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審決分類 審判 全部申し立て 出願日、優先日、請求日  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1117907
異議申立番号 異議2003-71416  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-09-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-06-02 
確定日 2005-03-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3352642号「遊技機」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3352642号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3352642号の発明についての特許出願は、平成3年11月28日に出願された特許出願(特願平3-314518号)の一部が特許法第44条第1項の規定により、平成10年11月30日に新たな特許出願(特願平10-340298号)とされたものの一部を更に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願としたものであり、平成11年2月3日付け、平成14年4月22日付け及び平成14年7月22日付けの各手続補正によって補正がなされ、平成14年9月20日にその特許権の設定登録がなされ、その後、本間幹雄及び榊原吉保より特許異議の申立てがなされ、平成15年12月24日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年3月9日に特許異議意見書と共に訂正請求書が提出されたものである。
2・訂正の適否
(2-1)訂正の内容
ア・訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の「前記複数の可変表示部が前記特定の識別情報の組合せが揃った状態で可変表示している可変表示リーチ状態」を「前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態」と訂正する。
イ・訂正事項b
特許明細書の段落番号【0005】、【0006】、【0081】中の「前記複数の可変表示部が前記特定の識別情報の組合せが揃った状態で可変表示している可変表示リーチ状態」を「前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態」と訂正する。
(2-2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項a、bは、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当するものであり、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記いずれの訂正事項も実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2-3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(3-1)本件発明
上記(2-3)に記したように、訂正が認められるから、本件請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された下記の事項により特定されるとおりのものと認める。
【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有し、該複数の可変表示部の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せとなったときに遊技者にとって有利な状態に制御される遊技機であって、数値情報を更新する数値情報更新手段と、該数値情報更新手段から数値情報を抽出する数値情報抽出手段と、前記複数の可変表示部の表示結果として前記特定の識別情報の組合せを表示させるか否かを決定する表示結果決定手段と、前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記表示結果決定手段の決定に従った前記複数の可変表示部の表示結果を導出表示させる制御をする可変表示制御手段とを含み、リーチ状態として、前記複数の可変表示部のうちの1つの可変表示部のみが可変表示している通常リーチ状態と、前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態とを含む複数種類のリーチ状態が予め定められており、前記可変表示制御手段は、前記数値情報抽出手段が抽出した数値情報に応じて前記複数種類の中からリーチ状態を選択し、当該選択したリーチ状態に制御することを特徴とする、遊技機。
【請求項2】 前記複数種類のリーチ状態は、前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
(3-2)本件出願の出願日について
(3-2-1)補正の適否
(請求項2記載の発明について)
平成11年2月3日付け手続補正により、
願書に最初に添付した明細書の請求項4で、「前記複数種類のリーチ制御は、前記複数の可変表示部のすべてが可変表示中に前記特定の識別情報が揃えられた状態で前記複数の可変表示部を可変表示させる特定リーチ制御を含んでいる」とし、発明の詳細な説明で、「特定リーチ制御」として、【0005】、【0006】に上記と同様の記載が、また、【0081】に、「そして、前記複数種類のリーチ制御は、前記特定の識別情報が揃えられた状態で前記複数の可変表示部を可変表示させる特別リーチ制御(特別リーチ)を含んでいる。また、前述したように、最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転させてもよい。すなわち、前記複数種類のリーチ制御は、前記複数の可変表示部のすべてが可変表示中に前記特定の識別情報が揃えられた状態で前記複数の可変表示部を可変表示する特定リーチ制御を含んでいる。」という事項を追加している。
また、平成14年7月22日付け手続補正により、
請求項2で、前記複数種類のリーチ状態は、「前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態を含んでいる」とし、発明の詳細な説明で「リーチ状態」に関し、「前記複数の可変表示部が前記特定の識別情報の組合せが揃った状態で可変表示している可変表示リーチ状態(「特別リーチ状態」、「最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転するリーチ状態」)とを含む複数種類のリーチ状態が予め定められており」(【0005】)という事項を追加している。
しかし、願書に最初に添付した明細書には、「また、最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転させてもよい」(【0018】)と記載されているものの、実施例では、最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転させることと「リーチ状態」とを結びつける記載が無く、かつ、大当り図柄が揃った状態となるように回転させる場合は、「一方、中ドラムの回転が停止している場合にはS77に進み、大当りフラグが「特別リーチ」にセットされているか否かの判断が行なわれる。」(【0060】)というように、最初にドラムの回転が停止した時点で大当りフラグが「特別リーチ」にセットされている場合の例しか記載されていない。
すなわち、「リーチ状態」として「前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態」とする構成は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されているとはいえず、かつ、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項から当業者にとって自明な事項であるとも認められない。
(請求項1記載の発明について)
上記のとおり、請求項1を引用する請求項2が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されているとはいえず、かつ、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項から当業者にとって自明な事項であるとも認められない構成を含むものである以上、このような請求項2の構成を包含するものである請求項1も(請求項2記載の発明について)において述べた平成11年2月3日付け手続補正により加えられた事項を基にしているといわざるをえない。
したがって、本件出願の上記手続補正は、明細書又は図面の要旨を変更するものであるので、上記補正について手続補正書を提出した平成11年2月3日に出願したものとみなされる。
(3-3)36条違反について
(3-3-1)「リーチ状態」に関し、
請求項1では「前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態」という構成、
請求項2では「前記複数種類のリーチ状態は、前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態を含んでいる」という構成、を備え、
段落【0005】には請求項1に関する記載として、「前記複数の可変表示部が前記特定の識別情報の組合せが揃った状態で可変表示している可変表示リーチ状態(「特別リーチ状態」、「最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転するリーチ状態」)とを含む複数種類のリーチ状態が予め定められており」と記載されている。(請求項2についても同様な記載が有り、「特別リーチ状態」を省いている。)
これらの記載によれば、請求項1、2では、「最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転するリーチ状態」を含むものとなっている。しかし、実施例では、段落【0018】に、「また、最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転させてもよい。」という記載があるのみであり、最初の回転ドラムを停止させる前にすべての回転ドラムが大当り図柄が揃った状態となるように回転させることは理解されるものの、そのような状態を「リーチ状態」と結びつける明確な記載はなく、「最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転するリーチ状態」とはどのような状態を指すのか、また、そのようにするためにどのように制御するのかそのフローは全く不明であり、どのように実施するのか不明である。しかも、上記段落【0005】に記載のものというのであれば、請求項1に含まれる発明(請求項2に係る発明)は、発明の詳細な説明にその表現が記載されているだけで、実質的な発明の裏付けとなる技術事項は記載されていない。
一般的なリーチと異なる特殊なリーチは、どのような条件の成立により、又どのようなアクションを行う時リーチというのか、その定義が必要になってくるのであって、例えば、本件特許明細書の段落【0009】以下に記載されるリーチは、「特別リーチ状態」という名称でリーチの定義がなされている。(即ち、リーチ状態成立の条件は停止した中図柄が特定の識別情報(たとえば7)のときであり、そのアクションは左右の各図柄上に描かれた「7」の図柄を水平、右下がりまたは右上がりに揃えた状態でゆっくり回転させる)
そうすると、何をもってリーチというのか、即ちその成立の条件及びそのアクション(含リーチから最終的に可変表示部の表示結果が出るまでの動作)が明確でない本件特許明細書はその記載が不備であるといわざるを得ない。
したがって、本件出願は、特許法36条4項、及び6項1,2号に規定する要件に違反して特許されたものであり、本件請求項1、2に係る発明の特許は、取り消されるべきである。
