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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B23Q
管理番号 1115426
審判番号 無効2004-80166  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-01-13 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-09-27 
確定日 2005-03-31 
事件の表示 上記当事者間の特許第3043616号発明「長尺ワークのローディング装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3043616号の請求項1〜4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯・本件発明
本件特許第3043616号の請求項1〜4に係る発明は、平成8年6月17日に出願され、平成12年3月10日にその発明について特許権の設定登録がされたものであり、本件請求項1〜4に係る発明(以下、本件発明1〜4という。)は、本件特許の願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】 断面円形の長尺ワークを長さ方向移動可能に支持する複数の水平ローラーを備えたワーク移送部と、移送部の片側より外方へ斜め上向きに張出して複数本のワークを並列状態で転動可能に支持する複数本の傾斜搬入レールと、このレールの長さ方向に移動可能で該レール上で支持される先頭のワークを受け止める可動ストッパーと、可動ストッパーの移動および定位置ロック操作手段と、前記レール上の先頭のワークを持ち上げて移送部の水平ローラー上へ移載するワーク移載具と、移送部の前記レール設置側に設けられて水平ローラーのワークの片側を基準位置に位置決めする固定位置決め部材と、固定位置決め部材に対して遠近方向に移動可能に設けれて水平ローラー上のワークを固定位置決め部材の反対側で位置決めする可動位置決め部材とからなるローディング装置であって、ワーク移載具は、その上端にワーク移載用の傾斜支持面を形成し、前記レール上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿って上下出退可能に構成され、前記可動ストッパーと前記可動位置決め部材とは一体に連設されていることを特徴とする長尺ワークのローディング装置。
【請求項2】 前記ワーク移載具は、傾斜支持面の下手側端部を揺動中心として傾斜搬入レール上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿って揺動するようにして上下出退可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の長尺ワークのローディング装置。
【請求項3】 前記ワーク移載具は、傾斜搬入レール上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿って上下垂直方向に昇降するようにして上下出退可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の長尺ワークのローディング装置。
【請求項4】 前記可動ストッパーと前記可動位置決め部材とは、傾斜搬入レールの側面に沿ってその長さ方向スライド可能に配設される横長プレートの長さ方向中間部と下手側端部とにそれぞれ上向きに一体に突出形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の長尺ワークのローディング装置。」


第2 請求人の主張概要
これに対して、請求人は、本件発明1〜4は、本件出願前に日本国内において公然実施された発明、及び、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜4についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、したがって、本件発明1〜4の特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである、旨主張している。
そして、証拠方法として以下の甲各号証を提出している。
甲第1号証:実願昭63-168074号(実開平2-88926号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開平2-53501号公報
甲第3号証:ノリタケマシン株式会社が作図した丸鋸切断機給材テーブルの図面写し
甲第11号証:ノリタケマシン株式会社の会社案内
甲第12号証:昭和63年5月20日に株式会社司鋼商会がノリタケマシン株式会社に対して「超硬丸鋸切断機」を注文した際の注文書
甲第13号証:昭和63年7月21日付でノリタケマシン株式会社が作成した、株式会社司鋼商会への「給材台」の納品に関する連絡票
甲第16号証:1982年3月付の株式会社栗本鉄工所が作成した、SB-350ピレットシャー取扱説明書の写し
甲第33号証:特開昭57-15623号公報
甲第39号証:2000年8月28日第2版1刷発行、日刊工業新聞社発行、特許技術用語集第2版、188頁、189頁
甲第40号証:株式会社ノリタケエンジニアリングの小沢祐司が、西島株式会社代表取締役西島篤師宛に発行した証明書
甲第41号証:株式会社ノリタケエンジニアリング履歴事項全部証明書

なお、請求人は、平成16年11月16日付の回答書において、無効理由とは直接関係しない以下の甲各号証を以下の要領で参考資料に変更している。甲第4号証〜甲第10号証を参考資料9〜参考資料15、甲第14号証〜甲第15号証を参考資料16〜参考資料17、甲第17号証〜甲第32号証を参考資料18〜参考資料33、甲第34〜38を参考資料34〜参考資料38に変更。


第3 被請求人の主張概要
一方、被請求人は、答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、請求人が提示する甲各号証には、本件発明1〜4の構成が記載されていると認められないから、これら甲各号証によっては、本件発明1〜4の進歩性を否定することは不可能である、旨主張している。


