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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B |
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管理番号 | 1125088 |
審判番号 | 不服2003-772 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-03-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-01-14 |
確定日 | 2005-10-20 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第253553号「超音波治療装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 3月22日出願公開、特開平 6- 78930号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年8月31日の出願であって、その請求項1〜4に係る発明は、平成14年3月8日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「被検体の所望焦点位置における被照射物に超音波を照射する複数の圧電素子と、これらの圧電素子のうち一の圧電素子と他の圧電素子とを別個に駆動制御する駆動制御手段とを有する超音波治療装置であって、前記複数の圧電素子は、1つ又は複数毎に所定の位相差で駆動されることを特徴とする超音波治療装置。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭63-267347号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が図面と共に記載されている。 (1)「生体1の、例えば腎臓2内に治療対象物の結石3があり、これを砕石する場合、2次曲面にモザイク状に圧電素子6a〜6lが配設されて構成されたプローブを、水が充填されているウォーターバッグ4を介して生体1に接触させる。」(第2頁右上欄第17行〜左下欄第2行) (2)「第2図は、結石3が位置PIにあるいはPIIにあるとき、圧電素子6a〜6lから照射された超音波ビームの焦点位置を、常に上記結石位置PIあるいはPIIに合致させるようにしたことを説明するための図である。圧電素子6a〜6lの前面に2次元の球殻体からなる超音波送信面(以下、送波面と略記する)を第2図(A)の点線で示すように仮想する。そして、送波面WIからの超音波の焦点位置が、結石位置PIに合致しているものとすると、呼吸等により結石3が位置PIからPIIに移動した場合には、これに素早く追従して、焦点位置もPIからPIIに即座に移動しなければならず、従って送波面WIが送波面WIIに変位する必要がある。この送波面WIIを得るために、本実施例では圧電素子6aに印加する信号の駆動タイミングを圧電素子6lに印加する信号に比し、時間Tだけ早める。以下、圧電素子6b〜6kについても同様とする。このように圧電素子6a〜6lを駆動する信号は、第3図に示すように各信号が衝撃波発生回路10a〜10lで得られ、圧電素子相互間のタイミングは、CPU38からデータバス42を介しタイミング回路14a〜14lに供給される信号により該タイミング回路14a〜14lで得られる。そして、これが送波面WIとWIIとの時間差Tに相当する。」(第3頁右上欄第12行〜左下欄第18行) (3)第1図には、圧電素子6a〜6lには、それぞれ衝撃波発生回路10a〜10l、タイミング回路14a〜14lが接続され、さらにCPU38、コンパレータ30等に接続されている超音波治療装置の構成ブロック図が、第3図には、各圧電素子を駆動する信号が、時間差をもって順次発生している波形図が図示されている。 上記(1)〜(3)の記載事項からみて、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「生体1の所望焦点位置における治療対象物の結石3に超音波を照射する複数の圧電素子6a〜6lと、これらの圧電素子6a〜6lにそれぞれ接続された衝撃波発生回路10a〜10l、タイミング回路14a〜14l、CPU38、コンパレータ30等とを有する超音波治療装置であって、前記複数の圧電素子は、1つ毎に時間差を持って順次駆動される超音波治療装置。」 3.当審の判断 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「生体1」、「治療対象物の結石3」は、それぞれ本願発明の「被検体」、「被照射物」にそれぞれ相当する。 また、引用発明の「これらの圧電素子6a〜6lにそれぞれ接続された衝撃波発生回路10a〜10l、タイミング回路14a〜14l、CPU38、コンパレータ30等」は、各々の圧電素子を別個に駆動制御する駆動制御手段であるから、本願発明の「これらの圧電素子のうち一の圧電素子と他の圧電素子とを別個に駆動制御する駆動制御手段」に相当する。 さらに、引用発明の「時間差を持って順次駆動」することは、第3図からみて、周期的に駆動される複数の圧電素子を、各々時間差をもって順次駆動することであるから、本願発明の「所定の位相差で駆動される」に相当し、そして、本願発明の「複数の圧電素子は、1つ又は複数毎に所定の位相差で駆動される」という構成は、複数の圧電素子が1つ毎に所定の位相差で駆動されることを含むものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは、本願発明の文言を用いて表現すると、「被検体の所望焦点位置における被照射物に超音波を照射する複数の圧電素子と、これらの圧電素子のうち一の圧電素子と他の圧電素子とを別個に駆動制御する駆動制御手段とを有する超音波治療装置であって、前記複数の圧電素子は、1つ毎に所定の位相差で駆動されることを特徴とする超音波治療装置。」で一致し、相違点は見いだせない。 なお、請求人は請求の理由において、引用例は「複数の圧電素子のうち1つ又は複数毎に所定の位相差で駆動する」構成、言い換えると、「遅延値あり」と「遅延値なし」の2種で駆動しようとする構成に関しては開示していない旨主張している。(平成15年4月25日付け手続補正書(審判請求書)3頁12行〜15行) しかしながら、「所定の位相差で駆動する」ということは、一般的に、周期的な駆動において1周期ごとに繰り返される駆動のタイミングをずらすことであるから、本願発明における「複数の圧電素子のうち1つ又は複数毎に所定の位相差で駆動する」という構成を、「遅延値あり」と「遅延値なし」の2種で駆動しようとする構成と限定して解することはできず、請求人のこのような主張は採用することができない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条1項3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-08-23 |
結審通知日 | 2005-08-26 |
審決日 | 2005-09-07 |
出願番号 | 特願平4-253553 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 元人、土田 嘉一 |
特許庁審判長 |
阿部 寛 |
特許庁審判官 |
柳 五三 川本 真裕 |
発明の名称 | 超音波治療装置 |
代理人 | 堀口 浩 |