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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1125503
審判番号 不服2004-16506  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-06-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-06 
確定日 2005-10-28 
事件の表示 特願2000-343185「パチンコ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月19日出願公開、特開2001-161974〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は平成9年4月9日に出願した特願平9-108200号の一部を平成12年11月10日に新たな特許出願としたものであって、平成16年6月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年8月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
そして、本願の請求項1に係る発明は、平成16年4月9日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】表示装置と、
前記表示装置の後方に配置され、表示装置を制御する制御装置と、
前記表示装置及び制御装置を収容する表示ユニットカバーを有する表示ユニットを備えたパチンコ遊技機であって、
前記表示ユニットカバーは、
前記表示装置の表示部に対応して透明アクリル板による窓部が形成されるとともに、窓部以外の部分が有色材料から形成された正面カバーと、
前記表示装置及び制御装置の側面及び背面を覆うとともに、透明素材から形成された背面カバーとから構成され、
前記正面カバーと背面カバーとは、前記表示装置及び制御装置を収容するとともに一体化されて前記表示ユニットを構成することを特徴とするパチンコ遊技機。」(以下、「本願発明」という。)


【2】刊行物とそれに記載の事項
原審における平成16年1月16日付けの拒絶理由通知書で引用し、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平8-266711号公報(以下、「刊行物」という。)には、弾球遊技機に関して、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1)「一方、図2を参照して弾球遊技機1の裏面構造について簡単に説明すると、周知のように、弾球遊技機1の裏面には、・・・機構板15が開閉自在に設けられるが、その機構板15のほぼ中央には、貫通窓16が形成され、その貫通窓16に遊技盤6に設けられる可変表示装置7(画像表示装置)の後方突出部が貫通するようになっている。・・・」(段落【0010】)
(2)「なお、図2に示す貫通窓16を貫通する可変表示装置7の後方突出部は、後述する透明カバー47が描かれているが、実際には、これらを保護する入賞装置カバー23(図5参照)が入賞玉集合カバー体22に着脱自在に取り付けられている。この場合においては、入賞装置カバー23も透明な合成樹脂によって形成されることが望ましい。何故なら、透明カバー47によって覆われる画像情報作成回路基板46に不正行為が行われているか否かが可変表示装置7を遊技盤6に取り付けたままの状態でしかも前面枠3を外枠2に対して開放した状態で極めて容易に発見できるからである。・・・」(段落【0011】)
(3)「弾球遊技機1の概略構成は、上記した通りであるが、次に本実施例の要部を構成する可変表示装置7として使用される画像表示装置について説明する。・・・図3は、画像表示装置30・・・の表示器31・・・を駆動する回路の概略ブロック図である。図において、画像表示装置30・・・の表示器31・・・は、前記遊技制御回路基板ボックス18に収納される遊技制御回路基板123(主基板と表示)からの指令に基づいて画像情報作成回路基板46・・・(画像情報作成回路部と表示)から画像信号が導出され、その導出された画像信号を受けた画像表示制御回路35・・・(ドライブ回路ともいう)が表示器31・・・に所定の画像を表示するものである。したがって、表示器31・・・に表示される画像は、一に画像情報作成回路基板46・・・に依存するものである。・・・つまり、画像表示装置30・・・を備えた弾球遊技機1においては、画像情報作成回路基板46・・・を交換することにより、適正に検査を受けた画像と異なる画像でほぼ同一内容の遊技を行うことができることとなり、不正行為を簡単に行うことができる。・・・このような不正行為を防止するために、本実施例における画像表示装置30・・・では、画像情報作成回路基板46・・・を収納する収納カバーの一部又は全部を透明な合成樹脂で形成することにより、内部を透視できるようにした。・・・」(段落【0013】)
