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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F24F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1125404
審判番号 不服2004-6571  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-06-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-01 
確定日 2005-10-27 
事件の表示 特願2000-353295「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月 7日出願公開、特開2002-162064〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯
本願は、平成12年11月20日の出願であって、原審における平成15年11月18日付けの拒絶理由通知書に記載した理由により平成16年2月26日付けで拒絶査定されたが、平成16年4月1日に拒絶査定に対する審判が請求され、同年4月21日付けで特許請求の範囲を対象とする手続補正書が提出された。

2. 補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年4月21日付けの手続補正を却下する。

[理 由]

(1)補正後の特許請求の範囲請求項1に係る発明
平成16年4月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の請求項1に係る発明について、発明を特定するために必要な事項を限定して新たな請求項1とする補正を含むものであるから、特許請求の範囲についてのこの補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であると認められるが、この補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、本件補正に係る特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。
「天井裏設置型、天袋設置型、及び地袋設置型の設置形態を選択可能な室内機(2)を備える空気調和機であって、
前記室内機(2)は、
室外機内に設置される圧縮機(21)、室外熱交換器(24)などと接続されて冷媒回路を構成する室内熱交換器(11)と、
前記室内熱交換器(11)内部を通過する冷媒との間で熱交換する空気流を生成する室内ファン(12)と、
前記室内ファン(12)を駆動するための室内ファンモータ(13)と、
少なくとも前記室内ファン(12)と室内ファンモータ(13)を収納するとともに、室内空気を吸い込んで前記室内熱交換器(11)を介して室内に調整空気を送風する空気流路を構成する本体シャーシ(90)と、
各部の制御を行う制御回路を搭載するプリント基板(72)を含む回路部品を収納し、前記本体シャーシ(90)の外面側であって前記室内機(2)を設置形態に応じて用意される複数の取付位置(92,101,115)に取付可能な電装品箱(71)とを備え、 前記電装品箱(71)は、前記室内機(2)を天井裏設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシ(90)の側面側に取付可能であり、前記室内機(2)を天袋設置型又は地袋設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシ(90)の上面側又は底面側に取付可能であることを特徴とする空気調和機。

(2)引用例に記載された事項
原審における平成15年11月18日付けの拒絶理由通知書の中で引用した本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-32628号公報(以下、「引用例1」という。)及び実願平2-402637号(実開平4-95218号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ図面と共に次の記載がある。
(2-1) 引用例1について
ア.「上面および背面よりなるキャビネットと,左右両側板および底面板とより成る筺体と,この筺体を仕切板により熱交換器室および送風機室に区画形成し,それぞれ熱交換器および送風機を配設し,かつ前面に吹出口を設け,この吹出口に吹出ダクトを備え,天井裏又は壁面等に配設してなる埋込形空気調和機において,上記筺体の上面,下面および背面に設けた吸込口と,この上面吸込口および下面吸込口を空間を維持させ覆うようにして着脱可能な吸込ダクトと,上記上面吸込口,下面吸込口および背面吸込口を閉塞可能に設けたメクラ板と,上記筺体の前面及び背面に着脱可能なダクト接続用の吹出部材及び吸込部材とを,上記筺体の埋込据付状態に応じて,上面,下面及び背面の吸込口に適宜着脱可能にしたことを特徴とする埋込形空気調和機。」(特許請求の範囲第1項)

イ.「この発明は埋込形空気調和機に係り,特に据付形態の多様化に対応させる構造に関するものである。」(2頁左上欄19行〜右上欄1行)

ウ.「〔従来の技術〕・・・・・さらに,第19図に示すように天袋えの設置の場合,風路形成は,天袋22に設置された吸込グリル20を介し,本体1背面側の吸込口29より室内空気を取入れ送風機室7,熱交換器室3,吹出ダクト16を介して天袋22に設置した吹出グリル21から吹出すようにしていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の埋込形空気調和機は以上のように構成されているので、一間幅への据付は可能であるが、三尺間幅に対しては据付不可能であり、・・・等の問題点があった。・・・・
この発明の埋込形空気調和機は上記のような問題点を解消するためになされたもので、一間幅及び三尺幅への据付けを可能とし、かつ天井内への埋込据付けも可能とすると共に、正確な温度検知を可能にした据付け多様化を図った埋込形空気調和機を得ることを目的とする。」(2頁左下欄13行〜右下欄17行)

