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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1125664 |
審判番号 | 不服2003-1943 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-02-06 |
確定日 | 2005-11-02 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第220406号「情報処理方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月26日出願公開、特開平 8- 83158〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明の要旨 本願は、平成6年9月14日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年8月12日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「ユーザによる表示上の指示位置が第1の領域内にあるか第2の領域内にあるかを検出する検出手段と、 音声情報を取り込む取り込み手段と、 前記取り込み手段で音声情報を取り込んだ際に、前記指示位置が第1の領域内にある場合は前記取り込み手段で取り込んだ音声情報を送信し、前記指示位置が第2の領域内にある場合は前記取り込み手段で取り込んだ音声情報を音声認識してコマンドコードに変換する処理手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。」 2.引用例 これに対して、当審における拒絶の理由で引用された、特開昭61-245784号公報(以下、「引用例」という。)には、第1〜3図とともに以下のような記載がある。 (イ)「【産業上の利用分野】 本発明はボタン電話装置に関し、特に、音声認識機能を備え、電話機から音声によるコマンドが行えるボタン電話装置に関する。」(第1頁右欄第14行〜第17行) (ロ)「内線電話1iは、発信、応答ボタン以外は備えず、他の機能ボタンの代わりにコマンドボタン4を備え発信または応答ボタンの押下により局線を捕捉した後は、コマンドボタンによって音声によりその後の通話路切換、保留等の動作を指示するようになっている。すなわち、 内線電話機11,〜,1nは通話と音声によるコマンドとの切換を指示するコマンドボタン4と、コマンドボタン4を押すことによりコマンド信号を通話線100を介して主装置2へ送信するコマンド信号発生部5と、送受器6とを含み、コマンド信号の送出により主装置2に対し送信する音声信号が通話音声か音声コマンドかを区別するようにしている。 主装置2は内線電話機11,〜,1nの通話線100からコマンド信号を常時検出しているコマンド信号検出部7と、内線電話機からの音声コマンド信号を認識する音声コマンド認識部8と、内線電話機同志または外線3との通話路を接続し、音声コマンド認識部8で認識された内容に応じ保留や接続切換を行う機能制御部9と、コマンド信号検出部7からの検出信号により機能制御部9または音声コマンド認識部8のどちらかに音声信号を接続させる音声信号接続部10とを含む。」(第2頁左下欄第9行〜右下欄第12行) (ハ)「内線電話機1で通話中、音声は通話信号11として通話線100、主装置2の音声信号接続部10を介して機能制御部9へ送信される。次に通話中にコマンドボタン4を押すことによりコマンド信号12がコマンド信号検出部7で検出される。コマンド信号12は、音声信号と区別できるものならば単一トーン信号でも何れでも良い。コマンド信号検出部7はコマンド信号12を検出後、音声信号接続部10に、接続切換え要求を出し、以降の音声信号は、音声コマンド信号13として音声コマンド認識部8へ印加され認識される。認識された内容に応じ機能制御部9は保留あるいは通話路切換えなどを行う。再度コマンドボタンを押すと、コマンド信号検出部7の接続切換え要求によって音声信号接続部10は接続を切換え、以降の音声信号は通話信号11として機能制御部9へ送信される。 以上の様に、内線電話機のコマンドボタンを押すことにより、通話と音声コマンドを切換えることができるのである。 以上、本実施例では、局線の発信、応答は従来のボタン操作によって、またそれ以外の機能制御は音声コマンドによって指示していたが、発信、応答も含めてあらゆる動作を音声コマンドによって指示するようにしてもよい。 【発明の効果】 以上説明したように本発明は、音声認識部を主装置側に配置するボタン電話装置において、内線電話機にコマンドボタン、コマンド信号送信部を設け、主装置に、コマンド信号検出部、音声信号接続部を設けることにより、内線電話機のコマンドボタンを押すだけで、通話中でも音声によるコマンドを指示できる。従って単純な操作で、通話と音声によるコマンドとの切換えができることと、内線電話機の構成が複雑化しないこととの効果がある。」(第2頁右下欄第15行〜第3頁右上欄第10行) そうすると、上記引用例には、 「通話と音声によるコマンドとの切換えを指示するコマンドボタン4と、 ユーザによる前記コマンドボタン4の操作により発生するコマンド信号12を検出するコマンド信号検出部7と、 通話と指示用の音声を音声信号として通話線100に流す送受器6と、 前記コマンドボタン4の操作により発生するコマンド信号12を検出した場合、前記送受器6から出力される音声信号を、通話信号11として送信するか、音声コマンド信号13として音声コマンド認識部8で音声認識するかを切換選択する音声信号接続部10とを備えるボタン電話装置。」の発明(以下、[引用例記載の発明]という。)が記載されていると認められる。 3.対 比 本願発明と上記引用例記載の発明とを対比する。 本願発明の「音声情報を取り込む取り込み手段」は、音声情報をどのように取り込むものであるのか明確ではない。 