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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1117400
審判番号 不服2002-6321  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-08-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-11 
確定日 2005-05-26 
事件の表示 平成 9年特許願第167303号「電子ショッピングシステムのサーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月 7日出願公開、特開平10-207963〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年6月24日(優先権主張平成8年11月19日)の出願であって、平成14年3月4日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月13日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年5月13日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年5月13日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記端末装置に記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から選択された購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信し、かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する仮買い物手段と、
前記端末装置で選択された購入希望商品の情報に基づき前記仮買い物手段により作成された前記仮買い物情報に基づいて前記購入希望商品の合計金額を計算し、前記合計金額が所定額を越えると、前記購入希望商品の送料を無料とする補足演算部と、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」と補正され、
請求項2は、
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記端末装置との間で情報の送受信を行う場合、電子証明書を用いて互いに認証を行なうと共に、この電子証明書を用いた認証の他にID番号、パスワードを用いて前記端末との間の互いの認証を行い、これら認証が正しい場合にのみ前記端末装置との間で前記情報の送受信を行う認証手段と、
前記端末装置に記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から選択された購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信し、かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する仮買い物手段と、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」と補正され、
請求項3は、
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記端末装置に記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から選択された購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信し、かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する仮買い物手段と、
前記端末装置から前記仮買い物情報が返送された場合、この返送された前記仮買い物情報に含まれる前記商品情報が当該サーバで持っている本来の商品情報と異なっていれば、警告を発するデータ改変防止手段と、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」と補正され、
請求項4は、
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記端末装置に記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から選択された購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信し、かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する仮買い物手段と、
前記端末装置において前記仮買い物情報に対する商品購入の選択があると、カード会社処理装置に対して与信調査を依頼し、かつ前記カード会社処理装置からの与信調査結果に基づいて商品の購入可能又は不可能のメッセージを前記端末装置に送信する手段と、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」と補正され、
請求項5は、
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記端末装置に記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から選択された購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信し、かつ前記端末装置において前記仮買い物情報に対する申込書記入の選択があると、少なくとも商品の届け先を記入するための商品発送情報入力を前記端末装置に送信し、かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する仮買い物手段、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」と補正され、
請求項6は、
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記端末装置に記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から選択された購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信し、かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する仮買い物手段と、
前記端末装置において前記仮買い物情報に対する商品購入の選択があると、この商品の受付け番号を前記端末装置に送信する手段と、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」と補正された
上記補正は、請求項1-6に記載した発明を特定するために必要な事項である「端末装置で選択された」について「記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から」との限定を付加し、同じく「仮買い物手段」について「かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する」との限定を付加したものである。
また、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「補足演算部」について「購入希望商品の情報に基づき合計金額を計算し」との限定を付加し、同じく「商品」について「購入希望」との限定を付加したものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項4に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由で引用された「野殿浩一他,電子ショッピングモールへの認証・暗号化技術の適用,NTT R&D,社団法人電気通信協会,1996年11月10日,第45巻 第11号,第1175-1182頁」(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、
(a)「ユーザはWWWを用いてモールにある複数の店舗から商品を購入することができる。その際ユーザは、ユーザ本人であることを証明するための証明書を必要とし、モールはこの証明書により本人であることを確認して注文を受け付ける。また、モールは各店舗の商品情報を保持しており、ユーザからの注文に対しての受注管理等を行っている。
モールには大きく分けて、申請者に対し本人であること(本人性)を証明する証明書の発行・管理を行うCA機能、WWWを用いてユーザとモール間で商品検索や購入手続き等を行うショッピング機能、クレジット会社(以下、カード会社と示す)とモール間でクレジットカード(以下、カードと示す)の与信照会等を行う決済業務機能、店舗とモール間で受注情報のやりとりを行う受注情報管理機能がある。これらの機能について特徴を次に記述する。また、モールのシステムの概要を図1に示す。」(第1176頁左欄第25行-同頁同欄第39行)、
(b)「(2)ショッピング機能
