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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  G05B
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G05B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G05B
管理番号 1116120
異議申立番号 異議2003-71204  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-02-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-06 
確定日 2005-02-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3366388号「NCユニット」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3366388号の訂正後の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3366388号の請求項1〜4に係る発明についての出願は、平成5年7月29日に特許出願され、平成14年11月1日に特許権の設定登録がなされたところ、平成15年5月6日にファナック株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成16年1月26日付で取消理由を通知したところ、その指定期間内の平成16年4月6日付で訂正請求(以下、「第1回目の訂正請求」という。)がなされ、平成16年7月2日付で取消理由を通知したところ、その指定期間内の平成16年9月13日付で訂正請求(以下、「第2回目の訂正請求」という。)がなされると共に上記第1回目の訂正請求は取り下げられ、平成16年9月27日付で取消理由を通知したところ、その指定期間内の平成16年11月17日付で訂正請求がなされると共に上記第2回目の訂正請求は取り下げられたものである。


2.訂正の適否
2-1.訂正事項
平成16年11月17日付の訂正請求における訂正事項は、次のとおりである。
<訂正事項a>
特許明細書の【特許請求の範囲】を次のとおりに訂正する。
「【請求項1】 多軸を制御する多軸制御用NCユニットと、一つのサーボモータがなす付加軸を制御する簡易制御用NCユニットとを備えるNCユニットであって、前記多軸制御用NCユニットは、外部からのデータの入力及び入力された前記データの編集を行う第1の数値制御部と、外部に伝送信号を出力する出力ポートを有するとともに、前記第1の数値制御部からの指令に基づいて、当該出力ポートのうち特定の出力ポートから位置決め指令を表わす前記伝送信号である位置決め指令信号を出力させ、前記特定の出力ポート以外の前記出力ポートから位置決めデータを表わす前記伝送信号である位置決めデータ信号を出力させる第1のシーケンサとを備え、前記簡易制御用NCユニットは、前記出力ポートから出力された前記伝送信号を入力する入力ポートを有するとともに、当該入力ポートのうち特定の入力ポートから前記位置決め指令信号が入力された場合に、当該位置決め指令信号に対応する位置決め指令、および前記特定の入力ポート以外の前記入力ポートから入力される前記位置決めデータ信号に対応する位置決めデータを送信する第2のシーケンサと、前記第2のシーケンサから送信された前記位置決め指令および前記位置決めデータを受信した場合に、予めメモリに記憶された制御プログラムを実行して前記サーボモータに対する位置決め用の制御信号を出力する第2の数値制御部とを備え、前記第1のシーケンサおよび前記第2のシーケンサは、前記出力ポートおよび前記入力ポートを介して接続されることを特徴とするNCユニット。」

<訂正事項b>
特許明細書の段落【0006】を次のとおりに訂正する。
「上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、多軸を制御する多軸制御用NCユニットと、一つのサーボモータがなす付加軸を制御する簡易制御用NCユニットとを備えるNCユニットであって、多軸制御用NCユニットは、外部からのデータの入力及び入力されたデータの編集を行う第1の数値制御部と、外部に伝送信号を出力する出力ポートを有するとともに、第1の数値制御部からの指令に基づいて、当該出力ポートのうち特定の出力ポートから位置決め指令を表わす伝送信号である位置決め指令信号を出力させ、特定の出力ポート以外の出力ポートから位置決めデータを表わす伝送信号である位置決めデータ信号を出力させる第1のシーケンサとを備え、簡易制御用NCユニットは、出力ポートから出力された伝送信号を入力する入力ポートを有するとともに、当該入力ポートのうち特定の入力ポートから位置決め指令信号が入力された場合に、当該位置決め指令信号に対応する位置決め指令、および特定の入力ポート以外の入力ポートから入力される位置決めデータ信号に対応する位置決めデータを送信する第2のシーケンサと、第2のシーケンサから送信された位置決め指令および位置決めデータを受信した場合に、予めメモリに記憶された制御プログラムを実行してサーボモータに対する位置決め用の制御信号を出力する第2の数値制御部とを備え、第1のシーケンサおよび第2のシーケンサは、出力ポートおよび入力ポートを介して接続されることを特徴とする。」

<訂正事項c>
特許明細書の段落【0007】を削除する。

<訂正事項d>
特許明細書の段落【0008】を次のとおりに訂正する。
「【作用】上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、多軸制御用NCユニットが出力ポートを備え、一つのサーボモータがなす付加軸を制御する簡易制御用NCユニットが前記出力ポートから出力された伝送信号を入力する入力ポートとを備えている。そして、前記多軸制御用NCユニットの第1のシーケンサにおいては、第1の数値制御部が外部からのデータの入力及び入力された前記データの編集を行うと、該第1の数値制御部からの指令に基づいて前記出力ポートより前記伝送信号を出力する。また、前記他方の制御用NCユニットの第2のシーケンサにおいては、前記入力ポートを介して前記伝送信号が入力されると、前記第2の数値制御部は前記伝送信号に基づいて制御信号の出力を行い、前記制御信号を出力する。」

