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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1118741
審判番号 不服2001-12534  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-06-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-18 
確定日 2005-06-20 
事件の表示 平成 9年特許願第328555号「遊戯台」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月15日出願公開、特開平11-156000〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・補正の適否
本願は、平成9年11月28日の出願であって、平成13年7月31日付けの手続補正は、平成12年4月18日付け手続補正書の旧請求項1および4を削除し、旧請求項1の「【請求項1】・・・全リールを横切る長さを有する金属支持部・・・除電ブラシ。」を引用する旧請求項2の「【請求項2】第1項記載の・・・遊戯台。」を、「【請求項1】・・・前記複数のリールを横切る長さを有する1つの金属支持部・・・遊戯台。」と補正することを含むものであって、請求項の削除及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるから、平成13年7月31日付けの手続補正を認める。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年7月31日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】絵柄が描かれた複数のリールが金属リールマウントに収納され、前記複数のリールを回動させ、それぞれを停止させた際に所定の絵柄を揃えることを行う遊戯台であって、
前記金属リールマウントに除電ブラシが着脱可能に設けられ、
当該除電ブラシは、
前記複数のリールを横切る長さを有する1つの金属支持部と、
該金属支持部に設けられ、前記複数のリールが位置する部位に設けられた除電ブラシ部と、
前記複数のリールを収納する金属リールマウントに着脱可能とし、装着した際に前記除電ブラシ部と前記金属リールマウントとを電気的に接続状態を維持するため、前記金属支持部に設けられた固定部とを備え、
前記固定部で前記金属リールマウントに固定した際、前記除電ブラシ部が前記各リールの表面に接触するようにしてなることを特徴とする遊戯台。」

3.刊行物の記載内容
これに対して、原審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物(特開平7-241364号公報)には、次のことが記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、リールの高速度回転に起因する空気との摩擦帯電を防止でき、制御装置の誤動作、動作不良を抑制するスロットルマシンに関する。」、
「【0011】・・・フレーム12は、前記側板2A、2A間に架け渡される台板15上に、矩形な枠組体16を取付けてなり、該枠組体16は、上板17と下板18との間を複数のモータ取付板19で連結する。なお上、下板17、18の各後縁間は、補強板20により接続され、前記枠組体16の枠組剛性を高める・・・」、
「【0016】又前記リールユニット5には、各リール3の静電気を除電する除電体30が、本例では前記補強板20に配される。【0017】なお補強板20は、四辺を枠組片で継ぐ矩形枠に、各リール3・・・間を跨がる水平な中枠片27を有し、該中枠片27に本例では、前記除電体30を取付ける。【0018】又除電体30は、先端部が前記リール3の外周面に近接又は接触する除電子31と、この除電子31を保持しかつ前記中枠片27に取付ける取付片32とを具える。【0019】除電子31は、本例では、金属等の導電体からなる薄肉かつ短冊板状の除電板からなり、表示部4の巾の1/2以上の巾を有するとともに、その弾性力によって微小圧力を有してリール3と接触している。・・・【0020】又前記取付片32は、本例では、ビス等によって中枠片27に取付く金属片であって取付片32と中枠片27との間で前記除電子31を狭圧して支持する。」、
「【0023】又除電子31としては、他に金属繊維及び例えばカーボン等を含有した導電性の有機繊維を用いた、いわゆる除電ブラジを採用してもよい。」、
「【0024】又各除電子31は、アース線Kを介して、本例ではアースされた台板15に接続される。」。
上記記載及び図面の記載及び技術常識からみて、刊行物には、
「絵柄が描かれた複数のリール3が枠組体16,補強板20及び中枠片27に収納され、前記複数のリール3を回動させ、それぞれを停止させた際に所定の絵柄を揃えることを行うスロットマシンであって、
前記中枠片27に除電体30が着脱可能に設けられ、
当該除電体30は、前記複数のリール3が位置する部位に設けられた除電ブラシを備え、
前記除電ブラシが前記各リール3の表面に接触するようにしてなり、
前記除電ブラシ部とアース部とを電気的に接続状態を維持するため、アース線Kを設けたスロットマシン。」の発明が記載されていると認められる。

