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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F
管理番号 1126909
審判番号 不服2002-22820  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-07-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-21 
確定日 2005-11-21 
事件の表示 平成9年特許願第370169号「物干し用電動カーテン装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年7月7日出願公開、特開平10-179983号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、出願日が平成5年12月24日の出願である実願平5-77024号を、平成9年12月24日に特許出願に変更したものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年10月23日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。

「雨を検出するための雨センサ1、
日光を検出するためのフォトセンサ5、
カーテンを開閉するカーテン駆動装置2、および、
雨センサ1、フォトセンサ5からの信号を元にして、
カーテン駆動装置2へ開閉指示を与える、
ソフトウエアによる中央制御装置4からなる物干し用カーテン装置。」

2.引用例
2-1.原査定の拒絶の理由に引用した、実願昭50-165749号(実開昭52-79239号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、「干し物の雨濡れ防止装置」に関して、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1)「上部が閉じられた物干し場の屋外側に臨む部分に設けられる案内部材に案内される引き幕状雨除けカーテンと、この雨除けカーテンを駆動するモータに起動信号を付与自在とした降雨検出部とを有してなる干し物の雨濡れ防止装置。」(実用新案登録請求の範囲)
(2)「第1図に示す第1実施例は軒下の屋外側端部に近い両端に設ける巻取り器(1),(2)に亘り巻取り、繰出し自在にロープ(3)を取付け、このロープに雨除けカーテン(4)を取付けたもので、巻取り器(1),(2)にはそれぞれモータ(5),(6)を取付け、一方のモータ(5)は降雨検出部からの信号により起動されるものである。モータ(5)を起動する電気回路は、第2図に示すように電源スイッチ(7),(8)とトランス(9),ヒューズ(10),整流器(11),リレースイッチ(12),トランジスタ(13),集水皿(14)と集水皿内部の最深部に臨ませられた接点(15)からなる降雨検出部(16)を有してなる。他方のモータ(6)はモータ(5)の回転方向を逆にしたもので、図示しない電源スイッチの投入により起動されるものでよいが、両モータ(5),(6)のいずれか一方が駆動されているとき、他方は空転状態におかれなければならないので、互いに連動するように電気回路を形成すればなお便利である。」(第2頁第5行〜第3頁第5行)
(3)「この第1実施例により本考案の動作を説明すると、モータ(6)で回動される巻取り器(2)側に、雨除けカーテン(4)ごとロープ(3)を巻取っておき、モータ(6)の電源を開いておくとともに、モータ(5)については第2図に示す電気回路を交流電源に接続し、電源スイッチ(7),(8)を閉じておく。雨が降り出すと、降雨検出部(16)の集水皿(14)内に雨水が入り、接点(15)が雨水によって閉じられ検出信号が得られる。この信号により閉じられたリレースイッチ(12)を通じモータ(5)に通電されると、モータ(5)が起動し、巻取り器(1)が回転されて、巻取り器(2)からロープ(3)を繰出し巻取る。ロープ(3)には雨除けカーテン(4)が取付けられているので、洗濯物などを干してある軒下など干し物の前面に雨除けカーテン(4)が引き出され、干し物を雨濡れから防止する。」(第3頁第6行〜第4頁第4行)

よって、上記記載から引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「降雨検出部からの検出信号により、閉じられたリレースイッチを通じてモータが起動し、巻取り器がロープを繰り出して巻取り、ロープに取り付けられた雨除けカーテンが干し物を雨濡れから防止する、干し物の雨濡れ防止装置。」

