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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B23D |
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管理番号 | 1115516 |
審判番号 | 不服2002-22106 |
総通号数 | 66 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-12-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-10-10 |
確定日 | 2005-04-18 |
事件の表示 | 平成5年特許願第154602号「棒材加工機に対する棒材搬出入装置」拒絶査定不服審判事件〔平成6年12月13日出願公開、特開平6-339807〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯・本件発明 本件出願は、平成5年6月2日の特許出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「棒材の加工を行う棒材加工機の後側に、当該棒材加工機に対して棒材の送材を行う送材コンベアを設け、この送材コンベアに対して棒材の搬出入を行う搬送コンベアを、前記送材コンベアに交差して当該送材コンベアの両側に亘って設けると共に、前記送材コンベアを前記搬送コンベアに対して相対的に出没可能に設け、前記搬送コンベアと棒材を貯蔵した棒材貯蔵部との間で棒材の搬送を行う棒材搬送装置を設け、前記搬送コンベア上の棒材を上方向に押上げ自在かつ前記棒材搬送装置との間で棒材を受け渡し自在の棒材受け部を上下動自在に備えた棒材押上装置を、前記送材コンベアの両側方の所定位置に設けてなることを特徴とする棒材加工機に対する棒材搬出入装置。」 第2 引用例記載事項 これに対して、平成5年法律第26号による改正前の特許法第161条の2の規定による審査における拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭57-6288号(実開昭58-110331号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されていると認める。 1 明細書第1頁第19行-第2頁第1行 「考案の技術分野 本考案は棒材を複数の加工機に対して搬送、供給する棒材自動加工装置に関する。」 2 明細書第4頁第1行-第9頁第9行 「第2図および第3図は装置全体を示しており、図中1は加工機ライン、2は搬送ラインである。加工機ライン1は、棒材の加工内容に応じて棒材の搬送方向前側から切断機3、旋盤4および研摩機5を間隔を置いて一列に並べることにより構成されている。・・・ 供給コンベア6は加工機ライン1の第1段階の切断機3に対し棒材搬送方向後側に設けられるもので、・・・そして、供給コンベア6は多数の棒材Aを各チエーン9を掛け渡すようにしてチエーン長手方向に並べて支持具12で支持することによりストツクしておき、各チエーン9を間欠的に棒材搬送方向前方に向けて回転移動させて棒材Aを搬送コンベア7に供給する。 搬送コンベア7は、加工機ライン1の切断機3、旋盤4および研摩機5の間に側方に設けられるもので、・・・また、チエーン9の前端部とチエーン13の基端部との間にはチエーン9から供給された棒材Aをチエーン13に移動させるシユート17が設けてある。そして、搬送コンベア7は各チエーン13にわたつて棒材Aを受けて支持具16で支持し、・・・各加工機の間で棒材Aを搬送する。 フイーダ8は、加工機ライン1における切断機3、旋盤4および研摩機5の各側方に夫々設けられるものである。フイーダ8は、・・・昇降される架台22を有している。架台22には棒材Aを挟んで各加工機に対し供給、取り出し方向(棒材搬送方向に対し直角な方向)に移動させる一対のローラ23,24が設けてあり、・・・そして、フイーダ8においては、搬送コンベア7のチエーン13により棒材Aが各加工機に対応した個所に搬送されてきた時に、空気シリンダ21により架台22を上昇させるとともにローラ24をローラ23に接近させて棒材Aを挟持し、ローラ23の回転により棒材Aを各加工機の所定加工位置まで移動させる。