(4)「まず、図4乃至図9を参照して液晶画像表示装置30の構成について説明する。図4は、液晶画像表示装置30の斜視図であり、図5は、液晶画像表示装置30を遊技盤6に取り付けた状態での縦断面図であり、図6は、液晶画像表示装置30に付設される画像情報作成回路基板46とそれを覆う透明カバー47との関係を示す分解斜視図であり、図7は、液晶画像表示装置30のバックライト33交換の様子を示す背面からの斜視図であり、図8は、液晶画像表示装置30の分解斜視図であり、図9は、画像情報作成回路基板46の正面概略図である。」(段落【0014】)
(5)「図8において、液晶画像表示装置30は、画像を表示する液晶パネルユニット31と、該液晶パネルユニット31がその前面に取り付けられ且つ液晶パネルユニット31の裏面から光を照射するバックライト33を収納する表示枠32と、該表示枠32の裏面に取り付けられ且つ画像表示制御回路基板35(ドライバ回路)を収納するカバーケース40と、該カバーケース40の裏面に取り付けられる画像情報作成回路基板46と、該画像情報作成回路基板46を被覆する透明カバー47と、から構成されている。」(段落【0015】)
(6)「表示枠32の裏面に突設される取付ボス39には、画像表示制御回路基板35が取り付けられるが、その画像表示制御回路基板35には、その前面側に多数の電子部品が実装されていると共に、前記バックライト33からの配線を接続するコネクタ38と、液晶パネルユニット31のTAB配線を接続するコネクタ37とが実装され、その裏面には、画像情報作成回路基板46のコネクタ60と接続されるコネクタ36が実装されている。」(段落【0017】)
(7)「上記した画像表示制御回路基板35を被覆するカバーケース40には、その裏面に画像情報作成回路基板46を止着するための取付ボス41が四隅に突設されると共に、前記コネクタ36,60同士の接続を行うための接続穴42、画像表示制御回路基板35に設けられる輝度調節摘み(図示しない)をドライバー等の工具を挿入して回転させる調節穴7、及び画像情報作成回路基板46を被覆する透明カバー47を係止するための係合穴44がそれぞれ適宜箇所に形成されている。」(段落【0018】)
(8)「カバーケース40の取付ボス41に取り付けられる画像情報作成回路基板46には、図9に示すように、VDP52、CPU53、キャラクタROM54、パレットRAM55、ワークRAM56、発信回路57、VRAM58の各電子部品と前記画像表示制御回路基板35のコネクタ36と接続するためのコネクタ60(CN2)と、前記遊技制御回路基板ボックス18に収納される遊技制御回路基板123のコネクタ133に接続される配線62の先端に取り付けられるコネクタ61と接続されるコネクタ59(CN1)とが実装されている。そして、図示の実施例では、コネクタ60を除く電子部品及びコネクタ59は、次に説明する透明カバー47に対面する側に実装されている。これは、透明カバー47を介して画像情報作成回路基板46上に不正な部品が実装されているか否かを極めて容易に見極めるためである。」(段落【0019】)
(9)「カバーケース40の裏面に着脱自在に装着される透明カバー47は、透明な合成樹脂によって成形されるものであり、その上下前端縁には、カバーケース40の係合穴44に着脱し得る係止爪48が突設されると共に、その上部中央には、ビス止め穴49が形成され、後面一側に前記配線62のコネクタ61を差し込んでコネクタ59と接続するための接続開口50が形成されている。ビス止め穴49は、図7に示すように、カバーケース40の裏面上中央に穿設された止め穴49aに対応し、係止爪48を係合穴44に係合した後に、ビス止め穴49と止め穴49aとを合致させてビス止めすることにより、透明カバー47をカバーケース40に止着するものである。・・・」(段落【0020】)
(10)そして、図5〜8の記載によれば、液晶パネルユニット31及びバックライト33等の後方に画像表示制御回路基板35及び画像情報作成回路基板46が配置されていること、カバーケース40がバックライト33等が位置する表示枠32の背部及び該表示枠32に取り付けた画像表示制御回路基板35の側面及び背面を覆っていること、透明カバー47がカバーケース40に取り付けた画像情報作成回路基板46の側面及び背面を覆っていること、表示枠32とカバーケース40及び透明カバー47が液晶パネルユニット31及びバックライト33等並びに画像表示制御回路基板35及び画像情報作成回路基板46を収容した状態で一体化されて液晶画像表示装置30を構成していることは、何れも、自明の事項である。