ユーザは、WWWを用いてモールにアクセスしてモール上の店舗や商品情報を検索し、欲しい商品を購入することができる(図I5)、最大10個まで商品選択可能な買物かごによって、複数の店舗にまたがって商品をストックすることができる。これを利用すれば購入合計額が一目で把握でき、また商品を購入する際に必要な情報(配送先、クレジット番号等)の投入も1回ですむためユーザの利便性が向上する。
ユーザとモールとの間の注文情報等の送受信には、3章で示す方式によりセキュリティを確保している。(図16)
(3)決済業務機能
決済業務機能では、モールはユーザから転送された注文情報等を基にユーザのクレジットカード会社に与信照会を行っている(図17)。与信照会では、通信回線としてのDDX-Pを使用することにより情報の機密性を保っている。与信結果が拒否となったとき、モールよりユーザに対して注文が受け付けられなかった旨の連絡は、確実性が必要であるので電話で行う。」(第1176頁右欄第35行-第1178頁左欄第6行)
と記載されている。
してみれば、引用例1には、
「商品情報をユーザ端末に送信する電子ショッピングモールにおいて、
前記ユーザ端末で前記電子ショッピングモールから受信した商品情報の中から選択されて買い物かごにストックされた商品の情報に基づいて作成された買い物かご内の商品の情報や購入合計金額に基づき作成されたユーザ端末からの注文情報を受信する手段と、
前記ユーザ端末において商品購入が選択されて注文情報が転送されると、クレジットカード会社に対して与信照会し、かつクレジットカード会社からの与信結果を得る手段とを具備した電子ショッピングモール。」との発明(以下「引用例発明」という。)が記載されている。
(3)対比
引用例発明の「ユーザ端末」、「電子ショッピングモール」、「注文」、「ユーザからの注文情報を受信する手段」、「クレジットカード会社」、「与信照会」は、本願補正発明の「端末装置」、「電子ショッピングシステムのサーバ」、「商品購入の選択」、「仮買い物手段」、「カード会社処理装置」、「与信調査」に相当する。
以上の事項を考慮すると、本願補正発明と引用例発明は、
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記サーバから受信した商品情報の中から選択された購入希望商品の情報に基づいて作成された現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を受信する仮買い物手段と、
前記端末装置において前記仮買い物情報に対する商品購入の選択があると、カード会社処理装置に対して与信調査を依頼し、かつ前記カード会社処理装置からの与信調査結果を得る手段と、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)本願補正発明では、購入希望商品が、端末装置に記憶されている商品情報の中から選択されているのに対し、引用例発明では、購入希望商品が、端末装置に記憶されている商品情報の中から選択されているか、それともサーバに記憶されている商品情報から選択されているか、が不明である点。
(相違点2)本願補正発明では、サーバの仮買い物手段が、購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信しているのに対し、引用例発明では、サーバの仮買い物手段が、購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信することが明記されていない点。
(相違点3)本願補正発明では、仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して端末装置から返信された仮買い物情報を受信するのに対し、引用例発明では、仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して端末装置から返信された仮買い物情報を受信することが明記されていない点。
(相違点4)本願補正発明では、カード会社処理装置からの与信調査結果に基づいて商品の購入可能又は不可能のメッセージを前記端末装置に送信するのに対し、引用例発明では、カード会社処理装置からの与信調査結果に基づいて商品の購入可能又は不可能のメッセージを前記端末装置に送信することが明記されていない点。

(4)判断
上記相違点1について検討する。
端末装置に記憶されている商品情報の中から購入予定の商品の情報を選択することは周知である(例えば、特開昭62-130459号公報、特開平3-147097号公報、特開平7-230494号公報等参照。)ので、この周知技術を引用例発明に適用して、端末装置に記憶されている商品情報の中から購入希望商品の情報を選択することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用例発明及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。
上記相違点2について検討する。
所定の処理を端末の処理手段で行うか、端末が接続されたサーバ等のコンピュータの処理手段で行うかは、当業者が適宜選択できる設計的事項であるので、引用例発明において、購入希望商品の情報に基づいて買い物かご内の商品の情報や購入合計金額などの現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成するという処理をサーバ側の処理手段である仮買い物手段で行うことは当業者が容易に選択できる事項である。
そして、購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成するという処理をサーバ側で行う場合に、端末側で買い物かご内の商品や購入合計金額がユーザにわかるようにするためには、サーバ側で作成された前記仮買い物情報を端末へ送信する必要があることは当業者が当然に推考できる事項であると認める。
したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用例発明に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。
上記相違点3について検討する。
商品購入の手続を行う際に、購入希望の商品の情報を端末からサーバなどのコンピュータに送信することは一般的に行われている周知技術であるので、引用例発明において、商品購入を選択した場合に、商品購入の選択に応答して購入する商品に関する仮買い物情報を注文情報に含めてサーバに送信することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用例発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。
上記相違点4について検討する。
与信照会結果に基づいて取引不可能な場合には、取引不可能情報を端末装置に送信すること周知であり(例えば、登録実用新案第3006408号公報参照。)、また、所定の情報をメッセージとして送信することは一般的に行われていることであるので、引用例発明において、カード会社処理装置からの与信調査結果に基づいて商品の購入不可能のメッセージを端末装置に送信することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点4に係る本願補正発明の構成は、引用例1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に想到しえたものである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年5月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年12月13日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「商品情報を端末装置に送信する電子ショッピングシステムのサーバにおいて、
前記端末装置で選択された購入希望商品の情報に基づいて現在のショッピング状況を示す仮買い物情報を作成し、かつこの仮買い物情報を前記端末装置に送信する仮買い物手段と、
前記端末装置において前記仮買い物情報に対する商品購入の選択があると、カード会社処理装置に対して与信調査を依頼し、かつ前記カード会社処理装置からの与信調査結果に基づいて商品の購入可能又は不可能のメッセージを前記端末装置に送信する手段と、
を具備したことを特徴とする電子ショッピングシステムのサーバ。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「端末装置で選択された」の限定事項である「記憶されている前記サーバから受信した商品情報の中から」との構成を省き、「仮買い物手段」の限定事項である「かつ前記仮買い物情報に対する商品購入の選択に応答して前記端末装置から返信された前記仮買い物情報を受信する」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-25 
結審通知日 2005-03-29 
審決日 2005-04-11 
出願番号 特願平9-167303
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 竹中 辰利
篠原 功一
発明の名称 電子ショッピングシステムのサーバ  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞男  
代理人 中村 誠  
代理人 橋本 良郎  
代理人 河野 哲  
代理人 坪井 淳  

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