加工機が棒材Aを加工している間にローラ23に回転が停止してローラ23,24で棒材Aを保持し、加工終了後にローラ23が逆方向に回転し棒材Aを加工機からフイーダ8における元の位置まで移動させ、次いで空気シリンダ21により架台22を下降して棒材Aを搬送コンベア7のチエーン13上に再び支持させる。・・・ さらに、この実施例の搬送ライン2においては、加工機ライン1の研摩機5に対し棒材搬送方向前側に位置してアンローダ・ストツカ35が設けてある。このアンローダ・ストツカ35は、搬送コンベア7のチエーン13からの棒材Aを受けるためにシリンダ36により昇降されるワークガイド37と、水平アーム38に移動自在に支持され電動機39を駆動源とするチエーン40により移動されるスライダ41と、このスライダ41に設けられた空気圧で開閉動作するチヤツク42と、棒材Aをストツクするストツク台車43とで構成されている。・・・チエーン13で搬送されてきた棒材Aはワークガイド37により持上げられてチエーン13より外され、チヤツク42で把持された後にスライダ41が移動して予め指定されたストツク台車43上のゲート位置まで搬送され、次いでチヤツク42が開いて棒材Aをストツク台車43に載せてストツクする。」 上記記載事項より、引用例には、次の「棒材自動加工装置」が記載されていると認める。 「棒材Aの加工を行う切断機3、旋盤4及び研摩機5の加工機ライン1の後側に、当該加工機ライン1に対して棒材Aの送材を行うフイーダ8を設け、このフイーダ8に対して棒材Aの搬出入を行う搬送コンベア7を、前記フイーダ8に交差して当該フイーダ8の両側に亘って設けると共に、前記フイーダ8を前記搬送コンベア7に対して相対的に出没可能に設け、棒材Aをストツクした供給コンベア6から前記搬送コンベア7への棒材Aの搬送を行うシユート17をフイーダ8の棒材搬送方向後側である他側方の所定位置に設け、前記搬送コンベア7から棒材Aをストツクするストック台車43への棒材Aの搬送を行う水平アーム38、電動機39、チェーン40、スライダ41及びチヤツク42からなる搬送手段を設け、前記搬送コンベア7上の棒材Aを上方向に押上げ自在かつ前記搬送手段に棒材Aを受け渡し自在のワークガイド37を上下動自在に備えたシリンダ36を、前記フイーダ8の棒材搬送方向前側である一側方の所定位置に設けてなる加工機ライン1に対して棒材Aを搬送、供給する棒材自動加工装置」(以下、「引用例記載の発明」という。) 第3 対比 本件発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「切断機3、旋盤4及び研摩機5の加工機ライン1」が本件発明の「棒材加工機」に相当し、以下同様に、「棒材Aをストツクした供給コンベア6」が「棒材を貯蔵した棒材貯蔵部」に、「棒材Aをストツクするストツク台車43」が「棒材を貯蔵した棒材貯蔵部」に、「ワークガイド37」が「棒材受け部」に、「シリンダ36」が「棒材押上装置」に、「棒材Aを搬送、供給する棒材自動加工装置」が「棒材搬出入装置」にそれぞれ相当していることが明らかである。 また、引用例記載の発明の「棒材を貯蔵した棒材貯蔵部から搬送コンベアへの棒材の搬送を行うシユート17」及び「搬送コンベアから棒材を貯蔵した棒材貯蔵部への棒材の搬送を行う搬送手段」は、搬送コンベア・棒材貯蔵部間の搬送装置であることに限り、本件発明の「搬送コンベアと棒材を貯蔵した棒材貯蔵部との間で棒材の搬送を行う棒材搬送装置」と一致している。 さらに、引用例記載の発明の「フイーダ8」は、送材装置であることに限り、本件発明の「送材コンベア」と一致しており、送材装置に対する棒材受け部を上下動自在に備えた棒材押上装置の設置位置について、引用例記載の発明の「一側方」は、そのことに限り、本件発明の「両側方」と一致している。 したがって、本件発明と引用例記載の発明とは、次の「棒材搬出入装置」で一致している。 棒材の加工を行う棒材加工機の後側に、当該棒材加工機に対して棒材の送材を行う送材装置を設け、この送材装置に対して棒材の搬出入を行う搬送コンベアを、前記送材装置に交差して当該送材装置の両側に亘って設けると共に、前記送材装置を前記搬送コンベアに対して相対的に出没可能に設け、搬送コンベア・棒材貯蔵部間の搬送装置を設け、前記搬送コンベア上の棒材を上方向に押上げ自在かつ前記搬送装置に棒材を受け渡し自在の棒材受け部を上下動自在に備えた棒材押上装置を、前記送材装置の一側方の所定位置に設けてなる棒材加工機に対する棒材搬出入装置。」 そして、両者は、次の点で相違している。 