(3-4)29条違反について
出願日=平成11年2月3日
・特開平5-146545号公報(引用例1・・本件の原原出願の公開公報)
・特開平4-102484号公報(引用例2)
引用例2には、リーチ状態について下記のように記載されている。
「この補助ゲーム(可変表示ゲーム)は例えば次のようにして行われる。即ち、先ず、可変表示部21の左図柄、中図柄、右図柄がそれぞれランダムに変動される(図柄が変動するに当たっては、上段に表示された図柄が順次下段にて表示されるようになっている。)」(4頁左下欄13〜18行)
「それら左図柄、中図柄および右図柄がダウンスクロール状態に変換され、さらに所定時間経過した時点でそれぞれ停止される。」(4頁左下欄20行〜同右下欄3行)
「その補助遊技(可変表示ゲーム)が繰り返して行われているうちに、左図柄、中図柄、および右図柄が共にダウンスクロールに変換されて変動してその通常の変動時間が終了したときに左図柄、中図柄および右図柄の上段又は下段の図柄のうちのいずれか一方が一致して大当りの発生の可能性が生じたとき」(4頁右下欄4〜10行)
「即ち、リーチ状態となったときには、その補助遊技のダウンスクロールの継続時間が通常時に比べて延長される。その延長時には左図柄、中図柄および右図柄の3つの図柄が一緒にゆっくりしたダウンスクロールで変動される。」(4頁右下欄10〜14行)」
「そして、それが通常の可変表示ゲームのときには、液晶パネル420に、第18図(A)、(B)、(C)に示した20組ずつの左図柄、中図柄および右図柄がそれぞれ1組ずつランダムに変動され、」(22頁左下欄7〜10行)
「一方、通常のダウンスクロールの終了時に、左図柄、中図柄および右図柄3つの図柄が揃って(上段、下段何れが揃っていても良い)大当り発生の可能性が生じたとき(リーチ状態になったとき)にはその通常のダウンスクロールを継続(延長)させつつディスプレイ用ダウンスクロールをゆっくりした速度で行なう。」(22頁右下欄4〜10行)
上記記載、及び第18図、第19図によれば、引用例2には、
複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態とする遊技機が記載されている。
(3-4-1)請求項1、2に係る発明について
上記のとおり本件請求項1、2に係る発明は不明瞭であるが、文言どおりの上記請求項1、2に記載の構成を備えているものと認定する。
まず、請求項2に係る発明について検討する。
請求項2に係る発明における、前記複数種類のリーチ状態は「前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態を含んでいる」とする点は、請求項1に係る発明の「複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態」とする点に包含される(平成16年3月9日付け訂正請求書2ページ下から7行〜3ページ下から8行参照)ものであり、請求項1に係る発明の上記点の具体的態様の一つということができる。
そうすると、請求項2に係る発明は上記引用例1における特別リーチに代えて、上記引用例2の技術を単に適用しただけのことにすぎないから当業者が容易に想到し得る程度のことというべきであり、請求項2に係る発明を包含する請求項1に係る発明についても、請求項2に係る発明が上記のとおりであるから、請求項2に係る発明と同じ理由により当業者が容易に想到し得る程度のことというべきである。
したがって、本件請求項1、2に係る発明は、上記引用例1、2記載の発明により当業者が容易に発明することができたものであり、特許法29条2項の規定に違反して特許されたものである。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有し、該複数の可変表示部の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せとなったときに遊技者にとって有利な状態に制御される遊技機であって、
数値情報を更新する数値情報更新手段と、
該数値情報更新手段から数値情報を抽出する数値情報抽出手段と、
前記複数の可変表示部の表示結果として前記特定の識別情報の組合せを表示させるか否かを決定する表示結果決定手段と、
前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記表示結果決定手段の決定に従った前記複数の可変表示部の表示結果を導出表示させる制御をする可変表示制御手段とを含み、
リーチ状態として、前記複数の可変表示部のうちの1つの可変表示部のみが可変表示している通常リーチ状態と、前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態とを含む複数種類のリーチ状態が予め定められており、
前記可変表示制御手段は、前記数値情報抽出手段が抽出した数値情報に応じて前記複数種類の中からリーチ状態を選択し、当該選択したリーチ状態に制御することを特徴とする、遊技機。
【請求項2】 前記複数種類のリーチ状態は、前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシンなどで代表される遊技機に関する。詳しくは、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有し、該複数の可変表示部の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せとなったときに遊技者にとって有利な状態に制御される遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機として従来から一般的に知られているものに、直線状あるいはマトリックス状に複数の可変表示部が配設され、1または複数本の組合せ有効列が定められた可変表示装置が設けられ、その可変表示装置の表示結果により、組合せ有効列上に特定の表示態様の組合せ(たとえば777)が成立した場合に、遊技者にとって有利な遊技状態に制御可能となるように構成されたものがあった。そして、複数の可変表示部のすべての表示結果が導出表示される以前の段階において、いわゆるリーチ状態が成立した場合に所定のリーチ表示演出動作の表示を行なって遊技者の期待感を効果的に盛り上げる表示動作が行なわれるように構成されたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、この種の従来の遊技機において、リーチ表示状態が1種類しか存在しない場合には、変化性に乏しく遊技者の期待感を効果的に盛り上げることができにくいという不都合が生ずる。そこで、複数種類のリーチ制御を予め定め、その複数種類のリーチ制御の中からあるリーチ制御を選択して可変表示装置を表示制御するようにすれば、変化性に富んだ効果的な演出が可能となる。
しかし、このように構成する場合には、前述した複数種類のリーチ制御の中から表示すべきリーチ制御を選択するにおいて偏った選択あるいは規則性のある選択が行なわれた場合には、遊技者がその規則性等を見破って予測してしまい、実際にリーチ状態が表示されたとしても驚きがなく感動に乏しいものになってしまうという不都合が新たに生ずる。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、変化性に富み効果的な演出を行なうことのできるリーチ制御を行なって遊技の興趣をより一層向上させることのできる遊技機を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有し、該複数の可変表示部の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せとなったときに遊技者にとって有利な状態に制御される遊技機であって、
数値情報を更新する数値情報更新手段(基本回路45、S8,S15)と、
該数値情報更新手段から数値情報を抽出する数値情報抽出手段(基本回路45、S40)と、
前記複数の可変表示部の表示結果として前記特定の識別情報の組合せを表示させるか否かを決定する表示結果決定手段(基本回路45、S42〜S54)と、
前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記表示結果決定手段の決定に従った前記複数の可変表示部の表示結果を導出表示させる制御をする可変表示制御手段(基本回路45、モータドライブ回路54、スイッチ・センサ入力回路49、S57〜S85、S91〜S135)とを含み、
リーチ状態として、前記複数の可変表示部のうちの1つの可変表示部のみが可変表示している通常リーチ状態と、前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態(「特別リーチ状態」、「最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転するリーチ状態」)とを含む複数種類のリーチ状態が予め定められており、
前記可変表示制御手段は、前記数値情報抽出手段が抽出した数値情報に応じて前記複数種類の中からリーチ状態を選択し、当該選択したリーチ状態に制御する(基本回路45、S54,S58〜S66)ことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記複数種類のリーチ状態は、前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態(最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転するリーチ状態)を含んでいることを特徴とする。
【0006】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、表示結果決定手段の働きにより、前記複数の可変表示部の表示結果として前記特定の識別情報の組合せを表示させるか否かが決定される。数値情報抽出手段の働きにより、数値情報を更新する数値情報更新手段から数値情報が抽出される。表示結果決定手段の働きにより、前記複数の可変表示部の表示結果として前記特定の識別情報の組合せを表示させるか否かが決定される。可変表示制御手段の働きにより、前記複数の可変表示部を可変開始させた後、前記表示結果決定手段の決定に従った前記複数の可変表示部の表示結果を導出表示させる制御が行なわれる。リーチ状態として、前記複数の可変表示部のうちの1つの可変表示部のみが可変表示している通常リーチ状態と、前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態とを含む複数種類のリーチ状態が予め定められており、可変表示制御手段の働きにより、数値情報抽出手段が抽出した数値情報に応じて前記複数種類の中からリーチ状態が選択され、当該選択されたリーチ状態に制卸される。
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、前記複数種類のリーチ状態は、前記複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態を含んでいる。
【0007】
【発明の実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図1は、弾球遊技機の一例のパチンコ遊技機の遊技盤面を示す正面図である。遊技者が図示しない打球操作ハンドルを操作すれば、打球待機樋(図示せず)に貯留されているパチンコ玉が1つずつ遊技盤1の前面に形成されている遊技領域2内に打込まれる。遊技領域2には、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置3が設けられているとともに、始動入賞口10a,10b,10cが設けられている。これらそれぞれの始動入賞口10a,10b,10c内に入賞したパチンコ玉は、それぞれに、始動入賞玉検出器11a,11b,11cにより検出される。その始動入賞玉検出器の検出信号に基づいて、前記可変表示装置3の各図柄表示部3a,3b,3cが可変開始される。そして、所定時間の経過に基づいてまず中図柄表示部3bが停止し、その停止した中図柄が特定の識別情報以外のときにはその後左図柄表示部3aが停止し、最後に右図柄表示部3cが停止し、停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報になれば、可変入賞球装置4の開閉板を開成させて遊技者にとって有利な第1の状態とし所定の遊技価値が付与可能な状態にする。左、中図柄表示部3a,3bが停止した時点で特定の識別情報の組合せとなる条件を満たしていれば、通常リーチ状態と呼ぶ。各図柄表示部3a〜3cには、縦方向に3つの図柄が表示可能である。したがって可変表示装置3によって表示される図柄は、3×3のマトリックス状の配列となる。このマトリックスにより、水平方向の3本のラインと、2本の対角線との合計5本の表示ラインが形成される。本実施例においては、この5つのラインのいずれも組合せ有効列とされており、このライン上に特定の識別情報の組合せが形成されれば、前記第1の状態となるように遊技機が制御される。
