036】ここで、当該レセプトデータ5の入力形式としては、例えば、フレキシブルディスクに記録されているレセプトデータ5を読み出し、これをデータ信号SinとしてCPU5に入力する形式や、磁気テープ(MT(Magnetic Tape))に記録されているレセプトデータ5を読み出し、これをデータ信号SinとしてCPU5に入力する形式、或いは、従来のレセプト電算処理システム(厚生省主導により普及されつつあるレセプトの電算処理システム)において作成されたレセプトデータ5のフォーマットを変換して入力する形式等がある。
【0037】また、レセプトデータ5として入力されるデータとしては、例えば、図2に示すような実際のレセプトRに記載されている各項目(患者名、処置内容または検査内容等の項目)及びその項目の内容(投与薬品名、投与量等)をコード化したものが含まれている。なお、当該レセプトデータ5の具体的内容については、後述する。
【0038】そして、レセプトデータ5がデータ信号Sinとして入力されると、CPU1は当該レセプトデータ5に含まれている内容(すなわち、患者に対して実行された診療行為または投与された医薬品の内容)と、補助記憶装置2内に記憶されている後述のデータベースの内容とを比較し、当該レセプトデータ5に含まれている診療行為または医薬品の内容が適切であるか否かを判定する。
【0039】このとき、CPU1は、補助記憶装置2との間で、データ信号Sdの授受を行いつつ上記判定を行う。この判定処理の細部については、後述する。
【0040】その後、当該判定結果が不適切である旨であった場合には、その旨及び不適切であることの具体的内容をCRT3にデータ信号Sdpとして出力して表示させると共に、必要に応じてプリンタ4にデータ信号Spoとして出力し印字出力させる。」(第6頁左欄第12行-同頁同欄第46行)、
(b)「図4に示すように、レセプトデータ5は、当該レセプトデータ5のヘッダ情報としての医療機関レコード10と、各患者毎の特定の情報を含む複数の資格レコード11と、各資格レコード11毎に対応して当該資格レコード11により示される患者に係る傷病名を含む傷病名レコード12と、各資格レコード11に対応して当該資格レコード11により示される患者に対して投与された医薬品名または実施された診療行為名を含む複数の摘要レコード13と、を含んでいる。
【0056】ここで、上記レセプトデータ5は、複数のレセプトRに夫々対応する複数の資格レコード11を含んで毎月各医療機関毎に一つ作成されるものであり、従って、上記各レコードのうち、医療機関レコード10は一のレセプトデータ5内には一つだけ含まれている。
【0057】これに対し、資格レコード11並びにこれに対応する傷病名レコード12及び摘要レコード13は、当該医療機関レコード10で示される医療機関がその月に処置した患者の数だけレセプトデータ5内に含まれていることとなる。
【0058】すなわち、一の資格レコード11とこれに対応する傷病名レコード12及び摘要レコード13が、一のレセプトRに対応している。
【0059】次に、各レコードについて具体的には、先ず、医療機関レコード10には、当該レセプトデータ5を作成した医療機関を特定するために、審査支払機関名、医療機関コード、診療科名、医療機関名、請求年月、総件数及び総合計点数の各データが含まれている。
【0060】また、資格レコード11には、各患者を特定するために、受付番号、レセプト種別、診療年月、審査支払機関名、医療機関コード、診療科名、レセプト番号、患者氏名、患者の男女区分、生年月日、保険者番号、記号番号、市町村番号、受給者番号、負担者番号等、病棟区分、病床数、実日数、調剤回数(内頓)、調剤回数(外)、処方回数及びカルテ番号等の、診療報酬(点数)を算定するために必要なデータが含まれている。
【0061】更に、傷病名レコード12には、対応する資格レコード11により示される患者に係る疾患を特定するために、受付番号、病名番号、傷病名コード、診療開始日及び転帰区分(すなわち、治癒したのか、死亡したのか、または診療を中止したのかの区分)の各データが含まれている。
【0062】なお、この傷病名レコード12は、一の資格レコード(すなわち、一のレセプト)に対応する傷病が複数個ある場合は、一の資格レコード11に対応するものとして当該傷病の数だけ含まれている。
【0063】また、摘要レコード13には、対応する資格レコード11により示される患者に対して実行された診療行為を特定するために、受付番号、摘要番号、診療識別、コード、使用量、点数及び回数(医薬品の場合、投与日数を表す。)の各データが含まれている。
【0064】なお、この摘要レコード13は、一の資格レコード11に対応する診療行為が複数個ある場合は、一の資格レコード11に対応するものとして当該診療行為の数だけ、すなわち、投与された医薬品の数または実施された検査及び処置等の数だけ含まれている。」(第7頁左欄第7行-同頁右欄第12行)、
(c)「次に、当該レセプトRに含まれる全ての傷病に対して効能テーブルと適応テーブルの作成が終了すると(ステップS6;YES)、次に、一の資格レコード11(一のレセプトR)に対応する全ての診療行為について後述のステップS10乃至S16の処理を終了したか否かが判定され(ステップS9)、終了しているときは(ステップS9;YES)ステップS17に移行し、一方、終了していないときは(ステップS9;NO)、当該終了していない診療行為及び医薬品の投与を示す摘要レコード12を読み込む(ステップS10)。