第4 当審の判断
1 甲各号証の記載の発明及び事項
甲各号証には以下の発明及び事項が記載されているものと認められる。
(1)甲第1号証
イ 実用新案登録請求の範囲
「外周円形の長尺ワークをその軸心方向に移動可能に支承する複数の水平ローラーを備えたワーク移送部と、この移送部の片側より外方へ斜め上向きに張出して前記ワークの複数本を並列状態で転動可能に支持する複数本の傾斜搬入レールと、該レールの長さ方向に移動可能であって該レール上で支持される先頭のワークを受け止める可動ストッパーと、この可動ストッパーの移動および定位置ロック操作手段と、前記レール上の先頭のワークを持ち上げて移送部の前記水平ローラー上へ移載する傾斜支持面を有する上下出退自在なワーク移載具と、移送部の前記レール設置側に取付けられて支持ローラー上のワークの片側を基準位置に位置決めする固定位置決め部材と、この固定位置決め部材に対して遠近方向に移動可能に設置されて前記支持ローラー上のワークを前記基準位置決の反対側で位置決めする可動位置決め部材とを備え、且つ該可動位置決め部材と前記可動ストッパーとが平面視同方向へ連動するように連結されてなる長尺ワークのローディング装置。」
ロ 明細書第7頁第20行〜第8頁第7行
「各ワーク移載具3は、レール4に近い位置にある固定支軸2aのレール4配設側(以下、右側とする)つまり水平ローラー2のない余剰部分に起伏揺動自在に支承された板状体からなり、遊端が前記レール4と同一方向に傾斜した右側傾斜面12aとこれより急傾斜で反対方向に傾斜した左側傾斜面12bとで中間を谷部12aとするV字形をなす傾斜支持面12を形成している。」
ハ 明細書第9頁第15行〜第10頁第12行
「各可動ストッパー6は、第6図で示すように、前記レール4と同一方向に傾斜した角柱状の基部6aとその中間位置より上方へ突設されたストッパー部6bとからなる略逆T形のブロックにて構成され、基部6aにその長さ方向に沿って穿設された長孔19,19の各々に前記レール4から突設されたガイドピン20を挿嵌することにより、該レール4の側部にその長さ方向に移動可能に支持されている。しかして、この可動ストッパー6の基部6aの傾斜下端側には側方に突出するガイドピン21が固着されており、第3図および第7図で示すように該ガイドピン2を可動ローラー18の摺動ブロック17の側面に設けてある上下方向のガイド溝17aに摺動自在に嵌合させてあり、従って該嵌合を介して可動ストッパー6と可動ローラー18とが平面視同方向に連動し、且つ可動ストッパー6の移動方向が傾斜していることによる両者の相対上下変位が該嵌合部分で吸収される。」
ニ 明細書第16頁第16行〜第17頁第12行
「本考案では、上記固定ストッパー5を省略しても差し支えないし、これ以外の各部材の細部構成も実施例以外に種々設計変更可能である。例えば、ワーク移載具3に関しては、傾斜支持面12を第8図の一点鎖線の如く固定ローラー15よりも移送部1側に谷間12cが位置するものとすればブロック14の傾斜面14aは不要となり、また可動ローラー18を高くして転動ストッパーの機能を担わせることによって傾斜支持面12全体を直線傾斜面としたり、ワーク移載具3を垂直に昇降する構成としてもよい。その他、固定ローラー15または可動ローラー18に代わる固定または可動位置決め部材として板状部材、例えば移送部1の長さ方向に沿った長尺板を使用し、可動側では各可動ストッパー6をこの長尺板に連動連結させた構成も採用できる。また可動ストッパーと可動位置決め部材とを一体化することも可能である。」

上記摘記事項イ〜ニの記載からみて、甲第1号証には、以下の発明が記載されていると認められる。
<甲第1号証記載の発明>
「外周円形の長尺ワークをその軸心方向に移動可能に支承する複数の水平ローラーを備えたワーク移送部と、この移送部の片側より外方へ斜め上向きに張出して前記ワークの複数本を並列状態で転動可能に支持する複数本の傾斜搬入レールと、該レールの長さ方向に移動可能であって該レール上で支持される先頭のワークを受け止める可動ストッパーと、この可動ストッパーの移動および定位置ロック操作手段と、前記レール上の先頭のワークを持ち上げて移送部の前記水平ローラー上へ移載するワーク移載具と、移送部の前記レール設置側に取付けられて支持ローラー上のワークの片側を基準位置に位置決めする固定位置決め部材と、この固定位置決め部材に対して遠近方向に移動可能に設置されて前記支持ローラー上のワークを前記基準位置決の反対側で位置決めする可動位置決め部材とからなるローディング装置であって、ワーク移載具は、その上端にワーク移載用の傾斜支持面を形成し、上下出退自在に構成され、該可動位置決め部材と前記可動ストッパーとが平面視同方向へ連動するように連結されてなる長尺ワークのローディング装置。」
<甲第1号証記載の事項>
「ワーク移載具3を垂直に昇降するように設計変更する点。」(以下、「記載事項A」という。)
「可動ストッパーと可動位置決め部材とを一体化するように設計変更する点。」(以下、「記載事項B」という。)
「可動ストッパー6は、第6図で示すように、前記レール4と同一方向に傾斜した角柱状の基部6aとその中間位置より上方へ突設されたストッパー部6bとからなる略逆T形のブロックにて構成され、嵌合を介して可動ストッパー6と可動ローラー18とが平面視同方向に連動する。」(以下、「記載事項C」という。)

