• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1118966
審判番号 不服2002-24903  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-03-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-26 
確定日 2005-06-23 
事件の表示 特願2000-253375「役務提供仲介システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月12日出願公開、特開2002- 73784〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年8月24日の出願であって、平成14年11月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年12月26日に拒絶査定に対する審判の請求がなされるとともに、平成15年1月21日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年1月21日付けの手続補正についての却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年1月21日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本補正は、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】公衆回線に接続される子供あずかりを希望するユーザの通信端末と、子供あずかりサービスを仲介するサーバである仲介業者の通信端末と、
子供あずかり役務を提供する役務提供者の通信端末と、料金請求、回収業者の通信端末を備え、
サーバの通信端末は、パソコンとデータベースを有して、役務提供者の通信端末から入力される役務サービスを条件毎に分類して格納し、ユーザの通信端末から提示される利用条件に応じて役務サービスとの一致条件を検索し、条件が一致しないときには、ユーザの利用条件と役務提供者の役務サービスの条件を再度設定する機能と、再度設定した条件をつき合わせて一致条件もしくは近い条件を提示する機能を備えるとともに、サーバのパソコンは、役務提供者の通信端末から入力される役務内容をキーワードに分類し、サーバのデータベースに格納、更新する機能と、役務提供者の通信端末から入力される仲介料金徴収用のクレジットカード番号をサーバのデータベースに格納、更新する機能を備える役務提供仲介システム。」
と補正された。
(2)判断
上記補正により、補正前の請求項1に記載された発明の発明特定事項に「条件が一致しないときには、ユーザの利用条件と役務提供者の役務サービスの条件を再度設定する機能と、再度設定した条件をつき合わせて一致条件もしくは近い条件を提示する機能」という新たな発明特定事項が付け加えられたが、この「ユーザの利用条件と役務提供者の役務サービスの条件を再度設定する機能」は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内ではない。
願書に最初に添付した明細書の段落【0017】には、「ステップS20で、仲介業者の端末40は役務データベース44を検索して、ユーザの要求と役務提供者の役務データの最適な一致条件を抽出する。双方の条件が一致しなければ、条件を再設定して、一致する条件を検索する。」と記載されているだけで、「条件を再設定」の「条件」が何であるかは記載されていない。双方の条件が一致しなければ片方の条件のみを緩和して再検索することも十分に考えられることである。また、同図2中には、S22として「相手の案件を再設定」と記載されており、このS22がS25の「クライアントは了解したか?」の直後に置かれていることを考慮すると、むしろユーザ(段落【0009】参照。)から見て相手である役務提供者の条件のみを再設定するとも読める。いずれにせよ上記機能が記載されていないことは明らかであり、また、上記機能に関連すると思われる明細書及び図面の記載は不明りょうでありその意味を特定することはできない。
したがって、上記補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成15年1月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年8月13日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】 公衆回線に接続される子供あずかりを希望するユーザの通信端末と、子供あずかりサービスを仲介するサーバである仲介業者の通信端末と、子供あずかり役務を提供する役務提供者の通信端末と、料金請求、回収業者の通信端末を備え、
サーバの通信端末は、パソコンとデータベースを有して、役務提供者の通信端末から入力される役務サービスを条件毎に分類して格納し、ユーザの通信端末から提示される利用条件に応じて役務サービスとの一致条件を検索し、役務を仲介する機能を備えるとともに、サーバのパソコンは、役務提供者の通信端末から入力される役務内容をキーワードに分類し、サーバのデータベースに格納、更新する機能と、役務提供者の通信端末から入力される仲介料金徴収用のクレジットカード番号をサーバのデータベースに格納、更新する機能を備える役務提供仲介システム。」