【0009】
一方、中図柄表示部3bが停止した時点で、停止した中図柄が特定の識別情報(たとえば7)のとき(これを特別リーチ状態と呼ぶ)には、以下のような可変表示が行なわれる。左右の図柄表示部3a、3cは可変表示を続けるが、この場合各図柄表示部3a、3c上に描かれた「7」の図柄を水平または右下がりまたは右上がりに揃えた状態でゆっくり回転させた後、左右同時またはまず左、続いて右の順序で停止させる。したがって図柄表示部3a、3cの可変表示中には、中央の水平方向表示ライン、または右下がりの対角表示線または右上がりの対角表示線上に揃うことが可能な状態が形成される。したがって可変表示の比較的早い段階から特定の識別情報の組合せの成立に対する期待感が高まることとなり、遊技者の遊技の興趣を従来よりも一層盛り上げることが可能となる。
【0010】
可変表示装置3の可変表示中においてパチンコ玉が始動入賞口10a〜10cへ入賞すればその始動入賞が記憶され、可変表示装置3の可変表示が停止した後にその記憶に基づいて再度可変表示装置3が可変開始される。その始動入賞記憶の上限値はたとえば「4」に定められている。その始動入賞記憶回数が始動記憶LED26により表示される。
【0011】
なお、上述の説明においては、特別なリーチ状態から大当りになった場合と、通常のリーチ状態から大当りとなった場合で、特に付与する遊技価値には差は設けていない。しかし、この発明はこれには限定されず、たとえば特別なリーチ状態から大当りとなった場合には、通常の大当りとは異なった遊技価値を付与可能な状態となるように構成してもよい。また、上述の実施例では組合せ有効ラインは5ラインとされていた。しかし有効ラインはこれには限定されず、たとえば1ラインでも、他の複数のラインでもよい。また、上述の実施例では図柄表示部の停止順序が中、左、右あるいは中、左右同時の順序で行なわれたが、本発明はこれには限定されない。また、特別なリーチ状態となった場合には、常に残りの表示部を同時に停止させるように構成してもよく、また特別なリーチ状態を可能とするような図柄を複数個設けてもよい。たとえば、特定の図柄に限らず、中図柄表示部3bの中央に大当り図柄が停止したすべての場合に、上述のような可変表示の制御を行なってもよい。識別情報の表示方法は上述の実施例ではスクロール表示となっているが、たとえばセグメント表示器等による切換表示でもよい。また、複数のラインのうち特定のラインに停止した場合に限らず、最初の表示部が停止したとき、その停止した図柄が大当り条件を満たしている場合には常に実施例のような可変表示の制御を行なってもよい。
【0012】
一方、可変入賞球装置4は、通常時においては開口部7が開閉板5により閉塞されてパチンコ玉が開口部7に入賞できない遊技者にとって不利な第2の状態になっているが、開閉板5が開成することによりパチンコ玉が開口部7に入賞可能な遊技者にとって有利な第1の状態となる。可変入賞球装置4の第1の状態は、パチンコ玉の所定個数(たとえば10個)の入賞または所定時間(たとえば30秒間)の経過のいずれか早いほうの条件が成立することにより終了し、可変入賞球装置4が第2の状態に切換わる。一方、開口部7内の所定の箇所には特定入賞口8が形成されており、可変入賞球装置4に入賞したパチンコ玉がこの特定入賞口8に入賞すれば、その回における可変入賞球装置4の第1の状態が終了して第2の状態となった後再度開閉板5が開成されて第1の状態が繰返し継続制御される。この繰返し継続制御の上限回数はたとえば16回と定められている。この繰返し継続制御が行なわれた回数すなわち開閉板5が開成された開成回数が開成回数表示器25により表示される。さらに、この可変入賞球装置4に入賞した入賞玉の個数が入賞個数表示器9により表示される。なお図中6はソレノイドであり、開閉板5を開閉駆動させるためのものである。
【0013】
この可変入賞球装置4の第2の状態としては、打玉が全く入賞できない状態ではなく打玉が入賞困難な状態であってもよい。
【0014】
可変表示装置3には、ドラムランプ22a〜22iが設けられており、点灯または点滅することにより各図柄表示部3a〜3cによって表示される識別情報を明るく表示できるように構成されている。さらにこの可変表示装置3には、飾りLED23が設けられているとともに、入賞口12が形成されている。本実施例においては、回転ドラム式の可変表示装置を示すが、本発明はこれに限らず、たとえば、セグメント状あるいはマトリクス状の液晶表示装置や発光ダイオードやエレクトロルミネセンス等を用いたデジタル式の可変表示装置であってもよく、また、複数のランプ等が走行点灯することにより可変表示を行なうものであってもよい。さらに、図柄表示部3a〜3cは3つに限らず2つまたは4つ以上のものであってもよい。さらに、この可変表示装置の可変表示を、遊技者の停止ボタン(図示せず)の押圧操作によって停止させたり、また、所定時間の経過または遊技者の停止ボタンの押圧操作のうちいずれか早いほうが行なわれたことに基づいて停止制御してもよい。
【0015】
遊技領域2には、さらに、風車ランプ18,入賞口13,14,サイドランプ17,肩ランプ19が設けられている。可変入賞球装置4の左右には、アタッカーランプ21,アタッカーLED24,袖ランプ20が設けられている。図中、16はレール飾りランプであり、15はアウト玉を回収するアウト口である。
【0016】
図2は、特別可変表示装置を構成するドラムユニットの構造を説明するための分解斜視図である。
【0017】
ドラムユニット27のドラム機構収納部28内には、回転ドラム31a,31b,31cが設けられている。この回転ドラム31a,31b,31cは、それぞれに、ステッピングモータ30a,30b,30cにより回転されるように構成されている。ステッピングモータ30a〜30cは、それぞれモータ取付板29a,29b,29cに取付けられている。また、回転ドラム31a〜31cには、ドラム位置を検出するための無反射部分33a〜33cがそれぞれに形成されている。ドラム機構収納ボックス28の前記無反射部分33a〜33cに対応する位置には、透孔34a〜34cがそれぞれ形成され、その透孔34a〜34cに、反射型ホトセンサからなるドラムセンサ36a〜36cがそれぞれ挿入される。このドラムセンサ36a〜36cは、中継端子基板37とともにドラム機構収納部28に固定されるセンサ基板35に設けられている。そして、ドラムセンサ36a〜36cによりそれぞれの無反射部分33a〜33cを検出することにより、それぞれの回転ドラム31a〜31cの基準位置からの回転角度が制御可能となる。これら回転ドラム31a,31b,31cの外周には、複数種類の識別情報(図柄)が描かれたドラムシール32a,32b,32cが貼着されている。
【0018】
なお、可変表示装置の種類は実施例のような回転ドラムを用いたものには限定されない。たとえばマトリックス状に配置されたLEDを用いた可変表示装置や、液晶表示装置を用いたものであってもよい。また、最初の回転ドラムを停止させる前に、すべての回転ドラムが、大当り図柄が揃った状態となるように回転させてもよい。
【0019】
図3は、前記各回転ドラムの外周に貼着された各ドラムシール32a,32b,32cに描かれた図形を展開した状態を示す展開図である。
【0020】
左の回転ドラム31aのドラムシール32aには、6種類の左大当り図柄38a〜43aを含む18個の図柄が描かれている。中央の回転ドラム31bのドラムシール32bには、6種類の中大当り図柄38b〜43bを含む18個の図柄が描かれている。右の回転ドラム31cのドラムシール32cには、6種類の右特定の大当り図柄38c〜43cを含む18個の図柄が描かれている。そして、この図3に示す1番左の列に示された数字は図柄No.であり、たとえば左の大当り図柄38aは図柄No.「8」であり、中の大当り図柄の38bで示された図柄は図柄No.が「7」であり、右の大当り図柄38cで示された図柄の図柄No.は「6」である。この複数種類の図柄のうち、38a〜43cの図柄が大当り図柄であり、これら大当り図柄のうち同じ種類の図柄が前記5本の当り列上に揃えば、前述したように、可変入賞球装置4が第1の状態に駆動制御されて大当り状態が発生する。
【0021】
さらに、これら大当り図柄のうち、38a〜38cの図柄が特定の大当り図柄であり、39a〜43cの図柄は通常の大当り図柄である。すなわち、本実施例の場合には図柄表示部3bの中央に図柄38bの「7」が停止した場合に、前述のように左図柄表示部と右図柄表示部に「7」が、有効ライン上に揃うような状態で可変表示され、それ以外の場合にはこのような可変表示は行なわれない。
【0022】
図4は、本実施例のパチンコ遊技機において、中図柄表示部が停止した時点の、可変表示装置3の表示状態を3種類示す。図4(A)においては、中図柄表示部の中央に特定の大当り図柄38bが停止している。左図柄表示部および右図柄表示部は、この図の場合にはそれぞれ図柄「7」が右上がりに揃えられた状態でゆっくりと回転する。すなわち、図4(A)においては、右図柄表示部の図柄39cの2コマ上には特定の大当り図柄「7」(38c)があり、左図柄表示部と右図柄表示部とはそれぞれの図柄の関係がこのように「7」が右上がりに揃えられた状態に保たれて回転される。したがって左図柄表示部の図柄「7」が中図柄表示部に停止した図柄「7」の左下にきた場合には、右図柄表示部の最上部には同じ図柄「7」が表示されることになる。
【0023】
図4(B)は、「7」が水平に揃えられるような状態で左図柄表示部および右図柄表示部が可変表示されている状態を示す。この図においては、左図柄表示部の図柄38aと右図柄表示部の図柄38cとが水平に揃えられた状態で可変表示される。したがって左図柄表示部の図柄38aが中央ラインにきた時点で「7」が中央の水平方向ラインに揃って表示されることになる。
【0024】
図4(C)においては、「7」が右下がりに揃えられた状態が示されている。この図の場合にも、左図柄表示部と右図柄表示部とは、図柄が互いに図4(C)に示されるように「7」が右下がりに揃えられた状態で可変表示される。図4(A)〜(C)のいずれの場合にも、左右の図柄表示部はいずれもゆっくりと可変表示される。したがって有効ライン上に特定の大当り図柄が揃えられることに対する遊技者の期待感はより一層高まることになる。
【0025】
なお、各図柄表示部の可変表示および停止制御は、後述するマイクロコンピュータなどからなる基本回路によって実行されるプログラムににより行なわれる。このプログラム上では、所定の可変開始条件の成立に伴って選ばれた図柄ナンバーに対応する図柄を中央ライン上に停止させるべく、停止制御が行なわれる。すなわち、選ばれた図柄ナンバーが左から右に順に「876」である場合には、中央ライン上には「777」という図柄が表示されることになり、選ばれた図柄ナンバーが「777」である場合には、左上から右下への対角ライン上に「777」が表示されることになり、選ばれた図柄ナンバーが「975」である場合には左下から右上への対角ライン上に「777」という図柄がそれぞれ表示されることになる。
【0026】
