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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1117336
審判番号 不服2001-12019  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-08-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-11 
確定日 2005-05-25 
事件の表示 平成11年特許願第 12283号「遊戯台」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月 2日出願公開、特開2000-210411〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年1月20日の出願であって、平成13年6月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成13年7月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成13年7月11日付けの手続補正について
上記補正は、旧請求項1、3、6を削除し、旧請求項2を請求項1に、旧請求項4を請求項2に、旧請求項5を請求項3にそれぞれ補正したものであるから、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除を目的とする。

3.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明のうち、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成13年7月11日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】複数種類の絵柄が表に配置された回転可能なリールを複数個備え、前記絵柄をリール表示窓上で停止させ、前記リールの停止時における前記リール表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定数のメダルを払い戻す遊戯台であって、
各入賞ライン毎に、入賞ライン上に揃える入賞の絵柄の組合わせと、入賞の種類を定め、
該定めた入賞の種類に基づいて、ゲームを行った結果により得られる入賞の種類を、該ゲームにおいて投入したメダルの枚数に対応して予め定められた入賞ライン上の絵柄の組合せにより定め、
同じ入賞の種類について、各入賞ライン毎に異なる前記入賞絵柄の組合せがあることを特徴とする遊戯台。」

4.刊行物の記載内容
これに対して、原審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開平4-329976号公報(以下、刊行物という。)には、次のことが記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は普通ゲームとボーナスゲームとを楽しむことができると共に、メダル投入数に対応して図柄組合せラインを累進的に増大させることができるスロットマシンに関するものである。」、
「【0007】【作用】本願の第1発明及び第2発明によれば、メダル投入個数・・・の数値が1、2、3のとき、夫々5つのラインの内の1ライン、3ライン、5ライン上の図柄組合せを有効ライン上の図柄組合せと判断される。」、
「【0013】【実施例】本発明の一実施例であるスロットマシンは、図2及び図3に示すように、3個のリール1a、1b、1cを有し、夫々のリール1a、1b、1cはパルスモータ2a、2b、2cによって回転駆動される。各リール1a、1b、1cの外周には等間隔に図柄3、3、・・・が表示されている。4はスタートレバーで、これを操作することにより一せいにパルスモータ2a、2b、2cが駆動状態となり、3個のリール1a、1b、1cが同時に回転する。5a、5b、5cは各リール1a、1b、1cに対応して設けられたストップボタンで、これを押すことにより対応するパルスモータ2a、2b、2c、ひいては対応するリール1a、1b、1cを後述のように停止させることができる。
