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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1116056
審判番号 不服2001-1659  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-10-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-08 
確定日 2005-05-06 
事件の表示 平成 9年特許願第 83070号「テキスト画像表示方法,及びコンピュータプログラムを記録した機械読取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月20日出願公開、特開平10-277268〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年4月1日に出願され、平成12年3月24日付拒絶理由に対応して平成12年6月5日手続補正書が提出され、平成13年1月5日付で拒絶査定され、これに対して拒絶査定不服の審判が請求されたものであって、本願の請求項1ないし7に係る発明は、前記手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜7に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という)は次のとおりである。
「ビデオゲームに係る情報を示すテキスト画像を画面に表示する方法であって、機械的結合部によって相互に結合された複数のパーツからなりこれらの各パーツのうち少なくとも一つが前記テキスト画像の表示エリアを備えたテキスト表示部の画像を前記画面に表示し、
入力された変形命令に応じて、前記各パーツの前記機械的結合部を中心とした相対移動によって前記テキスト表示部が変形する様子を前記画面に表示することを特徴とするテキスト画像表示方法。」


第二.刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由に引用された、特開平8-112399号公報(以下「刊行物A」という)、及びRPGゲームにおいて、プレイヤーの入力操作によるゲーム情報の獲得が周知であることを示す例としての刊行物、「ドラゴンクエストII 悪霊の神々 公式ガイドブック」、初版第27刷、株式会社エニックス、1991年8月10日、P12〜17)(以下「周知例」という) には、以下の事項が記載されている。

(A)特開平8-112399号公報
(A-1).「【0014】 【発明が解決しようとする課題】 従来のコメントの文字を表示する方法は、ただ単に静止したコメントの文字列が表示部に出現するだけなので、プレイヤーの注意を引きにくいものであった。このため、派手さがなく、時には見逃してしまう場合があり、コメントが指示する次の手順措置を取れないと、プレイヤーに不利になることもあった。 各プレイヤー毎にコメント表示部があり、個別にゲームの進展状況に応じて、コメントを切り替えるが、変更文字列も同様な静止文字列なので、各プレイヤーにはゲームの進行に必要な自己のコメントがすぐにはわかりずらいものであった。 ビンゴゲーム機1の遊技者は、多種多様な場面を楽しむことでゲームを堪能しており、各場面の実況に対応した派手なコメント表示がなされることが望ましい。」
(A-2).「【0015】 この種ゲームの進行状況は遊技者にとっては、極めて大きな意味を有するものであり、見落としのない視覚的なコメント表示にすることが望ましい。
そこで本発明は、上記従来例の問題を解決すべく、プレイヤーの注意を促し、コメントを鮮やかにアピールする表示方法とその装置を提供することを目的とする。」
(A-3).「【0016】 【課題を解決するための手段】 この発明では、ゲームの進行状況に応じてプレイヤーに通知するコメントの文字や記号を表示部に表示する方法において、コメントの文字列を平面板の上に記載した単位画像としてとらえ、この平面板の上の単位画像が所定の軸の回りに回転した時に、この単位画像の正面図が表す、次第に扁平に変化する形状を、複数枚の傾いた状態図として、画像パターン化して記憶装置に記憶しておき、コメントの文字や記号を表示部に表示する際には、画像パターンを読み出して、次第に扁平に変化する順番に画像パターンを表示部に表示して、コメントの文字や記号が平面板とともにあたかも回転して見えるようにした。」

