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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1116108
異議申立番号 異議2003-72871  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-06-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-26 
確定日 2005-03-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3410008号「輪郭補償システム」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3410008号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3410008号の請求項1ないし6に係る発明についての出願は、平成9年12月4日に出願され、平成15年3月20日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人溝呂木寛及び異議申立人金子和弘から特許異議の申立てがなされ、取消理由通知の指定期間内である平成16年10月18日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
平成16年10月18日付け訂正請求書によって特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。
(ア)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1、2、3、4、5、及び6に係る記載
「【請求項1】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、
前記ズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備えたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項2】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、
前記ズーム倍率検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備えたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項3】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、
輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、
前記ズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備えたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項4】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、
前記ズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとからなることを特徴とする輪郭補償方法。
【請求項5】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、
前記ズーム倍率検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとからなることを特徴とする輪郭補償方法。
【請求項6】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、
輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、
前記ズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとからなることを特徴とする輪郭補償方法。」
を、
「【請求項1】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、
前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項2】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、
前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項3】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、
前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項4】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、
前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法。
【請求項5】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、
前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法。
【請求項6】 被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、
前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法。」
と訂正する(下線部が訂正箇所、以下同じ。)。
(イ)訂正事項b
明細書の段落番号【0010】に記載された
「上述の課題を解決するために、第1の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、前記ズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備えたことを特徴とする輪郭補償装置である。」
を、
「上述の課題を解決するために、第1の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置である。」
と訂正する。
(ウ)訂正事項c
明細書の段落番号【0011】に記載された
「また、第2の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、前記ズーム倍率検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備えたことを特徴とする輪郭補償装置である。」
を、
「また、第2の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置である。」
と訂正する。
(エ)訂正事項d
明細書の段落番号【0012】に記載された
「また、第3の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、前記ズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備えたことを特徴とする輪郭補償装置である。」
を、
「また、第3の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置である。」
と訂正する。
(オ)訂正事項e
明細書の段落番号【0013】に記載された
「また、第4の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、前記ズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとからなることを特徴とする輪郭補償方法である。」
を、
「また、第4の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法である。」
と訂正する。
(カ)訂正事項f
明細書の段落番号【0014】に記載された
「また、第5の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、前記ズーム倍率検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとからなることを特徴とする輪郭補償方法である。」
を、
「また、第5の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法である。」
と訂正する。
(キ)訂正事項g
明細書の段落番号【0015】に記載された
「更に、第6の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、前記ズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとからなることを特徴とする輪郭補償方法である。」
を、
「更に、第6の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法である。」
と訂正する。
(ク)訂正事項h
明細書の段落番号【0102】に記載された
「本発明に係る輪郭補償システムである輪郭補償装置によれば、制御部は、ズーム倍率検出回路,撮像モード検出回路の各出力のうちから選択した選択出力、又は、ズーム倍率検出回路,補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力、もしくは、ズーム倍率検出回路,撮像モード検出回路,補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、輪郭補償手段で撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御しているため、被写体像の撮像信号に対して折り返しノイズの増大を軽減することができる。このため、周波数特性及びS/N比の劣化を防止して、表示画像の画質の向上を図ることができる。