回転ドラム31a〜31cの回転制御方法の概略を次に説明する。可変表示装置の可変開始時に目的とする停止図柄すなわち停止時の識別情報の組合せが確定しており、各ドラム31a〜31cは、停止時の中央ラインの図柄がその停止図柄となるように停止制御される。このドラム回転停止制御は、基本時間におけるドラム制御テーブル(後述のマイクロコンピュータに予め記憶されている)に従った回転制御と、引続き行なわれる一定速度(たとえば10msec/ステップ、約27.78回転/分)のドラム停止制御に大別される。この可変表示装置は、中図柄用回転ドラム31b、左図柄用回転ドラム31a、右図柄用回転ドラム31cの順で停止制御されるが、特別リーチのときには中図柄用ドラム31bが停止制御された後、左図柄用ドラム31aと右図柄用ドラム31cが同時に、または左、右の順で停止制御される。中図柄用回転ドラム31bの予定停止図柄が「7」以外であって、左図柄用回転ドラム31aと中図柄用回転ドラム31bの予定停止図柄が大当り条件を満たしている場合には通常リーチ状態となり、右図柄用回転ドラム31cについては、基本時間を経過した時点で変動開始時の図柄ポジションに戻るように制御され、引続き10msec/ステップの一定速で所定数の図柄(たとえば36図柄つまり2回転分)を送り、さらに引続き10msec/ステップの一定速の停止制御に移行して右図柄用ドラム31cのドラムポジションが停止図柄に一致した時点で停止制御される。中図柄用ドラム31bの予定停止図柄が「7」となっている特別リーチ状態の場合には、上述のような右図柄用回転ドラム31cについての回転制御が、左図柄用回転ドラム31aについても行なわれる。
【0027】
上述したような右図柄用回転ドラム31cまたは右図柄用回転ドラム31cおよび左図柄用回転ドラム31aの変動開始から停止までの時間経過は基本時間+固定図柄数+現在図柄番号と停止図柄番号との差によって定められ、変動開始時の図柄ポジションと停止図柄ポジションとの関係により変化する。
【0028】
図柄数が18あるため、上述の時間経過は18段階に変化することになる。このリーチ状態または大当り時の右図柄用回転ドラム31cまたは右図柄用回転ドラム31cおよび左図柄用回転ドラム31aの変動方式により、遊技者が図柄停止タイミングから各ドラムの停止図柄を予測することが困難となる。
【0029】
ドラム制御テーブルは、その基本時間(ドラム制御テーブルによるドラム変動時間)を所定時間(たとえば5.100秒)とし、この基本時間が経過した時点で変動開始時の図柄ポジションより正確に0〜17図柄が送られた位置関係に達するように18種類のテーブルとなっている。各々のテーブルは、その機能によりトータルの送りステップ数が決定されており、テーブル内の図柄送り数および時間調整部において、ドラム回転速度の時間的配分によりトータルの所要時間(基本時間)が前述の時間(5.100秒)になるように構成されている。すなわち、各ドラム31a、31b、31cは、1ステップ当り10msec間隔(27.778回転/分)、8msec間隔(34.722回転/分)、6msec間隔(46.296回転/分)、4msec間隔(69.444回転/分)の4種類の速度の組合せで変動する。変動開始時は、1ステップ当り8msec間隔より加速し、その後4msec間隔または6msec間隔で回転を行なう。なお、各図柄の停止は、1ステップ当り10msec間隔まで減速を行ない、目的とする停止図柄までの送り制御が行なわれる。そして、上述した18種類のテーブルは、上述した4種類の速度を組合せることにより、996ステップ〜1200ステップまで12ステップおきに18通りのステップ数となっている。これは、送り図柄数に換算すると83図柄(4回転と11図柄)〜100図柄(5回転と10図柄)となる。したがって、どのテーブルが選択されてもドラム制御テーブルによる変動時間は5.100秒で目的の位置に達することになる。たとえば、5回転(90図柄、正80ステップ)を5.100秒で送る場合には、先ず1ステップ当り8msec間隔で4ステップ送り、次に6msec間隔で6ステップ送り、次に4msec間隔で702ステップ送り、さらに6msec間隔で362ステップ送った後、8msec間隔で4ステップ、10msec間隔で2ステップ送ってドラム制御テーブルが終了する。通常リーチ時には、このドラム制御テーブルによる基本時間が経過した時点で、中図柄用回転ドラム31bは目的とする停止図柄より1図柄手前に、左図柄用回転ドラム31aは6図柄手前に、右図柄用回転ドラム31cは11図柄手前に達するようにテーブルを選択して変動を開始し、基本時間が経過した時点より引続き10msec/ステップの一定速の停止制御に移り、ドラムポジションが目的とする停止図柄ポジションに一致した時点でそれぞれのドラムを停止する。したがってこの場合、停止順序は、まず中図柄用回転ドラム31bが停止し、その後0.6秒経過した後に左図柄用回転ドラム31aが停止し、その後0.6秒経過した後に右図柄用回転ドラム31cが停止することになる。ただし、通常リーチ状態、特別リーチ状態、大当り停止予定時の左図柄用回転ドラム31aと右図柄用回転ドラム31cの変動に関してはこの限りでない。これらの詳細については後にフローチャートを参照して説明する。
【0030】
リーチ時以外の具体的な制御テーブルの選択方法は次のようである。まず、目的とする停止図柄番号から現在の図柄番号を減算し、さらに停止順を決定するために各ドラム31a、31b、31c固有の固定送り図柄数を減算することにより各図柄ごとの移動図柄数(0〜17)を算出し、その数値に対応するドラム制御テーブルを選択する。以上の演算により、基本時間が経過した時点で各図柄用ドラム31a〜31cはそれぞれ前述の位置に達することとなる。
【0031】
図5は、パチンコ遊技機に用いられる制御回路を示すブロック図である。
パチンコ遊技機の制御回路44は、各種機器を制御するためのプログラムに従って、遊技機制御を行なうマイクロコンピュータを含む基本回路45と、電源投入時に基本回路45をリセットする初期リセット回路46と、基本回路45から与えられるクロック信号を分周して定期的(たとえば2msec毎)にリセットパルスを基本回路45に与えるためのクロック用リセットパルス発生回路47と、各種スイッチやセンサに接続され、与えられるアドレス信号によって選択されるスイッチからの信号を基本回路45に与えるためのスイッチ・センサ入力回路49と、基本回路45等に接続され、基本回路45から与えられるアドレス信号をデコードして基本回路45等に与えるためのアドレスデコード回路48とを含む。さらに、パチンコ遊技機の制御回路44には、基本回路45によって制御されるセグメント・LED回路51と、基本回路45からの音信号を受取りスピーカ56を駆動して効果音等を発生させるための音回路50と、基本回路45によって制御されるドラムランプ回路52と、基本回路45によって制御されるランプ・ソレノイド・大当り情報回路53と、基本回路45によって制御されるモータドライブ回路54とを含む。
【0032】
セグメント・LED回路51には、開成回数表示器25,入賞個数表示器9,始動記憶LED26,V表示LED57,アタッカーLED24,飾りLED23が接続されており、それぞれに表示制御される。ドラムランプ回路52には、ドラムランプ22a〜22iが接続されており、それぞれに点灯または点滅制御される。ランプ・ソレノイド・大当り情報回路53には、ソレノイド6,遊技効果ランプ59,レール飾りランプ16,風車ランプ18,肩ランプ19,サイドランプ17,アタッカーランプ21,袖ランプ20が接続されている。なお58は大当り情報出力線である。
【0033】
モータドライブ回路54には、各ドラムを回転駆動させるためのドラムモータ(ステッピングモータ)30a,30b,30cが接続されており、モータドライブ回路54の制御信号に基づいて各ドラムモータ30a〜30cが回転駆動する。この回転中におけるドラムの基準位置を検出するためのドラムセンサ36a,36b,36cがドラムセンサ基板35に設けられ、そのドラムセンサ36a〜36cがスイッチ・センサ入力回路49に接続されており、ドラムの基準位置の検出信号がスイッチ・センサ入力回路49を介して基本回路45に与えられる。可変入賞球装置4に入賞した入賞玉を検出する入賞個数検出器60がスイッチ・センサ入力回路49に接続されており、可変入賞球装置4に入賞した入賞玉の検出信号がスイッチ・センサ入力回路49を介して基本回路45に与えられる。可変入賞球装置内の特定入賞口8に入賞した入賞玉を検出する特定入賞玉検出器61がスイッチ・センサ入力回路49に接続されており、特定入賞口に入賞した入賞玉の検出信号がスイッチ・センサ入力回路49を介して基本回路45に与えられる。始動入賞玉検出器11a〜11cからの始動入賞検出信号がスイッチ・センサ入力回路49を介して基本回路45に与えられる。
【0034】
また、パチンコ遊技機の制御回路44には、AC24Vの交流電源に接続され、複数種類の直流の電圧を発生させる電源回路55が含まれている。
【0035】
図5に示した基本回路85からの制御信号に従って各種ランプやLEDが以下に示すように制御される。先ず、電源投入時においては、個数表示LED9と回数表示LED25とが点灯して「0」を表示する。
【0036】
始動入賞時においては、肩ランプ19,サイドランプ17,アタッカーランプ21,袖ランプ20が128mSを半周期として点滅する。さらに、ドラムランプ22a〜22iが全ランプ点灯する。そして、可変表示が開始され、左・中のドラムが停止した状態で、大当りとなる特定識別情報が揃う可能性が残っているいわゆる通常リーチ時の場合および中央のドラムが停止した状態で、その中央に図柄「7」が表示され、たとえば「777」という特定識別情報が揃う可能性が生ずるいわゆる特別リーチ状態の場合には、その特定の識別情報が揃う可能性のある当たり列上のランプのみ128mSを半周期として点滅させる。またリーチ時には、飾りLED23を128mSの半周期で点滅させる。この始動入賞のときにおいても、個数表示LED9と回数表示LED25とは「0」を表示している。
【0037】
可変表示装置が停止したときの図柄が大当り以外の図柄であった場合には、所定時間(たとえば1秒)の間は、ドラムランプ22a〜22iが全ランプ点灯され、アタッカーLED24が256mSの半周期で点滅する。この場合においては、個数表示LED9と回数表示LED25とは「0」を表示する。
【0038】
次に大当りが発生した場合を説明する。可変表示装置の停止時の表示結果が特定の識別情報(たとえば777)となった後、可変入賞球装置の初回の開放前所定期間(たとえば4秒)の間、レール飾りランプ16,風車ランプ18,肩ランプ19,サイドランプ17,アタッカーランプ21,袖ランプ20が点滅し、その点滅パターンは1024mSを1周期として繰返される。さらに、ドラムランプ22a〜22iのうち当たり列上のランプのみが点滅する。この点滅は128mSを半周期として行なわれる。さらに、個数表示LED9と回数表示LED25が「0」を表示する。
【0039】
大当りに伴って可変入賞球装置が開放している場合において、入賞したパチンコ玉が特定入賞口(特定領域)に入賞する以前の段階においては、遊技効果ランプ59,レール飾りランプ16,風車ランプ18,肩ランプ19,サイドランプ17,アタッカーランプ21,袖ランプ20がそれぞれに括弧で所定の時間を半周期として点滅する。さらに、ドラムランプ22a〜22iのうち当たり列のランプのみが128mSを半周期として点滅し、その他のドラムランプが点灯する。さらに、飾りLED23とアタッカーLED24とが、交互に128mSを半周期として点滅する。個数表示LED9により、可変入賞球装置に入賞した入賞個数が表示され、回数表示LED25により可変入賞球装置が開放された回数が表示される。一方、可変入賞球装置の開放中であってかつ入賞したパチンコ玉が特定入賞口(特定領域)に入賞した後においては、遊技効果ランプ59,レール飾りランプ16,風車ランプ18,肩ランプ19,サイドランプ17,アタッカーランプ21,袖ランプ20,V表示LED57がそれぞれ所定の時間を半周期として点滅し、ドラムランプ22a〜22iのうちの当たり列のランプのみが128mSを半周期として点滅するとともに他のドラムランプが点灯する。さらに、飾りLED23とアタッカーLED24とが交互に128mSを半周期として点滅する。この場合は、個数表示LED9が可変入賞球装置内に入賞した入賞玉の個数を表示し、回数表示LED25が可変入賞球装置の開放回数を表示する。この回数表示LED25は、可変入賞球装置の開放回数が1〜9の場合には開放回数を点灯表示し、10〜16の場合には開放回数の1の位を点滅表示する。その点滅表示の際の半周期は128mSである。