これら(1)〜(10)の記載等を含む刊行物全体の記載及び当業者の技術常識によれば、刊行物には以下の発明が記載されているものと認められる。
「液晶パネルユニット31及びその裏面から光を照射するバックライト33等と、
前記液晶パネルユニット31及びバックライト33等の後方に配置され、遊技制御回路基板123からの指令に基づいて画像信号を導出させる画像情報作成回路基板46及び前記画像信号を受けてバックライト33から光を照射させて液晶パネルユニット31に所定の画像を表示させる画像表示制御回路基板35と、
前記液晶パネルユニット31及びバックライト33等並びに画像表示制御回路基板35及び画像情報作成回路基板46を収容する表示枠32、カバーケース40及び透明カバー47を有する液晶画像表示装置30を備えた弾球遊技機1であって、
前記表示枠32、カバーケース40及び透明カバー47は、
前記液晶パネルユニット31をその前面に取り付けるとともにバックライト33等を収納する表示枠32と、
前記表示枠32のバックライト33等が位置する部分である背部及び該表示枠32に取り付けた画像表示制御回路基板35の側面及び背面を覆うカバーケース40と、
前記カバーケース40に取り付けた画像情報作成回路基板46の側面及び背面を覆うとともに、透明な合成樹脂から形成された透明カバー47とから構成され、
前記表示枠32とカバーケース40及び透明カバー47とは、前記液晶パネルユニット31及びバックライト33等並びに画像表示制御回路基板35及び画像情報作成回路基板46を収容するとともに一体化されて前記液晶画像表示装置30を構成する弾球遊技機1。」(以下、「刊行物記載の発明」という。)


【3】本願発明と刊行物記載の発明との対比・検討
(1)本願発明と刊行物記載の発明との対比
本願発明と刊行物記載の発明とを対比すると、刊行物記載の発明の「液晶パネルユニット31及びその裏面から光を照射するバックライト33等」,「遊技制御回路基板123からの指令に基づいて画像信号を導出させる画像情報作成回路基板46及び該画像信号を受けてバックライト33から光を照射させて液晶パネルユニット31に所定の画像を表示させる画像表示制御回路基板35」,「液晶パネルユニット31及びバックライト33等並びに画像表示制御回路基板35及び画像情報作成回路基板46を収容する表示枠32、カバーケース40及び透明カバー47」,「液晶画像表示装置30」,「弾球遊技機1」,「液晶パネルユニット31の表面」が、本願発明の「表示装置」,「表示装置を制御する制御装置」,「表示装置及び制御装置を収容する表示ユニットカバー」,「表示ユニット」,「パチンコ遊技機」,「表示装置の表示部」にそれぞれ相当し、
また、刊行物記載の発明の「液晶パネルユニット31をその前面に取り付けるとともにバックライト33等を収納する表示枠32」については、表示枠32は液晶パネルユニット31の表面に対応する部分が開口して窓部が形成されているものということができるから、本願発明の「表示装置の表示部に対応して」「窓部が形成される」「正面カバー」に相当し、
そして、刊行物記載の発明の「カバーケース40及び透明カバー47」と本願発明の「背面カバー」とについては、刊行物記載の発明の「カバーケース40」が「表示枠32のバックライト33等が位置する部分である背部及び該表示枠32に取り付けた画像表示制御回路基板35の側面及び背面を覆う」ものであり、同じく、「透明カバー47」が「カバーケース40に取り付けた画像情報作成回路基板46の側面及び背面を覆うとともに、透明な合成樹脂から形成された」ものであるところ、本願発明の「背面カバー」が「表示装置及び制御装置の側面及び背面を覆うとともに、透明素材から形成された」ものであるから、何れも、制御装置(画像表示制御回路基板35及び画像情報作成回路基板46)の側面及び背面を覆うカバーである点で技術的に共通するから、
両者は、「表示装置と、
前記表示装置の後方に配置され、表示装置を制御する制御装置と、
前記表示装置及び制御装置を収容する表示ユニットカバーを有する表示ユニットを備えたパチンコ遊技機であって、
前記表示ユニットカバーは、
前記表示装置の表示部に対応して窓部が形成された正面カバーと、
前記制御装置の側面及び背面を覆うカバーとから構成され、
前記正面カバーとカバーとは、前記表示装置及び制御装置を収容するとともに一体化されて前記表示ユニットを構成するパチンコ遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