また、本発明に係る輪郭補償システムである輪郭補償方法によれば、制御ステップは、ズーム倍率検出ステップ,撮像モード検出ステップの各出力のうちから選択した選択出力、又は、ズーム倍率検出ステップ,補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力、もしくは、ズーム倍率検出ステップ,撮像モード検出ステップ,補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、輪郭補償ステップで撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御しているため、被写体像の撮像信号に対して折り返しノイズの増大を軽減することができる。このため、周波数特性及びS/N比の劣化を防止して、表示画像の画質の向上を図ることができる。」
を、
「本発明に係る輪郭補償システムによれば、電子ズームにおけるズーム倍率検出により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて輪郭報償のための輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するようにしているめ、被写体像の撮像倍率が変化してもそれに応じた撮像信号に対する折り返しノイズの増大を軽減することができる。このため、周波数特性及びS/N比の劣化を防止して、表示画像の画質の向上を図ることができる。」
と訂正する。

(2)訂正事項について
上記訂正事項aは、請求項1ないし3において、輪郭補償手段での輪郭補償処理の制御に用いられるズーム倍率検出回路の出力が「電子ズーム手段における」ものであるとの限定事項を追加し、「制御部」について「前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成とした」との限定事項を追加するものである。
また、上記訂正事項aは、請求項4ないし6において、輪郭補償ステップでの輪郭補償処理の制御に用いられるズーム倍率検出ステップの出力が「電子ズームステップにおける」ものであると限定事項を追加し、「制御ステップ」について「前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップである」との限定事項を追加するものである。
また、上記訂正事項aは、請求項2、3、5、6の「輪郭補償処理を施す」を「前記輪郭補償処理を施す」とする明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
したがって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
上記訂正事項bないしhは、特許請求の範囲と発明の詳細な説明とを整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申し立てについて
(1)申立ての理由の内容
異議申立人溝呂木寛は、本件請求項1ないし6に係る発明の特許に対して、証拠として
甲第1号証:特開平2-131679号公報(以下、「刊行物1」という。)
甲第2号証:特開平5-137147号公報(以下、「刊行物2」という。)
甲第3号証:特開平4-358479号公報(以下、「刊行物3」という。)
甲第4号証:特開平6-339458号公報(以下、「刊行物4」という。)
を提出し、本件請求項1ないし6に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件請求項1ないし6に係る発明の特許は取り消されるべきものである旨主張している。
また、異議申立人金子和弘は、本件請求項1及び4に係る発明の特許に対して、証拠として
甲第1号証:特開平2-131679号公報(刊行物1と同じ)
甲第2号証:特開平4-278783号公報(以下、「刊行物5」という。)
を提出し、本件請求項1及び4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件請求項1及び4に係る発明の特許は取り消されるべきものである旨主張している。

(2)本件発明
上記2に記載したとおり、平成16年10月18日付訂正請求書による訂正請求は認容されるので、本件の請求項1ないし6に係る発明の特許(以下、「本件特許発明1ないし6」という。)は、同訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものと認める。

(3)引用刊行物記載の発明
当審が通知した取消理由に引用した刊行物1(特開平2-131679号公報)には、電子ズーム装置及び電子ズーム内蔵撮像装置に関し、下記の事項が図面と共に記載されているものと認められる。
(ア)電子ズーム装置は、高周波フィルタと帯域フィルタとを備え、電子ズーム倍率により各フィルタから出力される信号のゲインを制御するとともに補間回路の制御を行う。アパーチャ補正信号を合成するためのフィルタを複数個用い、異なる帯域の信号を分離して各信号ごとに独立にゲインを設定する。(4頁右上欄4-19行)
(イ)電子ズーム倍率が比較的低い範囲では尖鋭感の低下は少なくノイズ成分の少ないBPF-B34の帯域を+3dBブーストする。また電子ズーム倍率が2倍に近いところでは尖鋭感の低下が多くなり、尖鋭感の十分に改善される最も高い帯域HPF32の成分を+5dBブーストする。このとき、信号成分と同時にノイズ成分も同時にブーストされるため、コアリング回路14の特性を同時に制御してS/Nの低下を最小限にとどめる。(4頁左下欄10-20行、第7図、第8図)
(ウ)アパーチャ補正回路のブースト量、ブースト周波数を制御できるようにフィルタを設け、コアリング回路によりコアリングレベルを制御できるようにし、これらを電子ズーム倍率に応じて制御することにより、それぞれの電子ズーム倍率において適切な制御が可能となり、尖鋭感を低下させずにS/N比の低下も最小限にすることが可能となる。(4頁右下欄14行-5頁左上欄2行)

同刊行物2(特開平5-137147号公報)には、ビデオカメラに関し、下記の事項が図面と共に記載されているものと認められる。
(エ)ROMに複数の撮影モードに対する制御データを格納しておき、例えば、人物撮影に重点を置いたポートレイトモードを選択した場合、輝度信号処理回路が制御されて画面をソフトに仕上げるために輪郭補正量や周波数特性が設定される。(段落【0017】)

同刊行物3(特開平4-358479号公報)には、ビデオカメラに関し、下記の事項が図面と共に記載されているものと認められる。
(オ)光学ズームレンズの倍率の変化に応じて、テレ端からワイド端で徐々に輪郭補正処理によるブースト周波数が高くなるように変化させると、ワイド端では輪郭が細い線で強調された画像に見え、テレ端では輪郭が太い線で強調されたように見える。(段落【0024】)

同刊行物4(特開平6-339458号公報)には、内視鏡装置に関し、下記の事項が図面と共に記載されているものと認められる。
(カ)輪郭補正回路の強調周波数、強調レベルを画面の態様に応じてユーザの操作によって設定可能とした内視鏡装置。(段落【0002】、【0009】)

同刊行物5(特開平4-278783号公報)には、映像信号記録再生装置に関し、下記の事項が図面と共に記載されているものと認められる。
(キ)動画の撮影モードと静止画の撮影モードを備え、撮影モードに適した輪郭補償等の信号処理を制御するようにした静止画記録可能なビデオテープレコーダー。(段落【0020】、【0026】)

(4)対比・判断
本件特許発明1ないし6と上記刊行物1ないし5に記載された発明とを対比、判断すると、
上記刊行物1に記載の発明は、上記記載(ア)ないし(ウ)からみて、尖鋭感を改善させるために、映像信号を複数のフィルタで複数の帯域に分離し、電子ズーム倍率が高いときは、高域フィルタの成分をブーストし、ノイズ成分を改善するためにコアリングレベルを制御するものであって、折り返しノイズの軽減を示唆するものではなく、電子ズーム倍率が高くなるに応じて中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するように制御するものではない。
上記刊行物2に記載の発明は、上記記載(エ)からみて、撮影モードに応じた輪郭補償処理を行うものであり、電子ズーム倍率と輪郭補償処理との関係を示唆するものではない。
上記刊行物3に記載の発明は、上記記載(オ)からみて、光学ズームレンズの倍率の変化に応じて、光学ズーム倍率が大きくなるに従って輪郭補正処理によるブースト周波数が高くなるように変化させるものであり、電子ズームに関するものではなく、また、折り返しノイズの軽減のために、ズーム倍率が高くなるに応じて中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するように制御するものではない。
上記刊行物4に記載の発明は、上記記載(カ)からみて、ユーザの操作によって輪郭補正回路の強調周波数を設定可能とするものであって、電子ズームに関するものではなく、輪郭補正もズーム倍率が高くなるに応じて中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するようにするものではない。
上記刊行物5に記載の発明は、上記記載(キ)からみて、撮影モードに応じて適した輪郭補償処理を行うものであって、電子ズームに関するものではなく、輪郭補正もズーム倍率が高くなるに応じて中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するようにするものではない。
したがって、上記刊行物1ないし5に記載の各発明は、本件特許発明1ないし3における「制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対し高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成とした」という主要事項1、本件特許発明4ないし6における「制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであること」という主要事項2を備えておらず、上記刊行物1ないし5には、上記主要事項1及び2を示唆する記載もない。
そして、本件特許発明1ないし6は、上記主要事項1,2により、明細書に記載された「被写体の撮影倍率が変化してもそれに応じた撮像信号に対する折り返しノイズの増大を軽減することができる。」という作用効果を奏するものであり、この点は前記各刊行物に記載のものから期待することができない格別のものである。
したがって、本件特許発明1ないし6は、上記刊行物1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし6に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし6に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