エ.「まず、第1実施例の発明について説明する。第1図はこの発明の一実施例である埋込形空気調和機の・・・,・・・,第7図は・・・側断面図であり,図において27,28,29は筺体13の上面8,下面31および背面9に設けた上面吸込口,下面吸込口および背面吸込口,30は送風機室7に配設された送風装置で,・・・ファンモータ7と,・・・上記ファンモータ7により駆動されるファン35とより構成されている。・・・46は熱交換器3に付けられ,かつ,吹出方向に向って曲げ形成されたパイプ46のパイプ固定具,47は三尺間,48は地袋,49は押入れである。」(3頁右下欄1行〜4頁左上欄14行)

オ.「次にこの第1実施例の発明の据付け動作を説明する。まず三尺間47の天袋22設置の場合の据付けは,上面8と背面9とから成るキャビネット10の上面8に設けた上面吸込口27を覆うようにして吸込ダクト36をフランジ部39を合わせ,この時,吸込ダクト36の開口は本体1前面へ向けて装着する。
次に、上記本体1の前面に吹き出しダクト16を取付け,上記本体1の下面31にはメクラ板40を、背面9にもメクラ板40を装着し,本体1の準備を完了する。
その後、天袋22正面を開口させ,・・・,開口より空気調和機本体1を挿入し,天袋22内の天井材18の直下置きし,吹出及び吸込み兼用のグリル20を装着し据付を完了させる。
次に,三尺間47の地袋設置の場合には,上記空気調和機本体1の下面31を覆うようにして吸込ダクト36を取り付け,上記吹出ダクト36を上記天袋22設置とは天地逆にして,上記本体1の前面側に装着し、上面吸込み口27には上記メクラ板40を取付け,本体1の背面側には背面メクラ板40aを取付け,本体1囲りの準備を完了し、地袋48正面を開口させ,・・・,いずれかの開口より空気調和機本体1を挿入して地袋48床面に直下置きし,地袋48正面より,上記グリル26を装着し,据付を完了する。
次に、天井埋込設置の場合は,上記吸込ダクト36及び吹出ダクト21を取り外し,上記本体1の前面にダクト26接続用フランジ45を有する吹出部材41を、背面には吸込部材42をそれぞれ装着する。
そして,上面吸込口27及び下面吸込口28には,それぞれメクラ板40を装着し,さらに筺体13の周囲に複数のアンカーボルト25を介して天井内23に設置するとともに,上記吹出部材41及び吸込部材42のフランジ45にダクト26を接続して据付を完了する。」(4頁左上欄15行〜左下欄15行)

(2-2) 引用例2について
空気調和機の天井裏設置型室内機のケーシング1の側面板の外面側に電気品箱61を取付けて容易に点検できるようにしたこと(【請求項1】〜【請求項3】、段落【0017】、【0041】及び図4参照)。

(3) 引用例1の発明
ところで、前記の記載事項ア、エ、オ及び第1〜7図から、以下の事項が認められる。

カ.記載事項ア、オ及び第1、4、5、7図から、埋込形空気調和機は天井裏設置型、天袋設置型及び地袋設置型の設置形態を選択可能な室内機であること。

キ.記載事項エ、第1、4、5、7図及び技術常識から、埋込形空気調和機に備えられた熱交換器3は室外機内に設置される圧縮機、室外熱交換器などと接続されて冷媒回路を構成する室内熱交換器であり、同じくファン35は熱交換器3内部を通過する冷媒との間で熱交換する空気流を生成する室内ファンであり、同じく本体1ないし筺体13は少なくとも前記ファン35とファンモータ7を収納するとともに、室内空気を吸い込んで前記熱交換器3を介して室内に調整空気を送風する空気流路を構成すること。

以上の事項を総合すると引用例1には次の発明クが記載されていると認められる。
「天井裏設置型、天袋設置型、及び地袋設置型の設置形態を選択可能な埋込形空気調和機を備える空気調和機であって、
前記埋込形空気調和機は、
室外機内に設置される圧縮機、室外熱交換器などと接続されて冷媒回路を構成する熱交換器3と、
前記熱交換器3内部を通過する冷媒との間で熱交換する空気流を生成するファン35と、
前記ファン35を駆動するためのファンモータ7と、
少なくとも前記ファン35とファンモータ7を収納するとともに、室内空気を吸い込んで前記熱交換器3を介して室内に調整空気を送風する空気流路を構成する本体1ないし筺体13と、を備えた空気調和機。」(以下「引用例1の発明」という。)