制御装置の側面及び背面を覆うカバーに関して、本願発明が、「表示装置及び制御装置の側面及び背面を覆うとともに、透明素材から形成された」ものであるのに対して、刊行物記載の発明では、特に透明であるとの限定がない「カバーケース40」と透明な合成樹脂(透明素材)から形成された「透明カバー47」とからなるものであり、しかも、該「カバーケース40」がバックライト33等が位置する表示枠32の背部の側面及び背面を覆っているものの、液晶パネルユニット31及びバックライト33等(表示装置)の側面及び背面を覆っているとはいえない点。
<相違点2>
正面カバーに関して、本願発明が、表示装置の表示部に対応して形成された窓部が「透明アクリル板」により形成されるとともに、「窓部以外の部分が有色材料から形成され」ているのに対して、刊行物記載の発明では、そのようにしたのか否か定かでない点。

(2)各相違点についての検討
<相違点1について>
背面カバーにより表示装置及び制御装置の側面及び背面を覆うようにすることは、例えば、特開平6-121872号公報に、段落【0034】,【0037】〜【0039】等の記載及び図3,5〜8等の記載を参照すると、前ケース52と後ケース62(本願発明の背面カバーに相当或いは対応する。以下同様。)とからなるユニットケース51内に映像表示器44(表示装置)及び映像制御装置50(制御装置)を組み込んだ、即ち、映像表示器44及び映像制御装置50の側面及び背面を後ケース62により覆うようにした遊技機が記載され、特開平8-323016号公報に、段落【0028】,【0029】等の記載及び図6等の記載を参照すると、前ケース60と後ケース61(背面カバー)とからなる表示部ケース59内に画像表示部55(表示装置)及び駆動基板55a(制御装置)を組み込んだ、即ち、画像表示部55及び駆動基板55aの側面及び背面を後ケース61により覆うようにした弾球遊技機が記載されているように、遊技機の技術分野において従来から周知であり、また、背面カバーを透明素材から形成することも、例えば、特開平4-325174号公報に、段落【0013】,【0029】,【0036】等の記載及び図3〜5等の記載を参照すると、回路基板30を収容する回路ボックス31の上ケース44(背面カバー)と下ケースとを透明な合成樹脂で形成して回路ボックス31内部を透視可能とし、これにより、回路基板30に加えられる不正な改変を容易に発見できるようにしたパチンコ機が記載され、特開平6-170053号公報に、段落【0013】,【0019】,【0020】,【0033】,【0034】,【0056】,【0058】,【0062】等の記載及び図1,2等の記載を参照すると、各ユニット10,20,30の各ユニットベース11,21,31と上下カバー体54,55(背面カバー)とを透明合成樹脂材で形成して、各ユニット10,20,30の故障、改変、異常等を外部から透視してこれに対処できるようにしたパチンコ機が記載されているように、遊技機の技術分野において従来から周知であり、そして、何よりも、原審における平成16年1月16日付けの拒絶理由通知書で引用した刊行物である特開平6-23114号公報に、段落【0018】,【0019】,【0021】等の記載及び図5〜8等の記載を参照すると、可変表示装置などの電気的遊技機器45(表示装置)及び制御回路41(制御装置)の側面及び背面を覆うカバー体12(背面カバー)を透明なプラスチック(透明素材)で成形して、カバー体12を閉じた状態で内部機器の状態を監視できるようにしたパチンコ機が記載されていることから、本願発明の上記相違点1に係る事項は、部分的にも全体的にも既によく知られたものということができる。
而して、刊行物記載の発明に上記のような周知技術を適用して、本願発明の上記相違点1に係る事項を想到することに格別の技術的困難性を認めることができず、しかも、このような周知技術を刊行物記載の発明に適用するに際しては、何れの技術も遊技機に関するものである以上、何らの阻害要因もないというべきであるから、本願発明の上記相違点1に係る事項は刊行物記載の発明及び周知技術から当業者が容易に想到しえたものといわざるをえない。
<相違点2について>