輪郭補償システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、
前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項2】
被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、
前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項3】
被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、
前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、
撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、
前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置。
【請求項4】
被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、
前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法。
【請求項5】
被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、
前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法。
【請求項6】
被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、
前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、
撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、
前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、
前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばビデオカメラ装置、カメラ装置、コンピュータ装置の画像処理系等に設けて好適な輪郭補償システムに関し、特に画像情報或いは撮像情報の電子ズームのズーム倍率に応じた周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すようにした輪郭補償システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日において、所望の被写体を撮像することにより得られた撮像信号を、デジタル化してビデオカセットテープに記録するデジタルビデオカメラ装置が知られている。
【0003】
このデジタルビデオカメラ装置は、CCDイメージセンサで撮像光を取り込み、この撮像光の光量に応じたアナログの撮像信号を形成する。この撮像信号は、適当な利得で増幅されデジタル化された後ガンマ補正処理が施され輪郭補償回路に供給される。輪郭補償回路は、固定値とされた輪郭補償係数を用いて撮像データの特定周波数を強調した輪郭補償データを形成し、これを元の撮像データと加算処理することで該撮像データに輪郭補償処理を施し、これを電子ズーム回路に供給する。電子ズーム回路は、ユーザにより指定された倍率となるように、輪郭補償処理の施された撮像データに対して例えばライン補間処理等を施して被写体像を電気的に拡大処理して出力する。この撮像データは、所定のビデオプロセス処理が施され、ビデオカセットテープに記録される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のデジタルビデオカメラ装置は、輪郭補償回路の輪郭補償係数が固定値とされており、この結果、輪郭補償処理により強調される周波数帯域が限定(固定)されるため、前記電子ズーム回路により高倍率の電子ズーム処理を行うと折り返しノイズが増大して周波数特性及びS/N比が劣化し、表示画像の画質が劣化する問題があった。
【0005】
なお、特開平5-122577号公報において、電子ズームの拡大率に応じて輪郭補償係数の値を可変制御して解像度の劣化を防止するビデオカメラ装置が開示されているのであるが、このような従来の技術は、輪郭補償係数の値を可変することで「補正レベル」を可変制御するものである。すなわち、撮像情報の全体的なレベルの上下制御で輪郭補償処理を実現しているものである。このため、良好な輪郭補償処理を行うことは困難であり、前述の課題を解決するには至らない。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、電子ズーム回路により高倍率の電子ズーム処理等を行った場合でも、これによる折り返しノイズの増大を軽減して周波数特性及びS/N比の劣化を防止して、表示画像の画質の向上を図ることができるような輪郭補償システムの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る輪郭補償システムである輪郭補償装置、輪郭補償方法は、以下に説明するように上述の課題を解決可能な特徴的な各手段を有するのであるが、その説明の前に従来の技術と本発明との差異を明確化しておく。
【0008】
発明が解決しようとする課題の項に示した特開平5-122577号公報に開示されているビデオカメラ装置は、全て輪郭補償係数の値を可変することで「補正レベル」を可変制御するものである。言い換えれば、撮像情報の全体的なレベルの上下制御で輪郭補償処理を実現しているものである。
【0009】
これに対して、本発明は、全く新規かつ進歩的な技術的思想から見いだされたものであり、電子ズームのズーム倍率に応じて、撮像情報の「周波数帯域」に対して輪郭補償処理を施すという、いわば撮像情報の部分的な輪郭補償処理を実行するものである。
【0010】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置である。
【0011】
また、第2の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置である。
【0012】
また、第3の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズーム手段と、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズーム手段と、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償手段とを少なくとも備えた輪郭補償装置において、前記光学ズーム手段及び前記電子ズーム手段におけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路と、撮像モードを検出する撮像モード検出回路と、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路と、前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路,前記撮像モード検出回路,前記補償周波数帯域選択回路の各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償手段で前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御部とを備え、前記制御部は前記電子ズーム手段におけるズーム倍率検出回路により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償手段の輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御する構成としたことを特徴とする輪郭補償装置である。
【0013】
また、第4の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法である。
【0014】
また、第5の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法である。
【0015】
更に、第6の発明は、被写体を撮影した被写体像の光学的な拡大処理を施す光学ズームステップと、前記被写体像の電気的な拡大処理を施す電子ズームステップと、前記被写体像の撮像信号に対して輪郭補償処理を施す輪郭補償ステップとを少なくとも有する輪郭補償方法において、前記光学ズームステップ及び前記電子ズームステップにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出ステップと、撮像モードを検出する撮像モード検出ステップと、前記輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択ステップと、前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップ,前記撮像モード検出ステップ,前記補償周波数帯域選択ステップの各出力のうちから選択した選択出力に基づいて、前記輪郭補償ステップで前記撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すように制御する制御ステップとを有し、前記制御ステップは前記電子ズームステップにおけるズーム倍率検出ステップにより検出されたズーム倍率が高くなるに応じて前記輪郭補償ステップの輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するよう制御するステップであることを特徴とする輪郭補償方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る輪郭補償システムの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る輪郭補償システムは、デジタルビデオカメラ装置に適用することができる。このデジタルビデオカメラ装置は、CCDイメージセンサにおいて取り込んだ撮像光に基づいて、デジタル的な電気信号である撮像データを形成し、この撮像データを、いわゆるデジタルビデオカセットテープに記録するようになっている。
【0018】