<訂正事項e>
特許明細書の段落【0009】を次のとおりに訂正する。
「このような構成の一例として、多軸制御用NCユニットのシーケンサと簡易制御用NCユニットのシーケンサとを接続し、それぞれのシーケンサを介して位置決めデータと位置決め指令とを多軸制御用NCユニットの側から簡易制御用NCユニットに与えることができる。すなわち、多軸制御用NCユニットにおける第1のシーケンサはシーケンサより位置決めデータと位置決め指令とを表わす信号を出力するし、簡易制御用NCユニットにおける第2のシーケンサは多軸制御用NCユニットのシーケンサに接続された自己のシーケンサを介して位置決めデータと位置決め指令とを表わす信号を入力した場合に、同位置決めデータを復元して位置決め制御を実施できる。また、多軸制御用NCユニットのシーケンサと簡易制御用NCユニットのシーケンサとにおけるそれぞれの入出力ポートとをパラレルに接続し、多軸制御用NCユニットからはパラレル信号で上記位置決めデータと位置決め指令とを表わして出力し、簡易制御用NCユニットの側では同パラレル信号を位置決めデータと位置決め指令とに復元することもできる。」

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否
訂正事項aは、(a1)請求項2ないし4を削除し、(a2)請求項1において、(a2-1)「多軸制御用NCユニット」を「多軸を制御する多軸制御用NCユニット」と限定し、(a2-2)「出力ポートより前記伝送信号を出力させる出力信号制御手段」を「出力ポートのうち特定の出力ポートから位置決め指令を表わす前記伝送信号である位置決め指令信号を出力させ、前記特定の出力ポート以外の前記出力ポートから位置決めデータを表わす前記伝送信号である位置決めデータ信号を出力させる第1のシーケンサ」と限定し、(a2-3)「伝送信号の入力により前記第2の数値制御部より前記制御信号を出力させる入力信号制御手段」を「入力ポートのうち特定の入力ポートから前記位置決め指令信号が入力された場合に、当該位置決め指令信号に対応する位置決め指令、および前記特定の入力ポート以外の前記入力ポートから入力される前記位置決めデータ信号に対応する位置決めデータを送信する第2のシーケンサ」と限定し、(a2-4)「入力ポートを介して入力された前記伝送信号に基づいて制御信号の出力を行う第2の数値制御部」を「第2のシーケンサから送信された前記位置決め指令および前記位置決めデータを受信した場合に、予めメモリに記憶された制御プログラムを実行して前記サーボモータに対する位置決め用の制御信号を出力する第2の数値制御部」と限定し、(a2-5)「第1のシーケンサ」および「第2のシーケンサ」について「前記出力ポートおよび前記入力ポートを介して接続される」と限定するものである。
以上のとおりであるから、訂正事項aは特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。また、訂正事項bないしeは、訂正事項aと整合を図るものであるから、訂正事項bないしeは明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、上記訂正事項aないしeは、本件特許明細書の段落【0013】、【0014】および図2に記載されているから、訂正事項aないしeは願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書きおよび第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3. 特許異議の申立てについて
3-1.本件訂正発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、訂正後の本件請求項1に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された上記訂正事項aのとおりのものである(以下、「本件訂正発明」という。)。

3-2.特許異議の申立の理由の概要
特許異議申立人は、証拠方法として下記の甲第1ないし3号証を提示して、以下の特許異議の申立の理由を主張をしている。
(理由)
訂正前の請求項1ないし4に係る発明は、甲第2,3号証に示される周知慣用技術を考慮すると、本件特許の出願の日前の出願であって、その出願日後に出願公開された甲第1号証で特定される特願平4-21186号の願書に最初に添付した明細書および図面(以下、「先願明細書」という。)に記載された発明と実質上同一であるから、訂正前の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
<甲各号証>
甲第1号証:特開平5-216516号公報
甲第2号証:特開平2-183809号公報
甲第3号証:特開平2-205903号公報

3-3.当審の取消理由通知の概要
3-3-1.平成16年1月26日付の取消理由通知について
当審の通知した平成16年1月26日付の取消理由は以下のとおりである。
(取消理由1)
異議申立人が主張する上記理由と同様に、訂正前の請求項1ないし4に係る発明は、異議申立人の提示した先願明細書に記載された発明と同一であるので、訂正前の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。

3-3-2.平成16年7月2日付の取消理由通知について
当審の通知した平成16年7月2日付の取消理由は以下のとおりである。
(取消理由2)
第1回目の訂正請求後の請求項1および2に係る発明は、刊行物1に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易になしうることができたものであるから、第1回目の訂正請求後の請求項1および2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<刊行物>
刊行物1:特開昭63-216689号公報
(取消理由3)
第1回目の訂正請求後の請求項1に係る発明の「第2の数値制御部」と「入力信号制御手段」との関連がよく分からず、不明瞭であるので、第1回目の訂正後の請求項1に係る特許は、特許法第36条第5項第2号の規定に違反してされたものである。

