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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1126731
審判番号 不服2002-20517  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-23 
確定日 2005-11-17 
事件の表示 平成10年特許願第 58396号「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月24日出願公開、特開平11-258879〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、出願日が平成10年3月10日である特願平10-58396号であって、平成14年9月11日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成14年10月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされた。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、出願当初明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下、「本願発明」という)と認める。
「周面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、
内部に現像材を収納するケーシングと、前記感光体ドラムに近接して配置され前記感光体ドラム表面にトナーを付着して静電潜像をトナー画像に顕像化する現像スリーブと、前記現像スリーブ内に配置され複数の磁極が周面に形成された永久磁石でなるマグネットローラとを備えた現像装置と、
前記感光体ドラムに近接して配置され、感光体ドラムとの間に搬送されてくる用紙に対して感光体ドラム上のトナー画像を転写するための転写装置と、
前記感光体ドラムと転写装置との間に用紙を搬送するための転写前ガイドと、
を備え、前記転写前ガイドは磁性材料で構成されており、前記現像装置のマグネットローラの磁力によって前記現像装置側に引き寄せられて前記感光体ドラム近傍の所定位置に位置決めされる画像形成装置。」

3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平5-197243号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア.【0001】【産業上の利用分野】
本発明は、チャージレス画像形成装置に関し、詳しくは、感光体内部の像光照射手段で感光体内面に像光を入射し、その入射位置の感光体外面に現像装置が現像バイアス電圧を印加した現像ローラ上の現像剤層を接触させることで静電像の形成とトナー像への現像とが同時に行われる画像形成装置に関する。

イ.【0010】
図において、1は例えば透明基体とその上に形成された透明電極層と光導電体層の積層を含む構成の矢印方向に回転する感光体ドラム、2はLEDやEL等の発光素子アレイ2aとロッドレンズアレイのような集束性光伝送体2bとから成り、感光体ドラム1の内部に静止して設けられて感光体ドラム1の内面に像光を入射する像光照射手段、3は内部に磁石体4を有するアルミニウム等の非磁性導電材料から成る現像ローラである。
【0011】
現像ローラ3は磁石体4の磁力によってトナーと磁性キャリアの二成分現像剤または磁性トナーの一成分現像剤を表面に吸着して、現像ローラ3もしくは磁石体4または両方の矢印方向の回転によって現像剤を現像ローラ3の回転矢印方向に搬送し、それによって表面に形成される現像剤層を像光照射手段2が像光を入射する位置の感光体ドラム1の外面に接触させる。そして、この現像ローラ3に図示を省略した電源により少なくともトナーの帯電と同極性のバイアス成分を有する現像バイアス電圧が印加されることで、前述の像光照射手段2による像光の入射と相俟って感光体ドラム1の外面に静電像の形成とそのトナー像への現像とが行われる。なお、現像剤は非磁性の一成分現像剤を用いてもよい。その場合は磁石体4は省略できる。

ウ.【0012】
5は現像剤室6の現像剤を現像ローラ3の表面に供給するスポンジローラ等の現像剤供給部材、7は現像ローラ3が搬送する現像剤層の層厚を規制するゴム板等の層厚規制部材、8は軸8aと側板8bと底板8cとから成っていて、軸8aの図示を省略した駆動手段により現像剤供給部材5の方向へはゆっくりと動いて反対方向へは早く動くように揺動させられ、それによって現像剤室6の現像剤を現像剤供給部材5側へ移動させる揺動部材、9は現像剤室6の現像剤を撹拌して現像剤供給部材5側に移動させると共にトナーを摩擦帯電させる撹拌部材である。

エ.【0015】
12は給紙カセットの転写材を送り出す送出ローラ、13は送出ローラ12によって送り出された転写材あるいは手差しされた転写材を挟圧して送る一対の搬送ローラ、14は感光体ドラム1に形成されたトナー像が転写材に転写されるタイミングで転写材を挟圧して送る一対のタイミングローラ、15は感光体ドラム1と圧接して回転してタイミングローラ14により圧接の間に送り込まれて来た転写材に感光体ドラム1のトナー像を転写する転写ローラである。この転写ローラ15には図示を省略した電源によって転写時トナーの帯電と逆極性の転写バイアス電圧が印加される。

また、指示番号はついていないが、図1、2、3等から、引用例1には、感光体ドラム1と転写ローラ15との間に転写材を搬送するための転写前ガイドが開示されていることは明らかである。