このようなデジタルビデオカメラ装置の撮像系は、図1に示すように構成されており、被写体の撮像を行いこの撮像光に応じた撮像信号を出力する撮像部1と、撮像部1からの撮像信号を所定の利得で増幅して出力する自動利得制御回路2(AGC回路)と、AGC回路2からのアナログ信号である撮像信号をデジタルデータである撮像データに変換して出力するA/D変換器3と、A/D変換器3からの撮像データから高周波ノイズ成分を除去するローパスフィルタ4(LPF)と、LPF4を介した撮像データに対してガンマ補正処理を施すガンマ補正回路5とを有している。
【0019】
また、この撮像系は、ガンマ補正回路5からの撮像データの所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施すための輪郭補償データを形成して出力する輪郭補償回路6と、この輪郭補償回路6からの輪郭補償データを、ガンマ補正回路5からの撮像データ(元の撮像データ)に加算処理することで、該撮像データの所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施す加算器7と、この加算器7を介して供給される撮像データをメモリ8に一旦記憶制御すると共に、メモリ8から読み出された撮像データに基づいて、電気的な画像の拡大或いは縮小処理(電子ズーム)を施す電子ズーム回路9と、電子ズーム回路9からのフレーム形態の撮像データをフィールド形態の撮像データに変換し、これを出力端子11を介して出力するフレーム/フィールド変換回路10とを有している。後に説明するが、当該実施の形態のデジタルビデオカメラ装置においては、輪郭補償回路6が、電子ズーム回路9の前段に設けられていることが一つの特徴となっている。
【0020】
また、この撮像系は、撮像部1の光学ズーム及び電子ズーム回路9の電子ズームにおけるズーム倍率を検出するズーム倍率検出回路12と、撮像モードを検出する撮像モード検出回路13と、輪郭補償処理を施す周波数帯域のユーザによる選択を可能とするための補償周波数帯域選択回路14と、撮像部1に設けられているCCDイメージセンサの飽和レベルに基づいて、該撮像部1から出力された撮像信号の飽和の有無を検出する飽和検出回路15と、フレーム/フィールド変換回路10の撮像信号の出力形態のユーザによる選択を可能とするための変換特性選択回路16とを有している。
【0021】
また、この撮像系は、当該デジタルビデオカメラ装置全体のシステム制御を行うと共に、特に、ズーム倍率検出回路12、撮像モード検出回路13及び補償周波数帯域選択回路14からの各検出出力或いは選択出力に基づいて、撮像信号の所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施し、撮像モード検出回路13、飽和検出回路15及び変換特性選択回路16からの各検出出力或いは選択出力に基づいて、フレーム/フィールド変換回路10から出力される撮像データの出力形態を制御する制御回路17を有している。
【0022】
本発明に係る輪郭補償システムである輪郭補償装置、輪郭補償方法は、主にこのようなデジタルビデオカメラ装置の前記輪郭補償回路6に適用されている。輪郭補償回路6は、説明の都合上、図1には一つのブロックとして示しているのであるが、実際の輪郭補償動作はソフトウエア的に実行される(勿論、ハードウエア的に実行してもよい。)。このため、本発明は、制御回路17内或いは制御回路17外の記憶媒体(ROM、RAM、HDD等)に記憶された輪郭補償処理プログラムを、該制御回路17が実行することで実施されるようになっている。従って、例えばインターネット等を通じて当該輪郭補償処理プログラムをコンピュータ装置に取り込んで実行し、或いはROMディスクに記憶された当該輪郭補償処理プログラムをコンピュータ装置のHDD等にダウンロードして実行する等の行為は、全て本発明の範疇にあるものと理解されたい。
【0023】
次に、前記撮像部1には、例えばCCDイメージセンサが設けられており、これにより撮像光の取り込みを行うようになっている。なお、このような撮像手段としては、CCDイメージセンサの代わりに撮像管を設け、これにより撮像光の取り込みを行うようにしてもよい。また、この撮像部1に設けられているCCDイメージセンサとしては、偶数フィールド及び奇数フィールドの各フィールド毎の撮像信号をそれぞれ読み出して出力するフィールド読み出し型のCCDイメージセンサの他、1フレーム分の撮像信号を一度に読み出し、この1フレーム分の撮像信号を各フィールドの撮像信号に分割して出力するフレーム読み出し型のCCDイメージセンサ等を設けることができる。
【0024】
後に説明するが、このデジタルビデオカメラ装置においては、輝度データ(Yデータ)に対して輪郭補償処理を施すようになっている。図1に示す撮像部1〜フレーム/フィールド変換回路10までのデータ処理ラインは、輝度データ及び色データ(色差データCr、Cb)からなる撮像データのうち輝度データのデータ処理ラインのみ示しているのであるが、前記フィールド読み出し型のCCDイメージセンサを設けた場合には、各フィールドの輝度データがそれぞれ出力されるため、このデータ処理ラインはそれぞれ各フィールド用に2系統存在し(偶数フィールド用のデータ処理ラインと、奇数フィールド用のデータ処理ラインとの計2系統の意。)、前記フレーム読み出し型のCCDイメージセンサを設けた場合には、フレームから分割された各フィールドの輝度データが順番に出力されるようになるため、このデータ処理ラインは図1に示すとおり1系統存在するものと理解されたい。
【0025】
なお、輝度データに対して輪郭補償処理を施すこととして説明を進めるが、これは、色データに対して輪郭補償処理を施すようにしてもよい。この場合でも、後に説明する輪郭補償回路6の動作がそのまま適用され、色データ用の輪郭補償係数により色データの所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理が施される。
【0026】
また、撮像部1には、光学的なズーム機能(光学ズーム)が設けられており、ユーザの操作に応じて所望の倍率に被写体像を拡大或いは縮小するようになっている。この光学ズームと前記電子ズームとは、所定の倍率で切り換えられるようになっており、具体的には、例えば1倍〜20倍の範囲で被写体像を光学的に拡大し、20倍以上に拡大する際には、光学ズームから電子ズームへの切り換えを行い、光学的に20倍に拡大された被写体像を電気的に4倍まで拡大するようになっている。従って、光学ズーム及び電子ズームを合わせて計80倍までの被写体像の拡大が可能となっている。このような構成は一例であるため、設計等に応じて所望の値(倍率)に設定すればよいことは勿論である。
【0027】
次に、このような構成を有する当該実施の形態のデジタルビデオカメラ装置の動作説明をする。
【0028】
まず、所望の被写体の撮像が開始されると、撮像部1は、被写体の撮像光をCCDイメージセンサで受光し、この受光した撮像光の光量に応じたアナログ的な撮像信号を形成する。なお、この撮像する被写体像のズーム倍率は、撮像部1に設けられている光学ズーム機能により、ユーザの操作に応じて光学的に可変可能となっている。
【0029】
この撮像部1からの撮像信号は、AGC回路2により所定の利得で増幅され、A/D変換器3によりデジタル化されると共に、LPF回路4により高周波ノイズ成分が除去されると共に、ガンマ補正回路5によりガンマ補正処理が施されて輪郭補償回路6及び加算器7に供給され、加算器7により輪郭補償回路6からの輪郭補償データが加算処理されることで所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理が施される。そして、メモリ8にフレーム単位で書き込み制御され、ユーザの操作に応じて電子ズーム回路9によりライン補間処理等による被写体像の電気的な拡大処理が施され、フレーム/フィールド変換回路10により出力端子11を介して各フィールド毎に出力される。この出力端子11を介して出力された撮像データは、所定のビデオプロセス処理が施されて記録系に供給され、例えばデジタルビデオカセットテープ等の記録媒体にデジタル記録される。
【0030】
ここで、輪郭補償回路6は図2に示すような構成を有している。前述のように図1に示す撮像部1〜フレーム/フィールド変換回路10までのデータ処理ラインは撮像データのデータ処理ラインを示しており、ガンマ補正回路5からの輝度データは、この図2に示す入力端子21に供給される。
【0031】
当該実施の形態のデジタルビデオカメラ装置においては、電子ズーム回路9の前段に一括して輪郭補償回路6を設けることで、水平方向及び垂直方向の輪郭補償処理を一括して行うようになっている。このため、この輪郭補償回路6には、制御回路17の制御により、水平方向及び垂直方向の輝度データが各輪郭補償処理に応じて供給されることとなる。
【0032】
このように電子ズーム回路9の前段に一括して輪郭補償回路6を設けることにより、水平方向及び垂直方向の輪郭補償処理を一括して可能とすることができるため、水平方向用及び垂直方向用のメモリを共通化(兼用)することができ、構成の簡略化を図ることができる。
【0033】
なお、この例においては、電子ズーム回路9の前段に輪郭補償回路6を一括して設けることとしたが、これは、例えば水平方向の輪郭補償用の輪郭補償回路を電子ズーム回路9の前段に設け、垂直方向の輪郭補償用の輪郭補償回路を電子ズーム回路9の後段に設ける等にように、電子ズーム回路9の前段及び後段に分割して設けるようにしてもよい。
【0034】
次に、入力端子21を介して供給された輝度データは、第1の遅延回路22a及び第5の乗算器24eに供給される。第1〜第4の遅延回路22a〜22dはそれぞれ直列的に接続されており、供給される輝度データに対して例えば1水平ライン分の遅延処理を施して出力する。第1の遅延回路22aから出力された輝度データは第4の乗算器24dに、第2の遅延回路22bから出力された輝度データは第3の乗算器24cに、第3の遅延回路22cから出力された輝度データは第2の乗算器24bに、第4の遅延回路22dから出力された輝度データは第1の乗算器24aにそれぞれ供給される。
【0035】
各乗算器24a〜24eには、前記各輝度データの他、第1〜第5の入力端子23a〜23eを介して制御回路17からの輪郭補償係数データが供給されている。この輪郭補償係数データとしては、前記撮像部1の光学ズーム、電子ズーム回路9の電子ズームにおけるズーム倍率や、撮像モード、或いはユーザの選択により、輝度データの所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を可能とする値が予め検出され、これらがテーブル化されて制御回路17に記憶されている。制御回路17は、前記ズーム倍率、撮像モード、或いはユーザの選択に応じて、この係数テーブルから所定の輪郭補償係数データを読み出し、これを各乗算器24a〜24eに供給する。