本件発明では、搬送コンベア・棒材貯蔵部間の搬送装置が搬送コンベアと棒材を貯蔵した棒材貯蔵部との間で棒材の搬送を行う棒材搬送装置であり、棒材受け部が棒材搬送装置との間で棒材を受け渡し自在であり、棒材押上装置が送材装置の両側方に設けられているのに対し、引用例記載の発明では、搬送コンベア・棒材貯蔵部間の搬送装置が棒材を貯蔵した棒材貯蔵部から搬送コンベアへの棒材の搬送を行うシユート及び搬送コンベアから棒材を貯蔵した棒材貯蔵部への棒材の搬送を行う搬送手段であり、棒材受け部が搬送手段へ棒材を受け渡し自在であり、棒材押上装置が送材装置の一側方に設けられている点(以下、「相違点1」という。)。 送材装置が、本件発明では送材コンベアであるのに対し、引用例記載の発明ではフイーダである点(以下、「相違点2」という。)。 第4 相違点についての検討 前記各相違点について、以下検討する。 1 相違点1について 引用例記載の発明において、棒材受け部は上方向に押上げられることにより搬送コンベア上の棒材を受け取り、搬送手段は棒材受け部で受け取られた棒材をチヤツクで把持して棒材貯蔵部に搬送するものであり、このような棒材受け部及び搬送手段の作動により、搬送ベルトから棒材貯蔵部への棒材の搬送が行われるのであるが、棒材受け部及び搬送手段の機能からみて、搬送手段のチャックで把持された棒材を、棒材受け部を上方向に押上げて受け取り、下方向に下げて搬送ベルト上に載せることにより、上記の搬送方向とは逆の棒材貯蔵部から搬送ベルトへの棒材の搬送を行うことができることも、当業者にとって明らかである。 そして、引用例記載の発明において、棒材貯蔵部から搬送コンベアへの棒材の搬送は、送材装置の他側方の所定位置に設けられているシユートで行っているが、上記のとおり、搬送手段及び棒材受け部により棒材貯蔵部から搬送ベルトへの棒材の搬送を行うことができることも当業者にとって明らかであるので、シユートに代えて搬送手段及び棒材受け部を上下動自在に備えた棒材押上装置を採用することに格別の困難性は見当たらない。 また、引用例記載の発明において、棒材受け部を上下動自在に備えた棒材押上装置は、送材装置の一側方の所定位置にも設けられているのであるから、上記採用により、棒材受け部を上下動自在に備えた棒材押上装置が送材装置の両側方の所定位置に設けられることは、当然のことである。 さらに、引用例記載の発明において、搬送手段は搬送コンベアから棒材貯蔵部への棒材の搬送を行うものであり、そして、上記のとおり、シユートに代えて採用された搬送手段は、棒材貯蔵部から搬送コンベアへの棒材の搬送を行うものであるので、これらの二つの搬送手段は、搬送コンベアと棒材貯蔵部との間で棒材の搬送を行うものとなり、本件発明の棒材搬送装置に相当するものとなる。 以上のとおりであるので、相違点1における本件発明の構成のようにするは、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に想到することができたことである。 2 相違点2について 棒材搬出入装置において、送材装置として、送材コンベアを用いることは、例えば、特開平4-115815号公報、実願昭63-151284号(実開平2-74123号)のマイクロフィルム等に記載されているように、従来周知の事項であるので、引用例記載の発明において、送材装置であるフィーダに代えて従来周知の送材コンベアを採用することに格別の困難性は見当たらない。 3 作用効果について 本件発明の奏する作用効果は、引用例記載の発明及び前記従来周知の事項より当業者であれば予測できる程度のものであって、格別のものではない。 第5 むすび したがって、本件発明は、引用例記載の発明及び前記従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をすることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-02-04 |
結審通知日 | 2005-02-15 |
審決日 | 2005-02-28 |
出願番号 | 特願平5-154602 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B23D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高田 元樹 |
特許庁審判長 |
西川 恵雄 |
特許庁審判官 |
林 茂樹 菅澤 洋二 |
発明の名称 | 棒材加工機に対する棒材搬出入装置 |