4.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-305517号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0003】
【従来の技術】ネットワークを対象としたサービス案内の代表的な例は、電話番号案内である。そこでは、電話番号とそのサービス内容を示すキーワードを対にしてデータベース化し、利用者から与えられたキーワードをキーとして検索し、条件が最もよく一致するサービスを捜し出すという方法が採られている。
【0004】サービス内容をデータベース化し、そのデータベースを利用して、要求に適合すると推定されるサービスを検索するという方法は、電話番号案内に限らず一般的な案内方法である。情報の格納方法や検索方法は、それぞれ特徴を持つが、情報を一元化したデータベースを利用する点では、共通している。勿論、データベースの数が複数でも、案内用の情報を特定のデータベースに一元化するという考え方では、基本的に同じである。
【0005】サービスに関する情報をデータベースに集約化することにより、要求されたサービスを効率的に見つけ出すことができる。」(3頁4欄17〜35行)
イ 「【0015】図3は、本発明の原理構成図である。本発明は、ネットワーク100上で各種サービスが提供される環境における利用者からの案内要求に対する案内情報を提供するネットワークサービス案内システムであって、ネットワーク100に接続され、サービスを提供しているサービスサーバの案内要求を発行する利用者端末400と、ネットワーク100に接続され、自サーバ300に関する詳細なサービス提供の紹介情報を保持し、案内要求に基づいて該案内要求に対する詳細なサービス提供の紹介情報を提供する少なくとも1つのサービスサーバ300と、ネットワーク100に接続され、利用者端末400から案内要求を受け取り、該案内要求に対応するサービスサーバの候補を取得して、利用者端末に返却する案内サーバ200とを有する。
【0016】また、上記の利用者端末400は、案内サーバ200から取得したサービスサーバの候補のいずれか、または、全てのサービスサーバに対して詳細なサービス提供の紹介情報を要求する詳細情報要求手段を有し、サービスサーバ300は、詳細なサービス提供の情報を格納する第1のデータベースと、詳細情報要求手段により発行された利用者端末からの要求に対して第1のデータベースから詳細なサービス提供の紹介情報を読み出して、提供する詳細情報提供手段を含む。
【0017】また、上記の案内サーバ200は、サービスサーバ300の概要情報を格納する第2のデータベースと、利用者端末400から取得した案内要求に基づいてデータベースから該案内要求に対するサービスを提供するサービスサーバの候補を検索する検索手段と、検索手段により取得したサービスサーバの候補の各々にアクセスし、アクセス先のサービスサーバ300から詳細なサービス提供の紹介情報を取得する詳細情報取得手段と、詳細情報取得手段により取得した詳細なサービス提供の紹介情報を利用者端末400に送信する送信手段を含み、利用者端末400は、案内サーバ200から受信した詳細なサービス提供の紹介情報に基づいて、サービス提供要求を発行するサービスサーバ300を選択する選択手段を含む。
【0018】また、上記の案内サーバ200は、検索手段により取得した複数の詳細なサービス提供の紹介情報から利用者端末400から取得した案内要求に最も合致する情報を選択する最適情報選択手段を含む。また、上記のサービスサーバ300は、案内サーバ200の第2のデータベースに対して、未登録または、登録されている自サーバの概要情報において更新された情報がある場合には、案内サーバ200に対して登録する登録手段を含む。」(4頁6欄27行〜5頁7欄22行)
ウ 「[第1の実施例]まず、本発明の第1の実施例として、データ通信を利用したサービス案内方法について説明する。
【0054】以下の説明は、前述の図4、5、6、7の構成に基づいて説明する。図11は、本発明の第1の実施例の案内処理のシーケンスチャートである。
ステップ101) サービス案内は、利用者が図7に示す入力装置410、表示装置420から構成されるGUIを用いて、図12に示すようなサービスサーバ案内要求を生成する。案内要求のキーワードとして、『宴会』『横須賀』『料理屋』を用いるものとする。
【0055】ステップ102) 入力装置410から入力されたサービスサーバ案内要求(キーワード)は、案内サーバ用編集装置430で編集され、送受信装置460よりネットワーク100を介して案内サーバ200に送信される。