2-2.また、同じく拒絶の理由に引用された、特開昭48-83963号公報(以下、「引用例2」という。)には、下記の事項が記載されている。
(イ)「物干用枠体と該物干用枠体の頂部に備えられてその物干用枠体の頂部を開閉自在ならしめたカバーと、該カバーに開閉作動を与える開閉作動手段と、上記物干用枠体外の天候状態を感知して上記開閉駆動手段に自動的に開閉駆動指令を与える天候感知手段とからなり、上記天候感知手段をもって外部の明るさ、降雨の有無等を自動的に感知せしめ、晴天時には上記カバー体を開き、雨天、降雪時等にはあらかじめ上記カバーを閉じるようにし、上記カバーを開閉駆動手段をもって自動的に作動せしめるようにしてなる物干装置。」(特許請求の範囲)
(ロ)「物干用枠体1の外部には天候感知手段26が備えられていて、この天候感知手段26をもって天候状態を感知せしめるとともに開閉駆動手段18に開閉作動の指令を与えるもので、受光素子の一例として光導電セル28が存するほか降雨検知器29等も有する。」(第2頁左下欄第2〜8行)

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「降雨検出部」、「検出信号」、「雨除けカーテン」は、その機能・構成からみて、それぞれ前者の「雨を検出するための雨センサ1」、「雨センサ1からの信号」、「物干し用カーテン」に相当する。後者の「モータ」、「巻取り器」、「ロープ」からなる装置は、その機能・構成からみて、前者の「カーテン駆動装置」に相当し、後者の「リレースイッチ」と前者の「ソフトウェアによる中央制御装置」は「制御装置」として共通であるから、
よって、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、

「雨を検出するための雨センサ、
カーテンを駆動するカーテン駆動装置、および
雨センサからの信号を元にして、
カーテン駆動装置へカーテンを繰り出す指示を与える、
制御装置からなる物干し用カーテン装置」で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
本願発明は、雨センサに加え、日光を検出するためのフォトセンサを備え、雨センサおよびフォトセンサからの信号を元にして、カーテン駆動装置へ開閉指示を与えるのに対して、引用発明は、雨センサからの信号によりカーテン駆動装置へカーテンを繰り出す指示を与える点。

<相違点2>
本願発明は、制御装置がソフトウェアによる中央制御装置であるのに対し、引用発明はリレースイッチである点。

4.判断
次にこれら相違点について検討する。

<相違点1>について
引用例2の、「天候感知手段の光導電セル」、および「天候感知手段の降雨検知器」は、本願発明の「日光を検出するためのフォトセンサ」、および本願発明の「雨センサ」に相当し、引用例2には、天候感知手段をもって外部の明るさ、降雨の有無等を自動的に感知せしめ、晴天時にはカバー体を開き、雨天、降雪時等にはあらかじめカバーを閉じるようにし、カバーを開閉駆動手段をもって自動的に作動せしめることが記載されているから、引用例2は本願発明の「雨センサ、フォトセンサからの信号を元にしてカーテン駆動装置へ開閉指示を与える」構成を備えており、相違点1の本願発明に係る構成は、引用発明においてカーテン駆動装置へ開閉指示を与えるものとして、引用例2に記載された発明を採用して相違点1に係る本願発明のように構成する程度のことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

<相違点2>について
物干し装置として、CPUと処理プログラムとを持ち、処理プログラムによって、フォトセンサ、雨水センサ等の検出手段による検出結果に基づいて屋外に被乾燥物を干すことと屋内に被乾燥物を取り込むこととを制御するものは本願出願前周知の技術(必要ならば、特開平4-8399号公報参照)である。
よって、引用発明のリレースイッチに上記周知の技術を採用して相違点2に係る本願発明のように構成することは、当業者であれば必要に応じて容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の構成によってもたらされる明細書に記載の効果も、引用発明、上記引用例2に記載された発明、上記周知の技術から当業者であれば予測できる範囲のものであって、格別なものではない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-06 
結審通知日 2005-09-13 
審決日 2005-09-28 
出願番号 特願平9-370169
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 由希子平城 俊雅金丸 治之  
特許庁審判長 大元 修二
特許庁審判官 内藤 真徳
増沢 誠一
発明の名称 物干し用電動カーテン装置  

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