【0040】
繰返し継続条件が成立して次回の可変入賞球装置の開放までの間、または開放回数が繰返し継続回数の上限である16回終了した後においては、遊技効果ランプ59,肩ランプ19,サイドランプ17,アタッカーランプ21,ドラムランプ22a〜22iのうち当たり列上のランプが所定時間を半周期として点滅する。また、風車ランプ18と袖ランプ20とが点滅する。その点滅パターンは1024mSを1周期として繰返される。さらに、飾りLED23とアタッカーLED24とが交互に256mSを半周期として点滅する。個数表示LED9が前回の可変入賞球装置の開放時における入賞個数を表示する。回数表示LED25が、前回の可変入賞球装置の開放時における開放回数を表示する。その際に、開放回数が1〜9の場合には点灯表示し、10〜16の場合には128mSを半周期として開放回数の1の位を点滅表示する。スピーカがHの種類の効果音を発生する。
【0041】
記憶表示LED26は、すべての遊技状態の場合において、始動入賞記憶数を点灯表示する。
【0042】
図6ないし図22は、図5に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートであり、図6はメインプログラムのフローチャートを示し、図7ないし図22はサブルーチンプログラムのフローチャートを示す。
【0043】
図6に示すメインルーチンプログラムはたとえば2msec毎に1回実行される。この実行は、図5のクロック用リセットパルス発生回路47が2msec毎に1回発生するリセットパルスに応答して開始される。まずステップS(以下単にSという)1により、スタックセット処理がなされ、S2によりRAM(Random Access Memory)エラーがあったか否かの判断が行なわれる。この判断は、図5に示した基本回路45中のRAM(図示せず)の所定アドレスの内容を読出し、その値が所定の値と等しいか否かを調べることにより行なわれる。プログラムの暴走時や電源投入直後には、RAMの格納データは不定であるため、判断の答はNOとなって制御はS3に進む。S3においては、RAMに初期データが書込まれる。その後制御はS8に進む。S3において初期データが書込まれるため、以降このメインルーチンの実行時には、S2における判断の答がYESとなり、制御は直接S4に進む。
【0044】
S4では、基本回路45中の入出力回路(I/O)に所定のデータを出力する処理が行なわれ、S5に進む。S5では、10カウント・ドラムエラーがあったか否かの判断が行なわれる。10カウントエラーとは、後述するS27,S28によるチェックの結果、入賞個数検出器60や特定入賞玉検出器61に異常が発生したか否かを判定するものである。ドラムエラーとは、回転ドラムが途中で停止した場合や回転制御できない状態となった場合を意味する。このようなエラーが発生した場合には、S6によるプロセス処理を行なうことなく直接S7に進む。一方、10カウント・ドラムエラーがなかった場合にはS6によるプロセス処理が行なわれた後S7に進む。S7では各種検出器からの検出信号を入力するスイッチ入力処理が行なわれる。
【0045】
次にS8により、ランダム1カウンタとランダム2カウンタのカウント値を更新する処理が行なわれる。このランダム1カウンタとランダム2カウンタは、可変表示装置3の停止時の表示結果を大当りが発生する特定の識別情報の組合せ(たとえば777)にするか否かを決定するためのものであり、ランダム1カウンタは後述する1次抽選用のもの、ランダム2カウンタは後述する2次抽選用のものである。また、ランダム2カウンタは後述するように、大当りと決定された場合の停止図柄を決定するためにも兼用されている。次にS9に進み、リセット回数が、「0」,「4」,「1,2,3,5,6,7」のいずれであるかの判断が行なわれる。このリセット回数とは、前記パルス分周回路79から発せられる定期リセットパルスに従ってリセットされた回数を意味し、リセットされるたびに「0」から1つずつ歩進され、「7」に達した後さらに歩進されることにより「0」となる。リセット回数が「0」の場合にはS10に進み、音回路50にスピーカ56を駆動するための音データが出力される。リセット回数が「4」の場合には、S12に進み、出力データテーブルの選択,ドラムランプの各データをセットする処理が行なわれ、S13により、そのセットされたドラムランプの各データが入出力回路から出力される。その出力されたデータに基づいて、前述したように、ドラムランプ22a〜22iが表示制御される。一方、リセット回数が「1,2,3,5,6,7」のいずれかであった場合には、S11に進み、飾りLED,ランプの各データがセットされ、S13により、そのセットされたデータが入出力回路75から出力される。これらS10およびS11の処理の詳細は省略するが、具体的には10カウント・ドラムエラーがある場合には、警告音や警告表示のデータがセットされ、エラーが無い場合には、後述するプロセスフラグの値に応じて対応するアドレスの音データやランプ・LEDデータがセットされる。
【0046】
次にS14に進み、入賞記憶エリア格納処理(後述)が行なわれ、S15に進み、ランダム1カウンタ,ランダム2カウンタ,ランダム3カウンタの更新処理が行なわれる。このS15の処理は、クロック用リセットパルス発生回路47によってリセットされる時間(2msec)内にS1〜S14までの処理を行ない、その残り時間であるリセット待ち時間を利用して行なわれる。ゆえに、S1〜S14までの処理時間がランダムとなるために、S15による処理時間もランダムとなり、S15による更新処理が行なわれた結果、ランダム1カウンタ,ランダム2カウンタ,ランダム3カウンタのカウント値はランダムな値をとることになる。
【0047】
図7は、S6で示したプロセス処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S16によりプロセスフラグがどのような値にセットされているかの判別が行なわれる。このプロセスフラグは、後述する、S48,S54,S53,S61,S69,S74,S81,S80,S84,S85,S89,S90等によりそれぞれの値にセットされるものであり、所定の制御時間を保ちながらパチンコ遊技機を制御するために必要となるものである。プロセスフラグの値に応じて図7に示すように実行されるプログラムが相違するのであり、「0」の場合にはS17による通常処理が行なわれ、「1」の場合にはS18によるランダム2カウンタのチェック処理が行なわれ、「2」の場合にはS19による大当り図柄セット処理が行なわれ、「3」の場合にはS20によるはずれ図柄セット処理が行なわれ、「4」の場合にはS21によるドラム回転スタート処理が行なわれ、「5,6,7」の場合にはS22によるドラム回転(5はドラム回転中、6は通常リーチ時ドラム回転中、7は特別リーチ時ドラム回転中)処理が行なわれ、「8,9」の場合にはS23による大当りチェック(8ははずれ、9は大当り)処理が行なわれ、「10,11」の場合にはS24による開放中(10はV入賞前,11はV入賞後)の処理が行なわれ、「12,13」の場合にはS25による開放後(12はV未入賞,13はV入賞済)処理が行なわれる。
【0048】
図8は、S7に示したスイッチ入力処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S26により、基本回路45内の入出力回路のスイッチポートから各種検出器の検出信号を入力する処理が行なわれる。次に、S27により、10カウントスイッチ(入賞個数検出器60)のエラーチェックが行なわれる。この10カウントスイッチエラーチェックとは、入賞個数検出器60の断線やショートや玉づまりの場合を意味し、入賞個数検出器60の検出出力が所定時間(たとえば2.9秒)以上連続して導出された場合にエラーとなる。次にS28に進み、Vスイッチ(特定入賞玉検出器61)のエラーチェックが行なわれる。このVスイッチエラーチェックも、特定入賞玉検出器61の断線やショートのチェックであり、特定入賞玉検出器61からの検出信号が所定時間(たとえば2.9秒)以上導出されたときにエラーとなる。次に、S29に進み、10カウント・ドラムエラーがあるか否かの判断がなされる。この判断はS27,S28によるチェックの結果異常があったか否かを判断するとともに、S5で説明したドラムエラーがあったか否かを判断するものである。そして、10カウント・ドラムエラーがあった場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、なかった場合にはS30に進み、始動スイッチがONになったか否かの判断が行なわれる。本実施例の場合、始動スイッチとしては、始動入賞玉検出器11a,11b,11cの3種類の検出器があり、このスイッチ入力処理のサブルーチンプログラムが1回実行される間にそれぞれの検出器を1つずつ判定する。そして、始動スイッチがONとなっていると判断された場合にはS32に進み、ON判定タイミングであるか否かの判断が行なわれる。パチンコ玉が始動入賞口に入賞してその始動入賞玉が始動入賞玉検出器により検出されれば、その始動入賞玉検出器から所定パルス幅を有する検出パルスが導出されるのであり、その検出パルスのパルス幅の時間中このスイッチ入力処理のサブルーチンが実行される毎にS30によりYESの判断が続けて行なわれる。その度にONと判断された始動入賞玉検出器に対応するONカウンタがカウントアップされ、そのカウント値が所定の値(たとえば「3」)に達すればS32によりYESの判断がなされる。一方、静電気等に起因したノイズにより始動入賞玉検出器が瞬間的にONになる場合があり、そのような場合には始動入賞玉検出器からパルス幅がほとんどゼロに近いパルス信号が出力される。その出力されたタイミングに合わせてS30の判断が行なわれた場合には、S30によりYESの判断がなされ、対応するONカウンタが「1」加算される。しかし、その際に、ONカウンタの値が「1」となったとしても、ONカウンタの値が前記所定値(たとえば「3」)になっていないために、S32によりNOの判断がなされる。そして、このスイッチ入力処理のサブルーチーンプログラムが次回(2msec後)実行される際には、ノイズに起因して始動入賞玉検出器から検出された検出パルスは既に立下がった状態となっているために、S30によりNOの判断がなされてS31により、対応するONカウンタの値がクリアされて「0」となる。このように、ノイズに起因して始動入賞玉検出器から瞬間的なパルス信号が出力されたとしても、S32によりNOの判断がなされるために、始動入賞玉検出器が始動入賞玉検出した旨の判定は行なわれないのであり、ノイズによる誤判定が防止できる利点がある。
【0049】
次に、S32によりYESの判断がなされた場合にはS33に進み、始動入賞記憶が最大(たとえば4)になっているか否かの判断が行なわれ、既に最大になっている場合にはそれ以上記憶する余裕がないために、そのままS35に進むが、最大になっていない場合にはまだ記憶する余裕があるために、S34に進み、始動記憶数を「1」加算するとともに、始動入賞数を「1」加算する処理が行なわれる。次にS35により、すべての始動チェックが終了したか否かの判断が行なわれる。前述したように、始動入賞玉検出器は3種類あるために、このS35により、3種類すべての始動入賞玉検出器のチェックが終了したか否かの判断が行なわれるのであり、まだチェックが終了していない始動入賞玉検出器がある場合には再びS30に進み、チェックが行なわれる。そして、すべての始動入賞玉検出器のチェックが終了した段階でS35によりYESの判断がなされる。
【0050】
図9は、S12に示されたドラムランプデータセットのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S36により、前述と同様に、10カウント・ドラムエラーがあったか否かの判断が行なわれ、あった場合にはS38に進み、アラーム時のデータセットが行なわれるとともに、ソレノイド6をOFFにするためのデータがセットされ、そのセットされたデータが前記S4により出力される。このアラーム時のデータとは、ドラムランプ22a〜22iすべてを点滅状態にしたりあるいは消灯状態にしたりするためのデータ等である。また、ソレノイドをOFFにするデータがセットされて出力されるために、可変入賞球装置4の開閉板5が閉成されて遊技者にとって不利な第2の状態となる。