ステップ103) 案内サーバ200の案内要求受信装置210が利用者端末400から送信された案内要求を受信すると、情報検索装置220に当該案内要求を転送し、情報検索装置220において図13に示すデータベース230を検索して、候補となるサービスサーバを見つけ出し、情報編集装置240に転送する。ここでは、ステップ101により入力された案内要求のキーワード『宴会』『横須賀』『料理屋』により検索されるサービスサーバの候補として、サービスサーバアドレス“mnop”、“qrst”が検索されたものとする。
【0056】ステップ104) 情報編集装置240は、候補となったサービスサーバの関連情報を付加し、利用者端末に返却するための情報を編集する。編集された情報として、図14に示すように、サーバ名“△○”、提供者名“△○”、所在“横須賀”、アドレス“mnop”及びサーバ名“□□屋”、提供者名“○○○○”、所在“横須賀”、アドレス“qrst”等の2つの候補が生成されたものとする。
【0057】ステップ105) 案内サーバ200の情報送信装置250は、編集された2つのサービスサーバの候補の概要情報をネットワーク100を介して、利用者端末400に返却する。
ステップ106) 利用者端末400では、送受信装置460で当該サービスサーバの概要情報を受信し、当該情報をサービスサーバ用編集装置440に転送し、サービス内容に関する案内要求を作成する。
【0058】ステップ107) 案内サーバ200から通知されたサービスサーバの概要情報に基づいて、サービスサーバ300にサービス内容案内要求を送信する。この例は、利用者は、提供された2つのサービスサーバ(mnop,qrst)のうち、サーバ名“△○”(mnop)を選択し、当該サービスサーバに対して図15に示すようなサービス案内要求を発行する。当該サービス案内要求は、要求区分、対象区分、条件等を設定して、サービスサーバ300(サーバ名:△○)に送信する。」(7頁12欄31行〜8頁13欄32行)
これら記載事項及び図1によると、引用刊行物には、
「ネットワーク上で各種サービスが提供される環境における利用者からの案内要求に対する案内情報を提供するネットワークサービス案内システムであって、ネットワークに接続され、サービスを提供しているサービスサーバの案内要求を発行する利用者端末と、ネットワークに接続され、自サーバに関する詳細なサービス提供の紹介情報を保持し、案内要求に基づいて該案内要求に対する詳細なサービス提供の紹介情報を提供する少なくとも1つのサービスサーバと、ネットワークに接続され、利用者端末から案内要求を受け取り、該案内要求に対応するサービスサーバの候補を取得して、利用者端末に返却する案内サーバとを有するものであり、
上記の案内サーバは、サービスサーバの概要情報を格納する第2のデータベースと、利用者端末から取得した案内要求に基づいてデータベースから該案内要求に対するサービスを提供するサービスサーバの候補を検索する検索手段と、検索手段により取得したサービスサーバの候補の各々にアクセスし、アクセス先のサービスサーバから詳細なサービス提供の紹介情報を取得する詳細情報取得手段と、詳細情報取得手段により取得した詳細なサービス提供の紹介情報を利用者端末に送信する送信手段を含み、利用者端末は、案内サーバから受信した詳細なサービス提供の紹介情報に基づいて、サービス提供要求を発行するサービスサーバを選択する選択手段を含み、また、上記のサービスサーバは、案内サーバの第2のデータベースに対して、未登録または、登録されている自サーバの概要情報において更新された情報がある場合には、案内サーバに対して登録する登録手段を含むネットワークサービス案内システム」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

5.周知例
(1)本願出願前に頒布された日本経済新聞1999年1月13日朝刊29面(以下、「刊行物2」という。)には、次の周知例が記載されている。
ア 「経営相談や保育所情報
埼玉県 ホームページで提供
インターネット利用者の急増に伴い、埼玉県がホームページを活用した情報提供を相次いで取り入れている。昨年十月からすべての記者発表を「県政ニュース」として掲載しているが、四日には保育所情報の提供を始めたのに続き、十一日からはネット上に開業・経営相談窓口を開設した。
保育所情報は公立、民間を問わず県内の全七百十カ所の保育所について、昨年十月一日現在の保育所受け入れ定員、年齢や開所時間、育児相談の実施状況を掲載中。県では「休日や一時保育の状況など、埼玉ほど細かい情報を掲載している都道府県はない」(こども家庭課)と話している。(以下略)」
(2)本願出願前に頒布された特開平10-187817号公報(以下、「刊行物3」という。)には、次の周知例が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターネット上の情報交換方法に関し、特にインターネットを介して商品提供者と一般消費者とを結びつける方法に関する。」(2頁1欄37〜40行)
イ 「【0009】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態1.以下、本発明の実施の形態1を図面を参照し説明する。 図3において、通信回線2の一方には家庭や事務所の端末1が、他方には、一般プロバイダ6や、例えば後藤情報交換サービス社Gが運営するプロバイダのホスト装置3がそれぞれ接続されている。端末1は消費者の数に応じて多数存在し、通信回線2はNTT、KDD、ATT等であり世界のインターネット7に接続可能である。端末1の消費者はインターネット7の会員であるので、世界中で固有のメールアドレスを持っている。