3-3-3.平成16年9月27日付の取消理由通知について
当審の通知した平成16年9月27日付の取消理由は以下のとおりである。
(取消理由4)
第2回目の訂正請求後の請求項2に係る発明は、不明瞭であるので、第2回目の訂正請求後の請求項2に係る特許は、特許法第36条第5項第2号の規定に違反してされたものである。

3-4.先願明細書および刊行物1に記載された発明
当審が平成16年1月26日および平成16年7月2日付で通知した取消しの理由において引用した先願明細書および刊行物1には、それぞれ以下の発明が記載されている。
<先願明細書>
ア 請求項1および2
「【請求項1】 3次元加工を行うレーザ加工機において、加工本体部と、前記加工本体部の移動制御を行う第1の数値制御装置と、前記加工本体部に装着される加工ヘッド部と、前記加工ヘッド部の移動制御を行う第2の数値制御装置と、を有することを特徴とするレーザ加工機。
【請求項2】 前記第1の数値制御装置と前記第2の数値制御装置とは、インタフェース回路部で互いに接続されていることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工機。」
イ 段落【0008】
「【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図2は本発明のレーザ加工機の外観を示す図である。図において、レーザ加工機は加工機本体1、加工ヘッド2及び加工テーブル9から構成される。加工機本体1は、コラム10上にY軸方向移動可能に設けられている。加工機本体1と加工ヘッド2とは、フランジ100を介して接続されている。加工機本体1には数値制御装置4が、また加工ヘッド2には数値制御装置6がそれぞれ設けられている。数値制御装置4は、加工機本体1のX,Y,Z軸方向の移動制御を行い、数値制御装置6は、加工ヘッド2のα,β軸方向の移動制御を行う。レーザ発振器8から出射されたレーザビームは、加工機本体1及び加工ヘッド2を経由して加工テーブル9上のワーク90(図3)に照射され、ワーク90に対する3次元加工が行われる。」
ウ 段落【0013】
「・・・図1は本発明のレーザ加工機の構成を示すブロック図である。図において、数値制御装置4のプロセッサ40はROM42に格納されたシステムプログラムに従って、数値制御装置4全体を制御する。RAM43には各種データが格納される。グラフィック制御回路45は各軸の現在位置等のRAM43に格納されたデータを表示信号に変換し、表示装置(図示せず)に送る。キーボード46は、各種のデータを入力するのに使用される。教示盤47はオペレータがティーチングを行うための操作盤である。パルス発生回路48は、プロセッサ40からの位置指令を受けてサーボモータ50を制御するための指令信号をサーボアンプ49に出力する。サーボアンプ49はこの指令信号を増幅し、サーボモータ50を駆動する。このサーボモータ50の駆動により、加工機本体1のX,Y,Z軸方向制御が行われる。サーボモータ50には、位置帰還信号を出力するパルスコーダ51が結合され、その位置帰還信号は検出器44にフィードバックされる。」
エ 段落【0014】
「数値制御装置6は、数値制御装置4と同様にプロセッサ60を中心に構成され、ROM62、RAM63、検出器64及びパルス発生回路68を有している。パルス発生回路68は、プロセッサ60からの位置指令を受けてサーボモータ70(図3のサーボモータ25,28)を制御するための指令信号をサーボアンプ69に出力する。サーボアンプ69はこの速度指令信号を増幅し、サーボモータ70を駆動する。このサーボモータ70の駆動により、加工ヘッド2のα,β軸方向制御が行われる。サーボモータ70には、位置帰還信号を出力するパルスコーダ71が結合され、その位置帰還信号は検出器64にフィードバックされる。」
オ 段落【0015】
「数値制御装置4にはインタフェース回路41が、また数値制御装置6にはインタフェース回路61がそれぞれ設けられ、このインタフェース回路41及び61を経由して数値制御装置4及び6間相互の送信、受信が行われる。次に、その送受信について説明する。」
カ 段落【0016】
「・・・数値制御装置4の指令手段101は、CNCプログラムに従って駆動指令X,Y,Z,α,β及び送り速度指令Fを出力する。判読手段102は、駆動指令α,βを数値制御装置6側に指令するとともに、送り速度Fと移動距離とからα、β軸の駆動速度を規定する移動時間Tを計算し、数値制御装置6側に指令する。この数値制御装置4から数値制御装置6への指令はインタフェース回路41及び61を経由して行われる。数値制御装置6側では、駆動指令α,β及び移動時間Tを受信し、その駆動指令α,β及び速度指令α/T,β/Tをサーボアンプ69に出力する。・・・」
キ 段落【0019】
「・・・数値制御装置4の編集手段210は、フランジ100のX,Y,Z及び加工ヘッド2のα,βを現在位置として認識し、教示手段211に送りプログラミングする。・・・」
ク 段落【0022】
「【発明の効果】・・・加工ヘッド部をユニット化して加工本体部に装着し、それぞれに数値制御装置を設けて制御するように構成した。このため、従来の加工本体部に付加軸を追加した形となり、全体として3次元レーザ加工機としての機能を果たすことが可能となる。・・・」