【0051】
次に、10カウント・ドラムエラーが無いと判断された場合にはS37に進み、プロセスフラグの値に応じて、対応するアドレスのドラムランプを制御するためのデータがセットされ、そのセットされたデータがS13により出力される。このセットされるデータの内容は、可変表示装置3が可変表示中(プロセスフラグ=5)の場合には、ドラムランプ22a〜22iをすべて点灯させるためのデータがセットされる。また、リーチ時(プロセスフラグ=6,7)の場合には、特定の識別情報の組合せが成立する可能性が残っている当りライン(組合せ有効列)上のドラムランプを点滅させ、その他のドラムランプを消灯させるデータがセットされる。また、前記特定の識別情報の組合せが成立した後に可変入賞球装置4が開成する前の段階(プロセスフラグ=9)においては、ドラムランプ22a〜22iを前記リーチ時の場合と同様に制御するためのデータがセットされる。
【0052】
図10は、S14に示した入賞記憶エリア格納処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S39により、始動入賞数が「0」であるか否かの判断が行なわれる。この始動入賞数は、前記S34により「1」ずつ加算され、後述するS41により「1」ずつ減算される。始動入賞数が「0」の場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、始動入賞数がある場合にはS40に進み、ランダム1カウンタとランダム2カウンタとの値を入賞記憶エリアの対応するエリアに格納する処理が行なわれる。この始動入賞記憶エリアは、ランダム1カウンタのカウント値格納用のエリアとランダム2カウンタのカウント値格納用のエリアを有するとともに、始動入賞記憶数に応じて各ランダム1カウンタの値とランダム2カウンタの値とを記憶するための複数のエリアを有する。次にS41に進み、始動入賞数を「1」減算する処理がなされ、S39に進み、始動入賞数が「0」になるまでこのS40,41の処理が繰返される。この入賞記憶エリア格納処理により、始動入賞毎にそれに対応するランダム1カウンタの値とランダム2カウンタの値とがそれぞれの入賞記憶エリアに格納される。
【0053】
図11は、S17に示した通常処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S42により、入賞記憶があるか否かの判断が行なわれる。この入賞記憶は、前記S34により「1」ずつ加算され、後述するS55により「1」ずつ減算される。入賞記憶がなかった場合にはS43に進み、1次抽選フラグを「はずれ」にセットしてそのままサブルーチンプログラムが終了する。一方、入賞記憶があった場合にはS44に進み、入賞記憶エリアのエリア1に記憶されているランダム1カウンタのカウント値と現在のランダム1カウンタのカウント値とを加算してその結果の値に基づいて当りか否かの判定が行なわれる。入賞記憶エリアのエリア1は、前記S40で格納されたカウント値のうち一番古いカウント値を格納しているエリアであり、その一番古いカウント値に基づいてS44による判定が行なわれる。このS44では、その一番古いカウント値と現在のランダム1カウンタのカウント値とを加算し、その加算結果に基づいて1次抽選の当りはずれを判定するようにしているために、入賞記憶エリアのエリア1に格納されているランダム1カウンタのカウント値のみに基づいて判定するのに比べてランダム性がより向上する。次にS45に進み、1次抽選の結果当りとなっているか否かの判断が行なわれ、当りでないと判断された場合にはS46に進み、1次抽選フラグを「はずれ」にセットしてS48に進む。一方、当りと判断された場合にはS47に進み、1次抽選フラグを「当り」にセットしてS48に進む。S48では、プロセスフラグを「1」にセットする処理がなされる。その結果、次にS18に示すランダム2カウンタのチェック処理が行われる。
【0054】
図12は、S18に示したランダム2カウンタのチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S49により、1次抽選フラグが「当り」になっているか否かの判断が行なわれ、「当り」になっていない場合にはS53に進む。一方、「当り」になっている場合にはS50に進み、入賞記憶エリアのエリア1に格納されているランダム2カウンタの値を判定し、S51により、その2次抽選の判定結果が当りであるか否かの判断が行なわれる。はずれと判断された場合にはS52に進み、1次抽選フラグを「はずれ」にセットしてS53に進む。一方、2次抽選の結果当りであると判断された場合にはS54に進み、入賞記憶エリアのエリア1のランダム2カウンタの値に基づき大当り図柄ナンバー(28種類ある中の1つの値)がセットされ、プロセスフラグを「2」にセットする処理がなされてS55に進む。
【0055】
S53では、プロセスフラグを「3」にセットする処理が行なわれる。S55では、始動入賞記憶数を「1」減算する処理が行なわれる。次にS56に進み、入賞記憶エリアをシフトする処理が行なわれる。入賞記憶エリアは前述したように、始動入賞数に対応して複数のランダム1およびランダム2のカウント値をそれぞれ格納するための複数のエリアを有し、一番古いカウント値がエリア1に格納され、その次に古いカウント値がエリア2に格納され、さらにその次に古いカウント値がエリア3に格納されるというように構成されている。そして、このS56により、エリア1に格納されているカウント値を消去してエリア2に格納されているカウント値をエリア1にシフトして格納し、エリア3に格納されているカウント値をエリア2にシフトして格納し、エリア4に格納されているカウント値をエリア3にシフトして格納する処理が行なわれる。
【0056】
図13は、S19に示した大当り図柄セットのサブルーチンプログラムを示すフローチャートであり、プロセスフラグが「2」にセットされている場合すなわち2次抽選の結果当りと判断された場合に実行される。S57により、大当り図柄ナンバー(S54参照)に基づいてそのナンバーに対応する大当り図柄(各ドラムにおける停止図柄ナンバー)がセットされる。次にS58に進み、中停止図柄ナンバーが7であるか否かの判断が行なわれ、7である場合にはS60に進む。S60においては、特定の識別情報の組合せが発生する可能性のある列のランプを点灯させるための当り列ランプデータがセットされて大当りフラグに特別リーチを示す値および大当りを示す値がセットされ、さらに回転増カウンタに2がセットされる。この回転増カウンタの値は、右ドラム、左ドラムについてそれぞれセットされる。これは後述するS66においても同様である。さらにS61に進み、プロセスフラグが4にセットされる。中停止図柄ナンバーが7以外の場合にはS58からS59に進み、特定の識別情報が発生する可能性のある有効列のランプを点滅させるための当り列ランプデータがセットされ、大当りフラグに通常リーチを示す値および大当りを示す値がセットされ、回転増カウンタに2がセットされる。この回転増カウンタのセットは右ドラムについてのみ行なわれる。これにより、通常リーチの場合には右ドラムのみが通常より多い回転数で回転された後停止することになる。S59の後S61に進み、プログラムフラグに4がセットされる。
【0057】
図14は、S53によりプロセスフラグが「3」にセットされた場合すなわち1次抽選または2次抽選の結果はずれと決定された場合に行なわれるはずれ図柄セット(S23参照)のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S62により、ランダム3カウンタのカウント値に基づきはずれ図柄がセットされ、S63に進み、S62でセットされた中停止図柄ナンバーが7であるか否かの判断が行なわれる。中停止図柄ナンバーが7である場合にはS66に進み、当り列ランプを点滅させるためのデータがセットされ、大当りフラグに特別リーチを表わす値がセットされ、回転増カウンタに2がセットされる。この場合前述のように右ドラム、左ドラムの両方について回転増カウンタに2がセットされる。S66の後制御はS67に進む。
【0058】
S63で中停止図柄が7でない場合、S64に進み、中図柄と左図柄とが等しいか否かの判断が行なわれ、等しくなければS69に進むが、等しい場合には通常リーチが発生するということであるから、S65に進み、通常リーチ時の当り列のランプを点滅させるためのデータがセットされ、大当りフラグに通常リーチを表わす値がセットされ、右ドラムについての回転増カウンタに2がセットされる。次にS67に進み、左図柄と中図柄と右図柄とが等しいか否かの判断が行なわれ、等しくなければS69に進むが、たまたま等しくなった場合には、S68に進み、右停止図柄ナンバーのみを「1」加算して強制的にずらせ、図柄が特定の識別情報の組合せにならないように制御する。次にS69では、プロセスフラグが「4」にセットされる。その結果、次回の処理ではS21に示すドラム回転スタートの処理が行なわれることになる。
【0059】
図15は、S21に示したドラム回転スタートのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S70において、中・左・右モータ制御フラグに、加速/減速を表わす値がセットされる。続いてS71において、中・左・右ドラム制御アドレステーブルの先頭がセットされる。さらにS72において、定速送り図柄数として中図柄に「1」、左図柄に「6」、右図柄に「11」がそれぞれセットされる。これにより、リーチにならない場合には、ドラム制御テーブル(18種類)が終了した時点で、中ドラムが停止図柄の1図柄手前の図柄を、左ドラムは停止図柄の6図柄手前の図柄を、右ドラムは停止図柄の11図柄手前の図柄をそれぞれ中央ラインに表示していることになる。続いてS73においてドラム制御テーブルアドレスが選択され、ソフトウェア上に用意された各モータ制御エリアにセットされ、1ステップタイマ、ステップ数データが同じく各モータ制御エリアにセットされる。次にS74に進み、プロセスフラグが「5」にセットされる。その結果、次回の処理ではS22のドラム回転の処理が行なわれる。
【0060】
図16は、S22に示すドラム回転処理のサブルーチーンプログラムである。S75により、ステッピングモータ30a〜30cのコントロール処理が行なわれる。このステッピングモータのコントロール処理は、後述する中・左・右モータ制御フラグの値に応じて、ステッピングモータ30a〜30cを加速/減速させたり、定速で回転させたりするためのものであり、その詳細は後述する。S70〜S75により、前記可変表示装置を可変表示させて、所定の停止条件の成立に基づいて前記複数の可変表示部を停止制御可能な可変表示制御手段が構成されている。次にS76に進み、中回転ドラムが回転中であるか否かの判断が行なわれ、未だ回転中であればそのままサブルーチンプログラムが終了する。一方、中ドラムの回転が停止している場合にはS77に進み、大当りフラグが「特別リーチ」にセットされているか否かの判断が行なわれる。大当りフラグが前記S60またはS66により「特別リーチ」にセットされている場合にはS81に進み、プロセスフラグが「7」にセットされた後にS82に進む。一方、大当りフラグが「特別リーチ」にセットされていない場合にはS78に進む。S78では、左回転ドラムが回転中であるか否かの判断が行なわれ、未だに回転中であればそのままサブルーチンプログラムが終了する。一方、中ドラムに加えて左ドラムの回転が停止した場合にはS79に進み、大当りフラグが「通常リーチ」にセットされているか否かの判断が行なわれる。大当りフラグが前記S59またはS65により「通常リーチ」にセットされている場合にはS80に進み、プロセスフラグが「6」にセットされた後にS82に進む。一方、大当りフラグが「通常リーチ」にセットされていない場合にはそのままS82に進む。この左ドラムと中ドラムとが停止した状態で大当りフラグが「通常リーチ」にセットされている場合には、前記S37で説明した通常リーチ時におけるドラムランプの制御を行なうためのデータがセットされる。