【0010】さて、後藤情報交換サービス社Gには各種業界8から情報の交換依頼を受け、有料でこの情報をインターネット7上に流し、これを見た消費者の端末1から、この情報に対する反応を、電子メールで受ける事業を行っている。後藤情報交換サービス社Gには各種業界8からインターネット7を介してカタログ等の情報を受け取ることができる。」(3頁3欄42行〜同4欄11行)
ウ 「【0014】一方、図4の提供者管理用の情報ファイル18には表1のように、商品区分とカタログ番号19と提供者の氏名や社名と連絡先の住所と電話番号やファクス番号とインターネット7上のホームアドレスとメールアドレス等、アクセスに必要な項目が全て記載されている。
【0015】
商品区分 カタログ番号 氏名社名:提供者 連絡先
(中略)
・・・ ・・・
ベビーシッター 13331 託児所マリア
14444 安心保母」(3頁4欄42行〜4頁13行)
(3)本願出願前に頒布された特開平9-114891号公報(以下、「刊行物4」という。)には、以下の周知例が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の端末装置に接続されるとともに、インターネットを介して複数のサーバに接続されている情報処理装置において、
前記端末装置の前記インターネットを介しての前記サーバの利用を記憶する第1の記憶手段と、
前記端末装置の前記インターネットを介しての前記サーバの利用に関する決裁口座を、前記端末装置の前記インターネットを介しての前記サーバの利用の前に記憶する第2の記憶手段と、
前記端末装置の前記インターネットを介しての前記サーバの利用に関する料金を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された料金を、前記第2の記憶手段に記憶されている前記決裁口座に対して課金する課金手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】 前記第2の記憶手段は、前記決裁口座として、クレジットカードの番号、または銀行口座の番号を記憶することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。」(2頁1欄1〜19行)
イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は情報処理装置および方法に関し、特にインターネットに接続されている端末装置の利用料金を処理するようにした、情報処理装置および方法に関する。」(2頁1欄39〜43行)
ウ 「【0019】
【発明の実施の形態】 図1は、本発明の情報処理装置を適用したネットワークシステムの構成例を表しており、図19における場合と対応する部分には、同一の符号を付してある。このシステムにおいても、インターネット3に対して、複数のインフォメーションプロバイダ(IP)(情報提供者)4-1乃至4-4が接続されている。そして、各端末装置1-1乃至1-3は、通常の電話回線を介して課金プロクシ11に接続され、課金プロクシ11がさらにインターネット3に接続されている。インフォメーションプロバイダ4-3は、さらに外部の在庫管理システムに接続されている。
【0020】この実施例の場合、課金プロクシ11はまた、アクセスプロバイダ(AP)として機能するとともに、インフォメーションプロバイダとしての機能も有するようになされている。また、課金プロクシ11は、CAFIS5を介して、複数のクレジットカード会社のコンピュータシステム(決裁システム)6-1乃至6-3と接続されている。従って、この課金プロクシ11も、WWWシステムにおいて利用可能なアプリケーションソフトウエア(例えば、Netscape Commerce Server)を有している。」(4頁5欄13〜34行)
エ 「【0024】この実施例においては、各ユーザ(加入者)は、その端末装置1-iから所定のインフォメーションプロバイダ(以下、適宜、サーバと称する)4-jにアクセスし、そこから商品、サービスなどの提供を受け、クレジットカード、銀行口座などからの自動的引き落としにより、その料金の支払いを行う。この場合、ユーザは、所定の課金プロクシ11の会員となるための入会手続きを事前に行っておく必要がある。この手続きは、所定の申し込み用紙に所定の事項を記入し、それを郵送するなどして行うようにすることも可能であるが、各端末装置1-iから電話回線を介して、あるいは必要に応じてインターネット3を介して課金プロクシ11にアクセスし、オンラインで、この入会手続きを行うようにすることもできる。図4と図5は、この場合におけるオンラインサインアップ処理を表している。」(4頁6欄14〜28行)
オ 「【0043】ユーザは、ステップS41において、A会員とB会員のいずれになるかを選択入力する。さらにステップS42において、ユーザは、商品、サービスなどを購入した場合における決裁を行うクレジットカードの種類、番号、有効期限を入力部48を操作して入力する。」(6頁9欄24〜29行)