【0036】
具体的には、光学ズーム及び電子ズームにおけるズーム倍率は、図1に示すズーム倍率検出回路12で検出される。ズーム倍率検出回路12は、例えば当該デジタルビデオカメラ装置に設けられている撮像倍率可変キーの操作時間等に応じてズーム倍率を検出するようになっており、ズーム倍率を検出するとこの検出出力を制御回路17に供給する。制御回路17は、このズーム倍率の検出出力に応じて前記係数テーブルから所定の輪郭補償係数データを読み出し、これを各乗算器24a〜24eに供給する。
【0037】
さらに具体的に、電子ズームのズーム倍率を例として説明すると、該ズーム倍率が1倍〜2倍の場合は、図3(a)に示すように低域から中域までリニアに伸び、中域から高域にかけて略フラットな周波数特性に対応する輪郭補償係数データが用いられる。この場合、例えば「0.5」の値が第1の輪郭補償係数データK1として第3の入力端子23cを介して第3の乗算器24cに供給され、「-0.166」の値が第2の輪郭補償係数データK2として第2,第4の入力端子23b,23dを介して第2,第4の乗算器24b,24dに供給され、「-0.083」の値が第3の輪郭補償係数データK3として第1,第5の入力端子23a,23eを介して第1,第5の乗算器24a,24eに供給される。
【0038】
また、電子ズームのズーム倍率が2倍〜3倍の場合は、図3(b)に示すように低域から中域までリニアに伸び、中域から高域にかけて徐々にレベルダウンするような周波数特性に対応する輪郭補償係数データが用いられる。この場合、例えば「0.5」の値が第1の輪郭補償係数データK1として第3の入力端子23cを介して第3の乗算器24cに供給され、「-0.083」の値が第2の輪郭補償係数データK2として第2,第4の入力端子23b,23dを介して第2,第4の乗算器24b,24dに供給され、「-0.166」の値が第3の輪郭補償係数データK3として第1,第5の入力端子23a,23eを介して第1,第5の乗算器24a,24eに供給される。
【0039】
また、電子ズームのズーム倍率が3倍〜4倍の場合は、図3(c)に示すように低域から中域までリニアに伸び、中域から高域にかけてリニアにレベルダウンするような2次曲線的な周波数特性に対応する輪郭補償係数データが用いられる。この場合、例えば「0.5」の値が第1の輪郭補償係数データK1として第3の入力端子23cを介して第3の乗算器24cに供給され、「±0」の値が第2の輪郭補償係数データK2として第2,第4の入力端子23b,23dを介して第2,第4の乗算器24b,24dに供給され、「-0.25」の値が第3の輪郭補償係数データK3として第1,第5の入力端子23a,23eを介して第1,第5の乗算器24a,24eに供給される。
【0040】
また、ユーザにより選択される撮像モードは、図1に示す撮像モード検出回路13で検出される。撮像モード検出回路13は、例えば当該デジタルビデオカメラ装置に設けられている撮像モード選択キーの操作状態等により撮像モードを検出するようになっており、撮像モードを検出するとこの検出出力を制御回路17に供給する。制御回路17は、この撮像モードの検出出力に応じて前記係数テーブルから所定の輪郭補償係数データを読み出し、これを各乗算器24a〜24eに供給する。
【0041】
例えば、複数の撮像モードの中から高解像度モードが選択されている場合、図4に示すように低域から高域まで略リニアに伸びる周波数特性に対応する輪郭補償係数データが用いられる。この場合、例えば「0.5」の値が第1の輪郭補償係数データK1として第3の入力端子23cを介して第3の乗算器24cに供給され、「-0.25」の値が第2の輪郭補償係数データK2として第2,第4の入力端子23b,23dを介して第2,第4の乗算器24b,24dに供給され、「±0」の値が第3の輪郭補償係数データK3として第1,第5の入力端子23a,23eを介して第1,第5の乗算器24a,24eに供給される。
【0042】
また、ユーザにより選択される輪郭補償処理を施す周波数帯域は、図1に示す補償周波数帯域選択回路14で検出される。補償周波数帯域選択回路14は、当該デジタルビデオカメラ装置に、例えば「低域、中域、高域」等のように輪郭補償処理を施す周波数帯域を選択するためのキーの操作状態等により、ユーザにより選択された周波数帯域を検出するようになっており、該周波数帯域を検出するとこの検出出力を制御回路17に供給する。制御回路17は、この周波数帯域の検出出力に応じて前述と同様に前記係数テーブルから所定の輪郭補償係数データを読み出し、これを各乗算器24a〜24eに供給する。
【0043】
このような輪郭補償係数データは、本件出願人が、どの周波数帯域にどの程度の輪郭補償処理を施せば良好な表示画像が得られるかを試作実験を重ねることで得た値となっている。また、表示画像の善し悪しは、各自好みの問題もあり一義的に決まるものではない。このため、当該デジタルビデオカメラ装置は、各自好みの画像を得られるように、輪郭補償処理を施す周波数帯域をユーザが選択可能となっている。
【0044】
さらに、電子ズームにより被写体像を拡大すると、いわゆる折り返しノイズが発生するため、これを防止するために電子ズーム回路9の前段にローパスフィルタを必要とするのであるが、前記輪郭補償係数データは、この発生した折り返しノイズを低減可能な値となっている。ローパスフィルタは、多くのタップを必要とするため、これを設けると構成が複雑化するのであるが、当該デジタルビデオカメラ装置においては、前記輪郭補償係数データが、電子ズームにより発生した折り返しノイズを低減可能な値となっているため、ローパスフィルタを不要とすることができ、構成の簡略化を図ることができる。
【0045】
第1の乗算器24aは、第4の遅延回路22dから供給される輝度データと第1の入力端子23aを介して供給される第3の輪郭補償係数データK3とを乗算処理し、これを第1の加算器25aに供給する。第2の乗算器24bは、第3の遅延回路22cから供給される輝度データと第2の入力端子23bを介して供給される第2の輪郭補償係数データK2とを乗算処理し、これを第1の加算器25aに供給する。第1の加算器25aは、第1の乗算器24aからの乗算出力と、第2の乗算器24bからの乗算出力とを加算処理し、これを第3の加算器25cに供給する。
【0046】
同様に、第3の乗算器24cは、第2の遅延回路22bから供給される輝度データと第3の入力端子23cを介して供給される第1の輪郭補償係数データK1とを乗算処理し、これを減算器26に供給する。
【0047】
また、第4の乗算器24dは、第1の遅延回路22aから供給される輝度データと第4の入力端子23dを介して供給される第2の輪郭補償係数データK2とを乗算処理し、これを第2の加算器25bに供給し、第5の乗算器24eは、入力端子21から直接供給される輝度データと第5の入力端子23eを介して供給される第3の輪郭補償係数データK3とを乗算処理し、これを第2の加算器25bに供給する。第2の加算器25bは、第4の乗算器24dからの乗算出力と、第5の乗算器24eからの乗算出力とを加算処理し、これを第3の加算器25cに供給する。
【0048】
第3の加算器25cは、第1、第2の加算器25a、25bからの各加算出力をそれぞれ加算処理し、これを減算器26に供給する。減算器26は、第3の乗算器24cからの乗算出力から、第3の加算器25cからの加算出力を減算処理し、この減算出力を輪郭補償データとして出力端子27を介して図1に示す加算器7に供給する。
【0049】
加算器7は、ガンマ補正回路5から供給される輝度データと、輪郭補償回路6からの輪郭補償データとを加算処理することにより、前記ズーム倍率或いは撮像モード等に応じて、その輝度データの所定の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施し、これをメモリ8に供給する。メモリ8は、フィールド単位で供給される前記輝度データをフレーム単位で一旦記憶し、このフレーム単位の輝度データを電子ズーム回路9を介してフレーム/フィールド変換回路10に供給する。後に詳しく説明するが、フレーム/フィールド変換回路10は、フレーム単位で供給される輝度データを各フィールド毎の輝度データに変換し、これを出力端子11を介して前記記録系に供給する。
【0050】
このように、当該デジタルビデオカメラ装置は、ズーム倍率、撮像モード或いはユーザの選択に応じて画像情報の周波数帯域に対して輪郭補償処理を施す。これにより、ユーザの操作に応じた最適な輪郭補償処理を可能とすることができる。従って、高倍率の電子ズームを行った際に問題となっていた、S/N比の劣化及び周波数特性の劣化を防止することができる。
【0051】
具体的には、例えば電子ズームを用いて無限遠被写体距離(縮小:ワイド側)による撮像を行った場合、その表示画像に高周波成分が増加することが一般的に知られているのであるが、この場合は、図3(a)に示すような周波数特性を有する輪郭補償係数データを用い、5.4MHz〜6.75MHzの高周波領域を強調することにより表示画像の高周波成分を強調することができ、より良好な表示画像を得ることができる。また、この逆に、電子ズームを用いて至近被写体距離(拡大:テレ側)による撮像を行った場合、その表示画像に高周波成分が減少することが一般的に知られているのであるが、この場合は、図3(b)に示すような周波数特性を有する輪郭補償係数データを用い、2.7MHz〜5.05MHzの中域を強調することにより、人物の拡大等の際に顔の表面がなだらかに見えるようにすることができ、より良好な表示画像を得ることができる。
【0052】
また、当該デジタルビデオカメラ装置は、輪郭補償処理に用いられる輪郭補償係数データが、電子ズーム時の折り返しノイズを低減可能な値となっているため、電子ズームにより画質が劣化する不都合を防止することができるうえ、電子ズーム回路9の前段に必要としていたローパスフィルタを省略可能として構成の簡略化及びローコスト化を図ることができる。
【0053】
次に、当該デジタルビデオカメラ装置は、前記フレーム/フィールド変換回路10において、メモリ8から読み出されたフレーム単位の撮像データを各フィールド単位の撮像データに変換して出力するのであるが、この際、各フィールドの撮像データを加算処理することなくそのまま出力する「非加算モード」と、各フィールドの撮像データを互いに1/2ずつ加算処理して出力する「1/2加算モード」と、各フィールドの撮像データを互いに1/4ずつ加算処理して出力する「1/4加算モード」との、計3つの出力モードが選択可能となっている。
