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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1125139
審判番号 不服2003-6580  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-17 
確定日 2005-10-20 
事件の表示 特願2000-206141「セレモニー開催システム及びサーバ並びに記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月25日出願公開,特開2002- 24428〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は,平成12年7月7日の出願であって,本願の発明は,14年8月19日付けで補正された明細書及び図面からみて,その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたものと認められるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は次のとおりである。
「請求項1:ネットワークを介して接続されるサーバ,管理者用装置及び運営者用装置からなり,主催者からの依頼を受けて運営者が運営するセレモニーの開催システムであって,前記サーバは,セレモニー情報を格納するとともに,ネットワークを介して接続された参加者用端末からの参加者情報を受信しセレクトしてリアルタイムでセレモニー情報及び参加者情報として出力することを特徴とするセレモニー開催システム。」

2 引用例
これに対して,原査定の拒絶の理由に引用された,特開平10-134105号公報(以下,「引用例」という。)には以下の事項が記載されている。(抜粋箇所は項目名又は段落番号で表示)
(1) 「【請求項1】葬儀,葬式,法事を意味するまたは連想させる英文字列が含まれたドメイン名でインターネットよりアクセスされるWebサーバ(10)と,Webサーバ(10)にネットワーク(12)を介して接続された端末(14)と,を有し,Webサーバ(10)は,葬儀,葬式,法事に関連した業者の情報を提示する画面が形成されるHTMLドキュメントを自コンソール,前記端末(14)の指示に従い格納する手段(16)と,前記HTMLドキュメント内のリンク情報で示される構造に沿って前記画面をインターネット経由のアクセス元へ該アクセス元の要求に応じ送出する手段(18)と,含む,ことを特徴とした葬儀葬式法事支援システム。」

(2) 「【0012】各端末14にはパーソナルコンピュータが使用されており,これら端末14はネットワーク12のケーブル11を介しWebサーバ10との間でファイル転送を行える。さらにSQLデータベースサーバ17がネットワーク12のケーブル11に接続されている。
【0013】SQLデータベースサーバ17にもUNIXマシンが使用されており,そのサーバ17はWebサーバ10,各端末14の側からアクセスされる。そしてWebサーバ10はインターネット13に接続されており,これを介してインターネット端末15からアクセスされる。Webサーバ10には葬儀,葬式,法事を意味するまたは連想させる英文字列(例えば,”funeral”)が含まれたドメイン名が付与されており,各インターネット端末15は葬儀,葬式,法事を行おうとする者が所有し,Webサーバ10をアクセスする際にはインターネットブラウザを起動してWebサーバ10に付与されたドメイン名のURLを入力する。」

(3) 「【0014】葬儀,葬式,法事の各業者はWebサーバ10のサイト側と契約を結び,顧客となる者が自己の業務内容を容易かつ正確に理解できるホームページの作成を同サイトに依頼する。Webサーバ10のサイト要員は端末14を操作して必要な事項をSQLデータベースサーバ17に登録し,かつ,依頼主のホームページを作成する。
【0015】各業者のホームページは文字,静止画,動画,三次元画像,音声などを用いてマルチメディア化され,リアルな実例まで顧客となる者に提示できるものに仕上げられ,必要に応じ最新なものへ更新される。また,各業者のホームページには電子メールのインターフェースが設けられ,インターネットアクセス元(顧客となる者)は電子メールでその業者に質問し,資料を請求し,葬儀や葬式を依頼する。」

3 対比・判断
(1) 本願発明と引用例に記載された発明(以下「引用発明」という。)とを対比する。
引用発明における「葬儀,葬式,法事の各業者はWebサーバ10のサイト側と契約を結」(前掲2(3))ぶことから,「各業者」は本願発明の運営者に相当し,「Webサーバ10のサイト側」が本願発明の管理者に相当することは明らかである。
そしてネットワークを利用する前提として,各利用者が端末や入力・出力装置を備え,情報の受信や送信を行うことは当業者の常識であり,かつ情報のやりとりがリアルタイムに行われることも当業者に自明の事項である。
また,データベースへのアクセスにおいて,必要なデータをセレクトして出力することは,データベースの常識である。
以上を踏まえると,本願発明は引用発明と次の一致点及び後述する相違点を有することが認められる。

ア 一致点
ネットワークを介して接続されるサーバ,管理者用装置及び運営者用装置からなり,運営者が運営するシステムであって,前記サーバは,情報を格納するとともに,ネットワークを介して接続された端末からの情報を受信しセレクトしてリアルタイムで情報として出力することを特徴とするシステム。

イ 相違点
(ア) 本願発明の対象とするものが,セレモニー情報を扱う「セレモニー開催システム」であるのに対し,引用発明が対象とするものは葬儀葬式法事支援システムである点。
(イ) 本願発明の運営者が主催者からの依頼を受けた者であるのに対し,引用発明では,運営者に相当する各業者が示されているのみである点。
(ウ) 本願発明が参加者用端末からの参加者情報を受信しているのに対し,引用発明では,参加者に関する記載がない点。

(2) 相違点の判断
相違点(ア)について
引用発明は,葬儀等を円滑に行えるよう支援するシステムに関し,最適な業者を容易かつ迅速に決定することが可能となるシステムであるが,システムを形成する機器構成は本願発明と格別な差違はなく,扱う情報が葬儀業者の情報とセレモニー情報とで異なるにすぎず,引用発明のシステム構成をセレモニー開催システムとすることは,当業者であれば容易に想到し得る事項と認められる。
なお,ネットワークを利用したセレモニー開催システムは,結婚式に関するものであるが,特開平10-308772号公報にも示されるように,格別新規なビジネス形態ではない。

相違点(イ)について
本願発明の明細書にも段落0014に「運営者3は,主催者3bからセレモニー開催の依頼を受ける(85)。なお,主催者3bが自分で運営することも可能である。」とあることからも明らかなように,運営者と主催者の関係は当業者が適宜決定し得る事項であり,この相違点は,設計事項にすぎない。

相違点(ウ)について
引用発明においても,「インターネットアクセス元(顧客となる者)は電子メールでその業者に質問し,資料を請求し,葬儀や葬式を依頼する。」(前掲2(3))とあることから,顧客は参加者に対応するものと理解することができ,質問し,依頼することは,データの送信を行っているとみることができる。よって,これをサーバ側から見れば参加者の情報を受信しているといえ,当該相違点の克服に当業者が格別困難を伴うものとは認められない。
なお,前掲の特開平10-308772号公報には,明示的に参加者端末からの参加者情報を受信していることが示されている。

以上のとおりであるから,本願発明については,全体としても当業者が格別工夫を要したものとはいえず,効果についても当業者が予測し得ない格別顕著なものは認められない。

4 むすび
したがって,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,他の請求項について検討するまでもなく,本願は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-22 
結審通知日 2005-08-23 
審決日 2005-09-05 
出願番号 特願2000-206141(P2000-206141)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 深沢正志
佐藤敬介
発明の名称 セレモニー開催システム及びサーバ並びに記録媒体  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  

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