表示装置の表示部に対応して形成された正面カバーの窓部に透明合成樹脂板を配置することは、例えば、上記特開平6-121872号公報に、段落【0035】,【0049】,【0181】等の記載及び図5〜7等の記載を参照すると、映像表示器44(表示装置)の映像表示パネル46(表示部)に対応して形成された前ケース52(正面カバー)の窓部に樹脂製クリアプレート53を設けて、搬送時や組付時における映像表示パネル46の破損を防止するようにした遊技機が記載され、特開平6-296739号公報に、段落【0015】,【0016】等の記載及び図4等の記載を参照すると、液晶表示パネル16(表示装置)の表示部に対応して形成されたアルミニューム製のラミネート薄板64(正面カバー)の窓部に透明プラスチック製の保護カバー66を設けて、パチンコ玉の衝突による衝撃から液晶表示パネル16を保護するようにした遊技装置が記載されているように、遊技機の技術分野において従来から周知であり、また、窓部に透明アクリル板を配置することも、例えば、特開平6-296745号公報に、段落【0006】,【0007】等の記載及び図1等の記載を参照すると、枠体6内(窓部)にアクリル板等の透明板5(透明アクリル板)を嵌め込んだ遊技機が記載され、特開平8-289960号公報に、段落【0013】,【0025】等の記載及び図2,4,6等の記載を参照すると、ケース1の開口1a(窓部)にアクリル樹脂の成形品であるレンズ板17(透明アクリル板)を設けたパチンコ遊技機が記載され、特開平7-185074号公報に、段落【0021】〜【0025】,【0033】,【0034】等の記載及び図1,2の記載を参照すると、遊技機の枠1における可変表示部2に対応する窓部に透光性のプラスチック板やアクリル板等からなる遊技基盤3(透明アクリル板)を設けた遊技機が記載されているように、遊技機の技術分野において従来から周知であるから、本願発明の上記相違点2に係る事項のうちの、表示装置の表示部に対応して形成された窓部が「透明アクリル板」により形成されるとの事項は既によく知られたものということができる。
ところで、本願発明の「窓部以外の部分が有色材料から形成され」との事項については、「有色」が、“有色不透明”の意味で用いられているのか否か定かでないが、何れにしても、透明に構成した窓部以外の額縁類似の構造部分を「有色」材料により形成することは、当業者が必要に応じて随時採用する程度の設計的事項にすぎないものと認められ、仮に、そうでないとしても、上記特開平6-296739号公報に記載の遊技装置は、窓部を有するラミネート薄板64(正面カバー)の材料がアルミニューム製であって有色のものであり、また、このようなものは、これ以外にも、特開平7-289714号公報に、段落【0037】等の記載及び図15等の記載を参照すると、液晶等の表示部91がその開口部87(窓部)に装着されるベース89等(窓部以外の部分)を着色合成樹脂材料により形成した遊技機が記載され、特開昭50-141440号公報に、特許請求の範囲,1頁右欄5〜11行,2頁左上欄1〜5行等の記載及び第1,2図の記載を参照すると、ガラス(4)(窓部)を装着する木枠(2)及び金枠(3)(窓部以外の部分)を着色したパチンコ機が記載されているように、遊技機の技術分野において従来から周知であるから、本願発明の上記相違点2に係る事項のうちの、「窓部以外の部分が有色材料から形成され」との事項も既によく知られたものということができる。
而して、刊行物記載の発明に上記のような周知技術を適用するとともに刊行物記載の発明における正面カバー(表示枠32)の材料を適宜限定して、本願発明の上記相違点2に係る事項を想到することに格別の技術的困難性を認めることができず、しかも、このような周知技術を刊行物記載の発明に適用するに際しては、何れの技術も遊技機に関するものである以上、何らの阻害要因もないというべきであるから、本願発明の上記相違点2に係る事項は刊行物記載の発明及び周知技術から当業者が容易に想到しえたものといわざるをえない。

(3)作用効果・判断
そして、本願発明によって奏する効果も、刊行物記載の発明及び周知技術から普通に予測できる範囲内のものであって、格別なものがあるとは認められないから、本願発明は、刊行物記載の発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものといわざるをえない。


【4】むすび
以上のように、本願発明は、刊行物記載の発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明できたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2005-07-20 
結審通知日 2005-08-09 
審決日 2005-08-23 
出願番号 特願2000-343185(P2000-343185)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 辻野 安人
渡戸 正義
発明の名称 パチンコ遊技機  
代理人 山中 郁生  
代理人 岡戸 昭佳  
代理人 富澤 孝  

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