上記記載事項から判断すると、上記先願明細書には以下の発明が記載されていると認められる。
「加工機本体の移動制御を行う数値制御装置4と、サーボモータを有する加工ヘッドの移動制御を行う数値制御装置6とを備えるレーザ加工機であって、前記加工機本体の移動制御を行う数値制御装置4は、外部からのデータの入力するキーボード46、編集手段210、外部にインタフェース回路41を貸して駆動指令を送出する送出手段102を有するとともに、前記加工ヘッドの移動制御を行う数値制御装置6は、前記インタフェース回路41を介して送出された前記駆動指令を受信するインタフェース回路61を有すると共に、前記インタフェース回路61から送信されたデータを受信した場合に、予めROM62に記憶されたシステムプログラムを実行して前記サーボモータに対する位置決め用の制御信号を出力するCPU60とを備え、前記インタフェース回路41および前記インタフェース回路61は接続されているレーザ加工機。」

<刊行物1>
ア 第3頁右下欄第9行〜第4頁右上欄第2行
「作業プログラム解析実行部7は、・・・ロボットアーム動作制御部8は、ロボットアームが指定経路を指定速度で動作するように、また、指定付加軸グループの各軸がこれと同時動作するように一定時間間隔毎にロボット各軸及び指定付加軸グループ各軸の位置サーボ指令14a〜14cを作成し、各軸の位置サーボ制御部10a〜10cへ送る。そして、各目標位置の位置サーボ指令を出力したのち、ロボット及び指定付加軸グループ各軸の位置決め監視部11a〜11cを起動し、各位置決め完了信号15a〜15cを待って動作完了信号16a〜16cを作業プログラム解析実行部7へ通知する。・・・付加軸動作制御部9は、指定された付加軸グループの各軸が指定速度で動作するように一定時間間隔毎に各軸の位置サーボ指令14a〜14cを作成し、対応する各軸の位置サーボ制御部10a〜10cへ送り、目標位置サーボ指令出力後は、対象付加軸グループの位置決め監視部11a〜11cを起動し、位置決め完了信号15a〜15cを待って動作完了信号16a〜16cを作業プログラム解析実行部7へ通知する。」
イ 第4頁左下欄第7行〜14行
「さらに従来装置においては、・・・対し、本実施例においては、ロボット及び各付加軸グループ毎に各動作位置の位置データを保持し、同時動作時はそれらの組み合せにより動作を指示するため、従来装置に比べ少ない位置教示データ量で同一の作業プログラムを作成することが可能となる。」
ウ 第5頁左上欄第12行〜同頁左下欄第2行
「第11図は、・・・付加軸単独動作命令の実行処理のフローチャートであり、第12図に示す付加軸単独動作指令を作成し付加軸動作制御部へ発行する。・・・第14図は、付加軸動作制御部の概略フローチャートである。第15図は、・・・ハードウエアの一構成例である。本ロボット制御装置は、・・・主制御部MCP27、・・・入出力制御部IOP28、・・・サーボ制御部SVP1(29)、付加軸群のサーボ制御部SVP2(29)、・・・主制御部27と各サーボ制御部29を結合するシステムバス2(31)・・・等によって構成される。・・・また、各制御部は、マイクロプロセッサMPU、制御プログラム及び処理データを格納するROM/RAM、システムバスとのインタフェースであるバスインタフェースBIF、及びサーボ回路とのインタフェースであるサーボインタフェースSVIF等から構成される。」

上記記載事項から判断すると、上記刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。
「システムの主たる制御を行う主制御部MCP27と、一つのサーボモータ36がなす付加軸を制御するサーボ制御部SVP2(29)と、該主制御部MCP27に備えられた出力ポートと、前記サーボ制御部SVP2(29)に備えられ前記出力ポートから出力された伝送信号を入力する入力ポートとを有するロボット制御装置にして、前記主制御部MCP27においては、外部からのデータの入力及び入力された前記データの編集を行う主制御部MCP27のマイクロプロセッサMPUと、前記主制御部MCP27のマイクロプロセッサMPUからの指令に基づいて、前記出力ポートから、付加軸単独動作指令を表わす前記伝送信号である付加軸単独動作指令信号を出力させ、付加軸目標位置データを表わす前記伝送信号である付加軸目標位置データ信号を出力させる主制御部MCP27のバスインタフェイスBIFとを備え、前記サーボ制御部SVP2(29)においては、前記入力ポートから前記付加軸単独動作指令信号が入力された場合に、前記付加軸単独動作指令信号に対応する付加軸単独動作指令、および前記付加軸目標位置データ信号に対応する付加軸目標位置データに基づいて制御プログラムを実行し、位置決め用の制御信号の出力を行うサーボ制御部SVP2(29)のマイクロプロセッサMPUと、前記伝送信号の入力により前記サーボ制御部SVP2(29)のマイクロプロセッサMPUより前記制御信号を出力させるサーボ制御部SVP2(29)のバスインタフェイスBIFとを備えたロボット制御装置。」