【0014】各リール1a、1b、1cの停止時には、各リール1a、1b、1cにつき上中下の3個の図柄3、3、…が表示窓(表示部)6に表示され、従って全体として縦横各3列の9個の図柄3、3、…が表示窓6に表示される。スロットマシンの前面には、前記図柄3、3、…の組合せラインである5種類のラインが設けられている。すなわち、中央ライン7a、上段ライン7b、下段ライン7c、右上り斜ライン7d、右下り斜ライン7eが設けられており、これらのライン上にある前記図柄3、3、・・・の3個の組合せが、普通ゲームにおける入賞の有無、ペイアウト数の判断対象となる。」、
「【0021】・・・このようにコンピュータ制御部11、メダル払出機14等により、普通ゲームを制御する普通ゲームコントロール手段Cが構成されている。この普通ゲームは周知のように、有効ライン上に例えばオレンジの図柄が3個並んだとき、メダル10枚を払出したり、鈴の図柄が3個並んだとき、メダル15枚を払出したりするものである。
【0022】前記コンピュータ制御部11は、普通ゲームにおいて有効ライン上の図柄組合せが特定の図柄組合せのとき普通ゲームからボーナスゲームに移行させる機能を備えている。具体的には、コンピュータ制御部11は、有効ライン上の図柄組合せが特定の図柄組合せ、例えば「7、7、7」の組合せか否かを判断し、特定の図柄組合せのときには、上記に述べた普通ゲームコントロール手段Cによる制御から後述のボーナスゲームコントロール手段Eによる制御に切換えるように構成されている。・・・」、
「【0025】コンピュータ制御部11は、そのメモリ部に上述のように普通ゲーム時においての特定の図柄組合せ(例えば「7、7、7」)がどのライン上で成立したかが記憶されていて、このラインを特定ラインと定め、特定ライン上に特別のシンボルが位置したときにボーナスゲーム入賞と判断するように構成されている。ボーナスゲーム時には図2に示すように、普通ゲームに使用する図柄3に選択的に併記されているシンボル3a、図示する例では「JAC」が特定ライン上に停止したときのみを入賞としている。又コンピュータ制御部11は、普通ゲームにおいて特定の図柄組合せが得られたラインに応じて入賞時の払出し数が異なるように定めている。例えば次のように定めている。」
【0026】
中央ライン 15枚
上段ライン 30枚
下段ライン 30枚
右上り斜ライン 45枚
右下り斜ライン 45枚
従って、例えば普通ゲーム時に3メダルが投入され、「7、7、7」が右上り斜ライン7d上に揃ったときは、ボーナスゲーム時に左側のリール1aの表示窓左下位置に「JAC」がくれば45枚のメダル払出しが行なわれ、その位置に「JAC」がこなければメダルの払出しが行なわれない。又この場合、中央のリール1bの表示窓中央位置に、右側のリール1cの表示窓右上位置に夫々「JAC」がくれば45枚のメダル払出しが行なわれる。
【0027】
普通ゲーム時に3メダルが投入されていても、「7、7、7」が中央ライン7a上に揃ったときは、ボーナスゲームの入賞払出し数は夫々15枚となる。
【0028】
又普通ゲーム時に2メダル投入した場合には、特定ラインが中央ライン7a、上段ライン7b、下段ライン7cに限定されるのでボーナスゲームの入賞払出し数は15枚か30枚かになる。普通ゲーム時に1メダル投入した場合は、特定ラインが中央ライン7aに限定されるのでボーナスゲームの入賞払出し数は15枚に限定される。」、
「【0032】上記実施例では、ボーナスゲームを各リール停止時の特定ライン上の図柄の夫々に対し入賞の有無を判断して行うスロットマシン(上記実施例では特別のシンボル「JAC」3aが特定ライン上にくるか否かでボーナスゲームの入賞の有無を判断している。)に係るものであるが、ボーナスゲームを次のようにして行う公知のスロットマシンに対しても本発明を適用することができる。すなわち、特定ライン上の図柄組合せであって、普通ゲームの図柄3に選択的に併記されているシンボル3aが3つ揃ったか否かでボーナスゲームの入賞の有無を判断するスロットマシンにも本発明を適用することができる。」。
上記記載及び図面の記載からみて、上記刊行物には、「複数種類の図柄3が表に配置された回転可能なリール1aないし1cを複数個備え、前記図柄を表示窓6上で停止させ、前記リールの停止時における前記表示窓6上の図柄の組み合わせから入賞を定め、所定数のメダルを払い戻すスロットマシンであって、普通ゲームは有効ライン7aないし7e上に例えばオレンジの図柄が3個並んだとき、メダル10枚を払出したり、鈴の図柄が3個並んだとき、メダル15枚を払出したりするものであり、有効ライン上の図柄組合せが、例えば「7、7、7」のときには、ボーナスゲームに切換えるようにし、有効ラインはゲームにおいて投入したメダルの枚数に対応して予め定められるスロットマシン。」の発明が記載されていると認められる。

5.対比・判断