したがって、上記記載事項、及び図面も参照すると、引用例1には、
「外面に静電像が形成される感光体ドラム1と、
現像剤室6と、前記感光体ドラム1に近接して配置され、前記感光体ドラム1の外面にトナーを接触させ、前記静電像をトナー像へと現像させる現像ローラ3と、前記現像ローラ3内に配置され複数の磁極が周面に形成された磁石体4を備えた現像装置と、
前記感光体ドラム1に近接して配置され、感光体ドラム1との間に搬送されてくる転写材に対して感光体ドラム1のトナー像を転写する転写ローラ15と、
前記感光体ドラム1と転写ローラ15との間に転写材を搬送するための転写前ガイドと、
を備えた画像形成装置」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
また、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平5-107843号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
オ.【書類名】要約書
【要約】
【目的】 図面用等の大型の電子複写機等において、感光体ドラムの画像転写部に向けて用紙を案内するガイド板を、磁石部材を介して支持させることにより、調整作業を容易に行い得るようにする。
【構成】 感光体ドラム2に対して、用紙を案内するためのガイド板21は、入口ガイド部材20の支持部材25にスプリングと保持部材23……を介して取り付けられ、該ガイド板21の先端部と感光体ドラム2との間隔Aを調整出来るように設ける。前記ガイド板21を支持する支持部材25は、本体フレーム31に対して磁石部材30と、位置決め用のピン27とを介して取り付けられ、入口ガイド部材の本体フレームに対する調整作業を容易に行い得るようにする。また、前記支持部材25と本体フレームとの間に配置する磁石部材30と、ピン27による支持部は、それぞれ絶縁させておくことが出来る。
【選択図】 図2

カ.【0015】【実施例】
図示される例にしたがって、本発明の画像形成装置の用紙案内装置を説明する。図1に示される本発明の画像形成装置1においては、電子写真方式を用いてトナー画像を形成する感光体ドラム2に対して、転写コロトロン3による画像転写部材を配置し、該トナー画像の転写位置に向けて用紙を案内するために、入口ガイド部材20を配置している。

4.対比
引用発明に記載された「外面に静電像が形成される感光体ドラム1」は、本願発明の「周面に静電潜像が形成される感光体ドラム」に相当する。以下、同様に「現像剤室6」は「内部に現像材を収納するケーシング」に、「前記感光体ドラム1の外面にトナーを接触させ、前記静電像をトナー像へと現像させる現像ローラ3」は「前記感光体ドラム表面にトナーを付着して静電潜像をトナー画像に顕像化する現像スリーブ」に、「前記現像ローラ3内に配置され複数の磁極が周面に形成された磁石体4」は「前記現像スリーブ内に配置され複数の磁極が周面に形成された永久磁石でなるマグネットローラ」に、「感光体ドラム1との間に搬送されてくる転写材に対して感光体ドラム1のトナー像を転写する転写ローラ15」は「感光体ドラムとの間に搬送されてくる用紙に対して感光体ドラム上のトナー画像を転写するための転写装置」に、「前記感光体ドラム1と転写ローラ15との間に転写材を搬送するための転写前ガイド」は「前記感光体ドラムと転写装置との間に用紙を搬送するための転写前ガイド」に、それぞれ相当する。

そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は「周面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、
内部に現像材を収納するケーシングと、前記感光体ドラムに近接して配置され前記感光体ドラム表面にトナーを付着して静電潜像をトナー画像に顕像化する現像スリーブと、前記現像スリーブ内に配置され複数の磁極が周面に形成された永久磁石でなるマグネットローラとを備えた現像装置と、
前記感光体ドラムに近接して配置され、感光体ドラムとの間に搬送されてくる用紙に対して感光体ドラム上のトナー画像を転写するための転写装置と、
前記感光体ドラムと転写装置との間に用紙を搬送するための転写前ガイドと、
を備えた画像形成装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点;本願発明では、転写前ガイドは磁性材料で構成されており、現像装置のマグネットローラの磁力によって前記現像装置側に引き寄せられて感光体ドラム近傍の所定位置に位置決めされるのに対し、引用発明では、そのような記載がない点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。
まず、引用例2には、感光体ドラムと画像転写部材との間に用紙を案内するためのガイド板21を、本体フレーム31に対して磁石部材30で感光体ドラム近傍の所定位置に位置決め、取り付けた点が記載されている。
引用発明の、現像スリーブ内のマグネットローラも磁石であることに変わりはなく、引用例2の磁石部材30として、現像スリーブ内のマグネットローラを用いて、引用発明に適用することにより、上記相違点に係る構成とすることは、当業者にとって容易である。

また、本願発明の作用・効果についても、引用発明、及び引用例2に記載された発明から予測し得る範囲内のものである。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-14 
結審通知日 2005-09-20 
審決日 2005-10-03 
出願番号 特願平10-58396
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 水野 治彦  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 山下 喜代治
井出 和水
発明の名称 画像形成装置  
代理人 小野 由己男  

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