3-5.対比・判断
3-5-1.取消理由1(特許法第29条の2違反)について
本件訂正発明と先願明細書に記載された発明とを対比すると、本件訂正発明は、伝送信号の出力および入力において、「出力ポートのうち特定の出力ポートから位置決め指令を表わす前記伝送信号である位置決め指令信号を出力させ、前記特定の出力ポート以外の前記出力ポートから位置決めデータを表わす前記伝送信号である位置決めデータ信号を出力させる第1のシーケンサ」および「入力ポートのうち特定の入力ポートから前記位置決め指令信号が入力された場合に、当該位置決め指令信号に対応する位置決め指令、および前記特定の入力ポート以外の前記入力ポートから入力される前記位置決めデータ信号に対応する位置決めデータを送信する第2のシーケンサ」を有するのに対して、先願明細書に記載された発明は、前記第1のシーケンサおよび第2シーケンサを備えていない。
したがって、本件訂正発明は、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。
なお、周知技術として提示した甲第2号証および甲第3号証にも前記第1のシーケンサおよび第2シーケンサについては記載も示唆もされていない。

3-5-2.取消理由2(特許法第29条第2項違反)について
本件訂正発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、少なくとも以下の点で相違する。
本件訂正発明は、伝送信号出力および入力において、「出力ポートのうち特定の出力ポートから位置決め指令を表わす前記伝送信号である位置決め指令信号を出力させ、前記特定の出力ポート以外の前記出力ポートから位置決めデータを表わす前記伝送信号である位置決めデータ信号を出力させる第1のシーケンサ」および「入力ポートのうち特定の入力ポートから前記位置決め指令信号が入力された場合に、当該位置決め指令信号に対応する位置決め指令、および前記特定の入力ポート以外の前記入力ポートから入力される前記位置決めデータ信号に対応する位置決めデータを送信する第2のシーケンサ」を有するのに対して、刊行物1記載の発明は係る構成がない点。
そして、本件訂正発明は、上記相違点に係る構成を採用することにより、本件明細書、段落【0010】に記載されているとおりの「・・・本発明は、多軸制御用NCユニットと簡易制御用NCユニットとを特別な改造作業を要することなく直に接続することが可能なNCユニットを提供することができる。すなわち、多軸制御用NCユニットに簡易制御用NCユニットを付加するにあたってハードウェア的にはシーケンサ同士を接続し、制御プログラムなどによる制御においてシーケンサを介して位置決めデータと位置決め指令とを伝達するようにしたため、簡易制御用NCユニットの制御を容易にすることができる。」という、刊行物1からは予測されない優れた効果を奏するものである。
以上のことから、本件訂正発明は、刊行物1の記載の発明に基づき当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