本願発明と上記刊行物 記載の発明とを対比すると、上記刊行物記載の発明の「図柄3」、「表示窓6」、「スロットマシン」、「有効ライン7aないし7e」が、それぞれ、本願発明の「絵柄」、「リール表示窓」、「遊戯台」、「入賞ライン」に相当し、刊行物記載の発明では、普通ゲームは有効ライン上に例えばオレンジの図柄が3個並んだとき、メダル10枚を払出したり、鈴の図柄が3個並んだとき、メダル15枚を払出したりするものであり、有効ライン上の図柄組合せが、例えば「7、7、7」のときには、ボーナスゲームに切換えるようにしており、これらの入賞は、各入賞ライン毎に定められていることから、刊行物記載の発明は、本願発明と同様に、各入賞ライン毎に、入賞ライン上に揃える入賞の絵柄の組合わせ(オレンジの図柄が3個;鈴の図柄が3個;7、7、7)と、入賞の種類(メダル10枚を払出し;メダル15枚を払出し;ボーナスゲーム)を定め、該定めた入賞の種類に基づいて、ゲームを行った結果により得られる入賞の種類を、入賞ライン上の絵柄の組合せにより定めるものであると認められるから、
両者は、「複数種類の絵柄が表に配置された回転可能なリールを複数個備え、前記絵柄をリール表示窓上で停止させ、前記リールの停止時における前記リール表示窓上の絵柄の組み合わせから入賞を定め、所定数のメダルを払い戻す遊戯台であって、各入賞ライン毎に、入賞ライン上に揃える入賞の絵柄の組合わせと、入賞の種類を定め、該定めた入賞の種類に基づいて、ゲームを行った結果により得られる入賞の種類を、該ゲームにおいて投入したメダルの枚数に対応して予め定められた入賞ライン上の絵柄の組合せにより定める遊戯台。」である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
本願発明が、「同じ入賞の種類について、各入賞ライン毎に異なる前記入賞絵柄の組合せがある」のに対し、上記刊行物にはこの点が記載されていない点。
上記相違点を検討すると、上記刊行物の段落【0026】ないし【0028】には、ボーナスゲームについて記載され、「7、7、7」が右上り斜ライン7d上に揃ったときは、ボーナスゲーム時に左側のリール1aの表示窓左下位置に「JAC」がくれば45枚のメダル払出しが行なわれ、・・・中央のリール1bの表示窓中央位置に、右側のリール1cの表示窓右上位置に夫々「JAC」がくれば45枚のメダル払出しが行なわれる・・・「7、7、7」が中央ライン7a上に揃ったときは、ボーナスゲームの入賞払出し数は夫々15枚となる。・・・又普通ゲーム時に2メダル投入した場合には、特定ラインが中央ライン7a、上段ライン7b、下段ライン7cに限定されるのでボーナスゲームの入賞払出し数は15枚か30枚かになる。」と記載され、さらに、段落【0032】には、普通ゲームの図柄3に選択的に併記されているシンボル3aが3つ揃ったか否かでボーナスゲームの入賞の有無を判断するスロットマシンにも本発明を適用することができると記載されていることから、上記刊行物には、入賞ライン上の絵柄の組合せが同じ(JAC)であっても、入賞ラインが異なると入賞の種類が異なること(例えば、45枚の払い出し;30枚の払い出し;15枚の払い出し)が記載されていると認められる(なお、この構成は、本願出願当初の明細書に【請求項4】として記載されている)。このようなゲームが公知である以上、逆に、同じ入賞の種類(例えば、15枚の払い出し)について着目し、各入賞ライン毎の入賞絵柄の組合せを異ならせてみようとすること(例えば、オレンジの図柄が3個の組合せ;鈴の図柄が3個の組合せ)は、当業者であれば容易に思い付くことであり、このようにしたことによる格別の作用効果も認められない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記刊行物に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-17 
結審通知日 2005-03-22 
審決日 2005-04-12 
出願番号 特願平11-12283
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗澤田 真治  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 塩崎 進
藤井 俊二
発明の名称 遊戯台  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  

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