【0084】そして、当該読み込んだ摘要レコード12が医薬品の投与に関する摘要レコード12か否かが判定され(ステップS11)、医薬品の投与に関するものであるときは(ステップS11;YES)、次に、当該読み出された医薬品の投与内容(医薬品名、用量及び投与回数等)と、上記効能テーブルに含まれている傷病と投与可能な医薬品及びその用量等とを比較し、レセプトRに含まれている傷病と実際に投与された医薬品との組み合わせが、認可されているその組み合わせ(効能テーブル内に格納されている。)に一致しているか否かが、各摘要レコード12毎に確認される(ステップS12)。
【0085】そして、摘要レコード12の内容、すなわち、実際に投与された医薬品の投与内容と傷病との組み合わせが、効能テーブル上の認可されているその組み合わせに一致していていない場合には、その不一致の内容がエラー情報としてデータベース内の図示しないエラー情報領域に書き込まれる(ステップS14)。」(第8頁右欄第19行-同頁同欄第45行)、
と記載されている。
してみると、引用例1には、「審査支払機関に設けられ、投与された医薬品と傷病の組み合わせ情報を格納している効能テーブルと、複数の医療機関から保険者に対してそれぞれ発行される診療報酬明細書を電子化して患者毎にとりまとめられた、医療機関名、傷病名コード、患者に対して投与される医薬品名または実施された医療行為名を含むレセプトデータを入力し、前記レセプトデータに基づき、医薬品と傷病の組み合わせを、前記効能テーブルから情報を取り出して点検するCPUと、を備えた診療明細書検査装置」との発明が記載されている。
原査定で周知技術を示すために引用された特開2000-163498号公報(以下「引用例2」という。)には、
(a)「以上のようなスタンドアロン、ピアツーピア、ネットワークなどのタイプのハードウェア構成において、パーソナルコンピュータ1は、公知の構成・機能によるCPU、RAM、HDD、ディスプレイ、キーボードおよびマウスなどからなり、たとえばクライアント機には1GB程度、サーバ機には2GB以上の規模のHDDがそれぞれ備えられている。このHDDには、医薬品添付文書データベースが構築されている。」(第4頁左欄第44行-同頁右欄第1行)、
(b)「この調剤薬局支援システムのソフトウェア構成は、対象業務に対応して、患者情報、処方情報などを入力するための処方入力部11と、処方情報を修正するための処方修正部12と、レセプト業務を行うためのレセプト業務部13と、薬剤料、技術料などを処理するための日報・月報処理部14と、医薬品情報、医師情報などを登録するためのマスタ登録部15と、システム情報を管理するためのシステム管理部16などが設けられている。
【0030】1.処方入力部11においては、患者検索、患者登録、患者補助情報登録、処方入力、薬剤識別、患者登録、請求額確認、薬歴管理、領収書発行、調剤支援票などの処理が行われる。」(第4頁右欄第26行-同頁同欄39行)、
(c)「処方入力時に、各薬剤毎の標準用量チェック、処方薬の長期投与チェック、処方薬間の薬剤重複チェック、処方薬間の発現相互作用チェックなどを行うことができる(図12)。今回の処方内容だけでなく、薬歴とのチェックも可能である。患者への注意を、処方入力中に表示することができる(図13)。また、薬歴として保存したり、服薬指導文書として印刷することができる。処方内薬剤の使用期限、要処置副作用なども表示・印刷できる。」(第5頁左欄第10行-同頁同欄第18行)、
(d)「チェック手段によるチェック機能を有することで、処方箋の処方内容の入力時に、データベースの医薬品添付文書の情報を活用しながら、処方箋内での用量と長期投与、薬歴を含めた重複と相互作用、併用薬も含めた重複と相互作用、および禁忌薬との重複などの処方内容をチェックすることができるので、調剤薬局の業務の流れの中で処方内容の安全性をチェックすることが可能となる。」(第6頁右欄第17行-同頁同欄第24行)、
と記載されている
また、引用例2の第8図には、処方入力画面に処方年月日が表示されているので、処方入力部で入力されるデータとして処方年月日を含むことは自明である。
してみると、引用例2には、点検情報を格納した医薬品添付文書データベースと、患者情報、処方年月日、医薬品情報を含む情報にもとづいて、前記医薬品添付文書データベースから情報を取り出して処方した薬剤と禁忌薬との重複及び薬歴を点検する点検手段と、を備えたシステムが記載されている。

(3)対比
本願発明と引用例発明を比較すると、引用例発明の「従来のレセプト電算処理システムで作成されたレセプトデータ」、「フォーマット変換したレセプトデータ」、「患者」、「患者に対して投与された医薬品名または実施された医療行為名」、「医薬品」、「効能テーブル」、「CPU」、「レセプト検査装置」は、本願発明の「レセプトデータ」、「縦覧点検データ」、「被保険者」、「診療内訳」、「薬剤」、「点検情報データベース」、「点検手段」、「医療システム」に相当するので、両者は、点検情報を格納する点検情報データベースと、複数の医療機関毎に各保険者に対してそれぞれ発行される診療明細書を電子化したレセプトデータを被保険者毎にとりまとめて作成され、医療機関名および診療内訳を含む縦覧点検データにもとづき、点検データベースの情報を取り出して点検を行う点検手段と、を備えている医療システムという点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)本願発明では、医療システムが点検サービス機関に設けられているのに対し、引用例発明では、医療システムが審査機関に設けられている点。