4.対比・判断
本願発明と上記刊行物記載の発明とを対比すると、上記刊行物記載の発明の「枠組体16,補強板20及び中枠片27」、「除電体30」、「除電ブラシ」、「スロットマシン」が、本願発明の「リールマウント」、「除電ブラシ」、「除電ブラシ部」、「遊戯台」にそれぞれ相当するから、両者は、
「絵柄が描かれた複数のリールがリールマウントに収納され、前記複数のリールを回動させ、それぞれを停止させた際に所定の絵柄を揃えることを行う遊戯台であって、
前記リールマウントに除電ブラシが着脱可能に設けられ、
当該除電ブラシは、前記複数のリールが位置する部位に設けられた除電ブラシ部を備え、
前記除電ブラシ部が前記各リールの表面に接触するようにしてなる遊戯台。」である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
本願発明が、
「当該除電ブラシは、
前記複数のリールを横切る長さを有する1つの金属支持部と、
該金属支持部に設けられた除電ブラシ部と、
前記複数のリールを収納する金属リールマウントに着脱可能とし、装着した際に前記除電ブラシ部と前記金属リールマウントとを電気的に接続状態を維持するため、前記金属支持部に設けられた固定部とを備え、
前記固定部で前記金属リールマウントに固定した際、前記除電ブラシ部が前記各リールの表面に接触するようにしてなる」のに対し、
上記刊行物記載の発明は、除電ブラシの取付片32が各リール3毎に備えられ、各除電ブラシはリールマウントの中枠片27に着脱可能とし、前記除電ブラシ部とアース部とを電気的に接続状態を維持するため、アース線Kを設けた点。

上記相違点の本願発明に係る構成は、要するに、第1に、除電ブラシが、複数のリールを横切る長さを有する1つの金属支持部を備え、該金属支持部に金属リールマウントへの固定部を備え、第2に、除電ブラシ部と金属リールマウントとを電気的に接続状態にしたものであるから、それを前提に、以下、検討する。
第1の点についての本願発明の作用効果は、リール数に相当する幅の1つの除電ブラシを設けることにより、除電ブラシの交換作業を簡単にする(本願明細書の段落【0024】等参照)ものであるが、当該分野において、個々の部材を一体化(ユニット化)して着脱可能とすることにより、交換作業を簡単にすることは、例えば、特開平6-31040号公報(【0004】、【0039】)、特開平9-140863号公報(段落【0017】、【0018】、【0022】ないし【0024】)等に記載されているように周知慣用であることから、遊戯台の一部材である除電ブラシの交換作業を簡単にするため各除電ブラシを一体化(ユニット化)することは、当業者であれば当然考慮することであり、また、装置一般において、除電ブラシが、複数の除電対象を横切る長さを有する1つの金属支持部を備え、該金属支持部に取付フレームへの固定部を備えるようにすることは、例えば、実公昭63-16681号公報(第2図,第3図の集電ブラシ17、導電性板17a、L字断面ブラケット18参照)、特開昭61-109298号公報(第9図、第11図のコの字形のブラシホルダー99参照)等に記載されているように周知慣用のことであるから、除電ブラシが、複数のリールを横切る長さを有する1つの金属支持部を備え、該金属支持部にリールマウントへの固定部を備えるようにすることは、当業者であれば適宜採用しうる設計的事項にすぎないから、上記刊行物記載の発明において上記第1のように構成することは、当業者であれば容易になし得ることである。
第2の点について、装置一般において、アース線を用いず、除電ブラシの取付フレームから静電気を逃がすようにしたものが、例えば、実公昭63-16681号公報(4欄6ないし10行、5欄10ないし12行の「ソータ本体の側板9」参照)、特開昭61-109298号公報(4頁右下欄1行ないし5頁左上欄19行の「フレーム70,71」参照)等に記載されており、これら取付フレームから静電気を逃がすようにする以上、該フレームは金属から構成されることが通常のことである。つまり、導電性を有するフレームであるから、材質は代表的には金属であると当業者は当然理解する。したがって、除電ブラシ部と金属フレームとを電気的に接続状態にしたものが周知慣用と言えることから、上記刊行物記載の発明において、取付フレームすなわちリールマウント(枠組体16、補強板20及び中枠片27)を金属製とし、除電ブラシ部と金属リールマウントとを電気的に接続状態にすることは、当業者であれば容易になし得ることである。また、上記刊行物記載の発明において、制作誤差等により各リール3の表示部4の半径方向の高さが揃っていない場合に除電体30の各リール3への接触状態を良好にすることに重点をおいて除電体30を各リール3に別個に取り付けるか、交換を簡単にすることに重点おいて除電体30を複数のリール3を横切る長さとするか、どちらに重点をおくかは、当業者であれば適宜なし得る設計的事項にすぎない。
そして、本願発明のように構成したことによる格別の作用効果も認められない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記刊行物記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-14 
結審通知日 2005-04-18 
審決日 2005-05-09 
出願番号 特願平9-328555
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光小林 英司  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 塩崎 進
白樫 泰子
発明の名称 遊戯台  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 高柳 司郎  

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