(2)甲第33号証
イ 第2頁右下欄第15行〜第3頁左上欄第6行
「先ず、第1図〜第7図の実施例において、(1)は切断すべきパイプ等の長尺材(P)の供給部(A)を構成する・・・フレームであり、上部は長尺材(P)の供給を転動または滑動によって行なえるよう傾斜状に設けられ、・・・長尺材(P)を押上げるよう設けられている。」
ロ 第3頁右上欄第1行〜18行
「(6)は前記セパレータ(5)の中間部の位置で先端部を軸支したリフターであってセパレータ(5)より長尺材(P)の複数本分高位側へ延びており、これに連結されたシリンダー機構(7)により、セパレータ(5)と略同じ傾斜角でかつ同じ高さの傾斜位置と傾斜フレーム(1a)より低くなる水平位置との間で軸支点(8)を中心に間欠的に上下方向に回動するように設けられており、このリフター(6)が水平位置にあるとき長尺材(P)がセパレータ(5)の位置まで転動または滑動し、またリフター(6)が傾斜位置になると、その上の複数本の長尺材(P)がセパレータ(5)上を転動又は滑動して後述の送り込み装置へと供給されるとともに、後続の長尺材(P)がリフター(6)の後端でストップされるようになっている。この構成によって、長尺材(P)を複数本ずつリストアップして順次間欠的に供給できることになる」

上記摘記事項イ、ロの記載からみて、甲第33号証には、以下の事項が記載されている。
「パイプ等の長尺材(P)の供給部(A)において、リフター(6)は、傾斜支持面の下手側端部を揺動の軸支点(8)として傾斜フレーム(1a)上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿って揺動するようにして上下出退可能に構成されていること。」

2 対比・判断
(1)本件発明1
本件発明1と甲第1号証記載の発明とを対比すると、後者の「外周円形の長尺ワークをその軸心方向に移動可能に支承する」が前者の「断面円形の長尺ワークを長さ方向移動可能に支持する」に相当し、甲第1号証記載の発明の「ワーク移載具」と本件発明1の「ワーク移載具」とは、「その上端にワーク移載用の傾斜支持面を形成し、上下出退可能に構成されている」限りにおいて共通する。
そうすると、両者は、
「断面円形の長尺ワークを長さ方向移動可能に支持する複数の水平ローラーを備えたワーク移送部と、移送部の片側より外方へ斜め上向きに張出して複数本のワークを並列状態で転動可能に支持する複数本の傾斜搬入レールと、このレールの長さ方向に移動可能で該レール上で支持される先頭のワークを受け止める可動ストッパーと、可動ストッパーの移動および定位置ロック操作手段と、前記レール上の先頭のワークを持ち上げて移送部の水平ローラー上へ移載するワーク移載具と、移送部の前記レール設置側に設けられて水平ローラーのワークの片側を基準位置に位置決めする固定位置決め部材と、固定位置決め部材に対して遠近方向に移動可能に設けられて水平ローラー上のワークを固定位置決め部材の反対側で位置決めする可動位置決め部材とからなるローディング装置であって、ワーク移載具は、その上端にワーク移載用の傾斜支持面を形成し、上下出退可能に構成され、前記可動ストッパーと前記可動位置決め部材とは連結されている長尺ワークのローディング装置。」である点で一致し、次の各点で相違する。
(相違点1)
本件発明1は、「ワーク移載具」が傾斜搬入レール上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿って上下出退可能に構成されているのに対し、甲第1号証記載の発明は、「ワーク移載具」は傾斜搬入レール上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿って上下出退可能に構成されていない点。
(相違点2)
本件発明1は、「可動位置決め部材」と「可動ストッパー」とが一体に連設されているのに対し、甲第1号証記載の発明は、「可動位置決め部材」と「可動ストッパー」とが平面視同方向へ連動するように連結されているが、一体に連設されていない点。

上記相違点1について検討すると、甲第1号証には、「ワーク移載具」を垂直に昇降するように設計変更可能であることが記載されており(上記記載事項A参照)、また「ワーク移載具」が垂直に昇降する以上、その昇降方向が傾斜搬入レール上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿っていることは自明であるので、甲第1号証記載の発明に、上記甲第1号証記載の事項を適用し、上記相違点1に係る本件発明1のごとくすることは、当業者であれば容易になし得ることである。
上記相違点2について検討すると、甲第1号証には、「可動ストッパー」と「可動位置決め部材」とを一体化するように設計変更可能であることが記載されているので(上記記載事項B参照)、甲第1号証記載の発明に、上記甲第1号証記載の事項を適用し、上記相違点2に係る本件発明1のごとくすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