そこで、本願明細書を参照すると「入力される情報は音声とし、情報入力装置300は音声を取り込むためのマイクロフォンと、取り込んだ音声信号をCPU400で処理可能な形態とするために音声信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を備える。」(段落【0018】)、「音声が入力されると、図2のステップS100において、情報入力装置300を介して情報の取り込みが行われる。ステップS100で音声が取り込まれると処理の選択を行うステップS200に移る。」(段落【0022】)及び「音声が入力されると、ステップS100において情報入力装置300を用いて入力音声を計算機で扱える形態で取り込む。そして、ステップS200に進み、処理方法の選択が行われる。」(段落【0031】)の記載から「音声情報を取り込む取り込み手段」はマイクロフォン等を備えた情報入力装置と判断される。 そうすると、引用例記載の発明の「送受器6」は、通話と指示用の音声を音声信号として通話線100に流すものであるから、本願発明の「音声情報を取り込む取り込み手段」に相当するものである。 また、引用例記載の発明の「音声信号」は、本願発明の「音声情報」に相当するものであり、引用例記載の発明の「検出部7」は、本願発明の「検出手段」に対応し、引用例記載の発明の「音声信号接続部10」と「音声コマンド認識部8」は、本願発明の「処理手段」に対応するものである。 したがって、両者は、 「ユーザによる指示を検出する検出手段と、 音声情報を取り込む取り込み手段と、 前記指示を検出することにより、前記取り込み手段で取り込んだ音声情報を送信するか、前記取り込み手段で取り込んだ音声情報をコマンドとして音声認識するかを選択して行う処理手段とを備える装置。」で一致するものであり、次の点で相違している。 相違点: (1)本願発明は、「情報処理装置」であるのに対し、引用例記載の発明は、「電話装置」である点。 (2)本願発明では、検出手段が表示上の指示位置が第1の領域内にあるか第2の領域内にあるかを検出するものであり、取り込み手段で音声情報を取り込んだ際に、表示上の指示位置が第1の領域内にある場合は取り込んだ音声情報を送信し、表示上の指示位置が第2の領域内にある場合は取り込んだ音声情報を音声認識するのに対し、引用例記載の発明においては、検出手段がコマンドボタンの操作によるコマンド信号の有無を検出するものであり、コマンド信号が有る場合、取り込む音声信号を通話信号として送信するか、取り込む音声信号を音声コマンドとして音声認識するかを切り換える点。 (3)本願発明では、音声情報を音声認識してコマンドコードに変換するのに対し、引用例にはコマンドコードに変換することは明記されておらず、引用例記載の発明は音声情報を音声認識してコマンドコードに変換するか明らかでない点。 4.当審の判断 そこで、上記相違点について検討する。 相違点(1)について 電話通信を行うアプリケーションを備えた音声入力装置付き情報処理装置は、本出願前周知の技術であり(特開平6-62142号公報、特開平6-189301号公報、特開平6-75739号公報参照)、引用例記載の発明の電話装置における音声情報送信と音声認識処理との選択を情報処理装置として実現することに何ら困難性はない。 相違点(2)について、 情報処理装置において、ユーザによる表示上の指示位置が所定の領域であることを検出することにより、特定の機能を動作させることは本出願前周知の技術である(特開平4-248621号公報、特開平2-213926号公報参照)。 そして、情報処理装置において情報の処理方法を選択するに際して、情報を取り込んだ際に当該選択を行うことは慣用手段であって格別のことではない。 そうすると、上記引用例記載の発明において、上記周知技術を適用することにより、コマンドボタンの操作により発生するコマンド信号を検出し、該コマンド信号を検出した場合に処理の切換えを行うことに代え、ユーザによる表示上の指示位置が第1の領域内にあるか、第2の領域内にあるかを検出することにより処理の切換えを行うようにすることによって、取り込み手段で音声情報を取り込んだ際に、ユーザによる表示上の指示位置が第1の領域内にある場合は前記取り込み手段で取り込んだ音声情報を送信し、前記指示位置が第2の領域内にある場合は前記取り込み手段で取り込んだ音声情報を音声認識するようにすることは、当業者ならば容易になし得るものである。 相違点(3)について 制御部の制御を行う際、制御内容に応じたコード信号を用いることは周知技術にすぎず、上記引用例には「音声信号は、音声コマンド信号13として音声コマンド認識部8へ印加され認識される。認識された内容に応じ機能制御部9は保留あるいは通話路切換えなどを行う。」と記載されているから、引用例記載の発明において、音声情報を音声認識してコマンドコードに変換するようにすることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。 また、上記の相違点に基づく本願発明の作用効果も当業者であれば引用例に記載された発明及び周知技術から予想できる範囲内のものである。 5.むすび したがって、本願発明は、上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願はその余の請求項について言及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-09-02 |
結審通知日 | 2005-09-05 |
審決日 | 2005-09-16 |
出願番号 | 特願平6-220406 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 遠藤 尊志、久保田 昌晴、圓道 浩史 |
特許庁審判長 |
大野 克人 |
特許庁審判官 |
治田 義孝 和田 志郎 |
発明の名称 | 情報処理方法及び装置 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康徳 |