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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B22C |
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管理番号 | 1125886 |
異議申立番号 | 異議2003-73451 |
総通号数 | 72 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-11-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-25 |
確定日 | 2005-10-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3429853号「鋳型製造方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3429853号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.本件手続の経緯 本件特許第3429853号の請求項1に係る発明についての出願は、平成6年5月12日に特許出願され、平成15年5月16日にその特許権の設定登録がなされたものである。 これに対して、佐藤久美子より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされたが、特許権者からは、その指定期間内に何ら応答がなかったものである。 2.本件発明 本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】上型と下型と中子とを位置決めして重合して形成される鋳型の鋳型製造方法において、 前記鋳型のうち下型内に外形形状のほとんどが形成されるキャビティで、そのキャビティに注湯して製造される鋳造製品を機械加工する際の基準面となり、かつ、機械加工される部分を前記上型と前記下型の境界面のうち下型に位置させて製造することを特徴とする鋳型製造方法。」 3.特許異議申立てについて (1)取消理由の概要 当審で通知した取消理由の概要は、本件発明1は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである、というものである。 (2)引用刊行物とその記載内容 取消理由において引用された刊行物(日本機械学会基準「鋳造品の形状設計」(社)日本機械学会発行、昭和57年10月8日、第76頁、第99頁及び第113頁)には、次の事項が記載されている。 (a)「10.天地に対する配慮 〔7〕加工面など重要な面を下型にする。」(第113頁)と記載され、品名ハウジングに関する図10.16が図示されている。 (b)「9.分割面に対する配慮 〔8〕分割面は食い違いが目立たないところを選ぶ。」(第99頁)と記載され、品名不明の図9.25が図示されている。 (c)「8.機械加工に対する配慮 〔1〕基準点または基準面を設ける。 内容 機械加工の基準線の取りにくいものは、基準点または基準面を設ける。これらの位置は寸法精度の良い下型に接する部分がよい。」(第76頁)と記載され、品名ブレースに関する図8.1が図示されている。 (3)当審の判断 引用刊行物の上記(a)の図10.16には、本件発明1でいう「上型と下型と中子とを位置決めして重合して形成される鋳型の鋳型製造方法」が図示されており、しかもこの図では、その下型内に外形形状のキャビティの殆どが形成されているから、本件発明1でいう「前記鋳型のうち下型内に外形形状のほとんどが形成されるキャビティ」についても図示されていると云える。また、上記(a)には、「加工面など重要な面を下型にする。」と記載されているから、「加工面を下型に位置させて製造する」ことが記載されているとも云える。さらに、上記(c)には、「機械加工の基準線の取りにくいものは、基準点または基準面を設ける。」とも記載されているから、本件発明1でいう「そのキャビティに注湯して製造される鋳造製品を機械加工する際の基準面となり、」についても記載されていると云える。 そうすると、引用刊行物には、本件発明1の記載ぶりで表現すれば、「上型と下型と中子とを位置決めして重合して形成される鋳型の鋳型製造方法において、前記鋳型のうち下型内に外形形状のほとんどが形成されるキャビティで、そのキャビティに注湯して製造される鋳造製品を機械加工する際の基準面となり、加工面を下型に位置させて製造することを特徴とする鋳型製造方法。」という発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると云えるから、本件発明1と引用発明とを対比すると、両者は、次の点で相違していると云える。 相違点:本件発明1は、「機械加工される部分を前記上型と前記下型の境界面のうち下型に位置させて製造する」のに対し、引用発明は、「加工面を下型に位置させて製造する」点 次に、この相違点について検討するに、この相違点の意味するところが必ずしも明確ではないが、本件明細書の記載に照らせば、本件発明1の基準面が機械加工される部分でもあるという意味に解されるところ、この基準面にさらに機械加工を施すようなことは、鋳造製品の設計的な事項として必要に応じて当業者が容易に想到することができたと云うべきである。 してみると、本件発明1は、上記引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと云える。 4.むすび したがって、本件発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2005-08-23 |
出願番号 | 特願平6-122969 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Z
(B22C)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 有田 恭子 |
特許庁審判長 |
沼沢 幸雄 |
特許庁審判官 |
平塚 義三 酒井 美知子 |
登録日 | 2003-05-16 |
登録番号 | 特許第3429853号(P3429853) |
権利者 | 旭テック株式会社 |
発明の名称 | 鋳型製造方法 |
代理人 | 石井 光正 |