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審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1127030
審判番号 不服2002-25174  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-01-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-27 
確定日 2005-11-24 
事件の表示 平成 7年特許願第150343号「フォーマット情報生成方法とフォーマット情報生成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 1月10日出願公開、特開平 9- 6869〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年6月16日の出願であって、平成14年11月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年12月27日付けで審判請求がなされ、それに伴い平成15年1月27日付けで手続補正がなされたものである。
また、平成15年1月27日付けの手続補正は、平成17年7月26日付けの補正却下の決定により却下された。

2.本願発明
平成15年1月27日付けの手続補正は、平成17年7月26日付けの補正却下の決定により却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年10月31日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「帳票ID毎に書式の定まった帳票に対して光学式文字読取装置で必要事項の読取りを行うために、該各帳票IDに対応する帳票に対し、読取り参照用の固有のフォーマット情報をそれぞれ生成して登録するフォーマット情報生成方法において、
前記フォーマット情報が登録されていない未登録帳票のイメージデータを取り込み、予め作成されたフォーマット生成規則に基づき該イメーシデータを処理して新規の前記フォーマット情報を生成する新規フォーマット情報生成処理と、
前記フォーマット情報における各読取フィールドは、対象帳票の端部を原点とした位置関係で表される読取フィールドと、前記対象帳票に描画された線分上の任意の点を原点とした位置関係で表される読取フィールドとに分け、前記分けられた読取フィールドに対応するマージン値を用い、前記フォーマット生成規則を参照して、前記新規フォーマット情報の前記各読取フィールドに対してマージン範囲をそれぞれ設定するマージン設定処理と、
前記各マージン範囲内にあって前記新規フォーマット情報と同一と見なせるものを登録済の前記フォーマット情報から抽出し、該抽出された登録済のフォーマット情報と同じグループ名を前記未登録帳票の前記帳票IDに付して登録し、該同一と見なせる登録済のフォーマット情報が存在しない場合、該新規フォーマット情報とその帳票IDと新たなグループ名とを対応させて登録する検索登録処理とを、
行うことを特徴とするフォーマット情報生成方法。」

3.原査定の理由の概要
平成14年8月29日付けの拒絶理由通知及び平成14年11月27日付けの拒絶査定の記載からみて、原査定の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
『特許請求の範囲第1項に「帳票ID毎に書式の定まった帳票に対して光学式文字読取装置で必要事項の読取りを行なうために、…情報をそれぞれ生成して登録するフォーマット情報生成方法において」とあるように「光学式文字読取装置」という記述はある。
しかしながら、「帳票ID毎に書式の定まった帳票に対して光学式文字読取装置で必要事項の読取りを行なうために」という目的部分に「光学式文字読取装置」という構成を記述したことをもって、本願の実質的構成たる「フォーマット情報生成方法」がハードウエア資源を利用したことにはならない。
したがって、本願の請求項1に係るものは、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しないので、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。』

4.当審の判断
そこで、本願発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」に該当するかどうか検討する。
(1)前提事項の記載について
まず、「帳票ID毎に書式の定まった帳票に対して光学式文字読取装置で必要事項の読取りを行うために、該各帳票IDに対応する帳票に対し、読取り参照用の固有のフォーマット情報をそれぞれ生成して登録するフォーマット情報生成方法において」という前提事項の記載を検討すると、この記載は、「光学式文字読取装置」がフォーマット情報生成方法の処理をすること、フォーマット情報生成方法の処理が「光学式文字読取装置」の制御に伴う処理であること、フォーマット情報生成方法の処理が「光学式文字読取装置」の物理的性質又は技術的性質に基づく処理であることのいずれをも表すものでなく、単に各帳票IDごとのフォーマット情報生成・登録の目的を表すだけの記載であるので、この記載をもってして、本願発明が自然法則を利用したものとはいえない。

(2)各処理に関する記載について
次に、フォーマット情報生成方法の各処理に関する記載について検討する。
請求項1の「前記フォーマット情報が登録されていない未登録帳票のイメージデータを取り込み、予め作成されたフォーマット生成規則に基づき該イメーシデータを処理して新規の前記フォーマット情報を生成する新規フォーマット情報生成処理」の記載箇所は、新規フォーマット情報生成処理が、もっぱら人為的に取り決められたフォーマット生成規則に基づく処理であることを記載するにとどまる。
また、「前記フォーマット情報における各読取フィールドは、対象帳票の端部を原点とした位置関係で表される読取フィールドと、前記対象帳票に描画された線分上の任意の点を原点とした位置関係で表される読取フィールドとに分け、前記分けられた読取フィールドに対応するマージン値を用い、前記フォーマット生成規則を参照して、前記新規フォーマット情報の前記各読取フィールドに対してマージン範囲をそれぞれ設定するマージン設定処理」の記載箇所は、その主要な処理であるところのマージン範囲の設定処理が、もっぱら人為的に取り決められたフォーマット生成規則に基づく処理であることを記載するにとどまる。
さらに、「前記各マージン範囲内にあって前記新規フォーマット情報と同一と見なせるものを登録済の前記フォーマット情報から抽出し、該抽出された登録済のフォーマット情報と同じグループ名を前記未登録帳票の前記帳票IDに付して登録し、該同一と見なせる登録済のフォーマット情報が存在しない場合、該新規フォーマット情報とその帳票IDと新たなグループ名とを対応させて登録する検索登録処理」の記載からみて、新規フォーマット情報に対するグループ名の検索登録の仕方はあきらかに人為的な取り決めそのものであり、検索登録処理はそのもっぱら人為的に取り決められた新規フォーマット情報に対するグループ名の検索登録の仕方に基づく処理である。
よって、フォーマット情報生成方法の上記一連の処理は、全体として、もっぱら人為的取り決めに基づく処理であるので、請求項1のフォーマット情報生成方法に関する記載では、本願発明が自然法則を利用したものとはいえない。

また、請求項1においては、フォーマット情報生成方法がコンピュータを用いて行う処理であることは記載されていないが、仮に、本願発明のフォーマット情報生成方法の各処理がコンピュータを用いて行う処理であるとしても、請求項1には、処理の主要部が依拠するところのファーマット生成規則について具体的な記載が全くなく、さらに、コンピュータのハードウエア資源がどのように用いられて処理されるかを示す具体的な事項が記載されていないため、本願発明のフォーマット情報生成方法における自然法則を利用した部分は、コンピュータを用いて処理することのみであるので、本願発明は自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえない。

(3)まとめ
以上の点を考慮すると、本願発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」には該当しないから、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-21 
結審通知日 2005-09-27 
審決日 2005-10-11 
出願番号 特願平7-150343
審決分類 P 1 8・ 1- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長 由紀子和田 財太  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 竹中 辰利
篠原 功一
発明の名称 フォーマット情報生成方法とフォーマット情報生成装置  
代理人 大西 健治  

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