カ 「【0049】以上のようにして、課金プロクシ11の光磁気ディスク26の会員マスターには、例えば図7に示すような、ユーザIDデータベースが形成される。このユーザIDデータベースには、上述した図4および図5の各ステップにおいて入力された事項が、各ユーザID毎に登録される。なお、このユーザIDデータベースには、上記事項の他、各端末装置に割り当てられた割当IPアドレス、各端末装置がアクセスしたサーバ、アクセスしたファイルなどのアクセスの履歴も記憶される。」(6頁10欄18〜26行)

6.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。引用発明の「ネットワーク」がインターネット等の公衆回線を含むことは当業者に明らかであり、引用発明の「利用者端末」、「サービスを提供しているサービスサーバ」は、ネットワークに接続されているから「通信端末」ということができ、それぞれ本願発明の「ユーザの通信端末」「サービスを提供する役務提供者の通信端末」に相当する。引用発明の「案内サーバ」は、「サービスサーバの候補を取得して、利用者端末に返却する」機能を有し、これは結局サービスサーバを有する役務提供者を仲介する(4.ウ参照。)ものといえ、さらに上記4.アの記載を考慮すると、案内サーバを運営する電話会社等の業者が想定されているから、上記「案内サーバ」は「サービスを仲介するサーバである仲介業者の通信端末」に相当する。引用発明の「案内サーバ」の「第2のデータベース」は本願発明の「データベース」に相当する。また、同「案内サーバ」が「検索手段」、「詳細情報取得手段」及び「送信手段」の機能を果たすためにコンピュータ技術を用いていることは明らかであるから、本願発明の「パソコン」に相当する部分を有しているものと言える。引用発明において、「利用者端末から取得した案内要求に基づいてデータベースから該案内要求に対するサービスを提供するサービスサーバの候補を検索する検索手段」を有しているから、利用条件に応じて検索するものといえ、具体的には、キーワードで検索される(3.ウ参照。)から、「概要情報」を登録する際には、条件毎、キーワードに分類してデータベースに格納、更新していることも明らかである。
してみると、本願発明と引用発明とは、
「公衆回線に接続されるサービスを希望するユーザの通信端末と、サービスを仲介するサーバである仲介業者の通信端末と、サービスを提供する役務提供者の通信端末と、を備え、
サーバの通信端末は、パソコンとデータベースを有して、役務提供者の通信端末から入力される役務サービスを条件毎に分類して格納し、ユーザの通信端末から提示される利用条件に応じて役務サービスとの一致条件を検索し、役務を仲介する機能を備えるとともに、サーバのパソコンは、役務提供者の通信端末から入力される役務内容をキーワードに分類し、サーバのデータベースに格納、更新する機能と、を備える役務提供仲介システム。」
である点で一致しているが、下記の点で相違する。
(相違点1)
本願発明の「サービス」は子供あずかりサービス(役務)であるのに対し、引用発明では子供あずかりサービスについて明示されていない点。
(相違点2)
本願発明では、「料金請求、回収業者の通信端末」をも備え、「役務提供者の通信端末から入力される仲介料金徴収用のクレジットカード番号をサーバのデータベースに格納、更新する機能」を有するのに対し、引用発明では料金徴収についての構成を有さない点。

7.判断
上記(相違点1)について検討すると、インターネットを介して子供あずかりサービスについて紹介することは、刊行物2及び3に記載されているように周知であり、引用発明もネットワークを介してサービスを紹介するものであるから、これを子供あずかりサービスに適用することに困難性は認められない。
上記(相違点2)について検討すると、業者が手数料を徴収することは、取引通念上一般的なことであり(これは刊行物3にも示されている、上記5.(2)イの段落【0010】参照。)、引用発明においても業者が情報を提供することで仲介をしており、その対価として手数料を徴収することは容易に思いつくことである。そして、ネットワーク上で料金徴収をするために、クレジットカード会社のコンピュータシステム(決裁システム)と接続し、クレジットカードの番号をオンラインでデータベースに登録することは周知である(これは刊行物4に示されている、上記5.(3)ウの段落【0020】及びエないしカ参照。)から、引用発明に該周知技術を採用して料金徴収を可能とすることは、当業者が容易に設計しうることである。

8.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-12 
結審通知日 2005-04-19 
審決日 2005-05-09 
出願番号 特願2000-253375(P2000-253375)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 山下 弘綱
特許庁審判官 深沢 正志
大野 弘
発明の名称 役務提供仲介システム  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