【0054】
非加算モードの周波数特性は、図5中実線で示すように各フィールドの撮像データがそれぞれ低域から高域にかけてフラットな特性を示すようになっており、1/2加算モードの周波数特性は、同図中点線で示すように各フィールドの撮像データがそれぞれ低域から高域にかけて徐々に落ち込むような特性を示すようになっている。また、1/4加算モードの周波数特性は、同図中一点鎖線で示すように前記非加算モードと1/2加算モードの中間の特性を示すようになっている。このような出力モードは、ユーザが図1に示す変換特性選択回路16を操作することで選択可能となっており、或いは撮像モード検出回路13により検出された撮像モードに応じて、さらには飽和検出回路15により検出された各フィールドの撮像データの飽和レベルに応じてそれぞれ選択可能となっている。制御回路17は、変換特性選択回路16により出力モードが選択された場合これを優先して、この他の場合は、前記撮像モード或いは飽和レベルに応じて最適な出力モードを選択するようにフレーム/フィールド変換回路10を制御する。
【0055】
ここで、前記飽和レベルの説明をすると、撮像部1に設けられているCCDイメージセンサは、多光量の撮像光を受光すると各固体撮像素子が飽和状態となる。各固体撮像素子の感度特性はそれぞれ同じなのであるが、実際には感度特性の誤差等があり、これが原因で出力される各フィールドの撮像データのレベルに差異を生ずる。そして、画像表示を行った際にフリッカが発生する問題を生ずる。このようなことから、当該デジタルビデオカメラ装置は、飽和検出回路15により各フィールドの撮像データの飽和レベルを検出するようになっており、この検出出力に応じて、前記出力モードの中から最適な出力モードを選択するようになっている。
【0056】
次に、このフレーム/フィールド変換回路10のうち、輝度データ用のフレーム/フィールド変換回路は、図6に示すように構成されており、偶数フィールド(even)の輝度データが1水平ライン毎に入力端子31を介して供給され、奇数フィールド(odd)の輝度データが1水平ライン毎に入力端子32を介して供給されるようになっている。
【0057】
この図6において、まず、各フィールドの輝度データを加算処理することなくそのまま出力する「非加算モード」が実行される場合、制御回路17は、選択端子43cにより被選択端子43aが選択されるように切り換えスイッチ43を切り換え制御し、選択端子38cにより被選択端子38aが選択されるように切り換えスイッチ38を切り換え制御し、選択端子47cにより被選択端子47bが選択されるように切り換えスイッチ47を切り換え制御すると共に、選択端子41cにより被選択端子41aが選択されるように切り換えスイッチ41を切り換え制御する。そして、偶数フィールドの際には、選択端子37cにより被選択端子37aを選択するように、また、奇数フィールドの際には、選択端子37cにより被選択端子37bを選択するように、切り換えスイッチ37を切り換え制御する。
【0058】
これにより、偶数フィールドの際には、入力端子31を介して供給された偶数フィールドの輝度データが、切り換えスイッチ37、38、リミッタ39、切り換えスイッチ41を介して遅延回路48に供給され、該遅延回路48により例えば1水平ライン分の遅延処理が施され、切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に出力される。また、奇数フィールドの際には、入力端子32を介して供給された奇数フィールドの輝度データが、切り換えスイッチ43、37、38、リミッタ39、切り換えスイッチ41を介して遅延回路48に供給され、該遅延回路48により例えば1水平ライン分の遅延処理が施され、切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に出力される。なお、前述のようにこの「非加算モード」時の画像データの周波数特性は、図5の実線で示すようになっている。
【0059】
次に、各フィールドの撮像データを互いに1/2ずつ加算処理して出力する「1/2加算モード」が実行される場合、制御回路17は、奇数フィールド時には選択端子43cで被選択端子43aを選択し、偶数フィールド時には選択端子43cで被選択端子43bを選択するように切り換えスイッチ43を切り換え制御し、選択端子38cにより被選択端子38bを選択するように切り換えスイッチ38を切り換え制御すると共に、ビットシフタ40からの出力を選択すべく選択端子41cで被選択端子41bを選択するように切り換えスイッチ41を切り換え制御する。
【0060】
また、制御回路17は、この各切り換え制御と共に、選択端子35dにより被選択端子35bが選択されるように切り換えスイッチ35を切り換え制御し、選択端子46dにより被選択端子46bが選択されるように切り換えスイッチ46を切り換え制御すると共に、偶数フィールド時には遅延回路48からの輝度データを選択すべく選択端子47cで被選択端子47bを選択し、奇数フィールド時には選択端子47cで被選択端子47aを選択するように切り換えスイッチ47を切り換え制御する。
【0061】
これにより、偶数フィールドの輝度データの形成時には、入力端子31を介して供給される偶数フィールドの輝度データが切り換えスイッチ35を介して加算器36に供給され、入力端子32を介して供給される奇数フィールドの輝度データが切り換えスイッチ43、46を介して加算器36に供給される。加算器36は、各切り換えスイッチ35、46からの各輝度データを例えば0.5の割合の輝度データとしてそれぞれ加算処理することで偶数フィールドの輝度データを形成し、これを切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給する。
【0062】
ビットシフタ40に供給される輝度データは、偶数フィールド及び奇数フィールドの各輝度データが加算処理されたものであるため、レベル的に通常の2倍の輝度データとなっている。このため、ビットシフタ40は、この輝度データを1ビット分シフトダウン処理することで、この2倍のレベルの輝度データを1/2のレベルとし通常の輝度データと同様に1のレベルとし、これを遅延回路48に供給する。遅延回路48は、このビットシフタ40からの輝度データに対して例えば1水平ライン分の遅延処理を施すことで偶数フィールドのタイミングとし、これを切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給する。
【0063】
一方、奇数フィールドの輝度データの形成時には、入力端子31を介して供給される偶数フィールドの輝度データが切り換えスイッチ35を介して加算器36に供給され、入力端子32を介して供給される奇数フィールドの輝度データは、遅延回路42により例えば1水平ライン分の遅延処理が施されることで前記入力端子31を介して供給される偶数フィールドの輝度データとタイミングが合わされ、切り換えスイッチ43、46を介して加算器36に供給される。加算器36は、各切り換えスイッチ35、46からの各輝度データを例えば0.5の割合の輝度データとしてそれぞれ加算処理することで奇数フィールドの輝度データを形成し、これを切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給する。
【0064】
ビットシフタ40は、前述と同様に、供給される輝度データを1ビット分シフトダウン処理することで、前記2倍のレベルの輝度データを1/2のレベルとして通常の輝度データと同様に1のレベルとし、これを切り換えスイッチ41、47及び出力端子49を介して奇数フィールドの輝度データとして前記記録系側に供給する。
【0065】
これにより、各フィールドの輝度データを互いに1/2ずつ加算処理することでS/N比を改善した画像データ(図5中の点線参照)を記録することができる。
【0066】
次に、各フィールドの輝度データを互いに1/4ずつ加算処理して出力する「1/4加算モード」が実行される場合、制御回路17は、偶数フィールド時には選択端子43cで被選択端子43aを選択するように切り換えスイッチ43を切り換え制御し、後述する0.75の割合の輝度データを選択すべく選択端子35dで被選択端子35aを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御し、後述する0.25の割合の輝度データを選択すべく選択端子46dで被選択端子46cを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御すると共に、遅延回路48からの遅延出力を選択すべく、選択端子47cで被選択端子47bを選択するように切り換えスイッチ47を切り換え制御する。
【0067】
また、奇数フィールド時には選択端子43cで被選択端子43bを選択するように切り換えスイッチ43を切り換え制御し、後述する0.25の割合の輝度データを選択すべく選択端子35dで被選択端子35cを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御し、後述する0.75の割合の輝度データを選択すべく選択端子46dで被選択端子46aを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御すると共に、選択端子47cで被選択端子47aを選択するように切り換えスイッチ47を切り換え制御する。
【0068】
また、偶数フィールド時及び奇数フィールド時のいずれの場合も、選択端子38cで被選択端子38bを選択するように切り換えスイッチ38を切り換え制御すると共に、ビットシフタ40からの出力を選択すべく、選択端子41cで被選択端子41bを選択するように切り換えスイッチ41を切り換え制御する。
【0069】
入力端子31を介して供給された偶数フィールドの輝度データは、加算器34に供給されると共に、ビットシフタ33に供給される。この輝度データは、1の割合の輝度データなのであるが、このフレーム/フィールド変換回路10においては、この1の割合の輝度データを0.5の割合の輝度データと見なすようになっており、ビットシフタ33は、この0.5の割合の輝度データを1ビット分シフトダウンすることにより0.25の割合の輝度データを形成し、これを加算器34及び切り換えスイッチ35の被選択端子35cに供給する。加算器34は、前記入力端子31を介して供給される前記0.5の割合の輝度データと、ビットシフタ33からの0.25の割合の輝度データとを加算処理することにより、0.75の割合の輝度データを形成し、これを切り換えスイッチ35の被選択端子35aに供給する。