3-5-3.取消理由3および4(特許法第36条第5項第2号違反)について
これらの取消理由は、訂正によって解消したものと認められる。


4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由および取消理由によっては本件訂正発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
NCユニット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 多軸を制御する多軸制御用NCユニットと、一つのサーボモータがなす付加軸を制御する簡易制御用NCユニットとを備えるNCユニットであって、
前記多軸制御用NCユニットは、
外部からのデータの入力及び入力された前記データの編集を行う第1の数値制御部と、
外部に伝送信号を出力する出力ポートを有するとともに、前記第1の数値制御部からの指令に基づいて、当該出力ポートのうち特定の出力ポートから位置決め指令を表わす前記伝送信号である位置決め指令信号を出力させ、前記特定の出力ポート以外の前記出力ポートから位置決めデータを表わす前記伝送信号である位置決めデータ信号を出力させる第1のシーケンサとを備え、
前記簡易制御用NCユニットは、
前記出力ポートから出力された前記伝送信号を入力する入力ポートを有するとともに、当該入力ポートのうち特定の入力ポートから前記位置決め指令信号が入力された場合に、当該位置決め指令信号に対応する位置決め指令、および前記特定の入力ポート以外の前記入力ポートから入力される前記位置決めデータ信号に対応する位置決めデータを送信する第2のシーケンサと、
前記第2のシーケンサから送信された前記位置決め指令および前記位置決めデータを受信した場合に、予めメモリに記憶された制御プログラムを実行して前記サーボモータに対する位置決め用の制御信号を出力する第2の数値制御部とを備え、
前記第1のシーケンサおよび前記第2のシーケンサは、前記出力ポートおよび前記入力ポートを介して接続されることを特徴とするNCユニット。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、NCユニットに関し、特に、多軸制御用NCユニットに簡易制御用NCユニットを付加したNCユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
多軸制御用NCユニットでは軸数が増えるにつれて高価となる。一方、一軸だけの制御を行なう簡易制御用NCユニットも使用されており、多軸制御のものに比べて構造がシンプルとなり、割安感がある。このため、従来、多軸制御用NCユニットに簡易制御用NCユニットを付加してNCユニットを構成するものが知られている。多軸制御用NCユニットにはCRTなどのディスプレイやキーボードが備えられており、制御プログラムを記憶させたり修正することが容易となっている。しかるに、簡易制御用NCユニットには、それらが備えられておらず、制御プログラムの入力時に別体のキーボードを接続して操作しなければならない。
【0003】
この場合、多軸制御用NCユニットにおける制御プログラムの入力作業と、簡易制御用NCユニットにおける制御プログラムの入力作業とは独立しているため、作業性が悪い。このため、従来、この種のNCユニットとして、多軸制御用NCユニットにおける数値制御部と簡易制御用NCユニットにおける数値制御部とを直に接続し、多軸制御用NCユニットの側から簡易制御用NCユニットを直に制御して簡易制御用NCユニットにおける制御プログラムを入力させるようにしたものがあった
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のNCユニットにおいては、多軸制御用NCユニットにおける数値制御部と簡易制御用NCユニットにおける数値制御部とを直に接続するため、特別な改造作業が必要になるという課題があった。また、改造作業自体が不可能な場合には依然として多軸制御用NCユニットにおける制御プログラムの入力作業と簡易制御用NCユニットにおける制御プログラムの入力作業とを独立して行なわなければならなかった。
【0005】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、多軸制御用NCユニットに簡易制御用NCユニットを付加した場合に、容易に簡易制御用NCユニットを制御することが可能なNCユニットの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、多軸を制御する多軸制御用NCユニットと、一つのサーボモータがなす付加軸を制御する簡易制御用NCユニットとを備えるNCユニットであって、多軸制御用NCユニットは、外部からのデータの入力及び入力されたデータの編集を行う第1の数値制御部と、外部に伝送信号を出力する出力ポートを有するとともに、第1の数値制御部からの指令に基づいて、当該出力ポートのうち特定の出力ポートから位置決め指令を表わす伝送信号である位置決め指令信号を出力させ、特定の出力ポート以外の出力ポートから位置決めデータを表わす伝送信号である位置決めデータ信号を出力させる第1のシーケンサとを備え、簡易制御用NCユニットは、出力ポートから出力された伝送信号を入力する入力ポートを有するとともに、当該入力ポートのうち特定の入力ポートから位置決め指令信号が入力された場合に、当該位置決め指令信号に対応する位置決め指令、および特定の入力ポート以外の入力ポートから入力される位置決めデータ信号に対応する位置決めデータを送信する第2のシーケンサと、第2のシーケンサから送信された位置決め指令および位置決めデータを受信した場合に、予めメモリに記憶された制御プログラムを実行してサーボモータに対する位置決め用の制御信号を出力する第2の数値制御部とを備え、第1のシーケンサおよび第2のシーケンサは、出力ポートおよび入力ポートを介して接続されることを特徴とする。
【0008】
【作用】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、多軸制御用NCユニットが出力ポートを備え、一つのサーボモータがなす付加軸を制御する簡易制御用NCユニットが前記出力ポートから出力された伝送信号を入力する入力ポートとを備えている。そして、前記多軸制御用NCユニットの第1のシーケンサにおいては、第1の数値制御部が外部からのデータの入力及び入力された前記データの編集を行うと、該第1の数値制御部からの指令に基づいて前記出力ポートより前記伝送信号を出力する。また、前記他方の制御用NCユニットの第2のシーケンサにおいては、前記入力ポートを介して前記伝送信号が入力されると、前記第2の数値制御部は前記伝送信号に基づいて制御信号の出力を行い、前記制御信号を出力する。
