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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A46D
管理番号 1125680
審判番号 不服2004-3521  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-23 
確定日 2005-11-02 
事件の表示 平成10年特許願第236099号「歯ブラシ用毛および歯ブラシの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月26日出願公開、特開平11-290134〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成10年8月21日(パリ条約による優先権主張1998年3月19日 大韓民国)の出願であって、平成15年10月6日(発送日:11月25日)で拒絶査定がなされ、これに対し平成16年2月23日に拒絶査定に対する不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし2に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】 毛の先端から10mm以下でテーパが始まるテーパが形成された歯ブラシ用毛において、
テーパが形成された毛の先端の直径が0.04〜0.08mmまでとされていることを特徴とする歯ブラシ用毛。
【請求項2】 毛の先端から10mm以下でテーパが始まり、テーパが形成された毛の先端の直径が0.04〜0.08mmまでとされている複数本の毛を有することを特徴とする歯ブラシ。

3.引用例に記載された事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前である平成5年3月2日に頒布された刊行物である実願平3-65786号(実開平5-15834号)のCD-ROM(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「 ・・・・本考案の目的は、歯間清掃性が十分にすぐれ、しかも耐久性および植毛作業性の良好な歯ブラシを提供することにある。」(段落【0008】)
(2)「本考案において、刷子材1として使用される熱可塑性ポリエステルモノフィラメントの構成素材である熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどが代表例として挙げられるが・・・・」(段落【0016】)
(3)「・・・・得られるモノフィラメントの直径は適宜選択し得るが、通常は0.1〜0.3mmの範囲が適当である。」(段落【0017】)
(4)「 上記先鋭部1a、1bは、ポリエステルモノフィラメント切断片の両端部分における先端から5〜10mm程度の範囲に形成される。そして、上記先鋭部1a、1bの中央部におけるモノフィラメントの直径が、先鋭化されていない部分のモノフィラメント直径の75%以下程度になるように先鋭化されていることが望ましい。」(段落【0023】)

4.引用例に記載された発明
引用例の上記(1)ないし(4)の記載及び図面が図示するところによれば、引用例には次の発明(以下「引用例発明」という。)が記載されているものと認められる。

刷子材の先端から5〜10mm程度の範囲で先鋭部が始まる先鋭部が形成された歯ブラシ用の刷子材において、先鋭部が形成された刷子材の先鋭部1a、1bの中央部における直径が先鋭化されていない部分の75%以下程度とされている歯ブラシ用刷子材。

5.対比・一致点・相違点
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と引用例発明とを対比すると、引用例発明における「刷子材」、「先鋭部」がそれぞれ本願発明における「毛」、「テーパ」に相当し、両者の一致点、相違点は以下のとおりのものと認められる。
<<一致点>>
毛の先端からテーパが形成された歯ブラシ用毛。
<<相違点>>
相違点(A) 本願発明では、「毛の先端から10mm以下でテーパが始まる」のに対して、引用例発明では、毛の先端から5〜10mm程度の範囲でテーパが始まる点。
相違点(B) 本願発明では、「テーパが形成された毛の先端の直径が0.04mm〜0.08mmまでとされている」のに対して、引用例発明では、テーパの形成された毛のテーパの中央部における直径がテーパの形成されていない部分(先鋭化されていない部分)の75%以下程度である点。

6.相違点についての検討
上記のとおり認定した相違点について検討する。

・相違点(A)について
相違点(A)に係る本願発明の構成は、請求項1の記載によれば、テーパが始まる位置が毛の先端から10mm以下である歯ブラシ用毛のすべてを含むものであるところ、引用例発明はその位置が「5〜10mm程度の範囲」とするものであるから、両者はテーパーが始まる位置を毛の先端から5mm程度から10mmの範囲で一致するものであり、実質的な差異は無いというべきである。

・相違点(B)について
引用例発明では、テーパの形成された毛のテーパの中央部における直径がテーパの形成されていない部分(先鋭化されていない部分)の75%以下程度と記載されている以上、毛の先端の直径は、記載事項(3)に記載された毛の直径を参酌すると、0.075mm〜0.225mmよりも小径であることは明らかであり、その範囲の中で「0.04mm〜0.08mmまで」と限定したことは、当業者であれば実験などを実施して適宜設定し得た数値限定であって、当業者であれば容易に想到できたものというべきである。
なお、本願の優先権主張に日前に頒布された刊行物である特開平6-141923号公報には、「そして、前記合成ものフィラメント1の基部毛径200μの例をテーパー形状に毛先加工した各種刷毛A〜Fを植毛部とした表1に示す歯刷子を用い清掃力を比較した結果から図5に示す範囲のものに特定する意義が認められた。」(合議体注:200μ=0.2mm)との記載にともに、表1にテーパー種Cとして先端から1mmの部位において直径が50μ(0.05mm)ないし70μ(0.07mm)とした歯刷子がほかの実験例と併せて記載されており、本願発明の限定する数値範囲に含まれる先行事例が実験例の一つとして開示されている。この事実からみても、上記数値範囲に限定したことを容易想到と判断したことの裏付けがあるというべきである。

7.むすび
したがって、本願発明は引用例発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項に規定の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-05-31 
結審通知日 2005-06-07 
審決日 2005-06-22 
出願番号 特願平10-236099
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A46D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 種子 浩明  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 今井 義男
間中 耕治
発明の名称 歯ブラシ用毛および歯ブラシの製造方法  
代理人 永田 豊  
代理人 永田 豊  
代理人 松倉 秀実  
代理人 遠山 勉  
代理人 遠山 勉  
代理人 川口 嘉之  
代理人 川口 嘉之  
代理人 松倉 秀実  

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