【0061】
次にS82に進み、全ドラムが停止したか否かの判断が行なわれ、全ドラムが停止した段階でS83に進み、S83では、大当りフラグが「大当り」になっているか否かの判断がなされ、「大当り」になっていない場合にはS84に進むが、「大当り」になっている場合にはS85に進み、プロセスフラグを「9」にセットし、プロセスタイマに初回開放前時間をセットする処理が行なわれ、サブルーチンが終了する。この初回開放前時間は約4秒程度の時間であり、このセットされた初回開放前時間の間後述するS86によりNOの判断がなされてその間ドラムが停止した状態を保つとともに可変入賞球装置4を第1の状態に駆動制御するための制御が遅延される。一方、S84においてプロセスフラグを「8」にセットし、プロセスタイマにはずれ遅延時間をセットする処理が行なわれてサブルーチンが終了する。このはずれ遅延時間は約1秒程度の時間であり、このセットされた遅延時間の間後述するS86によりNOの判断がなされて全ドラムが停止状態に保持され、その間遊技者にはずれであることの確認をさせることができる。
【0062】
次に、プロセスフラグが「8」または「9」にセットされている場合にはS23の大当りチェックの処理が行なわれる。
【0063】
図17は、S23の大当りチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S86により、プロセスタイマが終了したか否かの判断が行なわれ、プロセスタイマが終了した段階でS87に進み、ステッピングモータをOFFにするための出力データがセットされ、このセットされたデータがS4により出力されることによりステッピングモータ30a〜30cがOFFになる。次にS88に進み、大当りフラグが「大当り」になっているか否かの判断が行なわれ、「大当り」になっていない場合にはS89に進み、プロセスフラグが「0」にセットされて再び前記S17の通常処理が開始される。一方、大当りフラグが「大当り」になっている場合にはS90に進み、V入賞フラグがクリアされ、プロセスフラグが「10」にセットされ、プロセスタイマに開放時間(30秒)がセットされ、開放回数カウンタを「1」にする処理が行なわれる。このV入賞フラグは、パチンコ玉が特定入賞領域8に入賞して特定入賞玉検出器61により検出された場合にセットされるものであり、このV入賞フラグがセットされている場合には、可変入賞球装置の第1の状態が終了した後再度可変入賞球装置を第1の状態に駆動制御する繰返し継続制御が行なわれる。この繰返し継続制御の回数が開放回数カウンタによりカウントアップされ、そのカウント値が所定値(たとえば「16」)に達した段階でそれ以上の繰返し継続制御が行なわれないように制御される。さらに、このS90により、プロセスタイマに開放時間(30秒)がセットされるために、ソレノイド6が最大30秒間励磁されて可変入賞球装置4の開閉板5が最大30秒間開成状態となるが、その間に所定個数(たとえば10個)のパチンコ玉が可変入賞球装置内に入賞して入賞個数検出器60あるいは特定入賞玉検出器61により検出されれば、その時点でソレノイド6の励磁が停止されて開閉板5が閉成する。
【0064】
図18は、図17に示したプログラムにより可変表示の準備が終了した後、実際に何図柄ステッピングモータを回転させて図柄を送ればよいかを演算するためのプログラムを示すフローチャートであり、図15のS73の詳細を示す。
【0065】
S91において、中移動図柄数の演算処理が行なわれる。この移動図柄数は、S57またはS62によって定められた停止図柄ナンバーから、現在表示されている図柄ナンバーとS72によって定められた定速送り図柄数との和を引くことによって求められる。後述するS94、S97において行なわれる左移動図柄数演算Aおよび右移動図柄数演算Aも同様に行なわれる。続いてS92において、S91の演算により求められた移動図柄数に基づきアドレス計算が行なわれ、ドラム制御テーブルアドレスを選択して各モータ制御エリアにセットする処理が行なわれる。続いてS93において大当りフラグが特別リーチを表わす値であるか否かの判断が行なわれ、大当りフラグが特別リーチを表わす場合にはS100に進み、それ以外の場合にはS94に進む。
【0066】
S94においては、左移動図柄数演算Aの処理が行なわれる。この演算も、前述のS91と同様の方法に従って行なわれる。続いてS95において、S94に行なわれた演算結果に従ってアドレス計算が行なわれ、左ドラムの制御テーブルアドレスが選択され、左モータ制御エリアにセットされる。次にS96に進み、大当りフラグが通常リーチを表わす値であるか否かの判断が行なわれ、大当りフラグが通常リーチを表わす値である場合にはS99において右移動図柄数0に対応するアドレスが選択され、右モータ制御エリアにセットされサブルーチンは終了する。大当りフラグが通常リーチを表わす値でない場合にはS97に進み、右移動図柄数演算Aの処理が行なわれる。ここで行なわれる演算処理も、S91およびS94において行なわれる方法と同様の演算により行なわれる。S98においては、S97の演算結果に従ってアドレス計算が行なわれ、ドラム制御テーブルアドレスが選択され右モータ制御エリアにセットされこのサブルーチンは終了する。
【0067】
一方、S93において大当りフラグが特別リーチを表わす値であると判断された場合にはS100に進み、大当りフラグが大当りを示すものであるか否かの判断が行なわれる。大当りフラグが大当りを示す値である場合にはS101に進み、左移動図柄数演算Bの処理が行なわれる。この処理により移動図柄数は、S57によりセットされた停止図柄番号から現在の図柄番号を減算することにより計算される。このとき、大当り図柄をどのラインに停止させるかはすでにS57で決まっている。後述するS103において行なわれる計算処理も同様の式に従って行なわれる。S101の後S102に進み、S101の演算結果に従ってアドレス計算が行なわれドラム制御テーブルアドレスが選択され左モータ制御エリアにセットされる。続いてS103において、S101で行なわれるのと同様にして右移動図柄数演算Bが行なわれ、S104でS103の結果に従ってアドレス計算がされ、右モータ制御エリアにドラム制御テーブルアドレスがセットされこのサブルーチンは終了する。S100において大当りフラグが大当りを示すものでないと判断された場合、S105において左移動図柄数演算Cが行なわれる。S105において移動図柄数は、図柄ナンバー6から現在の図柄ナンバーを引くことによって計算され、この計算結果に従ってアドレス計算がされ、左モータ制御エリアにドラム制御テーブルアドレスがセットされる。S105、S106の処理により、中図柄停止時の左図柄は、常に図4に示されるような状態となる。次にS107において、右移動図柄数演算Cが行なわれる。この右移動図柄数は、図柄ナンバー2または4または6から現在の図柄ナンバーを引くことによって計算される。どの図柄ナンバーから現在図柄ナンバーを引くかは、ランダムに選ばれる。そして、図柄ナンバー2が選ばれた場合には、中図柄停止時の右図柄は、図4(A)の状態となり、図柄ナンバー4が選ばれた場合には中図柄停止時の右図柄が図4(B)の状態となり、図柄ナンバー6が選ばれた場合には中図柄停止時の右図柄が図4(C)の状態となる。S108の後このサブルーチンは終了する。
【0068】
図19は、図16のS75で行なわれる可変表示装置の回転停止制御を行なうプログラムを示すフローチャートである。図19に示される処理は、左、中、右の各ドラムそれぞれについて実行される。まず、S109において、モータ制御フラグに停止を示す値がセットされているか否かについての判断が行なわれ、セットされている場合にはモータが停止中であるからこのサブルーチンは終了し、それ以外の場合にはS110に進む。S110においては、ドラムセンサ36a〜36cからの信号を入力しチェックする処理が行なわれS111に進む。S111においては、モータが定速中であるか否かの判断が、モータ制御フラグに定速中のフラグがセットされているか否かで行なわれる。そしてモータ定速中であると判断された場合にはS113によりモータ定速の制御が行なわれ、定速中でなければS112に進み、モータを加速制御または減速制御する。
【0069】
図20は図19のS112に示したプログラムの具体的内容を示すサブルーチンプログラムである。S114に示した「1ステップタイマ」とは、ステッピングモータを次のステップに送るタイミングを判定するための時間を計時するタイマである。このタイマは後述するS117によりセットされる。S114において、この1ステップタイマが終了したか否かについての判断が行なわれる。判断の答がNOであればステッピングモータを次のステップに送るタイミングでないということであるから制御はS125に直接進み、判断の答がYESであればS115においてステップチェック処理が行なわれる。このステップチェック処理については図22を参照して後述する。
【0070】
続いてS116において10カウント・ドラムエラーがあるか否かについての判断が行なわれる。エラーがあれば制御は直接S125に進む。それ以外の場合にはS117で1ステップタイマがセットされる。ここでセットされる値は、前述のようにステッピングモータを次のステップに送るタイミングを判定するための時間であり、前述したように4msec,6msec,8msec,10msecの4種類の時間がセットされる。続いてS118において、ステッピングモータが、必要なステップ数だけ動作終了したか否かについての判断が行なわれる。終了していなければ引続き同じ回転速度によるステッピングモータの制御を行なうため、制御はS125に進み、終了した場合にはS119に進む。
【0071】
S119においては、ステッピングモータを制御するための前述の制御テーブルによる制御が終了しているか否かの判断が行なわれ、終了している場合にはS121に進み、それ以外の場合にはS120に進む。S120では、ステッピングモータの回転速度を加速/減速に応じて変更するために、次回のステッピングモータの制御データがセットされる。また制御データのアドレスも同様に更新される。S120の後制御はS125に進む。
【0072】
S119で制御テーブルによる制御が終了したと判断された場合には、S121において現在制御中のステッピングモータが中ドラムを駆動するためのものであるか否かの判断が行なわれる。中ドラムでない場合にはS122に進み、回転増カウンタがゼロか否かについての判断が行なわれる。ゼロでない場合にはS123に進み、ステップ数に1回転増データ(216ステップ)がセットされ、回転増カウンタが1減算されて前述した通常リーチ状態、特別リーチ状態のときのステッピングモータの回転制御が行なわれる。S123の後制御はS125に進む。
【0073】
S121で中ドラムと判断された場合およびS122で回転増カウンタの値がゼロであると判断された場合には、S124に進み、モータ制御フラグに「定速」がセットされ、「イニシャルチェック」が行なわれる。イニシャルチェックではシステムイニシャル中であるか否かを判定し、イニシャル中の場合には停止図柄ナンバー=現在図柄ナンバー+1となるように制御される。
【0074】
図21は、図19のS113に示したサブルーチンの具体的内容を示すフローチャートである。まずS126において、1ステップタイマが終了したか否かの判断が行なわれ、終了していない場合にはこのサブルーチンはただちに終了し、タイマ終了したときにS127に進む。S127においてはステップチェック処理が行なわれる。ステップチェック処理においては回転ドラムの回転制御に何らかのエラーがおきたか否かの判断が行なわれ、続くS128において、10カウント・ドラムエラーが発生したか否かの判断が行なわれ、発生している場合にはこのサブルーチンは終了する。S128でエラーが発生していないという判断がされた場合にはS129に進み、図柄の途中であるか否かの判断がなされ、図柄の途中である場合には直接S133に進み、それ以外の場合にはS130に進む。S130においては、現在の図柄ナンバーが停止図柄ナンバーと一致しているか否かの判断が行なわれ、一致している場合にはS131に進みそれ以外の場合にはS133に進む。S131では、対象が右ドラムであるか否かの判断が行なわれ、右ドラムでない場合にはS135に進みモータ制御フラグに「停止」がセットされ、停止音を表わす音データがセットされてサブルーチンは終了する。右ドラムである場合にはS132に進み、左モータ制御フラグが「停止」であるか否かの判断が行われ、停止中である場合にはS135に進み、それ以外の場合にはS133に進む。この判断は、左回転ドラム31aが停止していない場合には、右回転ドラム31cをもう1回転させるために行なわれる。S133においては、1ステップタイマ(本実施例では10msec)がセットされ、S134においてはモータ出力がセットされサブルーチンが終了する。