【0009】このような構成の一例として、多軸制御用NCユニットのシーケンサと簡易制御用NCユニットのシーケンサとを接続し、それぞれのシーケンサを介して位置決めデータと位置決め指令とを多軸制御用NCユニットの側から簡易制御用NCユニットに与えることができる。すなわち、多軸制御用NCユニットにおける第1のシーケンサはシーケンサより位置決めデータと位置決め指令とを表わす信号を出力するし、簡易制御用NCユニットにおける第2のシーケンサは多軸制御用NCユニットのシーケンサに接続された自己のシーケンサを介して位置決めデータと位置決め指令とを表わす信号を入力した場合に、同位置決めデータを復元して位置決め制御を実施できる。また、多軸制御用NCユニットのシーケンサと簡易制御用NCユニットのシーケンサとにおけるそれぞれの入出力ポートとをパラレルに接続し、多軸制御用NCユニットからはパラレル信号で上記位置決めデータと位置決め指令とを表わして出力し、簡易制御用NCユニットの側では同パラレル信号を位置決めデータと位置決め指令とに復元することもできる。
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、多軸制御用NCユニットと簡易制御用NCユニットとを特別な改造作業を要することなく直に接続することが可能なNCユニットを提供することができる。すなわち、多軸制御用NCユニットに簡易制御用NCユニットを付加するにあたってハードウェア的にはシーケンサ同士を接続し、制御プログラムなどによる制御においてシーケンサを介して位置決めデータと位置決め指令とを伝達するようにしたため、簡易制御用NCユニットの制御を容易にすることができる。
【0011】
【実施例】
以下、図面にもとづいて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の一実施例にかかるNCユニットのブロック図である。同図において、多軸制御用NCユニット10は各種のセンサや制御弁など(不図示)が電気的に接続されるシーケンサ11を備えており、数値制御部12は図3〜図5に示す加工プログラムを実行する際に当該シーケンサ11を介して電気信号などを入出力させる。同シーケンサ11は図2に示すようにトランジスタTR01〜TR0nをスイッチ回路として使用したn個の出力ポートOP1〜OPnを備えており、数値制御部12による指令に従って各トランジスタTR01〜TR0nに対するベース電流IB1〜IBnを制御し、出力ポートOP1〜OPnの出力電圧を変化させる。
【0012】
数値制御部12にはキーボードを備えたディスプレイユニット13が接続されており、加工プログラムや位置決めデータの入力及び編集などを当該ディスプレイユニット13を介して行なう。また、加工プログラムや位置決めデータを記憶するためにメモリ14が数値制御部12に接続されている。簡易制御用NCユニット20も外部機器(不図示)と電気的に接続されるシーケンサ21を備えており,図2に示すように同シーケンサ21はトランジスタTR11〜TR1nのベースを接続したn個の入力ポートIP1〜IPnを備えており,入力されるベース電流によって当該トランジスタTR11〜TR1nをスイッチ回路として使用し、シーケンサ21はコレクタ電圧VC1〜VCnを判断して入力信号を判断する。
【0013】
上記入力ポートIP1〜IPnと出力ポートOP1〜OIPnとを接続し、伝送信号BIT1〜BITnの伝送に使用している。ここにおいて、伝送信号BIT1〜BIT3を使用して位置決め指令を表わし、伝送信号BIT4〜BITnを使用して位置決めデータ(2の(n-3)乗とおり)を表わすものとする。すなわち、多軸制御用NCユニット10の数値制御部12は位置決め指令を出力すべきときに上記シーケンサ11の出力ポートOP1〜OP3から位置決め指令を表わす伝送信号BIT1〜BIT3を出力せしめるとともに、出力ポートOP4〜OPnから位置決めデータを表わす伝送信号BIT4〜BITnを出力させる。一方,簡易制御用NCユニット20の側においては、入力ポートIP1〜IPnから入力される伝送信号BIT1〜BITnから位置決め指令を表わす伝送信号BIT1〜BIT3が入力された場合、シーケンサ21は位置決め指令と伝送信号BIT4〜BITnに対応する位置決めデータとを数値制御部22に送る。
【0014】
数値制御部22にはサーボアンプ31を介して付加軸サーボモータ32が接続されており、メモリ23に記憶された制御プログラムを実行して同サーボアンプ31に位置決め用の制御信号を出力することにより、同付加軸サーボモータ32を駆動させる。メモリ23に記憶された制御プログラムは、図6及び図7に示すように、上記位置決め指令の入力を監視するとともに、位置決め指令が入力されたときには位置決めデータに基づいて付加軸サーボモータ32の駆動量を演算し、上記サーボアンプ31に所定の制御信号を出力させるようにするものである。次に、上記構成からなる本実施例の動作を図3〜図7のフローチャートを参照して説明する。予め、多軸制御用NCユニット10には位置決めデータを入力しておく。位置決めデータの入力は、図3に示すフローチャートに対応するプログラムを実行して行なわれる。すなわち、数値制御部12はディスプレイユニット13から位置決めデータの入力を開始する指示があったものと判断すると(ステップ110)、メモリ14内において当該位置決めデータを記憶するメモリ領域(m[n])を設定し(ステップ112)、ディスプレイユニット13からの入力データを位置決めデータとして入力し(ステップ114)、同位置決めデータをメモリ領域(m[n])に記憶する(ステップ116)。このようにして位置決めデータを一つずつ入力する。なお、図示していないが、入力した位置決めデータを修正及び削除するときはそれぞれのメモリ領域(m[n])から位置決めデータを呼び出して行なう。
【0015】
多軸制御用NCユニット10において図4に示すような加工プログラムを実行させると、数値制御部12は各行のコマンドラインを入力するたびに簡易制御用NCユニット20の位置決め指令であるか否かを判断し(ステップ120)、そうでない場合には他のコマンドに対する処理を行なう(ステップ124)。簡易制御用NCユニット20に対する位置決め指令を表わすコマンドラインとして、例えば”G0”を割り振っておき、”G0 Mn”という書式でメモリ領域(m[n])に記憶された位置に位置決めさせる指示を表わすものとする。そして、ステップ120にて簡易制御用NCユニット20に対する位置決め指令であると判断すると、数値制御部12はシーケンサ11に対して位置決め指令を出力するように指令する(ステップ122)。