(4) 対比・一致点・相違点
本願補正発明と引用例1の発明を対比すると、引用例1の発明の「埋込形空気調和機」、「熱交換器3」、「ファン35」、「ファンモータ7」及び「本体1ないし筺体13」は、それぞれ本願補正発明の「室内機(2)」、「室内熱交換器(11)」、「室内ファン(12)」、「室内ファンモータ(13)」及び「本体シャーシ(90)」に相当するから、両発明は、下記の一致点で一致し、相違点で相違する。
〈一致点〉
「天井裏設置型、天袋設置型、及び地袋設置型の設置形態を選択可能な室内機を備える空気調和機であって、
前記室内機は、
室外機内に設置される圧縮機、室外熱交換器などと接続されて冷媒回路を構成する室内熱交換器と、
前記室内熱交換器内部を通過する冷媒との間で熱交換する空気流を生成する室内ファンと、
前記室内ファンを駆動するための室内ファンモータと、
少なくとも前記室内ファンと室内ファンモータを収納するとともに、室内空気を吸い込んで前記室内熱交換器を介して室内に調整空気を送風する空気流路を構成する本体シャーシと、を備えた空気調和機。」
〈相違点〉
本願補正発明は、前記室内機が「各部の制御を行う制御回路を搭載するプリント基板を含む回路部品を収納し、前記本体シャーシの外面側であって前記室内機を設置形態に応じて用意される複数の取付位置に取付可能な電装品箱を備え、前記電装品箱は、前記室内機を天井裏設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシの側面側に取付可能であり、前記室内機を天袋設置型又は地袋設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシの上面側又は底面側に取付可能である」ものであるのに対し、引用例1の発明はかかる構成を具備しない点。

(5)相違点の検討
上記の相違点について検討すると、先ず、本願補正発明は、ビルトインタイプの空気調和機では、設置形態により室内機の形状や大きさに制約があり、特に、天袋設置型や地袋設置型の場合、横幅、高さ、奥行きのいずれに対しても住宅設備の規格に基づいて制限を受けることを問題点とし、各種設置形態の室内機における部品の共通化を図り、形状・寸法を各設置条件に対応させることを可能とすることを目的とするのに対して(本願明細書段落0006、0009参照)、引用例1の発明は、従来の埋込形空気調和機は一間幅への据付は可能であるが、三尺間幅に対しては据付不可能であったことを問題点として、一間幅及び三尺幅への据付けを可能とすることを目的とするものであって(記載事項ウ参照)、両発明は設置寸法の制限という面で課題に共通性があるところ、空気調和機において、各部の制御を行う制御回路を搭載するプリント基板を含む回路部品を収納した電装品箱を設けることは引例を挙げるまでもなく周知であり、かつ、空気調和機の埋込型の室内機において本体の外面側に電装品箱の取付け位置を設定して点検等の作業性を向上させることも周知(例えば、特開平1-230936号公報、実願平2-402637号(実開平4-95218号)のマイクロフィルム(引用例2)、特開平5-288359号公報、特開平8-128670号公報参照)であり、更に引用例2には空気調和機の天井裏設置型の室内機のケーシング1の側面板の外面側に電気品箱61を取付けて容易に点検できるようにしたことが記載されている。
そうすると、引用例1の発明において上記の周知技術や引用例2に係る天井裏設置型における電気品箱の取付を適用し、幅寸法制限のある天袋設置型又は地袋設置型の設置形態で設置する場合に前記本体1ないし筺体13の上面側又は底面側に取付可能として、相違点に係る本願補正発明の構成を採ることは、当業者が設計上容易になし得たことというべきである。
そして、本願補正発明の効果は、引用例1及び2の各発明並びに周知技術から予測し得た程度のものであって、格別なものとは認められない。

(6) むすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例1及び2の発明並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、本願発明の出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3. 本願発明について