そして、上記相違点1及び2に係る本件発明1の発明特定事項が奏する作用効果は、甲1号証記載の発明及び事項から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

(2)本件発明2
本件発明2と甲第1号証記載の発明とを対比すると、上記相違点1、2に加えて、次の点で相違する。
(相違点3)
本件発明2は、「ワーク移載具」が傾斜支持面の下手側端部を揺動中心として揺動するようにして上下出退可能に構成されているのに対し、甲第1号証記載の発明は、「ワーク移載具」が傾斜支持面の下手側端部を揺動中心として揺動するものでない点。

そこで、上記相違点3について検討する。
甲第33号証に記載の「パイプ等の長尺材(P)の供給部(A)」が本件発明2の「長尺ワークのローディング装置」に、以下同様に「リフター(6)」が「ワーク移載具」に、「軸支点(8)」が「揺動中心」に、「傾斜フレーム(1a)」が「傾斜搬入レール」に、それぞれ相当するから、甲第33号証には、長尺ワークのローディング装置において、ワーク移載具は、傾斜支持面の下手側端部を揺動中心として傾斜搬入レール上で支持されるワークの長さ方向と直交する垂直面に沿って揺動するようにして上下出退可能に構成されている事項が記載されていると認められる。
ところで、甲第1号証記載の発明と甲第33号証記載の事項とは、長尺ワークのローディング装置という技術分野において共通するので、甲第1号証記載の発明に甲第33号証記載の事項を適用し、上記相違点3に係る本件発明2ごとくすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

そして、上記相違点3に係る本件発明2の発明特定事項が奏する作用効果は、甲1号証記載の発明及び甲第33号証記載の事項から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

(3)本件発明3
本件発明3と甲第1号証記載の発明とを対比すると、上記相違点1,2に加えて、次の点で相違する。
(相違点4)
本件発明3は、「ワーク移載具」が上下垂直方向に昇降するようにして上下出退可能に構成されているのに対し、甲第1号証記載の発明は、「ワーク移載具」が上下垂直方向に昇降するものでない点。

ところで、上記相違点4に係る本件発明3の発明特定事項は、甲第1号証に記載されているので(上記記載事項A参照)、甲第1号証記載の発明に、上記甲第1号証記載の事項を適用し、上記相違点4に係る本件発明3のごとくすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

そして、上記相違点4に係る本件発明3の発明特定事項が奏する作用効果は、甲1号証記載の発明及び事項から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。

(4)本件発明4
本件発明4と甲第1号証記載の発明とを対比すると、上記相違点1〜4に加えて、次の点で相違する。
(相違点5)
本件発明4は、「可動ストッパー」と「可動位置決め部材」とが傾斜搬入レールの側面に沿ってその長さ方向スライド可能に配設される横長プレートの長さ方向中間部と下手側端部とにそれぞれ上向きに一体に突出形成されているのに対し、甲第1号証記載の発明は、「可動ストッパー」と「可動位置決め部材」とがそのように形成されていない点。

上記相違点5について検討する。
甲第1号証の上記記載事項Cにおいて、甲第1号証記載の「可動ストッパー6」が本件発明4の「可動ストッパー」に、以下同様に「レール4と同一方向に傾斜した角柱状の基部6a」が「傾斜搬入レールの側面に沿ってその長さ方向スライド可能に配設される横長プレート」に、「可動ローラー18」が「可動位置決め部材」に、それぞれ相当するから、甲第1号証には、傾斜搬入レールの側面に沿ってその長さ方向スライド可能に配設される横長プレートの長さ方向中間部に可動ストッパーが上向きに突出形成されるとの事項が記載されていると言える。また、甲第1号証には、可動ストッパーと可動位置決め部材とを一体化するように設計変更可能であることが記載されている(上記記載事項B参照)。そうすると、甲第1号証記載の発明に、甲第1号証記載の上記各事項を適用し、上記相違点5に係る本件発明4のごとくすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

そして、上記相違点5に係る本件発明4の発明特定事項が奏する作用効果は、甲1号証記載の発明及び事項から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別のものということができない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1〜4は、甲第1号証記載の発明、事項及び甲第33号証記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜4に係る本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-02-01 
結審通知日 2005-02-03 
審決日 2005-02-17 
出願番号 特願平8-155816
審決分類 P 1 113・ 121- Z (B23Q)
最終処分 成立  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 上原 徹
林 茂樹
登録日 2000-03-10 
登録番号 特許第3043616号(P3043616)
発明の名称 長尺ワークのローディング装置  
代理人 辻 実  
代理人 山田 智重  
代理人 藤川 義人  
代理人 山田 克巳  
代理人 山田 勝重  
代理人 山田 博重  
代理人 藤川 忠司  

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