【0016】
シーケンサ11においては、図5に示すように、数値制御部12から簡易制御用NCユニット20に対する位置決め指令が指示されているか否かを判断し(ステップ130)、指示されていると判断すると数値制御部12を介して指定されたメモリ領域(m[n])から位置決めデータを読み出す(ステップ132)。そして、位置決め指令を表わすために伝送信号BIT1〜BIT3に対応するトランジスタTR01〜TR03のベース電流IB1〜IB3を制御し、出力ポートOP1〜OP3から所定の伝送信号BIT1〜BIT3を出力させる(ステップ134)。一方、これとともに読み出した位置決めデータを2の(n-3)乗とおりのバイナリデータに変換し、当該バイナリデータを表わすためにトランジスタTR04〜TR0nのベース電流IB4〜IBnを制御して出力ポートOP4〜OPnより伝送信号BIT4〜BITnを出力させる。
【0017】
一方、簡易制御用NCユニット20のシーケンサ21は、図6に示すように、コレクタ電圧VC1〜VC3から入力ポートIP1〜IPnを介して伝送される伝送信号BIT1〜BIT3を監視しており、伝送信号BIT1〜BIT3が位置決め指令を表わすと判断すると(ステップ140)、コレクタ電圧VC4〜VCnに基づいて伝送信号BIT4〜BITnとして表わされるバイナリデータから位置決めデータを復元し、同位置決めデータを数値制御部22を介してメモリ23におけるカスタムマクロの変数領域に設定する(ステップ142)。そして、カスタムマクロの変数領域に設定後、数値制御部22に対して位置決め指令が入力されたことを知らせて図7に示す位置決めプログラムを実行させる。
【0018】
位置決めデータを記憶させるカスタムマクロの変数領域”#1200”として表わすとすると、位置決めプログラムの書式として、例えば”G0 X#1200”というものを割り振っておき、数値制御部22はこのコマンドラインに従って同変数領域に記憶された位置決めデータに対応してサーボアンプ31に制御信号を出力する(ステップ150)。すると、サーボアンプ31が付加軸サーボモータ32を駆動させるのに必要な信号を出力し、所定の位置まで駆動させる。このように、多軸制御用NCユニット10においては、位置決めデータを所定のメモリ領域(m[n])に記憶させておき(ステップ116)、加工プログラムにおいて簡易制御用NCユニット20に対する位置決め指令を出力すべきときにはシーケンサ11に位置決め指令の出力を指令し(ステップ122)、シーケンサ11は位置決め指令の出力指令を受けると所定のメモリ領域(m[x])から位置決めデータを読み取るとともに(ステップ132)、出力ポートOP1〜OPnから位置決め指令と位置決めデータとを表わすパラレルの伝送信号BIT1〜BITnを出力する(ステップ134)。本実施例においては、このようにして出力信号制御手段を構成している。
【0019】
一方、簡易制御用NCユニット20においては、伝送信号BIT1〜BIT3から位置決め指令を判断すると(ステップ140)、伝送信号BIT4〜BITnから位置決めデータを復元して所定の変数領域に記憶させ(ステップ142)、この変数領域に記憶された位置決めデータに基づいて数値制御部22は位置決め制御を実行する(ステップ150)。本実施例においては、このようにして入力信号制御手段を構成している。なお、本実施例においては、多軸制御用NCユニット10のシーケンサ11において位置決めデータをバイナリデータに変換しているが、数値制御部12においてシーケンサ11の出力ポートOP1〜OPnを制御するようにし、数値制御部12の側で所定の位置決め指令と位置決めデータとを表わす伝送信号BIT1〜BITnを出力するようにシーケンサ11を制御してもよい。また、簡易制御用NCユニット20の側においても、シーケンサ21が入力ポートIP1〜IPnを介して入力される伝送信号BIT1〜BITnを数値制御部22に伝送し、数値制御部22が位置決め指令や位置決めデータを復元するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例にかかるNCユニットのブロック図である。
【図2】
それぞれのシーケンサの出力ポートと入力ポートの回路図である。
【図3】
位置決めデータ入力プログラムに対応するフローチャートである。
【図4】
加工プログラムに対応するフローチャートである。
【図5】
シーケンサの処理プログラムに対応するフローチャートである。
【図6】
シーケンサの処理プログラムに対応するフローチャートである。
【図7】
位置決めプログラムに対応するフローチャートである。
【符号の説明】
BIT1〜BITn…伝送信号
IP1〜IPn…入力ポート
OP1〜OPn…出力ポート
10…多軸制御用NCユニット
11…シーケンサ
20…簡易制御用ユニット
21…シーケンサ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-02-10 
出願番号 特願平5-208325
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G05B)
P 1 651・ 534- YA (G05B)
P 1 651・ 161- YA (G05B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 八木 誠  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 上原 徹
林 茂樹
登録日 2002-11-01 
登録番号 特許第3366388号(P3366388)
権利者 スター精密株式会社
発明の名称 NCユニット  
代理人 黒木 義樹  
代理人 寺崎 史朗  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 黒木 義樹  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 竹本 松司  
代理人 手島 直彦  
代理人 杉山 秀雄  
代理人 湯田 浩一  
代理人 寺崎 史朗  
代理人 魚住 高博  

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