(相違点2)本願発明では、電子化したレセプトデータを蓄えるレセプトデータベースと、前記レセプトデータから縦覧点検データを作成する縦覧点検データ作成手段とを備えているのに対し、引用例発明では、そのようなレセプトデータベース、およびレセプトデータ縦覧点検データ作成手段を設けておらず、既に作成された縦覧点検データを入力している点。
(相違点3)本願発明では、縦覧点検データは、受診日付、傷病名、を含み、点検情報データベースに薬剤の禁忌組み合わせなど診療内容の点検情報を格納し、前記縦覧点検データの前記診療内訳と前記受診日付にもとづき、医療機関で処方された薬剤の使用期間から薬剤併用禁忌の組み合わせを、前記点検情報データベースより該当する前記点検情報を取り出して点検するのに対し、引用例発明では、縦覧点検データに受診日付を含まず、傷病については名でなくコードであり、傷病と薬剤との組み合わせを点検しているが、薬剤併用禁忌の組み合わせを点検していない点。

(4)当審の判断
相違点1について検討する。
特定の業務を外部の機関に委託することは一般的に行われていることであるので、引用例発明において、薬剤の禁忌組み合わせなど診療内容の点検に関する業務を審査機関から外部の機関である点検サービス機関に委託し、薬剤の禁忌組み合わせなど診療内容の点検を行う医療システムを点検サービス機関に設けるようにすることは当業者が容易に考えられる事項である。
よって、本願発明の相違点1に係る事項は、引用例1に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。
相違点2について検討する。
複数の医療機関毎に各被保険者に対してそれぞれ発行される診療報酬明細書を電子化したレセプトデータを蓄えるレセプトデータベースと、前記レセプトデータから縦覧点検データを作成する縦覧点検データ作成手段とを備えることは、本願明細書において従来技術が記載された文献として示されている特開2000-113062号公報に記載されているように当該技術分野で周知の事項であるので、引用例発明において、複数の医療機関毎に各被保険者に対してそれぞれ発行される診療報酬明細書を電子化したレセプトデータを蓄えるレセプトデータベースと、前記レセプトデータから縦覧点検データを作成する縦覧点検データ作成手段と、を設けることは当業者が容易に考えられる事項である。
よって、本願発明の相違点2に係る事項は、引用例1および周知技術に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。
相違点3について検討する。
引用例2に記載された発明の「処方年月日」、「処方入力部で入力されたデータ」は、本願発明の「受診日付」、「縦覧点検データ」に相当する。
また、引用例2に記載された発明において、医療品添付文書データベースに格納されている情報に基づいて、禁忌薬との重複チェックを行い、薬歴とのチェックも行っているので、医療品添付文書データベースには、薬剤の禁忌組み合わせや薬歴を含む診療内容の点検情報を格納していると認める。
さらに、その薬歴とのチェックの際に、薬剤が処方された受診日とその薬剤の使用期間を考慮することは当業者が当然行うことと認める。
以上の点を考慮すると、縦覧点検データに受診日付を含み、点検情報データベースに薬剤の禁忌組み合わせを含む診療内容の点検情報を格納し、診療内訳と受診日付に基づき、医療機関で処方された薬剤の使用期間から薬剤併用禁忌の組み合わせを点検することは引用例2に記載されているように公知技術である。
そして、上記引用例2に記載された薬剤の点検に関する公知技術を引用例発明の薬剤の点検に適用することに阻害要因はなく、当業者が容易に考えられる事項であるので、引用例発明において、縦覧点検データに受診日付を含め、点検情報データベースに薬剤の禁忌組み合わせなど診療内容の点検情報を格納し、前記縦覧点検データの前記診療内訳と前記受診日付にもとづき、医療機関で処方された薬剤の使用期間から薬剤併用禁忌の組み合わせを、前記点検情報データベースより該当する前記点検情報を取り出して点検することは当業者が容易に考えられる事項である。
また、データとして名前を用いるかそれに対応するコードを用いるかは、設計的事項であるので、引用例発明において、傷病コードの代わりに傷病名を用いることは当業者が容易に考えられる事項である。
よって、本願発明の相違点3に係る事項は、引用例1および引用例2に基づいて当業者が容易に考えられる事項である。
そして、本願発明の作用効果も、引用例1、引用例2及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-26 
結審通知日 2005-02-01 
審決日 2005-02-15 
出願番号 特願2000-384514(P2000-384514)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 直也  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 久保田 健
篠原 功一
発明の名称 医療システム及び医療処理プログラムを記録した記録媒体  
代理人 吉田 芳春  

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