(B).周知例
(B-1).「キャラクターの操作・・・コマンド操作は6つ マル1はなす マル2じゅもん マル3つよさ マル4どうぐ マル5そうび マル6しらべる マップ上で何もしないで立ち止まる。そしてマルAボタンを押してみよう。コマンド表示窓が現われる。 コマンドの数は全部で6つ。このわずか6つの操作を覚えるだけで君は自由自在に冒険できる。」(第12頁上段)
(B-2).「コマンド一覧表 ・・・マル2つよさ-誰の-指定キャラのパラメータ画面 マル3そうび-誰の-指定キャラの装備を見る ・・・マル6→足元を調べる・・・。」(第12頁下段)
(B-3).「マル3つよさ キャラクターのデータがわかる・・・●つよさの見方 勇者がどのくらい強くなったかは「つよさ」のコマンドで調べよう。いろんな能力が一目瞭然だ。さらに、+で仲間を選べば彼らの強さも判る。勇者と違って2人の仲間は彼らが使える呪文も表示されるのだ。」(第14頁上段)


第三.対比
(1).RPGゲームは周知のゲームであり、当該RPGゲームにおいて、ゲーム情報を知りたい場合にプレイヤーによる入力操作により、プレイ画面上に当該ゲーム情報をテキスト等にて表示するテキスト画像表示方法も、前記周知例に示されるように周知の事項である。
そこで、当該周知のRPGゲームのテキスト画像表示方法と本願発明とを比較すると、 両者は、
「ビデオゲームに係る情報を示すテキスト画像を画面に表示する方法であって、前記テキスト画像の表示エリアを備えたテキスト表示部の画像を前記画面に表示し、入力に応じて、前記画面に表示するテキスト画像表示方法。」において一致し、下記の点において相違する。
(i).相違点1
テキスト画像を画面中で表示する為に画面上に表示される、「表示体構造」画像に関して、本願発明は、機械的結合部によって相互に結合された複数のパーツからなりこれらの各パーツのうち少なくとも一つがテキスト画像の表示エリアを備えている表示体の画像であるのに対し、前記周知のRPGゲームにおいてはそのような「表示体構造」画像でない点
(ii).相違点2
テキスト画像の表示に関して、本願発明は、入力された変形命令に応じて、各パーツの機械的結合部を中心とした相対移動によってテキスト表示部が変形する様子を表示するのに対し、前記周知のRPGゲームにおいてはそのような表示でない点

(2).相違点の検討
(i).相違点1について、
表示体構造として、機械的結合部によって相互に結合された複数のパーツからなりこれらの各パーツのうち少なくとも一つがテキスト表示エリアを備えている表示体構造は、例えば特開平4-51981号公報(テキスト表示エリア:符号2A、2B)、特開平7-236761号公報(テキスト表示エリア:符号31〜34、53、62、63)、実願平5-30811号(実開平7-460号公報)のマイクロフィルム(テキスト表示エリア:符号8、9)特開平7-204342号公報(テキスト表示エリア:符号14)に示されるように周知の表示体構造であるから、当該表示体構造を模して、画面表示における表示体構造として採用することは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。
(ii).相違点2について
本願発明における「入力された変形命令」とは、図面特に図3の説明を参照すると、ゲームに係る情報を表示させる入力操作であると認められるので当該解釈の下に検討する。
前記周知の表示体構造に情報の表示、変更させる場合、当該テキスト表示エリアが変位するものであるから、当該表示観察者にとって、テキスト表示エリアの見え方が変化することは周知の事項である。
しかも、そのような表示部の見え方の変化を積極的に用いてテキスト表示エリアが変形する様子を画面に表示させることが刊行物Aに記載されているから、上記相違点1について検討したように、画像表示に採用することが設計的事項であるとした前記周知の表示体構造において、当該表示体構造の相対的移動によるテキスト表示部の変化する様子を画面に表示させることは当業者が容易に想到できることである。
そして、以上の相違点を総合的に判断しても格別の作用効果も認められない。


第四.まとめ
したがって、本願発明は、周知のRPGゲームのテキスト画像表示方法、周知の表示体構造、刊行物Aに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-07 
結審通知日 2005-03-08 
審決日 2005-03-23 
出願番号 特願平9-83070
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 塩崎 進
白樫 泰子
発明の名称 テキスト画像表示方法,及びコンピュータプログラムを記録した機械読取り可能な記録媒体  
代理人 遠山 勉  

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