【0070】
同様に、入力端子32を介して供給される奇数フィールドの輝度データは、偶数フィールドの輝度データの形成時には切り換えスイッチ43を介してそのまま加算器45及びビットシフタ44に供給され、奇数フィールドの輝度データの形成時には遅延回路42により1水平ライン分の遅延処理が施され、前記入力端子31を介して供給される偶数フィールドの輝度データのタイミングで切り換えスイッチ43を介して加算器45及びビットシフタ44に供給される。
【0071】
ビットシフタ44は、前述したように0.5の割合の輝度データを1ビット分シフトダウンすることにより0.25の割合の輝度データを形成し、これを加算器45及び切り換えスイッチ46の被選択端子46cに供給する。加算器45は、前記入力端子32を介して供給される前記0.5の割合の輝度データと、ビットシフタ44からの0.25の割合の輝度データとを加算処理することにより、0.75の割合の輝度データを形成し、これを切り換えスイッチ46の被選択端子46aに供給する。
【0072】
前述のように、制御回路17は、偶数フィールドの輝度データの形成時には、選択端子35dにより被選択端子35aを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、選択端子46dにより被選択端子46cを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御する。これにより、切り換えスイッチ35を介して0.75の割合の輝度データが、また、切り換えスイッチ46を介して0.25の割合の輝度データがそれぞれ加算器36に供給される。加算器36は、両者を加算することにより、通常の2倍のレベルを有する1の割合の偶数フィールドの輝度データを形成する。
【0073】
この1の割合の偶数フィールドの輝度データは、切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給され、1ビット分シフトダウンされることで通常のレベルの偶数フィールドの輝度データとされ、切り換えスイッチ41を介して遅延回路48に供給される。遅延回路48は、この輝度データに例えば1水平ライン分の遅延処理を施すことにより偶数フィールドのタイミングとし、これを切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給する。
【0074】
同様に制御回路17は、奇数フィールドの輝度データの形成時には、選択端子35dにより被選択端子35cを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、選択端子46dにより被選択端子46aを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御する。これにより、切り換えスイッチ35を介して0.25の割合の輝度データが、また、切り換えスイッチ46を介して0.75の割合の輝度データがそれぞれ加算器36に供給される。加算器36は、両者を加算することにより、通常の2倍のレベルを有する1の割合の奇数フィールドの輝度データを形成する。
【0075】
この1の割合の奇数フィールドの輝度データは、切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給され、1ビット分シフトダウンされることで通常のレベルの奇数フィールドの輝度データとされ、切り換えスイッチ41、47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給される。
【0076】
これにより、各フィールドの輝度データを、0.75+0.25の割合、或いは0.25+0.75の割合で互いに1/4ずつ加算処理することができ、垂直方向の解像度の劣化を防止すると共に、S/N比を改善した画像データ(図5中の一点鎖線参照)の記録を可能とすることができる。
【0077】
なお、この「1/4加算モード」においては、偶数フィールドの輝度データの形成時には、前記0.75の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.25の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、奇数フィールドの輝度データの形成時には、前記0.25の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御することとした。
【0078】
しかし、この切り換え制御は、この他、偶数フィールドの輝度データの形成時には、前記0.25の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、奇数フィールドの輝度データの形成時には、前記0.75の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.25の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御するようにしてもよい。
【0079】
また、第1回目の偶数フィールドの輝度データの形成時には、0.75の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.25の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、第2回目の偶数フィールドの輝度データの形成時には、0.25の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、第3回目の偶数フィールドの輝度データの形成時には、0.25の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の輝度データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御する等のように、同じ偶数フィールドの輝度データの形成時においても0.25の輝度データ及び0.75の輝度データを交互に選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御するようにしてもよい。切り換えスイッチ46の切り換え制御も同様である。
【0080】
この場合、切り換えスイッチ46は、切り換えスイッチ35が0.75の割合の輝度データを選択するように切り換え制御された際には、0.25の割合の輝度データを選択するように切り換え制御され、また、切り換えスイッチ35が0.25の割合の輝度データを選択するように切り換え制御された際には、0.75の割合の輝度データを選択するように切り換え制御される等のように、各切り換えスイッチ35、46からの輝度データが加算器36で加算処理された際に、1の割合の輝度データが形成されるように切り換え制御されることとなる。
【0081】
次に、以上の説明は、フレーム/フィールド変換回路10のうち、輝度データ用のフレーム/フィールド変換回路の説明であったが、このフレーム/フィールド変換回路10には、色データ用のフレーム/フィールド変換回路も設けられており、その構成は図7に示すようになっている。
【0082】
なお、この図7からわかるように、この色データ用のフレーム/フィールド変換回路は、輝度データ用のフレーム/フィールド変換回路の入力段に分割回路52を設けた構成となっている。このため、処理するデータとしては、輝度データと色データとの違いはあるが処理動作的には同じであるため、この色データ用のフレーム/フィールド変換回路の説明において、輝度データ用のフレーム/フィールド変換回路と同じ動作を示す箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略することとする。
【0083】
すなわち、この色データ用のフレーム/フィールド変換回路は、前述の輝度データ用のフレーム/フィールド変換回路の構成に加え、色データが供給される入力端子51と、この入力端子51を介して供給された色データを2チャンネルの色データに分割する分割回路52を有している。
【0084】
このような色データ用のフレーム/フィールド変換回路は、入力端子51を介して色データが供給されると、これを分割回路52が色データを第1チャンネルの色データ及び第2チャンネルの色データに分割して出力する。
【0085】
そして、「非加算モード」、「1/2加算モード」、「1/4加算モード」の際に、前述の輝度データ用のフレーム/フィールド変換回路と同様に各切り換えスイッチ35、37、38、41、43、47がそれぞれ切り換え制御され、各モードに応じた色データが出力される。
【0086】
すなわち、「非加算モード」において、偶数フィールドの際には、分割回路52からの第1チャンネルの色データが、切り換えスイッチ37、38を介してリミッタ39に供給され所定のビット数とされた後、切り換えスイッチ41を介して遅延回路48に供給される。そして、この遅延回路48により例えば1水平ライン分の遅延処理が施され、切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給される。
【0087】
また、この「非加算モード」における奇数フィールドの際には、分割回路52からの第2チャンネルの色データが、切り換えスイッチ43、37、38を介してリミッタ39に供給され、このリミッタ39により所定のビット数とされた後、切り換えスイッチ41を介して遅延回路48に供給される。そして、この遅延回路48により例えば1水平ライン分の遅延処理が施され、切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給される。
【0088】
これにより、切り換えスイッチ37により各フィールド毎に切り換え制御されたそのままの色データ(非加算の色データ)が記録系側に供給されることとなる。
【0089】
「1/2加算モード」における偶数フィールドの際には、第1チャンネルの色データが切り換えスイッチ35を介して加算器36に供給され、第2チャンネルの色データが切り換えスイッチ43、46を介して加算器36に供給される。そして、加算器36により各色データが加算処理され、切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給され、ビットシフタ40により通常のレベルとされた後、切り換えスイッチ41を介して遅延回路48に供給され、遅延回路48で偶数フィールドのタイミングとされ、切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給される。