【0075】
この図21のS127および図20のS115の具体的内容が図22のサブルーチンプログラムに示されている。この図22のS136に示されている「モータ基準パターン」は、ステッピングモータのコイルを励磁する励磁基準パターンであり、本実施例のステッピングモータは1-2相励磁であるため、励磁パターンは基準パターンを含め8通りのパターンがある。そして、ドラムの1回転がステッピングモータの216ステップに相当するため、ドラムの1回転の間の基準励磁パターン回数は216/8=27回となり、ドラムの1回転の間にS136により27回YESの判断がなされる。S136によりYESの判断がなされればS137に進み、ドラムセンサがONか否かの判断が行なわれる。このドラムセンサは、図2にも示したように、ドラムの無反射部分33a〜33cを検出するものであり、ドラムが1回転する度に1回ONと判定される。そして、ドラムセンサがONと判定された場合には、ドラムが基準位置に達しているためにS140に示すように1図柄中ステップナンバーを0にするとともに現在図柄ナンバーを0にする処理が行なわれる。1図柄中ステップナンバーと現在図柄ナンバーとの関係を簡単に説明すると、1図柄に対応するステップ数は12ステップであるから1図柄中ステップナンバーは0〜11の値を取り得る。また、ドラムに描かれている図柄数は18であるから現在図柄ナンバーは0〜17の値を取り得る。そして1図柄中ステップナンバーの値が12に達した場合には、現在図柄ナンバーの値に1が加算されるとともに1図柄中ステップナンバーの値が0にされ、加算された結果現在図柄ナンバーの値が18に達した場合には、現在図柄ナンバーの値も0にされる。これらの処理はS125,S134におけるモータ出力データセット処理(詳細省略)において行なわれるが、モータ基準パターンになったときにドラムセンサがONの判断がなされた場合には、モータ出力データセット処理の状態に関係なくS140においてともに0にされることになる。
【0076】
次にS141によりセンサONカウンタの値が「0」以上であるか否かの判断を行なう。このセンサONカウンタの初期値は「-20」に設定される。これは、「0」に設定すると電源投入時や復旧時にS144でエラー判定される場合があるためである。なお、初期設定値はS144の設定値よりも小さければ「-20」以外の値であってもよい。センサONカウンタは、電源投入時や復旧時には初期設定値「-20」からS137におけるドラムセンサのOFF判定毎にS138によってカウントダウンされる。また、可変表示中においては、S137においてON判定された時のセンサONカウンタの値は正常時は「-26」となる。ゆえに、正常に動作している限りは、電源投入時や復旧時を含めてS141,S144ともにNOの判断がなされてS145においてセンサONカウンタの値が「0」に更新されることとなる。
【0077】
一方、S144においてセンサONカウンタが「-12」以上であればS146に進み、ドラムエラーフラグがセットされる。つまり、ドラムが半回転しないうちにドラムセンサがONと判断された場合にS146によりドラムエラーフラグのセットを行なう。このエラーの原因は、たとえば、ドラムにごみが付着したり図柄が描かれてドラム外周に貼着されている図柄シールが剥がれている場合等が考えられる。なお、S144の設定値は「-12」に限らず-1〜-25の任意の値でよいが、-12〜-25の間の値に設定するのが望ましい。
【0078】
次に、S137によりYESと判断されてかつセンサONカウンタの値が「0」以上であった場合には、S142によりセンサONカウンタが「1」インクリメントされ、S143によりセンサONカウンタが「5」未満か否かの判断が行なわれる。そして、「5」以上であった場合にはS146に進み、ドラムエラーフラグがセットされる。つまり、基準パターン5回を越えてドラムセンサのON状態が続いた場合は、ドラムセンサが故障しているかまたはドラムセンサのコネクタが外れている場合等が考えられるため、S146によりドラムエラーフラグのセットが行なわれるのである。なお、S143の設定値は「5」に限らず「1」以上の任意の値でよい。
【0079】
モータ基準パターンになったときにドラムセンサがONと判断されない場合にはS138によりセンサONカウンタが「1」ディクリメントされる。つまり、ドラムセンサがOFFに切替わってから次にONに切替わるまでの間何回モータ基準パターンになったかがS138によりカウントダウンされる。正常時にはモータ基準パターンが27回生ずればドラムが1回転しているために、このセンサONカウンタは0〜26の値を取ることになる。そして、S139により、センサONカウンタの値が「-60」以下であると判断された場合すなわちドラムが2回転を越えて回転しても無反射部分が検出されない場合はS146に進み、ドラムエラーフラグのセットが行なわれる。この場合のエラーは故障や外力による強制停止によってステッピングモータが回転しない場合が考えられる。S139の設定値を「-27」以下の任意の値にしてドラムが1回転を越えて回転した段階で無反射部分が検出されない場合にS146のエラー処理を行なうようにしなかった理由は、電源投入時や復旧時に無反射部分がドラムセンサの所にあると検出されない場合があり、その場合にはセンサONカウンタの初期値が「-20」に設定されている関係上S139の設定値を「-60」に設定し、ドラムが1回転もしない段階でS146によるエラー処理が行なわれる不都合を防止するためである。なお、S139の設定値は、初期設定値を考慮することを条件として「-27」以下の任意の値でよい。このS136〜145により、前記可変表示制御手段によって制御されている前記可変表示装置の表示状態が適正か否かを確認する確認手段が構成されている。
【0080】
なお、本実施例では、ドラムが1回転して無反射部分が検出されるごとに図柄番号をリセットして「0」とし(S140参照)、ドラムの回転の最終回のときの図柄ナンバーが停止図柄に一致したときにドラムを停止させるものを示したが、それに代えて、電源投入時の初期化処理においてのみ無反射部分を検出するようにし、遊技中においては、可変開始前の図柄から何図柄分回転させた状態で停止させるかを予め決定しておき、その決定された図柄分ドラムが回転した状態で停止するように制御して、ドラム1回転ごとにはリセットしないようにしてもよい。たとえば、ドラムを5回転と10図柄分回転させたい場合は、18×5+10=100の100図柄分回転させて停止させる。
【0081】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、通常リーチ状態と、前記複数の可変表示部に前記特定の識別情報の組合せが揃った状態となるように可変表示している可変表示リーチ状態とを含む複数種類のリーチ状態が定められているために、演出効果を高めることができる。また、数値情報を更新する数値情報更新手段から抽出された数値情報に従ってリーチ状態の種類が選択されるために、選択のランダム性が向上し、偏った選択や規則性のある選択を極力排除することができる。
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、複数の可変表示部のすべてを前記特定の識別情報の組合せが揃えられた状態で可変表示させるリーチ状態によって、演出効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明にかかる遊技機の一例のパチンコ遊技機の遊技領域およびその遊技領域に設けられている各種機器を示す正面図である。
【図2】
可変表示装置を構成しているドラムユニットと構造を示す部分分解斜視図である。
【図3】
可変表示装置の各表示部で表示される各種図柄の展開図である。
【図4】
可変表示装置の特別リーチ時の表示状態を示す正面図である。
【図5】
パチンコ遊技機に用いられる制御回路を示すブロック図である。
【図6】
図5に示した制御回路の動作を説明するための、プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図7】
プロセス処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図8】
スイッチ入力処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図9】
ドラムランプデータセット処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図10】
入賞記憶エリア格納処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図11】
通常処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図12】
ランダム2チェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図13】
大当り図柄セット処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図14】
はずれ図柄セット処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図15】
ドラム回転スタート処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図16】
ドラム回転処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図17】
大当りチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図18】
ドラム制御テーブルアドレス選択処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図19】
モータ制御処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図20】
モータ加速/減速処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図21】
モータ定速処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【図22】
ステップチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
2は遊技領域、3は可変表示装置、3a〜3cは可変表示部、4は可変入賞球装置、45は基本回路、54はモータドライブ回路、49はスイッチ・センサ入力回路である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-02-03 
出願番号 特願平11-181
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
P 1 651・ 03- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 渡部 葉子
渡戸 正義
登録日 2002-09-20 
登録番号 特許第3352642号(P3352642)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 森田 俊雄  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 中田 雅彦  
代理人 中田 雅彦  
代理人 塚本 豊  
代理人 塚本 豊  
代理人 森田 俊雄  

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