(1) 本願の請求項1ないし9に係る発明
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成16年1月26日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、それぞれ特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載されたとおりの次のものである。
【請求項1】
複数の設置形態を選択可能な室内機(2)を備える空気調和機であって、
前記室内機(2)は、
室外機内に設置される圧縮機(21)、室外熱交換器(24)などと接続されて冷媒回路を構成する室内熱交換器(11)と、
前記室内熱交換器(11)内部を通過する冷媒との間で熱交換する空気流を生成する室内ファン(12)と、
前記室内ファン(12)を駆動するための室内ファンモータ(13)と、
少なくとも前記室内ファン(12)と室内ファンモータ(13)を収納するとともに、室内空気を吸い込んで前記室内熱交換器(11)を介して室内に調整空気を送風する空気流路を構成する本体シャーシ(90)と、
各部の制御を行う制御回路を搭載するプリント基板(72)を含む回路部品を収納し、前記本体シャーシ(90)の外面側であって前記室内機(2)を設置形態に応じて用意される複数の取付位置(92,101,115)に取付可能な電装品箱(71)とを備え、 前記電装品箱(71)は、前記室内機(2)を天袋設置型又は地袋設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシ(90)の上面側又は底面側に取付可能であることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記本体シャーシ(90)は、底面に設けられる第1吸込用開口(91)と、前面に設けられる吹出用開口(57)と、側面に設けられる第1電装品箱取付部(92)とを備えている、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記本体シャーシ(90)の前面下部から前記第1吸込用開口(91)に向けて空気流路を構成する下部吸込チャンバー(62)が前記本体シャーシ(90)の底面に取付可能であり、前記下部吸込チャンバー(62)とともに前記電装品箱(71)を前記本体シャーシ(90)の底面に取り付けることが可能な第2電装品箱取付部(101)を備え、
前記第2電装品箱取付部(101)は、前記下部吸込チャンバー(62)の中空部に形成されている、
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記本体シャーシ(90)の上面に第2吸込用開口(113)が設けられ、前記本体シャーシ(90)の前面上部から前記第2吸込用開口(113)に向けて空気流路を構成する上部吸込チャンバー(111)が、前記本体シャーシ(90)の上面に取付可能であり、前記上部吸込チャンバー(111)とともに前記電装品箱(71)を前記本体シャーシ(90)の上面に取り付けることが可能な第3電装品箱取付部(115)を備え、
前記第3電装品箱取付部(115)は、前記上部吸込チャンバー(111)の中空部に形成されている、
請求項2または3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記本体シャーシ(90)の背面に第3吸込用開口(114)がさらに設けられ、前記上部吸込チャンバー(111)は、前記本体シャーシ(90)の前面上部から前記第2吸込用開口(113)および第3吸込用開口(114)に向けて空気流路を構成するように、前記本体シャーシ(90)の上面から背面にかけて取付可能となっている、請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第3吸込用開口(114)は、前記本体シャーシ(90)の背面の一部を切り取ることにより構成される、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記上部吸込チャンバー(111)を使用しない場合に前記第2吸込用開口(113)を閉塞するための天カバー(40)と、前記上部吸込チャンバー(111)を使用する場合に前記第1吸込用開口(91)を閉塞するための底カバー(40,118)が用意されている、請求項4〜6のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項8】
前記天カバー(40)と底カバー(40)は同一部材を共用することを特徴とする、請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記電装品箱(71)内に収納される回路部品と前記本体シャーシ(90)内の各部とを電気的に接続するためのコネクタ(95,104,117)が、前記電装品箱(71)の各取付位置(92,101,115)に対応して前記本体シャーシ(90)の複数個所に設けられている、請求項1〜8のいずれかに記載の空気調和機。」

(2) 本願の請求項1に係る発明の容易想到性について
本願の請求項1に係る発明は、本願補正発明の「天井裏設置型、天袋設置型、及び地袋設置型の設置形態」を「複数の設置形態」と、同じく「前記電装品箱(71)は、前記室内機(2)を天井裏設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシ(90)の側面側に取付可能であり、前記室内機(2)を天袋設置型又は地袋設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシ(90)の上面側又は底面側に取付可能であること」を「前記電装品箱(71)は、前記室内機(2)を天袋設置型又は地袋設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシ(90)の上面側又は底面側に取付可能であること」とした以外は、同一のものである。
そうすると、本願の請求項1に係る発明を限定して減縮した本願補正発明について、前記のとおり、その容易想到性が肯定される以上、本願の請求項1に係る発明は、本願補正発明についてと同じ引用例の発明に基づいて同様の理由により、その容易想到性が肯定されるというべきである。
なお、引用例1(特開平4-32628号公報)は、平成15年11月18日付けの拒絶理由通知書中では引用文献4として挙げられているが出願時の請求項1に対しては引用されていない。しかし、その請求項1を引用した請求項3、4について引用されており、平成16年1月26日の手続補正書により補正された請求項1は、出願時の請求項1の構成に「前記電装品箱(71)は、前記室内機(2)を天袋設置型又は地袋設置型の設置形態で設置する場合に前記本体シャーシ(90)の上面側又は底面側に取付可能であること」を追加したものであるが、かかる構成は、出願時の請求項3に記載された構成の一部を加入したものであり、この補正後の請求項1を対象として拒絶理由通知書中の引用文献4(当審の引用例1)を含む文献から拒絶査定されたものと認められる。この経緯に照らせば、平成16年1月26日の手続補正書により補正された請求項1に対して引用例1は実質的に通知されていたと認められる。

(3) まとめ
したがって、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本願の請求項2〜9に係る発明を判断するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-25 
結審通知日 2005-08-30 
審決日 2005-09-12 
出願番号 特願2000-353295(P2000-353295)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F24F)
P 1 8・ 575- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丸山 英行  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 会田 博行
原 慧
発明の名称 空気調和機  
代理人 小野 由己男  
代理人 加藤 秀忠  

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