【0090】
また、「1/2加算モード」における奇数フィールドの際には、第1チャンネルの色データが切り換えスイッチ35を介して加算器36に供給され、第2チャンネルの色データが遅延回路42により第1チャンネルの色データとタイミングが合わされ、切り換えスイッチ43、46を介して加算器36に供給される。そして、加算器36により各色データが加算処理され、切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給され、ビットシフタ40により通常のレベルとされた後、切り換えスイッチ41、47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給される。
【0091】
この「1/2加算モード」においては、各チャンネルの色データが、加算器36により1/2(0.5)の割合で互いに加算処理されるため、色データのS/N比の向上を図ることができる。
【0092】
「1/4加算モード」における偶数フィールドの際には、第1チャンネルの色データがビットシフタ33及び加算器34により0.75の割合の色データとされ加算器36に供給され、第2チャンネルの色データがビットシフタ44により0.25の割合の色データとされ加算器36に供給される。そして、両者が加算器36において加算処理され、切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給され、ビットシフタ40により通常のレベルとされ、切り換えスイッチ41を介して遅延回路48に供給され、遅延回路48により偶数フィールドのタイミングとされ切り換えスイッチ47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給される。
【0093】
また、この「1/4加算モード」における奇数フィールドの際には、第1チャンネルの色データがビットシフタ33により0.25の割合の色データとされ加算器36に供給され、第2チャンネルの色データが遅延回路42により第1チャンネルの色データと同じタイミングとされ、ビットシフタ44及び加算器45により0.75の割合の色データとされ加算器36に供給される。そして、加算器36において両者が加算処理され、切り換えスイッチ38を介してビットシフタ40に供給され、ビットシフタ40により通常のレベルとされ、切り換えスイッチ41、47及び出力端子49を介して前記記録系側に供給される。
【0094】
この「1/4加算モード」においては、各フィールドの色データを、0.75+0.25の割合、或いは0.25+0.75の割合で互いに1/4ずつ加算処理することができ、垂直方向の解像度の劣化を防止すると共に、S/N比を改善した画像データの記録を可能とすることができる。
【0095】
なお、この「1/4加算モード」においては、偶数フィールドの色データの形成時には、前記0.75の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.25の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、奇数フィールドの色データの形成時には、前記0.25の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御することとした。
【0096】
しかし、この切り換え制御は、この他、偶数フィールドの色データの形成時には、前記0.25の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、奇数フィールドの色データの形成時には、前記0.75の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.25の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御するようにしてもよい。
【0097】
また、第1回目の偶数フィールドの色データの形成時には、0.75の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.25の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、第2回目の偶数フィールドの色データの形成時には、0.25の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御し、第3回目の偶数フィールドの色データの形成時には、0.25の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御すると共に、0.75の割合の色データを選択するように切り換えスイッチ46を切り換え制御する等のように、同じ偶数フィールドの色データの形成時においても0.25の色データ及び0.75の色データを交互に選択するように切り換えスイッチ35を切り換え制御するようにしてもよい。切り換えスイッチ46の切り換え制御も同様である。
【0098】
この場合、切り換えスイッチ46は、切り換えスイッチ35が0.75の割合の色データを選択するように切り換え制御された際には、0.25の割合の色データを選択するように切り換え制御され、また、切り換えスイッチ35が0.25の割合の色データを選択するように切り換え制御された際には、0.75の割合の色データを選択するように切り換え制御される等のように、各切り換えスイッチ35、46からの色データが加算器36で加算処理された際に、1の割合の色データが形成されるように切り換え制御されることとなる。
【0099】
このように、当該デジタルビデオカメラ装置は、例えばユーザの選択により、撮像モード検出回路13により検出された撮像モードに応じて、或いは飽和検出回路15により検出された各フィールドの撮像データの飽和レベルに応じて輝度データ及び色データの各出力モードをそれぞれ選択することができる。これにより、ユーザが所望する画像の表示を可能とする出力モードの選択を可能とすることができる。
【0100】
なお、前述の説明では各輝度データ或いは各色データを、0.25+0.75の割合で加算処理することとしたが、これは、0.30+0.70の割合で加算処理し、或いは0.40+0.60の割合で加算処理する等のように他の割合でそれぞれ加算処理するようにしてもよい。ただ、0.25+0.75の割合で加算処理することとした場合、0.5の割合と見なすこととした通常の輝度データ等を、ビットシフタ33、44により1ビットシフトダウンするだけで0.25の割合の輝度データ等を形成することができ、この0.25の割合の輝度データ等と0.5の割合の輝度データ等とを加算器34、45で加算処理することで0.75の割合で輝度データ等を形成することができる。このため、ビットシフタと加算器という、簡単な回路により所定の割合で加算処理された輝度データ等を形成することができ、フレーム/フィールド変換回路10の構成の簡略化及びローコスト化を図ることができる。
【0101】
最後に、上述の実施の形態の説明では、本発明に係る輪郭補償システムをデジタルビデオカメラ装置に設けることとしたが、これは本発明の一実施形態にすぎない。本発明は、この他、例えば記録系を持たないカメラ装置やコンピュータ装置の画像処理系等のように電気的に画像情報の取り扱いを行う装置であればどのような装置でも適用可能である。さらに、電気的な画像情報としては、デジタル的に取り扱う装置のみならず、アナログ的に取り扱う装置であってもよい。そして、以上説明した実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0102】
本発明に係る輪郭補償システムによれば、電子ズームにおけるズーム倍率検出により検出されたズーム倍率が高くなるに応じて輪郭補償のための輪郭補償周波数の中域を強調すると共に、中域に対して高域の輪郭補償処理を抑制するようにしているため、被写体像の撮像倍率が変化してもそれに応じた撮像信号に対する折り返しノイズの増大を軽減することができる。このため、周波数特性及びS/N比の劣化を防止して、表示画像の画質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輪郭補償システムを適用した実施の形態のデジタルビデオカメラ装置の撮像系のブロック図である。
【図2】前記実施の形態のデジタルビデオカメラ装置の撮像系に設けられている輪郭補償回路のブロック図である。
【図3】前記輪郭補償回路が画像データの周波数帯域に対して輪郭補償処理を施す際に用いられる輪郭補償係数を説明するための周波数特性図である。
【図4】前記輪郭補償回路が画像データの周波数帯域に対して輪郭補償処理を施す際に用いられる輪郭補償係数のうち、高解像度モードの際に用いられる輪郭補償係数を説明するための周波数特性図である。
【図5】前記実施の形態のデジタルビデオカメラ装置の撮像系に設けられているフレーム/フィールド変換回路の出力特性を説明するための図である。
【図6】輝度データ用の前記フレーム/フィールド変換回路のブロック図である。
【図7】色データ用の前記フレーム/フィールド変換回路のブロック図である。
【符号の説明】
1…撮像部
2…自動利得制御回路(AGC)
5…ガンマ補正回路
3…アナログ/デジタル変換器
4…ローパスフィルタ(LPF)
6…輪郭補償回路
7…加算器
8…メモリ
9…電子ズーム回路
10…フレーム/フィールド変換回路
12…ズーム倍率検出回路
13…撮像モード検出回路
14…補償周波数帯域選択回路
15…飽和検出回路
16…変換特性選択回路
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-02-15 
出願番号 特願平9-334619
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 藤内 光武
高瀬 勤
登録日 2003-03-20 
登録番号 特許第3410008号(P3410008)
権利者 日本ビクター株式会社
発明の名称 輪郭補償システム  
代理人 伊藤 正和  
代理人 中村 友之  
代理人 三好 秀和  
代理人 高橋 俊一  
代理人 栗原 彰  
代理人 川又 澄雄  
代理人 高橋 俊一  
代理人 三好 秀和  
代理人 高松 俊雄  
代理人 川又 澄雄  
代理人 伊藤 正和  
代理人 岩崎 幸邦  
代理人 高松 俊雄  
代理人 中村 友之  
代理人 栗原 彰  

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